(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】船舶係留管理サーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20220210BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220210BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2017174002
(22)【出願日】2017-09-11
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】596079079
【氏名又は名称】三協精器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100184583
【氏名又は名称】上田 侑士
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】赤松 賢介
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-141238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0131050(US,A1)
【文献】特開平11-175866(JP,A)
【文献】特開平05-143605(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0122607(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶を係留する係留場の利用を管理するための船舶係留管理サーバであって、
利用者であるユーザのユーザ端末との通信及び係留場の管理者が操作する係留場管理端末との通信を処理する通信処理機能と、
利用可能な係留場ごとの係留場情報を管理する係留場情報管理機能と、
利用するユーザごとのユーザ情報を管理するユーザ情報管理機能と、
前記ユーザ端末から係留場照会依頼を受信した場合に、前記係留場情報管理機能によって管理している係留場情報の中から係留場照会依頼の条件に合致する係留場の情報を抽出して当該ユーザ端末に対して送信する係留場照会依頼処理機能と、
前記ユーザ端末から係留場利用依頼を受信した場合に、当該係留場の利用の予約処理を完了させ、予約が完了した旨を当該ユーザ端末に送信し、予約があった旨及び予約内容を予約がされた当該係留場の係留場管理端末に対して送信する係留場利用依頼処理機能と
を備え
、
前記係留場情報は、係留可能な空きスペースの情報を少なくとも含み、
前記ユーザ情報は、ユーザの所持する船舶について船名、船種、船体サイズの情報を含む船舶情報を少なくとも含み、
前記係留場照会依頼処理機能では、前記ユーザ情報に含まれる船舶情報と前記係留場情報に含まれる係留可能な空きスペースの情報を照合して、当該ユーザの所持する船舶が係留可能な係留場を抽出する機能を備えており、
前記係留可能な空きスペースの情報について、予め定めた所定の係留区分に区分けして管理している場合に、1つの係留区分の大きさよりも大きい船舶サイズの船舶を所持するユーザのユーザ端末からの係留場照会依頼を受信したときは、
前記係留場照会依頼処理機能において、隣接する複数の係留区分を足し合わせることで当該ユーザの船舶を係留可能である係留場を、当該ユーザの所持する船舶が係留可能な係留場として抽出するようにした
船舶係留管理サーバ。
【請求項2】
船舶を係留する係留場の利用を管理するための船舶係留管理サーバであって、
利用者であるユーザのユーザ端末との通信及び係留場の管理者が操作する係留場管理端末との通信を処理する通信処理機能と、
利用可能な係留場ごとの係留場情報を管理する係留場情報管理機能と、
利用するユーザごとのユーザ情報を管理するユーザ情報管理機能と、
前記ユーザ端末から係留場照会依頼を受信した場合に、前記係留場情報管理機能によって管理している係留場情報の中から係留場照会依頼の条件に合致する係留場の情報を抽出して当該ユーザ端末に対して送信する係留場照会依頼処理機能と、
前記ユーザ端末から係留場利用依頼を受信した場合に、当該係留場の利用の予約処理を完了させ、予約が完了した旨を当該ユーザ端末に送信し、予約があった旨及び予約内容を予約がされた当該係留場の係留場管理端末に対して送信する係留場利用依頼処理機能と
を備え
、
前記係留場情報は、係留可能な空きスペースの情報を少なくとも含み、
前記ユーザ情報は、ユーザの所持する船舶について船名、船種、船体サイズの情報を含む船舶情報を少なくとも含み、
前記係留場利用依頼処理機能では、前記ユーザ情報に含まれる船舶情報と前記係留場情報に含まれる係留可能な空きスペースの情報を照合して、当該ユーザの所持する船舶が係留可能であると判定されることを、予約を受け付ける条件とし、
前記係留可能な空きスペースの情報について、予め定めた所定の係留区分に区分けして管理している場合に、1つの係留区分の大きさよりも大きい船舶サイズの船舶を所持するユーザのユーザ端末からの係留場利用依頼を受信したときは、
前記係留場利用依頼処理機能において、隣接する複数の係留区分を足し合わせることで当該ユーザの船舶を係留可能であると判定されることを、予約を受け付ける条件とする
船舶係留管理サーバ。
【請求項3】
前記ユーザ端末から緊急連絡を受信した場合に、当該ユーザ端末の現在位置の情報に基づいて近隣の係留場の係留場管理端末に対して緊急対応を要請する緊急通報を送信する緊急通報機能を備えた
請求項1
又は請求項2に記載の船舶係留管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係留場の利用可否の情報を船舶のユーザに提供し、ユーザによる係留場の予約、料金の支払い等を管理可能な船舶係留管理サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶の係留場における船舶の入港と出港を管理して係留場の利用状況を把握したいという要望がある。利用状況の管理は様々な手法が考えられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、人手を要さずに船舶の管理を行え、バースの追加・削除が容易であり、かつ船舶の詳しい情報を表示できる船舶管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、プレジャーボートやプレジャーヨットなどを含む船舶(浮揚性を有し、自力航行能力の有するもの)を使用する際、漁港、桟橋、河口などの近隣の係留可能施設に一時的に係留したいという要望がある。
【0006】
例えば、漁港などでは、使用許可を受ければ一時係留が認められる場所が多いようであるが、(1)使用許可の問い合わせ先が分からない、(2)係留してよい場所が分からない、(3)何れの係留方法であれば係留可能なのかが分からない、(4)入港してみないと係留可否が分からない、などの理由により、実際にはプレジャーボート等の船舶のユーザに十分に利用されているとは言い難い状況であった。
【0007】
結果として、プレジャーボート等の船舶のユーザは、係留可否の確認し易い民間マリーナや海の駅を利用することになり、使用したいという要望はあるにもかかわらず漁港などの他の係留可能施設が十分に利用されていないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、係留場の利用可否の情報を船舶のユーザに提供し、ユーザによる係留場の予約等を管理可能な船舶係留管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る船舶係留管理サーバは、船舶を係留する係留場の利用を管理するための船舶係留管理サーバであって、利用者であるユーザのユーザ端末との通信及び係留場の管理者が操作する係留場管理端末との通信を処理する通信処理機能と、利用可能な係留場ごとの係留場情報を管理する係留場情報管理機能と、利用するユーザごとのユーザ情報を管理するユーザ情報管理機能と、前記ユーザ端末から係留場照会依頼を受信した場合に、前記係留場情報管理機能によって管理している係留場情報の中から係留場照会依頼の条件に合致する係留場の情報を抽出して当該ユーザ端末に対して送信する係留場照会依頼処理機能と、前記ユーザ端末から係留場利用依頼を受信した場合に、当該係留場の利用の予約処理を完了させ、予約が完了した旨を当該ユーザ端末に送信し、予約があった旨及び予約内容を予約がされた当該係留場の係留場管理端末に対して送信する係留場利用依頼処理機能と
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る船舶係留管理サーバは、前記係留場情報は、係留可能な空きスペースの情報を少なくとも含み、前記ユーザ情報は、ユーザの所持する船舶について船名、船種、船体サイズの情報を含む船舶情報を少なくとも含み、前記係留場照会依頼処理機能では、前記ユーザ情報に含まれる船舶情報と前記係留場情報に含まれる係留可能な空きスペースの情報を照合して、当該ユーザの所持する船舶が係留可能な係留場を抽出する機能を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る船舶係留管理サーバは、前記係留可能な空きスペースの情報について、予め定めた所定の係留区分に区分けして管理している場合に、1つの係留区分の大きさよりも大きい船舶サイズの船舶を所持するユーザのユーザ端末からの係留場照会依頼を受信したときは、前記係留場照会依頼処理機能において、隣接する複数の係留区分を足し合わせることで当該ユーザの船舶を係留可能である係留場を、当該ユーザの所持する船舶が係留可能な係留場として抽出するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る船舶係留管理サーバは、前記係留場情報は、係留可能な空きスペースの情報を少なくとも含み、前記ユーザ情報は、ユーザの所持する船舶について船名、船種、船体サイズの情報を含む船舶情報を少なくとも含み、前記係留場利用依頼処理機能では、前記ユーザ情報に含まれる船舶情報と前記係留場情報に含まれる係留可能な空きスペースの情報を照合して、当該ユーザの所持する船舶が係留可能であると判定されることを、予約を受け付ける条件とすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る船舶係留管理サーバは、前記係留可能な空きスペースの情報について、予め定めた所定の係留区分に区分けして管理している場合に、1つの係留区分の大きさよりも大きい船舶サイズの船舶を所持するユーザのユーザ端末からの係留場利用依頼を受信したときは、前記係留場利用依頼処理機能において、隣接する複数の係留区分を足し合わせることで当該ユーザの船舶を係留可能であると判定されることを、予約を受け付ける条件とすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る船舶係留管理サーバは、前記ユーザ端末から緊急連絡を受信した場合に、当該ユーザ端末の現在位置の情報に基づいて近隣の係留場の係留場管理端末に対して緊急対応を要請する緊急通報を送信する緊急通報機能を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、今まで係留可否の確認方法が不明であったり確認が難しかったりした漁港などの係留場の情報を登録し、利用したいユーザの情報を登録し、ユーザの係留場照会依頼に応じて係留場の空き情報その他の必要な情報を提供し、ユーザが提供された情報に基づいて係留場の予約を実行できるようにしたので、今まで利用が進まなかった漁港等の係留場の利用が促進され、ユーザの方でも係留可否の確認を船舶係留管理サーバに対して行えばよくなるため利用が容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態における船舶係留管理システム100の構成の例を示すブロック図である。
【
図2】船舶係留管理サーバ10の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】ユーザが海上の船舶に乗船中の場合の船舶の現在位置及び周辺の係留場の位置を表した説明図である。
【
図4】ユーザ端末20において係留場照会依頼を行う場合の表示画面の一例を表した画面図である。
【
図5】係留場全体の様子を示すマップの一例を表した説明図である。
【
図6】船舶係留管理サーバ10における係留場の予約処理の流れを表したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照しながら、第1の実施の形態に係る寿命設定装置10の例について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における船舶係留管理システム100の構成の例を示すブロック図である。
図1に示すように、船舶係留管理システム100は、船舶係留管理サーバ10と、船舶の所有者であるユーザが使用するユーザ端末20,201~20m(mは任意の整数)と、各係留場の管理者が使用する複数の係留場管理端末30,301~30n(nは任意の整数)とを含む。なお、船舶係留管理システム100の構成はこれに限定されず、単一のユーザ端末を複数のユーザが使用する構成としてもよいし、複数のサーバを備える構成としてもよい。
【0018】
船舶係留管理サーバ10、複数のユーザ端末20,201~20m、及び、複数の係留場管理端末30,301~30nは、それぞれインターネットなどの通信ネットワーク40を介して相互に通信可能に接続されている。
【0019】
船舶係留管理サーバ10は、制御部や通信部などコンピュータとして各種処理を行うための一般的な機能を備えている。複数のユーザ端末20,201~20Nm、及び、複数の係留場管理端末30,301~30nは、それぞれ通信ネットワーク40に接続可能であればどのような種類の端末装置であってもよく、一般的なコンピュータの他、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0020】
図2は、船舶係留管理サーバ10の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、船舶係留管理サーバ10は、通信処理部11と、係留場情報管理部12と、ユーザ情報管理部13と、係留場照会依頼処理部14と、係留場利用依頼処理部15と、利用状態管理部16と、緊急通報処理部17とを備える。なお、この
図2の構成はあくまで一例であり、この
図2の構成を必ずしも全て備えている必要はない。また、船舶係留管理サーバ10は記憶手段(図示省略)を備えており、各部の処理の結果として生じたデータ等を記憶させる機能を有することはいうまでもない。
【0021】
通信処理部11は、複数のユーザ端末20,201~20Nm、及び、複数の係留場管理端末30,301~30nとの間で行うデータの送受信等の通信処理を行う機能を有する。
【0022】
係留場情報管理部12は、船舶係留管理システム100を用いて利用可能な各係留場の情報を管理する機能を有する。管理する係留場情報としては、係留場の所在地の位置情報、係留場の係留可能容量、係留可能な最大船舶サイズ、係留の際に採りうる係留方法の種類、利用料金の設定内容、現在係留中の船舶の情報、他の設備の有無の情報などが一例として挙げられる。なお、現在の係留可能な空きスペースの情報、現在係留中の船舶の使用時間の情報、予約状況の管理情報などについては、後述する利用状態管理部16において管理してもよいし、この係留場情報管理部12として管理するようにしてもよいし、また、係留場情報管理部12と利用状態管理部16の両方で管理するようにしてもよい。
【0023】
ユーザ情報管理部13は、船舶係留管理システム100を利用するユーザの情報を管理する機能を有する。管理するユーザ情報としては、ユーザの個人情報、ユーザの所持する船舶の登録番号(登録ID)、船名、船種、総トン数、船体の全長(船体サイズ)などの船舶情報、ユーザの所属するマリーナの情報、過去の船舶係留管理システム100の利用履歴などが一例として挙げられる。
【0024】
係留場照会依頼処理部14は、ユーザ端末20から係留場の情報の照会依頼を受信した場合に、係留場情報管理部12によって管理している係留場情報の中から照会依頼の条件に合致する係留場の情報を抽出して当該ユーザ端末20に対して送信する機能を有する。ユーザ端末20から係留場の情報の照会依頼としては、例えば、係留場を指定しての照会依頼、自治体を指定しての照会依頼、ユーザが船舶に乗船中の場合に船舶の現在位置からの所定範囲の距離に存在する係留場を検索する照会依頼などが考えられる。
【0025】
図3は、ユーザが海上の船舶に乗船中の場合の船舶の現在位置及び周辺の係留場の位置を表した説明図である。ユーザが船舶に乗船中に近隣の係留場に一時的に係留したいと考えた場合を想定すると、例えば、この
図3に示す位置がユーザの現在位置である場合、係留場を指定しての照会依頼とは、ユーザが知っている係留場を選択して、選択した係留場の情報を照会する場合が該当する。選択の方法としては、例えば、係留場の名称で検索をかけて選択する場合や、
図3のような地図データから選択する場合が考えられる。自治体を指定しての照会依頼とは、例えば、現在位置が大阪府の近くであることを認識しているユーザが大阪府に所在地を有する係留場という条件で照会を行う場合が該当する。船舶の現在位置からの所定範囲の距離に存在する係留場を検索する照会依頼とは、照会依頼を行う際にGPS情報などを用いて船舶の現在位置の情報も併せて送信することを前提として、ユーザの希望する距離に存在する係留場という条件で照会を行う場合が該当する。
【0026】
図4は、ユーザ端末20において係留場照会依頼を行う場合の表示画面の一例を表した画面図である。あくまで一例であるが、ユーザ端末20から係留場の照会依頼を行う場合には、船舶係留管理サーバ10においてユーザを特定するためのユーザID及び船舶情報が必要であるため、これらの情報を照会依頼に含める必要がある。また、係留場の空き状況が時間によって異なるので、ユーザが係留場の利用を開始したい日時を指定する情報が必要となる。また、そこから何時間利用する予定であるかを指定する情報も必要となる。そして、舶の現在位置からの所定範囲の距離に存在する係留場を検索する照会依頼の場合には、ユーザの希望する現在位置からの距離を指定する情報も必要となる。
図4では一例として5km以内が選択されている。また、係留場の利用料金についてユーザの希望がある場合には、それを選択する情報も必要となる。ユーザが実行可能な係留方法に限りがある場合や、希望する係留方法で係留したい場合には、係留方法を指定する情報も必要となる。
図4には図示していないが、自治体を指定する情報を同時に含めることもできる。
【0027】
例えば、
図3の位置にいるユーザがユーザ端末20において
図4の照会画面を用いて船舶係留管理サーバ10に対して照会依頼を行う際に、5km以内の距離であることを条件として検索を行った場合、
図3に一部例示として符号を付した漁港FH1~FH7のうち、FH4とFH5が5km以内の距離にある漁港に該当するとする。その場合には、FH4とFH5の漁港の情報を照会依頼に合致した係留場情報として船舶係留管理サーバ10からユーザ端末20に対して送信する。
【0028】
また、
図4の照会画面の一例において表示している船舶情報も、照会依頼に対する検索条件として使用することが好ましい。例えば、係留場の空きスペースに対して船舶サイズが大き過ぎる場合にはその係留場はユーザが係留できない係留場となるので、船舶サイズに基づく条件検索も同時に行われることが好ましい。そうでない場合には、検索条件として自船の船舶サイズをユーザが指定するフォームを設けるようにして検索に利用するようにしてもよい。
【0029】
なお、
図3の例のように海上から係留場を照会する場合に限らず、数日先の係留場の空き状況を事前に照会して予約を行うような場合にも係留場照会依頼が行われることはいうまでもない。
【0030】
係留場利用依頼処理部15は、ユーザ端末20から係留場利用依頼(予約の申し込み)を受信した場合に、係留場の利用の予約処理を完了させ、予約が完了した旨をユーザ端末20に送信し、また、予約があった旨及び予約内容を予約がされた該当係留場の係留場管理端末30に対して送信する機能を有する。係留場利用依頼は、利用したい係留場の指定、利用日時及び利用時間、係留する船舶情報など予め予約に必要な情報を含んだ利用依頼であるものとする。利用したい係留場の指定を含んだ係留場利用依頼がユーザ端末20から船舶係留管理サーバ10に対して送信された場合、この係留場利用依頼処理部15において、係留場情報管理部12によって管理している予約状況の管理情報を参照して、希望する係留場の予約が可能であるか否かを判断する。照会時には空きが存在したが予約時には空きが埋まってしまっている可能性もあり、予約不可である場合にはその旨をユーザ端末20に送信する。このとき、ユーザが実際に係留予定の船舶として申請してきた船舶情報を参照して、船舶サイズなどから空きスペースに対して係留可能であるか否かについても同時に判断する。
【0031】
予約可能であると判断した場合には、他の予約要件を満たしているか否かを判断して、満たしている場合に予約処理を実行する。予約処理は、係留場情報管理部12によって管理している予約状況の管理情報を更新して、指定された日時に予約が入ったことを登録する。予約が完了した場合には、当該ユーザ端末20に対して予約が完了した旨の通知を送信するとともに、予約された係留場に該当する係留場管理端末30に対して予約がなされたことの通知を送信する。
【0032】
係留場の利用の予約の可否の判断は運用上の予約要件の設定によって如何様にも設定可能であるが、例えば、事前の料金支払い完了を予約の要件の一つとしてもよい。係留場利用依頼を送信してきたユーザ端末20に対して料金の支払い方法を選択させ、クレジット決済、銀行振込、コンビニエンスストアなどにおける払込みなどの中からユーザの希望する支払い方法で料金の支払いを行う。例えば、料金の支払い完了が確認できるまでは仮予約として支払いの確認が完了した時点で正式な予約完了とするようにしてもよい。
【0033】
ユーザ端末20に対して予約が完了した旨の通知を行う際には、係留場所を指定する内容を含めるようにしてもよい。係留場所の指定はどのような方法であってもよいが、例えば、係留場全体の中から係留場所を指し示したマップのようなもので指定するようにしてもよい。
図5は、係留場全体の様子を示すマップの一例を表した説明図である。この
図5に示すように、係留場全体の係留場所に番号を付しておき、係留場所を指定する際に、例えば、「浮桟橋箇所の16番に係留して下さい。」といった説明とこの
図5に示すようなマップをユーザ端末20に対して送信するようにすれば、ユーザは初めて利用する係留場であっても迷うことなく係留場所を特定することが可能となる。
【0034】
利用状態管理部16は、係留場ごとに管理される情報として、現在の係留可能な空きスペースの情報、現在係留中の船舶の使用時間の情報、予約状況の管理情報などの予約に関連した情報を管理する機能を有する。また、船舶の予約時刻になった場合や、予約終了時刻になった場合に、その係留場の係留場管理端末30に対してその旨を通知する機能を持たせるようにしてもよい。また、係留場を利用するユーザのユーザ端末20からの通知、若しくは、係留場の管理者の係留場管理端末30からの通知などによって、係留場に船舶が係留を開始した時間や係留を終了して出発した時間などを受信するようにすることで、ユーザの船舶が実際に係留場に係留している時間を管理する機能を持たせるようにしてもよい。また、漁港が空きスペースの一部を係留場として開放するような場合には、常に一般ユーザに提供できるとは限らず、漁船を係留する期間はサービスを提供できないことになる。よって、係留場管理端末30からの空き状況の変化に関する通知を受信して、現在の係留可能な空きスペースの情報を随時更新する機能を持たせるようにしてもよい。
【0035】
緊急通報処理部17は、船舶係留管理システム100を利用するユーザ端末20から緊急連絡(燃料切れ、エンジントラブル、病気や怪我など)を受け付け、必要な緊急対応を近隣の係留場に対して要請する機能を有する。必要な対応を行うために、緊急連絡を行った船舶に近い少なくとも1つの係留場管理端末30に対して緊急連絡があった旨を通知し、係留場の管理者から状況の連絡、病院の手配、救急の通報、海上保安庁への通報などの緊急対応を行うようにしてもよい。また、近隣の係留場に緊急対応を要請する場合に限らず、船舶係留管理システム100の管理者が緊急対応を行うための人員を確保しておいて、船舶係留管理システム100の管理側で緊急対応を行うようにしてもよい。
【0036】
図6は、船舶係留管理サーバ10における係留場の予約処理の流れを表したフローチャート図である。係留場の予約処理は、ユーザ端末20からの係留場照会依頼を受信することで開始される(ステップS01)。受信した係留場照会依頼によって指定された条件に基づいて、条件に合致する係留場の情報をユーザ端末20に対して送信する(ステップS02)。条件に合致する係留場の情報を得たユーザは、予約する一つの係留場を決定することになる。そして、予約する一つの係留場を指定した係留場利用依頼をユーザ端末20から受信する(ステップS03)。次に、受信した係留場利用依頼の内容に基づいて予約処理を実行する(ステップS04)。予約処理には、予め設定した予約要件に基づく予約の可否の判断も含まれ、予約できないという判断の場合にはその旨をユーザ端末に送信する必要がある。予約要件を満たして予約可能である場合には、予約完了した旨の通知をユーザ端末20に対して送信する(ステップS05)。そして、予約がなされた旨及び予約内容を該当する係留場の係留場管理端末30に対して送信して(ステップS06)、係留場の予約処理を終了する。
【0037】
このようにして船舶係留管理システム100をユーザが使用する際の料金徴収の仕組みはどのようなものであってもよいが、予約時に事前に支払う仕組みとし、船舶係留管理システム100のシステム管理者において料金を徴収して、これを実際に使用される係留場の管理者にシステム管理者が使用料分を渡すようにしてもよい。このような構成とすることで、係留場において料金徴収のための人員の配置や支払機等を配置する必要がなく、係留場が船舶係留管理システム100に加入する際のイニシャルコストを低減することが可能となる。
【0038】
以上のように、本発明に係る船舶係留管理システム100によれば、今まで係留可否の確認方法が不明であったり確認が難しかったりした漁港などの係留場の情報を船舶係留管理システム100において登録し、船舶係留管理システム100を利用したいユーザの情報を登録し、ユーザの係留場照会依頼に応じて係留場の空き情報その他の必要な情報を提供し、ユーザが提供された情報に基づいて係留場の予約を実行できるようにしたので、今まで利用が進まなかった漁港等の係留場の利用が促進され、ユーザの方でも係留可否の確認を船舶係留管理システム100に対して行えばよくなるため利用が容易になるという効果がある。
【0039】
[第2の実施の形態]
前記第1の実施の形態において、例えば
図5に示すように、各係留場における空きスペースを予め定めた所定の係留区分に区分けして管理する場合があることについて説明した。
図5の例では、所定の大きさの係留区分に区分けするとともに係留区分に対して番号を付すことで、ユーザに対する係留箇所の連絡を容易にしている。1つの係留区分の大きさをどのように設定して区分けするかについては係留場ごとに定めるか、船舶係留管理システム100において推奨する係留区分の大きさを定めるようにしてもよい。
【0040】
このように、各係留場における空きスペースを予め定めた所定の係留区分に区分けして管理している状況において、1つの係留区分の大きさよりも大きい船舶サイズの船舶を所持するユーザのユーザ端末20からの係留場照会依頼を受信する場合がある。そのとき、係留場照会依頼処理部14において、隣接する複数の係留区分を足し合わせることで当該ユーザの船舶を係留可能である係留場を、当該ユーザの所持する船舶が係留可能な係留場として抽出するようにしてもよい。
【0041】
隣接する複数の係留区分を足し合わせることで当該ユーザの船舶を係留可能である係留場とは、隣接する係留区分の間に物理的な障害物が設置されていないことが条件となるため、この条件を係留可能であるか否かの判定に用いる。具体的には、係留区分の間にYブームによる仕切りがなされている場合や、係留区分の間に係留用ポールが設置されていて大きな船舶を係留できない場合などは隣接する複数の係留区分を足し合わせることができない状況となる。
【0042】
当然ながら、係留場照会依頼を受信した場合に限らず、係留場利用依頼を受信した場合においても同様に、係留場利用依頼処理部15において、隣接する複数の係留区分を足し合わせることで当該ユーザの船舶を係留可能であると判定されることを、1つの係留区分の大きさよりも大きい船舶サイズの船舶の予約を受け付ける条件とすることができる。
【0043】
このように、係留区分の大きさよりも大きい船舶サイズの船舶について係留場照会依頼や係留場利用依頼があった場合であっても、予めユーザの所持する船舶について船名、船種、船体サイズの情報をユーザ情報として登録しておき、また、係留可能な空きスペースの情報と隣接する係留区分の間に物理的な障害物が設置されていないことを係留場情報として登録しておくことで、隣接する係留区分を足し合わせれば係留可能であるという判定を行うことが可能となるため、船舶の大きさに応じた柔軟な処理を実行することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
100 船舶係留管理システム
10 船舶係留管理サーバ
11 通信処理部
12 係留場情報管理部
13 ユーザ情報管理部
14 係留場照会依頼処理部
15 係留場利用依頼処理部
16 利用状態管理部
17 緊急通報処理部
20、201~20m ユーザ端末
30、301~30n 係留場管理端末
40 通信ネットワーク