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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】履歴管理システム、履歴管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/17 20190101AFI20220210BHJP
   G06F 16/23 20190101ALI20220210BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20220210BHJP
【FI】
G06F16/17 200
G06F16/23
G06Q50/16 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017213616
(22)【出願日】2017-11-06
(65)【公開番号】P2019086941
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 大祐
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-213051(JP,A)
【文献】特開2006-350482(JP,A)
【文献】特開2003-150228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の旧オブジェクトを指定して、前記1または複数の旧オブジェクトの統合または分割により1または複数の新オブジェクトを生成する指示を取得する指示取得手段と、
オブジェクトを示すオブジェクト情報と、前記オブジェクトを前記新オブジェクトとして生成する指示を識別する情報である第1識別情報と、前記オブジェクトを前記旧オブジェクトとして指定する指示を識別する第2識別情報と、を含むレコードを複数記憶する記憶手段と、
前記指示が取得される場合に、前記新オブジェクトとして生成されるオブジェクトを示すオブジェクト情報と、当該指示を識別する情報が設定される第1識別情報と、を含むレコードを新たに前記記憶手段に格納し、前記指示により前記旧オブジェクトとして指定されるオブジェクトを示すオブジェクト情報を含むレコードの第2識別情報に当該指示を識別する情報を設定するレコード更新手段と、
前記複数のレコードのうち一つが選択される場合に、前記選択されたレコードに含まれる前記第1または第2識別情報と同じ情報が前記第2または第1識別情報として設定された前記レコードを検索し、前記検索されたレコードに基づいて情報を出力する履歴検索手段と、
を含む履歴管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の履歴管理システムにおいて、
前記レコード更新手段は、前記指示が取得される場合に、前記新オブジェクトとして生成されるオブジェクトを示すオブジェクト情報と、当該指示を識別する情報が設定される第1識別情報と、所定の値が設定される第2識別情報と、を含むレコードを新たに前記記憶手段に格納し、前記指示により前記旧オブジェクトとして指定されるオブジェクトを示すオブジェクト情報を含むレコードの第2識別情報に当該指示を識別する情報を設定する、
履歴管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の履歴管理システムにおいて、
前記オブジェクトは土地であり、
前記オブジェクト情報は、土地の地番を含み、
前記指示は、土地の分筆または合筆のイベントを含む、
履歴管理システム。
【請求項4】
1または複数の旧オブジェクトを指定して、前記1または複数の旧オブジェクトの統合または分割により1または複数の新オブジェクトを生成する指示を取得する指示取得手段、
オブジェクトを示すオブジェクト情報と、前記オブジェクトを前記新オブジェクトとして生成する指示を識別する情報である第1識別情報と、前記オブジェクトを前記旧オブジェクトとして指定する指示を識別する第2識別情報と、を含むレコードを複数記憶する記憶手段、
前記指示が取得される場合に、前記新オブジェクトとして生成されるオブジェクトを示すオブジェクト情報と、当該指示を識別する情報が設定される第1識別情報と、を含むレコードを新たに前記記憶手段に格納し、前記指示により前記旧オブジェクトとして指定されるオブジェクトを示すオブジェクト情報を含むレコードの第2識別情報に当該指示を識別する情報を設定するレコード更新手段、および、
前記複数のレコードのうち一つが選択される場合に、前記選択されたレコードに含まれる前記第1または第2識別情報と同じ情報が前記第2または第1識別情報として設定された前記レコードを検索し、前記検索されたレコードに基づいて情報を出力する履歴検索手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履歴管理システム、履歴管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば土地登記の異動のように、更新がなされる情報がある。一方、何らかの報告や調査の際に、更新前の情報(履歴)の参照が必要になるケースがある。この更新前の情報を参照するために、履歴のデータを保存することが行われている。
【0003】
特許文献1には、登記所が作成するCSV形式の登記済通知書データを、システムに取り込むためのデータ変換システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-218433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば土地や企業の組織のように、分割や統合が盛んに行われるオブジェクトがある。一般的にはオブジェクト自体に付与されるIDにより識別されるが、分割や統合が行われるオブジェクトの場合、現在のオブジェクトとその元となる過去のオブジェクトとで異なるIDを付与する必要があるため、IDに関連付けて履歴情報を格納するだけでは現在の情報と過去の情報との関係がわからなくなり、過去の異動履歴情報を簡単に把握することができない。そもそも、特許文献1に記載の方法では履歴情報を管理していないため、何世代も前の履歴を確認することは難しい。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、分割や統合がなされるオブジェクトの情報の過去を確実に把握することが可能な履歴管理システム、履歴管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)1または複数の旧オブジェクトを指定して、前記1または複数の旧オブジェクトの統合または分割により1または複数の新オブジェクトを生成する指示を取得する指示取得手段と、オブジェクトを示すオブジェクト情報と、前記オブジェクトを前記新オブジェクトとして生成する指示を識別する情報である第1識別情報と、前記オブジェクトを前記旧オブジェクトとして指定する指示を識別する第2識別情報と、を含むレコードを複数記憶する記憶手段と、前記指示が取得される場合に、前記新オブジェクトとして生成されるオブジェクトを示すオブジェクト情報と、当該指示を識別する情報が設定される第1識別情報と、を含むレコードを新たに前記記憶手段に格納し、前記指示により前記旧オブジェクトとして指定されるオブジェクトを示すオブジェクト情報を含むレコードの第2識別情報に当該指示を識別する情報を設定するレコード更新手段と、前記複数のレコードのうち一つが選択される場合に、前記選択されたレコードに含まれる前記第1または第2識別情報と同じ情報が前記第2または第1識別情報として設定された前記レコードを検索し、前記検索されたレコードに基づいて情報を出力する履歴検索手段と、を含む履歴管理システム。
【0008】
(2)(1)において、前記レコード更新手段は、前記指示が取得される場合に、前記新オブジェクトを示す情報と、当該指示を識別する情報が設定される第1識別情報と、所定の値が設定される第2識別情報と、を含む新たなレコードを生成し前記記憶手段に格納し、前記指示における前記旧オブジェクトを示す情報を前記オブジェクト情報として含むレコードの第2識別情報に当該指示を識別する情報を設定する、履歴管理システム。
【0009】
(3)(1)または(2)において、前記オブジェクトは土地であり、前記オブジェクト情報は、土地の地番を含み、前記指示は、土地の分筆または合筆のイベントを含む、履歴管理システム。
【0010】
(4)1または複数の旧オブジェクトを指定して、前記1または複数の旧オブジェクトの統合または分割により1または複数の新オブジェクトを生成する指示を取得する指示取得手段、オブジェクトを示すオブジェクト情報と、前記オブジェクトを前記新オブジェクトとして生成する指示を識別する情報である第1識別情報と、前記オブジェクトを前記旧オブジェクトとして指定する指示を識別する第2識別情報と、を含むレコードを複数記憶する記憶手段、前記指示が取得される場合に、前記新オブジェクトとして生成されるオブジェクトを示すオブジェクト情報と、当該指示を識別する情報が設定される第1識別情報と、を含むレコードを新たに前記記憶手段に格納し、前記指示により前記旧オブジェクトとして指定されるオブジェクトを示すオブジェクト情報を含むレコードの第2識別情報に当該指示を識別する情報を設定するレコード更新手段、および、前記複数のレコードのうち一つが選択される場合に、前記選択されたレコードに含まれる前記第1または第2識別情報と同じ情報が前記第2または第1識別情報として設定された前記レコードを検索し、前記検索されたレコードに基づいて情報を出力する履歴検索手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態にかかる異動情報管理システムのハードウェア構成を示す図である。
図2】異動情報管理システムを構成する機能を示すブロック図である。
図3】合筆、分筆の例を説明する図である。
図4】異動情報管理システムの入力処理の概要を示すフロー図である。
図5】異動情報を入力する画面の一例を示す図である。
図6】契機情報テーブルに格納される情報の一例を示す図である。
図7】土地情報テーブルに格納される情報の一例を示す図である。
図8A】土地情報テーブルに格納される情報の変化の一例を示す図である。
図8B】土地情報テーブルに格納される情報の変化の一例を示す図である。
図8C】土地情報テーブルに格納される情報の変化の一例を示す図である。
図8D】土地情報テーブルに格納される情報の変化の一例を示す図である。
図8E】土地情報テーブルに格納される情報の変化の一例を示す図である。
図9】土地情報の閲覧処理の概要を示すフロー図である。
図10】土地情報表示画面の一例を示す図である。
図11】土地情報の履歴閲覧処理を示すフロー図である。
図12】履歴閲覧画面の一例を示す図である。
図13】組織契機テーブルの一例を示す図である。
図14】組織テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。出現する構成要素のうち同一機能を有するものには同じ符号を付し、その説明を省略する。以下では、履歴を管理するシステムとして、管理の対象が土地であり、扱うデータが土地の登記情報である異動情報管理システムについて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態にかかる異動情報管理システムのハードウェア構成を示す図である。異動情報管理システムは、サーバ1とクライアント装置2とを含む。サーバ1は、サーバコンピュータであり、プロセッサ11、記憶部12、通信部13、入出力部14を含む。サーバ1は、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)のプログラムを実行し、クライアント装置2からの要求に応じてデータの検索や更新、追加を行う。
【0014】
クライアント装置2は、例えばパーソナルコンピュータであり、プロセッサ21、記憶部22、通信部23、入出力部24を含む。クライアント装置2は、ユーザが入力した情報に基づく要求をサーバ1に送信し、サーバ1から応答を受信し、その応答に応じた画像を表示出力デバイスが表示するよう制御する。
【0015】
プロセッサ11,21は、それぞれ記憶部12,22に格納されているプログラムに従って動作する。またプロセッサ11,21はそれぞれ通信部13,23を制御し、入出力部14,24に接続されたデバイスを制御する。なお、上記プログラムは、インターネット等を介して提供されるものであってもよいし、フラッシュメモリやDVD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0016】
記憶部12,22は、RAMやフラッシュメモリ等のメモリ素子やハードディスクドライブによって構成されている。記憶部12,22は、上記プログラムを格納する。また、記憶部12,22は、各部から入力される情報や演算結果を格納する。
【0017】
通信部13,23は、他の装置と通信する機能を実現するものであり、例えば有線LANの集積回路などにより構成されている。通信部13,23は、それぞれプロセッサ11,21の制御に基づいて、他の装置との間で情報を送受信する。また通信部13,23は、受信された情報をプロセッサ11,21や記憶部12,22に入力する。通信部13と通信部23とは、例えばLANにより接続されている。
【0018】
入出力部14,24は、表示出力デバイスをコントロールするビデオコントローラや、入力デバイスからのデータを取得するコントローラなどにより構成される。入力デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパネルなどがある。入出力部14,24は、それぞれプロセッサ11,21の制御に基づいて、表示出力デバイスに表示データを出力し、入力デバイスをユーザが操作することにより入力されるデータを取得する。表示出力デバイスは例えば外部に接続されるディスプレイ装置である。
【0019】
次に、本発明の実施形態にかかる履歴管理システムが実現する機能や処理について説明する。図2は、異動情報管理システムを構成する機能を示すブロック図である。異動情報管理システムは機能的に、異動情報取得部51、情報変更部52、最新情報検索部56、履歴情報検索部57、契機情報テーブル61、土地情報テーブル62を含む。情報変更部52は、契機情報追加部53、土地情報変更部54を含む。
【0020】
契機情報テーブル61、土地情報テーブル62は、サーバ1のプロセッサ11が記憶部12に格納されたRDBMSのプログラムを実行することにより実現される。契機情報テーブル61、土地情報テーブル62のデータの実体は、記憶部12に格納される。異動情報取得部51、情報変更部52、最新情報検索部56、履歴情報検索部57は、クライアント装置2のプロセッサ21が記憶部22に格納されたプログラムを実行し、必要に応じて通信部23や入出力部24を制御することにより実現される。なお、異動情報取得部51、情報変更部52、最新情報検索部56、履歴情報検索部57は、サーバ1がプログラムを実行することにより実現されてもよい。例えば、情報変更部52、最新情報検索部56、履歴情報検索部57の処理の一部がサーバ1に格納されたストアドプロシジャをRDBMSを介して実行することで実現されてもよいし、サーバ1が異動情報取得部51、情報変更部52、最新情報検索部56、履歴情報検索部57の機能を実現するプログラムを実行し、その入力データや表示データをクライアント装置2のブラウザプログラムとやりとりしてもよい。以下では、クライアント装置2により異動情報取得部51、情報変更部52、最新情報検索部56、履歴情報検索部57の処理がされるものとして説明する。
【0021】
契機情報テーブル61は、管理の対象である土地(オブジェクト)に関する指示情報(契機情報)を格納する。指示情報は、土地の異動のイベントに応じた指示の情報である。土地情報テーブル62は、土地についての情報である土地情報を格納する。土地情報テーブル62のレコードには、土地情報と、前契機ID(第1識別情報)と、後契機ID(第2識別情報)とが格納される。土地情報は、その土地の存在する区市町村、大字および字と、地番と、地積(面積)と、所有者と、を含む。地番は、その土地を、同じ区市町村、大字および字を有する現在の土地のなかで一意に識別する情報である。地目は、土地の用途を示す情報である。前契機ID、後契機IDについては後述する。
【0022】
異動情報取得部51は、管理の対象である土地の変更を示す異動情報を取得する。異動情報は、土地の所有に関する変化を示す情報である。異動情報は、土地の分筆(分割)または合筆(統合)のイベントがあったことを示す情報、土地の取得または売却のイベントがあった情報、地積(土地の面積)のイベントが修正されたことを示す情報のいずれかを含む。
【0023】
土地の合筆(統合)または分筆(分割)のイベントは、1または複数の変更前の土地(旧オブジェクト)を指定して、1または複数の変更前の土地の統合または分割により1または複数の変更後の土地(新オブジェクト)を生成するものである。図3は、合筆、分筆の例を説明する図である。図3に示される箱のそれぞれは土地に対応し、箱の中に書かれた文字列はその土地の地番を示している。図3の例は、地番がそれぞれ17-1、17-6、20-2である3つの隣接する土地が合筆により地番が17-1である1つの土地に統合されたこと、そして合筆により生まれた地番17-1の土地が分筆により地番がそれぞれ17-1、17-6、17-7、17-8である4つの土地に分割されたことを示している。この場合、例えば地番17-1は図3の中で合筆前と分筆後に現れているが、分筆の仕方によっては意味する場所が全く異なることもありうる。
【0024】
情報変更部52は、土地情報テーブル62に格納された変更前の1または複数の土地についての土地情報を異動情報と関連付け、異動情報に基づいて新たな土地情報を生成し、新たな土地情報を異動情報と関連付けて記憶させる。より具体的には、契機情報追加部53は、契機情報に、その契機情報を識別する識別情報としての契機IDを付与し、契機情報と契機IDとを含むレコードを契機情報テーブル61に追加する。ここで、契機情報は異動情報の少なくとも一部であり、異動情報は例えば、契機情報と、更新前の最新の土地情報を示す情報と、土地情報の変更箇所と、更新後の新たな土地情報とを含む。契機情報と異動情報とは1対1で対応するので、契機IDにより異動情報も識別される。土地情報変更部54は、土地情報テーブル62に格納された変更前の土地の土地情報を含むレコードの後契機IDに契機IDを設定し、異動情報による変更後の土地について生成された土地情報と、契機IDが設定された前契機IDとを含む新たなレコードを土地情報テーブル62に追加する。前契機IDは変更後の土地としてこの土地情報が示す土地が生成されるイベントに対応する契機情報の識別情報であり、後契機IDは変更前の土地として土地情報が示す土地が指定されるイベントであって、この土地情報の次の世代の土地情報が生成されるイベントに対応する契機情報の識別情報である。
【0025】
最新情報検索部56は、土地情報テーブル62から土地情報(土地情報テーブル62に格納されたレコード)を取得し、表示出力デバイスに取得された情報を出力させる。
【0026】
履歴情報検索部57は、最新情報検索部56により取得された土地情報に関連付けられかつその土地情報の生成の契機となった異動情報を示す情報を取得し、その異動情報に関連付けられた前世代の土地情報を取得する。より具体的には、履歴情報検索部57は、最新情報検索部56により取得された土地情報のレコードに含まれる前契機IDと同じ値が設定された後契機IDを含む土地情報のレコードを取得する。また取得された履歴情報検索部57は取得された情報を出力し、その情報を表示出力デバイスに表示させる。
【0027】
以下では、異動情報管理システムの処理についてさらに詳細に説明する。図4は、異動情報管理システムの入力処理の概要を示すフロー図であり、主に異動情報取得部51および情報変更部52の機能を実現するための処理を説明する図である。
【0028】
はじめに、異動情報取得部51は、ユーザにより入力された異動情報を取得する(ステップS101)。異動情報は、更新前の最新の土地情報を示す情報と、土地情報の変更箇所と更新されるデータとを含む。
【0029】
図5は、異動情報を入力する画面の一例を示す図である。図5の例は、土地を分筆する異動情報を入力する画面である。図5の例では、変更対象表示部42に示される、分筆の対象となる土地の異動について、ユーザがこの異動情報を入力する契機となったイベントを示す情報である契機情報を契機情報入力部41に入力し、分筆後の土地の土地情報を変更内容入力部43に入力する。分筆の対象となる土地の土地形状は地図欄35に表示され、またユーザは変更後の土地形状(地図情報)も入力する。
【0030】
確定ボタン47が押下されると、異動情報取得部51は、契機情報、変更の対象となる土地情報の土地ID、分筆後の土地のそれぞれの地番や面積、形状の情報を含む異動情報を取得する。また、土地の合筆の場合は、異動情報取得部51は、契機情報、変更の対象となる複数の土地情報の土地ID、合筆後の土地の地番や面積、形状の情報を含む異動情報を取得する。土地の所有者や面積等の項目の変更の場合は、異動情報取得部51は、契機情報、変更の対象となる土地情報の土地ID、変更される項目の変更後の値を含む異動情報を取得する。
【0031】
異動情報が取得されると、情報変更部52に含まれる契機情報追加部53は、異動情報の一部である契機情報に識別情報である契機IDを付与し、契機情報テーブルに契機IDと契機情報とを含むレコードを新たに格納する(ステップS102)。
【0032】
図6は、契機情報テーブル61に格納される情報の一例を示す図である。契機情報テーブル61には、契機IDと、契機情報としての異動種別、登記受付日、事業名称、決裁日、決裁番号、契約日、金額、担当者を含む契機情報とを含むレコードが登録されている。登記受付日は、契機情報が示す土地の異動が行われた日である。異動種別における分筆登記は土地の分筆についての異動であることを示し、合筆登記は土地の合筆についての異動であることを示し、地積更正登記は土地の地積の更正についての異動であることを示す。なお、図6におけるレコードに対応する異動は、上から順に発生しているものとする。
【0033】
次に、情報変更部52に含まれる土地情報変更部54は、土地情報テーブル62に、前契機IDに契機情報の契機IDが設定された土地情報のレコードを新たに格納する(ステップS103)。そして、土地情報変更部54は、異動情報が示す変更前の土地情報のレコードに含まれる後契機IDに契機IDを設定する(ステップS104)。
【0034】
図7は、土地情報テーブル62に格納される情報の一例を示す図である。土地情報テーブル62には、それぞれが土地ID、区市町村、大字、字、地番、地目、地積、所有者、前契機ID、後契機IDを含む1または複数の土地情報のレコードが格納される。なお、土地情報は、土地の登記に関連する他の情報を含んでもよい。例えば、土地情報は土地の地形を示す地図情報や備考といった情報も含んでよい。土地情報変更部54は、異動情報が示す変更の対象となる土地情報のレコードから変更前の土地情報を取得し、異動情報による変更を反映し、変更が反映された1または複数の土地情報のレコードを土地情報テーブル62に新たに格納する。なお、土地情報変更部54は変更前の土地情報のレコードの後契機IDを更新するが、土地情報のレコードそのものは削除しない。またステップS103およびS104の処理は反対の順序で行われてもよいし、ステップS102の処理のうち契機情報テーブルにレコードを格納する処理がステップS103またはステップS104の後に行われてもよい。後者の場合では、ステップS102からS104の処理が一連のトランザクションとして処理されるとよい。
【0035】
ステップS102からステップS104の処理が終わると、情報変更部52は、異動情報に基づく、土地情報等の変更の結果について表示出力デバイスに出力する(ステップS105)。
【0036】
以下では、土地情報テーブル62のデータの追加・更新の具体例についてさらに説明する。図8A~8Eは、土地情報テーブルに格納される情報の変化の一例を示す図である。図8Aから図8Eは、図7に示される土地情報テーブル62に対して、図6に示される契機情報に従った土地の異動があった場合の例を順に示している。図8Aから図8Eは土地情報テーブル62に格納されるレコードのうち、追加または変更があったレコードのみ示しており、その変更または追加箇所は、一点鎖線で囲まれている。
【0037】
図8Aは、契機情報テーブル61の契機ID10の契機情報について土地の分筆登記が行われた例を示す。図8Aからわかるように、分筆登記の場合には、土地情報変更部54は分筆の元となった土地の土地情報のレコード(土地IDが1000のレコード)の後契機IDにこの分筆の登録の契機となる契機情報の契機ID(10)を設定し、それぞれ分筆された土地を示す複数の土地情報のレコード(土地IDが1001から1004のレコード)を追加する。
【0038】
ここで土地情報変更部54は追加される土地情報のレコードの後契機IDには初期値として0を設定する。RDBMSでは一般的に、項目にNULLを設定し、さらにその項目にB木のインデックスを設定する場合、項目にNULLが設定されたレコードを検索する際にインデックスを用いることができない。後契機IDにNULLの代わりに0を設定し、後契機IDについてインデックスを作成することで、最新の土地情報を高速に検索することが可能になる。もちろん、土地情報変更部54は、0の代わりに、契機IDと重複しない他の固定値を後契機IDの初期値として設定してもよい。
【0039】
図8Bは、契機情報テーブル61の契機ID11の契機情報について土地の合筆登記が行われた例を示す。図8Bからわかるように、合筆登記の場合には、土地情報変更部54は合筆の元となった複数の土地の土地情報のレコード(土地IDが1004、1010、1011のレコード)の後契機IDに土地情報の合筆の登録の契機となる契機情報の契機ID(11)を設定し、合筆された土地を示す土地情報のレコード(土地IDが1015のレコード)を追加する。
【0040】
図8Cは、契機情報テーブル61の契機ID12の契機情報について土地の取得が行われた例を示す。図8Cの例では、取得された土地の以前の情報は管理対象外となっており、土地情報変更部54は取得された土地を示す土地情報のレコードを追加する。
【0041】
図8Dは、契機情報テーブル61の契機ID13の契機情報について土地の売却が行われた例を示す。図8Dの例では、売却後の土地は管理対象外となっており、土地情報変更部54は売却する土地の土地情報のレコード(土地IDが1020、1003、1025のレコード)の後契機IDに売却の契機となる契機情報の契機ID(13)を設定し、新たな土地情報のレコードは追加しない。
【0042】
図8Eは、契機情報テーブル61の契機ID14の契機情報について土地の地積が更正された例を示す。図8Eの記載からわかるように、土地の属性(ここでは地積)が修正される場合には、土地情報変更部54は修正対象となる土地の土地情報のレコード(土地IDが1015のレコード)の後契機IDに修正の契機となる契機情報の契機ID(14)を設定し、修正対象となる地積の項目に修正後の値が設定され、他の項目に修正前の土地情報のレコードの値が設定された土地情報のレコード(土地IDが1030のレコード)を追加する。
【0043】
このように、土地情報の過去のレコードを残しつつ、土地情報の各レコードとその土地情報を生成する異動の契機情報、またその土地情報を過去のものにする異動の契機情報とを関連付けることで、例えば分筆や合筆が繰り返され、ある世代の土地情報と次世代の土地情報とが多対多の関係となりうる状況であっても、現在の土地情報の何世代も前の状況をその異動の契機となった情報と共に確実に検索することができる。
【0044】
以下では、契機情報テーブル61や土地情報テーブル62に格納された情報を閲覧する処理の詳細について説明する。図9は、土地情報の閲覧処理の概要を示すフロー図であり、最新情報検索部56が最新の土地情報の一覧を表示出力デバイスに表示させる処理を示している。
【0045】
はじめに、最新情報検索部56は、土地情報テーブル62から、後契機IDに初期値である0が設定されているレコードを取得する(ステップS201)。また、最新情報検索部56は、区市町村などの他の項目の検索条件を満たしかつ後契機IDに初期値である0が設定されているレコードを取得してもよい。そして、レコードが取得されると、最新情報検索部56は、取得された1または複数のレコードのリストを表示出力デバイスに表示させる(ステップS202)。
【0046】
図10は、土地情報表示画面の一例を示す図である。図10について、最新情報検索部56は一覧表示部31に取得されたレコードの土地情報のリストを表示させる。また、被選択行32のように一覧表示部31に表示された土地情報のうち1つが選択されると、最新情報検索部56は地図欄35にその土地情報の地形を表示させ、また移動履歴ボタン36、分筆ボタン37等の押下を可能にする。なお、分筆ボタン37が押下されると図5の画面に遷移するなど、土地情報表示画面から土地情報の変更をする画面へ遷移できる。また異動履歴ボタン36が押下されると、履歴情報検索部57は選択された土地情報について、以下で説明する処理を行う。
【0047】
図11は、土地情報の履歴閲覧処理の概要を示すフロー図であり、履歴情報検索部57が、選択された土地情報のより過去の土地情報を表示出力デバイスに表示させる処理を示している。
【0048】
はじめに、履歴情報検索部57は、履歴を表示する対象として選択された土地情報のレコードから前契機IDを取得する(ステップS251)。
【0049】
次に、履歴情報検索部57は、土地情報テーブル62から、後契機IDに、ステップS251で取得された前契機IDと同じ値が設定されている1または複数のレコードを取得する(ステップS252)。そして、履歴情報検索部57は、取得された土地情報テーブル62のレコードに基づいて、選択された土地情報と、選択された土地情報の1世代前の土地情報との一覧を表示出力デバイスに出力させる(ステップS253)。
【0050】
また、履歴情報検索部57は、ステップS253で一覧表示された土地情報のうち選択された土地情報のレコードの前契機IDを取得する。また、履歴情報検索部57は、契機情報テーブル61から、契機IDの項目にその取得された前契機IDと同じ値が設定されたレコード(契機情報)を取得し、土地情報テーブル62から、取得された前契機IDと同じ値が前契機IDまたは後契機IDに設定されたレコードを取得する(ステップS254)。そして、取得された土地情報テーブル62のレコードおよび取得された契機情報テーブル61のレコードに含まれるデータに基づいて、表示出力デバイスに選択された土地情報にかかわる異動情報を出力させる(ステップS255)。なお、ステップS254の処理は、土地情報の履歴を契機情報とともに表示させるための処理である。なお、ステップS251からS255の処理は、履歴として表示された土地情報が選択されるごとに処理されてもよいし、再帰的に実行されてもよい。
【0051】
図12は、履歴閲覧画面の一例を示す図である。履歴情報検索部57は、履歴一覧表示部75に、対象として選択された土地情報と、その1世代前の土地情報との一覧を表示させる。また、履歴情報検索部57は、契機情報表示部71には取得された契機情報テーブル61のレコードのデータを表示させ、変更前情報表示部72には後契機IDに契機情報の契機IDと同じ値が設定された土地情報テーブル62のレコードのデータを表示させ、変更後情報表示部73には前契機IDに契機情報の契機IDと同じ値が設定されたレコードのデータを表示させる。また履歴異動ボタン76が押下されると、履歴情報検索部57は変更前情報表示部72に表示される土地情報のレコードのいずれかについてステップS251以降の処理を実行する。また、また履歴異動ボタン77が押下されると、履歴情報検索部57は変更後情報表示部73に表示される土地情報のレコードのうちユーザが選択した土地情報のレコードについてステップS251以降の処理を実行する。
【0052】
このように、土地情報のレコードに前契機IDと後契機IDとの項目を設け、その生成や次世代の土地情報の生成にかかわる契機IDを設定することで、最新の土地情報を検索することを容易にし、過去の数世代にわたる異動を確実に確認することができる。また、履歴情報検索部57は、例えば異動の時期を示す登記受付日を検索条件として契機情報テーブル61のレコードを検索し、そのレコードに格納された契機IDの値が前契機IDまたは後契機IDに設定された土地情報テーブル62のレコードを取得してもよい。これにより、特定の期間における異動履歴の一覧を出力することができる。また、登記受付日の代わりに異動種別や契約日、担当者などの契機情報テーブル62の他の項目を検索条件として契機情報テーブル61のレコードおよび土地情報テーブル62のレコードを取得してもよい。これにより、特定の期間に売却された土地の一覧や、特定の担当者が関わった異動の一覧を出力することも可能になる。
【0053】
なお、履歴情報検索部57は、ある土地情報において指定された位置と重なる過去の土地の土地情報を取得してもよい。より具体的には、土地情報テーブル62に地図情報の項目を追加し、履歴情報検索部57は、後契機IDに契機情報の契機IDと同じ値が設定されたレコードのうち、地図情報に格納される土地の地形が、指定された位置と重なるものを検索し、検索された土地情報のレコードを検索結果として出力してよい。
【0054】
これまでに、履歴を管理するシステムとして、オブジェクトの例として土地を用い、土地の登記情報を扱う異動情報管理システムについて説明してきたが、システムが扱う情報は土地の異動情報には限られない。履歴を管理するシステムは、例えば、土地の異動情報の代わりに、オブジェクトの例として組織を用い、会社内の組織の情報を扱ってもよい。図13は組織契機テーブルの一例を示す図であり、組織契機テーブルは契機情報テーブル61に対応する。図14は組織テーブルの一例を示す図であり、組織テーブルおよび組織IDは土地情報テーブル62および土地IDに対応する。また、組織テーブルの組織名は土地情報テーブル62の市区町村と大字と字と地番を結合したものと対応する。また組織テーブルの前契機IDと組織テーブルの後契機IDは、土地情報テーブル62の前契機IDと土地情報テーブル62の後契機IDに対応する。会社は組織の併合や分離を頻繁に行っていても、過去の組織と現在の組織との関係を情報システムで確実に把握することが可能になる。
【符号の説明】
【0055】
1 サーバ、2 クライアント装置、11,21 プロセッサ、12,22 記憶部、13,23 通信部、14,24 入出力部、51 異動情報取得部、52 情報変更部、53 契機情報追加部、54 土地情報変更部、56 最新情報検索部、57 履歴情報検索部、61 契機情報テーブル、62 土地情報テーブル、31 一覧表示部、32 被選択行、35 地図欄、36 移動履歴ボタン、37 分筆ボタン、41 契機情報入力部、42 変更対象表示部、43 変更内容入力部、47 確定ボタン、71 契機情報表示部、72 変更前情報表示部、73 変更後情報表示部、75 履歴一覧表示部、76,77 履歴異動ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12
図13
図14