(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】トイレ用リモートコントローラ
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20220210BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
E03D9/08 A
H04Q9/00 331A
(21)【出願番号】P 2018022045
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 正実
(72)【発明者】
【氏名】永田 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】町田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】中川 恵子
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】大浦 裕之
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-261974(JP,A)
【文献】実開昭55-025740(JP,U)
【文献】特開2005-016287(JP,A)
【文献】特開平11-019003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0041999(US,A1)
【文献】中国実用新案第206789463(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が操作する第1操作部と、
点字と、
を有した操作面を備えたトイレ用リモートコントローラであって、
前記第1操作部の表面の少なくとも外周縁部の一部が前記外周縁部の全周にわたって前記操作面から突出し、
前記操作面から前記第1操作部の表面が突出した高さは、前記操作面から前記点字が突出した高さより小さ
く、
1枚の板状に形成され、前記第1操作部、及び前記点字の形状を保持して前記操作面を形成した操作面部材と、
前記操作面部材の裏面に配置した圧電素子と、
をさらに備えていることを特徴とするトイレ用リモートコントローラ。
【請求項2】
前記操作面は、
管理者が操作する第2操作部と、
前記管理者が前記第2操作部であることを認識する表示部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のトイレ用リモートコントローラ。
【請求項3】
前記
第2操作部の表面は前記操作面と面一であることを特徴とする請求
項2に記載のトイレ用リモートコントローラ。
【請求項4】
前記
表示部の表面は前記操作面と面一であることを特徴とする請求項
2又は3に記載のトイレ用リモートコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレ用リモートコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、壁面に取り付けられたトイレ用リモートコントローラが開示されている。このトイレ用リモートコントローラには、手前側に下って傾斜した上面が設けられている。そして、この上面には、「流す」の文字と、「流す」の文字の下方に「大」スイッチと、「小」スイッチとが設けられている。また、「流す」の文字の左右には、「大」、「小」の文字が点字で凸設されている。これにより、このトイレ用リモートコントローラは、目の不自由な使用者にスイッチの機能を認識させることができる。また、このトイレ用リモートコントローラは、特許文献1の
図4、5、7に示すように、「大」スイッチ、及び「小」スイッチは上面から突出していないと考えられる。このため、このトイレ用リモートコントローラは、上面の清掃性が良好である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このトイレ用リモートコントローラは、例えば目の不自由な使用者に対して、点字によってスイッチの機能を認識させることができるが、「大」スイッチ、及び「小」スイッチが上面から突出していないため、点字の近傍にスイッチが設けられていることが予測できたとしても、スイッチの位置を正確に判別することが難しいと考えられる。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、清掃性が良好であり、使用者が操作部の位置を容易に認識することができるトイレ用リモートコントローラを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトイレ用リモートコントローラは、
使用者が操作する第1操作部と、
点字と、
を有した操作面を備えたトイレ用リモートコントローラであって、
前記第1操作部の表面の少なくとも外周縁部の一部が前記外周縁部の全周にわたって前記操作面から突出し、
前記操作面から前記第1操作部の表面が突出した高さは、前記操作面から前記点字が突出した高さより小さいことを特徴とする。
【0007】
このトイレ用リモートコントローラは、操作面から第1操作部を突出させることによって、使用者に第1操作部の位置を容易に認識させることができる。また、操作面からの第1操作部の突出する高さを点字の突出する高さより小さくすることによって、操作面からの第1操作部の突出する高さが抑えられ、第1操作部の周囲を拭き残し等なく良好に清掃することができる。
【0008】
したがって、本発明のトイレ用リモートコントローラは、清掃性が良好であり、使用者が操作部の位置を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のトイレ用リモートコントローラの正面図である。
【
図2】実施例1のトイレ用リモートコントローラを左方から見た側面図である。
【
図3】実施例1のトイレ用リモートコントローラを下方から見た側面図である。
【
図5】実施例1のトイレ用リモートコントローラをトイレ室内の壁面に取り付けた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0011】
本発明のトイレ用リモートコントローラは、1枚の板状に形成され、第1操作部、及び点字の形状を保持して操作面を形成した操作面部材と、操作面部材の裏面に配置した圧電素子とを備え得る。この場合、このトイレ用リモートコントローラは、圧電素子を用いることによって、第1操作部を操作した際の第1操作部の変位量が小さくても、使用者に第1操作部を操作したこと認識させることができる。
【0012】
本発明のトイレ用リモートコントローラの操作面は、管理者が操作する第2操作部と、管理者が第2操作部であることを認識する表示部とを有し得る。この場合、表示部によって管理者(例えば、トイレ用リモートコントローラによって遠隔操作される便器装置を管理する管理者等)のみに第2操作部を操作させることができる。例えば、第2操作部に管理者モードの機能を付与させることができるため、便器装置の管理を簡単にすることができる。
【0013】
本発明のトイレ用リモートコントローラの第2操作部の表面は操作面と面一であり得る。この場合、このトイレ用リモートコントローラは第2操作部を備えていることを使用者に対してより認識させ難くすることができる。
【0014】
本発明の表示部の表面は操作面と面一であり得る。この場合、このトイレ用リモートコントローラは第2操作部を備えていることを使用者に対してさらに認識させ難くすることができる。
【0015】
次に、本発明のトイレ用リモートコントローラを具体化した実施例1について、
図1~5を参照しつつ説明する。
【0016】
<実施例1>
実施例1のトイレ用リモートコントローラであるリモートコントローラ10は、
図1~3に示すように、ほぼ平板状をなし四隅が弧状に形成された長方形状をなしている。リモートコントローラ10はトイレ室の壁面Wに固定されたホルダ(図示せず)等を介して壁面Wに沿うように取り付けられる(
図5参照。)。トイレ室には、
図5に示すように、便器装置2、及び便器装置2に付帯する電動装置3等が設置されている。
便器装置2は便器本体2A、及び便座2B等を有している。便座2Bには便座2Bの温度を所定の温度にするヒーター(図示せず)が設けられている。電動装置3は、例えば、シャワーノズル3Aや、便器洗浄装置(図示せず)等が設けられている。シャワーノズル3Aは、便座2Bに着座した使用者の局部に向けて吐水するシャワー処理を実行することができる。便器洗浄装置は便器本体2Aに洗浄水を供給して便器本体2Aを洗浄することができる。リモートコントローラ10は電動装置3を遠隔操作することができる。
【0017】
リモートコントローラ10は、
図1~3に示すように、ケース11、及び操作面12Aを有した操作面部材12を備えている。
ケース11の外形は、ほぼ平板状をなし四隅が弧状に形成された長方形状をなしている。
また、
図4に示すように、ケース11の前側(
図4における右側である)には後方向(
図4における左側に向かう方向である)に窪んだ凹部11Aが形成されている。凹部11A内には電気基板や、後述する圧電素子等が収納される(図示せず。)。
【0018】
操作面部材12は、例えば1枚の板状に形成されたアクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等の硬質な合成樹脂製である。操作面部材12は、
図1~3に示すように、ケース11の外形より僅かに小さいほぼ長方形状をなしている。操作面部材12の表面(前側の面)は操作面12Aである。操作面12Aは複数の第1操作部12L、点字12C、第2操作部12G、及び表示部12Hを具備している。
【0019】
第1操作部12Lは電動装置3を遠隔操作する際に使用者が操作する。各第1操作部12Lは使用者が操作すると後述する圧電素子が反応する領域である。なお、
図1における点線は、第1操作部12Lの領域を説明するために図示したものであり、操作面部材12には設けられていない。また、各第1操作部12Lには、四隅が弧状に形成された四角形状をなして操作面12Aから突出した凸部12Bが設けられている。凸部12Bは第1操作部12Lを構成する要素である。各凸部12Bは、操作面部材12と一体的に形成されており、操作面部材12の長手方向に一列に並んでいる。つまり、
図1において、第1操作部12Lは、第1操作部12Lの表面の少なくとも外周縁部の一部が外周縁部の全周にわたって操作面12Aに対して段差を有しており、所定の高さ(およそ0.25mm)突出した凸部を具備している。また、
図4に示すように、各凸部12Bの外周縁には立面12Eが形成されている。立面12Eは操作面12Aから直交する方向に離れる方向で、凸部12Bの中央部に向けて延びる直線状に形成されている。また、立面12Eは、曲面12Kを介して凸部12Bの表面に連続し、曲面12Jを介して操作面12Aに連続している。
【0020】
また、凸部12Bの周囲には操作面12Aと区別するための隙間が形成されていない。このため、凸部12Bは操作面部材12と一体的に形成することができる。そして、凸部12Bが操作面部材12と一体的に形成されているため、操作面部材12に対して大きく変位することがない。そして、操作面部材12は硬質な合成樹脂製である。これにより、凸部12Bの表面が操作面12Aに対して突出する高さを抑えても、使用者の指に立面12E及び曲面12Kが引っ掛かる感触が伝わり易い。このため、使用者は凸部12Bの位置を容易に認識することができる。
【0021】
また、立面12Eを操作面12Aから直交する方向に拡げ、曲面12K,12Jをより小さくすると、凸部12Bの外周縁が使用者の指により引っ掛かり易くすることができる。
これによっても、凸部12Bの表面が操作面12Aに対して突出する高さを抑えても、使用者は凸部12Bの位置を容易に認識することができる。つまり、使用者の指が引っ掛かり易い凸部12Bの外周縁は、操作面12Aから直交する方向に離れる方向で、凸部12Bの中央部に向けて延びる直線状に形成された立面12Eを具備している。
【0022】
また、
図1に示すように、各凸部12Bは四隅が弧状に形成された四角形状をなしており、各四辺の中央部がほぼ直線状に形成されている。これにより、使用者の指が凸部12Bの各四辺の中央部に触れた場合、凸部12Bの外形が円形状である場合に比べて、使用者の指に立面12E及び曲面12Kが触れる寸法が長くなる。このため、凸部12Bの表面が操作面12Aに対して突出する高さを抑えても、使用者の指に立面12E及び曲面12Kが引っ掛かり易く、使用者は凸部12Bの位置を容易に認識することができる。
【0023】
点字12Cは、各第1操作部12Lのそれぞれに対応するものが、各第1操作部12Lのそれぞれの上側(
図1における上側である)に設けられている。点字12Cが操作面12Aから突出する高さはおよそ0.5mmである。つまり、操作面部材12は、凸部12B、及び点字12Cの形状を保持して操作面12Aを形成している。また、操作面12Aから凸部12Bの表面が突出した高さは、操作面12Aから点字12Cが突出した高さより小さい。
また、凸部12Bの表面が操作面12Aから突出する高さをおよそ0.4mmにすると、使用者が凸部12Bの位置をより良好に認識することができる。
また、複数の凸部12Bの内の一部の表面にも点字12Fが設けられている。これら点字12Fの凸部12Bの表面から突出する高さはおよそ0.5mmである。
【0024】
第2操作部12Gは管理者(例えば、リモートコントローラ10によって遠隔操作される便器装置2を管理する管理者等)が操作するものである。具体的には、第2操作部12Gは、便器装置2の便座2Bのヒーターの温度や、シャワーノズル3Aから吐水される洗浄水の温度等の設定を管理者が変更する際に操作する。つまり、第2操作部12Gには、所謂、管理者モードに移行する機能が割り当てられている。管理者モードに移行するには、例えば、第2操作部12Gを複数回押下したり、凸部12Bを押下するよりも大きい力で第2操作部12Gを押下したりする。第2操作部12Gは操作面12Aの下側(
図1における下側である)の右端部(
図1における右端部である)に設けられている。第2操作部12Gの表面は操作面12Aと面一である。なお、
図1における点線は、第2操作部12Gの領域を説明するために図示したものであり、操作面部材12には設けられていない。第2操作部12Gが位置する操作面部材12の裏面側には、この裏面に沿うように公知の圧電素子(図示せず)が配置されている。
表示部12Hは、操作面12Aに印刷等によって施された文字、記号、及び図形等である。表示部12Hの表面は操作面12Aと面一である。表示部12Hは第2操作部12Gの領域内に設けられている。表示部12Hは第2操作部12Gが設けられていることを管理者のみに認識させることができる。これにより、リモートコントローラ10は第2操作部12Gを管理者のみに操作させることができる。つまり、表示部12Hは管理者が第2操作部12Gであることを認識する。
【0025】
操作面部材12はケース11の凹部11Aを覆うように裏面(後側の面)をケース11の前側の面に貼着されている。また、第1操作部12Lが位置する操作面部材の裏面側には、この裏面に沿うように公知の圧電素子(図示せず)が配置されている。
【0026】
このように、リモートコントローラ10は、操作面12Aから凸部12Bを突出させることによって、使用者に凸部12Bの位置を容易に認識させることができる。また、操作面12Aからの凸部12Bの突出する高さを点字12Cの突出する高さより小さくすることによって、操作面12Aからの凸部12Bの突出する高さが抑えられ、凸部12Bの周囲を拭き残し等なく良好に清掃することができる。
【0027】
したがって、本発明のリモートコントローラ10は、清掃性が良好であり、使用者が凸部12Bの位置を容易に認識することができる。
【0028】
また、このリモートコントローラ10は、1枚の板状に形成され、凸部12B、及び点字12Cの形状を保持して操作面12Aを形成した操作面部材12と、操作面部材12の裏面に配置した圧電素子とを備えている。このため、リモートコントローラ10は、圧電素子を用いることによって、凸部12Bを操作した際の凸部12Bの変位量が小さくても、使用者に凸部12Bを操作したこと認識させることができる。
【0029】
また、このリモートコントローラ10の操作面12Aは、管理者が操作する第2操作部12Gと、管理者が第2操作部12Gであることを認識する表示部12Hとを有している。このため、表示部12Hによってリモートコントローラ10によって遠隔操作される便器装置2を管理する管理者のみに第2操作部12Gを操作させることができる。第2操作部12Gに管理者モードの機能を付与させることができるため、トイレ装置の管理を簡単にすることができる。
【0030】
また、このリモートコントローラ10の第2操作部12Gの表面は操作面12Aと面一である。このため、リモートコントローラ10は第2操作部12Gを備えていることを使用者に対してより認識させ難くすることができる。
【0031】
また、表示部12Hの表面は操作面12Aと面一である。このため、リモートコントローラ10は第2操作部12Gを備えていることを使用者に対してさらに認識させ難くすることができる。
【0032】
<他の実施例>
(1)実施例1では、操作面部材が合成樹脂製であるが、操作面部材を、ガラス、金属、又は木材等の材料で構成してもよく、これらの材料を併用してもよい。
(2)実施例1では、凸部、及び点字を操作面部材と一体的に形成しているが、凸部、及び点字を別体で形成して、操作面部材に取り付けてもよい。
(3)実施例1では、表示部を操作面に印刷で設けているが、表示部を印刷したフィルム等を操作面に貼り付けてもよい。また、印刷でなくてもよく、表示部を彫刻やエッチング等で設けてもよい。
(4)実施例1では、第2操作部の領域内に表示部が設けられているが、第2操作部の領域外に表示部を設けてもよい。
(5)実施例1では、凸部の表面の全体が操作面から所定の高さ突出しているが、凸部の表面の中央部を操作面に向けて窪むように湾曲させてもよい。また、凸部の表面の中央部を操作面から突出するように湾曲させてもよい。
(6)実施例1では、第1操作部、及び第2操作部が位置する操作面部材の裏面側に、この裏面に沿うように公知の圧電素子が配置されているが、圧電素子が操作面部材の裏面に直接的に当接しなくてもよい。
(7)実施例1では、圧電素子を用いているが、タッチパネルに用いられる公知の感圧式、静電式の素子を用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…リモートコントローラ(トイレ用リモートコントローラ)
11E…表示部
12A…操作面
12C…点字
12D…第2操作部
12L…第1操作部