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特許7022627無線接続装置、及び無線接続装置の設定引継プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】無線接続装置、及び無線接続装置の設定引継プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20220210BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220210BHJP
   H04W 88/10 20090101ALI20220210BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W84/12
H04W88/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018049780
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019161601
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】島田 純平
【審査官】篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119313(JP,A)
【文献】特開2015-23481(JP,A)
【文献】特開2017-183890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子機と無線通信を行うための種類の異なる複数の無線通信手段と、
該複数の無線通信手段のそれぞれに対して、前記子機との無線通信を確立するための接続情報を設定する設定手段と、
前記子機との無線通信を確立するための設定済接続情報が設定されている設定済無線通信手段を有する別体無線接続装置から、該設定済接続情報を取得する取得手段と、を備える無線接続装置であって、
前記設定手段は、
該取得手段で取得した前記設定済接続情報を、前記種類の異なる複数の無線通信手段のうちの前記設定済接続情報の取得元となる前記設定済無線通信手段と同種の前記無線通信手段に設定する引継手段と、
該取得手段で取得した前記設定済接続情報を、前記種類の異なる複数の無線通信手段のうちの前記設定済接続情報の取得元となる別体無線通信手段における前記設定済無線通信手段とは異種の前記無線通信手段に設定する複製手段と、を備える、
無線接続装置。
【請求項2】
前記子機との無線通信を、前記種類の異なる複数の無線通信手段のうちの、同一の前記設定済接続情報が設定された無線通信手段の何れかに振り分ける振分手段を備える、
請求項1に記載の無線接続装置。
【請求項3】
子機と無線通信可能となるように設定済接続情報が設定された設定済無線通信手段と、
前記設定済接続情報を、該設定済接続情報の引き継ぎ先の引継先無線接続装置であって、前記子機と無線通信を行うための種類の異なる複数の引継先無線通信手段を有する引継先無線接続装置に送信する送信手段と、を備える無線接続装置であって、
前記送信手段は、
前記設定済接続情報と、
前記引継先無線接続装置の前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうち、前記設定済無線通信手段と同種の前記引継先無線通信手段に前記設定済接続情報を設定させるための引継通知情報と、
前記引継先無線接続装置の前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうち、前記設定済無線通信手段とは異種の前記引継先無線通信手段に前記設定済接続情報を設定させるための複製通知情報と、を別体無線接続装置に送信する、
無線接続装置。
【請求項4】
コンピュータを、
子機と無線通信を確立するための設定済接続情報が設定された設定済無線通信手段を有する引継元無線接続装置から該設定済接続情報を取得する中継取得手段、
前記子機と無線通信を行うための種類の異なる複数の引継先無線通信手段を有する引継先無線接続装置に対して、前記中継取得手段で取得した前記設定済接続情報と、前記中継取得手段で取得した前記設定済接続情報を、前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうちの、前記設定済接続情報の取得元の前記設定済無線通信手段と同種の引継先無線通信手段に設定させるための引継通知情報と、前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうちの、前記設定済接続情報の取得元の前記設定済無線通信手段とは異種の引継先無線通信手段に設定させるための複製通知情報と、を送信する引継通知手段、として機能させる、
無線接続装置の設定引継プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の電子機器をインターネット回線に無線接続するための無線接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン等の電子機器をインターネット回線に無線接続する無線LANが普及している。
【0003】
無線LANには、インターネット回線に接続される無線接続装置(親機)が設けられている。この無線接続装置は、周辺の電子機器(子機)と無線通信を行うための無線通信手段を備えている。
【0004】
また、無線接続装置には、子機と無線通信手段との通信を確立するための接続情報が設定されており、該接続情報には、例えば、無線通信手段を子機の通信先として指定するための指定情報(いわゆる、SSID)と、該指定情報が示す無線通信手段への無線通信を許可するための許可情報(パスワード)とが含まれている。
【0005】
そして、無線接続装置は、自身の無線通信手段を示す識別情報と許可情報とが入力された子機との無線通信を確立し、これにより、該子機をインターネット回線に無線接続するように構成されている。
【0006】
また、無線接続装置には、例えば、特許文献1(段落0002)に紹介されているように、別の無線接続装置(以下、別体無線接続装置と称する)から前記接続情報を引き継ぐための設定引継機能を備えたものも知られている。
【0007】
この種の無線接続装置の引継手段は、別体無線接続装置の無線通信手段に設定されている接続情報を取得し、該接続情報を自身の無線通信手段に設定するように構成されている。
【0008】
そのため、無線LANに組み込まれている別体無線接続装置を上記の設定引継機能を備える無線接続装置(新たな無線接続装置)に置き換える場合、ユーザーが子機に新たな識別情報と許可情報とを入力する作業や、別体無線接続装置で利用していた無線通信手段の識別情報と許可情報とを新たな無線通信手段に設定する作業を行うことなく、無線接続装置と子機との無線通信が確立されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-119313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記の設定引継機能を備えた無線接続装置には、複数種の無線通信手段(例えば、通信帯域が異なる複数の無線通信手段)を有し、各無線通信手段に個別の前記接続情報が設定されたものがある。
【0011】
しかしながら、かかる無線接続装置は、別体無線接続装置から取得した接続情報を、該接続情報の取得元となる別体無線接続装置における無線通信手段と同種の無線通信手段にしか設定できないため、別体無線接続装置で利用していた無線通信手段とは異種の無線通信手段も利用する場合、ユーザーは、別種の無線通信手段に接続情報を設定する作業を別途行う必要があり、手間がかかっている。
【0012】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、別の無線接続装置に替えて設置する際に、該別の無線接続装置の無線通信に関する設定情報を簡単に引き継ぐことができる、無線接続装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の無線接続装置は、
子機と無線通信を行うための種類の異なる複数の無線通信手段と、
該複数の無線通信手段のそれぞれに対して、前記子機との無線通信を確立するための接続情報を設定する設定手段と、
前記子機との無線通信を確立するための設定済接続情報が設定されている設定済無線通信手段を有する別体無線接続装置から、該設定済接続情報を取得する取得手段と、を備える無線接続装置であって、
前記設定手段は、
該取得手段で取得した前記設定済接続情報を、前記種類の異なる複数の無線通信手段のうちの前記設定済接続情報の取得元となる前記設定済無線通信手段と同種の前記無線通信手段に設定する引継手段と、
該取得手段で取得した前記設定済接続情報を、前記種類の異なる複数の無線通信手段のうちの前記設定済接続情報の取得元となる別体無線通信手段における前記設定済無線通信手段とは異種の前記無線通信手段に設定する複製手段と、を備える。
【0014】
上記構成の無線接続装置によれば、複数の無線通信手段に前記設定済無線通信手段と同種の無線通信手段が含まれる場合は、取得手段が別体無線接続装置から取得した設定済接続情報が、引継手段によって前記同種の前記無線通信手段に設定され、また、複数の無線通信手段に前記設定済無線通信手段とは異種の無線通信手段が含まれる場合は、複製手段によって前記異種の前記無線通信手段にも設定される。
【0015】
従って、前記無線接続装置は、別体無線接続装置の設定済接続情報を、前記同種の前記無線通信手段だけでなく、別体無線接続装置にはなかった種類の無線通信手段にも引き継ぐことができる。
【0016】
本発明の無線接続装置は、
前記子機との無線通信を、前記種類の異なる複数の無線通信手段のうちの、同一の前記設定済接続情報が設定された無線通信手段の何れかに振り分ける振分手段を備えていてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、設定済無線通信手段の設定済接続情報が該設定済無線通信手段と同種の無線通信手段と異種の無線通信手段とに引き継がれるに伴い、該同種の無線通信手段と該異種の無線通信手段とを、振分手段による子機の無線通信先の振り分け対象とすることができる。
【0018】
本発明の別の無線接続装置は、
子機と無線通信可能となるように設定済接続情報が設定された設定済無線通信手段と、
前記設定済接続情報を、該設定済接続情報の引き継ぎ先の引継先無線接続装置であって、前記子機と無線通信を行うための種類の異なる複数の引継先無線通信手段を有する引継先無線接続装置に送信する送信手段と、を備える無線接続装置であって、
前記送信手段は、
前記設定済接続情報と、
前記引継先無線接続装置の前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうち、前記設定済無線通信手段と同種の前記引継先無線通信手段に前記設定済接続情報を設定させるための引継通知情報と、
前記引継先無線接続装置の前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうち、前記設定済無線通信手段とは異種の前記引継先無線通信手段に前記設定済接続情報を設定させるための複製通知情報と、を別体無線接続装置に送信する。
【0019】
上記構成の無線接続装置によれば、引継先無線通信手段に対して、自身の設定済接続情報とともに、前記同種の前記引継先無線通信手段に前記設定済接続情報を設定させるための引継通知情報と、前記異種の前記引継先無線通信手段に前記設定済接続情報を設定させるための複製通知情報と、を送信するため、設定済無線通信手段と同種の引継先無線通信手段と異種の引継先無線通信手段とに設定済接続情報を引き継がせることができる。
【0020】
本発明の無線接続装置の設定引継プログラムは、
コンピュータを、
子機と無線通信を確立するための設定済接続情報が設定された設定済無線通信手段を有する引継元無線接続装置から該設定済接続情報を取得する中継取得手段、
前記子機と無線通信を行うための種類の異なる複数の引継先無線通信手段を有する引継先無線接続装置に対して、前記中継取得手段で取得した前記設定済接続情報と、前記中継取得手段で取得した前記設定済接続情報を、前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうちの、前記設定済接続情報の取得元の前記設定済無線通信手段と同種の引継先無線通信手段に設定させるための引継通知情報と、前記種類の異なる複数の引継先無線通信手段のうちの、前記設定済接続情報の取得元の前記設定済無線通信手段とは異種の引継先無線通信手段に設定させるための複製通知情報と、を送信する引継通知手段、として機能させる。
【0021】
上記構成の無線接続装置の設定引継プログラムによれば、引継元無線接続装置から取得した設定済接続情報とともに、前記同種の引継先無線通信手段に設定済接続情報を設定させるための引継通知情報と、前記異種の引継先無線通信手段に設定済接続情報を設定させるための複製通知情報と、を送信するため、引継元無線接続装置の設定済無線通信手段と同種の無線通信手段に加えて、異種の無線通信手段にも設定済接続情報を引き継がせることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の無線接続装置は、別の無線接続装置に替えて設置する際に、該別の無線接続装置の無線通信に関する設定情報を簡単に引き継ぐことができる、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る無線接続装置、及び無線接続装置で接続情報の引き継ぎ元となる別体無線接続装置の機能ブロック図である。
図2図2は、同実施形態に係る無線接続装置の設定引継機能のフローチャートである。
図3図3は、本発明の他の実施形態に係る無線接続装置の機能ブロック図である。
図4図4は、本発明の無線接続装置の設定引継プログラムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る無線接続装置について、添付図面を参照しつつ説明を行う。本実施形態に係る無線接続装置は、パソコン等の電子機器を通信回線に無線接続するために用いるものであり、別の無線接続装置(例えば、既に無線LANに組み込まれている別の無線接続装置)から子機との無線通信を行うための接続情報を引き継ぐ設定引継機能を備えたものである。
【0025】
なお、本実施形態では、接続情報の引継元となる無線接続装置としての別体無線接続装置を引継元無線接続装置と称し、接続情報の引継先となる無線接続装置としての引継機能付き無線接続装置を引継先無線接続装置と称して以下の説明を行うこととする。また、引継元無線接続装置、引継先無線接続装置とは、例えば、無線LANルーターである。
【0026】
まず、引継元無線接続装置について説明を行う。引継元無線接続装置は、例えば、外部機器(例えば、子機となるスマートホンや、パソコン等の電子機器)との無線通信を行うための無線接続装置と、情報を記憶するための記憶装置と、無線接続装置や、記憶装置を制御する制御装置を備えていればよい。
【0027】
無線接続装置は、アンテナのことである。引継元無線接続装置には、一つの無線接続装置が設けられており、該無線接続装置は、所定の周波数帯の電波により外部機器と無線通信を行うように構成されている。
【0028】
また、引継元無線接続装置は、図1に示すように、外部機器Tとの無線通信を確立するための接続情報(以下、設定済接続情報と称する)が設定された設定済無線通信手段20(本実施形態では、引継元無線通信手段20ともいう)と、外部機器Tからの要求に応じて設定済接続情報を返信する(要求の送信元の機器に返信する)返信手段21と、を備えている。
【0029】
設定済接続情報には、外部機器Tが引継元無線通信手段20を無線通信の対象として指定するための識別情報(いわゆる、SSID)と、該識別情報が示す引継元無線通信手段20への無線通信を許可する許可情報(いわゆる、パスワード)とが含まれている。識別情報は、引継元無線通信手段20を識別するための情報である。なお、設定済接続情報は、例えば、記憶装置に記憶されていればよい。
【0030】
引継先無線接続装置1も、例えば、外部機器T(例えば、子機となるスマートホンや、パソコン等の電子機器)との無線通信を行うための無線接続装置と、情報を記憶するための記憶装置と、無線接続装置や記憶装置を制御する制御装置を備えていればよい。
【0031】
無線接続装置はアンテナのことであるが、引継先無線接続装置1には、複数(本実施形態では2つ)の無線接続装置が設けられており、各無線接続装置がそれぞれ異なる周波数帯の電波で外部機器Tと無線通信を行うように構成されている。
【0032】
引継先無線接続装置1は、外部機器Tと無線通信を行うための種類の異なる複数(本実施形態では2つ)の無線通信手段(以下、引継先無線通信手段と称する)10と、引継元無線接続装置から設定済接続情報を取得する取得手段11と、引継先無線通信手段10に対して、該取得手段11で取得した設定済接続情報を、外部機器との無線通信を確立するための接続情報として設定する設定手段12と、外部機器Tの無線通信先を複数の引継先無線通信手段10のうちの何れかに振り分ける振分手段13と、を備えている。
【0033】
引継先無線通信手段10の接続情報にも、外部機器Tが引継先無線通信手段10を無線通信の対象として指定するための識別情報(いわゆる、SSID)と、該識別情報が示す引継先無線通信手段10への無線通信を許可する許可情報(いわゆる、パスワード)とが含まれている。
【0034】
なお、本実施形態に係る引継先無線接続装置1では、複数の引継先無線通信手段10を備えているため、各引継先無線通信手段10に対して別々の接続情報が関連付けられた状態で設定されている。また、接続情報は、例えば、記憶装置に記憶されていればよい。
【0035】
引継先無線通信手段10は、互いに別々の無線接続装置を利用して外部機器Tとの無線通信を行うように構成されている。そのため、各引継先無線通信手段10は、互いに異なる周波数帯の電波により外部機器Tと無線通信するように構成されている。
【0036】
取得手段11は、引継元無線接続装置2に設定済接続情報の送信を求める要求信号を送信する要求機能と、該要求信号を受けた引継元無線接続装置2から送信された設定済接続情報を受信する受信機能と、を有する。
【0037】
なお、取得手段11は、引継元無線接続装置2の引継元無線通信手段20との無線通信を確立させた後に、要求機能と、受信機能とを実行するように構成されている。また、取得手段11は、要求機能による要求信号の送信や、受信機能による設定済接続情報の受信を、引継先無線通信手段10を通じて行うように構成されていればよい。
【0038】
設定手段12は、取得手段11で取得した設定済接続情報を、複数の引継先無線通信手段10のうちの、設定済接続情報の取得元となる引継元無線通信手段20と同種の引継先無線通信手段10に設定する引継手段120と、取得手段11で取得した設定済接続情報を、複数の引継先無線通信手段10のうちの、設定済接続情報の取得元となる引継元無線通信手段20とは異種の引継先無線通信手段10に設定する複製手段121と、を備えている。
【0039】
振分手段13は、複数の引継先無線通信手段10のうちの接続情報の設定が同一である引継先無線通信手段10を、外部機器Tとの無線通信の振り分け先とするように構成されている。本実施形態では、2つの引継先無線通信手段10に同一の接続情報(識別情報、及び許可情報)が設定されていれば、振分手段がこの2つの引継先無線通信手段10を外部機器Tとの無線通信の振り分け先とすることができるようになる。
【0040】
また、振分手段13は、通信が混雑している引継先無線通信手段10(すなわち、通信量の多い引継先無線通信手段10)と無線通信している外部機器Tの無線通信先を、通信が混雑していない引継先無線通信手段10(すなわち、通信量が少ない引継先無線通信手段10)に振り分けるように構成されている。すなわち、振分手段13は、いわゆるバンドステアリング機能のことである。
【0041】
本実施形態に係る引継先無線接続装置1の構成は、以上の通りである。続いて、引継先無線接続装置1の設定引継機能について添付図面を参照しつつ説明を行う。
【0042】
引継先無線接続装置1は、引継元無線接続装置2の引継元無線通信手段20との無線通信を確立した後、図2に示すように、取得手段11が要求機能により引継元無線接続装置2に設定済接続情報の送信を求める要求信号を送信する(S1)。続いて、取得手段11が要求信号を受けた引継元無線接続装置2から送信された設定済接続情報を受信する(S2)。
【0043】
そして、設定手段12は、取得手段11で取得した設定済接続情報を、引継機能によって複数の引継先無線通信手段10のうちの設定済接続情報の取得元となる引継元無線通信手段20と同種の引継先無線通信手段10に設定する(S3)。
【0044】
また、設定手段12は、取得手段11で取得した設定済接続情報を、複数の引継先無線通信手段10のうちの設定済接続情報の取得元となる引継元無線通信手段20とは異種の引継先無線通信手段10に設定する(S4)。
【0045】
これにより、引継元無線接続装置2の引継元無線通信手段20と無線通信を行っていた外部機器Tが、引継先無線接続装置1における、該引継元無線通信手段20と同種の引継先無線通信手段10に加えて、該引継元無線通信手段20と異種の引継先無線通信手段10(すなわち、引継元無線接続装置2には設けられていなかった種類の引継先無線通信手段10)とも無線通信を行える状態になる。
【0046】
さらに、引継先無線接続装置1の各引継先無線通信手段10の接続情報には、同一の情報が設定されるため、引継元無線接続装置2から設定済情報を引き継ぐとともに、振分手段13が外部機器Tとの無線通信を複数の引継先無線通信手段10のうちの何れかの引継先無線通信手段10に振り分けることができる状態になる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る引継先無線接続装置1によれば、取得手段11が引継元無線接続装置2から取得した設定済接続情報が、設定手段12の引継機能により前記同種の引継先無線通信手段10に設定され、また、複製機能により前記異種の引継先無線通信手段10にも設定される。従って、引継先無線接続装置1は、引継元無線接続装置2の設定済接続情報を、同種の引継先無線通信手段10だけでなく、引継元無線接続装置2には設けられていなかった種類の引継先無線通信手段10にも引き継ぐことができる。
【0048】
よって、引継先無線接続装置1は、別の無線接続装置(本実施形態では引継元無線接続装置2)に替えて設置する際に、該別の無線接続装置の無線通信に関する設定情報を簡単に引き継ぐことができる、という優れた効果を奏し得る。
【0049】
また、引継先無線接続装置1は、引継元無線通信手段20の設定済接続情報が該引継元無線通信手段20と同種の引継先無線通信手段10と異種の引継先無線通信手段10とに引き継がれるに伴い、該引継元無線通信手段20が設定された前記同種の引継先無線通信手段10と前記異種の引継先無線通信手段10とを、振分手段13による外部機器Tの無線通信先の振り分け対象とすることができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る振分手段13は、通信が混雑している引継先無線通信手段10(すなわち、通信量の多い引継先無線通信手段10)と無線通信している外部機器Tの無線通信先を、通信が混雑していない引継先無線通信手段10(すなわち、通信量が少ない引継先無線通信手段10)に振り分けるように構成されているため、設定済接続情報を引き継ぐとともに外部機器Tとの無線通信が混雑することを防ぐことができる状態にすることができる。
【0051】
なお、本発明の無線接続装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
上記実施形態において、引継先無線接続装置1は、2つの引継先無線通信手段10を備えていたが、この構成に限定されない。例えば、引継先無線接続装置1は、3つ以上の引継先無線通信手段10を備えていてもよい。
【0053】
この場合、引継先無線接続装置1は、取得手段11で取得した設定済接続情報を、複数の引継先無線通信手段10のうちの少なくとも2種類の引継先無線通信手段10に設定するように構成されていればよい。
【0054】
上記実施形態では、引継先無線接続装置1から設定済接続情報を引き継ぐ旨を示す要求情報を引継元無線接続装置2に送信していたが、この構成に限定されない。例えば、引継元無線接続装置2が、設定済接続情報とともに該設定済接続情報を引き継がせる旨を示す指示情報を送信するように構成され、引継先無線接続装置1が、指示情報と設定済接続情報とを受信した際に、該設定済接続情報を無線接続装置に設定するように構成されていてもよい。
【0055】
この場合、引継元無線接続装置2は、図3に示すように、上述の引継元無線通信手段20と設定済接続情報と指示情報とを、種類の異なる複数の引継先無線通信手段10を有する引継先無線接続装置1に送信する送信手段22を備えるように構成されていてもよい。なお、図3の引継先無線接続装置1には、取得手段11を図示しているが、上記の場合、引継先無線接続装置1は、取得手段11を備えていなくてもよい。
【0056】
指示情報には、複数の引継先無線通信手段10のうち、引継元無線通信手段20と同種の引継先無線通信手段10に設定済接続情報を設定させるための引継通知情報と、複数の引継先無線通信手段10のうち、引継元無線通信手段20とは異種の引継先無線通信手段10に設定済接続情報を設定させるための複製通知情報とが含まれていればよい。
【0057】
指示情報は、例えば、引継元無線接続装置2と引継先無線接続装置1とに対して無線通信可能な中継装置から引継先無線接続装置1に送信されるようになっていてもよい。
【0058】
この場合、図4に示すように、中継装置3には、コンピュータを、引継元無線接続装置2から設定済接続情報を取得する中継取得手段30、該中継取得手段30で取得した設定済接続情報と指示情報とを引継先無線接続装置1に送信する引継通知手段31、として機能させる無線接続装置の設定引継プログラムが導入されていればよい。
【0059】
また、指示情報には、設定済接続情報を、該設定済接続情報の取得元の引継元無線通信手段20と同種の引継先無線通信手段10に設定させるための引継通知情報と、設定済接続情報の取得元の引継元無線通信手段20とは異種の引継先無線通信手段10に設定させるための複製通知情報とが含まれていればよい。
【符号の説明】
【0060】
1…別体無線接続装置(引継先無線接続装置)、2…引継元無線接続装置、3…中継装置、10…引継先無線通信手段、11…取得手段、12…設定手段、12…取得手段、13…振分手段、20…設定済無線通信手段(引継元無線通信手段)、21…返信手段、22…送信手段、30…中継取得手段、31…引継通知手段、120…引継手段、121…複製手段、T…外部機器
図1
図2
図3
図4