(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220210BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20220210BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2018066841
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】杉本 修
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-174133(JP,A)
【文献】特表2010-521727(JP,A)
【文献】特開2008-045991(JP,A)
【文献】特開2009-265277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0285640(US,A1)
【文献】国際公開第2016/146879(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 ~ 21/36
G08G 1/00 ~ 1/16
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置において、
公道地図情報を提供する公道情報提供部と、
私有地地図情報を提供する私有地情報提供部と、
前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供部から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供部から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索部と、を備え、
前記公道情報提供部から提供される公道地図情報と、前記私有地情報提供部から提供される私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を表示装置に表示させる地図重畳表示部をさらに備え、
前記地図重畳表示部は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を変える、経路探索装置であり、
前記訪問者の属性として重要度「高」、「中」又は「低」が予め設定され、
前記地図重畳表示部は、
前記訪問者の属性「高」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲の制限なしにし、
前記訪問者の属性「中」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、
前記訪問者の属性「低」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、且つ私有地内を表示しない、
経路探索装置。
【請求項2】
前記私有地情報提供部は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者に事前に発行された共通鍵を保持し、前記共通鍵に基づく認証処理を行い、前記認証処理が合格した場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供し、前記認証処理が合格しない場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供しない、
請求項
1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記私有地情報提供部は、私有地地図情報の提供料金の課金処理を行い、前記提供料金が支払われた場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供し、前記提供料金が支払われていない場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供しない、
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の経路探索装置。
【請求項4】
第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置の経路探索方法であって、
前記経路探索装置が、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部から取得する私有地情報取得ステップと、
前記経路探索装置が、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を公道情報提供部から取得する公道情報取得ステップと、
前記経路探索装置が、該取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索ステップと、
前記経路探索装置が、前記公道情報提供部から提供される公道地図情報と、前記私有地情報提供部から提供される私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を表示装置に表示させる地図重畳表示ステップと、を含み、
前記地図重畳表示ステップでは、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を変える、経路探索方法であり、
前記訪問者の属性として重要度「高」、「中」又は「低」が予め設定され、
前記地図重畳表示ステップでは、
前記訪問者の属性「高」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲の制限なしにし、
前記訪問者の属性「中」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、
前記訪問者の属性「低」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、且つ私有地内を表示しない、
経路探索方法。
【請求項5】
第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置のコンピュータに、
公道地図情報を提供する公道情報提供機能と、
私有地地図情報を提供する私有地情報提供機能と、
前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供機能から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供機能から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索機能と、
前記公道情報提供機能から提供される公道地図情報と、前記私有地情報提供機能から提供される私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を表示装置に表示させる地図重畳表示機能と、を実現させ、
前記地図重畳表示機能は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を変える、コンピュータプログラムであり、
前記訪問者の属性として重要度「高」、「中」又は「低」が予め設定され、
前記地図重畳表示機能は、
前記訪問者の属性「高」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲の制限なしにし、
前記訪問者の属性「中」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、
前記訪問者の属性「低」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、且つ私有地内を表示しない、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の経路探索技術として例えば特許文献1、特許文献2に記載の技術が知られている。特許文献1及び特許文献2に記載の経路探索技術は、一般の公道の地図情報を使用して出発地から目的地までの経路の探索を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5320112号公報
【文献】特許第4454162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の経路探索技術では、出発地又は目的地が私有地内に存在する場合、私有地内の出発地や目的地を含む経路を発見することができない。このため、上述した従来の経路探索技術では、入力される経路情報に従って自動運転を行う車両(以下、自動運転車と称する)に対して、私有地内の出発地や目的地を含む経路を提示できないので、上述した従来の経路探索技術を自動運転車に適用できない、又は、別途、運転者が私有地内の運転を行う不便さが生じる。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、出発地や目的地が私有地内に存在する経路の探索を行うことができる、経路探索装置、経路探索方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置において、公道地図情報を提供する公道情報提供部と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供部と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供部から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供部から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索部と、を備え、前記経路探索部は、前記第1地点又は前記第2地点の私道を前記取得した私有地地図情報から特定し、前記第1地点又は前記第2地点の私道に連絡する公道を前記取得した公道地図情報から特定し、特定した私道及び公道を前記第1地点から前記第2地点までの経路に含める、経路探索装置であり、前記私有地地図情報は私道が無向グラフで表現されるものであり、前記経路探索部は、無向グラフを利用することにより、最短経路問題を解くグラフ理論のアルゴリズムを使用して経路探索を行う、経路探索装置である。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置において、公道地図情報を提供する公道情報提供部と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供部と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供部から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供部から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索部と、を備え、前記私有地情報提供部は、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地が私有地地図情報に含まれるか否かを判定し、車両の現在地が私有地地図情報に含まれる場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供し、車両の現在地が私有地地図情報に含まれない場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供しない、経路探索装置である。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置において、公道地図情報を提供する公道情報提供部と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供部と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供部から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供部から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索部と、を備え、前記公道情報提供部から提供される公道地図情報と、前記私有地情報提供部から提供される私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を表示装置に表示させる地図重畳表示部をさらに備え、前記地図重畳表示部は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を変える、経路探索装置であり、前記訪問者の属性として重要度「高」、「中」又は「低」が予め設定され、前記地図重畳表示部は、前記訪問者の属性「高」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲の制限なしにし、前記訪問者の属性「中」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、前記訪問者の属性「低」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、且つ私有地内を表示しない、経路探索装置である。
本発明の一態様は、上記の経路探索装置において、前記私有地情報提供部は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者に事前に発行された共通鍵を保持し、前記共通鍵に基づく認証処理を行い、前記認証処理が合格した場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供し、前記認証処理が合格しない場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供しない、経路探索装置である。
本発明の一態様は、上記の経路探索装置において、前記私有地情報提供部は、私有地地図情報の提供料金の課金処理を行い、前記提供料金が支払われた場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供し、前記提供料金が支払われていない場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供しない、経路探索装置である。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索するナビゲーション装置において、公道地図情報を提供する公道情報提供部と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供部と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供部から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供部から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索部と、を備え、前記経路探索部は、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索結果の経路情報に、私有地に含まれる経路部分を示す私有地フラグを付ける、ナビゲーション装置であり、前記ナビゲーション装置が搭載された車両に対して私有地フラグの経路部分の走行を判定し、私有地フラグの経路部分の走行開始時に、前記車両が私有地に立ち入ったことを報知する、ナビゲーション装置である。
【0007】
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置の経路探索方法であって、前記経路探索装置が、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部から取得する私有地情報取得ステップと、前記経路探索装置が、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を公道情報提供部から取得する公道情報取得ステップと、前記経路探索装置が、該取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索ステップと、を含み、前記経路探索ステップでは、前記第1地点又は前記第2地点の私道を前記取得した私有地地図情報から特定し、前記第1地点又は前記第2地点の私道に連絡する公道を前記取得した公道地図情報から特定し、特定した私道及び公道を前記第1地点から前記第2地点までの経路に含める、経路探索方法であり、前記私有地地図情報は私道が無向グラフで表現されるものであり、前記経路探索ステップでは、無向グラフを利用することにより、最短経路問題を解くグラフ理論のアルゴリズムを使用して経路探索を行う、経路探索方法である。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置の経路探索方法であって、前記経路探索装置が、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部から取得する私有地情報取得ステップと、前記経路探索装置が、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を公道情報提供部から取得する公道情報取得ステップと、前記経路探索装置が、該取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索ステップと、を含み、前記私有地情報提供部は、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地が私有地地図情報に含まれるか否かを判定し、車両の現在地が私有地地図情報に含まれる場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供し、車両の現在地が私有地地図情報に含まれない場合に私有地地図情報を前記経路探索部へ提供しない、経路探索方法である。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置の経路探索方法であって、前記経路探索装置が、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部から取得する私有地情報取得ステップと、前記経路探索装置が、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を公道情報提供部から取得する公道情報取得ステップと、前記経路探索装置が、該取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索ステップと、前記経路探索装置が、前記公道情報提供部から提供される公道地図情報と、前記私有地情報提供部から提供される私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を表示装置に表示させる地図重畳表示ステップと、を含み、前記地図重畳表示ステップでは、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を変える、経路探索方法であり、前記訪問者の属性として重要度「高」、「中」又は「低」が予め設定され、前記地図重畳表示ステップでは、前記訪問者の属性「高」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲の制限なしにし、前記訪問者の属性「中」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、前記訪問者の属性「低」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、且つ私有地内を表示しない、経路探索方法である。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索するナビゲーション装置のナビゲーション方法であって、前記ナビゲーション装置が、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部から取得する私有地情報取得ステップと、前記ナビゲーション装置が、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を公道情報提供部から取得する公道情報取得ステップと、前記ナビゲーション装置が、該取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索ステップと、を含み、前記経路探索ステップでは、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索結果の経路情報に、私有地に含まれる経路部分を示す私有地フラグを付ける、ナビゲーション方法であり、前記ナビゲーション装置が搭載された車両に対して私有地フラグの経路部分の走行を判定し、私有地フラグの経路部分の走行開始時に、前記車両が私有地に立ち入ったことを報知するステップをさらに含む、ナビゲーション方法である。
【0008】
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置のコンピュータに、公道地図情報を提供する公道情報提供機能と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供機能と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供機能から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供機能から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索機能と、を実現させ、前記経路探索機能は、前記第1地点又は前記第2地点の私道を前記取得した私有地地図情報から特定し、前記第1地点又は前記第2地点の私道に連絡する公道を前記取得した公道地図情報から特定し、特定した私道及び公道を前記第1地点から前記第2地点までの経路に含める、コンピュータプログラムであり、前記私有地地図情報は私道が無向グラフで表現されるものであり、前記経路探索機能は、無向グラフを利用することにより、最短経路問題を解くグラフ理論のアルゴリズムを使用して経路探索を行う、コンピュータプログラムである。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置のコンピュータに、公道地図情報を提供する公道情報提供機能と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供機能と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供機能から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供機能から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索機能と、を実現させ、前記私有地情報提供機能は、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地が私有地地図情報に含まれるか否かを判定し、車両の現在地が私有地地図情報に含まれる場合に私有地地図情報を前記経路探索機能へ提供し、車両の現在地が私有地地図情報に含まれない場合に私有地地図情報を前記経路探索機能へ提供しない、コンピュータプログラムである。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索する経路探索装置のコンピュータに、公道地図情報を提供する公道情報提供機能と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供機能と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供機能から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供機能から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索機能と、前記公道情報提供部から提供される公道地図情報と、前記私有地情報提供部から提供される私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を表示装置に表示させる地図重畳表示機能と、を実現させ、前記地図重畳表示機能は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を変える、コンピュータプログラムであり、前記訪問者の属性として重要度「高」、「中」又は「低」が予め設定され、前記地図重畳表示機能は、前記訪問者の属性「高」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲の制限なしにし、前記訪問者の属性「中」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、前記訪問者の属性「低」の場合、前記地図表示画面に表示する地図の範囲を、前記経路探索装置が搭載された車両の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、且つ私有地内を表示しない、コンピュータプログラムである。
本発明の一態様は、第1地点から第2地点までの経路を探索するナビゲーション装置のコンピュータに、公道地図情報を提供する公道情報提供機能と、私有地地図情報を提供する私有地情報提供機能と、前記第1地点又は前記第2地点が含まれる私有地地図情報を前記私有地情報提供機能から取得し、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を前記公道情報提供機能から取得し、取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して前記第1地点から前記第2地点までの経路を探索する経路探索機能と、を実現させ、前記経路探索機能は、前記第1地点から前記第2地点までの経路の探索結果の経路情報に、私有地に含まれる経路部分を示す私有地フラグを付ける、コンピュータプログラムであり、前記ナビゲーション装置が搭載された車両に対して私有地フラグの経路部分の走行を判定し、私有地フラグの経路部分の走行開始時に、前記車両が私有地に立ち入ったことを報知する機能、をさらに前記コンピュータに実現させるコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出発地や目的地が私有地内に存在する経路の探索を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る経路探索装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る経路探索装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る経路探索方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る私有地地図情報の例を示す概念図である。
【
図5】一実施形態に係る私有地地図情報の例を示す概念図である。
【
図6】一実施形態に係る私有地の敷地全体の定義の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、経路探索装置の適用の一例として、自動運転車に搭載される経路探索装置であって自動運転車に経路情報を提供する経路探索装置を挙げる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る経路探索装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る経路探索装置のハードウェア構成例を示す図である。
図1において、経路探索装置1は、自動運転車に搭載されている。
【0013】
まず
図2を参照して、経路探索装置1のハードウェア構成例を説明する。
図2において、経路探索装置1は、CPU(Central Processing Unit)31と、記憶部32と、無線通信部33と、操作部34と、表示部35とを備える。これら各部はデータを交換できるように構成されている。CPU31は、経路探索装置1の各部を制御する。CPU31の制御機能は、CPU31がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。記憶部32は、CPU31で実行されるコンピュータプログラムや各種のデータを記憶する。記憶部32は、経路探索プログラム32aを記憶している。経路探索プログラム32aは、経路探索装置1の機能を実現させるためのコンピュータプログラムである。
【0014】
無線通信部33は、携帯電話ネットワークや無線LAN(Local Area Network)等の無線通信ネットワークを介して、経路探索装置1の外部の装置と通信を行う。操作部34は、キーボード、テンキー、マウス等の入力デバイスから構成され、ユーザの操作に応じたデータ入力を行う。表示部35は、液晶表示装置等の表示デバイスから構成され、データ表示を行う。また、データ入力とデータ表示の両方が可能なタッチパネルを備えてもよい。
【0015】
次に
図1を参照して、経路探索装置1の機能構成例を説明する。
図1において、経路探索装置1は、公道情報提供部11と、私有地情報提供部12と、経路探索部13と、地図重畳表示部14と、経路情報送信部15と、現在地測位部16と、地図表示・出発地選択部17と、地図表示・目的地選択部18と、を備える。
【0016】
公道情報提供部11は、公道地図情報を提供する。公道情報提供部11は、公道地図格納部11aとAPI(Application Programming Interface)11bとを備える。公道地図格納部11aは、公道地図情報を格納する。公道地図情報は、公道の地図情報である。API11bは、公道地図情報の取得要求を受け付け、当該取得要求に応じて、公道地図格納部11aから公道地図情報を取得して提供する。
【0017】
なお、公道情報提供部11は、無線通信部33により、地図情報提供ウェブサイトにアクセスし、当該地図情報提供ウェブサイトから公道地図情報を取得してもよい。当該地図情報提供ウェブサイトから取得された公道地図情報は、公道地図格納部11aに格納されたり、又は、API11bが受け付けた取得要求への応答に使用されたりする。
【0018】
私有地情報提供部12は、私有地地図情報を提供する。私有地情報提供部12は、私有地地図格納部12aとAPI12bとを備える。私有地地図格納部12aは、私有地地図情報を格納する。私有地地図情報は、私有地の地図情報であって私道の地図情報を含む情報である。API12bは、私有地地図情報の取得要求を受け付け、当該取得要求に応じて、私有地地図格納部12aから私有地地図情報を取得して提供する。
【0019】
経路探索部13は、出発地(第1地点)から目的地(第2地点)までの経路を探索する機能を備える。経路探索部13は、公道情報取得部13aと私道情報取得部13bとを備える。公道情報取得部13aは、出発地から目的地までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を公道情報提供部11から取得する。私道情報取得部13bは、出発地又は目的地が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部12から取得する。経路探索部13は、該取得した私有地地図情報と公道地図情報を使用して出発地から目的地までの経路を探索する。
【0020】
地図重畳表示部14は、公道情報提供部11から提供される公道地図情報と、私有地情報提供部12から提供される私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を表示部35に表示させる。地図表示画面は、公道地図情報と私有地地図情報とが1つの地図上に視覚的に重畳して表示される画面である。地図重畳表示部14は、公道地図情報の地域内に私有地地図情報の私有地が含まれる場合、公道地図情報の地域内の私有地の該当領域に、私有地地図情報の私有地の該当領域を重畳して表示させる地図表示画面を生成する。
【0021】
経路情報送信部15は、経路探索部13による出発地から目的地までの経路の探索結果の経路情報を、自動運転車の自動運転車制御部51へ送信する。出発地又は目的地が私有地である場合、出発地から目的地までの経路の探索結果の経路情報は、私有地地図情報を含む情報になる。一方、出発地と目的地の両方が私有地ではない場合、出発地から目的地までの経路の探索結果の経路情報は、私有地地図情報を含まない情報になる。自動運転車制御部51は、経路情報送信部15から受信した経路情報に示される出発地から目的地までの経路に基づいて、出発地から目的地までの自動運転を行う。
【0022】
現在地測位部16は、自動運転車の現在地を測位する。現在地測位部16は、GPS(Global Positioning System)等の位置測位手段を備える。
【0023】
地図表示・出発地選択部17は、公道情報提供部11から公道地図情報を取得して表示部35に画面表示させることにより、ユーザに公道地図情報を視覚的に提示する。地図表示・出発地選択部17は、現在地測位部16から自動運転車の現在地を取得して、公道地図情報の表示画面上に自動運転車の現在地を示す印を表示させる。地図表示・出発地選択部17は、表示部35の表示画面上に視覚的に表示された地図上の任意の位置をユーザが指定するための位置指定手段を提供する。位置指定手段は、例えば、ユーザがタッチパネルにタッチした位置に対応する地図上の位置を検出する。
【0024】
地図表示・出発地選択部17は、公道地図情報が表示された画面から出発地の指定を位置指定手段により受け付ける。地図表示・出発地選択部17は、公道地図情報が表示された画面から指定された位置を出発地に選択する。地図表示・出発地選択部17は、選択結果の出発地を示す出発地位置情報を経路探索部13へ送る。出発地位置情報は、出発地の緯度及び経度である。又は、出発地位置情報は、出発地の緯度及び経度から一意に相互変換可能な座標情報であってもよい。なお、地図表示・出発地選択部17は、住所等の位置識別情報の指定により位置の指定を受け付け、該指定された位置を出発地に選択してもよい。
【0025】
地図表示・目的地選択部18は、公道情報提供部11から公道地図情報を取得して表示部35に画面表示させることにより、ユーザに公道地図情報を視覚的に提示する。地図表示・目的地選択部18は、表示部35の表示画面上に視覚的に表示された地図上の任意の位置をユーザが指定するための位置指定手段を提供する。位置指定手段は、例えば、ユーザがタッチパネルにタッチした位置に対応する地図上の位置を検出する。
【0026】
地図表示・目的地選択部18は、公道地図情報が表示された画面から目的地の指定を位置指定手段により受け付ける。地図表示・目的地選択部18は、公道地図情報が表示された画面から指定された位置を目的地に選択する。地図表示・目的地選択部18は、選択結果の目的地を示す目的地位置情報を経路探索部13へ送る。目的地位置情報は、目的地の緯度及び経度である。又は、目的地位置情報は、目的地の緯度及び経度から一意に相互変換可能な座標情報であってもよい。なお、地図表示・目的地選択部18は、住所等の位置識別情報の指定により位置の指定を受け付け、該指定された位置を目的地に選択してもよい。
【0027】
次に
図3を参照して、本実施形態に係る経路探索装置1の経路探索方法を説明する。
図3は、本実施形態に係る経路探索方法の一例を示すフローチャートである。
【0028】
(ステップS1) 地図表示・出発地選択部17は、出発地を選択し、選択結果の出発地を示す出発地位置情報(緯度及び経度)を経路探索部13へ送る。地図表示・目的地選択部18は、目的地を選択し、選択結果の目的地を示す目的地位置情報(緯度及び経度)を経路探索部13へ送る。
【0029】
(ステップS2) 経路探索部13の私道情報取得部13bは、出発地位置情報の出発地の緯度及び経度、又は、目的地位置情報の目的地の緯度及び経度が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部12から取得する。これにより、私道情報取得部13bは、出発地が私有地内に存在する場合、出発地が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部12から取得する。また、私道情報取得部13bは、目的地が私有地内に存在する場合、目的地が含まれる私有地地図情報を私有地情報提供部12から取得する。
【0030】
(ステップS3) 経路探索部13は、該取得した私有地地図情報から、出発地又は目的地の私道を特定する。これにより、経路探索部13は、出発地が私有地内に存在する場合、出発地が含まれる私有地地図情報の私道であって出発地の私道を特定する。また、経路探索部13は、目的地が私有地内に存在する場合、目的地が含まれる私有地地図情報の私道であって目的地の私道を特定する。
【0031】
(ステップS4) 経路探索部13の公道情報取得部13aは、出発地位置情報の出発地から目的地位置情報の目的地までの経路の探索の対象の地域の公道地図情報を公道情報提供部11から取得する。出発地から目的地までの経路の探索の対象の地域は、出発地及び目的地を含む地域であって所定の大きさの範囲の地域である。
【0032】
(ステップS5) 経路探索部13は、該取得した公道地図情報から、出発地又は目的地の私道に連絡する公道を特定する。これにより、経路探索部13は、出発地が私有地内に存在する場合、出発地の私道に連絡する公道を特定する。また、経路探索部13は、目的地が私有地内に存在する場合、目的地の私道に連絡する公道を特定する。
【0033】
経路探索部13は、特定した私道及び公道を含むようにして、出発地から目的地までの経路を探索する。この探索の結果の経路は、出発地から目的地までの経路であって、出発地又は目的地が私有地内に存在する場合に私有地内の出発地又は目的地の私道と当該私道に連絡する公道とを含む経路であり、出発地及び目的地の両方が私有地内に存在する場合には私有地内の出発地の私道と私有地内の目的地の私道と当該出発地の私道に連絡する公道と当該目的地の私道に連絡する公道とを含む経路である。当該探索の結果の経路によれば、自動運転車の自動運転車制御部51に対して、私有地内の出発地や目的地を含む経路を提示できる。
【0034】
(ステップS6) 経路情報送信部15は、経路探索部13による出発地から目的地までの経路の探索結果の経路情報を、自動運転車の自動運転車制御部51へ送信する。
【0035】
本実施形態によれば、出発地や目的地が私有地内に存在する経路の探索を行うことができる。これにより、自動運転車の自動運転車制御部51に対して、私有地内の出発地や目的地を含む経路を提示できるので、別途、運転者が私有地内の運転を行うといった不便さを解消することができる。
【0036】
例えば、自動運転車の応用例として、老人向けモビリティ(自動運転タクシー)の提供サービスがある。このような自動運転車の提供サービスでは、ごく短距離とはいえ自宅敷地内の自宅玄関から自宅敷地に面した公道までの移動を乗客に強いることが難しい場合がある。本実施形態によれば、自宅敷地内の自宅玄関と自宅敷地に面した公道との間の私道においても、自動運転車による自動運転走行が可能になる。これにより、自宅玄関から自宅敷地に面した公道までの移動を乗客に強いることが不要になるので、自動運転車の提供サービスの向上に寄与できる。
【0037】
[私有地地図情報のアクセス制限]
私有地地図情報は、私有地の地図情報であるので、プライバシー保護の観点からアクセス制限を設けることも好ましい。以下、私有地地図情報のアクセス制限の例を説明する。
【0038】
(私有地地図情報のアクセス制限の例1)
私有地地図情報のアクセス制限の例1では、自動運転車が私有地内に存在することを条件にして私有地地図情報を提供することを許可する。
私有地情報提供部12は、経路探索装置1が搭載された自動運転車の現在地が私有地地図情報に含まれるか否かを判定する。自動運転車の現在地は、現在地測位部16から私有地情報提供部12へ通知される。私有地情報提供部12は、自動運転車の現在地が私有地地図情報に含まれる場合に私有地地図情報を経路探索部13へ提供する。一方、私有地情報提供部12は、自動運転車の現在地が私有地地図情報に含まれない場合には私有地地図情報を経路探索部13へ提供しない。
【0039】
(私有地地図情報のアクセス制限の例2)
私有地地図情報のアクセス制限の例2では、私有地への訪問者に事前に発行された共通鍵に基づく認証処理が合格することを条件にして私有地地図情報を提供することを許可する。
私有地情報提供部12は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者に事前に発行された共通鍵を保持する。私有地情報提供部12は、当該共通鍵に基づく認証処理を行う。例えば、ユーザの端末(例えばスマートフォン)と無線通信部33による通信により、共通鍵を使用した所定の認証処理を実行する。私有地情報提供部12は、当該認証処理が合格した場合に私有地地図情報を経路探索部13へ提供する。一方、私有地情報提供部12は、当該認証処理が合格しない場合には私有地地図情報を経路探索部13へ提供しない。
【0040】
(私有地地図情報のアクセス制限の例3)
私有地地図情報のアクセス制限の例3では、私有地地図情報の提供料金の支払いを条件にして私有地地図情報を提供することを許可する。
私有地情報提供部12は、私有地地図情報の提供料金の課金処理を行う。例えば、所定の前払い方式により私有地地図情報の提供料金の決済を行う。私有地情報提供部12は、私有地地図情報の提供料金が支払われた場合に私有地地図情報を経路探索部13へ提供する。一方、私有地情報提供部12は、私有地地図情報の提供料金が支払われていない場合には私有地地図情報を経路探索部13へ提供しない。
【0041】
上記した私有地地図情報のアクセス制限の例1,例2,例3は、単独で適用されてもよく、又は、複数が組み合わされて適用されてもよい。
【0042】
[私有地地図情報の表示制限]
私有地地図情報は、私有地の地図情報であるので、プライバシー保護の観点から表示制限を設けることも好ましい。以下、私有地地図情報の表示制限の例を説明する。
【0043】
(私有地地図情報の表示制限の例1)
私有地地図情報の表示制限の例1では、私有地への訪問者の属性に応じて、地図表示画面に表示する地図の範囲を変える。
地図重畳表示部14は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、公道地図情報と私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面に表示する地図の範囲を変える。訪問者の属性は、訪問者の訪問先の私有地の所有者が承認した属性が事前に例えば無線通信部33による通信により経路探索装置1に設定される。訪問者の属性として、例えば、重要度「高」、「中」又は「低」が挙げられる。この場合の地図表示画面に表示する地図の範囲の変え方の例を示す。訪問者の属性「高」の場合、地図表示画面に表示する地図の範囲の制限なしにする。訪問者の属性「中」の場合、地図表示画面に表示する地図の範囲を自動運転車の現在地の周囲の所定の大きさに制限する。訪問者の属性「低」の場合、地図表示画面に表示する地図の範囲を自動運転車の現在地の周囲の所定の大きさに制限し、且つ、私有地内を表示しない。
【0044】
(私有地地図情報の表示制限の例2)
私有地地図情報の表示制限の例2では、私有地への訪問者の属性に応じて、地図表示画面に表示する地図の詳細度を変える。
地図重畳表示部14は、私有地地図情報に含まれる私有地への訪問者の属性に応じて、公道地図情報と私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面に表示する地図の詳細度を変える。訪問者の属性は、訪問者の訪問先の私有地の所有者が承認した属性が事前に例えば無線通信部33による通信により経路探索装置1に設定される。訪問者の属性として、例えば、重要度「高」、「中」又は「低」が挙げられる。この場合の地図表示画面に表示する地図の詳細度の変え方の例を示す。訪問者の属性「高」の場合、地図表示画面に表示する地図の詳細度を制限なしにする。訪問者の属性「中」の場合、地図表示画面に表示する地図の詳細度を道路のみの表示に制限する。訪問者の属性「低」の場合、地図表示画面に表示する地図の詳細度を道路のみの表示に制限し、且つ、私道を表示しない。
【0045】
上記した私有地地図情報の表示制限の例1,例2は、単独で適用されてもよく、又は、複数が組み合わされて適用されてもよい。
【0046】
[経路情報への私有地フラグの付加]
自動運転車が私有地内へ立ち入ることは、プライバシー保護の観点から、自動運転車の乗車者に報知し、注意を促すことが好ましい。
経路探索部13は、出発地から目的地までの経路の探索結果の経路情報に、私有地に含まれる経路部分を示す私有地フラグを付ける。自動運転車制御部51は、私有地フラグの経路部分の走行を判定し、私有地フラグの経路部分の走行開始時に自動音声再生等により自動運転車が私有地に立ち入ったことを報知する。また、自動運転車制御部51は、私有地フラグの経路部分の走行時の速度を所定の私有地内規定速度以下に制御する。
【0047】
[私有地地図情報について]
私有地地図情報は、私有地の地図情報であるので、プライバシー保護の観点から、私有地のプライバシー情報を取得することの許可を得た者が作成することが好ましい。また、私有地地図情報は、公道地図情報に重畳して表示できるように作成されることが、公道地図情報と私有地地図情報とを重畳して表示する地図表示画面を生成する上で好ましい。
【0048】
私有地地図情報は、自動運転車が自己位置推定や自律走行に使用する自動運転車用高精度地
図53から生成されてもよい。自動運転車用高精度地
図53は、自動運転車が私有地内を走行する場合に、例えば自動運転車の所有者が私有地のプライバシー情報を取得することの許可を得た上で、私有地の領域を事前に測量することにより作成される。自動運転車用高精度地
図53は、道路の3次元構造をメタデータにより表現している。このため、一般に道路の形状や道路のグラフ表現を自動運転車用高精度地
図53から容易に抽出可能である。道路形状抽出部52は、自動運転車用高精度地
図53から私有地内の私道の地図情報である道路形状情報を抽出する。私有地地図格納部12aは、当該道路形状情報を私有地地図情報として格納する。
【0049】
なお、私有地地図情報が自動運転車用高精度地
図53から生成されることにより、自動運転車制御部51に提供される経路情報が自動運転車用高精度地
図53に基づく私有地地図情報から生成されることになるので、自動運転車用高精度地
図53と経路情報との整合性がよく、自動運転車制御部51による自動運転車の自動運転制御の性能が向上する。
【0050】
図4及び
図5は、私有地地図情報の例を示す概念図である。
図4及び
図5に示される私有地地図情報100は説明の便宜上の例である。私有地地図情報100は、
図4に示されるように、私道が複数の多角形領域の集合(結合)として表現される。多角形は複数の頂点112によって表現される。さらに、私有地地図情報100は、
図5に示されるように、私道が無向グラフで表現される。無向グラフは複数のノード122によって表現される。
図5に示される無向グラフを利用することにより、ダイクストラ(Dijkstra)法などの最短経路問題を効率的に解くグラフ理論のアルゴリズムを使用して経路探索を行うことができる。なお、無向グラフのノード間ごとの重みの定義が必要な場合には、ノード間ごとの重みの情報をさらに私有地地図情報100に含める。
【0051】
また、私有地内の私道以外の非私道部分も含む「私有地の敷地全体」の定義についても私有地地図情報に含める。「私有地の敷地全体」は、地図上の任意の多角形領域として定義する。多角形領域は、複数の頂点によって表現される。
図6は、私有地の敷地全体の定義の説明図である。
図6に示される地図は説明の便宜上の例である。
図6に示される公道地図情報200内に私有地210の領域が存在する。公道地図情報200には、公道202が存在する。この例では、私有地210内を公道202が通っている。しかし、私有地210内の私道は、公道地図情報200には存在しない。私有地210の敷地全体は、複数の頂点212によって表現される多角形領域で示される。私有地210の私有地地図情報は、私有地210の敷地全体の定義情報として複数の頂点212の位置情報(緯度及び経度)を持つ。これにより、公道地図情報200内の私有地210の領域と、私有地210の私有地地図情報とを対応付けることができる。
【0052】
上述した「私有地の敷地全体」の定義によって、地図表示・出発地選択部17によりユーザから出発地の指定を受け付けるときに、ユーザが私有地210内の私道以外の部分を出発地に指定した場合であっても、当該指定された出発地が私有地210の敷地全体の内に含まれることを判定することができる。地図表示・目的地選択部18による目的地の選択においても同様である。
【0053】
なお、私有地地図情報は任意の形式で記述可能であるが、「GeoJSON」と呼ばれるフォーマットを使用すれば、1つの私有地に対して、上述の道路図形(
図3)、無向グラフ(
図5)及び敷地全体の定義を構造的に記述することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0055】
上述した実施形態では、経路探索装置が自動運転車に搭載される場合を例に挙げたが、経路探索装置は自動運転車以外の車両に搭載されてもよい。この場合、経路探索装置は経路情報を表示部に表示される地図画面上に表示し、運転者の案内(ナビゲーション)を行うようにしてもよい。又は、経路探索装置は車両に搭載されなくてもよい。例えば、経路探索装置は通信ネットワークを介して車両と通信を行う経路探索サーバ装置として構成されてもよい。又は、経路探索装置はオフラインで第1地点から第2地点までの経路を探索する装置として構成されてもよい。
【0056】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0057】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1…経路探索装置、11…公道情報提供部、12…私有地情報提供部、13…経路探索部、14…地図重畳表示部、15…経路情報送信部、16…現在地測位部、17…地図表示・出発地選択部、18…地図表示・目的地選択部、31…CPU、32…記憶部、32a…経路探索プログラム、33…無線通信部、34…操作部、35…表示部