(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】圧力カートリッジ及び作動機構
(51)【国際特許分類】
F17C 13/06 20060101AFI20220210BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
F17C13/06 301A
F17C13/00 301Z
(21)【出願番号】P 2018546407
(86)(22)【出願日】2016-11-23
(86)【国際出願番号】 US2016063660
(87)【国際公開番号】W WO2017151197
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2019-11-11
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518180814
【氏名又は名称】アクティバックス,インク.
【氏名又は名称原語表記】AKTIVAX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ゲノサー,アミール
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0054152(US,A1)
【文献】特開2007-154968(JP,A)
【文献】特開2002-193170(JP,A)
【文献】実開昭61-61399(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0073674(US,A1)
【文献】特許第5965946(JP,B2)
【文献】米国特許第7712406(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧物質を収容している封止されたカートリッジであって、
第1の端部と、前記第1の端部と反対側にある第2の端部と、を有する細長ボディであって、前記ボディが略円筒形状であり、少なくとも前記第1の端部が、開いて前記加圧物質を解放するように構成されている、前記細長ボディと、
前記ボディから、前記カートリッジの前記細長方向に垂直な半径方向に延びるフランジであって、前記フランジは前記細長ボディの直径よりも大きい直径を有する、前記フランジと、
前記ボディの周囲に配置されたコイルばねであって、前記コイルばねは、前記フランジをベースプレートに支持された破裂させる部材に向けて付勢するように前記フランジに支持されている、前記コイルばねと、を含み、
前記フランジは、前記フランジから延びる脚部であって、作動機構を有する回転プレートと接触する脚部を含むことで、前記回転プレートが回転して前記回転プレートの開口部を前記脚部に合わせ、前記破裂させる部材が前記カートリッジに穴をあけるように前記カートリッジを軸方向に動かせるまで、前記カートリッジが前記破裂させる部材に向かって動くことを抑制する、
カートリッジ。
【請求項2】
前記ボディは、前記第1の端部及び前記第2の端部のうちの少なくとも一方を画定している少なくとも1つの蓋を含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記フランジは、前記カートリッジの前記第1の端部に位置するか、前記第1の端部の近くに位置する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記ボディはレセプタクル及び蓋を含み、前記フランジは前記蓋と一体化されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記ボディはレセプタクル及び蓋を含み、前記フランジは前記レセプタクルと一体化されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記フランジと前記ボディとの接合が、留め具、ねじ、接着剤、溶接、はんだ付け、圧入、機械的干渉、及びリテーナリングのうちの少なくともいずれかによって行われる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記ボディは、
開口部と、
前記ボディと接合されて、前記開口部を上から流体密封に封止しているメンブレンと、
を含み、
前記メンブレンは前記ボディより穴をあけやすい、
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記フランジは棚状突起を含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項9】
加圧物質を収容している
細長の封止されたカートリッジであって、
略円筒形状を有し、前記略円筒形状の軸に沿った細長方向に延びている細長ボディであって、
レセプタクルと、
少なくとも1つの蓋と、
前記
細長ボディの少なくとも1つの開口部と、
を含む前記
細長ボディと、
前記
細長ボディと接合されて、前記開口部を上から流体密封に封止しているメンブレンと、
前記
細長ボディから、前記
細長の封止されたカートリッジの前記細長方向に垂直な半径方向に延びるフランジであって、前記フランジは前記細長ボディの直径よりも大きい直径を有する、前記フランジと、
前記
細長ボディの周囲に配置されたコイルばねであって、前記コイルばねは、前記フランジをベースプレートに支持された破裂させる部材に向けて付勢するように前記フランジに支持されている、前記コイルばねと、
を含み、
前記フランジは、前記フランジから延びる脚部であって、作動機構を有する回転プレートと接触する脚部を含むことで、前記回転プレートが回転して前記回転プレートの開口部を前記脚部に合わせ、前記破裂させる部材が前記
細長の封止されたカートリッジに穴をあけるように前記
細長の封止されたカートリッジを軸方向に動かせるまで、前記
細長の封止されたカートリッジが前記破裂させる部材に向かって動くことを抑制し、
前記メンブレンは前記
細長ボディより穴をあけやすい、
細長の封止されたカートリッジ。
【請求項10】
前記メンブレンと前記
細長ボディとの接合が、溶接、ポイント溶接、レーザ溶接、誘導溶接、摩擦溶接、超音波溶接、グルー接着、封止、圧着、圧入、及びはんだ付けのうちの少なくともいずれかによって行われる、請求項9に記載の
細長の封止されたカートリッジ。
【請求項11】
前記
細長ボディは、ステンレス鋼、鋼、合金、及びプラスチック材料のうちの少なくともいずれかで作られる、請求項9に記載の
細長の封止されたカートリッジ。
【請求項12】
前記メンブレンは、ステンレス綱、鋼、合金、プラスチック、薄膜、フォイル、及びラミネートウェブのうちの少なくともいずれかで作られる、請求項9に記載の
細長の封止されたカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年11月24日に出願された米国特許仮出願第62/259,481号、並びに2016年8月30日に出願された米国特許仮出願第62/381,503号の優先権を主張するものであり、これらは両方とも、参照により全内容が本明細書に組み込まれている。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明は、合衆国国防総省によって授与されたSBIR Phase II契約W911QY-14-C-0048の下に政府支援を受けてなされたものである。政府は本発明に対し一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、破裂可能な加圧カートリッジに関する。より具体的には、本開示は、圧力カートリッジ、及び圧力カートリッジを破裂させる機構に関する。
【背景技術】
【0004】
破裂可能な圧力カートリッジは、典型的には、細長い管状ボディの形状であり、薄い金属メンブレンで封止された一端でネックダウンされており、鋭利な物体によって穴をあけられるように構成されている。加圧カートリッジは、圧力キャニスタと呼ばれることもあり、様々な加圧流体、例えば圧縮された窒素又はアルゴン、或いは超臨界流体、例えば二酸化炭素が充填されてよい。後者は、比較的小さいカートリッジに多量のエネルギを貯蔵できることから、よく使用される。市販のカートリッジは様々な装填量で提供されてよく、よく使用される装填量の幾つかは1グラム、8グラム、及び12グラムである。
【0005】
破裂可能な圧力カートリッジは用途が広範であり、例えば、医療薬剤自己注射器、ペイントボール銃、緊急用タイヤ空気注入キット、膨張式救命胴衣などの用途がある。実際の適用では、カートリッジは、ユーザの操作に応じてキャニスタを破裂させるように構成された作動機構に関連付けられている。様々な状況でのカートリッジのメンブレンの偶発的な破裂を避ける為に、メンブレンは、厚みが十分にある金属で作られる。しかしながら、それは、メンブレンを破裂させるのに、それだけ大きい力をかけなければならないということである。
【0006】
カートリッジ端部をネックダウンさせることにより、より破裂させやすい、より薄いメンブレンの使用が可能になり、これによって、カートリッジ内の加圧流体によってかかる力を小さくできる。一方、用途によっては、加圧流体をカートリッジから素早く放出することが必要であり、その為には破裂可能メンブレンを大きくしなければならない。これらの様々なトレードオフの間で、二酸化炭素の破裂可能カートリッジは、直径が約3mmのメンブレンを使用し、破裂させるには、鋭利な穴あけ物体により、約15~40ポンドをメンブレンに直接かけることが必要である。用途によっては、カートリッジを破裂させる為にそのような大きい力をユーザがかけるのは実用的ではなく望ましくもない。
【0007】
多くの救命胴衣の設計では、ユーザによる作動力を大幅に減らすフォースマルチプライヤを備えたレバーが実装されている。救命胴衣の設計や自己注射器の設計によっては、カートリッジの破裂を作動させる為に、あらかじめ負荷をかけられたばねとばね解放機構とが使用されている。このばねは、作動機構によっては、30ポンドを超える負荷があらかじめかけられる。ばね作動機構の欠点としては、(a)大きくて扱いにくい、(b)長期にわたってばねを保持する為には補強構造が必要である、(c)高コストの可能性がある、(d)作動が早くなりすぎるリスクがある、などがある。
【0008】
従って、メンブレンを破裂させる直接力がより小さくてよい、破裂可能な加圧カートリッジを有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本概要は、幾つか選んだ概念を簡略化形式で紹介するものであり、これらについては後で「発明を実施するための形態」で詳述する。この「発明の概要」、及び上述の「背景技術」は、特許請求対象の重要な態様又は不可欠な態様を明らかにすることを意図していない。更にこの「発明の概要」は、特許請求対象の範囲の決定の支援として使用されることを意図していない。
【0011】
本明細書に記載のカートリッジの様々な実施形態は、消費者用機器を動作させる為のエネルギを供給することを目的としている。本明細書に記載の様々な実施形態によるカートリッジ及び作動機構は、第1の破裂段階及び第2の破裂段階を含む、カートリッジの段階的な破裂を実施することにより、手動の作動力が小さくてすむように構成されており、第1の破裂段階では、破裂させる力が小さくてよい、カートリッジの小さな破裂が実施され、第2の破裂段階では、より大きな破裂させる力を必要とする(第1の破裂段階での破裂に比べて)カートリッジのより大きな破裂が実施される。第1の破裂段階は、必要最小限の加圧流体をカートリッジから放出することを可能にし、この放出が、第2の破裂段階のカートリッジ破裂を自動的に、空気圧により実施することに適用される。第2の破裂段階は、消費者用機器の動作をサポートする為に大量の加圧流体をカートリッジから放出することを可能にする。
【0012】
本開示の一態様によれば、カートリッジは、第1の破裂段階において破裂可能な第1のメンブレンと、第2の破裂段階において破裂可能な第2のメンブレンと、を含む。本開示の別の態様によれば、第1のメンブレンは、第2のメンブレンより小さい力で破裂するように構成されている。本開示の別の態様によれば、作動機構は、第1の破裂段階においてカートリッジを破裂させる為の第1の破裂させる部材と、第2の破裂段階においてカートリッジを破裂させる為の第2の破裂させる部材と、を含む。本開示の別の態様によれば、第1の破裂させる部材は、小さい力でカートリッジを破裂させるように構成されており、第2の破裂させる部材は、その小さい力より大きい力でカートリッジを破裂させるように構成されている。
【0013】
カートリッジは、第1の破裂させる部材で封止された、加圧流体の第1のコンパートメントと、第2の破裂可能メンブレンで封止された第2のコンパートメントと、を有してよい。
【0014】
本開示の一装置では、この装置は、第1の破裂段階において破裂可能な第1の加圧カートリッジと、第2の破裂段階において破裂可能な第2の加圧カートリッジと、を含む。
【0015】
本開示の別の態様によれば、カートリッジの部材に小さい破裂させる力をかける製造工程が教示される。
【0016】
本開示の一態様によれば、圧力カートリッジはフランジを含む。本開示の一態様によれば、フランジは、ばねを支持するように構成されている。本開示の一態様によれば、フランジは作動機構を提供する。
【0017】
本開示の一態様によれば、カートリッジの破裂させる部材が、比較的小さい力でカートリッジの破裂可能メンブレンに比較的大きい流路を開くことを、メンブレンにカンチレバの切り込みを入れることにより行うように構成されている。
【0018】
本明細書に記載のカートリッジのこれらの態様及び他の態様は、本明細書の「発明を実施するための形態」及び図面を検討することにより明らかになるであろう。しかしながら、当然のこととして、特許請求対象の範囲は、発行されるクレームによって決定されるべきであり、与えられた主題が、「背景技術」で提起された一部又は全ての問題に対処するかどうか、或いはこの「発明の概要」に記載されたいずれかの特徴又は態様を含むかどうかによって決定されるべきではない。
【0019】
以下の図面を参照しながら、好ましい実施形態を含む、本開示のベアリングアイソレータの非限定的且つ非包括的な実施形態を説明する。特に断らない限り、様々な図面を通して、類似の参照符号は類似の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1d】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、この装置は、2つの破裂可能メンブレンを有するカートリッジを含み、封止されたアクチュエーションチャンバはOリングで封止されている。
【
図2】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、作動チャンバがOリングで封止されていない装置を示す図である。
【
図3】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、作動チャンバが圧力抽気通路を含む装置を示す図である。
【
図4】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、ばねによってカートリッジが第1の破裂させる部材から離れるように付勢されている装置を示す図である。
【
図5】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、ばねが第2のカートリッジ破裂の閾値作動力を制御する装置を示す図である。
【
図6】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、カートリッジの、第1の破裂可能メンブレンを収容している第1のネック端部の直径が、第2の破裂可能メンブレンを収容している第2のネック端部の直径より小さい装置を示す図である。
【
図7】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、カートリッジが管状形状であり、カートリッジのメンブレン端部にネック領域がない装置を示す図である。
【
図8c】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、カートリッジが1つの破裂可能メンブレンを有し、作動機構がふいごアクチュエータを含む装置を示す図である。
【
図9b】本明細書に記載の様々な実施形態による、第1のカートリッジからの圧力を利用して第2のカートリッジを破裂させる作動機構を示す図である。
【
図10b】本明細書に記載の様々な実施形態によるカートリッジの構造を示す図である。
【
図11b】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧力カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、カートリッジがフランジを含む装置を示す図である。
【
図12c】本明細書に記載の様々な実施形態による、破裂させる部材と破裂の過程とを示す図である。
【
図13】本明細書に記載の様々な実施形態による、別の破裂させる部材を示す図である。
【
図14b】本明細書に記載の様々な実施形態による、別の破裂させる部材を示す図である。
【
図15】本明細書に記載の様々な実施形態による、フランジを含むカートリッジ構造を示す図である。
【
図16】本明細書に記載の様々な実施形態による、メンブレンに穴をあける部材を含むカートリッジ構造を示す図である。
【
図17】本明細書に記載の様々な実施形態による、圧着接合部を有するカートリッジ構造を示す図である。
【
図18】本明細書に記載の様々な実施形態による、同心環状のカートリッジボディ及び蓋を有するカートリッジ構造を示す図である。
【
図19b】本明細書に記載の様々な実施形態による、メンブレン部材がカートリッジボディと蓋との間を延びているカートリッジ構造を示す図である。
【
図20】本明細書に記載の様々な実施形態による、カートリッジボディが穴あけ領域を含むカートリッジ構造を示す図である。
【
図21】本明細書に記載の様々な実施形態による、カートリッジが2つの蓋とともに形成されているカートリッジ構造を示す図である。
【
図22b】本明細書に記載の様々な実施形態による、カートリッジが低融点材料で封止されているカートリッジ装置構造を示す図である。
【
図23c】本明細書に記載の様々な実施形態による、カートリッジと作動機構からなる装置を示す図であり、カートリッジがフランジを含み、作動機構が半径方向の動きによって解放される装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、添付図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。添付図面は本明細書の一部を成しており、説明の為の特定の例示的実施形態を示している。これらの実施形態は、当業者であれば本発明を実施できるように、十分詳細に開示されている。しかしながら、実施形態は多様な形態で実施されてよく、本発明で説明される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。従って、以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0022】
図1aから
図1bは、圧力カートリッジと作動機構からなる装置100を示しており、これは、作動力を小さく保ちながら、カートリッジを破裂させてカートリッジ131から加圧流体を急速解放するように構成されている。圧力カートリッジと作動機構からなる装置100は、救命胴衣や医療薬剤送達用自己注射器などの消費者用機器に圧力又はエネルギを供給することを目的としている。
【0023】
カートリッジ131は、堅く細長い管状壁で作られてよく、第1の破裂可能メンブレン(以下では第1のメンブレンと呼ぶこともある)で封止された第1の端部134と、第2の破裂可能メンブレン(以下では第2のメンブレンと呼ぶこともある)で封止された第2の端部132と、を含んでよい。カートリッジ131は、第1のケーシング121内に可動に配置されており、第1のケーシング121は、第1のメンブレン135と向かい合う第1の破裂させる部材122を含む。カートリッジ131と第1のケーシング121との間は、Oリング封止材124によって流体密封に封止されている。カートリッジ131と第1のケーシング121との間に圧力チャンバ123が形成されている。第1のケーシング121及びカートリッジの第2の端部132の上に第2のケーシング111が可動に配置されており、第2のケーシング111は、第2のメンブレン133と向かい合う位置に、第2の破裂させる部材112を含む。
【0024】
図1bは、使用前構成の装置100の長手方向断面を示す。第1の破裂させる部材122、及び第2の破裂させる部材112は、第1の破裂させる部材122が第1のメンブレン135を破裂させること(以下、第1の破裂と呼ぶこともある)に必要な力が、第2の破裂させる部材112が第2のメンブレン133を破裂させること(以下、第2の破裂と呼ぶこともある)に必要な力より小さくなるように構成されている。これは、各破裂させる部材112/122の鋭利度、丸み、直径、切り込み形状、固さなどの特性のうちの少なくとも1つの特性によって達成可能である。一装置では、第1の破裂に必要な力は8重量ポンドを下回り、第2の破裂に必要な力は20重量ポンドを上回る。
【0025】
装置によっては、第1及び第2の破裂させる力の制御は、破裂可能メンブレンの材料、厚さ、及び製造工程の設計によって補われてよい。一装置では、第2のメンブレン133は、亜鉛が電気めっきされており、第1のメンブレン135は、亜鉛のより薄い層がコーティングされているか、何もコーティングされておらず、このことが、第1のメンブレン135を破裂させる力を小さくすることに寄与している。研究室での実験で、あるタイプの破裂させる部材と、あるタイプのメンブレンとについて、電気めっきをした場合と、しなかった場合とで破裂させる力を比べると、それぞれ20~22重量ポンドと6~8重量ポンドであった。
【0026】
第2の破裂によって第2のメンブレン133には格段に大きい開口ができ、これによって、装置100が作用する消費者用機器にエネルギを即時供給することが可能になる。第2の破裂に必要な力をユーザ又は機器が直接かけるのは現実的とは言えないであろう。第1の破裂させる力は、ユーザ又は機器が直接かけるのが現実的であるように調整される。
【0027】
第1の破裂させる部材122のシャンクは、カートリッジ131からの加圧流体のベントを促進するように構成された湾曲部125を含んでよい。第1の破裂の過程では、第1の破裂させる部材122の先端は、第1のメンブレン135の塑性変形を引き起こし、これは、湾曲部125が第1のメンブレン135の切り込み領域に達した時点で加圧流体の実質的な流路を与える。カートリッジ131は、加圧流体が気体状態又は二相超臨界状態で充填されている。カートリッジ131に充填されてよい加圧流体の例として、二酸化炭素、窒素、アルゴンなどがある。
【0028】
図1cは、第1の破裂状態の装置100を示す。第1のケーシング121と第2のケーシング111とが互いに向かって動かされ、これによって、第2の破裂させる部材112は、第2のメンブレン133に押し当てられて、カートリッジ131を第1のケーシング121に対して動かし、これによって、第1の破裂させる部材122は第1のメンブレン135に穴をあける(第1の破裂)。第1の破裂によって、圧力チャンバ123が加圧され、カートリッジ131が第2の破裂させる部材112に向かって付勢される。第1の破裂による加圧流体の解放が比較的ゆっくりであっても、圧力チャンバ123は急速に加圧される。
【0029】
一装置では、加圧流体は超臨界状態の二酸化炭素であり、カートリッジ131の直径は3/8インチであり、室温において、第2の破裂させる部材112に向かう付勢力は、第2の破裂に十分な力である500ニュートン(100重量ポンド)を超えうる。
【0030】
Oリング封止材124は、流体が圧力チャンバ123から漏れるのを防ぎ、これによって、カートリッジ131を第2の破裂させる部材112に向かって動かす為の最大限の圧力がかけられる。
図1dは、第2の破裂状態の装置100を示す。圧力チャンバ123内の圧力によって、カートリッジ131が第2のメンブレン133の方向に動かされ、これによって、第2の破裂させる部材112が第2のメンブレン133を破裂させる(第2の破裂)。第2の破裂の大きさは、加圧流体をカートリッジ131からベント穴113を通して消費者用機器に向けて急速解放するのに十分である。
【0031】
図1aから
図1dに示されたプロセスは、加圧流体をカートリッジ131から急速解放する装置100を示しており、この装置では、カートリッジ131内の加圧流体を自己破裂に使用することにより、ユーザによる作動力が小さくてよい。この装置100により、先行技術において実施されている機械式レバー、強力ばね、及び複雑で高コストでかさばる構造が不要になる。
【0032】
図2は、加圧装置の別の実施形態200を示しており、これは、
図1a~dの装置100とよく似ているが、圧力チャンバ223が、カートリッジ131と第1のケーシング121との間で封止されていない。第1の破裂時には、加圧流体は、第1のケーシング121とカートリッジ131との間で漏れてよい。それでも、第1の破裂の直後から、第2の破裂を引き起こすのに十分な圧力が圧力チャンバ223内に発生し、その後、残りの加圧流体が開口部113から外にベントされる。カートリッジ131と第1のケーシング121との間の封止材をなくすことにより、摩擦成分がなくなり、第1の破裂が容易になる。更に、第1の破裂の前に圧力チャンバ223がベントするのを可能にすることにより、カートリッジ131が第1の破裂させる部材122に向かって動いたときに、第1の破裂の前には圧力チャンバ223内に存在する空気又は他の気体が圧縮されず、これによって、第1の破裂の作動に必要な力が更に小さくなる。
【0033】
一装置では、第1の破裂は、ケーシング部分121及び111のうちのいずれかの動きではなく加速力によって作動する。そのような加速は、落下衝撃や装置の揺さぶりを含む様々な方法で引き起こされてよい。
【0034】
図3は、加圧装置の別の実施形態300を示しており、これは、
図1a~dの装置100とよく似ているが、圧力チャンバ323が1つ以上の抽気穴301を含む。抽気穴301は、カートリッジ131が第1の破裂させる部材122に向かって動く際に、第1の破裂の作動の過程で圧力チャンバ323内で圧力が発生して作動に抵抗するのを防ぐ。抽気穴301は、第1の破裂後の、空気圧駆動による第2の破裂の作動に必要な、圧力チャンバ323内の圧力にほとんど影響しない程度に十分小さい。
【0035】
図4は、加圧装置の別の実施形態400を示しており、これは、
図2の装置200とほぼ同様であるが、圧力チャンバ423内にばね401が配置されており、これは、カートリッジ131を第1の破裂させる部材122から離れるように付勢することで、装置400の早すぎる作動又は偶発的な作動を防いでいる。
【0036】
図5は、加圧装置の別の実施形態500を示しており、これは、
図1a~dの装置100とよく似ているが、ばね501がカートリッジ131と第2のケーシング511との間に軸方向に配置されており、ばね501は、第2の破裂を開始させるべく、第2の破裂させる要素112が第2のメンブレン133に到達する為の軸方向の外力の最小閾値を規定する。ばね501とカートリッジ131との間にワッシャ502が介在しており、第2の破裂の過程では、第2の破裂させる部材112がワッシャ502の開口部からカートリッジ131にアクセスする。
【0037】
図6は、加圧装置の別の実施形態600を示しており、これは、
図1a~dの装置100とよく似ているが、カートリッジ601は、第1の端部604のネックが第2の端部602のネックより狭くなっている。第1の端部604のほうが直径が小さい為、カートリッジ601内の加圧流体から第1の破裂可能メンブレン605にかかる力がより小さく、これにより、より薄いメンブレン、又はより低強度の材料で作られたメンブレンを安全且つ確実に実装することが可能であり、その為、破裂させる力が第2の破裂に比べて小さくてすむ。
【0038】
図7は、加圧装置の別の実施形態700を示しており、これは、
図1a~dの装置100とよく似ているが、カートリッジ701は、端部がネックダウンしていない管形状である。この形状の特徴は製造が簡単なことであり、カートリッジは、圧縮及びカレンダ仕上げの工程を経ることなく、管の一部から作られることが可能である。第1の破裂可能メンブレン705は第1の端部704に接合されており、第2の破裂可能メンブレン703は第2の端部702に接合されており、これらの接合は、溶接、アーク溶接、ポイント溶接などの、当該技術分野において知られているいずれかの工程により行われる。
【0039】
当業者であれば容易に理解されるように、
図1~7の装置の特徴を任意に組み合わせることが可能であり、これらの特徴は、本開示では、教示が簡潔になるように別々に示されている。
【0040】
図8aから
図8cは、加圧装置の別の実施形態800を示す。
図8aは、使用前状態を示す。カートリッジ811は、ふいご813の管状ネック819内に、軸方向に可動に配置されている。ふいご813の管状ネック819内には第1の破裂させる要素814及び第2の破裂させる要素815も配置されており、これによって、ふいご813が膨張すると、これとともにネック819及び破裂させる要素814、815がカートリッジ811に向かって動く。(カートリッジ811及びふいご813を含む)カートリッジとふいごのアセンブリ810は、ベース部分802及びトップ部分801を含むフレームに囲まれている。
【0041】
図8bは、第1の破裂状態のカートリッジ811を示す。フレーム801のトップ部分は、2インタロックまでベース部分802に向かって動く。この過程で、カートリッジ811は下に動いて、第1の破裂させる要素814がメンブレン818を破裂させ(第1の破裂)、これにより、加圧流体がふいご813を満たすことが可能になる。
【0042】
図8cは、装置800の第2の破裂状態を示す。加圧流体は、ふいご813を膨張させて、管状ネック819をカートリッジ811に対して動かし、これによって、第2の破裂させる要素815がメンブレン818により大きい破裂を引き起こし(第2の破裂)、これによって、カートリッジ811からの加圧流体の急速解放が可能になる。加圧流体は、ふいご813から、ネック819とカートリッジ811との間の隙間を通して漏れる。
【0043】
一装置では、カートリッジとふいごの装置810は、圧力解放弁又は破裂可能区画を含み、これは、ふいご813内の圧力が特定の閾値を超えたときに開いて、ふいご813からの加圧流体の高速解放を可能にする。ふいご813は、ステンレス鋼のような金属やプラスチックを含む様々な材料で作られてよい。
【0044】
一装置では、第1の破裂させる部材814は、第2の破裂させるメンブレン815の上に位置する。言い換えると、これら2つの破裂させる部材814/815は同一ボディであり、カートリッジ811に近いほうの部分は、小さい力で破裂させて加圧流体を低速で解放するように構成されており、その部材のベース部分は、より大きい力でカートリッジを破裂させ、カートリッジ811に大きい開口を形成することにより、加圧流体をより高速で解放するように構成されている。
【0045】
図9a及び9bは、加圧装置の別の実施形態900の使用前状態を示す。第1のカートリッジ931及び第2のカートリッジ941が管状ハウジング内に軸方向に配置されており、これらの破裂可能メンブレン932及び942は、それぞれ反対の方向を向いている。ハウジング901の第1の端部903に第1のアクチュエータ921が配置されており、第1のアクチュエータ921は、第1の破裂可能メンブレン932と向かい合う位置に第1の破裂させる部材922を保持している。ハウジング901の第2の端部902に第2のアクチュエータ911が配置されており、第2のアクチュエータ911は、第2の破裂可能メンブレン942と向かい合う位置に第2の破裂させる部材912を保持している。第1の破裂させる部材922が第1の破裂可能メンブレン932を破裂させる力(第1の破裂)は、第2の破裂させる部材912が第2の破裂可能メンブレン942を破裂させる力(第2の破裂)より小さい。第1の破裂状態では、アクチュエータ911及び921の少なくとも一方がハウジング901に向かって内向きに動かされ、これによって、第2の破裂させる部材912が第2のカートリッジ941を押し、その第2のカートリッジ941は第1のカートリッジ931を第1の破裂させる部材922に押し当てて第1の破裂を引き起こす。加圧流体は、圧力チャンバ923を満たして第1のカートリッジ931に力をかけ、第2のカートリッジ941を第2の破裂させる部材912に向かって押すことにより、第2の破裂を引き起こす。加圧流体は、穴904を通して消費者用機器に向かって解放される。穴904は、内側にねじを切られるか、別の方法で、加圧流体を消費者用機器に送る為のコネクタ、継ぎ手、管、ホースなどの器具を受けるように構成されてよい。一装置では、カートリッジ931及び941は、1つのカートリッジの2つのコンパートメントに過ぎない。
【0046】
図10a及び10bは、破裂可能メンブレン1003を含む圧力カートリッジ1001の構造を示す。同心環状の剛体区画1002により、メンブレン1003の直径を小さくすることが可能であり、従って、より薄いか、より軟らかいメンブレンを使用して、カートリッジ1001内の加圧流体の圧力に安全且つ確実に耐えることが可能であり、同時に、それによって、破裂させる力が小さくてすむ。この構造は、本開示のどのカートリッジにも適用可能である。
【0047】
図11a及び11bは、加圧装置の別の実施形態1100を示す。
図11aは、使用前状態の装置1100を示している。圧力カートリッジ1101は、ボディ1112と、その第1の端部1103にフランジ1102と、を含み、フランジ1102はねじ山1111によってボディ1112に固定されている。別の装置では、フランジ1102は、ボディ1112と一体化された部分として、機械加工、圧縮成形、押し抜き、圧延などの、当該技術分野において知られているいずれかの工程により形成される。別の装置では、フランジとボディ1112との接合が、留め具、ねじ、溶接、はんだ付け、接着、圧入、圧着、又はこれらの組み合わせのうちの少なくともいずれかを含む、当該技術分野において知られているいずれかの工程により行われる。ばね1104がケーシング1105で支持されており、ばね1104は、ベースプレート1109で支持されている、破裂させる部材1106に向かってフランジ1102を付勢している。フランジ1102は、向かい合う2つの下向き脚部1108を含み、脚部1108は、回転プレート1107に寄りかかって、カートリッジ1101が破裂させる部材1106に向かって動くのを防いでいる。回転プレート1107は作動機構として働き、フランジ1102は、作動機構1107とかみ合ってカートリッジ1101が軸方向に動くのを抑えている。
【0048】
図11bは破裂した状態を示しており、回転プレート1107が向きを変えて、回転プレート1107の開口部1110とフランジ脚部1108の方向がぴったり合い、フランジ脚部1108が下降することが可能になり、それによって、破裂させる部材1106がカートリッジ1101に穴をあけることになる。フランジ1102は、当該技術分野において知られている様々な形態であってよく、例えば、棚状突起、フラットリム、カラー、リブであってよく、又は丸みのある外周部を有してよく、或いはばねに対する支持物、又はカートリッジを動かないように保持する棚状突起の少なくともいずれかになる外周部を有してよい。この状態では、フランジ1102は作動機構1107とかみ合っておらず、カートリッジ1101が軸方向に動くことが可能になっている。
【0049】
図12aから12cは、破裂させる部材1201の一設計と、メンブレン1203を破裂させる過程とを示す。破裂させる部材1201は、加圧流体をカートリッジからベントする為の比較的大きい通路を、比較的小さい破裂させる力で開くように構成されている。
図12aは、破裂前状態を示している。破裂させる要素1201は、V字形の外形を有し、その破裂させる端部に鋭利な先端部1202を有する。
図12bは破裂の途中段階を示しており、破裂させる部材1201がメンブレン1203にV字形の切り込みを入れており、本質的にはV字形のカンチレバ1204を形成している。
図12cはメンブレン1203の破裂状態を示しており、カートリッジ内の圧力によってカンチレバ1204が外側に曲がって、メンブレン1203に実質的な流路が開いている。V字形の破裂させる部材1201は、比較的小さい切り込みを入れることにより、メンブレン1203に比較的大きい開口を形成しており、且つ、メンブレン1203をほとんど塑性変形させない。これは、例えば、針に比べて小さい力ですみ、針の場合は、破裂の過程でメンブレンを実質的に変形させるものの、針とメンブレンの開口との間に隙間がほとんど形成されない。
【0050】
図13は、別の破裂させる部材1301を示しており、これは、比較的小さい破裂させる力で比較的大きい流路をメンブレンに開くことが可能である。
図12と同様に、破裂させる部材1301は、メンブレンにカンチレバの切り込みを入れるように構成されており、カンチレバは、メンブレンの比較的小さい切り込みに対して、カートリッジ内の圧力で変形して実質的な流路を開き、破裂させる部材1301によるメンブレンの変形はほとんどない。破裂させるメンブレン1301の破裂させる先端部1302は、メンブレンに円形の切り込みを入れるように構成された螺旋刃の形状を有する。円形の切り込みは、約180度の切り込みであってよく、圧力で変形してメンブレンに実質的な通路を開くことが可能なカンチレバのように動作することが可能である。切刃1303の根元の内径は、刃1302の内径より大きくなっており、これは、メンブレンのカンチレバが、破裂させるメンブレン1301のシャンクに向かってより自由に曲がることを可能にする為である。
【0051】
図14は、別の破裂させる部材1401を示しており、これは、比較的小さい破裂させる力で比較的大きい流路をメンブレンに開くことが可能である。破裂させる部材1401は、渦巻き刃1403につながる鋭利な先端部1402を含み、これによって、破裂の過程で、メンブレンの1点に切り込みが入り、破裂させる部材1401はメンブレンの変形を最小限にとどめる。破裂させる部材1401がメンブレンに入れる三日月形の切り込みは、カートリッジ内の圧力で折れるカンチレバを形成し、有効なベント通路をメンブレンに開く。
【0052】
図15は、ボディ1511を含む、圧力カートリッジ装置の一実施形態1500を示しており、これは、レセプタクル1519と蓋1512とが流体密封に接合されて圧力チャンバを形成している。一装置では、カートリッジ装置1500に、二酸化炭素、窒素、又はアルゴンなどの圧縮ガスが充填される。蓋1512とレセプタクル1519との接合は、溶接、ポイント溶接、誘導溶接、レーザ溶接、摩擦溶接などの、当該技術分野において知られているいずれかの手段により行われてよい。蓋1512は、薄くなっている区画1513を含み、これは、穴あけ部材でカートリッジ1500に穴をあける為の穴あけ領域を与える。一構成では、穴あけ領域1513は、穴あけ部材による破裂を容易にする力コンセントレータを含む。蓋1512の直径がレセプタクル1511の直径より大きいことにより、フランジ1514が形成されており、フランジ1514は、カートリッジ1500と作動機構(又は穴あけ機構)(例えば、ばね)とをかみ合わせる為のものである。
【0053】
図16は、カートリッジ装置の一実施形態1600を示しており、これは、
図15のカートリッジ装置1500とよく似ているが、穴あけ領域1610が、ボディ1611の開口部と、開口部1614を上から流体密封に封止するメンブレン1613とを含む。メンブレン1613は、ボディ1511の他の壁区画よりも破裂ピンで破裂させやすいように構成されており、これは、薄い壁、軟らかい材料特性(穴あけピンが通りやすい)、力コンセントレータ、及び砕けやすい材料特性(穴あけピンで閉じやすい)のうちの少なくともいずれかを特徴とすることにより行われる。メンブレン1613と蓋1612との接合は、溶接、ポイント溶接、レーザ溶接、誘導溶接、摩擦溶接、グルー接着、はんだ付け、粘着などの、当該技術分野において知られているいずれかの手段により行われてよい。蓋の薄くなっている箇所と向かい合うようにメンブレンを実装することの利点は、メンブレンの厚さ及び機械的特性をよりよく制御できることである。蓋1612の周囲部分がボディ1611の直径を超えて延びて、フランジ1615が形成されている。フランジ1615は、蓋1612と一体化されている。フランジ1615は、ボディ1611の直径を超えて延びる連続的な円形突起であってよく、或いは、様々な形態の1つ以上の局所的な半径方向突起であってよい。ボディ1611は、綱、ステンレス鋼、アルミニウム、合金、プラスチックなどの様々な材料で作られてよい。
【0054】
図17は、カートリッジ装置の一実施形態1700を示しており、これは、
図15のカートリッジ装置1500とよく似ているが、ボディ1711は、蓋1712が圧着1716によってレセプタクル1719に接合されている。レセプタクル1711はフランジ1715を含み、蓋1712がフランジ1715の周囲に形成されて、流体密封な圧着接合部1716が形成されている。圧着接合部1716は、製造工程の溶接ステップがなくてよいことが有利となり得る。一構成では、封止は、シーラント、接着剤、ガスケット、及びOリングのうちの少なくともいずれかを圧着接合部に追加することにより、強化される。圧着接合部1716は、ボディ1711及びレセプタクル1719の直径を超えて延びるフランジ1717を形成している。
【0055】
図18は、カートリッジ装置の一実施形態1800を示しており、これは、
図15のカートリッジ装置1500とよく似ているが、ボディ1811は、蓋1812が、レセプタクル1819と同心環状に位置する成形円筒壁を含む。この装置は、製造工程における、レセプタクル1819に対する蓋1812のセンタリングを容易にする。蓋1812は、圧入によりレセプタクル1819と接合されてよい。レセプタクル1819と蓋1812との間の接合部に、シーラント又は接着剤が追加されてよい。レセプタクル1819のエッジが朝顔形に外側に広がってフランジ1813を形成している。フランジ1813は、ボディ1811と一体化されている。
【0056】
図19aは、カートリッジ装置の一実施形態1900を示しており、これは、
図18のカートリッジ装置1800とよく似ているが、穴あけ領域1914が、開口部1915を上から封止するメンブレン1913を含む。メンブレン1913は、ボディ1911と蓋1912との間を同心環状に延びている為、蓋1912の穴の周囲でメンブレン1913を蓋1912に対して封止しなくてよい。一構成では、メンブレン1913及び蓋1912の少なくとも一方が延びて、ボディ1911のフランジの周囲の圧着を形成している。ボディ1911はレセプタクル1919及び蓋1912を含み、フランジ1916はレセプタクル1919と一体化している。
図19bは、角度を付けた図でカートリッジ1900を示しており、円筒ボディ1919から延びてフランジを形成している棚状突起1916のアレイを示している。
【0057】
図20は、カートリッジ装置の一実施形態2000を示しており、これは、
図15のカートリッジ装置1500とよく似ているが、ボディ2011は、レセプタクル2019が穴あけ領域2001を含み、穴あけ領域2001はボディに開口部2014を含む。メンブレン2013が、
図16の装置の穴あけ領域1610と同様に、ボディ2011の開口部2014を上から封止している。一構成では、メンブレン2013は、
図16の穴あけ領域1610のような接合部材ではなく、ボディ2011において薄くなっている一体化された区画である。一装置では、蓋2012は、穴あけ領域がない。
【0058】
図21はカートリッジ装置2100を示しており、これは、ボディ2111が円筒レセプタクル2119を含み、円筒レセプタクル2119は、両端部が蓋2112及び2113で封止されている。一装置では、蓋2112及び2113のうちの一方だけが穴あけ領域を含む。
【0059】
図22aは、加圧された物質を収容するカートリッジ2200を示しており、これは円筒形状のボディ2211を含む。ボディ2211の第1の端部は、ネック2214に向かって先細になっている円錐形じょうご2212が開口部2215につながっている。ボディ2211は、融点が比較的高い材料で作られてよく、例えば、鋼、ステンレス綱、アルミニウム、又はポリマーで作られてよい。低融点材料で作られた、ビッドの形態の封止部材2221が、円錐区画2212に配置されている。封止部材は、ポリマー又は合金で作られてよい。封止部材2221がじょうご2212に対して可動であることにより、カートリッジ2220に加圧物質を充填することが可能である。
図22bは、充填及び封止が行われた後のカートリッジ2200を示す。封止部材2221は、その転移温度より高い温度まで加熱されることにより、エッジが変形して円錐端部2212の形状に順応し、カートリッジ2200の開口部2215を上から流体密封に封止している。封止部材2221の中央部は、カートリッジ2200のネック2214にまたがるメンブレン2222を形成している。カートリッジ2200及び封止部材2221の材料の選択に応じて、この封止は、溶接、はんだ、又は粘着を含んでよい。封止材部材2221の材料は、穴あけ部材を比較的通しやすい軟質材料である。封止部材2221材料の一例として、融点が低く、且つ比較的軟質であるはんだがある。カートリッジボディ2211は更に、逆円錐端部2213を含み、これは、穴あけ部材を部材2221のほうに誘導しやすくする。一装置では、封止部材2221は、あらかじめ、球と異なる形状に作られており、例えば、
図22bに示された封止形状に似せた形状に作られている。
【0060】
実施形態によっては、封止部材2221は、低融点物質と高融点物質を組み合わせて作られており、(a)中央部は、所望の破裂可能メンブレンの形状に事前成形され、高融点材料で作られており、(b)周辺部は、低融点材料で作られており、封止部材2221とボディ2211との間の封止過程を促進するように成形される。一装置では、低融点材料はポリマーである。別の装置では、低融点材料は合金である。
【0061】
一装置では、封止過程は、カートリッジ2200のネック部分を加熱することにより、低融点材料の融解を引き起こし、カートリッジ2200のネック2214と封止部材2221との間に封止接合部を形成することを含む。一装置では、封止過程は、カートリッジを回転させて、溶融封止部材2221が収まる形状を制御することを含み、この制御は、即ち、溶融封止部材2221に求心力をかけることによって行われる。この、封止部材2221を加熱する過程は、放射、伝導、レーザビームによる加熱、及び磁気誘導を適用することを含んでよい。
【0062】
一装置では、カートリッジは、ステンレス鋼のような低導電率材料で作られ、封止部材は、良好な磁気特性を有する良導体を含む。この装置では、封止ステップは、磁気誘導(渦電流)を印加することを含み、これによって、カートリッジ2200全体が加熱されることなく、封止部材が加熱され、封止部の局所的温度上昇が引き起こされる。磁気誘導は、カートリッジの周囲で磁界を回転させること、並びに磁界内でカートリッジを回転させることのうちの少なくとも一方によって達成可能である。
【0063】
図22cは、封止部材2221の別の形態を示しており、これは、第1の材料で作られたメンブレン区画2222と、第2の材料で作られた封止区画2223とを組み合わせて作られている。第1の材料は、第2の材料より融点が高い。封止過程は、封止部材2221を、第2の材料の融点より高く、第1の材料の融点より低い温度まで加熱することにより、メンブレン区画2222を元の形状に保ったまま、封止区画2223によりカートリッジ2211を封止することを含む。
【0064】
図23a及び23bは、
図11の形態とよく似ている、加圧カートリッジ作動機構の別の形態2300の作動前状態を示している。作動機構2300はボディ2360を含み、ボディ2360はフランジ2361を含み、フランジ2361の中央開口部内では、加圧カートリッジ2311が配置されていて自由に動くことが可能である。一対の支持アーム2364がフランジ2361から軸方向に延びて、穴あけプレート2341を支持している。穴あけ部材2342が穴あけプレート2341の中央に配置されて、カートリッジ2311の開口可能領域2312と向かい合っている。ボディ2360は更に、2つの作動アーム2365を含む。カートリッジ2311は、フランジ2313を含む。デテント歯2314がフランジから半径方向に延びており、作動アーム2365の開口部2366とかみ合うことによって、カートリッジ2311が軸方向に動くのを防いでいる。カートリッジフランジ2313は、ばね2351により、穴あけ部材2342に向かって付勢されている。
図23cは、作動済み状態の作動機構2300を示している。作動アーム2365が、矢印2363で示された方向に外向きに動いており、これによって、デテント歯2314が解放され、カートリッジ2311が下向きに動くことが可能になり、穴あけ部材(図示せず)が開口可能領域2312を貫いてカートリッジ2311を開き、これによって、加圧物質がカートリッジ2311から出ていくことが可能になる。
【0065】
当業者であれば理解されるように、各図面で示した装置は全て、手動で作動させてよく、或いは機械仕掛けで作動させてよい。機械仕掛けの作動の一例として、負荷をかけられて機構内に保持された圧縮ばねがあり、機構は、救命胴衣の自動膨張装置の場合のように、濡れたり、環境圧力が閾値を超えたりしたときにばねを解放する。重要なこととして、本開示に記載の装置は、小さい力のばねを使用することを可能にする。
【0066】
上記の内容から分かるように、ここまで、説明を目的として本明細書に記載の装置の特定の実施形態を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な修正が行われてよい。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
〔付記1〕
加圧物質を収容している封止されたカートリッジであって、
第1の端部と、前記第1の端部と反対側にある第2の端部と、を有する細長ボディであって、少なくとも前記第1の端部が、開いて前記加圧物質を解放するように構成されている、前記細長ボディと、
前記ボディから、前記カートリッジの前記細長方向に垂直な方向に延びるフランジと、
を含むカートリッジ。
〔付記2〕
前記ボディは、前記第1の端部及び前記第2の端部のうちの少なくとも一方を画定している少なくとも1つの蓋を含む、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記3〕
前記ボディは略円筒形状であり、前記フランジは、前記ボディの直径を超えて半径方向に延びている、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記4〕
前記フランジは、前記カートリッジの前記第1の端部に位置するか、前記第1の端部の近くに位置する、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記5〕
前記カートリッジは更に、
前記ボディの周囲に配置され、前記フランジで支持されているコイルばね
を含む、
付記1に記載のカートリッジ。
〔付記6〕
前記ボディはレセプタクル及び蓋を含み、前記フランジは前記蓋と一体化されている、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記7〕
前記ボディはレセプタクル及び蓋を含み、前記フランジは前記レセプタクルと一体化されている、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記8〕
前記フランジと前記ボディとの接合が、留め具、ねじ、接着剤、溶接、はんだ付け、圧入、機械的干渉、及びリテーナリングのうちの少なくともいずれかによって行われる、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記9〕
前記フランジは、前記カートリッジの軸方向の動きを阻止するように構成されている、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記10〕
前記ボディは、
開口部と、
前記ボディと接合されて、前記開口部を上から流体密封に封止しているメンブレンと、
を含み、
前記メンブレンは前記ボディより穴をあけやすい、
付記1に記載のカートリッジ。
〔付記11〕
前記フランジは棚状突起を含む、付記1に記載のカートリッジ。
〔付記12〕
加圧物質を収容している封止されたカートリッジであって、
ボディであって、
レセプタクルと、
少なくとも1つの蓋と、
前記ボディの少なくとも1つの開口部と、
を含む前記ボディと、
前記ボディと接合されて、前記開口部を上から流体密封に封止しているメンブレンと、
を含み、
前記メンブレンは前記ボディより穴をあけやすい、
カートリッジ。
〔付記13〕
前記メンブレンと前記ボディとの接合が、溶接、ポイント溶接、レーザ溶接、誘導溶接、摩擦溶接、超音波溶接、グルー接着、封止、圧着、圧入、及びはんだ付けのうちの少なくともいずれかによって行われる、付記12に記載のカートリッジ。
〔付記14〕
前記ボディは、ステンレス鋼、鋼、合金、及びプラスチック材料のうちの少なくともいずれかで作られる、付記12に記載のカートリッジ。
〔付記15〕
前記メンブレンは、ステンレス綱、鋼、合金、プラスチック、薄膜、フォイル、及びラミネートウェブのうちの少なくともいずれかで作られる、付記12に記載のカートリッジ。