(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】KSP阻害剤および抗CD123抗体を含む特異的抗体-薬物-コンジュゲート(ADC)
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220210BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20220210BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220210BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220210BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20220210BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220210BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220210BHJP
C12N 9/99 20060101ALN20220210BHJP
A61P 9/00 20060101ALN20220210BHJP
【FI】
A61K47/68
C07K16/30
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K31/40
A61K39/395 T
C12N15/13 ZNA
C12N9/99
A61P9/00
(21)【出願番号】P 2018565712
(86)(22)【出願日】2017-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2017063951
(87)【国際公開番号】W WO2017216028
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-04-10
(32)【優先日】2016-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514298139
【氏名又は名称】バイエル・ファルマ・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ゲオルク・レルヒェン
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ-ソフィー・レブストック
(72)【発明者】
【氏名】ヨランダ・カンチョ・グランデ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・ヴィトロック
(72)【発明者】
【氏名】ベアトリクス・シュテルテ-ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・キルヒホフ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・マーラート
(72)【発明者】
【氏名】シモーネ・グレーフェン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・メルシュ
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特許第6768011(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/096982(WO,A1)
【文献】特表2016-516035(JP,A)
【文献】特表2013-537418(JP,A)
【文献】国際公開第2010/126066(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/127735(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/173820(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/68
A61K 39/395
A61K 31/40
C07K 16/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で定義される、抗体またはその機能的断片(AK)と1種または複数の化合物のコンジュゲート:
【化1】
(式中、
Xは-CH
2-または-CH
2-CH
2-であり、
Lは(-CH
2-CH
2-O-)
m-CH
2-CH
2-であり、
mは1~20であり、
nは1~8であり、
AKは抗CD123抗体またはその機能的断片であり、前記抗体または前記その機能的断片はシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片は、
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、
を含む)
ならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマー。
【請求項2】
Xが-CH
2-であり、
Lが(-CH
2-CH
2-O-)
m-CH
2-CH
2-であり、
mが1~20であり、
nが1~8であり、
AKが抗CD123抗体またはその機能的断片であり、前記抗体または前記その機能的断片がシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片が、
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、
を含む、
請求項1に記載のコンジュゲートならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマー。
【請求項3】
Xが-CH
2-であり、
Lが(-CH
2-CH
2-O-)
m-CH
2-CH
2-であり、
mが2~8であり、
nが1~8であり、
AKが抗CD123抗体またはその機能的断片であり、前記抗体または前記その機能的断片がシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片が、
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、
を含む、
請求項1または2に記載のコンジュゲートならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマー。
【請求項4】
【化2】
(式中、
nは1~8であり、
AKは抗CD123抗体またはその機能的断片であり、前記抗体または前記その機能的断片はシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片は、
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、
を含む)
である、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
nが2~6である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記抗CD123抗体または前記その機能的断片が:
配列番号131に示される重鎖の可変配列と配列番号135に示される軽鎖の可変配列、
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記抗CD123抗体がIgG抗体であり、前記その機能的断片がscFv、Fab、Fab’フラグメントまたはF(ab)2フラグメントである、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記抗CD123抗体が:
配列番号139に示される重鎖の配列と配列番号140に示される軽鎖の配列、
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
CD123発
現がんを治療および/または予防する方法に使用するための医薬品であって、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、医薬品。
【請求項10】
CD123発
現がんを治療する方法に使用するための、請求項9に記載の医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、KSP(キネシンスピンドルタンパク質)阻害剤および抗CD123抗体を含む特異的抗体-薬物-コンジュゲート(ADC)、疾患を治療および/または予防するためのこれらのコンジュゲートの使用、ならびに疾患、特に、例えばがん疾患などの過剰増殖性および/または血管新生障害を治療および/または予防するための医薬品を調製するためのこれらのコンジュゲートの使用に関する。このような治療は、単独療法として、または他の医薬品もしくはさらなる治療手段と組み合わせて行うことができる。
【背景技術】
【0002】
がん疾患は、最も多様な組織の制御されない細胞増殖の結果である。多くの場合、新たな細胞が既存の組織に侵入する(侵入性増殖)、または遠隔器官に転移する。がん疾患は、最も多様な器官で起こり、しばしば組織特異的疾患経過を有する。したがって、一般的な用語としてのがんという用語は、種々の器官、組織および細胞型の定義された疾患の大きなグループを記載する。
【0003】
初期段階の腫瘍は、外科的処置および放射線療法の処置によっておそらく除去することができる。転移した腫瘍は、原則として、化学療法剤によって緩和的に治療することができるにすぎない。ここでの目的は、生活の質の向上と延命の最適な組み合わせを達成することである。
【0004】
特に、腫瘍関連抗原に対する内在化抗体がリンカーを介して細胞傷害剤と共有結合している抗体薬物コンジュゲート(ADC)の形態の、結合剤タンパク質および抗体と1種または複数の活性化合物分子のコンジュゲートが知られている。ADCの腫瘍細胞への導入およびその後のコンジュゲートの解離の後、細胞傷害剤自体またはそこから形成される細胞傷害性代謝産物のいずれかが腫瘍細胞内に放出され、その中で作用を直接および選択的に展開することができる。このようにして、従来の化学療法とは対照的に、正常な組織への損傷が、かなり狭い限度に抑制される[例えば、J.M.Lambert、Curr.Opin.Pharmacol.5、543~549(2005);A.M.WuおよびP.D.Senter、Nat.Biotechnol.23、1137~1146(2005);P.D.Senter、Curr.Opin.Chem.Biol.13、235~244(2009);L.DucryおよびB.Stump、Bioconjugate Chem.21、5~13(2010)参照]。例えば、国際公開第2012/171020号パンフレットは、複数の担毒体分子がポリマーリンカーを介して抗体と結合しているADCを記載している。可能性のある担毒体として、国際公開第2012/171020号パンフレットには、とりわけ、物質SB743921、SB715992(イスピネシブ)、MK-0371、AZD8477、AZ3146およびARRY-520が挙げられている。
【0005】
最後に挙げられた物質は、キネシンスピンドルタンパク質阻害剤である。キネシンスピンドルタンパク質(KSP、Eg5、HsEg5、KNSL1またはKIF11としても知られている)は、双極性紡錘体が機能するために不可欠なキネシン様モータータンパク質である。KSPの阻害は有糸分裂停止をもたらし、比較的長期にわたって、アポトーシスをもたらす(Taoら、Cancer Cell 2005年7月8(1)、39~59)。最初の細胞透過性KSP阻害剤であるモナストロールの発見後、KSP阻害剤は、新規な化学療法剤のクラスとして確立しており(Mayerら、Science 286:971~974、1999)、これらはいくつかの特許出願の主題である(例えば、国際公開第2006/044825号パンフレット;国際公開第2006/002236号パンフレット;国際公開第2005/051922号パンフレット;国際公開第2006/060737号パンフレット;国際公開第03/060064号パンフレット;国際公開第03/040979号パンフレット;および国際公開第03/049527号パンフレット)。しかしながら、KSPは、有糸分裂期の間の比較的短期間にのみその作用を展開するので、KSP阻害剤は、これらの初期段階の間に十分に高い濃度で存在しなければならない。
【0006】
国際公開第2015/096982号パンフレットおよび国際公開第2014/151030号パンフレットでは、抗体薬物コンジュゲート(ADC)が、キネシンスピンドルタンパク質(KSP)阻害剤と共に記載されている。
【0007】
CD123は、IL-3受容体のα鎖であり、IL3R-αとも呼ばれる。CD123は原発性AMLサンプル上で発現することが知られており、いくつかの悪性細胞について報告されている。好ましい抗CD123抗体は、Sunら(Sunら、1996、Blood 87(1):83~92)およびKuoら(Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82)によって開示された抗体から誘導される。
【0008】
いくつかの既に知られている抗体-薬物-コンジュゲートに関してさえも、最先端の化合物と比較して許容可能なまたはより優れた特性を示す活性化合物の利用可能性を増加させる新規な化合物の需要が依然として高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2012/171020号パンフレット
【文献】国際公開第2006/044825号パンフレット
【文献】国際公開第2006/002236号パンフレット
【文献】国際公開第2005/051922号パンフレット
【文献】国際公開第2006/060737号パンフレット
【文献】国際公開第03/060064号パンフレット
【文献】国際公開第03/040979号パンフレット
【文献】国際公開第03/049527号パンフレット
【文献】国際公開第2015/096982号パンフレット
【文献】国際公開第2014/151030号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【文献】J.M.Lambert、Curr.Opin.Pharmacol.5、543~549(2005)
【文献】A.M.WuおよびP.D.Senter、Nat.Biotechnol.23、1137~1146(2005)
【文献】P.D.Senter、Curr.Opin.Chem.Biol.13、235~244(2009)
【文献】L.DucryおよびB.Stump、Bioconjugate Chem.21、5~13(2010)
【文献】Taoら、Cancer Cell 2005年7月 8(1)、39~59
【文献】Mayerら、Science 286:971~974、1999
【文献】Sunら、1996、Blood 87(1):83~92
【文献】Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような背景に対して、比較的低濃度で投与した後に、アポトーシス作用を展開し、したがってがん治療に有益となり得る物質を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、ここで、本明細書に記載される選択された抗体と合わせて本明細書に記載される選択された薬物部分を有する抗体-薬物-コンジュゲートが、許容可能で、有意に優れた特性を示すことが分かった。
【0013】
細胞外がん標的分子CD123(IL-3Rα)がここで特に好ましい。この細胞外がん標的分子は、IL3RA(インターロイキン3受容体サブユニットα)としても知られており、NCBI遺伝子ID:3563を有する。
【0014】
標的分子CD123について、インビボで非常に強力で持続的な抗腫瘍効果をもたらす抗体-薬物-コンジュゲートが見出された。腫瘍の再成長が起こるまでの期間によって示される持続的腫瘍阻害を誘導するCD123に対するさらなる抗体-薬物-コンジュゲートが見出された。
【0015】
この目的を達成するために、本発明はさらに、ヒト生殖細胞系列の抗体配列と比較して偏差が非常に小さいことを意味する、さらに生殖細胞系列化されたヒト化抗CD123抗体を提供する。「TPP-8987」、「TPP-9476」、「TPP-8988」および「TPP-9342」と呼ばれる抗体が特に好ましい。
【0016】
ここで、驚くべきことに、以下の式(I)で定義される抗体(AK)またはその機能的断片と1種または複数の化合物のコンジュゲートが、公知のコンジュゲートに対する優位性を示すことが分かった:
【化1】
(式中、
Xは-CH
2-または-CH
2-CH
2-であり、
Lは(-CH
2-CH
2-O-)
m-CH
2-CH
2-であり、
mは1~20であり、
nは1~8であり、
AKは抗CD123抗体またはその機能的断片であり、抗体またはその機能的断片はシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片は、
配列番号122に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号123に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号124に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号126に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号127に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号128に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号202に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号203に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号204に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号206に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号207に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号208に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号192に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号193に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号194に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号196に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号197に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号198に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖
を含む)
ならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマー。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】抗体のアノテーション付与配列を示す図である。抗体または抗体断片の各々について、CDR領域(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、LCDR3)および可変領域(VH、VL)が強調される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般式(I)の特に好ましい化合物は、
Xが-CH2-であり、
Lが(-CH2-CH2-O-)m-CH2-CH2-であり、
mが1~20であり、
nが1~8であり、
AKが抗CD123抗体またはその機能的断片であり、抗体またはその機能的断片がシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片が、
配列番号122に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号123に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号124に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号126に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号127に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号128に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号202に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号203に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号204に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号206に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号207に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号208に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号192に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号193に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号194に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号196に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号197に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号198に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖
を含む、
化合物ならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマーである。
【0019】
一般式(I)の特に好ましい化合物は、
Xが-CH2-であり、
Lが(-CH2-CH2-O-)m-CH2-CH2-であり、
mが1~20であり、
nが1~8であり、
AKが抗CD123抗体TPP-8987、TPP-9476、TPP-8988もしくはTPP-9342またはその機能的断片であり、抗体またはその機能的断片がシステイン残基を介して結合している、
化合物ならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマーである。
【0020】
一般式(I)のさらに特に好ましい化合物は、
Xが-CH2-であり、
Lが(-CH2-CH2-O-)m-CH2-CH2-であり、
mが2~8であり、
nが1~8であり、
AKが抗CD123抗体またはその機能的断片であり、抗体またはその機能的断片がシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片が、
配列番号122に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号123に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号124に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号126に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号127に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号128に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号202に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号203に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号204に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号206に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号207に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号208に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号192に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号193に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号194に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号196に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号197に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号198に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖
を含む、
化合物ならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマーである。
【0021】
一般式(I)のさらに特に好ましい化合物は、
Xが-CH2-であり、
Lが(-CH2-CH2-O-)m-CH2-CH2-であり、
mが2~8であり、
nが1~8であり、
AKが抗CD123抗体TPP-8987、TPP-9476、TPP-8988もしくはTPP-9342またはその機能的断片であり、抗体またはその機能的断片がシステインを介して結合している、
化合物ならびにその塩、溶媒和物、溶媒和物の塩およびエピマーである。
【0022】
一般式(I)のさらに特に好ましい化合物は:
【化2】
(式中、
nは1~8であり、
AKは抗CD123抗体またはその機能的断片であり、抗体またはその機能的断片はシステイン残基を介して結合しており、前記抗体またはその機能的断片は、
配列番号122に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号123に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号124に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号126に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号127に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号128に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号202に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号203に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号204に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号206に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号207に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号208に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号192に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号193に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号194に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号196に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号197に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号198に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖
を含む)
である。
【0023】
一般式(I)の最も好ましい化合物は:
【化3】
(式中、
nは1~8であり、
AKは抗CD123抗体TPP-8987、TPP-9476、TPP-8988もしくはTPP-9342またはその機能的断片であり、抗体またはその機能的断片はシステイン残基を介して結合している)
である。
抗CD123抗体のさらなる説明
【0024】
文献は、有機分子と抗体の共有結合(コンジュゲーション)の種々の選択肢を開示している。本発明によると、抗体のシステイン残基の1個または複数の硫黄原子を介したおよび/または抗体のリジン残基の1個または複数のNH基を介した、担毒体と抗体のコンジュゲーションが好ましい。しかしながら、抗体の遊離カルボキシル基を介してまたは糖残基を介して、担毒体を抗体に結合させることも可能である。
【0025】
抗体を、結合を介してリンカーに結合させることができる。抗体の結合は、結合剤のヘテロ原子を介することができる。結合のために使用することができる抗体の本発明によるヘテロ原子は、硫黄(一実施形態では、抗体のスルフヒドリル基を介して)、酸素(本発明によると、抗体のカルボキシルまたはヒドロキシル基によって)および窒素(一実施形態では、抗体の第一級または第二級アミン基またはアミド基を介して)である。これらのヘテロ原子は、天然抗体中に存在してもよく、または化学的方法もしくは分子生物学の方法によって導入される。本発明によると、抗体の担毒体への結合は、標的分子に対する抗体の結合活性にわずかな影響しか及ぼさない。好ましい実施形態では、結合が、標的分子に対する抗体の結合活性に全く影響を及ぼさない。
【0026】
本発明によると、「抗体」という用語は、その最も広い意味で理解されるべきであり、免疫グロブリン分子、例えばインタクトまたは改変モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体または多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)を含む。免疫グロブリン分子は、好ましくは、典型的にはジスルフィド架橋によって連結された4本のポリペプチド鎖である2本の重鎖(H鎖)および2本の軽鎖(L鎖)を有する分子を含む。各重鎖は、重鎖の可変ドメイン(略してVH)および重鎖の定常ドメインを含む。重鎖の定常ドメインは、例えば、3つのドメインCH1、CH2およびCH3を含み得る。各軽鎖は、可変ドメイン(略してVL)および定常ドメインを含む。軽鎖の定常ドメインは、ドメイン(略してCL)を含む。VHおよびVLドメインは、相補性決定領域(略してCDR)とも呼ばれる超可変性を有する領域および低配列可変性を有する領域(フレームワーク領域、略してFR)にさらに細分され得る。典型的には、各VHおよびVL領域は、3つのCDRおよび最大4つのFRで構成される。例えば、アミノ末端からカルボキシ末端まで、以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4である。抗体は、任意の適切な種、例えば、ウサギ、ラマ、ラクダ、マウスまたはラットから得ることができる。一実施形態では、抗体がヒトまたはマウス由来である。抗体は、例えば、ヒト、ヒト化またはキメラであり得る。
【0027】
「モノクローナル」抗体という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指す。すなわち、集団の個々の抗体が、天然に存在する突然変異を除いて同一であり、その数は少数であり得る。モノクローナル抗体は、高い特異性で単一の抗原結合部位を認識する。モノクローナル抗体という用語は、特定の調製方法を指さない。
【0028】
「インタクト」抗体という用語は、抗原結合ドメインと軽鎖および重鎖の定常ドメインの両方を含む抗体を指す。定常ドメインは、天然に存在するドメインまたはいくつかの改変されたアミノ酸位置を有するその変異体であり得る。
【0029】
「改変されたインタクト」抗体という用語は、抗体に由来しないさらなるポリペプチドまたはタンパク質と共有結合(例えば、ペプチド結合)によってそのアミノ末端またはカルボキシ末端を介して融合されたインタクト抗体を指す。さらに、抗体は、規定された位置で、反応性システインを導入して担毒体とのカップリングを促進するように改変され得る(Junutulaら、Nat Biotechnol.2008、26(8):925~32参照)。
【0030】
「ヒト」抗体という用語は、ヒトから得ることができる、または合成ヒト抗体である抗体を指す。「合成」ヒト抗体は、ヒト抗体配列の分析に基づく合成配列から、インシリコで部分的または完全に得ることができる抗体である。ヒト抗体は、例えば、ヒト由来の抗体配列のライブラリーから単離された核酸によってコードされ得る。このような抗体の例は、Soderlindら、Nature Biotech.2000、18:853~856に見出すことができる。
【0031】
「ヒト化」または「キメラ」抗体という用語は、非ヒト部分およびヒト部分の配列からなる抗体を記載する。これらの抗体では、ヒト免疫グロブリン(レシピエント)の配列の一部が、非ヒト免疫グロブリン(ドナー)の配列部分によって置き換えられる。多くの場合、ドナーはマウス免疫グロブリンである。ヒト化抗体の場合、レシピエントのCDRのアミノ酸が、ドナーのアミノ酸によって置き換えられる。時折、フレームワークのアミノ酸も、ドナーの対応するアミノ酸によって置き換えられる。場合によっては、ヒト化抗体は、抗体の最適化の間に導入された、レシピエントにもドナーにも存在しないアミノ酸を含む。キメラ抗体の場合、ドナー免疫グロブリンの可変ドメインが、ヒト抗体の定常領域と融合される。
【0032】
本明細書で使用される相補性決定領域(CDR)という用語は、抗原との結合に必要とされる可変抗体ドメインのアミノ酸を指す。典型的には、各可変領域が、CDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれる3つのCDR領域を有する。各CDR領域は、Kabatの定義によるアミノ酸および/またはChotiaによって定義される超可変ループのアミノ酸を包含し得る。Kabatによる定義は、例えば、およそ可変軽鎖のアミノ酸位置24~34(CDR1)、50~56(CDR2)および89~97(CDR3)と可変重鎖の31~35(CDR1)、50~65(CDR2)および95~102(CDR3)の領域を含む(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991))。Chotiaによる定義は、例えば、およそ可変軽鎖の約アミノ酸位置26~32(CDR1)、50~52(CDR2)および91~96(CDR3)と可変重鎖の26~32(CDR1)、53~55(CDR2)および96~101(CDR3)の領域を含む(ChothiaおよびLesk;J Mol Biol 196:901~917(1987))。場合によっては、CDRは、KabatおよびChotiaによって定義されるCDR領域由来のアミノ酸を含み得る。
【0033】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体を異なるクラスに分類することができる。インタクト抗体には5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかをさらなるサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分けることができる。様々なクラスに対応する重鎖の定常ドメインは、[アルファ/α]、[デルタ/δ]、[イプシロン/ε]、[ガンマ/γ]および[ミュー/μ]と呼ばれる。抗体の三次元構造とサブユニット構造の両方が知られている。
【0034】
抗体/免疫グロブリンの「機能的断片」または「抗原結合抗体断片」という用語は、抗体/免疫グロブリンの抗原結合ドメインを依然として含む抗体/免疫グロブリンの断片(例えば、IgGの可変ドメイン)として定義される。抗体の「抗原結合ドメイン」は、典型的には、抗体の1つまたは複数の超可変領域、例えばCDR、CDR2および/またはCDR3領域を含む。しかしながら、抗体の「フレームワーク」または「骨格」領域もまた、抗体と抗原の結合の間に役割を果たし得る。フレームワーク領域は、CDRの骨格を形成する。好ましくは、抗原結合ドメインは、少なくとも可変軽鎖のアミノ酸4~103と可変重鎖のアミノ酸5~109、より好ましくは可変軽鎖のアミノ酸3~107と可変軽鎖の4~111、特に好ましくは完全可変軽鎖と完全可変重鎖、すなわちVLのアミノ酸1~109とVHの1~113(国際公開第97/08320号パンフレットによる番号付け)を含む。
【0035】
本発明の「機能的断片」または「抗原結合抗体断片」は、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(DAb)、線状抗体、抗体の個々の鎖(一本鎖Fv、略してscFv);および多重特異性抗体、例えば抗体断片C.A.K Borrebaeck編(1995)Antibody Engineering(Breakthroughs in Molecular Biology)、Oxford University Press;R.Kontermann&S.Duebel編(2001)Antibody Engineering(Springer Laboratory Manual)、Springer Verlagから形成される二重および三重特異性抗体を非決定的に包含する。「多重特異性」または「多機能性」抗体以外の抗体は、同一の結合部位を有する抗体である。多重特異性抗体は、抗原の異なるエピトープに特異的であり得る、または2つ以上の抗原のエピトープに特異的であり得る(例えば、国際公開第93/17715号パンフレット;国際公開第92/08802号パンフレット;国際公開第91/00360号パンフレット;国際公開第92/05793号パンフレット;Tuttら、1991、J.Immunol.147:60 69;米国特許第4474893号明細書;同第4714681号明細書;同第4925648号明細書;同第5573920号明細書;同第5601819号明細書;またはKostelnyら、1992、J.Immunol.148:1547 1553参照)。Ch1ドメインとCLドメインとの間に生じる分子間ジスルフィド相互作用の数を減らすことができる、または完全に防ぐことができるように、F(ab’)2またはFab分子を構築することができる。
【0036】
「エピトープ」とは、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができるタンパク質決定基を指す。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸もしくは糖側鎖またはその組み合わせなどの分子の化学的に活性な表面基からなり、通常、特異的三次元構造特性および特異的電荷特性も有する。
【0037】
「機能的断片」または「抗原結合抗体断片」は、共有結合(例えば、ペプチド結合)によって、そのアミノ末端またはカルボキシル末端を介して、抗体に由来しない別のポリペプチドまたはタンパク質と融合され得る。さらに、担毒体とのカップリングを促進するために、抗体および抗原結合断片を、規定された位置に反応性システインを導入することによって改変することができる(Junutulaら、Nat Biotechnol.2008年8月;26(8):925~32参照)。
【0038】
ポリクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって調製することができる。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法(KohlerおよびMilstein、Nature、256、495-497、1975)によって調製することができる。ヒトおよびヒト化モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法(Olssonら、Meth Enzymol.92、3~16またはCabillyらの米国特許第4816567号明細書またはBossらの米国特許第4,816,397号明細書)によって調製することができる。
【0039】
当業者であれば、例えば、トランスジェニックマウス(N LonbergおよびD Huszar、Int Rev Immunol.1995;13(1):65~93)またはファージディスプレイ技術(Clacksonら、Nature.1991年8月15日;352(6336):624~8)によって、ヒト抗体およびその断片を調製する多様な方法を認識している。本発明の抗体は、例えば多数の健康なボランティアから集められた多数の抗体のアミノ酸配列からなる組換え抗体ライブラリーから得ることができる。抗体を、公知の組換えDNA技術によって産生することもできる。抗体の核酸配列は、日常的な配列決定によって得ることができる、または公的に入手可能なデータベースから入手可能である。
【0040】
「単離された」抗体または結合剤は、細胞の他の成分を除去するために精製されている。診断的または治療的使用を妨害し得る細胞の汚染成分は、例えば、酵素、ホルモン、または細胞の他のペプチド性もしくは非ペプチド性成分である。好ましい抗体または結合剤は、抗体または結合剤に関して、95重量%超の程度まで精製されたものである(例えば、ローリー法、UV-Vis分光法またはSDSキャピラリーゲル電気泳動によって測定される)。さらに、アミノ末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸を決定することが可能である程度に精製された、または均質性まで精製された抗体(均質性は還元または非還元条件下SDS-PAGEによって決定される(検出は、クマシーブルー染色によって、または好ましくは銀着色によって測定され得る))。しかしながら、抗体は、通常、1つまたは複数の精製ステップによって調製される。
【0041】
「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、所定の抗原/標的分子に結合する抗体または結合剤を指す。抗体または結合剤の特異的結合は、典型的には、少なくとも10-7M(Kd値として、すなわち好ましくは10-7Mより小さいKd値を有するもの)の親和性を有する抗体または結合剤を記載し、抗体または結合剤は、所定の抗原/標的分子または密接に関連する抗原/標的分子ではない非特異的抗原/標的分子(例えば、ウシ血清アルブミンまたはカゼイン)よりも、所定の抗原/標的分子に対して少なくとも2倍高い親和性を有する。抗体は、好ましくは、少なくとも10-7M(Kd値として、換言すれば好ましくは10-7Mより小さいKd値を有するもの)、好ましくは少なくとも10-8M、より好ましくは10-9M~10-11Mの範囲の親和性を有する。Kd値は、例えば、表面プラズモン共鳴分光法によって測定することができる。
【0042】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートも同様にこれらの範囲の親和性を示す。親和性は、好ましくは、薬物のコンジュゲーションによって実質的に影響されない(一般に、親和性は、1桁未満低下し、換言すれば、例えば、最大で10-8Mから10-7Mである)。
【0043】
本発明によって使用される抗体はまた、好ましくは高い選択性のために注目に値する。本発明の抗体が、独立した他の抗原、例えばヒト血清アルブミンよりも、少なくとも2倍、好ましくは5倍、より好ましくは10倍優れた標的タンパク質に対する親和性を示す場合に、高い選択性が存在する(親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴分光法によって測定することができる)。
【0044】
さらに、使用される本発明の抗体は、好ましくは交差反応性である。前臨床研究、例えば、毒物学的研究または活性研究(例えば、異種移植マウスにおける)を容易にし、よりよく解釈できるようにするために、本発明により使用される抗体がヒト標的タンパク質に結合するだけでなく、研究に使用される種の種標的タンパク質にも結合する場合が有利である。一実施形態では、本発明により使用される抗体が、ヒト標的タンパク質に加えて、少なくとも1つのさらなる種の標的タンパク質に対して交差反応性である。毒物学的研究および活性研究のために、げっ歯類、イヌおよび非ヒト霊長類の科の種を使用することが好ましい。好ましいげっ歯類種はマウスおよびラットである。好ましい非ヒト霊長類は、アカゲザル、チンパンジーおよび尾長マカクである。
【0045】
一実施形態では、本発明により使用される抗体が、ヒト標的タンパク質に加えて、マウス、ラットおよび尾長マカク(カニクイザル(Macaca fascicularis))からなる種の群から選択される少なくとも1つのさらなる種の標的タンパク質に対して交差反応性である。ヒト標的タンパク質に加えて、少なくともマウス標的タンパク質に対して交差反応性である、本発明により使用される抗体が特に好ましい。さらなる非ヒト種の標的タンパク質に対する親和性が、ヒト標的タンパク質に対する親和性と50倍以下、さらに特に10倍以下異なる交差反応性抗体が好ましい。
【0046】
がん標的分子に対する抗体
結合剤、例えば抗体またはその抗原結合断片が向けられる標的分子は、好ましくはがん標的分子である。「がん標的分子」という用語は、同じ組織型の非がん細胞よりも1つまたは複数のがん細胞種上に豊富に存在する標的分子を記載する。好ましくは、がん標的分子は、同じ組織型の非がん細胞と比較して1つまたは複数のがん細胞種上に選択的に存在し、選択的にとは同じ組織型の非がん細胞と比較してがん細胞上に少なくとも2倍豊富であることを記載する(「選択的がん標的分子」)。がん標的分子の使用により、本発明によるコンジュゲートを使用したがん細胞の選択的治療が可能になる。
【0047】
細胞外がん標的分子IL-3Rα、CD123(配列番号221)がここで特に好ましい。この細胞外がん標的分子は、IL3RA(インターロイキン3受容体サブユニットα)としても知られており、NCBI遺伝子ID:3563を有する。
【0048】
機能的インターロイキン3受容体は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびインターロイキン5(IL-5)のための受容体と共有される特異的α鎖(IL-3Rα、CD123)および「一般的」IL-3受容体β鎖(βC、CD131)を含むヘテロ二量体である。
【0049】
IL-3Rα、CD123は、約41kDaの計算分子量を有する1型の膜貫通タンパク質である。CD123は、IL-3結合に関与する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび約50アミノ酸の短い細胞質末端を含む。細胞外ドメインは、2つの領域:GM-CSFおよびIL-5受容体α鎖の等価領域と配列類似性を有する約100アミノ酸のN末端領域と4個の保存されたシステイン残基およびサイトカイン受容体ファミリーに共通のWSXWSモチーフを含む膜貫通ドメインに近接する領域からなる。
【0050】
IL-3結合ドメインは、Ig様に折り畳まれた2つのドメインで構築された約200個のアミノ酸残基のサイトカイン受容体モチーフ(CRM)を含む。IL-3Rα、CD123の細胞外ドメインは高度にグリコシル化されており、N-グリコシル化がリガンド結合および受容体シグナル伝達に必要である。
【0051】
IL-3Rα、CD123は、造血系、例えば造血前駆細胞、肥満細胞、赤血球細胞、巨核球、好中球、好塩基球および好酸球顆粒球、単球/マクロファージおよびCD5+Bリンパ球にわたって広範に発現される;CD123は、樹状細胞、ライディッヒ細胞、内皮細胞および間質細胞などの非造血細胞上でも発現される。
【0052】
IL-3Rα、CD123は、一定の疾患に関与する細胞によっても発現される;これらの疾患は、骨髄異形成症候群、白血病(急性骨髄性白血病(AML)など)、リンパ腫、アレルギーおよび自己免疫疾患、例えばループスまたは強皮症を含む。
【0053】
これらの関係のために、抗IL-3Rα、抗CD123抗体を、ネイキッド抗体(naked antibody)または結合抗体(ADCなど)として治療に使用することができる。
【0054】
本発明は、IL-3Rα、CD123(配列番号221)に特異的に結合する抗体に結合した化合物に関する。
【0055】
「抗CD123抗体」という用語は、優先的に診断および/または治療用途に十分な親和性を有する、がん標的分子CD123(IL-3Rα、配列番号221)と特異的に結合する抗体に関する。一実施形態では、CD123に関連しないタンパク質に対する抗CD123抗体の結合が、例えば表面プラズモン共鳴分光法によって決定される、CD123に対する抗体の結合の10%未満である。一定の実施形態では、抗体が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nMの解離定数(KD)でCD123(IL-3Rα、配列番号221)に結合する。一定の実施形態では、抗CD123抗体が、異なる種間で保存されたエピトープに結合する。
【0056】
がん標的分子に結合する抗体は、例えば化学合成または組換え発現などの公知の方法を使用して当業者によって調製され得る。がん標的分子のための結合剤は、商業的に獲得され得る、または例えば化学合成もしくは組換え発現などの公知の方法を使用して当業者によって調製され得る。抗体または抗原結合抗体断片を調製するさらなる方法は、国際公開第2007/070538号パンフレット(22頁の「抗体」参照)に記載されている。当業者であれば、どのようにファージディスプレイライブラリー(例えば、Morphosys HuCAL Gold)などの方法を編集して、抗体または抗原結合抗体断片を発見するために使用することができるか知っている(国際公開第2007/070538号パンフレット、24ff頁および70頁のAK実施例1、72頁のAK実施例2参照)。B細胞からのDNAライブラリーを使用する抗体を調製するさらなる方法は、例えば26頁に記載されている(国際公開第2007/070538号パンフレット)。抗体をヒト化する方法は、国際公開第2007070538号パンフレットの30~32頁およびQueenら、Pros.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029~10033、1989または国際公開第90/0786号パンフレットに詳細に記載されている。さらに、一般にタンパク質および特に抗体の組換え発現のための方法は、当業者に公知である(例えば、BergerおよびKimrnel(Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、第152巻、Academic Press,Inc.);Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Cold Spring Harbor、N.Y.;1989)第1~3巻);Current Protocols in Molecular Biology、(F.M.Ausabelら[編]、Current Protocols、Green Publishing Associates、Inc./John Wiley&Sons,Inc.);Harlowら(Monoclonal Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(19881、Paul[編]);Fundamental Immunology、(Lippincott Williams&Wilkins(1998));およびHarlowら(Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1998)参照)。当業者であれば、タンパク質/抗体の発現に必要な対応するベクター、プロモーターおよびシグナルペプチドを知っている。一般的な方法は、国際公開第2007/070538号パンフレットの41~45頁にも記載されている。IgG1抗体を調製する方法は、例えば、国際公開第2007/070538号パンフレットの74ff頁の実施例6に記載されている。その抗原に結合した後の抗体の内在化の決定を可能にする方法は当業者に公知であり、例えば国際公開第2007/070538号パンフレットの80頁に記載されている。当業者であれば、異なる標的分子特異性を有する抗体の調製と同様に、カルボアンヒドラーゼIX(Mn)抗体を調製するために使用されている国際公開第2007/070538号パンフレットに記載される方法を使用することができる。
【0057】
抗CD123抗体
本発明によると、抗CD123抗体またはその抗原結合断片、好ましくは以下に記載されるものから選択される、または適切な突然変異によって改変されたものを使用する。さらに、当業者であればCD123に結合する抗体に精通している。
【0058】
Sunら(Sunら、1996、Blood 87(1):83~92)は、IL-3Rα、CD123のN末端ドメインに結合するモノクローナル抗体7G3の作製および特性を記載している。米国特許第6,177,078号明細書(Lopez)は、抗CD123抗体7G3に関する。この抗体のキメラ変異体(CSL360)は、国際公開第2009/070844号パンフレットに記載されており、ヒト化バージョン(CSL362)は、国際公開第2012/021934号パンフレットに記載されている。7G3抗体の配列は、欧州特許第2426148号明細書に開示されている。
【0059】
この7G3配列は、ヒト化および生殖細胞系列化抗体TPP-8987およびTPP-9476の出発点を表す。
【0060】
細胞表面抗原結合後に特に良好に内在化される抗体は、Kuoら(Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82)によって開示されている抗CD123抗体12F1である。抗体12F1は、抗体7G3よりもCD123に高い親和性で結合し、細胞表面抗原結合後、7G3よりも著しく早く内在化される。12F1に基づく二重特異性scFv免疫融合タンパク質は、国際公開第2013/173820号パンフレットに開示されている。
【0061】
この12F1配列は、ヒト化および生殖細胞系列化抗体TPP-8988およびTPP-9342の出発点を表す。
【0062】
本発明は、特に、マウスに由来する抗体7G3(Sunら、1996、Blood 87(1):83~92)および12F1(Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82)から誘導された抗体もしくはその抗原結合抗体断片もしくはその変異体を含むコンジュゲート、またはマウスに由来する抗体12F1(Kuoら、2009、Bioconjug Chem.20(10):1975~82)から誘導された抗体もしくはその抗原結合抗体断片もしくはその変異体を含むコンジュゲートに関する。
【0063】
抗CD123抗体の作製
7G3の可変領域(VHおよびVL)の配列の公開(欧州特許第2426148号明細書)に基づいて、ヒトフレームワーク領域へのCDR移植およびその後の生殖細胞系列化最適化によって、以下の抗体配列を得た:TPP-8987およびTPP-9476。
【0064】
12F1の可変領域(VHおよびVL)の配列の公開(国際公開第2013/173820号パンフレット)に基づいて、ヒトフレームワーク領域へのCDR移植およびその後の生殖細胞系列化最適化によって、以下の抗体を得た:TPP-8988およびTPP-9342。
【0065】
抗CD123抗体の特定の実施形態
本出願では、以下の表に示される、本発明の以下の好ましい抗CD123抗体に言及する:「TPP-8987」、「TPP-9476」、「TPP-8988」および「TPP-9342」。
【0066】
TPP-8987およびTPP-9476は、抗体7G3のヒト化および生殖細胞系列化変異体である。
【0067】
TPP-8988およびTPP-9342は、抗体12F1のヒト化および生殖細胞系列化変異体である。
【0068】
実施例に示されるように、ヒト化され、ヒト抗体生殖細胞系列配列に非常に近い(生殖細胞系列化)7G3および12F1の抗体を提供することが本発明のさらなる目的であった。そのため、抗体TPP-8987、TPP-9476、TPP-8988およびTPP-9342は、本発明のさらなる実施形態である。これらの抗体の配列を以下の表に示す:
【0069】
【0070】
「TPP-8987」、「TPP-9476」、「TPP-8988」および「TPP-9342」と呼ばれる抗CD123抗体に対するADCが特に好ましい。
【0071】
TPP-8987は、配列番号122に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号123に示される重鎖の可変CDR2配列および配列番号124に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と配列番号126に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号127に示される軽鎖の可変CDR2配列および配列番号128に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖を含む抗CD123抗体である。
【0072】
TPP-9476は、配列番号202に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号203に示される重鎖の可変CDR2配列および配列番号204に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と配列番号206に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号207に示される軽鎖の可変CDR2配列および配列番号208に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖を含む抗CD123抗体である。
【0073】
TPP-8988は、配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖を含む抗CD123抗体である。
【0074】
TPP-9342は、配列番号192に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号193に示される重鎖の可変CDR2配列および配列番号194に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と配列番号196に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号197に示される軽鎖の可変CDR2配列および配列番号198に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖を含む抗CD123抗体である。
【0075】
TPP-8987は、好ましくは、配列番号121に相当する重鎖の可変領域と配列番号125に相当する軽鎖の可変領域を含む抗CD123抗体である。
【0076】
TPP-9476は、好ましくは、配列番号201に相当する重鎖の可変領域と配列番号205に相当する軽鎖の可変領域を含む抗CD123抗体である。
【0077】
TPP-8988は、好ましくは、配列番号131に相当する重鎖の可変領域と配列番号135に相当する軽鎖の可変領域を含む抗CD123抗体である。
【0078】
TPP-9342は、好ましくは、配列番号191に相当する重鎖の可変領域と配列番号195に相当する軽鎖の可変領域を含む抗CD123抗体である。
【0079】
TPP-8987は、好ましくは、配列番号129に相当する重鎖の領域と配列番号130に相当する軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0080】
TPP-9476は、好ましくは、配列番号209に相当する重鎖の領域と配列番号210に相当する軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0081】
TPP-8988は、配列番号139に相当する重鎖の領域と好ましくは配列番号140に相当する軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0082】
TPP-9342は、好ましくは、配列番号199に相当する重鎖の領域と配列番号200に相当する軽鎖の領域を含む抗CD123抗体である。
【0083】
本発明によるリンカーおよび/または担毒体と結合するための抗CD123抗体の好ましい実施形態は、以下の抗体である:
1.配列番号122に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号123に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号124に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号126に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号127に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号128に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号202に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号203に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号204に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号206に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号207に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号208に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号132に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号133に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号134に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号136に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号137に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号138に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖、または
配列番号192に示される重鎖の可変CDR1配列、配列番号193に示される重鎖の可変CDR2配列、および配列番号194に示される重鎖の可変CDR3配列を含む可変重鎖と
配列番号196に示される軽鎖の可変CDR1配列、配列番号197に示される軽鎖の可変CDR2配列、および配列番号198に示される軽鎖の可変CDR3配列を含む可変軽鎖
を含む、CD123に結合する抗体またはその抗原結合断片。
【0084】
2.配列番号121に示される重鎖の可変配列と配列番号125に示される軽鎖の可変配列、または
配列番号201に示される重鎖の可変配列と配列番号205に示される軽鎖の可変配列、または
配列番号131に示される重鎖の可変配列と配列番号135に示される軽鎖の可変配列、または
配列番号191に示される重鎖の可変配列と配列番号195に示される軽鎖の可変配列
を含む、実施形態1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【0085】
3.IgG抗体である、先の実施形態のいずれかに記載の抗体。
【0086】
4.配列番号129に示される重鎖の配列と配列番号130に示される軽鎖の配列、または
配列番号209に示される重鎖の配列と配列番号210に示される軽鎖の配列、または
配列番号139に示される重鎖の配列と配列番号140に示される軽鎖の配列、または
配列番号199に示される重鎖の配列と配列番号200に示される軽鎖の配列
を含む、先の実施形態のいずれかに記載の抗体。
【0087】
5.scFv、Fab、Fab’フラグメントまたはF(ab)2フラグメントである、先の実施形態のいずれかに記載の抗原結合断片または先の実施形態のいずれかに記載の抗体の抗原結合断片を含む、先の実施形態のいずれかに記載の抗体。
【0088】
6.モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、先の実施形態のいずれかに記載の抗体または抗原結合断片。
【0089】
7.ヒト、ヒト化またはキメラ抗体または抗原結合断片である、先の実施形態のいずれかに記載の抗体または抗原結合断片。
【0090】
「TPP-8987」、「TPP-9476」、「TPP-8988」および「TPP-9342」と呼ばれる抗CD123抗体が特に好ましい。
【0091】
本発明のDNA分子
本発明はまた、本発明の抗体またはその抗原結合断片をコードするDNA分子に関する。これらの配列は、場合によっては、哺乳動物発現のために最適化される。本発明のDNA分子は、本明細書に開示される配列に限定されず、その変異体も含む。本発明内のDNA変異体は、ハイブリダイゼーションでそれらの物理的特性を参照して記載され得る。当業者であれば、DNAを使用してその相補鎖、およびDNAは二本鎖であるので、核酸ハイブリダイゼーション技術を使用してその等価物またはホモログを識別することができることを認識するであろう。ハイブリダイゼーションは、100%未満の相補性でも起こり得ることが認識されるであろう。しかしながら、条件が適切に選択されると、ハイブリダイゼーション技術を使用して、特定のプローブに対する構造的関連性に基づいてDNA配列を区別することができる。このような条件に関するガイダンスについては、Sambrookら、1989上記およびAusubelら、1995(Ausubel,F.M.、Brent,R.、Kingston,R.E.、Moore,D.D.、Sedman,J.G.、Smith,J.A.&Struhl,K.編(1995).Current Protocols in Molecular Biology.New York:John Wiley and Sons)を参照されたい。
【0092】
2つのポリヌクレオチド配列間の構造的類似性は、2つの配列が互いにハイブリダイズする条件の「ストリンジェンシー」の関数として表すことができる。本明細書中で使用される場合、「ストリンジェンシー」という用語は、条件がハイブリダイゼーションを嫌う程度を指す。ストリンジェントな条件はハイブリダイゼーションを非常に嫌い、このような条件下では最も構造的に関連する分子のみが互いにハイブリダイズする。逆に、非ストリンジェントな条件は、より低い程度の構造的関連性を示す分子のハイブリダイゼーションに有利である。したがって、ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、2つの核酸配列の構造的関係と直接相関する。
【0093】
ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、全体的DNA濃度、イオン強度、温度、プローブサイズ、および水素結合を破壊する薬剤の存在を含む多くの因子の関数である。ハイブリダイゼーションを促進する因子には、高いDNA濃度、高いイオン強度、低温、長いプローブサイズ、および水素結合を破壊する薬剤の非存在が含まれる。ハイブリダイゼーションは、典型的には、「結合」段階および「洗浄」段階の2つの段階で行われる。
【0094】
機能的に等価なDNA変異体
本発明の範囲内のさらに別のクラスのDNA変異体は、それらがコードする産物を参照して記載され得る。これらの機能的に等価なポリヌクレオチドは、それらが遺伝暗号の縮重のために同じペプチド配列をコードするという事実を特徴とする。
【0095】
本明細書で提供されるDNA分子の変異体は、いくつかの異なる方法で構築することができることが認識される。例えば、これらは完全な合成DNAとして構築され得る。オリゴヌクレオチドを効率的に合成する方法は、広く入手可能である。Ausubelら、第2.11節、補遺21(1993)を参照されたい。重複オリゴヌクレオチドは、Khoranaら、J.Mol.Biol.72:209~217(1971)によって最初に報告された様式で合成され、組み立てられ得る;Ausubelら、上記、第8.2節も参照されたい。合成DNAは、好ましくは適切なベクターへのクローニングを容易にするために遺伝子の5’末端および3’末端で操作された好都合な制限部位を用いて設計される。
【0096】
示されるように、変異体を作製する方法は、本明細書に開示されるDNAの1つから開始し、次いで、部位特異的変異誘発を行うことである。Ausubelら、上記、第8章、補遺37(1997)を参照されたい。典型的な方法では、標的DNAを一本鎖DNAバクテリオファージビヒクルにクローニングする。一本鎖DNAを単離し、1つまたは複数の所望のヌクレオチド変化を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせる。相補鎖を合成し、二本鎖ファージを宿主に導入する。得られた子孫のうちのいくつかは、所望の突然変異体を含み、これはDNA配列決定を使用して確認することができる。さらに、子孫ファージが所望の突然変異体となる可能性を高める種々の方法が利用可能である。これらの方法は当業者に周知であり、このような突然変異体を作製するためにキットが市販されている。
【0097】
組換えDNA構築物および発現
本発明はさらに、本発明の好ましい抗体をコードするヌクレオチド配列の1つまたは複数を含む組換えDNA構築物を提供する。本発明の組換え構築物は、本発明の抗体またはその抗原結合断片またはその変異体をコードするDNA分子が挿入されているベクター、例えばプラスミド、ファージミド、ファージまたはウイルスベクターに関連して使用され得る。
【0098】
本明細書で提供される抗体、抗原結合部分、またはその変異体は、宿主細胞中での軽鎖および重鎖またはその一部をコードする核酸配列の組換え発現によって調製することができる。抗体、抗原結合部分、またはその変異体を組換え的に発現させるために、宿主細胞を、軽鎖および重鎖が宿主細胞中で発現されるように、軽鎖および/または重鎖またはその一部をコードするDNA断片を有する1つまたは複数の組換え発現ベクターでトランスフェクトすることができる。標準的な組換えDNA法、例えばSambrook、FritschおよびManiatis(編者)Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1989)、Ausubel,F.M.ら(編者)Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates、(1989)およびBossらの米国特許第4,816,397号明細書に記載されている方法を使用して、重鎖および軽鎖をコードする核酸を調製および/または取得し、これらの核酸を組換え発現ベクターに組み込み、ベクターを宿主細胞に導入する。
【0099】
さらに、重鎖および/または軽鎖の可変領域をコードする核酸配列を、例えば完全長抗体鎖、FabフラグメントまたはscFvをコードする核酸配列に変換することができる。VLまたはVHをコードするDNA断片を、(2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームとなるように)例えば抗体定常領域またはフレキシブルリンカーをコードする別のDNA断片に作動可能に連結することができる。ヒト重鎖および軽鎖定常領域の配列は、当技術分野で公知であり(例えば、Kabat,E.A.ら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国保健福祉省、NIH公開番号91-3242参照)、これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。
【0100】
scFvをコードするポリヌクレオチド配列を作製するために、VHおよびVLをコードする核酸を、VLおよびVH領域がフレキシブルリンカーによって連結され、VHおよびVL配列が隣接した一本鎖タンパク質として発現され得るように、フレキシブルリンカーをコードする別の断片に作動可能に連結することができる(例えば、Birdら(1988)Science 242:423~426;Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879~5883;McCaffertyら、Nature(1990)348:552~554参照)。
【0101】
抗体、抗原結合断片またはその変異体を発現させるために、標準的な組換えDNA発現法を使用することができる(例えば、Goeddel;Gene Expression Technology.Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)参照)。例えば、所望のポリペプチドをコードするDNAを発現ベクターに挿入し、次いでこれを適切な宿主細胞にトランスフェクトすることができる。適切な宿主細胞は、原核細胞および真核細胞である。原核宿主細胞の例は、例えば細菌であり、真核宿主細胞の例は、酵母、昆虫および昆虫細胞、植物および植物細胞、トランスジェニック動物または哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、重鎖および軽鎖をコードするDNAを別々のベクターに挿入する。他の実施形態では、重鎖および軽鎖をコードするDNAを同じベクターに挿入する。制御配列の選択を含む発現ベクターの設計は、宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルおよび発現が構成的であるか誘導的であるかなどの因子によって影響されることが理解される。
【0102】
したがって、本発明の実施形態はまた、ベクターまたは核酸分子を含む宿主細胞であり、宿主細胞は、哺乳動物細胞などの高等真核宿主細胞、酵母細胞などの下等真核宿主細胞であってもよく、細菌細胞などの原核細胞であってもよい。
【0103】
本発明の別の実施形態は、適切な条件下で宿主細胞を培養するステップと、前記抗体を回収するステップとを含む、抗体および抗原結合断片を作製するために宿主細胞を使用する方法である。
【0104】
したがって、本発明の別の実施形態は、本発明の宿主細胞を用いた本発明の抗体の作製およびこれらの抗体の少なくとも95重量%の均質性までの精製である。
【0105】
細菌発現
細菌使用のための有用な発現ベクターは、所望のタンパク質をコードするDNA配列を、適切な翻訳開始および終止シグナルと共に、機能的プロモーターによる作動可能な読み取り段階で挿入することによって構築される。ベクターは、ベクターの維持を確実にするために、また望ましい場合には宿主内での増幅を提供するために、1つまたは複数の表現型選択マーカーおよび複製起点を含む。形質転換に適した原核宿主には、それだけに限らないが、大腸菌(E.coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)ならびにシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)およびブドウ球菌属(Staphylococcus)の種々の種が含まれる。
【0106】
細菌ベクターは、例えば、バクテリオファージ、プラスミドまたはファージミドに基づくものであり得る。これらのベクターは、典型的には周知のクローニングベクターpBR322(ATCC37017)のエレメントを含む市販のプラスミドから誘導される選択マーカーおよび細菌複製起点を含むことができる。適切な宿主株の形質転換および宿主株の適切な細胞密度への増殖後、選択されたプロモーターを、適切な手段(例えば、温度シフトまたは化学的誘導)によって脱抑制/誘導し、細胞をさらなる期間培養する。細胞を、典型的には、遠心分離によって回収し、物理的または化学的手段によって破壊し、得られた粗抽出物を、さらなる精製のために保持する。
【0107】
細菌系では、発現されるタンパク質の意図する用途に応じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体の作製またはペプチドライブラリーのスクリーニングのために、大量のこのようなタンパク質を作製しなければならない場合、例えば、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指令するベクターが望ましいだろう。
【0108】
したがって、本発明の実施形態は、本発明の新規な抗体をコードする核酸配列を含む発現ベクターである。
【0109】
本発明の抗体またはその抗原結合断片またはその変異体には、天然の精製産物、化学合成手順の産物、ならびに例えば大腸菌(E.coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)およびシュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトミセス属(Streptomyces)およびブドウ球菌属(Staphylococcus)の種々の種、好ましくは大腸菌(E.coli)細胞を含む原核宿主から組換え技術によって作製された産物が含まれる。
【0110】
哺乳動物発現
哺乳動物宿主細胞発現のための好ましい制御配列には、哺乳動物細胞中での高レベルのタンパク質発現を指示するウイルスエレメント、例えばサイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))ならびにポリオーマが含まれる。抗体の発現は、構成的であっても調節されていてもよい(例えば、Tet系と併せてテトラサイクリンなどの小分子誘導物質の添加または除去により誘導可能)。ウイルス調節エレメントおよびその配列のさらなる説明については、例えば、Stinskiの米国特許第5,168,062号明細書、Bellらの米国特許第4,510,245号明細書およびSchaffnerらの米国特許第4,968,615号明細書を参照されたい。組換え発現ベクターはまた、複製起点および選択マーカーを含むことができる(例えば、米国特許第4,399,216号明細書、同第4,634,665号明細書および米国特許第5,179,017号明細書参照)。適切な選択マーカーには、ベクターが導入された宿主細胞上で、G418、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ブラストサイジン、ゼオシン/ブレオマイシンもしくはメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与する遺伝子、またはグルタミンシンテターゼなどの栄養要求性を利用する選択マーカー(Bebbingtonら、Biotechnology(N Y).1992年2月;10(2):169~75)が含まれる。例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子はメトトレキサートに対する耐性を付与し、neo遺伝子はG418に対する耐性を付与し、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のbsd遺伝子はブラストサイジンに対する耐性を付与し、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼはピューロマイシンに対する耐性を付与し、Sh ble遺伝子産物はゼオシンへの耐性を付与し、ハイグロマイシンに対する耐性は、大腸菌(E.coli)ハイグロマイシン耐性遺伝子(hygまたはhph)によって付与される。DHFRまたはグルタミンシンターゼなどの選択マーカーも、MTXおよびMSXと併せて増幅技術に有用である。
【0111】
発現ベクターの宿主細胞へのトランスフェクションは、電気穿孔、ヌクレオフェクション(nucleofection)、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、ポリカチオンベースのトランスフェクション、例えばポリエチレンイミン(PEI)ベースのトランスフェクションおよびDEAE-デキストラントランスフェクションなどの標準的な技術を使用して行うことができる。
【0112】
本明細書で提供される抗体、その抗原結合断片またはその変異体を発現するのに適した哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、例えばCHO-K1、CHO-S、CHO-K1SV[例えば、R.J.KaufmanおよびP.A.Sharp(1982)Mol.Biol.159:601~621に記載されるDHFR選択マーカーと共に使用される、UrlaubおよびChasin、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216~4220およびUrlaubら、Cell.1983年6月;33(2):405~12に記載されるdhfr-CHO細胞;およびFanら、Biotechnol Bioeng.2012年4月109(4):1007~15に例示される他のノックアウト細胞を含む]、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、HEK293細胞、HKB11細胞、BHK21細胞、CAP細胞、EB66細胞およびSP2細胞が含まれる。
【0113】
発現はまた、HEK293、HEK293T、HEK293-EBNA、HEK293E、HEK293-6E、HEK293-Freestyle、HKB11、Expi293F、293EBNALT75、CHO Freestyle、CHO-S、CHO-K1、CHO-K1SV、CHOEBNALT85、CHOS-XE、CHO-3E7またはCAP-T細胞などの発現系において一過性または半安定性であり得る(例えば、Durocherら、Nucleic Acids Res.2002年1月15日;30(2):E9)。
【0114】
いくつかの実施形態では、発現ベクターが、発現されたタンパク質が、宿主細胞を増殖する培養培地に分泌されるように設計される。抗体、その抗原結合断片またはその変異体は、標準的なタンパク質精製法を使用して培養培地から回収することができる。
【0115】
精製
本発明の抗体またはその抗原結合断片またはその変異体は、それだけに限らないが、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収および精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も精製に使用することができる。例えば、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる、Colligan、Current Protocols in Immunology、またはCurrent Protocols in Protein Science、John Wiley&Sons、NY、N.Y.、(1997~2001)、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたい。
【0116】
本発明の抗体またはその抗原結合断片またはその変異体には、天然の精製産物、化学合成手順の産物、ならびに例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む真核宿主から組換え技術によって作製された産物が含まれる。組換え作製手順で使用される宿主に応じて、本発明の抗体をグリコシル化することができる、または非グリコシル化することができる。このような方法は、Sambrook、上記、第17.37~17.42節;Ausubel、上記、第10、12、13、16、18および20章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0117】
好ましい実施形態では、抗体が、(1)例えばローリー法、UV-Vis分光法もしくはSDSキャピラリーゲル電気泳動(例えば、Caliper LabChip GXII、GX 90もしくはBiorad Bioanalyzer装置で)によって決定される95重量%超の抗体まで、さらに好ましい実施形態では、99重量%超まで、(2)N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を使用して還元もしくは非還元条件下でSDS-PAGEによって均質性まで、精製される。抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、単離された天然に存在する抗体は、組換え細胞内の原位置で抗体を含む。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0118】
同位体、塩、溶媒和物、同位体変種
本発明はまた、本発明による化合物の全ての適切な同位体変種も包含する。本発明による化合物の同位体変種は、ここでは、本発明による化合物中の少なくとも1個の原子が同じ原子番号であるが通常または主に自然に生じる原子質量とは異なる原子質量を有する別の原子と交換された化合物を意味すると理解される。本発明による化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の同位体、例えば、2H(重水素)、3H(トリチウム)、13C、14C、15N、17O、18O、32P、33P、33S、34S、35S、36S、18F、36Cl、82Br、123I、124I、129Iおよび131Iがある。本発明による化合物の特定の同位体変種、特に1種または複数の放射性同位元素が組み込まれたものは、例えば、体内での作用機構または活性化合物分布の調査に有益となり得、比較的容易な調製性(preparability)および検出性のために、特に3Hまたは14C同位体で標識された化合物がこの目的に適している。さらに、同位体、例えば、重水素の組込みにより、化合物のより大きな代謝安定性の結果としての特定の治療上の利益、例えば、体内での半減期の延長または要求される活性剤用量の減少がもたらされ得るので、本発明による化合物のこのような修飾も、いくつかの場合、本発明の好ましい実施形態を構成し得る。本発明による化合物の同位体変種は、当業者に既知の方法、例えば、以下に記載される方法および実施例に記載の手順によって、それぞれの試薬および/または出発化合物の対応する同位体修飾を用いることにより調製することができる。
【0119】
本発明の文脈において好ましい塩は、本発明による化合物の生理学的に許容される塩である。それ自体が製薬用途に適していないが、例えば、本発明による化合物を単離または精製するために使用することができる塩も包含される。
【0120】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0121】
本発明の化合物の生理学的に許容される塩には、従来の塩基の塩、例としておよび好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)、およびアンモニアまたは1~16個の炭素原子を有する有機アミンに由来するアンモニウム塩、例としておよび好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、アルギニン、リジンおよび1,2-エチレンジアミンも含まれる。
【0122】
本発明の文脈における溶媒和物は、溶媒分子による配位によって固体または液体状態で錯体を形成する本発明による化合物の形態として記載される。水和物は、配位が水によるものである溶媒和物の特別な形態である。水和物が本発明の文脈において好まれる溶媒和物である。
【0123】
さらに、本発明は、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。「プロドラッグ」という用語は、ここでは、それ自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、体内での滞留時間中に本発明の化合物に(例えば、代謝的または加水分解的手段によって)変換される化合物を示す。
【0124】
本発明の別の実施形態は、抗体またはその機能的断片ががん標的分子に結合する、上に定義されるコンジュゲートである。
【0125】
本発明の別の実施形態は、抗体またはその機能的断片1つあたり2~6個のコンジュゲーション部位を有する上に定義されるコンジュゲートである。
【0126】
本発明の別の実施形態は、抗体またはその機能的断片1つあたり2個のコンジュゲーション部位を有する上に定義されるコンジュゲートである。
【0127】
本発明の別の実施形態は、抗体またはその機能的断片1つあたり4個のコンジュゲーション部位を有する上に定義されるコンジュゲートである。
【0128】
本発明の別の実施形態は、抗体またはその機能的断片が細胞外標的分子に結合する上に定義されるコンジュゲートである。
【0129】
本発明の別の実施形態は、抗体またはその機能的断片が、細胞外標的分子に結合した後に、内在化され、標的分子を発現する細胞によって細胞内で(好ましくはリソソームによって)プロセシングされる、上に定義されるコンジュゲートである。
【0130】
治療上の使用
本明細書に記載されるCD123標的化抗体-薬物コンジュゲートを使用してCD123発現がんなどのCD123発現障害を治療することができる。典型的には、このようながんは、タンパク質(例えば、イムノアッセイにより)またはRNAレベルで測定される検出可能なレベルのCD123を示す。このようながんの中には、同じ型の、好ましくは同じ患者由来の非癌性組織に対して上昇したレベルのCD123を示すものがある。場合により、治療を行う前に、がんにおけるCD123のレベルを測定する。
【0131】
CD123指向性抗体薬物コンジュゲートを使用して、造血およびリンパ組織の腫瘍または造血およびリンパ性悪性腫瘍などのCD123発現がんを含むCD123発現疾患を治療することができる。
【0132】
CD123発現に関連するがんの例としては、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄疾患が挙げられる。他のがんには、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、有毛細胞白血病、ファンコニー貧血、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)、ホジキン病、未成熟T細胞急性リンパ芽球性白血病(未成熟T-ALL)、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)またはマントル細胞リンパ腫が含まれる。
【0133】
本発明の方法は、本発明の抗体-薬物コンジュゲートを患者に投与するステップを含む、CD123を発現するがんを有する患者を治療することを含む。がんは、例えばAML、MDS、B-ALL、有毛細胞白血病、ファンコニー貧血、BPDCN、ホジキン病、未成熟T-ALL、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、CLLまたはマントル細胞リンパ腫を含む任意のCD123発現がんであり得る。
【0134】
その治療に本発明による化合物が使用され得る過増殖性疾患には、特に、がんおよび腫瘍疾患の群が含まれる。本発明の文脈において、これらは、それだけに限らないが、以下の疾患を特に意味すると理解される:乳癌および乳腫瘍(乳腺管および小葉形態、原位置も含む乳癌)、気道の腫瘍(小細胞および非小細胞癌、気管支癌)、脳腫瘍(例えば、脳幹および視床下部のもの、星細胞腫、上衣腫、膠芽腫、神経膠腫、髄芽腫、髄膜腫および神経外胚葉性腫瘍および松果体腫瘍)、消化器官の腫瘍(食道、胃、胆嚢、小腸、大腸、直腸の癌および肛門癌)、肝臓腫瘍(とりわけ、肝細胞癌、胆管癌および混合肝細胞性胆管癌)、頭頸部領域の腫瘍(喉頭、下咽頭、上咽頭、中喉頭、口唇および口腔癌、口腔黒色腫)、皮膚腫瘍(基底細胞腫、棘細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、非黒色腫性皮膚がん、メルケル細胞皮膚がん、肥満細胞腫瘍)、軟組織の腫瘍(とりわけ、軟組織肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、線維肉腫、血管肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫)、眼の腫瘍(とりわけ、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫)、内分泌腺および外分泌腺の腫瘍(例えば、甲状腺および副甲状腺、膵臓および唾液腺癌、腺癌)、尿路の腫瘍(膀胱、陰茎、腎臓、腎盂および尿管の腫瘍)ならびに生殖器官の腫瘍(女性の子宮内膜、子宮頸部、卵巣、膣、外陰および子宮ならびに男性の前立腺および精巣の癌)。これらにはまた、固形および循環細胞としての血液、リンパ系および脊髄の増殖性血液疾患、例えば、白血病、リンパ腫および骨髄増殖性疾患、例えば急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性リンパ球性、慢性骨髄性および有毛細胞白血病ならびにAIDS関連リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫および中枢神経系のリンパ腫も含まれる。
【0135】
ヒトにおけるこれらの十分に特徴付けられた疾患はまた、他の哺乳動物においても同等の病因で生じ得るので、そこでも同様に本発明の化合物で治療され得る。
【0136】
本発明による化合物を用いた上記のがん疾患の治療は、固形腫瘍の治療とその転移形態または循環形態の治療の両方を含む。
【0137】
本発明の文脈において、「治療」または「治療する」という用語は、慣用的な意味で使用され、疾患または健康異常に対抗する、これを低減する、減弱するまたは緩和する目的で患者に接する、患者を世話する、および患者を介護する、ならびに例えば、がんイベントのように、この疾患によって損なわれる生活状態を改善することを意味する。
【0138】
よって、本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防するための本発明による化合物の使用を提供する。
【0139】
本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防するための医薬品を製造するための本発明による化合物の使用を提供する。
【0140】
本発明はさらに、障害、特に上記障害を治療および/または予防する方法における本発明による化合物の使用を提供する。
【0141】
本発明はさらに、有効量の本発明による化合物の少なくとも1種を使用して、障害、特に上記障害を治療および/または予防する方法を提供する。
【0142】
本発明による化合物は、単独で、または必要に応じて、1種または複数の他の薬理学的に活性な物質と組み合わせて使用することができ、ただし、この組み合わせは望ましくないおよび許容できない副作用をもたらさない。そのため、本発明はさらに、特に上記障害を治療および/または予防するための、本発明による化合物の少なくとも1種と、1種または複数のさらなる活性化合物とを含む医薬品を提供する。
【0143】
例えば、本発明の化合物を、がん疾患を治療するために公知の抗過剰増殖、細胞増殖抑制性または細胞毒性物質と組み合わせることができる。適切な組み合わせ活性化合物例としては以下が挙げられる:
131I-chTNT、アバレリックス、アビラテロン、アクラルビシン、ado-トラスツズマブエムタンシン、アファチニブ、アフリベルセプト、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アレンドロン酸、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミフォスチン、アミノグルテチミド、ヘキシルアミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンセスチム、アネトールジチオールチオン、アンジオテンシンII、抗トロンビンIII、アプレピタント、アルシツモマブ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アキシチニブ、アザシチジン、バシリキシマブ、ベロテカン、ベンダムスチン、ベリノスタット、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビサントレン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、ホリナートカルシウム、レボホリナートカルシウム、カペシタビン、カプロマブ、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルモフール、カルムスチン、カツマキソマブ、セレコキシブ、セルモロイキン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、クロルマジノン、クロルメチン、シドホビル、シナカルセト、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、クロファラビン、コパンリシブ、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デガレリクス、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デプレオチド、デスロレリン、デクスラゾキサン、塩化ジブロスピジウム、ジアンヒドロガラクチトール、ジクロフェナク、ドセタキセル、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドキソルビシン+エストロン、ドロナビノール、エクリズマブ、エドレコロマブ、酢酸エリプチニウム、エルトロンボパグ、エンドスタチン、エノシタビン、エンザルタミド、エピルビシン、エピチオスタノール、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エプタプラチン、エリブリン、エルロチニブ、エソメプラゾール、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、ファドロゾール、フェンタニル、フィルグラスチム、フルオキシメステロン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、フォリン酸、フォルメスタン、ホスアプレピタント、ホテムスチン、フルベストラント、ガドブトロール、ガドテリドール、ガドテル酸メグルミン、ガドベルセタミド、ガドキセト酸、硝酸ガリウム、ガニレリクス、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グルカルピダーゼ、グルトキシム(glutoxim)、GM-CSF、ゴセレリン、グラニセトロン、顆粒球コロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、I-125シード、ランソプラゾール、イバンドロン酸、イブリツモマブ・ティウキセタン、イブルチニブ、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、イミキモド、インプロスルファン、インジセトロン、インカドロン酸、インゲノールメブテート、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、イオビトリドール、イオベングアン(123I)、イオメプロール、イピリムマブ、イリノテカン、イトラコナゾール、イクサベピロン、ランレオチド、ラパチニブ、ラソコリン(Iasocholine)、レナリドミド、レノグラスチム、レンチナン、レトロゾール、ロイプロレリン、レバミソール、レボノルゲストレル、レボチロキシンナトリウム、リスリド、ロバプラチン、ロムスチン、ロニダミン、マソプロコール、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メラルソプロール、メルファラン、メピチオスタン、メルカプトプリン、メスナ、メタドン、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、メチロシン、ミファムルチド、ミルテホシン、ミリプラチン、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、モガムリズマブ、モルグラモスチム、モピダモール、モルヒネ塩酸塩、モルヒネ硫酸塩、ナビロン、ナビキシモルス、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトレキソン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネララビン、ネリドロン酸、ニボルマブペンテトレオチド(nivolumabpentetreotide)、ニロチニブ、ニルタミド、ニモラゾール、ニモツズマブ、ニムスチン、ニトラクリン、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オクトレオチド、オファツムマブ、オマセタキシン・メペサクシネート、オメプラゾール、オンダンセト
ロン、オプレルベキン、オルゴテイン、オリロチモド(orilotimod)、オキサリプラチン、オキシコドン、オキシメトロン、オゾガマイシン、p53遺伝子療法、パクリタキセル、パリフェルミン、パラジウム-103シード、パロノセトロン、パミドロン酸、パニツムマブ、パントプラゾール、パゾパニブ、ペグアスパルガーゼ、PEG-エポエチンベータ(メトキシPEG-エポエチンベータ)、ペムブロリズマブ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペメトレキセド、ペンタゾシン、ペントスタチン、ペプロマイシン、ペルフルブタン、ペルホスファミド、ペルツズマブ、ピシバニール、ピロカルピン、ピラルビシン、ピクサントロン、プレリキサホル、プリカマイシン、ポリグルサム、リン酸ポリエストラジオール、ポリビニルピロリドン+ヒアルロン酸ナトリウム、ポリサッカリド-K、ポマリドミド、ポナチニブ、ポルフィマーナトリウム、プララトレキサート、プレドニムスチン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロコダゾール、プロプラノロール、キナゴリド、ラベプラゾール、ラコツモマブ、塩化ラジウム223、ラドチニブ、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラモセトロン、ラムシルマブ、ラニムスチン、ラスブリカーゼ、ラゾキサン、レファメチニブ、レゴラフェニブ、リセドロン酸、エチドロン酸レニウム-186、リツキシマブ、ロミデプシン、ロミプロスチム、ロムルチド、ロニシクリブ、サマリウム(153Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、サツモマブ、セクレチン、シプロイセルT、シゾフィラン、ソブゾキサン、グリシジダゾールナトリウム、ソラフェニブ、スタノゾロール、ストレプトゾシン、スニチニブ、タラポルフィン、タミバロテン、タモキシフェン、タペンタドール、タソネルミン、テセロイキン、テクネチウム(99mTc)ノフェツモマブメルペンタン、99mTc-HYNIC-[Tyr3]-オクトレオチド、テガフール、テガフール+ギメラシル+オテラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、テトロホスミン、サリドマイド、チオテパ、チマルファシン、サイロトロピンアルファ、チオグアニン、トシリズマブ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラベクテジン、トラマドール、トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、トレオスルファ
ン、トレチノイン、トリフルリジン+チピラシル、トリロスタン、トリプトレリン、トラメチニブ、トロフォスファミド、トロンボポエチン、トリプトファン、ウベニメクス、バラチニブ、バルルビシン、バンデタニブ、バプレオチド、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビスモデギブ、ボリノスタット、ボロゾール、イットリウム90ガラスミクロスフェア、ジノスタチン、ジノスタチンスチマラマー、ゾレドロン酸、ゾルビシン。
【0144】
さらに、本発明の化合物を、例えば、例として、以下の標的:OX-40、CD137/4-1BB、DR3、IDO1/IDO2、LAG-3、CD40に結合することができる結合剤と組み合わせることができる。
【0145】
さらに、本発明による化合物を放射線療法および/または外科的介入と組み合わせて使用することもできる。
【0146】
一般に、以下の目的を、本発明の化合物と他の細胞増殖抑制剤または細胞傷害活性剤との組み合わせによって追求することができる:
・個々の活性化合物による治療と比較して、腫瘍の成長を遅くし、そのサイズを縮小し、またはそれを完全に排除しさえする有効性の改善;
・単独療法の場合よりも低投与量で使用される化学療法剤を使用する可能性;
・個々の投与と比較してより少ない副作用でのより耐容性のある療法の可能性;
・より広範囲の腫瘍疾患の治療の可能性;
・療法に対するより高い反応率の達成;
・現在の標準療法と比較してより長い患者の生存時間。
【0147】
さらに、本発明による化合物を放射線療法および/または外科的介入と組み合わせて使用することもできる。
【0148】
本発明はさらに、典型的には1種または複数の不活性で、非毒性の、薬学的に適切な賦形剤と共に少なくとも1種の本発明による化合物を含む医薬品、および上記目的のためのその使用を提供する。
【0149】
本発明による化合物は全身的におよび/または局所的に作用することができる。この目的のために、これらを適切な様式で、例えば非経口的に、おそらく吸入により、またはインプラントもしくはステントとして投与することができる。
【0150】
本発明による化合物をこれらの投与経路に適した投与形態で投与することができる。
【0151】
非経口投与は、吸収ステップを迂回することができる(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内)または吸収を含むことができる(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)。非経口投与に適した投与形態には、液剤、懸濁剤、乳剤または凍結乾燥物の形態の注射および注入用製剤が含まれる。非経口投与、特に、静脈内投与が好ましい。
【0152】
一般に、非経口投与の場合、有効な結果を達成するために、約0.001~1mg/kg、好ましくは約0.01~0.5mg/kg体重の量を投与することが有利であることが分かった。
【0153】
それにもかかわらず、該当する場合には、具体的には体重、投与経路、活性化合物に対する個体の反応、製剤の性質および投与が行われる時間または間隔の関数として言及する量から逸脱することが必要となり得る。したがって、上記最小量未満で十分となり得る場合がある一方で、言及する上限を超過しなければならない場合がある。より多くの量を投与する場合は、それを1日に数回の個別の用量に分割することが得策であり得る。
【0154】
実施例
以下の実施例は、本発明を例示する。本発明はこれらの実施例に制限されない。
【0155】
特に明言しない限り、以下の試験および実施例中の百分率は、重量百分率であり、部は重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度データは各場合において体積に基づく。
【0156】
実験の説明において、反応が行われる温度が明言されていない場合、室温を仮定することができる。
【0157】
合成経路:
実施例のための例示である以下のスキームは、実施例に至る典型的な合成経路を示す:
スキーム1
【化4】
[a):例えば臭化ベンジル、Cs
2CO
3、DMF、RT;b)例えばPd(dppf)
2Cl
2、DMF、Na
2CO
3、85℃;c)例えばLiAlH
4、THF、0℃;MnO
2、DCM、RT;d)例えばTi(iOPr)
4、THF、RT;e)例えばtBuLi、THF、-78℃;MeOH、NH
4Cl;f)例えばHCl/1,4-ジオキサン]
【0158】
スキーム2:
【化5】
[a):NaBH(OAc)
3、HOAc、ジクロロメタン、RT;b)クロロアセチルクロリド、NEt
3、DCM、RT;c)L-システイン、NaHCO
3、DBU、イソプロパノール/Wasser、50℃;d)HATU、DMF、ジイソプロピルエチルアミン、RT;e)塩化亜鉛、トリフルオロエタノール、50℃;]
【0159】
スキーム3:システイン結合ADCの合成
【化6】
[a):2~5当量のTCEP、PBS pH7.2、RTで30分間攪拌;b)アルゴン下、RTで90分間撹拌し、次いで、PD 10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いてpH8で再緩衝化;アルゴン下、RTで一晩撹拌し、次いで超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で希釈する]
【0160】
実施例のための例示である以下のスキームは、実施例に至る典型的な合成経路を示す:
【0161】
A.実施例
略語および頭字語:
ABCB1:
ATP結合カセットサブファミリーBメンバー1(P-gpおよびMDR1の同義語)
ATP:
アデノシン三リン酸
BCRP:
乳がん耐性タンパク質、流出輸送体
BEP:
2-ブロモ-1-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート
d:
二重項(NMRにおける)
TLC:
薄層クロマトグラフィー
DCM:
ジクロロメタン
Dd:
二重項の二重項(NMRにおける)
DMF:
N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:
ジメチルスルホキシド
DPBS,D-PBS,PBS:
ダルベッコリン酸緩衝塩溶液
PBS=DPBS=D-PBS、pH7.4、Sigma、番号D8537
組成:
KCl 0.2g
KH2PO4(無水物)0.2g
NaCl 8.0g
Na2HPO4(無水物)1.15g
H2Oを用いて1lにした
DTT:
DL-ジチオトレイトール
EDC:
N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド塩酸塩
EI:
電子衝突イオン化(MSにおける)
ELISA:
酵素結合免疫吸着測定法
ESI:
エレクトロスプレーイオン化(MSにおける)
ESI-MicroTofq:
ESI-MicroTofq(Tof=飛行時間およびq=四重極による質量分析計の名称)
FCS:
ウシ胎仔血清
Fmoc:
(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル
sat.:
飽和
GTP:
グアノシン-5’-三リン酸
h:
時間
HATU:
O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HEPES:
4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸
HPLC:
高圧、高速液体クロマトグラフィー
IC50:
最大半数阻害濃度
i.v.:
静脈内、静脈内への投与
KG-1:
ヒト腫瘍細胞株
LC-MS:
液体クロマトグラフィー結合質量分析
LLC-PK1 cells:
ルイス肺癌ブタ腎臓細胞株
L-MDR:
ヒトMDR1トランスフェクトLLC-PK1細胞
LoVo:
ヒト腫瘍細胞株
m:
多重項(NMRにおける)
MDR1:
多剤耐性タンパク質1
MeCN:
アセトニトリル
min:
分
MOLM-13:
ヒト腫瘍細胞株
MS:
質量分析
MTT:
3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウムブロミド3
MV-4-11:
ヒト腫瘍細胞株
NCI-H292:
ヒト腫瘍細胞株
NMR:
核磁気共鳴分光法
NMRI:
海軍医学研究所(NMRI)に由来するマウス系統
NB4:
ヒト腫瘍細胞株
PBS:
リン酸緩衝塩溶液
P-gp:
P-糖タンパク質、トランスポータータンパク質
PNGaseF:
糖を切断する酵素
RT:
室温
Rt:
保持時間(HPLCにおける)
s:
一重項(NMRにおける)
SCID mice:
重度の複合免疫不全を有する試験マウス
t:
三重項(NMRにおける)
TEMPO:
(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル
tert:
第三級
TFA:
トリフルオロ酢酸
THF:
テトラヒドロフラン
THP-1:
ヒト腫瘍細胞株
UV:
紫外分光法
Z:
ベンジルオキシカルボニル
【0162】
HPLCおよびLC-MS法:
方法1(LC-MS):
機器:Waters ACQUITY SQD UPLCシステム;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ50×1mm;移動相A:水1l+99%濃度ギ酸0.25ml、移動相B:アセトニトリル1l+99%濃度ギ酸0.25ml;勾配:0.0分90%A→1.2分5%A→2.0分5%Aオーブン:50℃;流量:0.40ml/分;UV検出:208~400nm。
【0163】
方法2(LC-MS):
MS機器型:Waters Synapt G2S;UPLC機器型:Waters Acquity I-CLASS;カラム:Waters、BEH300、2.1×150mm、C18 1.7μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分2%B→1.5分2%B→8.5分95%B→10.0分95%B;オーブン:50℃;流量:0.50ml/分;UV検出:220nm
【0164】
方法3(LC-MS):
MS機器:Waters(Micromass)QM;HPLC機器:Agilent 1100シリーズ;カラム:Agilent ZORBAX Extend-C18 3.0×50mm 3.5ミクロン;移動相A:水1l+0.01molの炭酸アンモニウム、移動相B:アセトニトリル1l;勾配:0.0分98%A→0.2分98%A→3.0分5%A→4.5分5%A;オーブン:40℃;流量:1.75ml/分;UV検出:210nm
【0165】
方法4(LC-MS):
MS機器型:Waters Synapt G2S;UPLC機器型:Waters Acquity I-CLASS;カラム:Waters、HSST3、2.1×50mm、C18 1.8μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分10%B→0.3分10%B→1.7分95%B→2.5分95%B;オーブン:50℃;流量:1.20ml/分;UV検出:210nm
【0166】
方法5(LC-MS):
機器:Waters ACQUITY SQD UPLCシステム;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ50×1mm;移動相A:水1l+99%濃度ギ酸0.25ml、移動相B:アセトニトリル1l+99%濃度ギ酸0.25ml;勾配:0.0分95%A→6.0分5%A→7.5分5%Aオーブン:50℃;流量:0.35ml/分;UV検出:210~400nm。
【0167】
方法6(LC-MS):
機器:Micromass Quattro Premier with Waters UPLC Acquity;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ50×1mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;勾配:0.0分97%A→0.5分97%A→3.2分5%A→4.0分5%Aオーブン:50℃;流量:0.3ml/分;UV検出:210nm。
【0168】
方法7(LC-MS):
機器:Agilent MS Quad 6150;HPLC:Agilent 1290;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ50×2.1mm;移動相A:水1l+99%濃度ギ酸0.25ml、移動相B:アセトニトリル1l+99%濃度ギ酸0.25ml;勾配:0.0分90%A→0.3分90%A→1.7分5%A→3.0分5%A オーブン:50℃;流量:1.20ml/分;UV検出:205~305nm。
【0169】
方法8(LC-MS):
MS機器型:Waters Synapt G2S;UPLC機器型:Waters Acquity I-CLASS;カラム:Waters、HSST3、2.1×50mm、C18 1.8μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分2%B→2.0分2%B→13.0分90%B→15.0分90%B;オーブン:50℃;流量:1.20ml/分;UV検出:210nm
【0170】
方法9:実施例181~191のLC-MS分取精製法(方法LIND-LC-MS-Prep)
MS機器:Waters、HPLC機器:Waters(カラム:Waters X-Bridge C18、19mm×50mm、5μm、移動相A:水+0.05%アンモニア、移動相B:アセトニトリル(ULC)、勾配;流量:40ml/分;UV検出:DAD;210~400nm
または
MS機器:Waters、HPLC機器:Waters(カラム:Phenomenex Luna 5μC18(2)100A、AXIA Tech.、50mm×21.2mm、移動相A:水+0.05%ギ酸、移動相B:アセトニトリル(ULC)、勾配;流量:40ml/分;UV検出:DAD、210~400nm)。
【0171】
方法10:実施例181~191のLC-MS分析法(LIND_SQD_SB_AQ)
MS機器:Waters SQD;HPLC機器:Waters UPLC;カラム:Zorbax SB-Aq(Agilent)、50mm×2.1mm、1.8μm;移動相A:水+0.025%ギ酸、移動相B:アセトニトリル(ULC)+0.025%ギ酸;勾配:0.0分98%A-0.9分25%A-1.0分5%A-1.4分5%A-1.41分98%A-1.5分98%A;オーブン:40℃;流量:0.600ml/分;UV検出:DAD;210nm。
【0172】
方法11(HPLC):
機器:HP1100シリーズ
カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e、50~4.6mm、カタログ番号1.51450.0001、プレカラムChromolith Guardカートリッジキット、RP-18e、5~4.6mm、カタログ番号1.51470.0001
勾配:流量5ml/分
注入体積5μl
溶媒A:水(4ml/l)中HClO4(70%濃度)
溶媒B:アセトニトリル
開始20%B
0.50分20%B
3.00分90%B
3.50分90%B
3.51分20%B
4.00分20%B
カラム温度:40℃
波長:210nm
【0173】
方法12(LC-MS):
MS機器型:Thermo Scientific FT-MS;UHPLC+機器型:Thermo Scientific UltiMate 3000;カラム:Waters、HSST3、2.1×75mm、C18 1.8μm;移動相A:水1l+0.01%ギ酸;移動相B:アセトニトリル1l+0.01%ギ酸;勾配:0.0分10%B→2.5分95%B→3.5分95%B;オーブン:50℃;流量:0.90ml/分;UV検出:210nm/最適積分路210~300nm
【0174】
方法13:(LC-MS):
MS機器:Waters(Micromass)Quattro Micro;機器Waters UPLC Acquity;カラム:Waters BEH C18 1.7μ50×2.1mm;移動相A:水1l+0.01molのギ酸アンモニウム、移動相B:アセトニトリル1l;勾配:0.0分95%A→0.1分95%A→2.0分15%A→2.5分15%A→2.51分10%A→3.0分10%A;オーブン:40℃;流量:0.5ml/分;UV検出:210nm
【0175】
その調製が以下で明示的に記載されていない全ての反応物質または試薬は、一般的に利用可能な供給業者から商業的に購入した。同様にその調製が以下で記載されておらず、商業的に入手可能でなく一般的に利用可能でない供給業者から得た全ての他の反応物質または試薬については、その調製が記載されている公開参考文献を参照する。
【0176】
出発材料および中間体:
中間体C52
(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロパン-1-アミン
【化7】
メチル4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート10.00g(49.01mmol)を最初にDMF100.0mlに装入し、炭酸セシウム20.76g(63.72mmol)および臭化ベンジル9.22g(53.91mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を水と酢酸エチルに分配し、水相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。この反応をメチル4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート90.0gで繰り返した。
【0177】
2つの合わせた反応物を分取RP-HPLC(カラム:Daiso 300x100;10μ、流量:250ml/分、MeCN/水)によって精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物メチル1-ベンジル-4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート125.15g(理論値の87%)が得られた。
LC-MS(方法1):Rt=1.18分;MS(ESIpos):m/z=295[M+H]+。
【0178】
アルゴン下で、メチル1-ベンジル-4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルボキシレート4.80g(16.32mmol)を最初にDMFに装入し、(2,5-ジフルオロフェニル)ボロン酸3.61g(22.85mmol)、飽和炭酸ナトリウム溶液19.20mlおよび[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]-ジクロロパラジウム(II):ジクロロメタン1.33g(1.63mmol)を添加した。反応混合物を85℃で一晩攪拌した。反応混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、濾過ケークを酢酸エチルで洗浄した。有機相を水で抽出し、次いで、飽和NaCl溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル100:3)によって精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物メチル1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート3.60g(理論値の67%)が得られた。
LC-MS(方法7):Rt=1.59分;MS(ESIpos):m/z=328[M+H]+。
【0179】
メチル1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルボキシレート3.60g(11.00mmol)を最初にTHF 90.0mlに装入し、水素化アルミニウムリチウム1.04g(27.50mmol)(THF中2.4M)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。0℃で、飽和酒石酸ナトリウムカリウム溶液を添加し、酢酸エチルを反応混合物に添加した。有機相を飽和酒石酸ナトリウムカリウム溶液で3回抽出した。有機相を飽和NaCl溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン30.0mlに溶解した。酸化マンガン(IV)3.38g(32.99mmol)を添加し、混合物を室温で48時間撹拌した。酸化マンガン(IV)さらに2.20g(21.47mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、濾過ケークをジクロロメタンで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣(1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルバルデヒド)2.80gをさらに精製することなく合成の次のステップに使用した。
LC-MS(方法7):Rt=1.48分;MS(ESIpos):m/z=298[M+H]+。
【0180】
1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-カルバルデヒド28.21g(94.88mmol)を、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド23.00g(189.77mmol)と共に最初に無水THF403.0mlに装入し、チタン(IV)イソプロポキシド67.42g(237.21mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NaCl溶液500.0mlおよび酢酸エチル1000.0mlを添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を珪藻土に通して濾過し、濾液を飽和NaCl溶液で2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をBiotage Isolera(シリカゲル、カラム1500+340g SNAP、流量200ml/分、酢酸エチル/シクロヘキサン1:10)を用いて精製した。
LC-MS(方法7):Rt=1.63分;MS(ESIpos):m/z=401[M+H]+。
【0181】
(R)-N-{(E/Z)-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]メチレン}-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド25.00g(62.42mmol)を最初にアルゴン下、無水THFに装入し、-78℃に冷却した。次いで、tert-ブチルリチウム(ペンタン中1.7M溶液)12.00g(187.27mmol)を-78℃で添加し、混合物をこの温度で3時間撹拌した。次いで、-78℃で、メタノール71.4mlおよび飽和塩化アンモニウム溶液214.3mlを連続で添加し、反応混合物を室温に加温させ、室温で1時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣(R)-N-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドをさらに精製することなく合成の次のステップに使用した。
LC-MS(方法6):Rt=2.97分;MS(ESIpos):m/z=459[M+H]+。
【0182】
(R)-N-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド28.00g(61.05mmol)を最初に1,4-ジオキサン186.7mlに装入し、次いで、1,4-ジオキサン中HCl溶液(4.0M)45.8mlを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を分取RP-HPLC(カラム:Kinetix 100x30;流量:60ml/分、MeCN/水)によって精製した。アセトニトリルを減圧下で蒸発させ、ジクロロメタンを水性残渣に添加した。有機相を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標記化合物16.2g(理論値の75%)が得られた。
LC-MS(方法6):Rt=2.10分;MS(ESIpos):m/z=338[M-NH2]+、709[2M+H]+。
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ[ppm]=0.87(s,9H),1.53(s,2H),3.59(s,1H),5.24(d,2H),6.56(s,1H),6.94(m,1H),7.10(d,2H),7.20(m,1H),7.26(m,2H),7.34(m,2H),7.46(m,1H).
【0183】
中間体C58
(2S)-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸
【化8】
中間体C52 4.3g(12.2mmol)をDCM525mlに溶解し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド3.63g(17.12mmol)および酢酸8.4mlを添加した。室温で5分間撹拌した後、DCM175mlに溶解した中間体L57 8.99g(24.5mmol)を添加し、反応物を室温でさらに45分間撹拌した。次いで、反応物をDCM300mlで希釈し、重炭酸ナトリウム溶液100mlで2回および飽和NaCl溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。次いで、残渣を分取RP-HPLC(カラム:Chromatorex C18)によって精製した。適切な画分を合わせた後、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、メチル(2S)-4-({(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}アミノ)-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタノエート4.6g(理論値の61%)が得られた。
LC-MS(方法12)R
t=1.97分;MS(ESIpos):m/z=614(M+H)
+。
【0184】
この中間体2.06g(3.36mmol)を最初にDCM76mlに装入し、トリエチルアミン2.1mlの存在下、2-クロロ-2-オキソエチルアセテート0.81ml(7.17mmol)でアシル化した。室温で20時間撹拌した後、2-クロロ-2-オキソエチルアセテート0.36mlおよびトリエチルアミン0.94mlを添加し、反応物を室温でさらに15分間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチル500mlで希釈し、5%濃度のクエン酸300mlで2回、飽和重炭酸ナトリウム溶液300mlで2回および飽和塩化ナトリウム溶液100mlで1回連続で抽出し、次いで、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。高真空下で乾燥させると、保護された中間体2.17g(理論値の79%)が得られた。
LC-MS(方法1)Rt=1.48分;MS(ESIpos):m/z=714(M+H)+。
【0185】
この中間体2.17mg(2.64mmol)をTHF54mlおよび水27mlに溶解し、2モル濃度水酸化リチウム溶液26mlを添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、TFA1.4mlを用いてpH3~4に調整した。混合物を減圧下で濃縮した。THFの大部分を留去したら、水溶液をDCMで2回抽出し、次いで、減圧下で濃縮乾固した。残渣を分取HPLC(カラム:Chromatorex C18)によって精製した。適切な画分を合わせた後、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をアセトニトリル/水から凍結乾燥させた。これにより、標記化合物1.1g(理論値の63%)が得られた。
LC-MS(方法1):Rt=1.34分;MS(ESIpos):m/z=656(M-H)-。
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ[ppm]=0.03(s,9H),0.58(m,1H),0.74-0.92(m,11H),1.40(m,1H),3.3(m,2H),3.7(m,1H),3.8-4.0(m,2H),4.15(q,2H),4.9 and 5.2(2d,2H),5.61(s,1H),6.94(m,2H),7.13-7.38(m,7H),7.48(s,1H),7.60(m,1H),12.35(s,1H).
【0186】
中間体C70
(2-(トリメチルシリル)エチル{3-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(クロロアセチル)アミノ]プロピル}カルバメート
【化9】
(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロパン-1-アミン(中間体C52)990.0mg(2.79mmol)を最初にジクロロメタン15.0mlに装入し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド828.8mg(3.91mmol)および酢酸129.9mg(3.21mmol)を添加し、混合物を室温で5分間撹拌した。ジクロロメタン15.0mlに溶解した2-(トリメチルシリル)エチル(3-オキソプロピル)カルバメート(中間体L58)698.1mg(3.21mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機相を飽和炭酸ナトリウム溶液および飽和NaCl溶液でそれぞれ2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル(移動相:ジクロロメタン/メタノール=100:2)で精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物2-(トリメチルシリル)エチル[3-({(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}アミノ)プロピル]カルバメート1.25g(理論値の73%)が得られた。
LC-MS(方法1):R
t=1.09分;MS(ESIpos):m/z=556(M+H)
+。
【0187】
2-(トリメチルシリル)エチル[3-({(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}アミノ)プロピル]カルバメート908.1mg(1.63mmol)およびトリエチルアミン545.6mg(5.39mmol)を最初にジクロロメタン10.0mlに装入し、混合物を0℃に冷却した。この温度で、クロロアセチルクロリド590.5mg(5.23mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化アンモニウム溶液でそれぞれ3回洗浄した。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣を分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 250x30;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水、0.1%TFA)によって精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標記化合物673.8mg(理論値の65%)が得られた。
LC-MS(方法1):Rt=1.53分;MS(ESIneg):m/z=676(M+HCOO-)-。
【0188】
中間体C71
S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-L-システイン/トリフルオロ酢酸(1:1)
【化10】
L-システイン536.6mg(4.43mmol)を、重炭酸ナトリウム531.5mg(6.33mmol)と共に水2.5mlに懸濁した。イソプロパノール25.0mlに溶解した2-(トリメチルシリル)エチル{3-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(クロロアセチル)アミノ]プロピル}カルバメート(中間体C70)400.0mg(0.63mmol)および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン1.16g(7.59mmol)を添加した。反応混合物を50℃で1.5時間撹拌した。酢酸エチルを反応混合物に添加し、有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液で繰り返しおよび飽和NaCl溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。残渣を分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 250x30;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水、0.1%TFA)によって精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標記化合物449.5mg(理論値の86%)が得られた。
LC-MS(方法1)R
t=1.20分;MS(ESIpos):m/z=717(M+H)
+。
【0189】
中間体C80
S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[15-(グリシルアミノ)-4,7,10,13-テトラオキサペンタデカン-1オイル]-L-システイントリフルオロ酢酸(1:1)
【化11】
アルゴン下、1-({N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-酸(中間体L90)43.4mg(95.1μmol)を最初にDMF2.5mlに装入し、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール水和物14.6mg(95.1μmol)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)ビスジメチルアミノメチリウムフルオロボレート30.5mg(95.1μmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン16.5μl(95.1μmol)を添加し、混合物を10分間撹拌した。S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-L-システイントリフルオロ酢酸(1:1)(中間体C71)79.0mg(95.1μmol)をDMF2.5mlに溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン49.5μl(285.3μmol)を添加し、混合物を反応物に添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 125x30;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水、0.1%TFA)によって直接精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[15-({N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)-4,7,10,13-テトラオキサペンタデカン-1-オイル]-L-システイン44.2mg(理論値の40%)が得られた。
LC-MS(方法12):R
t=2.57分;MS(ESIpos):m/z=1156[M+H]
+
【0190】
S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[15-({N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)-4,7,10,13-テトラオキサペンタデカン-1-オイル]-L-システイン60.2mg(52.1μmol)をエタノール3.0mlに懸濁し、パラジウム活性炭素(10%)6.0mgを添加し、混合物を室温および標準圧力で1時間、水素を用いて水素化した。2回、パラジウム活性炭(10%)6.0mgを添加し、混合物を室温および標準圧力で1時間水素を用いて水素化した。触媒を濾別し、反応混合物から溶媒を減圧下で除去し、高真空下で乾燥させた。残渣を分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 125x30;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水、0.1%TFA)によって精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標記化合物29.4mg(理論値の50%)が得られた。
LC-MS(方法5):Rt=3.77分;MS(ESIpos):m/z=1021[M+H]+
【0191】
中間体L1
トリフルオロ酢酸/N-(2-アミノエチル)-2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)アセトアミド(1:1)
【化12】
市販の(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)酢酸およびtert-ブチル(2-アミノエチル)カルバメートから、ペプチド化学の古典的な方法によって、標記化合物を調製した。
HPLC(方法11):R
t=0.19分;
LC-MS(方法1):R
t=0.17分;MS(ESIpos):m/z=198(M+H)
+。
【0192】
中間体L57
メチル(2S)-4-オキソ-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタノエート
【化13】
メチルL-アスパラギネート塩酸塩500.0mg(2.72mmol)および2-(トリメチルシリル)エチル2,5-ジオキソピロリジン-1-カルボキシレート706.3mg(2.72mmol)を最初に1,4-ジオキサン5.0mlに装入し、トリエチルアミン826.8mg(8.17mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 250x40;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水、0.1%TFA)によって直接精製した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物(3S)-4-メトキシ-4-オキソ-3-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸583.9mg(理論値の74%)が得られた。
LC-MS(方法1):R
t=0.89分;MS(ESIneg):m/z=290(M-H)
-。
【0193】
(3S)-4-メトキシ-4-オキソ-3-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸592.9mgを最初に1,2-ジメトキシエタン10.0mlに装入し、混合物を-15℃に冷却し、4-メチルモルホリン205.8mg(2.04mmol)およびイソブチルクロロホルメート277.9mg(2.04mmol)を添加した。沈殿を15分後に吸引濾別し、それぞれ1,2-ジメトキシエタン10.0mlで2回濾別した。濾液を-10℃に冷却し、水10mlに溶解した水素化ホウ素ナトリウム115.5mg(3.05mmol)を激しく撹拌しながら添加した。相を分離し、有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和NaCl溶液でそれぞれ1回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物メチルN-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-ホモセリネート515.9mg(理論値の91%)が得られた。
LC-MS(方法1)Rt=0.87分;MS(ESIpos):m/z=278(M+H)+。
【0194】
メチルN-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-ホモセリネート554.9mg(2.00mmol)を最初にジクロロメタン30.0mlに装入し、Dess-Martinペルヨージナン1.27g(3.0mmol)およびピリジン474.7mg(6.00mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。4時間後、反応物をジクロロメタンで希釈し、有機相を10%濃度のNa2S2O3溶液、10%濃度のクエン酸溶液および飽和重炭酸ナトリウム溶液でそれぞれ3回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。これにより、標記化合物565.7mg(理論値の97%)が得られた。
1H-NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ[ppm]=0.03(s,9H),0.91(m,2H),2.70-2.79(m,1H),2.88(dd,1H),3.63(s,3H),4.04(m,2H),4.55(m,1H),7.54(d,1H),9.60(t,1H).
【0195】
中間体L58
2-(トリメチルシリル)エチル(3-オキソプロピル)カルバメート
【化14】
3-アミノ-1-プロパノール434.4mg(5.78mmol)および2-(トリメチルシリル)エチル2,5-ジオキソピロリジン-1-カルボキシレート1.50g(5.78mmol)をジクロロメタン10.0mlに溶解し、トリエチルアミン585.3mg(5.78mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、有機相を水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣2-(トリメチルシリル)エチル(3-ヒドロキシプロピル)カルバメート(996.4mg、理論値の79%)を高真空下で乾燥させ、さらに精製することなく合成の次のステップに使用した。
【0196】
2-(トリメチルシリル)エチル(3-ヒドロキシプロピル)カルバメート807.0mg(3.68mmol)を最初にクロロホルム15.0mlおよび0.05N炭酸カリウム/0.05N重炭酸ナトリウム溶液(1:1)15.0mlに装入した。次いで、テトラ-n-ブチルアンモニウムクロリド102.2mg(0.37mmol)、N-クロロスクシンイミド736.9mg(5.52mmol)およびTEMPO 57.5mg(0.37mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩激しく撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、有機相を水および飽和NaCl溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を高真空下で乾燥させ、さらに精製することなく合成の次のステップに使用した(890.3mg)。
【0197】
中間体L74
3-[2-[2-[2-[2-[[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]プロパン酸
【化15】
tert-ブチル3-[2-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]プロパノエート107mg(0.335mmol)および(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)アセテート93mg(0.369mmol)をジメチルホルムアミド5mlに溶解し、N-メチルモルホリン0.074ml(0.671mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。酢酸0.048ml(0.838mmol)を添加し、反応混合物を分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 125x30;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水/0.1%TFA)によって直接精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、tert-ブチル3-[2-[2-[2-[2-[[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]プロパノエート133mg(86%、純度100%)が得られた。
LC-MS(方法1)R
t=0.82分;MS(ESIpos):m/z=459(M+H)
+。
【0198】
TFA0.5mlを、tert-ブチル3-[2-[2-[2-[2-[[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]プロパノエート(130mg、0.284mmol)のジクロロメタン5ml中溶液に添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水に溶解し、凍結乾燥した。残渣をさらに精製することなくさらに使用した。これにより、標記化合物102mg(90%、純度100%)が得られた。
LC-MS(方法1)Rt=0.52分;MS(ESIpos):m/z=402(M+H)+。
【0199】
中間体L90
1-({N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-酸
【化16】
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシン118mg(566μmol)を最初にDMF5.0mlに装入し、tert-ブチル1-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-酸200mg(622μmol)、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール水和物130mg(849μmol)および1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩130mg(679μmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。酢酸エチルを添加し、混合物を5%濃度のクエン酸溶液および飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、tert-ブチル1-({N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オエート274mg(理論値の95%)が得られた。
LC-MS(方法12)Rt=1.69分;MS(ESIpos):m/z=513(M+H)
+。
【0200】
TFA820μl(11mmol)を、tert-ブチル1-({N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オエート274mg(535μmol)のジクロロメタン5.0ml中溶液に添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水に溶解し、凍結乾燥した。これにより、標記化合物262mg(理論値の100%)が得られた。
LC-MS(方法12)Rt=1.12分;MS(ESIpos):m/z=457(M+H)+。
【0201】
中間体F104
トリフルオロ酢酸/(2S)-2-アミノ-4-[{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}(グリコロイル)アミノ]-N-(2-{[(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)アセチル]アミノ}エチル)ブタンアミド(1:1)
【化17】
中間体C58 15mg(0.023mmol)を、最初にHATU13mg(0.034mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン10μlの存在下で、中間体L1 11mg(0.036mmol)と反応させた。室温で60分間攪拌した後、混合物を濃縮し、残渣を分取HPLCによって精製した。これにより、保護された中間体12.3mg(理論値の63%)が得られた。
LC-MS(方法1):R
t=1.3分;MS(EIpos):m/z=837[M+H]
+。
【0202】
第2のステップで、この中間体を2,2,2-トリフルオロエタノール3mlに溶解した。塩化亜鉛12mg(0.088mmol)を添加し、反応物を50℃で2時間撹拌した。次いで、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸26mg(0.088mmol)および0.1%濃度のトリフルオロ酢酸水溶液2mlを添加した。反応物を分取HPLCによって精製した。適切な画分を濃縮し、残渣をアセトニトリル/水から凍結乾燥すると、標記化合物8.1mg(理論値の68%)が得られた。
LC-MS(方法1)Rt=0.89分;MS(ESIpos):m/z=693(M+H)+。
【0203】
中間体F257
R-{2-[(3-アミノプロピル){(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}アミノ]-2-オキソエチル}-N-[18-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-17-オキソ-4,7,10,13-テトラオキサ-16-アザオクタデカン-1-オイル]-L-システイン/トリフルオロ酢酸(1:1)
【化18】
R-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-L-システイン/トリフルオロ酢酸(1:1)(中間体C71)50.0mg(0.06mmol)および3-[2-[2-[2-[2-[[2-(2,5-ジオキソピロール-1-イル)アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]プロパン酸(中間体L74)29mg(0.07mmol)をDMF3.0mlに溶解し、HATU27.3mg(0.07mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン23.3mg(0.18mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 125x30;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水/0.1%TFA)によって直接精製した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、化合物R-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[18-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-17-オキソ-4,7,10,13-テトラオキサ-16-アザオクタデカン-1-オイル]-L-システイン17.4mg(26%)が得られた。
LC-MS(方法6)R
t=1.34分;MS(ESIpos):m/z=1101(M+H)
+。
【0204】
R-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[18-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-17-オキソ-4,7,10,13-テトラオキサ-16-アザオクタデカン-1-オイル]-L-システイン17mg(0.02mmol)をトリフルオロエタノール1.0mlに溶解し、二塩化亜鉛6.3mg(0.05mmol)を添加した。反応混合物を50℃で一晩攪拌した。エチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸13.5mg(0.05mmol)を添加し、反応混合物を10分間撹拌し、次いで、水(0.1%TFA)を添加した。分取RP-HPLC(カラム:Reprosil 125x30;10μ、流量:50ml/分、MeCN/水、0.1%TFA)によって直接精製を行った。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標記化合物7.6mg(46%)が得られた。
LC-MS(方法1)Rt=0.91分;MS(ESIpos):m/z=957(M+H)+。
【0205】
B:抗体薬物コンジュゲート(ADC)の調製
B-1.抗CD123抗体を作製するための一般的方法
抗CD123抗体を、CDR移植によって得た。7G3抗体(EP2426148)の配列は、TPP-5969、TPP-8987およびTPP-9476などのヒト化抗体の出発点を表す。12F1に基づく二重特異性scFv免疫融合タンパク質は、国際公開第2013/173820号パンフレットに開示されている。12F1の可変領域(VHおよびVL)の配列の公開(国際公開第2013/173820号パンフレット)に基づいて、ドナー免疫グロブリンの可変ドメイン(VHおよびVL)とヒト抗体の定常領域の融合によって、以下の抗体配列を得た。12F1のキメラ変異体を作製した。TPP-8988およびTPP-9342などのヒト化抗体の出発点を表すCDR移植によってヒト化抗CD123抗体を得た。
【0206】
ヒト化
CDRをヒト抗体骨格に移すことによって、7G3抗体のマウス抗体配列をヒト化した。KabatによるCDRの定義については、Andre C.R.Martin、Antibody Engineeringの「Protein sequence and structure analysis of antibody variable domains」(Springer Lab Manuals)、編者:Duebel,S.およびKontermann,R.、Springer-Verlag,、Heidelbergを参照されたい。マウスフレーム配列(CDRなし)をヒト生殖細胞系列配列と比較した後、同様に頻繁に発生するヒトフレーム配列を選択した。この場合、これはJ配列IGHJ4-03を有する重鎖IGHV1-46-01およびJセグメントIGKJ2を有する軽鎖IGKV4-1-01であった。生殖細胞系列配列は、VBASE2データベース(Retter I、Althaus HH、Munch R、Muller W:VBASE2、統合V遺伝子データベース。Nucleic Acids Res.2005年1月1日;33(データベース発行):D671-4)に由来する。配列は、IMGTシステム(Lefranc,M.-P.、Giudicelli,V.、Ginestoux,C.、Jabado-Michaloud,J.、Folch,G.、Bellahcene,F.、Wu,Y.、Gemrot,E.、Brochet,X.、Lane,J.、Regnier,L.、Ehrenmann,F.、Lefranc,G.およびDuroux,P.IMGT(登録商標)、国際ImMunoGeneTics情報システム(登録商標).Nucl.Acids Res、37、D1006~D1012(2009);doi:10.1093/nar/gkn838)を使用して命名した。本明細書に記載される抗体変異体TPP-5969、TPP-8987およびTPP-9476は、それらの特性に影響を及ぼし得るヒト生殖細胞系列配列とは異なる種々の点突然変異を有する。キメラ抗体TPP-6013の他に、TPP-8988およびTPP-9342としてヒト抗体骨格にCDRを移すすることによってヒト化抗体を得た。
【0207】
B-2.哺乳動物細胞で抗CD123抗体を発現するための一般的方法
抗体、例えばTPP-6013、TPP-5969、TPP-8987、TPP-8988、TPP-9476およびTPP-9342を、Tomら、Methods Express:Expression Systemsの第12章、Micheal R.DysonおよびYves Durocher編、Scion Publishing Ltd、2007に記載されるように、哺乳動物細胞の一過性培養物で作製した。
【0208】
B-3.細胞上清から抗体を精製するための一般的方法
抗体、例えばTPP-8987およびTPP-8988を、細胞培養物上清から得た。細胞上清を細胞の遠心分離によって清澄化した。次いで、細胞上清を、MabSelect Sure(GE Healthcare)クロマトグラフィーカラムでのアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。この目的のために、カラムをDPBS pH7.4(Sigma/Aldrich)で平衡化し、細胞上清をアプライし、カラムを約10カラム容量のDPBS pH7.4+500mM塩化ナトリウムで洗浄した。抗体を50mM酢酸ナトリウムpH3.5+500mM塩化ナトリウムに溶出し、次いで、DPBS pH7.4中Superdex 200カラム(GE Healthcare)でゲル濾過クロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0209】
抗体を、BIAcore分析を介して可溶性IL3Rα(R&D Systemsから入手)に対するそれらの結合親和性によってさらに特徴づけた。抗CD123抗体の細胞結合特性を決定するために、CD123陽性がん細胞株MOLM-13で、フローサイトメトリーによって結合を測定した。
【0210】
B-4.システイン側鎖へのカップリングのための一般的方法
以下の抗体をカップリング反応に使用した:
TPP-5969
TPP-6013
TPP-8987
TPP-8988
TPP-9476
カップリング反応は、通常、アルゴン下で実施した。
【0211】
PBS緩衝液に溶解した2~5当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)を、適切な抗体のPBS緩衝液中溶液に、1mg/ml~20mg/mlの濃度範囲、好ましくは約10mg/ml~15mg/mlの範囲で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。この目的のために、使用されるそれぞれの抗体の溶液を、実施例で明言される濃度で使用することができる、または場合によっては、これが好ましい濃度範囲に入るためにPBS緩衝液で明言される出発濃度の約半分に希釈してもよい。その後、意図する充填に応じて、2~12当量、好ましくは約5~10当量のカップリングするマレインイミド前駆体化合物をDMSO中溶液として添加した。ここで、DMSOの量は全体積の10%を超えるべきでない。反応物を室温で60~240分間撹拌し、次いで、予めpH8に調整したPBS緩衝液で希釈した。次いで、この溶液をPBS pH8平衡化PD 10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)にアプライし、PBS pH 8緩衝液で溶出した。溶出液をPBS緩衝液pH8で希釈してもよい。この溶液をアルゴン下室温で一晩撹拌した。次いで、溶液をpH7.2に再緩衝化した。次いで、試料を超遠心分離によって濃縮し、場合によりPBS緩衝液で再希釈した。必要に応じて、低分子量成分をより良く除去するために、PBS緩衝液で再希釈した後、限外濾過による濃縮を繰り返した。生物学的試験のために、必要に応じて、最終的なADC試料の濃度を、場合により再希釈によって0.5~15mg/mlの範囲に調整した。ADC溶液の実施例で明言されるそれぞれのタンパク質濃度を決定した。さらに、抗体負荷(薬物/mAb比)を、B-7に記載される方法を使用して決定した。
【0212】
実施例に示されるADCはまた、抗体に結合した閉じたスクシンアミドの形態で、より低い程度またはより高い程度で存在してもよい。
【0213】
示されている構造式において、AKTPP-XXXXまたはAKは、以下の意味
AK=抗CD123抗体(部分的に還元された)-S§1
AKTPP5969=抗CD123 TPP-5969(部分的に還元された)-S§1
AKTPP6013=抗CD123 TPP-6013(部分的に還元された)-S§1
AKTPP8987=抗CD123 TPP-8987(部分的に還元された)-S§1
AKTPP8988=抗CD123 TPP-8988(部分的に還元された)-S§1
AKTPP9476=抗CD123 TPP-9476(部分的に還元された)-S§1
を有し、
§1は、スクシンイミド基または任意の異性体加水分解開鎖スクシンアミドまたはそこから生じたアルキレン基との結合を表し、
Sは部分的に還元された抗体のシステイン残基の硫黄原子を表す。
【0214】
B-6a.異性体の開いたスクシンアミド-システイン付加物を調製するための一般的方法:
例示的実施形態では、上記のマレインイミド前駆体化合物68μmolをDMF15mlに溶解し、N-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-システイン36mg(136μmol)を添加した。反応混合物を室温で約20時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮し、次いで、分取HPLCによって精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させ、次いで、残渣をTHF/水1:1 15mlに溶解した。2M水酸化リチウム水溶液131μlを添加し、反応物を室温で1時間攪拌した。次いで、反応物を1M塩酸で中和し、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を分取HPLCによって精製した。これにより、理論値の約50%の位置異性体の保護された中間体が無色泡として得られた。
【0215】
最後のステップで、これらの位置異性体加水分解生成物0.023mmolを2,2,2-トリフルオロエタノール3mlに溶解した。塩化亜鉛12.5mg(0.092mmol)を添加し、反応物を50℃で4時間撹拌した。次いで、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸27mg(0.092mmol)を添加し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を分取HPLCによって精製した。適切な画分を濃縮し、残渣をアセトニトリル/水から凍結乾燥すると、加水分解された開いたスルファニルスクシンアミドが位置異性体混合物として得られた。
【0216】
本発明によるコンジュゲートのさらなる精製および特徴付け
反応後、場合によって、反応混合物を、例えば限外濾過によって濃縮し、次いで、例えばSephadex(登録商標)G-25カラムを使用してクロマトグラフィーによって脱塩および精製した。溶出を、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて行った。次いで、溶液を滅菌濾過し、凍結させた。あるいは、コンジュゲートを凍結乾燥することができる。
【0217】
B-7.抗体、担毒体負荷および開いたシステイン付加物の割合の決定
脱グリコシル化および/または変性後の分子量決定に加えてタンパク質識別のために、トリプシン消化を行って、変性、還元および誘導体化後に、発見されたトリプシン性ペプチドを介したタンパク質の識別を確認した。
【0218】
実施例に記載されるコンジュゲートの得られたPBS緩衝液の担毒体負荷を以下のように決定した:
【0219】
個々のコンジュゲート種の分子量の質量分析測定によって、リジン結合ADCの担毒体負荷の決定を行った。ここで、抗体コンジュゲートをまずPNGaseFで脱グリコシル化し、試料を酸性化し、HPLC分離/脱塩後、ESI-MicroTofQ(Bruker Daltonik)を用いた質量分析によって分析した。TIC(全イオンクロマトグラム)中のシグナル上の全てのスペクトルを加え、MaxEnt逆重畳積分に基づいて異なるコンジュゲート種の分子量を計算した。次いで、DAR(=薬物/抗体比)を、異なる種のシグナル積分後に計算した。
【0220】
還元および変性ADCの逆相クロマトグラフィーによって、システイン結合コンジュゲートの担毒体負荷を決定した。グアニジニウム塩酸塩(GuHCl)(28.6mg)およびDL-ジチオトレイトール(DTT)(500mM、3μl)の溶液を、ADC溶液(1mg/ml、50μl)に添加した。混合物を55℃で1時間インキュベートし、HPLCによって分析した。
【0221】
220nmでの検出を伴うAgilent 1260HPLCシステムでHPLC分析を行った。Polymer Laboratories PLRP-Sポリマー逆相カラム(カタログ番号PL1912-3802)(2.1×150mm、粒径8μm、1000A)を、以下の勾配:0分、25%B;3分、25%B;28分、50%Bで、1ml/分の流量で使用した。移動相Aは水中0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)からなり、移動相Bはアセトニトリル中0.05%トリフルオロ酢酸からなっていた。
【0222】
検出されたピークを、非コンジュゲート抗体の軽鎖(L0)および重鎖(H0)との保持時間比較によって割り当てた。もっぱらコンジュゲート試料中で検出されたピークを、1つの担毒体を有する軽鎖(L1)、ならびに1、2および3つの担毒体を有する重鎖(H1、H2、H3)に割り当てた。
【0223】
抗体の担毒体による平均負荷を、HC負荷とLC負荷の和の2倍として積分によって決定されるピーク面積から計算した(LC負荷は全LCピークの担毒体数平均重量積分結果の和÷全LCピークの単一重量積分結果の和から計算され、HC負荷は全HCピークの担毒体数平均重量積分結果の和÷全HCピークの単一重量積分結果の和から計算される)。個別のケースで、いくつかのピークの同時溶出のために担毒体負荷を正確に決定することができない場合がある。
【0224】
軽鎖および重鎖をHPLCによって十分に分離できなかった場合、軽鎖および重鎖での個々のコンジュゲート種の分子量の質量分析決定によって、システイン結合コンジュゲートの担毒体負荷の決定を行った。
【0225】
グアニジニウム塩酸塩(GuHCl)(28.6mg)およびDL-ジチオトレイトール(DTT)(500mM、3μl)の溶液を、ADC溶液(1mg/ml、50μl)に添加した。混合物を55℃で1時間インキュベートし、ESI-MicroTofQ(Bruker Daltonik)を用いてオンライン脱塩後の質量分析によって分析した。
【0226】
DAR決定のために、全スペクトルをTIC(全イオンクロマトグラム)のシグナルに加え、MaxEnt逆重畳積分に基づいて軽鎖および重鎖での異なるコンジュゲート種の分子量を計算した。抗体の担毒体による平均負荷を、HC負荷とLC負荷の和の2倍として積分によって決定されるピーク面積から計算した(LC負荷は全LCピークの担毒体数平均重量積分結果の和÷全LCピークの単一重量積分結果の和から計算され、HC負荷は全HCピークの担毒体数平均重量積分結果の和÷全HCピークの単一重量積分結果の和から計算される)。
【0227】
開いたシステイン付加物の割合を決定するために、全ての単一コンジュゲート軽鎖および重鎖変異体の閉じたシステイン付加物と開いたシステイン付加物の分子量面積比(分子量δ18ダルトン)を決定した。全ての変異体の平均により、開いたシステイン付加物の割合を得た。
【0228】
B-8.ADCの抗原結合の確認
カップリングが行われた後、結合剤が標的分子に結合する能力を確認した。当業者であれば、この目的のために使用することができる様々な方法に精通している;例えば、コンジュゲートの親和性を、ELISA技術または表面プラズモン共鳴分析(BIAcore(商標)測定)を用いて確認することができる。コンジュゲート濃度は、例えばタンパク質決定によって抗体コンジュゲートのための慣用的な方法を用いて当業者によって測定され得る(Doroninaら;Nature Biotechnol.2003;21:778~784およびPolsonら、Blood 2007;1102:616~623も参照)。
【0229】
代謝産物実施形態
実施例M20
(1R,4R,27R,33R)-1-アミノ-32-(3-アミノプロピル)-33-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-34,34-ジメチル-6,9,25,31-テトラオキソ-13,16,19,22-テトラオキサ-3,29-ジチア-7,10,26,32-テトラアザペンタトリアコンタン-1,4,27-トリカルボン酸/トリフルオロ酢酸酸(1:2)
【化19】
まず、メチルL-システイン塩酸塩(1:1)を、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下、DMF中1-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}オキシ)ピロリジン-2,5-ジオンを用いてメチルN-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-システイネートに変換した。
【0230】
市販の3-ブロモ-4-メトキシ-4-オキソブタン酸408mg(1.93mmol)およびメチルN-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-システイネート180mg(0.644mmol)をDMF8mlに溶解し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン147mg(0.97mmol)を添加した。室温で18時間撹拌した後、3-ブロモ-4-メトキシ-4-オキソブタン酸136mg(0.64mmol)および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン酸147mg(0.97mmol)を添加し、混合物を室温でさらに12時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させると、4-メトキシ-3-{[(2R)-3-メトキシ-3-オキソ-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]スルファニル}-4-オキソブタン酸151mg(理論値の57%)が得られた。
LC-MS(方法12):Rt=1.74分;MS(ESIneg):m/z=408(M-H)-。
【0231】
4-メトキシ-3-{[(2R)-3-メトキシ-3-オキソ-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]スルファニル}-4-オキソブタン酸3.66mg(8.93μmol)を、HATU3.66mg(8.93μmol)および4-メチルモルホリン1.6μl(15μmol)の存在下で、S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[15-(グリシルアミノ)-4,7,10,13-テトラオキサペンタデカン-1オイル]-L-システイン/トリフルオロ酢酸(1:1)(中間体C80)13.0mg(7.44μmol)とカップリングすると、HPLC精製後、完全に保護された中間体S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[15-({N-[(8R,11R)-8,11-ビス(メトキシカルボニル)-2,2-ジメチル-6,13-ジオキソ-5-オキサ-10-チア-7-アザ-2-シラトリデカン-13-イル]グリシル}アミノ)-4,7,10,13-テトラオキサペンタデカン-1-オイル]-L-システイン3.9mg(理論値の37%)が得られた。
【0232】
次いで、この中間体3.90mg(2.76μmol)をTHF/水3:1 1.0ml中2モル濃度の水酸化リチウム溶液35μlと室温で15分間撹拌し、両方のメチルエステル基を開裂させた。HPLCによる精製により、ジカルボン酸誘導体3.60mg(理論値の94%)が得られた。
LC-MS(方法5):Rt=4.83分;MS(ESIpos):m/z=1385[M+H]+。
【0233】
最後に、この中間体3.6mg(2.6μmol)を上記のようにトリフルオロエタノール中塩化亜鉛で完全に脱保護した。残渣を分取HPLCによって精製した。適切な画分を濃縮し、残渣をアセトニトリル/水から凍結乾燥すると、標記化合物1.92mg(理論値の55%)が得られた。
LC-MS(方法5):Rt=2.72分;MS(ESIneg):m/z=1094[M-H]-。
【0234】
実施例M21
(2R,24S,27R)-27-アミノ-2-[({2-[(3-アミノプロピル){(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}アミノ]-2-オキソエチル}スルファニル)メチル]-24-(カルボキシメチル)-4,20,23-トリオキソ-7,10,13,16-テトラオキサ-25-チア-3,19,22-トリアザオクタコサン-1,28-二酸/トリフルオロ酢酸(1:2)
【化20】
市販の2-ブロモ-4-エトキシ-4-オキソブタン酸742.8mg(3.3mmol)およびメチルN-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}-L-システイネート802mg(2.87mmol)をDMF32mlに溶解し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン655.4mg(4.31mmol)を添加した。室温で20時間撹拌した後、反応物を減圧下で濃縮し、残渣を分取HPLCによって精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させると、4-エトキシ-2-{[(2R)-3-メトキシ-3-オキソ-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]スルファニル}-4-オキソブタン酸521mg(理論値の43%)が得られた。
LC-MS(方法5):R
t=3.13分;MS(ESIpos):m/z=424(M+H)
+。
【0235】
4-エトキシ-2-{[(2R)-3-メトキシ-3-オキソ-2-({[2-(トリメチルシリル)エトキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]スルファニル}-4-オキソブタン酸4.36mg(10.3μmol)を、HATU3.92mg(10.3μmol)および4-メチルモルホリン1.9μl(17μmol)の存在下で、S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[15-(グリシルアミノ)-4,7,10,13-テトラオキサペンタデカン-1オイル]-L-システイン/トリフルオロ酢酸(1:1)(中間体C80)15.0mg(8.59μmol)とカップリングすると、HPLC精製後、完全に保護された中間体S-(11-{(1R)-1-[1-ベンジル-4-(2,5-ジフルオロフェニル)-1H-ピロール-2-イル]-2,2-ジメチルプロピル}-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-7,11-ジアザ-2-シラトリデカン-13-イル)-N-[15-({N-[(8R,11S)-11-(2-エトキシ2-オキソエチル)-8-(メトキシカルボニル)-2,2-ジメチル-6,12-ジオキソ-5-オキサ-10-チア-7-アザ-2-シラドデカン-12-イル]グリシル}アミノ)-4,7,10,13-テトラオキサペンタデカン-1-オイル]-L-システイン3.6mg(理論値の26%)が得られた。
【0236】
次いで、この中間体6.20mg(2.82μmol)をTHF/水1:1 1.0ml中2モル濃度の水酸化リチウム溶液35μlと室温で15分間撹拌し、両方のエステル基を開裂させた。酸性化およびHPLCによる精製により、ジカルボン酸誘導体3.60mg(理論値の92%)が得られた。
LC-MS(方法5):Rt=4.71分;MS(ESIpos):m/z=1385[M+H]+。
【0237】
最後に、この中間体3.60mg(1.69μmol)を上記のようにトリフルオロエタノール中塩化亜鉛で完全に脱保護した。残渣を分取HPLCによって精製した。適切な画分を濃縮し、残渣をアセトニトリル/水から凍結乾燥すると、標記化合物0.88mg(理論値の39%)が得られた。
LC-MS(方法5):Rt=2.72分;MS(ESIneg):m/z=1094[M-H]-。
【0238】
実施例ADC
マレイミド基を介して抗体のシステイン側鎖にカップリングした実施例の構造式に示されるADCは、リンカーおよびカップリング手順に応じて、主に各場合に示される開環形態で存在する。しかしながら、1つまたは複数の調製物は、少量の閉環形態を含んでもよい。
【0239】
閉環形態は以下である:
【化21】
Ref 208m1
【化22】
【0240】
アルゴン下、TCEP1.4mgのPBS緩衝液0.83ml中溶液を、PBS21.7ml中抗CD123 TPP-5969 250mg(c=11.5mg/ml)に添加した。反応物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO2500μlに溶解した中間体F104 10.76mg(0.0133mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、PD-10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いて反応物をpH8に再緩衝化した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌し、次いで、PD-10カラムを用いてpH7.2に再緩衝化した。次いで、溶出液をPBS緩衝液(pH7.2)で125mlに希釈し、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再度濃縮した。得られたADCバッチを以下のように特徴付けた:
タンパク質濃度:9.79mg/ml
薬物/mAb比:2.9
Ref 208m3
【化23】
【0241】
アルゴン下、TCEP1.4mgのPBS緩衝液0.83ml中溶液を、PBS21.7ml中抗CD123 TPP-6013 250mg(c=11.5mg/ml)に添加した。反応物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO2500μlに溶解した中間体F104 10.76mg(0.0133mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、PD-10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いて反応物をpH8に再緩衝化した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌し、次いで、PD-10カラムを用いてpH7.2に再緩衝化した。次いで、溶出液をPBS緩衝液(pH7.2)で125mlに希釈し、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再度濃縮した。得られたADCバッチを以下のように特徴付けた:
タンパク質濃度:11.06mg/ml
薬物/mAb比:3.4
Ref 257m1
【化24】
【0242】
アルゴン下、TCEP1.4mgのPBS緩衝液0.83ml中溶液を、PBS21.7ml中抗CD123 TPP-5969 250mg(c=11.5mg/ml)に添加した。反応物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO2500μlに溶解した中間体F257 8.92mg(0.0083mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、PD-10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いて反応物をpH8に再緩衝化した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌し、次いで、PD-10カラムを用いてpH7.2に再緩衝化した。次いで、溶出液をPBS緩衝液(pH7.2)で125mlに希釈し、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再度濃縮した。得られたADCバッチを以下のように特徴付けた:
タンパク質濃度:11.27mg/ml
薬物/mAb比:3.6
Ref 257m3
【化25】
【0243】
アルゴン下、TCEP1.4mgのPBS緩衝液0.83ml中溶液を、PBS21.7ml中抗CD123 TPP-6013 250mg(c=11.5mg/ml)に添加した。反応物を室温で30分間撹拌し、次いで、DMSO2500μlに溶解した中間体F257 8.92mg(0.0083mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、PD-10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いて反応物をpH8に再緩衝化した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌し、次いで、PD-10カラムを用いてpH7.2に再緩衝化した。次いで、溶出液をPBS緩衝液(pH7.2)で125mlに希釈し、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再度濃縮した。得られたADCバッチを以下のように特徴付けた:
タンパク質濃度:13.36mg/ml
薬物/mAb比:3.3
【0244】
実施例1a
【化26】
アルゴン下、TCEP0.057mgのPBS緩衝液100μl中溶液を、PBS900μl中抗CD123 TPP-8987 10mg(c=11.11mg/ml)に添加した。反応物を室温で30分間攪拌した。次いで、DMSO100μlに溶解した中間体F257 0.357mg(0.00033mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、PD-10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いて反応物をpH8に再緩衝化した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌し、次いで、PD-10カラムを用いてpH7.2に再緩衝化した。次いで、溶出液をPBS緩衝液(pH7.2)で14mlに希釈し、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再度濃縮した。得られたADCバッチを以下のように特徴付けた:
タンパク質濃度:6.30mg/ml
薬物/mAb比:3.1
【0245】
実施例1b
【化27】
アルゴン下、TCEP0.143mgのPBS緩衝液250μl中溶液を、PBS2500μl中抗CD123 TPP-8988 25mg(c=10.0mg/ml)に添加した。反応物を室温で30分間攪拌した。次いで、DMSO250μlに溶解した中間体F257 0.893mg(0.00083mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、PD-10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いて反応物をpH8に再緩衝化した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌し、次いで、PD-10カラムを用いてpH7.2に再緩衝化した。次いで、溶出液をPBS緩衝液(pH7.2)で14mlに希釈し、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再度濃縮した。得られたADCバッチを以下のように特徴付けた:
タンパク質濃度:10.43mg/ml
薬物/mAb比:4.3
【0246】
実施例1c
【化28】
アルゴン下、TCEP0.172mgのPBS緩衝液300μl中溶液を、PBS3000μl中抗CD123 TPP-9476 30mg(c=10.0mg/ml)に添加した。反応物を室温で30分間攪拌した。次いで、DMSO300μlに溶解した中間体F257 1.071mg(0.001mmol)を添加した。室温でさらに90分間撹拌した後、PD-10カラム(Sephadex(登録商標)G-25、GE Healthcare)を用いて反応物をpH8に再緩衝化した。溶出液をアルゴン下室温で一晩撹拌し、次いで、PD-10カラムを用いてpH7.2に再緩衝化した。次いで、溶出液をPBS緩衝液(pH7.2)で14mlに希釈し、超遠心分離によって濃縮し、PBS緩衝液(pH7.2)で再希釈し、再度濃縮した。得られたADCバッチを以下のように特徴付けた:
タンパク質濃度:11.04mg/ml
薬物/mAb比:4.4
【0247】
C:生物学的有効性の評価
本発明による化合物の生物学的活性を以下に記載されるアッセイで示すことができる:
【0248】
C-1a CD123に対するADCの細胞傷害性効果の決定
抗CD123 ADCおよび対応する代謝産物の細胞傷害性効果の分析を、種々の細胞株で行った:
NCI-H292:ヒト肺粘表皮癌細胞、ATCC-CRL-1848、標準培地:RPMI 1640(Biochrom;#FG1215、stab.グルタミン)+10%FCS(Biochrom;#S0415)。
【0249】
MOLM-13:末梢血から得たヒト急性単球性白血病細胞(AML-M5a)、DSMZ、番号ACC554、標準培地:RPMI1640(Gibco;#21875-059、stab.L-グルタミン)+20%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064);CD123陽性。
【0250】
THP-1:末梢血から得たヒト単球性白血病細胞、ATCC、番号TIB-202、標準培地:RPMI 1640(Gibco;#21875-059、stab.L-グルタミン)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064)+グルコース2.5g(20%グルコース溶液、Gibco、番号19002);CD123陽性。
【0251】
MV-4-11:末梢血から得たヒト二重表現型(biphenotypic)B骨髄単球性白血病細胞、ATCC-CRL-9591、標準培地:IMDM(ATCC:30-2005)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064);CD123陽性。
【0252】
KG-1:骨髄から得たヒト急性骨髄性白血病細胞、DSMZ、番号ACC14、標準培地:RPMI 1640(Gibco;#21875-059、stab.L-グルタミン)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064)+グルコース2.5g(20%グルコース溶液、Gibco、番号19002);CD123陽性。
【0253】
NB4:骨髄から得たヒト急性前骨髄球性白血病細胞、DSMZ、番号ACC 207、標準培地:RPMI 1640+GlutaMAX I(Invitrogen 61870)+10%熱不活性化FCS(Gibco、番号10500-064)+グルコース2.5g(20%グルコース溶液、Gibco、番号19002)+10mM Hepes(Invitrogen 15630)+1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen 11360);CD123陰性
【0254】
当の細胞株について、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC)またはLeibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)によって明言されている標準的方法によって細胞を培養した。
【0255】
MTTアッセイ
細胞を、C-1に列挙される増殖培地を用いて標準的方法によって培養した。細胞をAccutase(登録商標)のPBS中溶液(Biochrom AG#L2143;接着細胞の場合)で剥離し、ペレット化し、培養培地に再懸濁し、計数して、白色底の96ウェル培養プレート(Costar#3610)に播種することによって(NCI H292:2500細胞/ウェル;MOLM-13:2000細胞/ウェル;THP-1:8000細胞/ウェル;NB4:7000細胞/ウェル;KG-1:5000細胞/ウェル、MV-4-11:5000細胞/ウェル、総体積100μl)、試験を行う。次いで、細胞を37℃および5%二酸化炭素のインキュベーター内でインキュベートした。6時間または48時間後(接着細胞)、培地を交換した。次いで、10-5M~10-13Mの濃度の培養培地10μl中の抗体薬物コンジュゲートまたは代謝産物を細胞にピペットで分注し(3連で)、次いで、アッセイを37℃および5%二酸化炭素のインキュベーター内でインキュベートした。96時間後、MTTアッセイ(ATCC、Manassas、Virginia、米国、カタログ番号30-1010K)を用いて細胞増殖を検出した。この目的のために、MTT試薬を細胞と共に4時間インキュベートし、引き続いて界面活性剤を添加して細胞を一晩溶解させた。形成された色素を570nmで検出した(Infinite M1000 pro、Tecan)。測定したデータを使用して、DRC(用量応答曲線)を用いて増殖阻害のIC50を計算した。試験物質で処理しなかったが、それ以外は同様に処理した細胞の増殖を100%の数値として定義した。
【0256】
以下の表1は、このアッセイからの様々な抗CD123抗体についての代表的な実施例のIC50値を列挙する:
【0257】
【0258】
報告される活性データは、薬物/mAB比が示される本実験節に記載される実施例に関連する。この値は、薬物/mAB比が異なる場合に逸脱する可能性がある。IC50値は、いくつかの独立した実験または個々の値の平均である。CD123抗体薬物コンジュゲートの作用は、それぞれのリンカーおよび担毒体を含むそれぞれのアイソタイプに対して選択的であった。
【0259】
C-1b 選択された実施例によるキネシンスピンドルタンパク質KSP/Eg5の阻害の測定
ヒトキネシンスピンドルタンパク質KSP/Eg5(tebu-bio/Cytoskeleton Inc、番号027EG01-XL)のモータードメインを、10nMの濃度で、50μg/mlのタキソール(Sigma番号T7191-5MG)で安定化した微小管(ウシまたはブタ、tebu-bio/Cytoskeleton Inc)と共に、15mM PIPES、pH6.8(5mM MgCl2および10mM DTT、Sigma)中室温で5分間インキュベートした。新たに調製した混合物を、384MTP(Greiner bio-one REF 781096)に等分した。次いで、1.0×10-6M~1.0×10-13Mの濃度で試験する阻害剤およびATP(最終濃度500μM、Sigma)を添加した。インキュベーションを室温で2時間行った。マラカイトグリーン(Biomol)を用いて形成された無機リン酸塩を検出することによってATPアーゼ活性を検出した。試薬の添加後、アッセイを室温で50分間インキュベートした後、620nmの波長での吸収を検出した。使用した陽性対照は、モナストロール(Sigma、M8515-1mg)およびイスピネシブ(AdooQ Bioscience A10486)であった。用量-活性曲線の個々のデータは、8倍の測定値である。IC50値は、2つの独立した実験の平均である。100%対照は阻害剤で処理しなかった試料とした。
【0260】
以下の表2は、記載されるアッセイからの代表的な実施例のIC50値および対応する細胞傷害性データ(MTTアッセイ)を列挙している。
【0261】
【0262】
報告される活性データは、本実験節に記載される実施例に関連する。
【0263】
C-2a 内在化アッセイ
内在化は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を介した抗原発現がん細胞における細胞傷害性ペイロードの特異的かつ効率的な提供を可能にする重要な過程である。この過程を、特異的CD123抗体の蛍光標識およびpH感受性蛍光体で標識したアイソタイプ対照抗体を介して監視する。まず、蛍光色素を抗体のリジンにコンジュゲートした。コンジュゲーションは、2倍モル過剰のCypHer 5EモノNHSエステル(バッチ357392、GE Healthcare)を用いてpH8.3で行った。カップリング後、反応混合物をゲルクロマトグラフィー(Zeba Spin Desalting Columns、40K、Thermo Scientific、番号87768;溶出緩衝液:ダルベッコPBS、Sigma-Aldrich、番号D8537)によって精製して、過剰の色素を除去し、pHを調整した。タンパク質溶液をVIVASPIN 500カラム(Sartorius stedim biotec VS0131)を用いて濃縮した。抗体の色素負荷を、分光光度分析(NanoDrop)およびその後の以下の式D:P=A色素εタンパク質:(A280-0.16A色素)ε色素を用いた計算によって決定した。ここで試験するCD123抗体およびアイソタイプ対照の色素負荷は同程度であった。細胞結合アッセイで、コンジュゲーションが抗体の親和性の変化をもたらさないことが確認された。試験する抗原は造血懸濁細胞によって発現され、したがって、標識CD123抗体の内在化をFACSに基づく内在化アッセイにおいて試験した。この目的のために、受容体の発現レベルが異なる細胞株を選択し、試験した。細胞(5×104個/ウェル)を96-MTP中に全量100μl(Greiner bio-one、CELLSTAR、650 180、U底)で播種した。試験する抗CD123抗体を最終濃度10μg/mlで添加した後、細胞バッチを異なる期間(3連で1時間、2時間、6時間)、37℃でインキュベートした。標識アイソタイプ対照(陰性対照)にも同じ処理プロトコルを適用した。並行して、同一の試験バッチを4℃で処理した(陰性対照)。次いで、Guavaフローサイトメーター(Millipore)を用いてFACS分析を行った。動態評価は、guavaSoft 2.6ソフトウェア(Millipore)を用いた蛍光強度の測定を介した。抗CD123抗体の標的媒介特異的内在化が種々のがん細胞株(MOLM-13、THP-1、KG-1)で観察された一方、アイソタイプ対照および4℃バッチは内在化を示さなかった。
【0264】
C-2b リソソーム中の内在化CD123抗体の共局在の決定
抗体薬物コンジュゲートの毒性活性化合物は、選択されたリンカーのためにリソソーム中に放出される。したがって、この細胞小器官への抗体の輸送が重要である。抗体とリソソームに特異的なマーカータンパク質(例えば、表面タンパク質または小型GTPasen)との共局在により、適切なプロファイルを有する抗体を識別することが可能である。この目的のために、培地100μl中のCD123陽性細胞(5×104個/ウェル)を最初に96-MTP(Greiner bio-one、CELLSTAR、650 180、U底)に播種した。CypHer5E標識抗CD123抗体(最終濃度20μg/ml)を添加した後、バッチを37℃で6時間2連でインキュベートした。各場合において、インキュベーション時間の終了の30分前に、リソソーム特異的生色素を試料に添加した。CytoPainter LysoGreen指示薬(最終濃度1:2000; abcam、ab176826)を用いて、リソソームを染色した。インキュベーション後、氷冷FACS緩衝液200μl(ダルベッコPBS、Sigma-Aldrich、番号D8537+3%FBS熱不活性化FBS、Gibco、番号10500-064)をバッチにピペットで分注し、細胞懸濁液を400×gおよび4℃で5分間遠心分離した。次いで、ペレットを氷冷FACS緩衝液300μlに再懸濁し、再度遠心分離した(4分間、4℃で400×g)。遠心分離後、上清を捨て、ペレットを氷冷FACS緩衝液30μlに溶解した。このようにして調製した試料を直ちにFACS/画像分析(FlowSight amnis、Millipore)に供した。特異的共局在ソフトウェアIDEAS Application v6.1.を用いて共局在を評価した。表3は、試験した抗CD123抗体についてのこのアッセイのデータを要約している。
【0265】
【0266】
様々な抗体が、マウス抗体と比較して改善した特異的内在化効力および共局在を示した。
【0267】
C-3 細胞透過性を決定するためのインビトロ試験
Caco-2細胞を用いるフラックスアッセイでのインビトロ試験によって、物質の細胞透過性を調査することができる[M.D.TroutmanおよびD.R.Thakker、Pharm.Res.20(8)、1210~1224(2003)]。この目的のために、細胞を24ウェルフィルタープレート上で15~16日間培養した。透過性を測定するために、それぞれの試験物質をHEPES緩衝液中で細胞に頂端に(A)または基底に(B)適用し、2時間インキュベートした。0時間後および2時間後、試料をシスおよびトランス区画から採取した。試料を逆相カラムを用いてHPLC(Agilent 1200、Boblingen、ドイツ)によって分離した。HPLCシステムを、ターボイオンスプレーインターフェースを介してトリプル四重極質量分析計API 4000(AB SCIEX Deutschland GmbH、Darmstadt、ドイツ)に連結した。透過性を、Schwabら[D.Schwabら、J.Med.Chem.46、1716~1725(2003)]によって公開された式を用いて計算したPapp値に基づいて評価した。Papp(B-A)とPapp(A-B)の比(流出比)が2超または0.5未満である場合、物質が能動的に輸送されたと分類した。
【0268】
細胞内に放出される担毒体にとって非常に重要なのは、BからAへの透過性[Papp(B-A)]およびPapp(B-A)とPapp(A-B)の比(流出率)である:この透過性が低いほど、Caco-2細胞の単層を通した物質の能動的および受動的輸送過程が遅くなる。さらに、流出比が能動的輸送を示さない場合、物質は、細胞内放出後に、細胞内でより長く留まることができる。したがって、生化学的標的(この場合:キネシンスピンドルタンパク質、KSP/Eg5)との相互作用に利用可能な時間もまた長くなる。
【0269】
以下の表4は、このアッセイからの代表的な実施例についての透過性データを示す:
【0270】
【0271】
C-4 P-糖タンパク質(P-gp)の基質特性を決定するためのインビトロ試験
多くの腫瘍細胞は薬物のためにトランスポータータンパク質を発現し、これはしばしば細胞増殖抑制剤に対する耐性の発達を伴う。したがって、例えば、P-糖タンパク質(P-gp)またはBCRPなどの、このようなトランスポータータンパク質の基質ではない物質は、改善された活性プロファイルを示すことができるだろう。
【0272】
P-gpを過剰発現するLLC-PK1細胞(L-MDR1細胞)を用いた流出アッセイによって[A.H.Schinkelら、J.Clin.Invest.96、1698~1705(1995)]、P-gp(ABCB1)についての物質の基質特性を決定した。この目的のために、LLC-PK1細胞またはL-MDR1細胞を96ウェルフィルタープレート上で3~4日間培養した。透過性を測定するために、それぞれの試験物質を、単独でまたは阻害剤(例えば、イベルメクチンもしくはベラパミルなど)の存在下で、HEPES緩衝液中で細胞に頂端に(A)または基底に(B)適用し、2時間インキュベートした。0時間後および2時間後、試料をシスおよびトランス区画から採取した。試料を逆相カラムを用いてHPLCによって分離した。HPLCシステムを、ターボイオンスプレーインターフェースを介してトリプル四重極質量分析計API 3000(Applied Biosystems Applera、Darmstadt、ドイツ)に連結した。透過性を、Schwabら[D.Schwabら、J.Med.Chem.46、1716~1725(2003)]によって公開された式を用いて計算したPapp値に基づいて評価した。Papp(B-A)とPapp(A-B)の流出比が2超である場合、物質をP-gp基質と分類した。
【0273】
P-gp基質特性を評価するためのさらなる基準として、L-MDR1およびLLC-PK1細胞における流出比または阻害剤の存在下もしくは非存在下での流出比を比較することができる。これらの値が2倍超異なる場合、当の物質はP-gp基質である。
【0274】
C-5 薬物動態
C5a:インビトロでの内在化後のADC代謝産物の識別
方法の説明:
イムノコンジュゲート(immunoconjugate)による内在化試験を行って、細胞内で形成される代謝産物を分析する。この目的のために、ヒト肺腫瘍細胞NCI H292(3×105個/ウェル)を6ウェルプレートに播種し、一晩(37℃、5%CO2)インキュベートする。細胞を、10μg/ml(66nM)の試験するADCで処理する。内在化を、37℃および5%CO2で行った。種々の時点(0、4、24、48、72時間)で、細胞試料をさらなる分析のために採取する。まず、上清(約5ml)を収穫し、遠心分離(2分間、室温、1000rpm、Heraeus Variofuge 3.0R)後、-80℃で保存する。細胞をPBSで洗浄し、Accutase(登録商標)で剥離し、細胞数を決定する。さらなる洗浄後、規定の数の細胞(2×105個)を溶解緩衝液100ml(Mammalian Cell Lysis Kit(Sigma MCL1))で処理し、連続振盪(Thermomixer、15分間、4℃、650rpm)しながら、Protein LoBindチューブ(Eppendorfカタログ番号0030 108.116)中でインキュベートする。インキュベーション後、溶解液を遠心分離し(10分間、4℃、12000g、Eppendorf 5415R)、上清を収穫する。得られた上清を-80℃で保存する。次いで、全ての試料を以下のように分析する。
【0275】
培養上清または細胞溶解液中の化合物の測定を、トリプル四重極質量分析計(MS)に連結された高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、メタノールまたはアセトニトリルによるタンパク質の沈殿後に行う。
【0276】
培養上清/細胞溶解液50μlの精密検査のために、沈殿試薬(一般にアセトニトリル)150μlを添加し、混合物を10秒間振盪する。沈殿試薬は、適切な濃度(一般に20~100ng/mlの範囲内)の内部標準(ISTD)を含有する。16000gで3分間遠心分離した後、上清をオートサンプラーバイアルに移し、移動相に適した緩衝液500μlで構成し、再度振盪する。
【0277】
次いで、AB SCIEX Deutschland GmbH製のHPLC連結トリプル四重極質量分析計API6500を使用して、2つのマトリックス試料を測定する。
【0278】
較正のために、0.5~2000μg/lの濃度を血漿試料に添加する。検出限界(LOQ)は約2μg/lである。線形範囲は2~1000μg/lに及ぶ。
【0279】
腫瘍試料の較正のために、0.5~200μg/lの濃度を未処理腫瘍の上清に添加する。検出限界は4μg/lである。線形範囲は4~200μg/lに及ぶ。
【0280】
妥当性を試験するための品質管理には、5μg/lおよび50μg/lが含まれる。
【0281】
C5b:インビボでのADC代謝物の識別
3~30mg/kgの様々なADCの静脈内投与後に、ADCおよび生じる任意の代謝産物の血漿および腫瘍濃度を測定することができ、クリアランス(CL)、曲線下面積(AUC)および半減期(t1/2)などの薬物動態パラメータを計算することができる。
【0282】
生じる任意の代謝産物の定量のための分析
血漿および腫瘍中の化合物の測定を、トリプル四重極質量分析計(MS)に連結された高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、メタノールまたはアセトニトリルによるタンパク質の沈殿後に行う。
【0283】
血漿50μlの精密検査のために、沈殿試薬(一般にアセトニトリル)250μlを添加し、混合物を10秒間振盪する。沈殿試薬は、適切な濃度(一般に20~100ng/mlの範囲内)の内部標準(ISTD)を含有する。16000gで3分間遠心分離した後、上清をオートサンプラーバイアルに移し、移動相に適した緩衝液500μlで構成し、再度振盪する。
【0284】
腫瘍の精密検査の間、後者を3倍量の抽出緩衝液で処理する。抽出緩衝液は、組織タンパク質抽出試薬50ml(Pierce、Rockford、IL)、2ペレットの完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics GmbH、Mannheim、ドイツ)および最終濃度1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(Sigma、St.Louis、MO)を含有する。試料をTissuelyser II(Qiagen)中、最大ストローク数で20分間、2回ホモジナイズする。ホモジネート50μlをオートサンプラーバイアルに移し、ISTDを含むメタノール150μlで構成する。16000gで3分間遠心分離した後、上清10μlを移動相に適した緩衝液180μlで構成し、再度振盪する。次いで、腫瘍試料を測定の準備ができた状態にする。
【0285】
次いで、AB SCIEX Deutschland GmbH製のHPLC連結トリプル四重極質量分析計API6500を使用して、2つのマトリックス試料を測定する。
【0286】
較正のために、0.5~2000μg/lの濃度を血漿試料に添加する。検出限界(LOQ)は約2μg/lである。線形範囲は2~1000μg/lに及ぶ。
【0287】
腫瘍試料の較正のために、0.5~200μg/lの濃度を未処理腫瘍の上清に添加する。検出限界は5μg/lである。線形範囲は5~200μg/lに及ぶ。
【0288】
妥当性を試験するための品質管理には、5μg/lおよび50μg/l、血漿中さらに500μg/lが含まれる。
【0289】
使用する抗体の定量のための分析
ADCの抗体部分を、血漿試料および腫瘍溶解液中の全IgG濃度として、リガンド結合アッセイ(ELISA)を用いて測定した。ここでは、サンドイッチELISAフォーマットを使用した。このELISAは、血漿および腫瘍試料における測定のために適格であり、有効であった。ELISAプレートを抗ヒトヤギIgG Fc抗体でコーティングした。試料とのインキュベーションの後、プレートを洗浄し、サル抗ヒトIgG(H+L)抗体および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の検出コンジュゲートとインキュベートした。さらなる洗浄ステップの後、HRP基質をOPDに添加し、発色を490nmでの吸収を介して監視した。既知のIgG濃度を有する標準試料を、4パラメーター方程式を用いて当てはめた。定量下限(LLOQ)および上限(ULOQ)内で、未知の濃度を内挿によって決定した。
【0290】
C-6 インビボでの有効性試験
本発明のコンジュゲートのインビボ有効性を、腫瘍異種移植片モデルにおいて試験した。専門家であれば、本発明の化合物の有効性を試験することができる先行技術の方法に精通している(例えば、国際公開第2005/081711号パンフレット;Polsonら、Cancer Res 2009年3月15日;69(6):2358~64参照)。
【0291】
例えば、げっ歯類(例えば、マウス)に、抗体の標的分子を発現する腫瘍細胞株を移植した。次いで、本発明のコンジュゲート、アイソタイプコンジュゲート、対照抗体または等張性生理食塩水(ビヒクル)を移植動物に投与した。数日間のインキュベーション期間後、コンジュゲート処理動物対対照群(対照コンジュゲートおよび/またはビヒクル)において腫瘍サイズを測定した。コンジュゲート処理動物は、腫瘍サイズの減少を示した。
【0292】
C-6a.マウスにおける実験的腫瘍の成長阻害
抗体-薬物コンジュゲートの標的抗原を発現するヒト腫瘍細胞を、免疫不全マウス(例えば、NMRIヌードまたはSCIDマウス)の側腹部に皮下接種した。100万~1000万個の細胞を細胞培養液から分離し、遠心分離し、培地または培地/Matrigelで再懸濁した。細胞懸濁液をマウスに皮下注射した。処置(5mL/kgの体積で腹腔内施用;投与スケジュールを表xに示す)を、腫瘍確立後、約40mm2の腫瘍サイズで開始した。
【0293】
デフォルトでは、1処置群当たり8匹の動物を使用した。活性物質を投与された群に加えて、1群をビヒクルのみで処置した。実験中、腫瘍面積を、二次元(長さ/幅)でノギスにより定期的に測定した。腫瘍面積を、長さ×幅によって決定した。処置群と対照群の平均腫瘍面積の比較をT/C面積として表した。
【0294】
C-6b.ヒトAML異種移植片モデルにおける本発明による化合物の有効性
抗CD123抗体-薬物コンジュゲートによる処置は、腫瘍成長の有意で持続的な阻害をもたらした。表5は、代表的な実施例のインビボ有効性を要約している。第1の読出しは、T/C値(ビヒクル群が200mm2超の腫瘍サイズに達する前に最後に測定された時点から決定され、ドイツ動物保護法により屠殺しなければならなかった)によって示される処置対ビヒクル群における腫瘍成長阻害である。第2の読出しとして、表5はまた、処置群が腫瘍再成長を示し、試験を終了するまでの時間も示す。
【0295】
実験1は、THP-1 AML異種移植片モデルにおける腫瘍成長阻害によって測定されるref 257m1対208m1(T/C 0.46対0.92)の強力な有効性および明確な優位性を示す。
【0296】
ref 257m1の有効性は、追加のAML異種移植片モデルにおいても評価された。実験2は、MOLM13 AML異種移植モデルにおける、腫瘍成長阻害に基づく、ref 257m1対208m1の優位性(T/C 0.25対0.42)および腫瘍再成長までの大幅な時間の減少(34日対24日)も確認した。実施例1a、1b、1cは、2つのAMLモデル(実験3および実験4)において強力な有効性を示し、記載される全ての実施例は、ref 208m1に対する優位性(例えば、1a対208m1-T/C 0.32対0,42)を示す。
【0297】
示されるスケジュール(Q7dx2)での対応するアイソタイプ-ADC対照は、ビヒクル対照に匹敵した。
【0298】
【0299】
抗CD123抗体の実施例
全ての実施例は、ここで詳細に記載しない限り、当業者に公知の標準的な方法を用いて行った。以下の実施例の通常の分子生物学の方法は、Sambrookら、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、第2版;Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989などの標準的な実験室の教科書に記載されているように行うことができる。
【0300】
ヒト化抗CD123抗体の作製および最適化
本明細書に記載される抗体は、文献(欧州特許第2426148号明細書;国際公開第2013/173820号パンフレット)に記載される2つのマウス抗体クローン7G3および12F1に基づく。簡単に、マウスCDRを、O’BrienおよびJones(第40章CDR移植による抗体のヒト化、579頁表4)ならびにHwangら(Methods 36(2005)35~42頁)によって記載されるようにヒトフレームワークに移植した。KabatによるCDRの定義については、Andre C.R.Martin、Antibody Engineeringの「Protein sequence and structure analysis of antibody variable domains」(Springer Lab Manuals)、編者:Duebel,S.およびKontermann,R.、Springer-Verlag,、Heidelbergを参照されたい。マウスフレーム配列(CDRなし)をヒト生殖細胞系列配列と比較した後、同様に頻繁に発生するヒトフレーム配列を選択した。配列は、IMGTシステム(Lefranc,M.-P.、Giudicelli,V.、Ginestoux,C.、Jabado-Michaloud,J.、Folch,G.、Bellahcene,F.、Wu,Y.、Gemrot,E.、Brochet,X.、Lane,J.、Regnier,L.、Ehrenmann,F.、Lefranc,G.およびDuroux,P.IMGT(登録商標)、国際ImMunoGeneTics情報システム(登録商標).Nucl.Acids Res、37、D1006~D1012(2009);doi:10.1093/nar/gkn838)を使用して命名した。
【0301】
ヒト化変異体を、HEK293細胞において一過的に発現させた。上清を、抗原および細胞との結合についてSPRおよびFACSで試験した。免疫原性を低下させ、結合特性を最適化するために、単一または複数の突然変異をCDRおよびフレームワークに導入した。最終的なリード候補を作製および選択するために、100個超の変異体を試験した。本明細書に記載される抗体変異体は、それらの特性に影響を及ぼし得るヒト生殖細胞系列配列とは異なる種々の点突然変異を有する。
【0302】
マウス抗体クローン12F1(国際公開第2013/173820号パンフレット)に基づく最初のキャンペーン。CDRの移植は自明ではなく、成功するためにはいくつかのヒトフレームワーク骨格で試験しなければならなかった。最良の移植バージョンは、軽鎖CDRをヒトフレームワーク骨格IGKV3-20に移植し、重鎖CDRをヒトフレームワーク骨格IGHV3-66に移植したTPP-8988であると識別された。これと比較して、マウスCDRの移植は他の場合、例えばFACS結合の減少を示したTPP-8613については、失敗した。この変異体では、軽鎖CDRをヒトフレームワーク骨格IGKV4-1に移植し、重鎖CDRをヒトフレームワーク骨格IGHV3-66に移植した。移植されたバージョンとして十分な発現をもたらさなかった別の例は、軽鎖CDRをヒトフレームワーク骨格IGKV4-1に移植し、重鎖CDRをヒトフレームワーク骨格IGHV5-51に移植したTPP-8617である。
【0303】
TPP-8988をさらに脱免疫化するために、単一および組換え非生殖細胞系列残基をヒト生殖細胞系列に交換し、66の変異体を発現および結合について試験した。試験した最良の組換え変異体は、TPP-9342であった。例えばTPP-9075、TPP-9078、TPP-9104、TPP-9129またはTPP-9130のような他の変異体は、TPP-8988/TPP9342と類似の配列を共有するが、SPR測定において低発現および/または望ましくない多相性挙動を示した。
【0304】
マウス抗体クローン7G3(欧州特許第2426148号明細書)に基づく第2のキャンペーン。ヒト化生殖細胞系列IGKV4-1およびIGHV1-69に基づいて、上記のようにヒト化バージョンTPP-5969を作製した。これはCSL-362(TPP-5709)、CSLによって作製されたヒト化バージョン(欧州特許第2606069号明細書)の代替物として働くことができる。
【0305】
残念なことに、TPP-5969は、SPR分析において望ましくない多相性結合挙動を示した。この多相性結合を消滅させ、TPP-5969を脱免疫化するために、単一および組換え非生殖細胞系列残基をヒト生殖細胞系列に交換し、53の変異体を発現および結合について試験した。例えばTPP-8465、TPP-8467、TPP-8468またはTPP-9479のようなほとんどの変異体は、ヒト化バージョンTPP-5969および/または最終候補TPP-8987もしくはTPP-9476と類似の配列を共有するが、SPR測定において低発現および多相性挙動を示し、FACS結合も減少した。
【0306】
例えばTPP-5969と比較して、重鎖に3つの突然変異(N61A、K65QおよびQ67R)を含むTPP-8695などの変異体のみは、FACS結合において1桁の数字のナノモル濃度EC50値を示したが、低発現でSPRにおける多相性様式で依然として結合した。予想外に、TPP8987の軽鎖CDR2(V29L)への単一点突然変異の導入は、望ましくない多相性結合特性を消滅させた。TPP-8987の発現率がかなり低かったので、非多相性SPR結合特性および陽性FACS結果と共に合理的な発現を可能にする突然変異の組換えを見出すために、様々な重鎖変異体を作製した。これらのアセットは、その好ましい結合特性を保持しながら、R67Q逆突然変異においてTPP-8987と異なるにすぎず、10倍高く発現するTPP-9476によって表される。
【0307】
表面プラズモン共鳴による抗体の結合親和性の測定:
定量的結合分析のための表面プラズモン共鳴実験を、Biacore T200装置(GE Healthcare Biacore,Inc.)を用いて行った。ここでは、試験すべき抗体を、センサーチップ表面にアミン結合した抗ヒトFc抗体(「Human Antibody Capture Kit」、BR-1008-39、GE Healthcare Biacore,Inc.)の助けを借りて固定した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびエタノールアミンHCl pH8.5(「アミンカップリングキット」BR-1000-50、GE Healthcare Biacore,Inc.)を使用して、製造業者の指示に従ってアミンカップリングを行った。分析のために、移動緩衝液HBS-EP+(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%界面活性剤P20)と共に、シリーズSセンサーチップCM5(GE Healthcare Biacore,Inc.)を使用した。全ての実験ステップを25℃で行った。試験する抗CD123抗体を固定した後、100nMの濃度でIL3Ra(分析物、R&D Systems)の細胞外ドメインの注入を行い、各抗原注入後、センサー表面をグリシンHCl pH2.0で再生した。別の分析物注射の前に、抗体をいずれの場合も同一条件下で上記のように固定した。全ての測定について、固定化アミン結合抗ヒトFc抗体のみを含む上流フローセルを参照セルとして使用した。得られたセンサーグラムの評価を、二重参照(double referencing)(参照フローセルシグナルおよび緩衝液注入の減算)後、Biacore T200評価ソフトウェア(GE Healthcare Biacore,Inc.)を用いて、1:1のラングミュア結合モデルに基づくグローバルフィットによって行った。
【0308】
【0309】
【0310】
種々の抗原発現がん細胞株に対する抗CD123抗体の結合
抗CD123抗体の結合を、ヒト血液細胞株MOLM-13を用いたフローサイトメトリーによって試験した。この目的のために、細胞(5×105個細胞/ウェル)を、氷上、光から保護して、30~45分間、10μg/mlの一次抗体溶液(開始濃度)と共にFACS緩衝液(Ca/Mgを含まないPBS、3%FCS、Biochrom)中でインキュベートした。用量活性曲線(1:5希釈)をプロットした。インキュベーション後、氷冷FACS緩衝液200μlをピペットを用いて添加し、細胞懸濁液を4℃400gで4分間遠心分離した。細胞ペレットを氷冷FACS緩衝液300μlで洗浄し、次いで、得られたペレットをFACS緩衝液100μlに再懸濁し、氷上で30分間、1:10希釈で二次抗体(モノクローナル抗κ軽鎖-FITC抗体、Sigma、番号SAB4700605)と再びインキュベートした。次いで、細胞を氷冷FACS緩衝液で洗浄し、Guavaフローサイトメーター(Millipore)を用いたフローサイトメトリーの前に0.5x106個細胞/mlの細胞濃度に調整した。生存染色にヨウ化プロピジウム(最終濃度1μg/ml)を使用した。結果を、最大結合と比較した用量応答曲線および有効性に基づいて決定されたEC50値として示した。驚くべきことに、TPP-5969と比較したTPP-8988およびTPP-6013と比較したTPP-8988で、有意に改善した結合挙動を検出することができた(表7A)。TPP-5969のほとんどのヒト化変異体は、標的に対する結合を全く示さないまたは不十分な結合しか示さず(7B)、TPP-6013のヒト化変異体も同様であった(7C;作製および最適化参照)。
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【0312】
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【表LA】
【表LB】
【表LC】
【表LD】
【表LE】
【表LF】
【表LG】
【表LH】
【表LI】
【表LJ】
【配列表】