IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイマトレックス,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-小型偏向磁石 図1
  • 特許-小型偏向磁石 図2A
  • 特許-小型偏向磁石 図2B
  • 特許-小型偏向磁石 図3
  • 特許-小型偏向磁石 図4
  • 特許-小型偏向磁石 図5
  • 特許-小型偏向磁石 図6
  • 特許-小型偏向磁石 図7
  • 特許-小型偏向磁石 図8
  • 特許-小型偏向磁石 図9
  • 特許-小型偏向磁石 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】小型偏向磁石
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/147 20060101AFI20220210BHJP
   H01J 37/141 20060101ALI20220210BHJP
   H01F 7/20 20060101ALN20220210BHJP
【FI】
H01J37/147 B
H01J37/141 A
H01J37/147
H01F7/20 Z
H01F7/20 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019103949
(22)【出願日】2019-06-03
(62)【分割の表示】P 2018082367の分割
【原出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019149387
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/491,122
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/625,921
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518143129
【氏名又は名称】アイマトレックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロイ イー.ランド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィタリー ジスキン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-25562(JP,A)
【文献】実開昭50-117727(JP,U)
【文献】米国特許第4105890(US,A)
【文献】米国特許第6292538(US,B1)
【文献】米国特許第6414319(US,B1)
【文献】国際公開第2008/044194(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/147
H01J 37/141
H01F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石であって、
一組の4つの表面および一組の4つの角を有するヨークと、
それぞれ、前記一組の4つの表面上に各々巻かれる、第1の一組の4つのコイルと、
それぞれ、前記一組の4つの角上に各々巻かれる、第2の一組の4つのコイルと、
を備える、磁石。
【請求項2】
前記第2の一組の4つのコイルは、前記第2の一組の4つのコイル内の電流に応答して、4極子磁場を提供するために互いに電気的に接続される、請求項1に記載の磁石。
【請求項3】
前記ヨークは、円弧輪郭を伴う出口側を有する、請求項2に記載の磁石。
【請求項4】
前記一組の4つの表面内の一対の表面は、前記出口側に前記円弧輪郭を有する、請求項3に記載の磁石。
【請求項5】
前記一対の表面は互いに平行である、請求項4に記載の磁石。
【請求項6】
前記ヨークはホーン形状である、請求項5に記載の磁石。
【請求項7】
前記ヨークは、円弧輪郭を伴う出口側を有する、請求項1に記載の磁石。
【請求項8】
前記ヨークは、一緒に取り付けられる2つの部分を備える、請求項1に記載の磁石。
【請求項9】
前記2つの部分のうち第1の部分は、ある表面の第1の部分を含み、前記2つの部分のうち第2の部分は、前記ある表面の第2の部分を含み、前記ある表面上に巻かれる、前記第1の一組の4つのコイル内のコイルは、
前記ある表面の第1の部分上に巻かれる第1の部分コイルと、
前記ある表面の第2の部分上に巻かれる第2の部分コイルであって、前記第2の部分コイルは、前記第1の一組の4つのコイル内のコイルを形成するために、前記第1の部分コイルに電気的に接続される、第2の部分コイルと、
を備える、請求項8に記載の磁石。
【請求項10】
前記ヨークはミューメタルを備える、請求項1に記載の磁石。
【請求項11】
システムであって、
ビーム管システムと、
前記ビーム管システムに取り付けられる磁石であって、前記磁石は、
一組の4つの表面および一組の4つの角を有するヨークと、
それぞれ、前記一組の4つの表面上に各々巻かれる、第1の一組の4つのコイルと、
それぞれ、前記一組の4つの角上に各々巻かれる、第2の一組の4つのコイルと、
を備える、磁石と、
電子を放射するように構成される粒子ビームソースであって、前記磁石は、前記第1の一組の4つのコイル内の電流に応答して、放射された電子を偏向させるために前記ビーム管システムに取り付けられる、粒子ビームソースと、
を備える、システム。
【請求項12】
前記ヨークは、円弧輪郭を伴う出口側を有し、前記磁石は、前記第1の一組の4つのコイル内の電流に応答して、前記放射された電子のための収束レンズを提供するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記磁石は、前記第1の一組の4つのコイル内の電流に応答して、第1の平面および第2の平面内で前記放射された電子を偏向させるウインドウフレーム設計を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記ヨークは、円弧輪郭を伴う出口側を有し、
前記磁石は、前記第1の一組の4つのコイル内の電流に応答して、前記第1の平面および前記第2の平面内で前記放射された電子のための収束レンズを提供するように構成され、
前記第2の一組の4つのコイルは、前記第2の一組の4つのコイル内の電流に応答して、4極子磁場を提供するために互いに電気的に接続される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ヨークはミューメタルを備える、請求項11に記載のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、「電子およびイオンビームの偏向および集束のための小型磁石」という名称の2017年4月27日に出願された同時係属米国仮特許出願第62/491,122号の特許法§119(e)の下の優先権の利益を主張するものである。上述した出願の開示は、参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0002】
本開示は、磁石、より詳細には、電子およびイオンビームの偏向および集束のための小型磁石に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの荷電粒子ビーム装置は、ビーム偏向、走査、および集束磁石を必要とする。装置は、特に、ブラウン管、X線管、電子ビームコンピュータ断層撮影スキャナ、クライストロン、走査型電子顕微鏡、ヘリウムイオン電子顕微鏡、電子およびイオンリソグラフィー装置を含む。
【0004】
ビーム偏向磁石が均一(双極子)磁場を有して、更に4極子集束場を発生することは望ましい。磁石は偏向角のある範囲で走査可能でなければならず、そして場構成要素は最初のビーム軸の周りに磁気的に回転可能でなければならない。磁石の上述の設計要件に対する過去の解決策は、通常、複雑な磁気コイル配置を必要とした。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、電子およびイオンビームの偏向および集束のための磁石を対象としている。一実施態様では、磁石は双極子および4極子場を同じコイルセットから発生する。
【0006】
一実施態様では、磁石を含む粒子ビーム装置が開示される。装置は、電子およびイオンビームを放射するように構成される粒子ビームソースと、ほぼ矩形の形状に配置される複数のヨークと、複数のコイルを含むコイルセットとを含み、そこにおいて、複数のコイルの巻線は、複数のヨーク全体に均一に分布されて、その周りに巻かれ、そこにおいて、コイルセットは、双極子および4極子場の両方を発生するように構成され、そこにおいて、磁石は電子およびイオンビームを偏向して集束するように構成される。
【0007】
別の実施態様において、ある磁石が開示される。磁石は、ほぼ矩形の形状に配置される複数のヨークと、複数のコイルを含むコイルセットとを含み、そこにおいて、複数のコイルの巻線は、複数のヨーク全体に均一に分布されて、その周りに巻かれ、そこにおいて、コイルセットは、双極子および4極子場の両方を発生するように構成される。
【0008】
他の特徴および利点は、例えば、本開示の態様を例示する本説明から明らかになるであろう。
【0009】
本開示の詳細は、その構造および動作の両方に関して、類似の参照符号が類似の部品を指す添付図面の検討によってある程度収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施態様による小型磁石の三次元図である。
図2A】本開示の一つの実施態様による小型磁石の断面図(x-z面)である。
図2B】本開示の一つの実施態様による小型磁石の別の断面図(y-z面)である。
図3】本開示の一つの実施態様による小型磁石の別の断面図(x-y面)である。
図4】2つのYコイルにおける等しい電流による双極子磁場(B)の例示グラフである。
図5】2つのXコイルにおける等しい電流による双極子磁場(B)の例示グラフである。
図6】2つのYコイルにおける対向する電流による4極子磁場の例示グラフである。
図7】2つのYコイルにおける複合電流による、複合双極子および4極子磁場の例示グラフである。
図8】ヨークの角の4つのQBコイルにおける電流による45度4極子磁場の一例を示す。
図9】本開示の一実施態様による2つの半分に構成されるヨークを示す。
図10】平行平面を持つ磁石の磁気ヨークが同一のストリップに分けられる本開示の一実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の通り、ビーム偏向磁石の上述の設計要件に対する過去の解決策は、通常、複雑な磁気コイル配置を必要とした。本開示の特定の実施態様は、磁石設計の複雑さを著しく減らす代替解決策を提供する。すなわち、代替解決策は、双極子および4極子場がコイルの別々のセットによって発生する従来の設計とは対照的に同じコイルセットから双極子および4極子場を発生する磁石を含む。
【0012】
更に、本願明細書に記載されている代替解決策の設計は、単純であるだけでなく、いくつかの従来設計とは異なり、磁石は、管が完成されたあとにビーム管のまわりに組み立てることもできる。更に、新しく設計された磁石は、従来設計より大きな偏向角を生じることができる。これらの説明を読んだ後に、本開示をさまざまな実施態様およびアプリケーションで実行する方法が明らかになる。しかしながら、本開示のさまざまな実施態様が本願明細書に記載されるけれども、これらの実施態様は、単に例として提示されるものであり、限定するものではないと理解される。このように、さまざまな実施態様のこの詳細な説明は、本開示の範囲または幅を制限するものと解してはならない。
【0013】
図1は、本開示の一実施態様による小型磁石100の三次元図である。一実施態様では、小型磁石100は、粒子ビーム装置、例えばブラウン管、X線管、電子ビームコンピュータ断層撮影スキャナ、クライストロン、走査型電子顕微鏡、ヘリウムイオン電子顕微鏡、または電子およびイオンリソグラフィー装置で使用される。粒子ビーム装置は、磁石に加えて、粒子ビームソースを含むこともできる。このように、一実施態様において、小型磁石100は、粒子ビームソースにより放射される電子およびイオンビームの偏向および集束のために用いられる。
【0014】
図1の図示の実施態様において、小型磁石100は、形状において(x-y面で)ほぼ矩形である入口開口110を備えたホーン形である。代替実施態様において、ほぼ矩形の形状は、八角形の角120、122、124、126も含む(例えば、角は45度の角度である)。一実施態様において、八角形の角120、122、124、126のコイルは、4極子タイプB(QB)として構成される。一実施態様において、下流側のヨークの出口輪郭は、均一場によって、偏向による、自然の集束効果のそれに対抗するために用いることができる4極子集束場を提供するために円弧形である。
【0015】
図2Aは、本開示の一実施態様による小型磁石100の断面図(x-z面)200である。図2Aの断面図200は、コイルY1(210)およびコイルY2(212)およびヨーク220、222を示す。設計は、ビーム偏向が大部分は一つの平面(すなわち、x-z面)にあると仮定する。図2Aの図示の実施態様において、形は、コイル電流がヨークのそれぞれの表面全体に一様に分布するという条件で、非常に均一の内部双極子磁場を有する標準的な「ウインドウフレーム」設計に基づく。図2Aはまた、ビームの磁界分布が同一である磁気ヨークおよびコイルのためのいくつかの代替形状230、232、234を例示する。
【0016】
図2Bは、本開示の一実施態様による小型磁石100の別の断面図(y-z面)250である。図2Bの断面図250はヨーク220も示す。
【0017】
図3は、本開示の一実施態様による小型磁石100の別の断面図(x-y面)300である。図3の例示の実施態様において、さまざまなコイルは、図1、2A、2B、および3に定められる座標系に関して示される(コイルY1(310)、コイルY2(312)、コイルX1(320)、コイルX1(322)、X2(330)、X2(332)と表される)。
【0018】
各コイルの巻線は、ヨークのそれらのそれぞれの表面全体に均一に分布する。それらが機械的にヨークの別々の半分にあるにもかかわらず、Xコイル320/322または330/332の各対(L、R)は、単一コイルとして電気的に接続される。ヨークの2つの半分は、突き合わせ継ぎ手340、342で連結されて、そこでは、ヨーク内の支配的な磁場Bによって継ぎ手340または342全体に磁束がゼロである。
【0019】
図3の例示の実施態様において、Xコイル320、322、330、332、およびYコイル310、312の電流は、後述するように双極子および4極子磁場の両方を発生する。図3に示される断面が、通常、矩形であるにもかかわらず、(z方向の)ビーム方向に平行なその形は、ホーン形であるかまたは平行平面でありえる。図3はまた、任意のQBコイル(例えば、350)を示す。図1に関して上述したように、下流側のヨークの出口輪郭は、均一場によって、偏向による、自然の集束効果のそれに対抗するために用いることができる4極子集束場を提供するために円弧形である。この円弧の半径の算出を以下に説明する。
【0020】
図1、2A、2B、および3のいろいろな図として示される小型磁石100の設計の背後のアルゴリズムを後述する。ゆえに、ある場合には、小型磁石100のコイル電流は以下のように書くことができる。
Y1=IDY+IQY [1]
Y2=IDY―IQY [2]
X1=IDX+IQX [3]
X2=IDX―IQX [4]
ここで、
DY=コイルYの双極子電流
QY=コイルYの4極子電流
DX=コイルXの双極子電流
QX=コイルXの4極子電流
全4つの構成要素電流は独立している。
【0021】
アンペアの周回路の法則を用いて、式1~4に記載されているコイル電流は、以下のようにビームの領域に磁場を発生する。
【数1】
【数2】
ここで、
=各別々のYコイルの巻数
=各別々のXコイルの巻数
μ=透磁係数
μ=磁気ヨーク材料の透磁率
w=ヨークの内部幅
g=ヨークの垂直高さ。
【0022】
ゆえに、上記の磁場およびコイル電流に基づいて、有効な磁場勾配の大きさは、以下の通りである。
【数3】
したがって、4極子レンズ強度は、以下の通りに算出できる。
【数4】
ここで、
L(δ)=磁石の有効長
e=電子電荷
c=光の速度
pはビーム運動量である。
【0023】
一実施態様において、2つのYコイルは、別々の電流IY1およびIY2を供給される。別の実施態様において、各コイルは2つの巻線を含み、一方は双極子電流IDYを通し、そして他方は4極子電流IQYを通す。ある実施態様を別のものより優先して選択する決定は、実際的な考慮点、例えばコイルドライバーのコストに依存する。
【0024】
偏向がゼロでない場合、磁場の双極子構成要素は、電子ビーム光学系において円筒状および4極子集束強度の両方を有する薄いレンズ素子によって近似できる。このように、偏向が、最大偏向(δ)およびビーム出口角(β)で、入射ビーム軸L(0)に沿った磁石の所与の長さに対して、(図2Aに示すように)完全にx-z面にあるように、IDYが支配的なコイル電流である近似において、
【数5】
ここで、
【数6】
【0025】
それから、磁石の放射集束強度(それはビーム半径だけの関数であり、方位角度φから独立している)は、g/L(0)の1次で、以下
【数7】
の通りに算出され、そして4極子集束強度は、以下
【数8】
の通りに算出される。
【0026】
総集束強度は、T=S+Qcos(2φ)である。これらの定義は、コイルおよびヨークの形状に関係なく適用される。このように、x-z面の総集束強度(T)がS+Qであり、そしてy-z面でS-Qであると述べるのに、それは十分であるはずである。
【0027】
それから、ヨークの出口境界の対応する半径は以下
【数9】
の通りに算出され、ここで、βおよびRの必要な値は、δおよびQの必要な最大値に対して算出できる。
【0028】
最大偏向におけるSの設計値は、入射電子ビームの必要な最小拡散を決定する。偏向のより小さい値で、ソレノイド集束レンズは、双極子場のより小さい集束強度を補償するためにビーム光学糸に含むことができる。
【0029】
多くのアプリケーションは、4極子集束強度(Q)が0またはほぼ0であることを必要とすることがありえる。したがって、これは、β≒1/2*δおよびR≒L(0)であることを必要とすることがありえる。Qが小さいが、このアプリケーションのようにゼロではない場合、βおよびRの適切な値は、最大偏向でQの必要な値を生じるように選ばれる。より小さい偏向で、4極子強度は、上記の通りに必要な場勾配(∂B/∂x)を発生するためにコイル電流IQYにより補充される。
【0030】
一つの例示の実施態様において、ヨークは、厚みが1.5mm以上である高品質ミューメタル(例えば、50,000より大きい透磁率(μ)を有するソフト材強磁性体)である。コイルは単一層であり、ここで、各層は、ヨークに直接巻かれた14アメリカ針金規格(AWG)銅線を使用する。このように、例えば、長さ(L(0))=125mm、幅(w)=125mm、および隙間(g)=50mmの設計寸法を使用して、200kVビーム45度を偏向させるために必要とする磁場の双極子成分は、94ガウスである。これは、Yコイルの各々における375アンペア回数により提供される。これらのコイルは、好ましくは、図3に示すようにターンタッチングによって巻かれる。これは、13.3Aの最大線電流を備えたN=28回数に結果としてなる。3.1度の最大垂直偏向は、Xコイルの対ごとに、例えば、最高50アンペア回数により提供される。各Xコイルの各半分は、2.5Aの電流を備えた10回数を有する。Xコイルの回数は、示されるように広く、そして均一に間隔を置いて配置される。
【0031】
図2Aに示すように、磁石ヨークの出口側は、磁石の上流のビーム軸に集中する円弧を形成する。この構成は、磁石の双極子場が両方の平面にほぼ等しい集束強度を有する収束レンズとして作用することを確実にする。より大きい偏向角で、4極子場は、ヨークのこの輪郭によってビーム出口で発生する。それは偏向により有効な集束をほぼキャンセルする。全体の4極子レンズの結果として生じる強度は、例えば、45度の偏向で約0.2ジオプターである。より小さい偏向角の場合は、総4極子レンズ強度は、ほぼ同じ値であることも必要とする。必要な4極子場強度は、例えば、IQY=0.33AのYコイルの対向する電流により供給される。IQXが冗長であるので、それは使用されない。
【0032】
図4は、2つのYコイルの等しい電流による双極子磁場(B)の例示のグラフである。
【0033】
図5は、2つのXコイルの等しい電流による双極子磁場(B)の例示のグラフである。
【0034】
図6は、2つのYコイルの対向する電流による4極子磁場の例示のグラフである。
【0035】
図7は、2つのYコイルの複合電流による、複合双極子および4極子磁場の例示のグラフである。
【0036】
回転可能な4極子場のための八角形のオプションを使用する代替実施態様において、偏向後の必要なビームプロフィールが楕円で、垂直または水平にその主軸を方向付けられない場合、直角4極子場は、主コイルの4極子場と組み合せるために必要である(座標軸に関して45度で方向付けられる)。この種の場を発生するために必要とするQBコイル350の位置は、図3に示され、そして図1に例示される。
【0037】
図8は、ヨークの角における4つのQBコイルの電流による45度の4極子磁場の一例を示す。
【0038】
図9は、本開示の一実施態様による2つの半分910、912に構成されるヨーク900を示す。図9の例示の実施態様において、2つの半分910、912は、位置920、922で一緒に締め付けられて、そこではミューメタルにおける磁気誘導は、主偏向場に対してゼロに近い。クランプはビーム管システムへの取付けを容易にする。一実施態様において、2つの半分910、912は、真鍮のネジによって取り付けられる非磁性ストリップによって固定できる。
【0039】
一実施態様において、磁石1000が、コイル電流および磁場が急速に変化しなければならない走査ビーム管において用いることになっている場合、磁気ヨークにおいて誘導される渦電流を防止することが必要でありえる。これは、ミューメタルにスロットをつけ、そして/または材料の多層1010を使用することによって達成できる。図10は、すべてのミューメタル・ストリップが有利に同一である本開示の一実施態様を示す。
【0040】
これらの実施態様に対するさまざまな変更態様は、当業者にとって容易に明らかであり、そして本願明細書に記載されている一般的な原理は、本開示の趣旨または範囲を逸脱せずに他の実施態様に適用できる。したがって、技術は上記の特定の例に限られていない。このように、本願明細書に示される説明および図面は、本開示のすぐに可能な実施態様を表わして、従って、本開示によって広く予想される内容を表わすことを理解すべきである。本開示の範囲が、当業者にとって明らかになることがありえる他の実施態様を完全に含み、そして本開示の範囲が、したがって添付の請求の範囲以外の何によっても制限されないと更に理解される。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10