(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】配線保護のための電気器具用電子式引外し装置
(51)【国際特許分類】
H01H 83/02 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
H01H83/02 D
H01H83/02 H
H01H83/02 G
(21)【出願番号】P 2019504709
(86)(22)【出願日】2017-02-09
(86)【国際出願番号】 FR2017050290
(87)【国際公開番号】W WO2018020085
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2019-12-17
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510339212
【氏名又は名称】アジェ-エレクトロ エス.アー.エス.
【氏名又は名称原語表記】HAGER-ELECTRO S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ストケ,ジル
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014117807(DE,A1)
【文献】実開平03-074450(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 83/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断器タイプの配線保護のための多極電気器具用電子式引外し装置において、電流測定用ブロック(1)および電流測定値の電気的処理用ブロック(2)を含む電子式引外し装置であって、
唯一の接続方向(X)に沿って、一方のブロックを他方のブロックに電気的レベルおよび機械的レベルで同時に接続することにより形成されること、および
- 方向(X)に沿って、一方のブロックを他方のブロックに電気的に接続する手段と、
- 方向(X)に沿って、一方のブロックを他方のブロックに機械的に接続する手段と、
を含むこと、
前記電気的接続用手段が、各極について、雄コネクタ(8)で構成され、該雄コネクタが、測定用ブロック(1)に属し、かつ処理用ブロック(2)に属する雌コネクタ(23)内に挿入されるようになること、
前記雄コネクタ(8)が、支持体(35)によって維持された複数の導電性ピン(19、20、21、22)を含み、各ピン(19、20、21、22)が、前記支持体(35)についての反対側にある2つの面から方向(X)に沿って延在する2つの自由端部を有すること、
を特徴とする電子式引外し装置
。
【請求項2】
前記測定用ブロック(1)がケース(6)により画定され、各極について、
- 2つの電気的有線出力端(13、14)を有するロゴスキーコイルタイプの電流測定用センサ(29)と、
- 2つの電気的有線出力端(11、12)を有する変流器(9)と、
を含み、センサ(29)および変流器(9)の有線出力端(11、12、13、14)が各々、支持体(35)の同じ第1の面(17)のレベルで雄コネクタ(8)のピン(19、20、21、22)を中心にして巻きつけられ、さらに溶接され、雄コネクタ(8)はケース(6)内に固定的に配置されていることを特徴とする、請求項
1に記載の電子式引外し装置。
【請求項3】
測定用ブロック(1)のケース(6)が、各極について、雄コネクタ(8)の受入れ用突出領域(7)を含み、この領域内に雄コネクタ(8)が固定され、この領域は有線出力端(11、12、13、14)の誘導および分離用手段を有することを特徴とする、請求項
2に記載の電子式引外し装置。
【請求項4】
有線出力端(11、12、13、14)の前記誘導および分離用手段が、雄コネクタ(8)の支持体(35)の第1の面(17)の両側に配置され、ピン(19、20、21、22)に対して平行に延在する2つのパッド(15、16)で構成されており、こうして2つの有線連結(11、12)各々が1つのパッド(15、16)を外向きに取囲んで2つの上部ピン(19、20)に達し、2つの有線連結(13、14)各々が1つのパッド(15、16)を内向きに取囲んで2つの下部ピン(21、22)に達するようになっていることを特徴とする、請求項
3に記載の電子式引外し装置。
【請求項5】
処理用ブロック(2)の雌コネクタ(23)が、第1の面(17)とは反対側の雄コネクタ(8)の支持体(35)の第2の面(18)のレベルに嵌合によって接続されていることを特徴とする、請求項
4に記載の電子式引外し装置。
【請求項6】
前記機械的接続用手段が、方向(X)に直交する2つの方向(Y、Z)での並進運動の阻止を誘導することを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1つに記載の電子式引外し装置。
【請求項7】
前記機械的接続用手段が、蟻継ぎ連結で構成されていることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1つに記載の電子式引外し装置。
【請求項8】
前記機械的接続用手段が、一方のブロックから延在し、他方のブロック内に設けられた開口部(36)の中に挿入することのできる足状部(25)で構成されていることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1つに記載の電子式引外し装置。
【請求項9】
足状部(25)が、自由端部(27)により延長されている中央区分(26)で構成され、該自由端部が中央区分(26)よりも幅広であり、前記開口部(36)が一方のブロックの壁の周囲上でカットされた切込みに対応し、足状部(25)の自由端部の幅よりも小さく足状部(25)の中央区分(26)の幅よりも大きい幅を有する底面(39)を有することを特徴とする、請求項
8に記載の電子式引外し装置。
【請求項10】
前記足状部(25)がT字形の断面を有することを特徴とする、請求項
9に記載の電子式引外し装置。
【請求項11】
前記足状部(25)が処理用ブロック(2)から延在し、測定用ブロック(1)内に設けられた開口部(36)内に挿入されることを特徴とする、請求項
8~
10のいずれか1つに記載の電子式引外し装置。
【請求項12】
前記機械的接続用手段が、2つの隣接する極の間でブロック(1、2)上に具備されていることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1つに記載の電子式引外し装置。
【請求項13】
切断用ブロックおよび請求項1~
12のいずれか1つに記載の電子式引外し装置を含む、遮断器タイプの配線保護のための電気器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮断器タイプの配線保護のための多極電気器具用電子式引外し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気熱式引外し装置と全く同様に、電子式引外し装置は、過負荷電流および短絡電流を検出して、遮断器の接点の開放を誘発する。
【0003】
電子式引外し装置の利点は、特に引外しレベルおよび引外し遅延に広い調節範囲が利用可能であるという点にある。この電子式引外し装置は、概して、センサを介して遮断器内を通る電流を監視する電子基板によって制御されるアクチュエータで構成される。
【0004】
電子式引外し装置は、遮断器を形成するべく特に切断チャンバ、固定および可動接点およびロックを格納する切断用ブロックに結び付けられる。
【0005】
電子式引外し装置は従来、電流センサを有する少なくとも1つの電流測定用ブロックと、電子基板およびアクチュエータを有する電流測定値の電気的処理用ブロックとを含む。
【0006】
引外し装置の内部でこれら2つのブロックの間に、電気的連結および機械的連結が実現されなければならない。
【0007】
センサから出るコードは、単なるエナメルコードで構成される。これらのコードに対し、専用に具備されたコネクタ内に挿入可能な端部を有し断面がさらに大きく外装によって絶縁されたコードを付加することが普通である。その後、コネクタは、電子基板上に他のコードによって接続されるかまたは電子基板上に直接固定される。
【0008】
あらゆる場合において、測定用ブロックと処理用ブロックの間の電気的連結は、可撓性コードを介して行なわれる。したがってこのタイプの電気的連結は、特に引外し装置の組立ての際のブロックの取扱い時に脆弱である。コードが断裂するリスクおよび2つのブロックの接続の際にコードが挟まるリスクが存在する。
【0009】
その上、一方のブロックの他方のブロックへの機械的組立ては概して、ブロックの相対的位置付けのレベルでも、ネジ回しタイプの標準的工具ではアクセスが容易でないネジにより実現されることのあるこれらのブロックの機械的固定のレベルでも、面倒なものである。さらに、2つのブロックの固定は、装置の組付け作業員によりやや無作為に実施されることのある組立て位置の維持手段と組合わされることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、電気的連結の劣化リスク無く、優れた機械的持続性で、簡略化され迅速な電気的および機械的接続を提案する電子式引外し装置を用いて、上述の異なる欠点を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電子式引外し装置は、従来、電流測定用ブロックと、電流測定値の電気的処理用ブロックとを含む。
【0012】
この電子式引外し装置は、主として、唯一の接続方向Xに沿って、一方のブロックを他方のブロックに接続することにより形成されること、および
- 方向Xに沿って、一方のブロックを他方のブロックに電気的に接続する手段と、
- 方向Xに沿って、一方のブロックを他方のブロックに機械的に接続する手段と、
を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の主要な着想は、電気的レベルおよび機械的レベルで同時に接続しながら、並進運動によって唯一の動作で測定用ブロックおよび処理用ブロックを組立てることにある。こうして、引外し装置の組立ては、非常に単純である。これらのブロックを組立てるために異なる運動を組合わせる必要はなく、これらのブロックを一体化する前に、電気的に接続し、相対的に位置付けし、所定の位置に維持するには、唯一の接続方向での唯一の運動だけで充分である。
【0014】
共にまたは別個に取り上げることのできる本発明の異なる実施形態によると、
- 前記電気的接続用手段は、各極について、雄コネクタで構成され、該雄コネクタが、測定用ブロックに属し、かつ処理用ブロックに属する雌コネクタ内に挿入されるようになり、したがって、2つのブロック間の電気的接続は、コネクタを介して行なわれる。2つのブロック間に有線連結は全く存在しない。
- 前記雄コネクタは、支持体によって維持された複数の導電性ピンを含み、各ピンは、前記支持体についての反対側にある2つの面から方向Xに沿って延在する2つの自由端部を有する。
- 前記測定用ブロックはケースにより画定され、各極について、
・ 2つの電気的有線出力端を有するロゴスキーコイルタイプの電流測定用センサと、
・ 2つの電気的有線出力端を有する変流器と、
を含み、センサおよび変流器の有線出力端は各々、支持体の同じ第1の面のレベルで雄コネクタのピンを中心にして巻きつけられ、さらに溶接され、雄コネクタはケース内に固定的に配置されている。したがって、雄コネクタ上のコードの接続は、測定用ブロックの組付けの際に実施され、処理用ブロックに対する測定用ブロックの接続よりも確実に前の工程で構成される作業である。
- 測定用ブロックのケースは、各極について、雄コネクタの受入れ用突出領域を含み、この領域内に雄コネクタが固定され、この領域は有線出力端の誘導および分離用手段を有する。
- 有線出力端の前記誘導および分離用手段は、雄コネクタの支持体の第1の面の両側に配置されピンに対して平行に延在する2つのパッドで構成されており、こうして2つの有線連結各々が1つのパッドを外向きに取囲んで2つの上部ピンに達し、2つの有線連結各々が1つのパッドを内向きに取囲んで2つの下部ピンに達するようになっており、このようにして、4つの有線連結のいずれも他の有線連結に接触できず、こうして、短絡のリスクはことごとく回避される。
- 処理用ブロックの雌コネクタは、第1の面とは反対側の雄コネクタの支持体の第2の面のレベルに嵌合によって接続されている。
- 前記機械的接続用手段は、方向Xに直交する2つの方向での並進運動の阻止を誘導する。こうして、2つのブロックが機械的に接続された場合、これらのブロックは、接続方向に直交する2方向にはもはや動くことができない。これらのブロックを分離するのは、唯一、方向Xに沿った逆並進運動を実施することによってのみ可能である。
- 前記機械的接続用手段は、蟻継ぎ連結で構成されている。
- 前記機械的接続用手段は、一方のブロックから延在し、他方のブロック内に設けられた開口部の中に挿入することのできる足状部で構成されている。
- 足状部は、自由端部により延長されている中央区分で構成され、該自由端部が中央区分よりも幅広であり、前記開口部は、一方のブロックの壁の周囲上でカットされた切込みに対応し、足状部の自由端部の幅よりも小さく足状部の中央区分の幅よりも大きい幅を有する底面を有する。
- 前記足状部はT字形の断面を有する。
- 前記足状部は処理用ブロックから延在し、測定用ブロック内に設けられた開口部内に挿入されるか、または逆であり、つまり、足状部は測定用ブロックから延在し、処理用ブロック内に設けられた開口部内に挿入される。
- 前記機械的接続用手段は、2つの隣接する極の間でブロック上に具備されている。
【0015】
本発明は、同様に、以上で説明された電子式引外し装置および切断用ブロックを含む、遮断器タイプの配線保護のための電気器具にも関する。
【0016】
本発明は、添付の概略的図面を参照して、純粋に例示を目的とした非限定的な例として示されている本発明の少なくとも1つの実施形態についての以下の詳細な説明の中において、より良く理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴および利点はより明確になるものであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る電子式引外し装置の電流測定用ブロックの第1の面を示す。
【
図2】
図1に係る電流測定用ブロックに属する雄コネクタの受入れ領域の拡大斜視図である。
【
図4】本発明に係る電子式引外し装置の電子的処理用ブロックを斜視図で表わす。
【
図5】本発明に係る電子式引外し装置の電流測定用ブロックの第2の面を斜視図で示す。
【
図6】各極のための導体および端子を伴う、本発明に係る電子式引外し装置の断面斜視図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の電子式引外し装置は、電流測定用ブロック1および電流の測定値の電子的処理用ブロック2で構成される。このような電子式引外し装置は、同様に切断用ブロックも含んでいる遮断器タイプの配線保護のための電気器具の中に統合される。
【0019】
図1を参照すると、電流測定用ブロック1はセンサ29を封入するケース6で構成される。
【0020】
提示された事例において、この測定用ブロック1は、同一の3つの区分3、4、5を有し、各区分が1つの極のために具備されていることから、三極の遮断器上で機能するように適応されている。
【0021】
各区分3、4、5は、ロゴスキーコイルで構成された電流測定用センサ29、および変流器9を格納する。
【0022】
センサ29および変流器9は、
図6を見ればより良く分かるように、同軸で配置された回転部品、より厳密にはトーラスで構成されている。
【0023】
これらは中央オリフィス10を有し、このオリフィスの内部に、電流を知りたい切断用ブロック(図示せず)由来の導体30が挿入される。
【0024】
センサ29は、特に
図2および3を見れば分かる2つの電気的有線出力端13、14を有するコードの螺旋形コイルで構成される。
【0025】
変流器9は、以下で説明していく処理用ブロック2の中に格納される電子基板33に給電するのに役立つ。この変流器9は、導体30を中心にして作られたコイルで構成され、2つの電気的有線出力端11、12を同様に有している。
【0026】
これら4つの有線出力端11、12、13、14は比較的脆弱で、短絡をことごとく回避するよう互いに接触してはならない。
【0027】
これら4つの有線出力端11、12、13、14は、専用に具備されケース6から突出する受入れ領域7内に収納された雄コネクタ8に接続されている。この領域7は、センサ29および変流器9の軸を通る横断平面内で、測定用ブロック1の各区分3、4、5上に中心を置き、センサ29および変流器9の有線出力端14、12が雄コネクタ8の右側に来て、センサ29および変流器9の有線出力端13、11が雄コネクタ8の左側に来るようになっている。したがってこの特定の配置により、有線出力端11、12、13、14を、右グループ12、14と左グループ11、13の2つのグループに分割することが可能になる。
【0028】
その後、右グループの2つの有線出力端12、14および左グループの2つの有線出力端11、13を分離するために、受入れ領域7には、雄コネクタ8の左右に位置する2つのパッド15、16が備わっている。こうして、右グループの2つの有線出力端12、14の一方12は、右のパッド16の外側を進行するように誘導され、一方、右グループの他方の有線出力端14は右のパッド16の内側で、すなわち右のパッド16と雄コネクタ8との間を進行する。
【0029】
対称的に、左グループの2つの有線出力端11、13の一方11は、左のパッド15の外側を進行するように誘導され、一方、左グループの他方の有線出力端13は、左のパッド15の内側で、すなわち左のパッド15と雄コネクタ8との間を進行する。
【0030】
具体的には、センサ29の有線出力端13、14は、右および左のパッド16、15の内側を進行し、一方、変流器9の有線出力端11、12は、右および左のパッド16、15の外側を進行する。
【0031】
このようにして、有線出力端11、12、13、14は全て、互いに分離されている。
【0032】
有線出力端はその後、雄コネクタ8に属するピン19、20、21、22の自由端部の周囲に各々巻きつけられる。この雄コネクタは、接続すべき4つの有線出力端11、12、13、14が存在するため、4つのピン19、20、21、22が備わっている。
【0033】
より厳密には、変流器9の2つの有線出力端11、12は、左右の2つの上部ピン19、20の周囲に巻きつけられ、一方、センサ29の2つの有線出力端13、14は、左右の2つの下部ピン21、22の周囲に巻きつけられる。
【0034】
巻きつけられた後に、有線出力端11、12、13、14は、公知の溶接技術によって、ピン19、20、21、22に溶接される。
【0035】
雄コネクタ8は、支持体35およびピン19、20、21、22で構成されている。ピン19、20、21、22は支持体35を貫通し、こうして各々、支持体35の両側に2つの自由端部を有する。
図1および2には、支持体35の第1の面17が見られ、支持体から4つのピン19、20、21、22が延在している。ひとたび電気的接続が実現されたならば、保護カバー34が、センサ29、変流器9および雄コネクタ8の支持体35の第1の面17ならびに4つの電気的接続を保護する形で区分3、4、5上に固定される。
図1において、右の区分5および左の区分3は、保護カバー34を備えており、一方、中央の区分4は、センサ29および雄コネクタ8の位置付けを例示する目的で、「露出」されており、したがって、保護カバー34が備わっていない。
【0036】
図5は、測定用ブロック1の裏側を表わす。この場合、雄コネクタ8の支持体35の第2の面18が見える。4つのピン19、20、21、22がこの第2の面18から延在している。周辺マスク24が、ピン19、20、21、22の方向に対し平行な方向に延在して雄コネクタ8を取囲み、こうして測定用ブロック1の輸送の際、および
図4に例示されているような電流測定値の電気的処理用ブロック2内の専用に設けられた雌コネクタ23内へのピン19、20、21、22の差込み接続の際にこれらのピンを保護する。
【0037】
処理用ブロック2は、測定用ブロック1の変流器29による給電を受け測定用ブロック1のセンサ9に由来する入力信号を処理する複数の電子基板33を封入するケース32で構成されている。処理用ブロック2は同様に、電子基板33が障害(過電流、短絡)を検出した場合にこの電子基板の指令に基づいて遮断器(図示せず)の主要ロックを引外すことのできる中間ロック28も含んでいる。
【0038】
この処理用ブロック2は、測定用ブロック1の雄コネクタ8に対面して配置された3つの雌コネクタ23を具備する。ケース32は、雄コネクタ8との接続のためにアクセスできる状態にしておくため雌コネクタ23のレベルで開口している。
【0039】
各雌コネクタ23は、4つのピン19、20、21、22を受入れることのできる4つの穴が中に設けられた支持体で構成されている。各雌コネクタ23は電子基板33に直接固定されており、したがってこの電子基板は、測定用ブロック1の対応するセンサ29に由来する電流測定値の情報を受取り、測定用ブロック1の対応する変流器9を介して給電を受ける。
【0040】
周辺マスク24はこうして、雄コネクタ8および雌コネクタ23の2つのコネクタの間の接合部を保護し、あらゆる粉塵の進入を防ぐことができる。
【0041】
したがって、2つのブロック1、2の電気的接続は、ブロック1、2の接続方向に対応する唯一の差込み接続方向Xにしたがって3つの雌コネクタ23内に3つの雄コネクタ8を差込み接続するだけで実施される。
【0042】
並行して、この差込み接続の際に、処理用ブロック2のケース32から延在する足状部25は、測定用ブロック1のケース6内に専用に具備された開口部36の中に挿入される。したがって2つのブロック1、2間のこの機械的接続も同様に方向Xにしたがって実施される。測定用ブロック1の2つの隣接する区分間には開口部36が具備され、2つの雌コネクタ23の間には足状部25が具備されている。したがって、提示された例においては、3極遮断器用の電子式引外し装置について、2つの足状部25と2つの開口部36が存在する。
【0043】
より厳密に言うと、各足状部25は、幅の小さい中央区分26を伴い幅の大きい端部27で終結するT字形の断面を有する。
【0044】
各開口部36は、測定用ブロック1のケース6内に周辺領域レベルで作られた切抜きで構成される。切抜き36は、大きい幅の第1の部分37でケース6の周辺から出発し、次により小さい幅、つまり中央区分26の幅をかろうじて上回るものの足状部25の端部27の幅をはるかに下回る幅の第2の部分38により延長されている。
【0045】
具体的には、足状部25の中央区分26は、まず切抜きの第1の部分38の中に挿入される。後者は、一方のブロックを他方のブロックとの関係において誘導してこれらのブロックをコネクタ8、23の差込み接続のための所定の位置に置くためにのみ役立つ。差込み接続の際に、足状部25の中央区分26は、切抜き36の第2の部分38の中に挿入され、ここでこの切抜きの幅は、足状部25の中央区分26の幅よりもかろうじて大きく、こうして、同様に雌コネクタ23の穴の中の雄コネクタ8のピン19、20、21、22の行程の終りに対応する切抜き36の底面39に到達して当接するまでわずかなあそびでこの切抜き36の中に足状部25が摺動できるようになっている。このとき、2つのブロック1、2は、唯一の接続方向Xにしたがって、オペレータによる唯一の動作で、電気的におよび機械的に同時に接続される。
【0046】
足状部25の中央区分26の幅との関係における開口部36の第2の部分37の寸法決定から見て、処理用ブロック2は、Xに直交する方向Yで阻止されている。
【0047】
足状部25の端部27の幅との関係における開口部36の第2の部分37の寸法決定から見て、処理用ブロック2は、Xに直交する方向Zにおいて阻止されている。
【0048】
異なる部品の幅は、方向Yとの関係において検知される。
【0049】
足状部25および開口部36は、蟻継ぎタイプの連結または他のあらゆるタイプの機械的連結によって充分置換可能であると考えられる。
【0050】
図6は、一方から他方に接続された、好ましくは一方を他方の中に嵌合させた2つのブロック1、2を例示している。電流を測定すべき導体30は、各々のセンサ29/変流器9アセンブリを横断し、接続用端子31の形で終結する。
【0051】
2つのブロック1、2は、遮断器の他の部分との組立ての際に、互いに対しより堅固に一体化される。
【0052】
遮断器の組立ての際に、測定用ブロック1を接点ブロック(図示せず)と結び付け、その後、最終的なケーシング内に全体を設置する前に、このサブアセンブリに処理用ブロック2を付加する。この設置は、接点ブロックの主要ロックと処理用ブロック2の中間ロック28の間の相互作用にとって重要である。この設置には2つの工程が含まれる。
【0053】
接点ブロック上に測定用ブロック1を固定した後、第1の工程は、接点ブロックの主要ロックの構造を構成する2つの側板の延長部分内に位置する2本のアーム付きフォークの中に処理用ブロック2を差込み接続することからなる。この差込み接続ができるように、処理用ブロック2には、
図4および6に例示されているように、中間ロック28の両側に配置されフォークの2本のアームが内部に進入する2つの補強材41が備わっている。
【0054】
第2の工程は、遮断器のベースを構成する最終的なケーシング内に接点ブロック/処理用ブロックサブアセンブリ2を挿入することからなる。そのために、最終的なケーシングから延在する2つのシリンダ上に、処理用ブロック2から延在する2つの耳状部40が差込み接続される。この差込み接続により、電子基板33との関係におけるセンサ9の接続不解除、すなわち雄コネクタ8および雌コネクタ23の接続不解除、ならびに中間ロック28との関係における主要ロックの接続不解除、すなわち補強材41との関係におけるフォークの接続不解除を保証することができる。
【0055】
以上の説明に関して、サイズ、形状、機能および作動様式、組立て様式および使用様式の変動を含めた本発明の諸部分についての最適な寸法上の関係は、当業者にとって明らかでかつ明白なものとみなされ、図面中に例示されたものおよび明細書中に記載されたものと等価の全ての関係が本発明中に含まれるものとみなされる。
【符号の説明】
【0056】
1 電流測定用ブロック
2 電気的処理用ブロック