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特許7022778キャビネット及びそのスライドレールキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】キャビネット及びそのスライドレールキット
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/90 20170101AFI20220210BHJP
【FI】
A47B88/90
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020065508
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021058568
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】108136501
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 石龍
(72)【発明者】
【氏名】許 丞毅
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09408462(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0095814(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0237166(US,A1)
【文献】中国実用新案第206596320(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
A47L 15/50
F27D 11/00
A21B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の壁及び第2の壁を含む機器本体であって、該第1の壁及び該第2の壁のうちの一方は第1のガイド経路を備え、該第1のガイド経路は前端、後端及び該前端と該後端との間のブロック部を有する、機器本体と、
支持レール、第1の停止部、第2の停止部及び該第1の停止部と該第2の停止部との間の止め具を含む第1のスライドレール機構であって、該止め具は操作されて該支持レールに対して第1の位置と第2の位置との間で動かされるように構成され、該止め具、該第1の停止部及び該第2の停止部は、前記第1のガイド経路を備える前記第1の壁及び前記第2の壁のうちの一方に対向する該第1のスライドレール機構の側面から同一方向に突出する、第1のスライドレール機構と、
を含むキャビネットであって、
前記止め具は、前記第1の位置にある場合に前記第1の停止部及び前記第2の停止部と実質的に同じ水平面上にあり、
前記止め具は、前記第2の位置にある場合に前記第1の停止部及び前記第2の停止部と同じ水平面上になく、
前記止め具は、前記第1の位置にある場合、前記支持レールが前記機器本体に対して第1の所定の位置から開方向に変位するのを防止するために、前記第1のガイド経路のブロック部によってブロックできる、キャビネット。
【請求項2】
前記第1のガイド経路のブロック部は第1の側及び第2の側を有し、前記止め具は、前記第1の位置にある場合に前記ブロック部の第1の側でブロックでき、前記止め具は、前記第2の位置にある場合に前記第1のガイド経路のブロック部によってブロックできないため、前記支持レールを前記機器本体に対して前記第1の所定の位置から前記開方向に変位できる、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
前記第1のスライドレール機構は、前記止め具を操作して前記止め具を前記支持レールに対して前記第1の位置から前記第2の位置に変位させるための操作部材をさらに含み、
前記第1のスライドレール機構は弾性部材をさらに含み、該弾性部材は、前記操作部材が該弾性部材の弾性力を介して前記止め具を前記第1の位置で維持できるように前記操作部材に弾性力を加える、請求項2に記載のキャビネット。
【請求項4】
前記第1の停止部は、前記支持レールが前記機器本体に対して前記第1の所定の位置から引っ込め方向に変位するのを防止するために、前記第1のガイド経路のブロック部の第2の側でブロックされ、請求項2に記載のキャビネット。
【請求項5】
記支持レールが前記機器本体に対して前記第1の所定の位置から前記開方向に変位された後で第2の所定の位置に到達した場合、前記第2の停止部は、前記支持レールが前記機器本体に対して前記第2の所定の位置から前記開方向に変位するのを防止するために、前記第1のガイド経路のブロック部の第1の側でブロックされ、
前記支持レールに力を加えて、前記支持レールを前記第1のガイド経路に対して所定の角度傾斜させることにより、前記第2の停止部は、前記第1のガイド経路のブロック部の第1の側でのブロックから解放されるため、前記支持レールを前記機器本体に対して前記第2の所定の位置から前記開方向に動かして取り外すことができる、請求項4に記載のキャビネット。
【請求項6】
前記第1のスライドレール機構は、前記支持レールに対して長手方向に変位可能な可動レールをさらに含み、該可動レールは物体を保持するように構成され、前記第1の壁及び前記第2の壁は前記第1の壁と前記第2の壁との間に該物体を受容するための空間を定義する、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項7】
前記第1の壁及び前記第2の壁のうちの他方は第2のガイド経路を備え、該第2のガイド経路は、前記第1のガイド経路と実質的に同じ構造構成を有し、
前記キャビネットは第2のスライドレール機構をさらに含み、該第2のスライドレール機構は前記第1のスライドレール機構と実質的に同じ構造構成を有し、
前記キャビネットは、前記第2のスライドレール機構と前記第1のスライドレール機構との間に接続される支持部材をさらに含む、請求項1に記載のキャビネット。
【請求項8】
支持レールと、
前記支持レールに接続されるとともに、第1の停止部、第2の停止部、該第1の停止部と該第2の停止部との間の止め具を含むブラケットであって、該止め具、該第1の停止部及び該第2の停止部は、該ブラケットの前記支持レールに接続される側の反対側に位置する該ブラケットの側面から同一方向に突出する、ブラケットと、
前記止め具に接続されるとともに、前記止め具を操作して前記止め具を第1の位置から第2の位置に変位させるために操作されるように構成された操作部材と、
弾性部材であって、該弾性部材は、前記操作部材が該弾性部材の弾性力を介して前記止め具を前記第1の位置に維持するために前記操作部材に弾性力を加える、弾性部材と、
を含むスライドレールキットであって、
前記止め具は、前記第1の位置にある場合に前記第1の停止部及び前記第2の停止部と実質的に同じ水平面上にあり、
前記止め具は、前記第2の位置にある場合に前記第1の停止部及び前記第2の停止部と同じ水平面上にない、スライドレールキット。
【請求項9】
前記ブラケットは位置制限部を有し、前記止め具は、該位置制限部によって定義される限定された移動範囲を有し、前記位置制限部は限られたスロット又は限られた長溝であり、前記ブラケットの両側を連通し、
前記止め具は、前記位置制限部の一部を貫通することで前記限定された移動範囲が確立される、請求項8に記載のスライドレールキット。
【請求項10】
前記操作部材は、前記止め具を駆動して変位させるために直線的に変位するように構成され、前記操作部材は本体部及び操作部を有し、前記止め具は該本体部に接続され、前記操作部材の操作部は前記ブラケットの上方に位置する、請求項8に記載のスライドレールキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャビネット及びそのスライドレールキットに関する。より具体的には、本発明は、容易に取り付け及び取り外しが可能なスライドレール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オーブンで使用するためのベーキングストーンラック(baking stone rack)が開示されている。このオーブンはキャビネットの一例として見ることができる。特許文献1の図8に示すように、ベーキングストーンラックの支持フレームは、オーブン内のガイドレールによって支持することができる。ベーキングストーンラックの支持フレームの2つの側部の各々は上向きの突起を含み、オーブン内のガイドレールは対応する下向きの突起を有する。上向きの突起は、ベーキングストーンラックをオーブン内に入れられた場合にベーキングストーンラックがオーブン内の適切な位置で止めるために下向きの突起と接触するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第8499944号明細書
【文献】米国特許第7216646号明細書
【文献】米国特許第6938617号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
市場の需要の多様性を考えた場合、上記のラックとは異なる製品を開発することには価値がある。
【0005】
本発明の一つの目的は、スライドレール機構を有するキャビネットを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、困難なく素早く取り付け及び取り外しが可能なスライドレールキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、キャビネットは機器本体(equipment body)及び第1のスライドレール機構を含む。機器本体は第1の壁及び第2の壁を含み、該第1の壁及び該第2の壁のうちの一方は第1のガイド経路を備える。該第1のガイド経路は前端、後端及び該前端と該後端との間のブロック部を有する。第1のスライドレール機構は支持レール及び止め具(stop)を含む。止め具は操作されて該支持レールに対して動かされるように構成されている。止め具は、第1の位置にある場合、支持レールが機器本体に対して第1の所定の位置から開方向に変位するのを防止するために、第1のガイド経路のブロック部によってブロックできる。
【0008】
止め具は第2の位置にある場合、第1のガイド経路のブロック部によってブロックできないため、支持レールを機器本体に対して第1の所定の位置から開方向に変位させることができることが好ましい。
【0009】
第1のスライドレール機構は、止め具を操作して止め具を支持レールに対して第1の位置から第2の位置に変位させるための操作部材をさらに含むことが好ましい。
【0010】
第1のスライドレール機構は弾性部材をさらに含むことが好ましく、該弾性部材は、操作部材が該弾性部材の弾性力を介して止め具を第1の位置で維持できるように操作部材に弾性力を加える。
【0011】
第1のスライドレール機構は支持レールに配置される第1の停止部をさらに含むことが好ましい。第1の停止部は、支持レールが機器本体に対して第1の所定の位置から引っ込め方向に変位するのを防止するために、第1のガイド経路のブロック部の第2の側でブロックされるように構成されている。
【0012】
第1のスライドレール機構は支持レールに配置される第2の停止部をさらに含むことが好ましい。支持レールが機器本体に対して第1の所定の位置から開方向に変位された後で第2の所定の位置に到達した場合、第2の停止部は、支持レールが機器本体に対して第2の所定の位置から開方向に変位するのを防止するために、ガイド経路のブロック部の第1の側でブロックされる。
【0013】
支持レールに力を加えて、支持レールを第1のガイド経路に対して所定の角度傾斜させることにより、第2の停止部は、第1のガイド経路のブロック部の第1の側でのブロックから解放されるため、支持レールを機器本体に対して第2の所定の位置から開方向に動かして取り外すことができることが好ましい。
【0014】
第1のスライドレール機構は、支持レールに対して長手方向に変位可能な可動レールをさらに含むことが好ましい。可動レールは物体を保持するように構成されている。第1の壁及び第2の壁は第1の壁と第2の壁との間に該物体を受容するための空間を定義することが好ましい。
【0015】
第1の壁及び第2の壁のうちの他方は第2のガイド経路を備え、該第2のガイド経路は、第1のガイド経路と実質的に同じ構造構成を有することが好ましい。キャビネットは第2のスライドレール機構をさらに含み、第2のスライドレール機構は第1のスライドレール機構と実質的に同じ構造構成を有することが好ましい。
【0016】
キャビネットは、第2のスライドレール機構と第1のスライドレール機構との間に接続される支持部材をさらに含むことが好ましい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、スライドレールキットは支持レール、ブラケット及び操作部材を含む。ブラケットは支持レールに接続されるとともに、第1の停止部、第2の停止部、該第1の停止部と該第2の停止部との間の止め具を含む。操作部材は止め具に接続されるとともに、止め具を操作して止め具を第1の位置から第2の位置に変位させるために操作できる。止め具は、第1の位置にある場合に第1の停止部及び第2の停止部と実質的に同じ水平面上にあり、第2の位置にある場合に第1の停止部及び第2の停止部と同じ水平面上にない。
【0018】
スライドレールキットは弾性部材をさらに含むことが好ましく、該弾性部材は、操作部材が該弾性部材の弾性力を介して止め具を第1の位置で維持するために操作部材に弾性力を加える。
【0019】
ブラケットは位置制限部を有し、止め具は、該位置制限部によって定義される限定された移動範囲を有することが好ましい。
【0020】
位置制限部は限られたスロット又は限られた長溝であり、ブラケットの両側を連通し、止め具は、位置制限部の一部を貫通することで限定された移動範囲が確立されることが好ましい。
【0021】
位置制限部の向きは支持レールの長手方向に実質的に垂直であることが好ましい。
【0022】
操作部材は、止め具を駆動して変位させるために直線的に変位するように構成されていることが好ましい。
【0023】
操作部材は本体部及び操作部を有することが好ましい。止め具は本体部に接続される。操作部材の操作部はブラケットの上方に位置する。
【0024】
スライドレールキットは可動レール及び中間レールをさらに含むことが好ましい。可動レールは支持レールに対して長手方向に変位できる。中間レールは可動レールを支持レールに対して変位させることができる距離の延ばすために可動レールと支持レールとの間に可動に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るキャビネットの斜視図であり、キャビネットに対して引っ込められた状態にある物体を示す。
図2図2は、本発明の実施形態に係るキャビネットの斜視図であり、キャビネットに対して伸長された状態にある物体を示す。
図3図3は、本発明の実施形態に係るキャビネットの内部の斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るキャビネット内のスライドレール機構の分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るキャビネットの2つの側部にそれぞれ設けられた2つのスライドレール機構を示す斜視図であり、各スライドレール機構の操作部材が対応する止め具を第1の位置に動かすために操作されている。
図5A図5A図5の丸で囲った領域の拡大図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るキャビネットの2つの側部にそれぞれ設けられた2つのスライドレール機構を示す斜視図であり、各スライドレール機構の操作部材が対応する止め具を第2の位置に動かすために操作されている。
図6A図6A図6の丸で囲った領域の拡大図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る、キャビネットに対して引っ込められた状態にある複数の物体を示す概略図である。
図8図8は、物体のうちの1つを保持するスライドレール機構の操作部材が、対応する止め具を第2の位置に変位させるために操作された状態を示す概略図である。
図9図9は、物体のうちの1つを保持するスライドレール機構の操作部材が、対応する止め具を第2の位置に変位させるために操作され、物体が第1の方向に変位された状態を示す概略図である。
図10図10は、前記物体が第1の方向にさらに変位された状態を示す概略図である。
図11図11は、前記物体が第2の所定の位置に到達し、対応するスライドレール機構に加えられた力により所定の角度傾斜されて、前記物体を第2の所定の位置から第1の方向に変位できるようにした状態を示す概略図である。
図12図12は、前記物体が所定の角度傾斜された状態で第1の方向に変位される状態を示す概略図である。
図13図13は、前記物体が、対応するスライドレール機構と共に機器本体から取り外された状態を示す概略図である。
図14図14は、前記物体が、対応するスライドレール機構と共に機器本体に再度取り付けられた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るキャビネット20は機器本体22及び第1のスライドレール機構24を含み、第2のスライドレール機構26も含むことが好ましい。本実施形態では、一例として、キャビネット20はオーブンであり、機器本体22はオーブンの筐体構造である。しかしながら、キャビネット20及び機器本体22の実施は、前記の構成に限定されない。
【0027】
機器本体22は第1の壁W1及び第2の壁W2を含む。第1の壁W1及び第2の壁W2は、機器本体22の対応する2つの側壁であることが好ましく、物体28を受け入れるために、第1の壁W1と第2の壁W2との間に空間Sが定義される。本実施形態では、物体28は、オーブンラック又はオーブントレイであり得るが、これらに限定されない。機器本体22は、上壁W3、底壁W4及び後壁W5をさらに含むことが好ましい。上壁W3は、第1の壁W1の上部と第2の壁W2の上部との間に接続される。底壁W4は、第1の壁W1の下部と第2の壁W2の下部との間に接続される。後壁W5は、第1の壁W1の後部と第2の壁W2の後部との間に接続される。第1の壁W1、第2の壁W2、上壁W3、底壁W4及び後壁W5は共に空間Sを定義する。
【0028】
第1のスライドレール機構24及び第2のスライドレール機構26は、実質的に同じ構造構成を有する。簡潔性のために、第1のスライドレール機構24のみを以下に説明する。第1のスライドレール機構24は支持レール30を含み、支持レール30に対して長手方向に変位可能な可動レール32も含むことが好ましい。支持レール30は、機器本体22の第1の壁W1に配置されている。可動レール32は物体28を保持するように構成されている。例えば、物体28は、取り付け部28aを介して可動レール32に接続されており(取り付け部28a及び可動レール32は単一のユニットとして見ることができる)、可動レール32を介して、第1のスライドレール機構24に対して機器本体22の空間Sから引き出すこと及び空間Sに引っ込めることができる。取り付け部28a及び可動レール32は、それぞれ第1の取り付け部位M1及び第2の取り付け部位M2を有する。第1の取り付け部位M1及び第2の取り付け部位M2は、例えば、着脱可能な方法で、例えば、着脱可能に互いに締結、係合又はネジ止めされることにより互いに接続されるように構成されている。ここでは、一例として、第1の取り付け部位M1及び第2の取り付け部位M2はそれぞれ突起及び孔(又は溝)であるか、またはその逆であり、互いに係合及び/又は締結されるように構成されている。しかしながら、2つの取り付け部の実施は前述の構成に限定されない。キャビネット20は、第2のスライドレール機構26(又はより具体的には、その支持レール30)及び第1のスライドレール機構24(又はより具体的には、その支持レール30)との間に接続される支持部材33をさらに含むことが好ましい。支持部材33は、例えば、第2のスライドレール機構26及び第1のスライドレール機構24を機器本体22に取り付ける際の安定性を高めるために又は第2のスライドレール機構26及び第1のスライドレール機構24の構造強度又は支持強度を改善するために用いることができる。
【0029】
機器本体22の上壁W3が省略される図2を参照して、物体28は、可動レール32を介して第1のスライドレール機構24に対して機器本体22の空間Sから引き出すことができる。第1のスライドレール機構24は、支持レール30に対して可動レール32を変位できる距離を延ばすために、可動レール32と支持レール30との間に可動に取り付けられる中間レール31をさらに含むことが好ましい。
【0030】
第1のスライドレール機構24、第2のスライドレール機構26及び物体28に加えて機器本体22の上壁W3が省略されいる図3を参照して、機器本体22の第1の壁W1及び第2の壁W2のうちの一方は複数の同一の且つ離隔した第1のガイド経路34を備え、第1の壁W1及び第2の壁W2のうちの他方は複数の同一の且つ離隔した第2のガイド経路36を備える。第2のガイド経路36のそれぞれは第1のガイド経路34のそれぞれと実質的に同じ構造構成を有する。ここでは、一例として、第1のガイド経路34は、第1の壁W1から第2の壁W2の方に突出する隆線であり、第2のガイド経路36は第2の壁W2から第1の壁W1の方に突出する隆線である。しかしながら、ガイドラインの実施は上記の構成に限定されない。第1のガイド経路34のそれぞれは、前端34a、後端34b及び前端34aと後端34bとの間のブロック部34cを有し、後端34bとブロック部34cとの間の長手支持区画34dも有することが好ましい。ブロック部34cは2つの側、すなわち第1の側L1及び第2の側L2を有する。第1のスライドレール機構24の支持レール30は、2つの隣接する第1のガイド経路34のうちの1つの長手支持区画34dによって支持することができるか又は2つの隣接する第1のガイド経路34の間に位置できる(同様に、第2のスライドレール機構26の支持レール30は、2つの隣接する第2のガイド経路36のうちの1つの長手支持区画34dにより支持することができるか又は2つの隣接する第2のガイド経路36の間に位置できる)。
【0031】
図4及び図5を参照して、第1のスライドレール機構24及び第2のスライドレール機構26は、物体28の両側部にそれぞれ設けられている。上述したように、第1のスライドレール機構24は第2のスライドレール機構26と実質的に同じ構造構成を有するため、以下の説明では簡略化のために第1のスライドレール機構24のみを対象とする。第1のスライドレール機構24は、支持レール30と、支持レール30に接続されるブラケット35とを含み、支持レール30及びブラケット35はスライドレールキットを構成する。ここでは、ブラケット35は、一例として、少なくとも1つの接続部材(例えば、第1の連結部材38a及び第2の連結部材38b)によって支持レール30に接続されている。代替的な実施形態では、ブラケット35は代わりに支持レール30と一体化され得る。そのため、支持レール30及びブラケット35は同じ構成要素として見ることができる。第1のスライドレール機構24は止め具Kmをさらに含む。止め具Kmはユーザーによって操作することができるため、第1のスライドレール機構24の支持レール30(又はブラケット35)に対して動かすことができる。
【0032】
第1のスライドレール機構24は、止め具Kmに接続され、操作されるように構成された操作部材42をさらに含むことが好ましい。例えば、操作部材42は、止め具Kmを駆動し変位させるために直線的に変位させることができる。
【0033】
支持レール30(又はブラケット35)は位置制限部41を有することが好ましい。この実施形態では、一例として、ブラケット35に位置制限部41が設けられ、位置制限部41は、ブラケット35の2つの側を連通する限られたスロット(又は限られた長溝)である。止め具Kmは、位置制限部41の一部を貫通するため、限定された範囲内でのみ動くことができる。位置制限部41の向きは、支持レール30の長手方向に対して実質的に垂直である。
【0034】
操作部材42は、本体部42aと、本体部42aに対して屈曲された(例えば、垂直に曲げられた)操作部42bとを有することが好ましい。止め具Kmは本体部42aに接続されている。操作部材42の操作部42bは、ユーザーによる操作を容易にするためにブラケット35の上方にある。
【0035】
第1のスライドレール機構24は操作部材42に弾性力を加えるための弾性部材43をさらに含むことが好ましい。操作部材42は、弾性部材43の弾性力により止め具Kmを第1の位置X1で保持できる。ここでは、弾性部材43は第1の弾性端43a及び第2の弾性端43bを有する。第1の弾性端43aは取り付け部材45によって支持レール30(又はブラケット35)に接続されるのに対して、第2の弾性端43bは、操作部材42に弾性荷重を加える。
【0036】
第1のスライドレール機構24は、支持レール30(又はブラケット35)に配置される第1の停止部K1及び第2の停止部K2をさらに含むことが好ましい。本実施形態では、一例として、第1の停止部K1及び第2の停止部K2の双方がブラケット35に配置されている。第1の停止部K1は支持レール30(又はブラケット35)の第1の端部E1(限定されないが前端部)に隣接し、第2の停止部K2は、支持レール30(又はブラケット35)の第2の端部E2(限定されないが後端部)に隣接する。止め具Kmは、第1の停止部K1と第2の停止部K2との間に位置する。
【0037】
図6を参照して、ユーザーは操作部材42の操作部42bに力Fを加えて止め具Kmを動かし、止め具Kmを支持レール30に対して第1の位置X1から第2の位置X2に変位させることができる。力Fが加えられる間、弾性部材43は弾性力を蓄積し、ユーザーが力Fを加えるのを止めると、操作部材42は、蓄積された弾性力が放たれることに対応して止め具Kmを第1位置X1に戻す。
【0038】
図7を参照して、複数の物体28を保持するために、複数の第1のスライドレール機構24及び複数の第2のスライドレール機構26(図示せず)を対で用いることができる。図7の上側の第1のスライドレール機構24(以下、簡略化のために第1のスライドレール機構24という)及び対応する第2のスライドレール機構26(図示せず)を例にとる(対応する第2のスライドレール機構26は第1のスライドレール機構24と実質的に同じ構造構成を有するため、第1のスライドレール機構24のみを以下で説明する)。第1のスライドレール機構24の支持レール30は、2つの隣接する第1のガイド経路34のうちの一方の長手支持区画34dによって支持され、支持レール30(又はブラケット35)は、2つの隣接する第1のガイド経路34の間にある。なお、代替的な実施形態において、機器本体22の第1の壁W1に複数の第1のガイド経路34ではなく、1つの第1のガイド経路34しか設けられていない場合、第1のスライドレール機構24の支持レール30は、機器本体22の第1の壁W1の1つの長手支持区画によっても同様に支持することができる。すなわち、この1つの長手支持区画は、上述した「隣接する2つの第1のガイド経路34のうちの1つの長手支持区画34d」の代わりにとして機能できる。したがって、本発明ではガイド経路の数は限定されていない。
【0039】
図7を引き続き参照して、より具体的には、第1のスライドレール機構24及び対応する第2のスライドレール機構26(図示せず)は、機器本体22に対して第1の所定の位置P1にあり、止め具Kmは第1の位置X1にある。第1の位置X1にある場合、止め具Kmは第1の停止部K1及び第2の停止部K2と実質的に同じ水平面H上にあるため、2つの隣接する第1のガイド経路34のうちの他方(以下、簡略化のために第1のガイド経路34という)のブロック部34cによってブロックされて、支持レール30が機器本体22に対して、第1の所定の位置P1から第1の方向D1(限定されないが開方向)に長手変位しないようにする。
【0040】
そして、支持レール30が機器本体22に対して第1の所定の位置P1から第1の方向D1に長手変位するのを防止するために、第1の位置X1にある止め具Kmが第1のガイド経路34のブロック部34cの第1の側L1でブロックされるのと同時に、支持レール30が機器本体22に対して第1の所定の位置P1から第1の方向D1とは反対の第2の方向D2(限定されないが引っ込め方向)に長手変位するのを防止するために第1の停止部K1が第1のガイド経路34のブロック部34cの第2の側L2でブロックされることが好ましい。
【0041】
図8及び図9を参照して、物体28を清掃若しくは洗浄するか又は第1のスライドレール機構24及び対応する第2のスライドレール機構26(図示せず)にメンテナンス作業を行うことが望ましい場合、ユーザーは第1のスライドレール機構24の操作部材42に力Fを加えて止め具Kmを操作して、止め具Kmを支持レール30に対して第1の位置X1から第2の位置X2に変位させることができる。第2の位置X2では、止め具Kmはもはや第1の停止部K1及び第2の停止部K2と同じ水平面H上になく、弾性部材43は弾性力蓄積状態にある。止め具Kmは、第2の位置X2にある場合は、第1のガイド経路34のブロック部34cの第1の側L1ではもはやブロックされていないため、支持レール30を機器本体22に対して第1の所定の位置P1から第1の方向D1に変位させることができる。
【0042】
図10を参照して、ユーザーが操作部材42に力Fを加えるのを止めると、弾性部材43が蓄積した弾性力を放つことに対応して操作部材42は止め具Kmを第1の位置X1に戻す。支持レール30が機器本体22に対して第1の所定の位置P1から第1の方向D1に変位された後で第2の所定の位置P2に到達すると、第2の停止部K2は、第1のガイド経路34のブロック部34cの第1の側L1でブロックされて、支持レール30が機器本体22に対して第2の所定の位置P2から第1の方向D1に変位するのを防止する。
【0043】
図11を参照して、支持レール30に力Jが加えられて支持レール30が第1のガイド経路34に対して角度R傾斜されている。この結果、第2の停止部K2は第1のガイド経路34のブロック部34cの第1の側L1でもはやブロックされていないため、支持レール30を機器本体22に対して第2の所定の位置P2から第1の方向D1に動かして取り外すことができる(図12及び図13参照)。そのため、第1のスライドレール機構24及び対応する第2のスライドレール機構26(図示せず)の両方は、物体28、第1のスライドレール機構24及び対応する第2のスライドレール機構26(図示せず)のメンテナンスを容易にするために、機器本体22から取り外すことができる。
【0044】
図14を参照して、物体28、第1のスライドレール機構24及び対応する第2のスライドレール機構26(図示せず)は、第2の停止部K2が第1のガイド経路34のブロック部34cの第2の側L2でブロックされるまで、第2の方向D2に沿って機器本体22の前記空間内に押し込んで再び取り付けることができる。そして、ユーザーは、(図12に示すように)支持レール30を第1のガイド経路34に対して角度R傾斜させるために力Jを再び加えて、第2の停止部K2が第1のガイド経路34のブロック部34cの第2の側L2でブロックされるのを解除して、支持レール30を機器本体22に対して第2の方向D2に引っ込めることができる。引っ込め工程の原理は、図11図10図9図8及び図7をこの順番で参照することによって理解することができるため、引っ込め工程の詳細な説明は簡略化のために省略する。
【0045】
上記から、前述の実施形態は以下の特徴を有することが好ましいことが分かる。
【0046】
1)従来技術のものとは異なり、止め具Kmは操作可能であるため、支持レール30に対して動かすことができる。操作部材42は、ユーザーが止め具Kmを操作するのを容易にし、止め具Kmを第1の位置X1から第2の位置X2に変位させることができる。
【0047】
2)止め具Kmが第1の位置X1にある場合、第1のガイド経路34のブロック部34cの第1の側L1でブロックして、支持レール30が機器本体22に対して第1の所定の位置P1から第1の方向D1に長手に変位するのを防止できる。他方、第1の停止部K1を第1のガイド経路34のブロック部34cの第2の側L2でブロックして、支持レール30が機器本体22に対して第1の所定の位置P1から第2の方向D2に長手に変位するのを防止できる。
【0048】
3)第2のスライドレール機構26と第1のスライドレール機構24との間に接続される支持部材33は、例えば、第2のスライドレール機構26及び第1のスライドレール機構24が機器本体22に取り付けられる安定性を高めるか又は第2のスライドレール機構26及び第1のスライドレール機構24の構造強度又は支持強度を改善することを意図している。
【0049】
4)スライドレールキットを様々なキャビネットに迅速に適用及び取り外しすることができる。
【0050】
上述した好ましい実施形態を通じて本発明を開示してきたが、実施形態は本発明の範囲を限定することを意図していない。出願人が求める特許保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図6A
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14