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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-09
(45)【発行日】2022-02-18
(54)【発明の名称】安全システム用のガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20220210BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20220210BHJP
   B01J 7/00 20060101ALN20220210BHJP
【FI】
B60R21/264
B23K20/12 G
B01J7/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020533073
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2017084561
(87)【国際公開番号】W WO2019120591
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】プリマ、ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ポジャン、ルドヴィク
(72)【発明者】
【氏名】コックス、マシュー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ケビン
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-064015(JP,U)
【文献】特開平11-091495(JP,A)
【文献】特開平09-207705(JP,A)
【文献】米国特許第04547342(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/264
B23K 20/12
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全システム用のガス発生器であって、
-ガスを生成する火工物質(6)と、
-第1の部分(1)と、
-第2の部分(2)と、
-第3の部分(3)と、
-前記第1の部分(1)、前記第2の部分(2)、前記第3の部分(3)とは別個の第4の部分(4)と、を備え、
前記第1の部分(1)及び前記第2の部分(2)が、前記第3の部分(3)に摩擦溶接されており、
前記第4の部分(4)が、
-前記第1の部分(1)を位置決めするための第1の位置決め接合面(41)と、
-前記第1及び第2の部分の前記第3の部分(3)への同時摩擦溶接動作を可能にするために、前記第1の部分と前記第2の部分との間の相対回転運動及び相対並進運動を阻害するように、前記第2の部分(2)を位置決めするための第2の位置決め接合面(42)と、を備え、
前記第1の位置決め接合面(41)及び前記第2の位置決め接合面(42)は、前記摩擦溶接動作中の前記第1の部分(1)の回転運動及び並進運動が前記第2の部分(2)を随伴するように配置されている、ガス発生器。
【請求項2】
-前記第1の部分(1)が、第1の溶接接合部(11)を備え、
-前記第2の部分(2)が、第2の溶接接合部(21)を備え、
前記第1の溶接接合部(11)と前記第2の溶接接合部(21)が対向しており、
前記第1及び第2の部分の前記第3の部分(3)への同時摩擦溶接動作の前の状態において、前記第2の溶接接合部(21)と前記第1の溶接接合部(11)との間に空間が形成される、請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記第1の位置決め接合面(41)及び前記第2の位置決め接合面(42)が、前記摩擦溶接動作の前の状態において、前記第1の部分と前記第2の部分との間の6つの自由度を一時的に阻害するように配置されている、請求項1又は2に記載の発生器。
【請求項4】
前記第1の部分(1)が、前記火工物質(6)を収容するチャンバであり、前記第2の部分(2)が、カバープレートであり、前記第3の部分(3)が、拡散体である、請求項1、2又は3に記載の発生器。
【請求項5】
前記第4の部分(4)が、前記ガス発生器の動作中に、前記火工物質(6)を保持するように配置された格子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の発生器。
【請求項6】
前記第1、第2、及び第4の部分が、底部及び側面を備えた筒状形態を有し、
前記第4の部分(4)の外側面の一部が、前記第1の部分(1)の内側面の一部に当接し、
前記第2の部分(2)の外側面の一部が、前記第4の部分(4)の内側面の一部に当接する、請求項1~5のいずれか一項に記載の発生器。
【請求項7】
前記第1の溶接接合部(11)は、前記第1の部分(1)の側面上縁部に形成され、
前記第2の溶接接合部(21)は、前記第2の部分(2)の側面上縁部に形成され、
前記摩擦溶接動作の前の状態において、前記第2の溶接接合部(21)における前記第2の部分(2)の厚さが、前記第1の溶接接合部(11)における前記第1の部分(1)の厚さの33%~66%である、請求項に記載の発生器。
【請求項8】
前記第2の溶接接合部(21)に外接する仮想円の直径が、前記第2の部分(2)の最大外接直径である、請求項に記載のガス発生器。
【請求項9】
前記第2の位置決め接合面(42)が、前記第4の部分(4)の側面(44)と底部(43)との間の接合部によって形成され、
前記第2の部分(2)の雌形態(22)が、前記第2の部分(2)の側面(27)と底部(26)との間の接合部によって形成される、請求項7又は8に記載のガス発生器。
【請求項10】
前記第4の部分(4)の前記第1の位置決め接合面(41)が、前記第1の部分(1)と接触する、請求項1~9のいずれか一項に記載のガス発生器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のガス発生器を備える、安全モジュール。
【請求項12】
請求項11に記載の安全モジュールを備える、車両。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のガス発生器を製造する方法であって、
-前記第1の位置決め接合面(41)を介して、前記第1の部分(1)上に前記第4の部分(4)を位置決めする動作と、
-前記第2の位置決め接合面(42)を介して、前記第4の部分(4)上に前記第2の部分(2)を位置決めする動作と、
-前記第1及び第2の部分の前記第3の部分(3)への同時摩擦溶接動作を実施する動作と、を含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、エアバッグなどの安全システム用のガス発生器に関し、より具体的には、その構成要素が慣性溶接などの摩擦溶接によって組み立てられるガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接プロセスに従って組み立てられた発生器は、先行技術から既知であり、国際公開第2017/103135号に記載されている。本文献では、第1の部分及び第2の部分を第3の部分に同時に溶接することを提案しており、第1の部分の溶接部及び第2の部分の溶接部は、互いに非常に近接している。溶接部のこの近接性は、場合によっては、漏れ気密性の程度の観点から溶接部の特定の特徴を低下させる場合がある。実際、溶接部は、互いに影響を及ぼすこと、又は隣接する溶接された部分を変形させることがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの目的は、前述の先行技術文献の欠点を解決することであり、具体的には、まず第1に、溶接部が改善されたガス発生器を提案することである。
【0004】
その目的のために、本発明の第1の態様は、安全システム用のガス発生器に関し、このガス発生器は、
-ガスを生成するように配置された少なくとも1つの火工物質と、
-第1の部分と、
-第2の部分と、
-第3の部分と、
-前の部分とは別個の第4の部分と、を備え、
第1の部分及び第2の部分が、第3の部分に摩擦溶接されており、
第4の部分が、
-第1の部分を用いて位置決めするための第1の接合面と、
-第1の部分及び第2の部分が第3の部分に同時に摩擦溶接されることを可能にするために、第1の部分と第2の部分との間の少なくとも1つの自由度を一時的に阻害するように、第2の部分を用いて位置決めするための第2の接合面と、を備える。
【0005】
摩擦溶接動作では、溶接軸に沿って力が加えられたときに、溶接軸に沿って互いに対して回転する2つの部分間の摩擦を用いて、2つの部分の接合面に熱を発生させて、それらが溶融することにより、2つの部分を組み立てる。
この目的のために、本出願では、第2の部分は、第4の部分を介して、第1の部分に対して(溶接動作まで)可逆的に位置決めされている。このサブアセンブリが形成されると、その後、摩擦溶接動作によって第3の部分に溶接される。したがって、第1の部分及び第2の部分は、同じ1回の溶接動作で第3の部分に同時に溶接される。溶接動作中に、第1の部分と第3の部分との間の接触部、及び第2の部分と第3の部分との間の接触部に、溶接ビードが発生する。
第4の部分は、摩擦溶接動作中に発生する溶接部の品質を改善するために、第1の部分に対する第2の部分の位置決めを改善することを可能にする。実際、第4の部分は、第1の部分と第2の部分との間の接触を制限するか、又は省略することさえ可能にする。これにより、溶接ビードを形成する際に溶接ビードのための余地を残すことを可能にする。
第1の部分と第2の部分との間の少なくとも1つの自由度を阻害することによって、第4の部分は、第1及び第2の位置決め接合面によって、第1の部分に対する第2の部分の少なくとも1つの並進を、典型的には摩擦溶接動作の溶接軸に沿って阻害する。第4の部分はまた、第1の部分に対する第2の部分の回転を、典型的には摩擦溶接動作の溶接軸を中心に、又はそれに沿って阻害することを可能にし得る。
少なくとも1つの自由度は、第1、第2、及び第4の部分が摩擦溶接動作の前にサブアセンブリを形成するときに、一時的に阻害される。1回の摩擦溶接動作は、一方では第1の部分と第3の部分との間の溶接であり、他方では第2の部分と第3の部分との間の溶接であり、これにより第2の部分の第1の部分に対する位置決めを確定する。
【0006】
第2の部分は、有利には、第1の部分に装着される。
【0007】
有利には、第1の位置決め接合面及び第2の位置決め接合面は、摩擦溶接動作中の第1の部分の回転運動又は並進運動が第2の部分を随伴するように配置されている。換言すれば、第4の部分は、第1の部分と第2の部分との間のいかなる相対的な回転運動及び/又は並進運動も回避することを可能にする。換言すれば、第2の部分は、第4の部分を介して、第1の部分によって随伴される。
【0008】
有利には:
-第1の部分は、第1の溶接接合面を備え、
-第2の部分は、第2の溶接接合面を備え、第1及び第2の部分の第3の部分への同時摩擦溶接動作の前に、第2の溶接接合面と第1の溶接接合面との間に空間が画定される。
【0009】
溶接接合面は、溶接動作によって物理的に影響を受ける部分の一部である。典型的には、摩擦溶接動作の場合、溶接接合面は、円筒形又は円柱形の、及び所定の厚さを有する部分の端部である。第1の部分の溶接接合面と第2の部分の溶接接合面との間の空間を確保することにより、第1の溶接接合面の溶接中に発生したビードと、第2の溶接接合面の溶接中に発生した別のビードとの間に現れ得る任意の干渉を回避することを可能にする。2つのビード間の接触、具体的には溶接開始時の接触は、溶接部の一方又は他方、具体的には溶接部の漏れ気密性を低下させる可能性がある。摩擦溶接によって提供される漏れ気密性により、水を避けて、火工物質を長期間(例えば、最大15年まで)保管することを保証することを可能にする。
【0010】
有利には、摩擦溶接動作の前に、第2の溶接接合面と第1の溶接接合面との間に画定される空間は、第2の溶接接合面における第2の部分の厚さと、第1の溶接接合面における第1の部分の厚さとの間にある。
【0011】
必要に応じた空間により、溶接ビードの形成に必要な空間を確保しながら、摩擦溶接動作中に放出される熱を最大限に利用することを可能にする。これは、溶接接合面における一方の部分の厚さが他方の部分の厚さと著しく異なる場合に特に有効である。
例えば、第2の溶接接合面における第2の部分の厚さが、第1の溶接接合面における第1の部分の厚さの33%~66%であるとき、及び/又は、第2の溶接接合面における第2の部分の厚さが、第2の溶接接合面に面する第3の部分の厚さの33%~66%であるときである。
実際、堅牢な溶接部を保証するために、溶接部において所与の温度に達することが必要であり、この温度は、特定の溶接パラメータ(回転速度、動作中に加えられる力など)を用いて到達される。2つの溶接された部分の間に厚さの差がある場合、困難なことは、薄い部分を劣化させる可能性のある高過ぎる温度に達することなく、厚い部分を十分に加熱することである。特許請求されるように、小さい空間は、第1の部分の第3の部分(最も厚い部分)への摩擦により発生した熱を、第2の部分(最も薄い部分)の第3の部分への溶接に使用することを可能にする。
【0012】
典型的には、1mm~3mmの空間を設けることができる。
【0013】
空間は、溶接軸に垂直な方向に沿ったそれぞれの溶接接合部における、第1の部分の内側と第2の部分の外側との間で測定される。換言すれば、空間は、第1の溶接接合面における第1の部分の内半径と、第2の溶接接合面における第2の部分の外半径との間の差に対応する。
【0014】
有利には、第1の位置決め接合面及び第2の位置決め接合面は、摩擦溶接動作の前に、第1の部分と第2の部分との間の6つの自由度を一時的に阻害するように配置されている。
【0015】
換言すれば、溶接動作の前に、第1の部分と第2の部分との間には接触はない。2つの部分の間の空間は、2つの部分の溶接ビードの形成中は自由である。これにより、堅牢な溶接を保証するために、第2の部分の最適な位置決めを確実にすることを可能にする。
【0016】
有利には、第1の部分は、火工物質を収容するチャンバであり、第2の部分は、カバープレートであり、第3の部分は、拡散体である。
【0017】
この実施形態によれば、カバープレートとチャンバとの間の直接漏れ気密性連結を伴わずに、カバープレートを用いて漏れ気密性方式でチャンバを閉鎖することを可能にする。
【0018】
有利には、第4の部分は、ガス発生器の動作中に、火工物質を保持するように配置された格子である。
【0019】
この実施形態では、第4の部分は、2つの機能、すなわち、溶接段階の前及び最中の第1の部分に対する第2の部分の位置決めをすることと、発生器の動作中に、火工物質を保持することと、を有する。したがって、発生器の構造は、それを形成する部分の数が限られているため、最適化される。
【0020】
有利には、摩擦溶接動作の前に、第2の溶接接合面における第2の部分の厚さは、第1の溶接接合面における第1の部分の厚さの33%~66%である。
【0021】
本発明は、異なる厚さを有する2つの部分を第3の部分に同時に溶接することを可能にする。これは、所定の圧力に従わなければならないカバープレートを用いて、火工物質の燃焼に耐えなければならないチャンバを閉鎖することを目的とする場合に特に有利である。
有利には、第2の溶接接合面における第2の部分の厚さは、第2の溶接接合面に面する第3の部分の厚さの33%~66%である。
有利には、第2の溶接接合面における第2の部分の厚さは、0.5~1mmであり、第1の溶接接合面における第1の部分の厚さは、1.3~3mmである。
【0022】
有利には、摩擦溶接動作の前に、第1の部分、第2の部分、及び第3の部分がサブアセンブリを形成するとき、第2の溶接接合面によって形成された第2の溶接平面は、第1の溶接接合面によって形成された第1の溶接平面からオフセットされ(若しくは、第1の溶接接合面の第1の溶接平面に、又はその下に配置される)、その結果、第1の部分が第3の部分に接触したときに、又は第1の部分が第3の部分に接触した後に優先的に、第2の部分が第3の部分に同時に接触する。
【0023】
これにより、摩擦溶接動作中の第2の溶接接合面の座屈のリスクを制限することを可能にする。
【0024】
有利には、第2の溶接接合面に外接する直径は、第2の部分の最大外接直径である。
【0025】
この実施形態によれば、第2の溶接接合面は、溶接動作中の変形、特に鍛造力を受けにくい。溶接中に溶接接合面が変形した場合、溶接ビードが正しく形成されず、溶接品質が低下するため、制御されていない変形は、有害である。換言すれば、第2の溶接接合面は、円柱部分の壁であり、その第1の折り目は、当該部分の回転軸に向かう折り目である。この部分の回転軸は、摩擦溶接動作中に溶接軸と組み合わされる。
【0026】
有利には、第4の部分を位置決めするための第1の接合面は、第1の部分との連続的な接触面を有する。
【0027】
連続的な接触面により、いかなる溶接突起(典型的には白熱シェービング)も第1の接合面に移動するのを防止することを可能にする。かかる突起は、火工物質が第1の部分の内側に装填されたときに、火工物質に点火し得る。
【0028】
有利には、第1及び第2の溶接接合面は、円筒形を有する。
【0029】
円筒溶接接合面、特に円柱溶接接合面は、摩擦溶接に特に適している。
【0030】
有利には:
第1、第2、及び第4の部分は、底部及び側面を備えたボウル形態を有し、
第4の部分の外側面の一部は、第1の部分の内側面の一部に当接し、第2の部分の外側面の一部は、第4の部分の内側面の一部に当接する。
【0031】
換言すれば、第2及び第4の部分は、第1の部分に含まれている。加えて、これにより、第1、第2、及び第4の部分のコンパクトな入れ子化が可能になる。
【0032】
有利には、第2の位置決め接合面は、第2の部分の雌形態に相補的な雄形態である。
【0033】
これらの形態は、一方の部分の他方に対する任意の相対的な回転を阻害するために、第2の部分の第4の部分との良好な噛み合わせを可能にする。
【0034】
有利には、ガス発生器は、第2の部分と第3の部分との間に位置決めされた第5の部分を備え、第2の部分の雌形態は、第5の部分を第3の部分に対して位置決めするように配置されている。
【0035】
第5の部分は、フィルタであってもよい。第2の部分は、特に第3の部分が拡散体であるときに、フィルタと第3の部分との間の空間の存在を保証することを可能にする。発生器の動作中のガスの流れを最適化する。
【0036】
有利には:
第2の位置決め接合面は、第4の部分の側面と底部との間の接合部によって形成され、
第2の部分の雌形態は、第2の部分の側面と底部との間の接合部によって形成される。
【0037】
このように形成された第2の部分は、雌形態が第2の部分の位置決めに関与することに加えて、第2の部分の側面と底部との接合部を補強することに関与するので、製造が容易であり、より単純であり、かつ強度が高いものとなる。第4の部分についても同様である。
【0038】
有利には:
第1の位置決め接合面は、第1の部分の雄形態に相補的な雌形態であり、
第1の位置決め接合面は、第4の部分の側面と底部との間の接合部によって形成され、
第1の部分の雄形態は、第1の部分の側面上に位置する。
【0039】
第4の部分が第1の部分の内側にあるとき、第1の部分の雄形態は、第1の部分の内側面上に位置する。
【0040】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるガス発生器を備える安全モジュールに関する。
【0041】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様によるガス発生器を備えるモータ車両に関する。
【0042】
本発明の最終的な態様は、第1の態様によるガス発生器を製造するためのプロセスに関し、このプロセスは、
-第1の部分上に第1の位置決め接合面を介して第4の部分を位置決めするステップと、
-第4の部分上に第2の位置決め接合面を介して第2の部分を位置決めするステップと、
-第1及び第2の部分の第3の部分への同時摩擦溶接動作を実施するステップと、を含む。
【0043】
換言すれば、製造プロセスは、サブアセンブリを第3の部分に溶接する前に、摩擦溶接動作までの間、第1、第2、及び第4の部分を可逆的に組み立てることにより、サブアセンブリを形成することを提案している。
【0044】
有利には、溶接動作は、
-溶接工具を用いて、第1の部分を保持するステップを含み、
第4の部分は、第1及び第2の位置決め接合面を介して、第1の部分に対する第2の部分のいかなる相対的な運動も回避することを可能にする。
【0045】
「いかなる運動も回避する」とは、漏れ気密性及び強度の基準が、ガス発生器の製造に必要な基準を満たさない溶接部を得ることを可能にしないであろういかなる運動も防止することを意味することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として提供され、添付の図面によって示される本発明の実施形態の以下の詳細な説明から、より明確に理解することができる。
図1】本発明による発生器の側面図を示す。
図2図1の発生器の特定の構成要素の分解等角図を示す。
図3a図1で画定されたA-A軸に沿った、摩擦溶接動作の前の図1の発生器の断面図を示す。
図3b】摩擦溶接動作後の図3aの発生器を示す。
図4図3aで画定されたB-B軸に沿った、図3aの発生器の断面図を示す。
図5図4で画定されたC-C軸に沿った、図4の発生器の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、一般に前面保護のために使用され、拡散体3を形成する第3の部分に溶接されたチャンバ1を形成する第1の部分を備える、円盤状のエアバッグ用のガス発生器を示す。拡散体3は、図示されていないエアバッグ内に、ガス発生器に収容されている火工物質6からの燃焼ガスを拡散させるために、拡散孔をその周辺に備える。
【0048】
チャンバ1の側面には、発生器の外側から視認可能な部分である、図3aに視認可能な雄形態12の変形部14を備える。
【0049】
図2は、等角図に従った組み立てられていないガス発生器の3つの構成要素、すなわち、チャンバ1、カバープレート2である第2の部分、及び格子4である第3の部分を示している。
【0050】
チャンバ1及び拡散体3は、火工物質の燃焼中に、発生器の動作圧に耐えなければならないため、最も厚い構成要素である。これは、1.3mm~3.5mmに延在する範囲内の厚さを提供することを可能にする。
【0051】
カバープレート2は、発生器の動作中に所定の圧力で破断するように配置された、より薄い区域である弱区域25を有する。カバープレート2は、動作圧力に耐える必要がないため、チャンバ1又は拡散体3よりも薄く、例えば、33~66%の薄さにすることができる。これは、0.3mm~1.2mmに延在する範囲内の厚さを提供することを可能にする。
【0052】
格子4は、チャンバ1を用いて41を位置決めするための第1の接合面と、カバープレート2を用いて42を位置決めするための第2の接合面と、を備える。この図では、格子4及びカバープレート2のボウル形態が明確に分かる。格子4は、底部43及び側面44を含み、一方、カバープレート2は、底部26及び側面27を備える。
【0053】
図3aは、図1で画定されたA-A軸に沿った、摩擦溶接動作の前の図1の発生器の断面図を示す。発生器は、電気による起爆剤7によって点火されたときに、ガスを生成するように画定された火工物質6を含む。起爆剤7は、オーバーモールディング8によってチャンバ1に漏れ気密性方式で接続されている。ガスは、エアバッグ内に拡散される前にフィルタ5によって冷却される。
【0054】
この溶接前の図は、火工物質6を収容するチャンバ1と格子4とで構成され、拡散体3に溶接される位置にあるカバープレート2によって閉鎖されたサブアセンブリを視覚化することを可能にする。このために、拡散体3は、溶接軸Sを中心に回転させられ、この回転運動の間、サブアセンブリは、拡散体3上に力Fで押圧される。
【0055】
この目的のために、チャンバ1は、第1の溶接平面111を画定する第1の溶接接合面11を備え、一方、カバープレート2は、第2の溶接平面211を画定する第2の溶接接合面21を備える。第2の溶接平面211は、第1の溶接平面の下に位置する、すなわち、第2の溶接平面211は、第1の溶接平面111によって閉鎖されたチャンバ1によって形成された容積の内側に含まれる。換言すれば、溶接動作中に力Fを加える間、第1の溶接平面111は、第2の溶接平面の前に拡散体3に接触する。典型的には、オフセットは、約0.5mm±0.25mmである。
【0056】
第1の位置決め接合面41は、溶接軸Sに垂直な方向に沿ってチャンバ1に対して格子4を位置決めし、また、チャンバ1内に格子4を位置決めすることも可能にする。
【0057】
図3bは、溶接動作後の図3aの発生器を示す。フィルタ5は、カバープレート2上及び拡散器3上の両方に接触している。
カバープレート2は、中空の雌形態24を備え、これにより、ガス発生器の動作中に火工物質6により生成されたガスの無制限の流れを確実にするために、フィルタ5を拡散体3に対して位置決めすること、特にフィルタと拡散体3の内面との間に半径方向の空間を保証することを可能にする。
【0058】
第1の溶接接合面11の一部は、チャンバ1と拡散体3との間の第1の溶接ビード13の形態で消失している。第2の溶接接合面21の一部は、カバープレート2と拡散体3との間の第2の溶接ビード23の形態で消失している。
【0059】
格子4は、第1の部分1の内面と連続的に接触している側面44を有する。これにより、第1の位置決め接合面41を介して、溶接粒子が火工物質に向かって突出するいかなるリスクも制限される。
【0060】
図4は、図3aで画定されたB-B軸に沿った、図3aの発生器の断面図を示す。格子4の第1及び第2の位置決め接合面は、より明確に視認可能である。
第1の接合面41は、格子の外側面上に位置決めされた雌形態である。この形態は、チャンバ1に対する溶接軸Sを中心とした格子4の任意の回転を回避するために、チャンバ1の内側壁上に形成された雄形態12に相補的である。この実施形態は、4つの第1の接合面41を備える。この数は、溶接動作に必要な力に応じて調整される。
【0061】
第2の接合面42は、格子の内側面上に位置決めされた雄形態である。この形態は、格子3に対する溶接軸Sを中心としたカバープレート2の任意の回転を回避するために、カバープレート2の外側壁上に形成された雌形態22に相補的である。この実施形態は、8つの第1の接合面42を備える。この数は、溶接動作に必要な力に応じて調整される。
【0062】
図5は、図4で画定されたC-C軸に沿った、図4の発生器の断面図を示す。これにより、特に雌形態22における第2の位置決め接合面42とカバープレート2との間の相互作用をより明確に視覚化することを可能にする。第2の位置決め接合面42は、溶接軸Sに垂直な方向に沿って格子4に対してカバープレート2を位置決めすることを可能にし、また、溶接軸Sに沿ってチャンバ1内にカバープレート2を位置決めもする。言い換えれば、第2の位置決め接合面42は、特に溶接動作中、カバープレート2の軸方向の停止部としての役割を果たす。したがって、第2の溶接接合面21は、溶接動作中の力Fの付加中に、特にカバープレート2の撓みにより変形する恐れはない。この実施形態では、溶接接合面は、溶接軸Sに沿って、その周辺部の70%超にわたって支持されている。これにより、溶接部の十分な漏れ気密性を確実にすることを可能にする。2013年4月の第2改訂版であるUSCAR-24規格など、自動車の安全性における現行の漏れ気密性仕様を溶接部が満たしていることを確認するために、ヘリウム漏れ試験を実施することを可能にする。例えば、全体が火工発生器の場合、1.10-4cm.atm-1.s-1未満のヘリウム漏れ率を有する燃焼チャンバは、漏れ気密性(最初は燃焼チャンバ内に100%のヘリウムを有する)があると考えることができる。
第2の溶接接合面21は、軸Sの円柱の壁である。壁に沿って存在する第1の折り目は、部分の内側に向かって、すなわち軸Sに向かう折り目である。したがって、第2の溶接接合面21に外接する直径は、カバープレート2の最大外接直径である。これにより、溶接動作中の溶接接合面21の撓みのリスクをなおも更に低減する。
【0063】
添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書に記載される本発明の異なる実施形態に対して当業者に明らかな様々な修正及び/又は改良を行うことができることが理解されよう。特に、第1の部分としてのチャンバ1、第2の部分としてのカバープレート、及び第3の部分として拡散体3を参照する。本発明は、摩擦溶接されるガス発生器の全ての他の部分に適用することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5