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特許7022880生物サンプル調製システムおよび関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】生物サンプル調製システムおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220214BHJP
   C12M 1/38 20060101ALI20220214BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20220214BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20220214BHJP
   C12Q 1/6848 20180101ALI20220214BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20220214BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/38 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6848 Z
G01N35/10 J
G01N35/10 E
G01N33/53 P
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019526613
(86)(22)【出願日】2016-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 IB2016001641
(87)【国際公開番号】W WO2018091938
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2019-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521567550
【氏名又は名称】モラレー リサーチ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ユァン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユァンジー
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,チャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】チン,ユー
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ゾンファ
(72)【発明者】
【氏名】ニエ,アイリーン,シャオ,ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,タオ
【審査官】白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第93/013400(WO,A2)
【文献】特表昭61-502078(JP,A)
【文献】特表2015-506710(JP,A)
【文献】米国特許第06734424(US,B2)
【文献】カナダ国特許出願公開第02698253(CA,A1)
【文献】特表2013-535193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物サンプル調製システム(100)であって、分析処理に使用される生物サンプルを調製し、
X軸およびY軸を有する実質的に水平の平面(47)を限定右側にサンプル領域(48)、左側に抽出ステージング領域(53)、中間部分に作業領域(49)を含む3つの部分に分割されているフレーム(46)を含み
前記サンプル領域(48)は、
移動可能に前記フレーム(46)に取り付けられ、前記サンプル領域(48)から前記作業領域(49)に向かって左方向に、前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に移動可能である、サンプルモジュール(1)からなり
前記抽出ステージング領域(53)は、
移動可能に前記フレーム(46)に取り付けられ、前記抽出ステージング領域(53)から前記作業領域(49)に向かって右方向に、前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に移動可能である、抽出モジュール(11)を含み
前記作業領域(49)は、
少なくとも第一のピペット(2a)を含み、移動可能に前記フレーム(46)に取り付けられ、操作中において実質的に前記水平の平面(47)に垂直の方向だけに移動可能である、ピペットアセンブリ(2)からなることを特徴とし、且つ、
前記サンプルモジュール(1)または前記抽出モジュール(11)のどちらか一方は、
前記作業領域(49)で前記ピペットアセンブリ(2)と垂直に整列して係合することができ、
それにより、前記サンプル調製システム(100)は、既存技術のサンプル調製システムに存在する交叉汚染につながる原因を減少または解消するために、過程に係る液体の単方向流動のために設計され、且つ、システムの使用中における部品の実質的に線形の運動を含む機械的運動のために配置されている、
システム(100)。
【請求項2】
前記サンプルモジュール(1)はサンプルベッド(51)を含み、前記サンプルベッド(51)はサンプルガイドレール(52)、サンプルホルダー(15)および前記サンプルレート(16)に取り付けられたサンプル容器(14)を有し、前記サンプルレート(16)は、前記フレーム(46)に対してサンプルガイドレール軸線(52a)に平行に移動できるように、移動可能に前記サンプルガイドレール(52)に取り付けられ、前記サンプルガイドレール軸線(52a)は前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に位置づけられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フレーム(46)は前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に位置づけられる作業レール(50)を含み、前記作業レール(50)は作業レール軸線(50a)を限定し、前記作業レール(50)は延伸して前記作業領域(49)を通って前記抽出ステージング領域(53)および前記サンプル領域(48)に入り、前記作業レール軸線(50a)は前記サンプルガイドレール軸線(52a)に対して実質的に垂直にかつ前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に位置づけられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記抽出モジュール(11)は抽出ベッド(54)、抽出ステーション(10)、ピペットチップモジュール(9)、緩衝液モジュール(8)および抽出支持部材(55)を含み、前記抽出支持部材(55)は、前記フレーム(46)に対して抽出レール軸線(56a)に平行に移動できるように、移動可能に抽出レール(56)に取り付けられ、前記抽出レール軸線(56a)は前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に位置づけられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フレーム(46)は前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に位置づけられる作業レール(50)を含み、前記作業レール(50)は作業レール軸線(50a)を限定し、前記作業レール(50)は延伸して前記作業領域(49)を通って前記抽出ステージング領域(53)および前記サンプル領域(48)に入り、前記作業レール軸線(50a)は前記抽出レール軸線(56a)に対して実質的に垂直にかつ前記水平の平面(47)に対して実質的に平行に位置づけられ、前記抽出ベッド(54)は移動可能に前記作業レール(50)に取り付けられている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記抽出ステーション(10)、前記ピペットチップモジュール(9)および前記緩衝液モジュール(8)は前記抽出支持部材(55)に取り付けられている、請求項4に記載のシス
テム。
【請求項7】
前記抽出ステーション(10)は廃棄物筐体(18)、廃棄物タンク(21)、磁気加熱モジュール(19)および抽出プレート(20)を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記磁気加熱モジュール(19)はコアプレート(31)、加熱プレート(33)、複数の加熱棒(34)および複数の電磁気コイル(35)を含み、前記コアプレート(31)は複数の管穴(31a)を含み、前記複数の管穴(31a)に複数の抽出管(22)が取り付けられている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の抽出管(22)は第一の抽出管(22a)を含み、前記第一の抽出管(22a)は頂部管端部(22b)および底部管端部(22c)を含み、各前記抽出管(22)にある流動阻害障壁(57)は前記底部管端部(22c)に近い、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記流動阻害障壁(57)は穴の開いた重合体膜(23)からなり、前記流動阻害障壁(57)は前記抽出管(22)における液体に大気圧または大気圧未満の圧力がかかる時、前記液体がその中を流れて通らないように、そして前記液体に大気圧超の所定の圧力がかかる時、前記液体がその中を流れて通るように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記流動阻害障壁(57)は微細穴(25a)を有する通気口障壁(25)からなる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記流動阻害障壁(57)は毛細管(26a)を有する通気障壁(26)からなる、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
さらに以下のものを含む、請求項1に記載のシステム:
複数の貯蔵ピペットチップモジュール(9a)を含み、前記複数の貯蔵ピペットチップモジュール(9a)は前記フレーム(46)によって支持され、前記抽出ステージング領域(53)が近くに位置する、貯蔵領域(58)。
【請求項14】
さらに以下のものを含む、請求項13に記載のシステム:
熱密封モジュール(6)を含み、前記熱密封モジュール(6)は前記フレーム(46)によって支持され、前記貯蔵領域(58)が近くに位置する、密封領域(59)。
【請求項15】
前記ピペットアセンブリ(2)はさらに第二のピペット(2b)、第三のピペット(2c)および第四のピペット(2d)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
実質的に水平の平面(47)を限定し、右側にサンプル領域(48)、左側に抽出ステージング領域(53)、中間部分に作業領域(49)を含む3つの部分に分割されているフレーム(46)を含むシステムで使用するための生物サンプル調製方法であって、以下の工程を含む方法:
-ピペットアセンブリ(2)の下にあるピペットチップモジュール(9)を備えた抽出モジュール(11)が前記作業領域(49)に移動すること、
-コントローラーによって前記ピペットアセンブリ(2)が下に移動することで、各ピペットがその端部で係合してピペットチップを収集すること、
-前記ピペットアセンブリ(2)が上に移動して前記ピペットチップモジュール(9)から離れること、
-抽出ベッド(54)が作業レール(50)で移動して前記抽出ステージング領域(53)に戻ること、
-サンプリングモジュール(1)が前記ピペットアセンブリ(2)の下方の前記作業レール(50)で前記作業領域(49)に移動することで、所定のサンプル容器(14)が前記ピペットアセンブリ(2)の下方に位置づけられること、
-前記ピペットアセンブリ(2)が適切な前記サンプル容器(14)に向かって垂直に移動することで、ピペットチップが前記サンプル容器(14)の中に位置づけられ、かつサンプルが前記サンプル容器(14)から各ピペットに抽出されること、
-前記ピペットアセンブリ(2)が前記コントローラーによって移動して前記サンプル容器(14)から離れ、サンプルが各ピペット(2a、2b、2c、2d)に保持されること、
-前記サンプリングモジュール(1)が移動して前記作業領域(49)から離れて前記サンプル領域(48)に戻ること、
-前記抽出モジュール(11)が前記抽出ステージング領域(53)から前記作業領域(49)に移動することで、抽出ステーション(10)が前記ピペットアセンブリ(2)の下方に位置づけられること、
-前記コントローラーによって前記ピペットアセンブリ(2)を抽出プレート(20)における適切な管槽(20a)および抽出管(22a)の上方に位置づけるように制御し、中の生物サンプルを有する反応混合物(27)が前記ピペット(2a、2b、2c、2d)から適切な抽出管(22)に移され、前記反応混合物(27)が流動阻害障壁(57)によって前記抽出管(22)に止められること、
-前記ピペットアセンブリ(2)が上に移動して適切な前記抽出管(22)を出すこと、
-前記抽出モジュール(11)が前記作業レール(50)で前記作業領域(49)から移動して前記抽出ステージング領域(53)に戻ること、
-前記生物サンプルに汚染された前記各ピペット(2a、2b、2c、2d)におけるチップを外して前記作業領域(49)の下方の廃棄チップ容器(17)に捨てること、および
-すべてのサンプルが前記抽出プレート(20)の前記各抽出管(22)に添加されるまで、上記工程を繰り返すこと。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
分析処理システムに使用される生物サンプルの調製は実質的に無菌の環境において複数種の生物サンプルを操作および処理することに関する。重要なのは、汚染がない状況においてサンプルを処理することで、そうでないと、結果が不正確で、影響を受け、そしてその後の分析処理および測定で偽陽性につながる。多くの分析処理システムおよび技術、たとえばポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)システムのためにサンプルを調製することができる。PCRは分子生物学に用いられる技術で、一つまたは複数のコピーの核酸断片(たとえばデオキシリボ核酸(「DNA」)またはリボ核酸(「RNA」))を数オーダーで増幅させ、数千から数百万のコピーの特定の配列を生成させるために使用される。PCRは、通常、簡単で安価なツールとされ、注目される核酸断片を増幅するために使用され、遺伝疾患の診断およびモニタリング、犯罪の鑑識(法医学の分野)、目的断片の機能およびほかの関連用途の研究に使用することができる。PCRは、分析処理技術またはシステムの一例で、本発明のサンプルシステムは分析処理システムで使用されるサンプルを調製することによってそれと協力する。好適なシステムによって調製されるサンプルが利用できる分析処理システムのもう一例は酵素結合免疫吸着測定(「ELISA」)で、抗原または抗体を検出するもので免疫学および毒理学に使用される。生物サンプルの純度はこれらの分析処理システムにとってその後の分析処理システムにおいて正確な結果を得るのに重要である。
【0002】
分析処理システム(たとえばPCR)に使用されるサンプルの調製の問題は、サンプルが調製されている時に増幅容器を開けると、調製プロセスは汚染される恐れがあることにある。蓋を外す時、増幅された検出・分析用反応物の一部を取り出すため、溢出、液滴の形成および/またはエアロゾルを生じさせてもよい。システムにピペットを導入または除去する時、汚染されたピペットに開いているサンプル容器の上方を移動させることで、交叉汚染が生じることもある。これによって液滴の空気中への拡散で実験室全体または設備に増幅産物が広がり、そして増幅されていないサンプルおよび試薬を汚染することがある。このような汚染はすぐに偽陽性の結果または間違った測定結果につながる。このような汚染は防止しなければならない。通常、サンプルの調製、増幅および検出のエリアの間の物理的隔離によってサンプル同士および周囲の環境からの汚染を抑える。このような措置は非常に煩雑で、高価で、かつ材料がこれらの隔離エリアの間で実験室用コート、手袋、ピペットまたは実験室用設備に移らないように厳格なトレーニングが必要である。
【0003】
図1を参照すると、既存技術の生物材料処理システムの一部に移動するピペットアセンブリ180が含まれ、ピペットアセンブリ180はいくつかの単独のピペット180a、180b、180c、180d、180e、180f、180g、180hを有する。ピペットアセンブリ180は移動可能なロボットフレーム181に取り付けられ、当該ロボットフレーム181はサンプルトレイ182に対して縦方向および横方向X、Yに移動可能で、サンプルトレイ182はサンプル管183を含み、サンプル管183に生物材料、たとえば全血、血清またはほかの核酸を増幅させるための生物材料を担持させることが好ましい。ピペット180a-180hはロボットフレーム181に対して垂直方向Zに移動可能であることも好ましい。操作中において、サンプリングのため、サンプルトレイ182は適切な位置に維持し、同時にロボットフレーム181はサンプルトレイ182に対して移動するようにする。通常、ピペット180a-180hがサンプル管183におけるサンプルと接触した後、ピペットアセンブリ180のサンプル管183の上方での数回の停止および起動はサンプル182におけるすべてのサンプルの大量の潜在的な汚染につながり、ロボットフレーム181がサンプル管183の上方で移動、起動、停止および振とうする時、交叉汚染の可能性が生じ、そして高価で正確な測定に失敗する。汚染されたピペット180a-180hがサンプルトレイ182の上方で潜在の振動負荷で移動、停止および起動する時、交叉汚染が生じるリスクを減少または解消することができるように、サンプル処理システムを設計、実施および配置することが望ましい。また、サンプル管183は、サンプル管183におけるサンプルおよびほかの材料(たとえば緩衝液)が頂部の開口を通して出入りする必要があり、これはさらに潜在の汚染問題を生じさせる。好適な本発明はピペットのサンプルの上方での移動を減少し、そしてその中の流体を単一方向に流させる管を使用することによって、既存技術の生物材料処理システムのこれらの欠陥を解決する。
【発明の概要】
【0004】
好適な発明は、生物サンプル調製システムであって、分析処理に使用されるサンプルを調製するシステムである。好適なサンプル調製システムは液相の生物分子を分離することができる。生物サンプルにおける生物分子、たとえばDNAまたはRNAを検出または定量するために、たとえば核酸を増幅させる、デジタルPCR方法を含むPCR方法によってサンプルを調製してもよい。また、ほかの処理、たとえば免疫測定(たとえば、ELISA、免疫蛍光測定)、核酸ハイブリダイゼーション、蛍光スペクトル、化学発光測定などによってペプチド、タンパク質、プラスミドまたは染色体DNA、mRNAまたはほかの興味のある生物分子を分離または分析するために、サンプルを調製してもよい。好適な生物サンプル調製システムは、実質的に水平の平面を限定するフレーム、ピペットを含むピペットアセンブリ、サンプルプレートを含むサンプルモジュールおよび抽出プレートを含む抽出モジュールを備える。ピペットアセンブリは移動可能にフレームに取り付けられ、かつ操作中において実質的に水平の平面に垂直の方向に移動可能である。サンプルモジュールは移動可能にフレームに取り付けられている。サンプルモジュールは少なくともピペットアセンブリと離間したサンプル領域およびピペットアセンブリに近い作業領域から水平の平面に対して実質的に平行に移動可能である。抽出モジュールは移動可能にフレームに取り付けられ、かつ少なくともピペットアセンブリおよび作業領域と離間した抽出ステージング領域(extraction staging area)から水平の平面に対して実質的に平行に移動可能である。
【0005】
もう一つの側面では、好適な発明は、分析処理に使用されるサンプルを調製する生物サンプル調製システムの抽出ステーションに関する。抽出ステーションは、筐体、筐体に固定された磁気加熱モジュール、第一の管穴に取り付けられた第一の抽出管および磁気ビーズ磁気加熱モジュールは、複数の管穴、加熱棒および電磁気コイルを有するコアプレートを含む。第一の抽出管は、開口頂部管端部および開口底部管端部を含む。第一の抽出管は、反応混合物が大気圧未満または大気圧の圧力において底部管端部を通らないように配置された流動阻害障壁を含む。電磁気コイルの第一の電磁気体は底部管端部の近くに位置する。磁気ビーズは第一の抽出管内に位置する。
【0006】
もう一つの側面では、好適な本発明は、生物サンプルを処理する方法であって、生物サンプルを本発明の実施形態による生物サンプル調製システムのサンプルプレートに適用し、そして生物サンプル調製システムにおいて生物サンプルを処理することによって加工されたサンプルを得ることを含む方法に関する。好ましくは、前記方法は、さらに、前記加工されたサンプルにおける生物分子を検出または定量することを含む。より好ましくは、前記方法は、さらに、PCR処理またはハイブリダイゼーション処理(たとえば、一つまたは複数の化学発光標識された核酸)によって前記加工されたサンプルにおける核酸(たとえば染色体DNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA、mRNA、microRNA、核酸バイオマーカーなど)を検出または定量するか、あるいは免疫測定(たとえば放射免疫測定、ELISA、免疫蛍光測定や化学発光免疫検出法)によって前記加工されたサンプルにおけるペプチドまたはタンパク質(たとえば抗体、抗原、タンパク質バイオマーカーなど)を検出または定量することを含む。
【0007】
図面と合わせて読むと、前記発明の内容および本発明の以下の詳細がより理解される。本発明の目的を説明するため、図面で現在好適な実施形態が示された。しかしながら、もちろん、本発明は示された精確な配置および装置に限定されない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、既存技術の生物サンプル調製システムの側面図である。
図2図2は、本発明の一つの好適な実施形態による生物サンプル調製システムの平面図である。
図3図3は、図2の調製システムのサンプル領域、作業領域、抽出ステージング領域、貯蔵領域および密封領域の拡大平面図である。
図4図4は、図3の好適な調製システムの一部の平面図である。
図5図5は、図3の調製システムのサンプル領域および関連部品の拡大平面図である。
図6図6A-6Fは、一連の正面図で、好適な調製システムの部品の図3の好適な調製システムの抽出ステージング領域、作業領域およびサンプル領域における移動を示す。
図7A図7Aは、図3の調製システムの抽出ステージング領域および関連部品の平面図である。
図7B図7Bは、図2の調製システムの抽出モジュールの一部分解平面図である。
図8図8Aは、図2の調製システムの第一の好適な抽出管の正面図である。図8Bは、図2の調製システムの第二の好適な抽出管の正面図である。図8Cは、図2の調製システムの第三の好適な抽出管の正面図である。
図9図9A-9Eは、図8Aの線9-9に沿って切断された図8Aの抽出管および図2の調製システムの処理工程に関連する関連部品の断面図である。
図10図10は、図2の調製システムの磁気加熱モジュールの分解平面図である。
図11図11は、図2の調製システムの廃棄物タンクの一部分解平面図である。
図12図12は、図2の調製システムの緩衝液モジュールの平面図である。
図13図13は、図12の緩衝液モジュールの緩衝溶液の平面図である。
図13A図13Aは、図13の線13A-13Aに沿って切断された図12の緩衝溶液の側面一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
便宜上、以下の説明では、いくつかの用語が使用されたが、限定するものではない。本明細書で具体的に説明されない限り、用語「一つ」、「1個」および「当該」は一つの要素に限らず、「少なくとも一つ」と理解されるべきである。用語「右」、「左」、「下」および「上」は参照の図面における方向を表す。用語「内側に」または「遠位に」および「外側に」または「近位に」はそれぞれ装置と設備およびその関連部分の幾何中心および配向に近づくか離れる方向を表す。用語は、以上に挙げられた単語、その派生語および似た意味の単語を含む。
【0010】
また、ここで使用される用語「約」、「およそ」、「一般的に」、「実質的に」および類似する用語は、本発明の部品のサイズまたは特徴に関するものである場合、当業者に理解されるように、記述されるサイズ/特徴は厳格な範囲またはパラメーターではなく、かつその機能的に同様か類似の微小な変化も含まれる。少なくとも、数値パラメーターを含むこのような参照は、本分野で許容される数学および工業的原理(たとえば、四捨五入、測量またはほかの系統的誤差、製作公差など)による変化を含み、最小有効数字が変わらない。
【0011】
図2-4を参照すると、好適な本発明は、生物サンプル調製システムに関し、通常、100と表記され、分析処理システム(たとえばPCRシステム)に使用される生物サンプルを調製するシステムである。システム100は、実質的に水平の平面47を限定するフレーム46を含み、フレーム46は好ましくは相対的に硬く、頑丈で滅菌可能な材料で構成され、システム100に構造的な支持を提供するように組み立てられる。フレーム46は、たとえばステンレスからなるものでもよいが、当該ステンレスはシステム100とともに使用できるように、生物的適合性を有し、かつ滅菌可能である。フレーム46は、ステンレス材料からなるものに限らず、フレーム46の全体のサイズおよび形状を呈し、かつ正常の操作条件に耐えることができる、ほとんどあらゆる相対的に硬く、頑丈な材料で構成されてもよい。
【0012】
フレーム46は好ましくは水平の平面47を限定し、水平の平面47は通常システム100に関連する地面(図面に示さず)に対して実質的に水平に配向されるが、これに限定されない。水平の平面47は好ましくは、システム100とともに使用される流体材料が調製中においてその関連容器に保持するように、実質的に水平で、これに関して下記でより詳しく説明する。フレーム46の特定の部分は、水平の平面47を参照せず、フレーム46およびフレーム46に位置づけられてフレーム46によって支持される関連部品によって水平の平面47を限定され、関連部品は特にフレーム46において移動可能な部品で、下記でより詳しく説明する。
【0013】
好適な調製システム100はピペットアセンブリ2を含み、好適な実施形態において、ピペットアセンブリ2は第一のピペット2a、第二のピペット2b、第三のピペット2cおよび第四のピペット2dを含む。ピペットアセンブリ2は移動可能にフレーム46に取り付けられている。好適な実施形態のフレーム46は垂直支持部材46aを含み、垂直支持部材46aはそれから伸びるピペット支持ブラケット46xを有する。垂直支持部材46aおよびピペット支持ブラケット46xは移動可能なピペットアセンブリ2をフレーム46のフレーム台46bの上方に支持する。ピペットアセンブリ2は、好適な実施形態において、操作中で実質的に水平の平面47に垂直の方向だけに移動可能か、実質的に垂直に移動可能である。ピペットアセンブリ2は、好適な実施形態において、ピペット支持ブラケット46x上で垂直に移動可能であることで、ピペットアセンブリ2の移動は実質的に垂直の移動または水平の平面47に実質的に垂直の移動に制限される。ピペットアセンブリ2のこの制限された実質的に垂直の移動は、ピペットアセンブリ2の移動を簡略化して実質的にピペットアセンブリ2の水平の停止および起動の移動をなくし、水平の停止および起動の移動は既存技術のシステムにおいてよく見られるサンプルの潜在の汚染になるものである。一つの好適な実施形態において、ピペットアセンブリ2に水平移動がないことで、サンプルが汚染される可能性が減少する。ピペットアセンブリ2に水平移動および垂直移動移動の両方があることで、ピペットアセンブリ2から汚染液滴を揺れ落とす可能性、またはこれらの移動過程で空気中に拡散する潜在の汚染物質が生じる可能性がある。
【0014】
当業者には、好適なピペットアセンブリ2の第一、第二、第三および第四のピペット2a、2b、2cおよび2dはサンプルの調製過程でサンプルを移動するために使用される。サンプル調製システム100は、第一、第二、第三および第四のピペット2a、2b、2c、2dを含むもの以外、第一のピペット2aだけで役割を果たしてもよく、あるいは本明細書に記載の前記4つの好適なピペット2a、2b、2c、2dよりも多い、たとえば八(8)つのピペットを含み、(当業者に理解されるように)好適に8×12穴の基材とともに使用してもよく、あるいはそれ以上のピペットを含んでもよい。サンプル調製システム100の操作中において、ピペットアセンブリ2およびピペット2a、2b、2c、2dの動作は好ましくはコントローラー(図面に示さず)によって遠隔制御される。
【0015】
図2-5に示すように、生物サンプル調製システム100は、さらに、サンプルプレート16を有するサンプルモジュール1を含む。一つの好適な実施形態において、サンプルモジュール1は移動可能にフレーム46に取り付けられ、具体的に、サンプルモジュール1は移動可能にフレーム台46bに取り付けられている。サンプルモジュール1は少なくともピペットアセンブリと離間したサンプル領域48およびピペットアセンブリ2に近い作業領域49にから水平の平面47に対して実質的に平行に移動可能である。好適なサンプルモジュール1は作業レール50に取り付けられ、作業レール50はフレーム46bに連結している。好適な作業レール50はサンプル領域48から延伸し、作業領域49を通って抽出ステージング領域53に入っている。作業レール50は好ましくはサンプルモジュール1がフレーム台46で横方向に移動することを許容する。当該移動は好ましくはサンプルモジュール1がフレームまたは作業レール50における実質的に線形の移動に制限される。サンプルモジュール1はフレーム台46bにおける作業レール50に限らず、代わりに、サンプル領域48と作業領域49の間で移動できるように、たとえばロボットアームやほかの移動機構によって、移動可能にフレーム46に取り付けてもよい。
【0016】
当該好適な実施形態において、サンプルモジュール1はサンプルガイドレール52が取り付けられたサンプルベッド51、サンプルホルダー15およびサンプルプレート16に取り付けられたサンプル容器14を含む。サンプルプレート16は好ましくはサンプルプレート16がフレーム46に対して実質的にサンプルガイドレール軸線52aに平行に移動するように、移動可能にサンプルガイドレール52に取り付けられている。サンプルガイドレール軸線52aは実質的に水平の平面47に対して平行するように位置づけられている。
【0017】
サンプルプレート16は好ましくはサンプルガイドレール軸線52に対して平行の実質的に線形の方向に移動するように、移動可能にサンプルガイドレール52におけるサンプルベッド51に取り付けられている。サンプルプレート16は、サンプルガイドレール52におけるサンプルベッド51に限らず、代わりに、ほかの機構(たとえば伝動ロールや滑車、ロボットアームやサンプル16がサンプルベッド51に対して移動させるほかの機構)によってサンプルベッド51に取り付けられてもよい。好適な実施形態におけるサンプルホルダー15は好ましくは八(8)つのサンプルホルダー15a、15b、15c、15d、15e、15f、15g、15hを含み、実質的にサンプルガイドレール軸線52aに対して平行に複数列に配置され、サンプルプレート16に対して単独に移動可能である。サンプルホルダー列15a-15hにおけるいずれもそれに取り付けられた少なくとも一つのサンプル容器14、好ましくは十二(12)のサンプル容器14を含む。サンプル調製システム100は、複数列に配置された八(8)つのサンプルホルダー15a-15hを含み、各列に十二(12)のサンプル容器14を有するものに限らず、それに取り付けられた単一のサンプル容器14を有する単一のサンプルホルダー15だけを含むものでもよく、あるいは好適な実施形態に示されたものよりも多いか少ないサンプルホルダー15a-15hおよび容器14を含むものでもよい。また、前記システム100は、二(2)つまたは八(8)つのサンプルホルダー15a-15hあるいは三百八十四(384)のサンプルホルダー15a-15hを操作するためのものに配置してもよく、同時に整列させる九十六(96)のサンプルを有する、四(4)つのサンプルモジュール1に配置してもよい。しかし、九十六(96)のサンプルがサンプリングモジュール1に関連するため、それぞれ関連する十二(12)のサンプル容器を有する八(8)つのサンプルホルダー15a-15hが好ましい。
【0018】
好適なサンプルホルダー15a-15hにおけるいずれも好ましくは使用中においてサンプルガイドレール軸線52aに対して平行に移動することによって、処理中において各サンプル容器14をスキャンおよび識別する。図5に示すように、たとえば、第一のサンプルホルダー列15aはサンプル台16に対して実質的に線形でサンプルガイドレール軸線52aに対して平行に移動することによって、ほかのサンプルプレート16におけるサンプルホルダー15b-15hから離れるように第一のサンプルホルダー15aを伸長させる。サンプルモジュール1は好ましくはサンプルプレート16に取り付けられたバーコードスキャナー12およびサンプルベッド51に取り付けられた電磁錠13を含む。第一のサンプルホルダー15aがほかのサンプルホルダー15b-15hから離れるように移動すると、バーコードスキャナー12は各サンプル容器14をスキャンして識別する。第一のサンプルホルダー15aが完全に伸長すると、電磁錠13は第一のサンプルホルダー15aを伸長した位置にロックする。第一のサンプルホルダー15aがサンプルガイドレール軸線52aに対して実質的に平行に垂直支持部材46aに向かって移動することによって完全に伸長した位置に伸長すると、バーコードスキャナー12は第一のサンプルホルダー15aにおけるサンプル容器14にあるバーコードを読み取る。ほかの第二から第八のサンプルホルダー15b-15hはそれぞれ同じように伸長してバーコードスキャナー12によってスキャンされて電磁錠13によって固定される。
【0019】
付属のサンプルホルダー15およびサンプル容器14を有するサンプルプレート16はフレーム46に対して移動することができ、具体的に、サンプルベッド51およびフレーム台46bに対してサンプルガイドレール52に向かう方向または垂直支持部材46aから離れる方向に移動することができる。サンプルプレート16のこのような移動は好ましくは水平の平面47およびサンプルガイドレール軸線52aに対して実質的に平行する。サンプルホルダー15、サンプル容器14およびサンプルベッド51はいずれも好ましくは垂直支持部材46aの前にある作業レール50で移動する。 サンプルベッド51のこのような移動は好ましくは水平の平面47および作業レール50によって限定される作業レール軸線50aに対して平行する。 これらの移動は、作業中においてサンプルホルダー14をサンプル領域48および作業領域49における複数の様々な位置に位置づけるようにさせ、これに関して下記でより詳しく説明する。
【0020】
図2、3、7Aおよび7Bを参照すると、サンプル調製システム100は、さらに、抽出モジュール11を含み、抽出モジュールは抽出プレート20を含む。抽出モジュール11は移動可能にフレーム46に取り付けられている。抽出モジュール11は少なくともピペットアセンブリ2と離間した抽出ステージング領域15およびピペットアセンブリ2に近い作業領域49から水平の平面47に対して実質的に平行に移動可能である。
【0021】
一つの好適な実施形態において、作業レール50はフレーム46における水平の平面47に対して実質的に平行に取り付けられている。一つの好適な実施形態において、作業レール50は作業レール軸線50aを限定し、作業レール軸線50aは実質的に水平の平面47に対して実質的に平行でサンプルガイドレール軸線52aに垂直である。作業レール50は延伸して作業領域49を通って抽出ステージング領域53およびサンプル領域48に入っている。
【0022】
図7Aおよび7Bを参照すると、抽出モジュール11は好ましくは作業レール50に取り付けられた抽出ベッド54および抽出ベッドに移動可能に取り付けられた抽出支持部材55を含む。 抽出モジュール11は、さらに、好ましくは抽出ステーション10、ピペットチップモジュール9および緩衝液モジュール8を含む。抽出支持部材55は、フレーム46に対して抽出レール軸線56aに平行に移動するように、移動可能に抽出レール56に取り付けられている。抽出レール軸線56aは実質的に水平の平面47およびサンプルガイドレール軸線52aに対して平行するように位置づけられている。
【0023】
作業レール50は作業レール軸線50aを限定し、かつ延伸して作業領域49を通って抽出ステージング領域53およびサンプル領域48に入っている。作業レール軸線50aは抽出レール軸線56aに対して実質的に垂直で水平の平面47に対して実質的に平行するように位置づけられている。抽出ベッド54は移動可能に作業レール50に取り付けられ、かつ抽出支持部材55は移動可能に抽出レール56における抽出ベッド54に取り付けられている。そのため、抽出ベッド54および抽出支持部材55はそれぞれ、選択的に抽出ステーション10、緩衝液モジュール8およびピペットチップモジュール9を抽出ステージング領域53および作業領域49の各位置に位置づけるように、作業レール50および抽出レール56に沿ってフレーム46で移動する。
【0024】
抽出モジュール11およびその各部材の作業領域49および抽出ステージング領域53における作業レール50および抽出レール56に沿う移動はそれぞれ各作業レール50および抽出レール56に沿って実質的に線形で、実質的に抽出モジュール11の抽出ベッド54および関連部材の移動を制御する。PCRシステムに関連する従来の機械的で三次元の移動に対し、これらの実質的に線形の移動は比較的に簡単である。
【0025】
抽出ベッド54の作業レール50における移動および抽出支持部材55の抽出レール56における移動は好ましくはコントローラー(図面に示さず)によって遠隔制御される。前記移動はコントローラーによる遠隔制御に限らず、ユーザーによるマニュアル制御またはコントローラーがない場合機械的な制御でもよい。しかし、コントローラーは好ましくは抽出ベッド54および抽出支持部材55の作業レール50および抽出レール56における精確な移動を調整するために使用される。また、コントローラーの使用は、サンプルベッド51と抽出ベッド54の間の移動が干渉されないように、サンプルベッド51および抽出ベッド54の作業レール50における移動を制御するため、そして処理過程において移動を調整するためのものも好ましいが、下記でより詳しく説明する。
【0026】
当該好適な実施形態において、抽出レール56は抽出レール軸線56aを限定し、かつ作業レール50は作業レール軸線50aを限定する。 作業レール軸線50aは抽出レール軸線56aに対して実質的に垂直で水平のフレーム47に対して実質的に平行するように位置づけられている。抽出ベッド54は移動可能に作業レール50に取り付けられている。
【0027】
抽出ステーション10、ピペットチップモジュール9および緩衝液モジュール8は好ましくは抽出支持部材55に取り付けられている。そのため、抽出支持部材55が抽出レール56で移動すると、抽出ステーション10、ピペットチップモジュール9および緩衝液モジュール8はフレーム46および抽出ベッド54に対して移動する。 PCRシステム100は、このような緩衝液モジュール8、ピペットモジュール9および抽出ステーション10を有する特定の配置に限らず、フレーム46に移動できるようにほかの手段によってフレーム46に取り付けられてもよい。
【0028】
図7B-10を参照すると、抽出ステーション10は好ましくは廃棄物筐体18、廃棄物タンク21、磁気加熱モジュール19および抽出プレート20を含む。磁気加熱モジュール19は好ましくは上コアプレート31および下コアプレート31、加熱プレート33、複数の加熱棒34および複数の電磁気コイル35を含む。コアプレート31に複数の管穴31aが含まれる。複数の抽出管22は組み立て構造によって複数の管穴31に取り付けられている。廃棄物筐体18および廃棄物タンク21は好ましくは構造的で、生物的適合性を有し、かつ高圧加熱に耐えられる材料(たとえばステンレス)で構成されるが、これに限定されず、廃棄物筐体18および廃棄物タンク21の全体のサイズおよび形状を呈し、かつ廃棄物筐体18および廃棄物タンク21の正常の操作条件に耐えることができる、あらゆる材料で構成されてもよい。好適な構造において、廃棄物タンク21は取り外し可能に廃棄物筐体18のタンク槽18aに取り付けられている。廃棄物タンク21は好ましくは摺動自在にタンク槽18aに出入りすることができるように摺動自在かつ取り外し可能に廃棄物筐体18に取り付けられている。廃棄物筐体18は、タンク槽18aおよび例示された取り外し可能な廃棄物タンク21を含むものに限らないが、このような構造は好適に廃棄物タンク21に蓄積した廃棄物を除去および廃棄するために使用される。
【0029】
抽出プレート20は好ましくはその中の管槽20aを含み、管槽20aは抽出管22を収納して抽出管22および組み立てられた構造を支持する。抽出プレート20は好ましくはサンプルホルダー15のサンプル容器14の8×12アレイに相応するように配置された九十六(96)の管槽20aを含む。抽出プレート20は、好適な九十六(96)の管槽20aを含むものに限らず、単一の抽出管20を収納する単一の管槽20aを含むものでもよく、または余分の抽出管22を収納する、九十六(96)の管槽20aよりも多い、たとえば上記三百八十四(384)の管槽20aを含むものでもよい。
【0030】
図10を参照すると、好適な実施形態において、磁気加熱モジュール19はコアプレート31、加熱プレート33、複数の加熱棒34および複数の電磁気コイル35を含む。コアプレート31はその中の複数の管穴31aを含み、複数の管穴31aは好ましくは抽出ステーション10の好適な管槽20およびサンプル容器14と同様の8×12アレイに構成されている。同じように、コアプレート31はそれぞれ九十六の管穴31aを含むものに限らず、それぞれ単一の抽出管22またはほとんどあらゆる数のほかの抽出管33を収納する単一の管穴31a、一対の管穴31aまたは好適な九十六(96)を超えるほかの管穴31aを含むものでもよい。組み立てられた構造において、複数の抽出管22は複数の管穴31aおよび管槽20aに取り付けられている。電磁気コイル35は使用中において各抽出管22に磁場を加えるように配置され、そして加熱プレート33および複数の加熱回路34は抽出管22およびその中の材料を所定の温度に加熱することによって処理するように配置される。
【0031】
図8A-8Cを参照すると、複数の抽出管22の第一の抽出管22a、22a'、22a"の第一、第二および第三の好適な実施形態はPCRシステム100とともに使用される。好適な実施形態の第一の抽出管22a、22a'、22a"は各複数の抽出管22の典型的な代表で、そして第一の抽出管22a、22a'、22a"で複数の抽出管22の詳細を説明する。第一、第二および第三の好適な第一の抽出管22a、22a'、22a"は類似する特徴を含み、かつここで類似する図面表記でその類似する特徴を識別し、ここで、プライム(')(prime symbol)は第二の好適な実施形態の第一の抽出管22a'を区別するためで、そしてダブルプライム(" )(double prime symbol)は第三の好適な実施形態の第一の抽出管22a"を区別するためである。第一、第二および第三の実施形態の第一の抽出管22a、22a'、22a"は頂部末端22b、22b'、22b"および底部末端22c、22c'、22c"を含む。流動阻害障壁57、57'、57"は底部末端22cに近い第一の抽出管22a22a'22a"の中に位置する。
【0032】
図8Aを参照すると、第一の好適な実施形態において、第一の抽出管22aは、頂部管端部22bに関連する頂部が単独に形成し、かつ底部管端部22cに関連する底部から取り付けられるように構成されている。底部管端部22cは通気管24に関連し、通気管24は上部カップ状部分24aおよび底部管端部22cに隣接する外側に向かって段々細くなる槽24bを有する。第一の好適な実施形態において、カップ状部分24aは穴の開いた重合体膜23を受けるように構成され、当該重合体膜23は一つの組み立て構造において第一の抽出管22aの上部と下部の間に挟んで固定されている。穴の開いた重合体膜23は反応混合物27が大気圧未満または大気圧の圧力において底部管端部22cを通らないように構成されている。そのため、反応混合物27が第一抽出管22aの上部に位置する場合、穴の開いた重合体膜23は反応混合物27が大気圧において外側に向かって細くなる槽24bから出てそして第一の抽出管22aから出ることを防止する。大気圧超の余分の圧力を反応混合物27の頂部に加えると、反応混合物27は穴の開いた重合体膜23を通って外側に向かって細くなる槽24bから出るようになる。第一の抽出管22aの上部と下部の間に取り付けられた穴の開いた重合体膜23は第一の好適な実施形態の流動阻害障壁57を限定する。当該流動阻害障壁は流体(特に廃液28)を第一の抽出管22aに留めるが、適切な力を廃液28に加えると、廃液28がその中を通るようになる。そのため、廃液28が頂部管端部22bから入って底部管端部22cから出ることで、廃液28を頂部管端部22bから取り出す必要およびこのような廃液28の抽出による隣接するサンプルの潜在汚染をなくす。穴の開いた重合体膜23はほとんどあらゆる、穴の開いた重合体膜23のサイズおよび形状を呈することができ、穴の開いた重合体膜23の正常の操作条件に耐えて穴の開いた重合体膜23の好適な機能を果たすことができる材料で構成されている。穴の開いた重合体膜23はラテックス材料、ゴム材料またはほかの類似する材料で構成されてもよい。
【0033】
図8Bを参照すると、第二の好適な実施形態において、第一の抽出管22a'は包括具有位于上部カップ状部分24a'の底部の中心に位置する微細穴25を有する通气管24'を含み、微細穴25は一体化して通气管24に形成している。第二の好適な実施形態の微細穴25および通气管24'は反応混合物27が大気圧未満または大気圧の圧力において流動阻害障壁57'を通らず、より大きい圧力が廃液28の頂部に加わると、廃液28が当該外側に向かって段々細くなる槽24b'を通るように設計して構成されている。
【0034】
図8Cを参照すると、第一の抽出管22a" の第三の好適な実施形態において、流動阻害障壁57"は底部管端部22c"で一体化して通气管24"に形成した毛細管26からなる。毛細管26は、類似的に、反応混合物27に大気圧または低い圧力がかかる時、反応混合物27が毛細管26を通らず、大气圧超の所定の圧力がかかる時、廃液28が毛細管26を通るように設計して構成されている。
【0035】
図8A-8Cを参照すると、好適な実施形態の第一の抽出管22a、22a'、22a"はツーピース構造に限らず、一体化して形成した一体化部品でもよく、あるいは様々な付加部品で組み立ててなるものでもよい。第一の抽出管22a、22a'、22a" は好ましくは生物的適合性を有し、滅菌可能な材料で構成され、当該材料は第一の抽出管22a、22a'、22a" の全体のサイズおよび形状を呈し、かつ第一の抽出管22a、22a'、22a"の正常の操作条件に耐えることができる。
【0036】
図2-4を参照すると、サンプル調製システム100は好ましくはフレーム46によって支持される抽出ステージング領域に隣接する貯蔵領域58を含む。貯蔵領域58は好ましくはその中の複数の貯蔵ピペットチップモジュール9aを含み、それもフレームによって支持される。
【0037】
好適なサンプル調製システム100はピペットアセンブリ2に隣接する垂直支持部材46aに取り付けられた治具4を有する貯蔵領域ロボットシステム5を含む。 貯蔵領域ロボットシステム5は好ましくは抽出ステージング領域53におけるフレーム46、貯蔵領域58および密封領域59に対して移動するように、移動可能に垂直支持部材46aに固定されたロボットレール5aに取り付けられている。治具4は好ましくは下に延伸するアーム4aを含み、アーム4aは緩衝液モジュール8、貯蔵ピペットチップモジュール9aおよびピペットチップモジュール9をリリース可能にキャッチおよびリリースするように移動可能で、これらおよびほかの部品を抽出ステージング領域53、貯蔵領域58および密封領域59に移動させ、そしてこれらの領域の間で移動するために使用される。サンプル調製システム100は緩衝液モジュール8、貯蔵ピペットチップモジュール9aおよびピペットチップモジュール9の移動に使用される治具4を有するロボットシステム5を含むものに限らず、これらの部品の代わりにマニュアルに移動させてもよく、代わりの機構またはシステムによって移動させてもよく、前記部品の生物サンプル調製システム100における所望の配置に使用される。
【0038】
熱密封モジュール6は好ましくは密封領域59に位置する。熱密封モジュール6は好ましくはフレーム46によって支持されて貯蔵領域58に隣接する。核酸を抽出および増幅した後、貯蔵または輸送がしやすいように密封機構60によって増幅されたサンプルを熱密封モジュール6に密封する。そのため、好適な実施形態において、サンプル調製システム100はサンプル領域48、作業領域49、抽出ステージング領域53、貯蔵領域58および密封領域59を含み、各部屋または領域に位置するのではなく、それぞれ同様の単一の占有スペース(footprint)を有するフレーム46によって支持される。フレーム46におけるこれらの領域のそれぞれの合併はサンプル調製システム100の占有スペースを減少して比較的に長い距離で関連部品を輸送する必要を減少し、当該輸送は潜在の汚染および処理の遅延につながる。
【0039】
図7Bおよび9B-9Dを参照すると、好適な実施形態において、好適なサンプル調製システム100を使用した処理の一部の過程において、磁気ビーズ29および反応混合物27は抽出管22にある。図9A-9Eで示された抽出管22は汎用の抽出管22で、上記のそれぞれ図7A-7Cで示された第一、第二または第三の好適な第一抽出管22a、22a'、22a"のうちのいずれを含んでもよい。抽出管22が抽出ステーション10における抽出プレート20の管槽20aに位置する場合、電磁気体30は抽出管22のその底部管端部22cに近い側面の近くに位置づけられる。電磁気コイル35に関連する電磁気体30に電気を流すと、磁場が生じ、当該磁場は磁気ビーズ29を電磁気体30に近い抽出管22の縁部または内側の表面に引っ張る。当該過程は核酸の増幅に使用され、下記でより詳しく説明する。磁気ビーズ29および電磁気体30のこのような使用は振動器ユニットの必要をなくし、当該振動器ユニットは既存技術のシステムで使用され、汚染になれる液滴または空気で拡散する顆粒につながる。
【0040】
図7Bおよび11を参照すると、サンプル調製システム100の廃棄物タンク21は好ましくは廃液タンク蓋36、排出部品37および廃液槽38を含む。廃液タンク蓋36、排出部品37および廃液槽38は好ましくはこれらの部品の全体のサイズおよび形状を呈し、かつ前記部品の正常の操作条件に耐えることができる、構造材料で構成されてもよい。前記部品は滅菌可能な材料の構成も好ましい。廃液タンク蓋36は好ましくは8×12アレイで配置された廃液穴36aを含み、管穴31aおよび管槽20aに相応するが、類似的にこのような構造に限定されない。廃液穴36aは廃棄物28に廃棄物タンク蓋36を通り、排出部品37を通って廃液槽38に入って処理されるようにさせる。
【0041】
図2、7Aおよび12-13Aを参照すると、好適な生物サンプル調製システム100は緩衝液モジュール8を含み、緩衝液モジュール8は通常抽出ステーションに10における抽出ステージング領域53に位置する。好適なサンプル調製システム100はまた好ましくは貯蔵緩衝液モジュール8aを含み、貯蔵緩衝液モジュール8aは抽出ステーション10に輸送しやすいように貯蔵領域58に位置づけられる。緩衝液モジュール8および貯蔵緩衝液モジュール8aは構造上実質的に同様である。緩衝液モジュール8は好ましくは緩衝筐体42、取り外し可能に緩衝筐体42に取り付けられた緩衝容器39、取り外し可能に緩衝筐体42に取り付けられたカートリッジ式容器41および取り外し可能にカートリッジ式容器41に取り付けられたカートリッジ40を含む。好適な緩衝容器39は下側の外表面にける緩衝溝34bおよび取り外し可能に開口の上端に取り付けられた跳ね除け蓋44を含む。緩衝筐体42は内部筐体溝42aを含む。カートリッジ式容器41は外表面における外部カートリッジ溝43aおよび上表面におけるカートリッジ穴41aを含み、カートリッジ穴41aはその中にあるカートリッジ41を支持し、カートリッジ40の上部はカートリッジ式容器41の外まで延伸している。筐体溝42aはカートリッジ溝43aおよび緩衝溝43bと合わせるように設計して配置されることで、緩衝容器39およびカートリッジ式容器41は緩衝筐体42における所定および特定の位置だけに位置づけられる。緩衝容器39およびカートリッジ式容器41を適切に緩衝筐体42に位置づけることによって、コントローラーは使用中において適切に緩衝液モジュール8を操作するようにさせ、下記でより詳しく説明する。また、緩衝容器39は好ましくは内部跳ね除け末端45を含む。
【0042】
図3、4および6A-6Fを参照すると、曝気ピペットモジュール3(aeration pipette module)は好ましくはフレーム46の垂直支持部材46aに取り付けられ、実質的に垂直に移動するか、または水平の平面47に対して実質的に垂直に移動するために使用される。好適な実施形態において、曝気ピペットモジュール3はピペットアセンブリ2に固定されてピペットアセンブリ2とともに移動する。曝気ピペットモジュール3はピペットアセンブリ2に限らず、単独で取り付けられてもよく、あるいはほかの手段によって抽出ステーション10と相互作用するように配置されてよいが、下記でより詳しく説明する。たとえば、曝気ピペットモジュール3は枢動自在にフレーム46に取り付けられてもよく、あるいはフレーム46に関連して上方で離間した、抽出ステーション10に隣接する位置に弧状運動するように配置されてもよい。
【0043】
図2を参照すると、好適な生物サンプル調製システム100はさらに隔離扉61aを有する隔離室61および処理室62を含み、サンプルがPCRシステムに使用される場合、隔離室61の近くに定性PCR(「qPCR」)室を含んでもよい。隔離室61および処理室62はいずれも好適にフレーム46によって支持される。隔離扉61は好ましくは選択的に隔離室を開閉できるように摺動自在にフレーム46に取り付けられる。隔離室61は好ましくは一方の密封領域59に隣接する箇所に位置づけられ、処理室62は隔離室61の反対側に位置づけられる。そのため、当該好適なサンプル調製システム100はフレーム46によって支持される単一の占有スペースにおけるサンプル領域48、作業領域49、抽出ステージング領域53、貯蔵領域58、密封領域59、隔離室および処理室62を含む。単一の占有スペースはサンプル調製システム100を統合し、既存技術のシステムは、PCR過程におけるこれらの領域をそれぞれ収納するには、互いに離間した複数の部屋が必要である。合併した占有スペースはサンプルの潜在汚染を減少し、好適なサンプル調製システム100において効率性を生じさせる。
【0044】
好適な生物サンプル調製システム100において、各領域を自動核酸抽出器「ANAEx」室63、隔離室61およびqPCR室62に分けてもよい。ANAEx室63は好ましくはサンプル領域48、作業領域49、抽出一時保存領域53、貯蔵領域58および密封領域59を含む。 これらの領域はそれぞれ単一の占有スペースのフレーム46に取り付けられることで、既存技術のシステムよりも占有スペースが減少し、既存技術のシステムは、複数の部屋が必要でこれらの領域の間に顕著な間隔がある。
【0045】
図2-5を参照すると、操作中において、好適なサンプル調製システム100はサンプリングモジュール1をサンプル領域48に位置づけることによって操作を設定する。各サンプル容器14に生物材料、たとえば全血、血清またはほかの核酸を増幅させるための材料が仕込まれている。サンプル容器14はサンプルホルダー15に位置づけられ、好ましくは前記の8×12アレイの配置で位置づけられる。サンプル容器14はそれぞれ好ましくはそれに取り付けられたバーコードを含む。サンプルベッド51はフレーム46の端部に移動して作業領域48(図4)に入り、サンプル容器14およびサンプルホルダー15のアレイはサンプルベッド51(図4)における作業領域48の前部に位置する。第一のサンプルホルダー15aが後ろに垂直支持部材46aに向かって移動することによって、バーコードスキャナー12は第一のサンプルホルダー15aにおけるサンプル容器14にあるバーコードをスキャンして情報を識別してコントローラーに送ることができる。第一のサンプルホルダー15aはコントローラーによって戻され、ほかのサンプルホルダー15a-15hと整列する。その後、サンプルベッド51は作業レール50で作業領域49に向かって横方向に移動することによって、第二のサンプルホルダー15bは電磁錠13と照準する。照準すると、第二のサンプルホルダー15bがコントローラーによって後ろに垂直支持部材46aおよび電磁錠13に向かって移動することによって、バーコードスキャナー12は第二のサンプルホルダー15bにおけるサンプル容器14にあるバーコードを読み取ることができる。完全に伸長した位置で、第二のサンプルホルダー15bは電磁錠13によってロックして位置につく。各サンプル容器14におけるバーコードのいずれもバーコードスキャナー12によってチェックされ、かつ情報を識別してコントローラーに送られるまで、この過程が繰り返される。
【0046】
図2-4、7Aおよび7Bを参照すると、抽出モジュール11は好ましくは抽出支持部材55の前部の角に取り付けられた抽出ステーション10が配置され、抽出支持部材55における抽出ステーション10に近いピペットチップモジュール9およびピペットチップモジュール9に対して抽出支持部材55の後部の角に取り付けられた緩衝液モジュール8に取り付けられる。抽出ベッド54は好ましくはコントローラーによって抽出ステージング領域53に位置づけられる。
【0047】
ピペットアセンブリ2および曝気ピペットモジュール3は好ましくは配向して作業領域49の上方に位置づけられることで、曝気チップ3a(aeration tip)および各ピペット2a、2b、2c、2dのチップはサンプル容器14、抽出管22および抽出モジュール11とサンプリングモジュール1のほかの部品の上表面の上方に離間して位置づけられる。
【0048】
貯蔵領域58は好ましくは複数の貯蔵緩衝液モジュール8aおよび貯蔵ピペットチップモジュール9aを含むように配置され、貯蔵領域ロボットシステム5によって操作されてもよく、抽出モジュール11における緩衝液モジュール8およびピペットチップモジュール9の交換に使用される。
【0049】
図2-7Bを参照すると、好適なサンプル調製システム100は当該過程に係る液体の単方向流動のために設計される。さらに、好適なサンプル調製システム100はシステムの使用中における部品の実質的に線形の運動を含む機械的運動のために配置される。このような単方向流動および部品の線形運動は、既存技術のサンプル調製システムに存在する交叉汚染につながる原因を減少または解消するためのものである。たとえば、ピペットアセンブリ2および曝気ピペットモジュール3は垂直支持部材46aおよびピペット支持ブラケット46xに取り付けられ、水平の平面47に垂直に実質的に垂直に移動する。さらに、サンプルベッド51および抽出ベッド54は作業レール50に沿って実質的に線形に移動するように構成され、それぞれサンプル領域48、作業領域49および抽出ステージング領域53の間で移動する。また、抽出支持部材55は抽出レール56で実質的に線形に移動するように構成され、かつサンプルプレート16はサンプルレール52で実質的に線形に移動するように構成される。また、各サンプルホルダー15a-15hはサンプルプレート16に対して一次元にまたは線形に移動するように配置され、バーコードスキャナー12によってバーコードを読み取る。これらの単方向または線形の移動におけるいずれも交叉汚染の潜在原因を減少または解消し、かつ重力の作用を利用して流体を好適な生物サンプル調製システム100に関連する抽出管22に留める。
【0050】
操作中において、サンプル容器14をスキャンした後、ピペットチップモジュール9はピペットアセンブリ2の下方で作業領域に移動する。ピペットチップアセンブリ2はコントローラーによって下に移動することで、各ピペット2a、2b、2c、2dはその端部で係合してピペットチップを収集する。その後、ピペットアセンブリ2は上に移動してピペットチップモジュール9から離れ、かつ抽出ベッド54は作業レール50で移動して抽出ステージング領域53に戻る。各ピペット2a、2b、2c、2dは好ましくは高精度の液位検出器が配置されている。その後、サンプリングモジュール1はピペットアセンブリ2の下方の作業レール50で作業領域49に移動することで、所定のサンプル容器14がピペットアセンブリ2の下方に位置づけられる。コントローラーはサンプリングモジュール1をピペットアセンブリ2の下方に配置することで、既知のサンプルを有する所定または既知のサンプル容器14がピペットアセンブリ2の下方に位置づけられてサンプリングに使用される(図6C)。ピペットアセンブリ2は適切なサンプル容器14に向かって垂直に移動することで、ピペットチップがサンプル容器14の中に位置づけられ、かつサンプルがサンプル容器14から各ピペット2a、2b、2c、2dに抽出される。その後、ピペットアセンブリ2はコントローラーによって移動してサンプル容器14から離れ、サンプルは各ピペット2a、2b、2c、2dに保持される。ピペットアセンブリ2のサンプル容器4に対する線形でほぼ垂直の移動はサンプルを移す間の機械的振動およびピペットアセンブリ2の容器14の上の移動を制限することで、一部のサンプルが不意に違うサンプル容器14に落ちて潜在の交叉汚染につながることが減少する。その後、サンプリングモジュール1は移動して作業領域49から離れてサンプル領域48に戻る。
【0051】
図6A-7Bを参照すると、その後、抽出モジュール11を抽出ステージング領域53から作業領域49に移動させることで、抽出ステーション10がピペットアセンブリ2の下方に位置づけられる。コントローラーはピペットアセンブリ2を抽出プレート20における適切な管槽20aおよび抽出管22aの上方に位置づけるように制御する。中に生物サンプルを有する反応混合物27をピペット2a、2b、2c、2dから適切な抽出管22に移す。反応混合物27は流動阻害障壁57によって抽出管22に止められる(図9A)。その後、ピペットアセンブリ2は上に移動して適切な抽出管22を出し、かつ抽出モジュール11は作業レール50で作業領域49から移動して抽出ステージング領域53に戻る(図6D)。生物サンプルに汚染された各ピペット2A、2B、2C、2Dにおけるチップ(tips)を外して作業領域49の下方の廃棄チップ容器17に捨てる。すべてのサンプルが抽出プレート20の各抽出管に添加されるまで、上記工程が繰り返された。
【0052】
図2-6Fを参照すると、その後、加わったサンプルを緩衝液に置く。初期位置(図6A)から、抽出モジュール11は抽出ステージング領域53から作業領域49に移動し、このようにピペットチップモジュール9がピペットアセンブリ2の下方に位置づけられる。ピペットアセンブリ2はコントローラーによって下に移動することで、各ピペット2a、2b、2c、2dはそれに固定されたピペットチップモジュール9のチップと係合し、その後ピペットアセンブリ2はコントローラーによってガイドされて移動してピペットチップモジュール9から離れる。抽出モジュール11は作業領域49を移動することで、緩衝液モジュール8はピペットアセンブリ2の下方を移動し、かつピペットチップアセンブリ2は下に緩衝液モジュール8に向かって移動する。緩衝液、好ましくは分解緩衝液は、各ピペット2a、2b、2c、2dによって緩衝液モジュール8から吸い出され、かつピペットアセンブリ2は移動して緩衝液モジュール8から離れる。抽出管22にある生物材料を有する抽出ステーション10はピペットアセンブリ2の下方を移動し、かつ緩衝液は各抽出管22に、好ましくは8×12アレイにおける前記九十六(96)の抽出管にそれぞれ導入される。その後、抽出モジュール11を作業領域49から出し、抽出ステージング領域53に入る。その後、ピペットアセンブリ2における緩衝過程に使用されたチップ外して作業領域49の下方の廃棄チップ容器17に捨てる。緩衝液が抽出ステーション10における各抽出管22に添加されるまで、これらの工程が繰り返された。
【0053】
その後、抽出モジュール11を抽出ステージング領域53から作業領域49に戻すことで、ピペットモジュール9がピペットアセンブリ2の下方に位置づけられる。ピペットアセンブリ2は下にピペットチップモジュール9に向かって移動することで、新しいピペットチップと係合し、その後移動してピペットチップモジュール9から離れる。 その後、緩衝容器39における一つはピペットアセンブリ2の下方を移動し、緩衝液を吸い取って抽出モジュール1を作業領域49から抽出ステージング領域53に移動させることによって緩衝溶液39をその初期位置に戻す。その後、抽出ステーション10にピペットアセンブリ2の下方を移動させ、かつ磁気ビーズを有する吸い出された緩衝液が生物材料を有する抽出管22に添加される。抽出モジュール11は作業領域49から抽出ステージング領域53に移動し、かつ各ピペット2a、2b、2c、2dにおけるチップが外されて作業領域49の下方の廃棄チップ容器17に出される。緩衝液が生物材料を有する各抽出管22に添加されるまで、これらの工程が繰り返された。
【0054】
図7A-10を参照すると、その後、磁気ビーズ29または反応混合物27を有する緩衝液サンプルは加熱プレート33および加熱棒34によって加熱される。特定の過程において、混合物を所定の温度、好ましくは25~80℃の間に加熱し、かつ約5~30分間インキュベートする。電磁気体30で抽出管22に交互の磁場を加えることによって、同時におよび/またはその後、磁気ビーズ29で反応混合物27を撹拌する。具体的に、交流電流を電磁気体30に加えることによって、各抽出管22に交互の磁場を加え、かつ磁気ビーズ29を抽出管22内で撹拌または回転させる。当該過程は通常のサンプル調製処理と逆で、通常のサンプル調製処理で管または管を保持するプレートは機械的振動、スピンまたは回転によって反応混合物27が撹拌される。既存技術の方法は振動器を含むことがあり、汚染されたサンプル液滴が生じて空気に拡散するため、望ましくない。磁化の過程において、適切な核酸、タンパク質またはほかの材料が磁気ビーズ29に吸着して磁気ビーズ29の外表面に捕獲される。外表面に捕獲された適切な核酸またはほかの材料を有する磁気ビーズ29は電磁気体30によって抽出管22の側面に吸着する(図9B)。加熱、混合および磁化の後、反応混合物27が廃液28に変わり、増幅された核酸またはほかの材料が磁気ビーズ29の外表面に付着している。よって、増幅された核酸から廃液28を抽出する。
【0055】
図6Fおよび9B-9Eを参照すると、その後、抽出ステーション10は曝気ピペットモジュール3の下方を移動する。曝気ピペットモジュール3が下に移動することで、曝気チップ3aは適切な抽出管22の開口頂部管端部22bに位置づけられる。曝気ピペットモジュール3が下に移動して抽出管22の頂部管端部22bに接触すると、曝気チップ3aに関連する曝気蓋3bは好ましくは頂部管端部22bを密封する。加圧ガスを曝気チップ3aを介して抽出管22に導入することによって、廃液28に大気圧超の所定の圧力を加え、かつ廃液28は流動阻害障壁57を通って廃液タンク21に入るようにさせられる。廃液28に流動阻害障壁57を通らせることによって、廃液28を抽出管22の頂部から出す必要がなくなり、それは既存技術のシステムでよく見られ、かつ隣接する抽出管22におけるサンプルの潜在汚染が減少する。廃液28が底部管端部22Cから廃棄物タンク21に排出された時、それに付着した核酸またはほかの材料を有する磁気ビーズ29は抽出管22に留められる。その後、コントローラーによって上に抽出管22に接触しないように曝気ピペットモジュール3を移動させる。ユーザーの必要によって、あるいは適切に核酸の特定の増幅に使用するため、抽出管22に余分の緩衝液または洗浄緩衝液を添加し、加熱し、磁化し、回転させて廃液28を排出することによって、これらの工程を何回か繰り返すことができる。
【0056】
新しい緩衝液チップをピペットアセンブリ2に装着し、そして溶離緩衝液を各抽出管22に仕込む。緩衝液は加熱プレート33および加熱棒34で加熱し、好ましくは約10分間加熱し、そして磁気ビーズ29に磁場を加えて混合物を撹拌する。ビーズ29を抽出管22の壁に磁化し、そしてビーズ29から精製された核酸を溶離させる。
【0057】
その後、ロボットシステム5によって関連する抽出管22を有する九十六(96)穴抽出プレート20で調製されたサンプルを密封領域59に移動させる。熱密封モジュール6は輸送の間、分析処理の間およびサンプル処理後に穴から漏れないように強固に密封される。適切な隔離扉61aを開けることによって密封された抽出プレート20を隔離室61に移す。空気が密封領域59と隔離室61の間で流れないように室を連結する空気の圧力を維持する。密封された抽出プレート20は隔離室61に輸送されて適切な隔離扉61aがすぐに閉められる。隔離室61における空気はポンプで送られて高効率微粒子空気(「HEPA」)フィルターを通ることで、望ましくない空気拡散分子を除去する。密封された抽出プレート20は浄化されて向かいの隔離扉61aを開けることによって抽出プレート20を処理室62に移す。隔離室61と処理室62の間の気流を制限または防止するために、隔離室61と処理室62を連結する空気の圧力を維持する。汚染が除去されて密封された抽出プレート20は処理室62に輸送されて隔離扉61aがすぐに閉められる。
【0058】
上記のように、ピペットアセンブリ2、サンプリングモジュール1および抽出モジュール11は続いてさらに操作される場合、当該過程はつづけることができる。当該過程、特に抽出管22における単方向の液体流動およびほかの関連部品の単方向または実質的に線形の移動、たとえば抽出モジュール11の作業レール50における移動、サンプリングモジュール1の作業レール50における移動、抽出支持部材55の抽出レール56における移動、サンプルプレート16のサンプルガイドレール52における移動、ピペットアセンブリ2の垂直支持部材46に対する移動および各サンプルホルダー15a-15hのサンプルプレート16に対する移動によって、廃液の上にサンプル管を出るような複雑で激しい流動および既存技術のサンプル調製システムに存在する潜在の汚染の加速移動が制限される。そのため、記載されたシステムおよび方法は各生物サンプルと廃液の間の潜在汚染の多くの状況を減少し、これらの状況は間違った測定結果が生じて測定の失敗につながることがあり、再測定になって測定者、看護提供者および患者に顕著に負の影響を及ぼす。
【0059】
本発明の実施形態によるシステムおよび方法は様々な分析プロトコールに使用される異なる生物サンプルの調製に使用することができる。このような生物サンプルの実例は、血液、血清、血漿、尿液、唾液、糞便、器官組織などを含むが、これらに限定されず、患者由来の生物サンプルが好ましい。必要によって、処理されたサンプルは一つまたは複数の分離されたか、濃縮された生物分子を含んでもよいが、その後のプロトコールにおいて分析、検出または定量することができる。たとえば、本発明のシステムで生物サンプル(たとえば被験者由来の生物サンプル)を処理することによって分離されたか、濃縮された核酸を含有する加工サンプルを得てもよいが、そして加工されたサンプルは一つまたは複数の目的核酸の増幅、検出または定量、たとえば、PCR反応における鋳型、あるいは一つまたは複数の化学発光標識された核酸のハイブリダイゼーションに使用することができる。好適な実施形態において、本発明の一つの実施形態による方法は、さらに、PCRまたは化学発光測定法によって加工されたサンプルにおける核酸を検出または定量することを含む。もう一つの実例において、本発明のシステムで生物サンプル(たとえば被験者由来の生物サンプル)を処理することによってペプチドまたはタンパク質を含有する加工サンプルを得てもよいが、そして加工されたサンプルは免疫測定、たとえば放射免疫測定、ELISA、免疫蛍光測定または化学発光免疫測定、一つまたは複数の目的ペプチドまたはタンパク質の検出または定量に使用することができる。一つの好適な実施形態において、本発明の一つの実施形態による方法は、さらに、ELISA、免疫蛍光測定または化学発光免疫測定(CLIA)、より好ましくはCLIAによって加工されたサンプルにおけるペプチドまたはポリペプチドを検出または定量することを含む。 CLIAはELISAよりも敏感な代替方法で、化学反応からのエネルギーを放出させることによって電磁気放射を生じさせて光および光強度として測量することに関し、たとえば、光電子増倍管またはフォトダイオードおよび関連する電子機器によって変換して信号を記録する。本公開内容に鑑み、生物分子を検出または定量する既知の方法および試薬、たとえばPCR、ELISA、免疫蛍光測定やCLIAのプロトコールは本発明に使用することができる。
【0060】
当業者には、その幅広い発明の構想を逸脱しなければ、上記実施形態を変更することができることがわかる。そのため、本発明は公開された特定の実施例に限定されず、本公開によって限定される本発明の主旨および範囲内の変更をカバーするためのものであることが理解される。
図1
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