(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】モジュール化平面連結板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20220214BHJP
H01M 8/026 20160101ALI20220214BHJP
H01M 8/0206 20160101ALI20220214BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20220214BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/026
H01M8/0206
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
(21)【出願番号】P 2020198709
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2020-12-02
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513197703
【氏名又は名称】國立臺北科技大學
(73)【特許権者】
【識別番号】519282410
【氏名又は名称】チュン タオ ノン ユアン コー チー クー フェン ユー シェン コン スー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン シー フー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ファン ピン
(72)【発明者】
【氏名】ルー シー チュアン
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-136258(JP,A)
【文献】特開2020-13771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/0258
H01M 8/026
H01M 8/0206
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に延伸し且つ前記縦方向と交差する横方向において互いに間隔をおいている複数の上主流路及び前記横方向に延伸し且つ前記縦方向において互いに間隔をおいている複数の下主流路が形成されている、固体酸化物燃料電池用のモジュール化平面連結板の製造方法であって、
(a)主領域と、
前記主領域を囲んでいる周方向領域と、
前記縦方向において互いに間隔が空くように、前記周方向領域の左側及び右側のそれぞれに配置されている2つの第1の側方領域と、を有する金属素板を提供するステップと、
(b)前記2つの第1の側方領域にそれぞれ開口を1つずつ形成するステップと、
(c)前記金属素板をスタンピングすることにより、
前記金属素板の下面の前記主領域に複数行の下凸部が、
前記金属素板の上面の前記主領域に複数行の上凹部が、
前記金属素板の前記下面の前記2つの第1の側方領域のそれぞれに1つずつ下囲み凸部が、
前記金属素板の前記上面の前記2つの第1の側方領域のそれぞれに1つずつ上囲み凹部が、それぞれ形成される上、
複数の前記下凸部の行は、隣り合う2つの前記下凸部の行の間に対応する1つの前記下主流路を画成するように、互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記下凸部の各行においては、複数の前記下凸部が互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上凹部の行は、互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上凹部の各行においては、複数の前記上凹部が互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
2つの前記下囲み凸部のそれぞれは、前記開口の1つを囲むように延伸しており、
2つの前記上囲み凹部のそれぞれは、前記開口の1つを囲むように延伸している、ように形成するステップと、
(d)前記金属素板をスタンピングすることにより、
前記金属素板の前記上面の前記主領域に複数列の上凸部が、
前記金属素板の前記下面の前記主領域に複数列の下凹部が、
前記金属素板の前記上面に上囲み凸部が、
前記金属素板の前記下面に下囲み凹部が、それぞれ形成される上、
複数の前記上凸部の列は、隣り合う2つの前記上凸部の列の間に対応する1つの前記上主流路を画成するように、互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上凸部の各列においては、複数の前記上凸部が互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記下凹部の列は、互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
前記下凹部の各列においては、複数の前記下凹部が互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上囲み凸部は、前記上凸部、前記上凹部及び前記2つの上囲み凹部を囲むように延伸しており、
前記下囲み凹部は、前記下凸部、前記下凹部及び前記2つの下囲み凸部を囲むように延伸している、ように形成するステップとを含むことを特徴とするモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)において、
前記周方向領域は、前側エリアと、
前記横方向において前記前側エリアと反対側にある後側エリアと、
前記前側エリアと共に第1の接続部を定義し、前記後側エリアと共に第2の接続部を定義する左側エリアと、
前記縦方向において前記左側エリアと反対側にあり、前記前側エリアと共に第3の接続部を定義し、前記後側エリアと共に第4の接続部を定義する右側エリアと、を含み、
各前記第1の側方領域は、前記横方向に沿って延長する長形の中央エリアと、前記長形の中央エリアを囲んでいる第1のエリアと、前記第1のエリアを囲んでいる第2のエリアと、第3のエリアと、を含み、
左側の前記第1の側方領域の前記第3のエリアは、前記第1の接続部から、前記第2のエリアの外縁に沿って、前記第2の接続部まで延伸し、且つ、
右側の前記第1の側方領域の前記第3のエリアは、前記第3の接続部から、前記第2のエリアの外縁に沿って、前記第4の接続部まで延伸し、
前記ステップ(b)において、各前記開口を、前記2つの第1の側方領域のそれぞれの前記長形の中央エリアに形成し、
前記ステップ(c)において、各前記下囲み凸部を、前記金属素板の前記下面の前記2つの第1の側方領域のそれぞれの前記第2のエリアに形成し、且つ、各前記上囲み凹部を、前記金属素板の前記上面の前記2つの第1の側方領域のそれぞれの前記第2のエリアに形成し、
前記金属素板の前記上面に形成されている前記上囲み凸部は、
前記周方向領域の前記前側エリアに形成されている第1の前部分と、
前記周方向領域の前記後側エリアに形成されている第1の後部分と、
左側の前記第1の側方領域の前記第3のエリアに形成されている第1の左部分と、
右側の前記第1の側方領域の前記第3のエリアに形成されている第1の右部分と、を含み、
前記金属素板の前記下面に形成されている前記下囲み凹部は、
前記周方向領域の前記前側エリアに形成されている第2の前部分と、
前記周方向領域の前記後側エリアに形成されている第2の後部分と、
左側の前記第1の側方領域の前記第3のエリアに形成されている第2の左部分と、
右側の前記第1の側方領域の前記第3のエリアに形成されている第2の右部分と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(c)において、前記金属素板の前記下面の各前記第1の側方領域の前記第1のエリアに複数の下追加凸部が更に形成され、且つ、
前記金属素板の前記上面の各前記第1の側方領域の前記第1のエリアに複数の上追加凹部が更に形成され、
前記ステップ(d)において、前記金属素板の前記上面の各前記第1の側方領域の前記第1のエリアに、前記上追加凹部と交互に配置されるように複数の上追加凸部が更に形成され、且つ、
前記金属素板の前記下面の各前記第1の側方領域の前記第1のエリアに、前記下追加凸部と交互に配置されるように複数の下追加凹部が更に形成されることを特徴とする請求項2に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(c)において、前記金属素板の前記下面の前記周方向領域の前記左側エリア及び前記右側エリアのそれぞれに、互いに前記横方向に間隔をおいて、それぞれが前記縦方向に延伸する複数の下縦凸部が更に形成され、且つ、
前記金属素板の前記上面の前記周方向領域の前記左側エリア及び前記右側エリアのそれぞれに、互いに前記横方向に間隔をおいて、それぞれ前記縦方向に延伸する複数の上縦凹部が更に形成され、
前記ステップ(d)において、前記金属素板の前記上面の前記周方向領域の前記左側エリア及び前記右側エリアのそれぞれに、前記上縦凹部と交互に配置されるように、それぞれ前記縦方向に延伸する複数の上縦凸部が更に形成され、且つ、
前記金属素板の前記下面の前記周方向領域の前記左側エリア及び前記右側エリアのそれぞれに、前記下縦凸部と交互に配置されるように、それぞれ前記縦方向に延伸する複数の下縦凹部が更に形成され、
隣り合う2つの前記上縦凸部の間に前記縦方向に延伸する複数の上ルートのうちの1つを画成することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項5】
前記金属素板は、互いに前記横方向で間隔が空くように、前記周方向領域の前側及び後側のそれぞれに配置されている2つの第2の側方領域を更に有し、
各前記第2の側方領域は、前記周方向領域に対して遠位エリア及び近位エリアを含むことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項6】
前記2つの第2の側方領域の前記遠位エリアに、それぞれカットアウトを形成するステップ(e)を更に含むことを特徴とする請求項5に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)において、前記金属素板の前記下面の各前記第2の側方領域の前記近位エリアに、互いに前記縦方向に間隔をおいて、それぞれ前記横方向に沿って延長する複数の下横凸部が更に形成され、且つ、
前記金属素板の前記上面の各前記第2の側方領域の前記近位エリアに、互いに前記縦方向に間隔をおいて、前記横方向に沿って延長する複数の上横凹部が更に形成され、
隣り合う2つの前記下横凸部の間に前記横方向に延伸する複数の下ルートのうちの1つを画成し、
前記ステップ(d)において、前記金属素板の前記上面の各前記第2の側方領域の前記近位エリアに、前記上横凹部と交互に配置されるように、それぞれ前記横方向に沿って延長する複数の上横凸部が更に形成され、且つ、
前記金属素板の前記下面の各前記第2の側方領域の前記近位エリアに、前記下横凸部と交互に配置されるように、それぞれ前記横方向に沿って延長する複数の下横凹部が更に形成されることを特徴とする請求項6に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項8】
各列の前記上凸部は、他の列の前記上凸部に対応して位置合わせされている上、寸法が同じであり、
前記上凸部の行は、隣り合う2つの前記上凸部の行の間に、前記上主流路を横切る複数の上補助流路のうちの1つを画成するように、互いに前記縦方向に間隔をおいて配置されている構成となるように形成することを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(c)及び前記ステップ(d)を同時に実施することができるように、各行の前記上凹部は、すべて隣り合う行の前記上凸部と互い違いに配置されていることを特徴とする請求項8に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項10】
各行の前記下凸部は、他の行の前記下凸部に対応して位置合わせされている上、寸法が同じであり、
前記下凸部の列は、隣り合う2つの前記下凸部の列の間に、前記下主流路を横切る複数の下補助流路のうちの1つを画成するように、互いに前記横方向に間隔をおいて配置されている構成となるように形成することを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)及び前記ステップ(d)を同時に実施することができるように、各列の前記下凹部が、すべて隣り合う列の前記下凸部と互い違いに配置されていることを特徴とする請求項10に記載のモジュール化平面連結板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール化平面連結板の製造方法に関し、より詳細には、固体酸化物燃料電池用のモジュール化平面連結板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、以前に特許文献1を提案した。
特許文献1に記載されている固体酸化物燃料電池用のモジュール化平面連結板の製造方法は、以下のステップが含まれる。
(a)金属素板を提供するステップ。
(b)前記金属素板の主領域をスタンピングして、前記金属素板の前記主領域の上面に複数列の上凸部を形成すると共に、前記金属素板の前記主領域の下面に複数列の下凹部を形成するステップ。
(c)前記金属素板の前記主領域をスタンピングして、前記金属素板の前記主領域の下面に複数行の下凸部を形成すると共に、前記金属素板の前記主領域の上面に複数行の上凹部を形成するステップ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、固体酸化物燃料電池で使用できる、より複雑なモジュール化平面連結板を比較的簡単に製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は、縦方向に延伸し且つ前記縦方向と交差する横方向において互いに間隔をおいている複数の上主流路及び前記横方向に延伸し且つ前記縦方向において互いに間隔をおいている複数の下主流路が形成されている、固体酸化物燃料電池用のモジュール化平面連結板の製造方法であって、
(a)主領域と、
前記主領域を囲んでいる周方向領域と、
前記縦方向において互いに間隔が空くように、前記周方向領域の左側及び右側のそれぞれに配置されている2つの第1の側方領域と、を有する金属素板を提供するステップと、
(b)前記2つの第1の側方領域にそれぞれ開口を1つずつ形成するステップと、
(c)前記金属素板をスタンピングすることにより、
前記金属素板の下面の前記主領域に複数行の下凸部が、
前記金属素板の上面の前記主領域に複数行の上凹部が、
前記金属素板の前記下面の前記2つの第1の側方領域のそれぞれに1つずつ下囲み凸部が、
前記金属素板の前記上面の前記2つの第1の側方領域のそれぞれに1つずつ上囲み凹部が、それぞれ形成される上、
複数の前記下凸部の行は、隣り合う2つの前記下凸部の行の間に対応する1つの前記下主流路を画成するように、互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記下凸部の各行においては、複数の前記下凸部が互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上凹部の行は、互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上凹部の各行においては、複数の前記上凹部が互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
2つの前記下囲み凸部のそれぞれは、前記開口の1つを囲むように延伸しており、
2つの前記上囲み凹部のそれぞれは、前記開口の1つを囲むように延伸している、ように形成するステップと、
(d)前記金属素板をスタンピングすることにより、
前記金属素板の前記上面の前記主領域に複数列の上凸部が、
前記金属素板の前記下面の前記主領域に複数列の下凹部が、
前記金属素板の前記上面に上囲み凸部が、
前記金属素板の前記下面に下囲み凹部が、それぞれ形成される上、
複数の前記上凸部の列は、隣り合う2つの前記上凸部の列の間に対応する1つの前記上主流路を画成するように、互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上凸部の各列においては、複数の前記上凸部が互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記下凹部の列は、互いに前記横方向に間隔をおいて並んでおり、
前記下凹部の各列においては、複数の前記下凹部が互いに前記縦方向に間隔をおいて並んでおり、
前記上囲み凸部は、前記上凸部、前記上凹部及び前記2つの上囲み凹部を囲むように延伸しており、
前記下囲み凹部は、前記下凸部、前記下凹部及び前記2つの下囲み凸部を囲むように延伸している、ように形成するステップとを含むことを特徴とするモジュール化平面連結板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のモジュール化平面連結板の製造方法は、1つのステップにより複雑な構成を形成できるので、より複雑な構成を有するモジュール化平面連結板を比較的簡単且つ迅速に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態によるモジュール化平面連結板の斜視図である。
【
図2】上記モジュール化平面連結板の上面図である。
【
図3】上記モジュール化平面連結板の底面図である。
【
図4】上記モジュール化平面連結板の側面図である。
【
図5】上記モジュール化平面連結板の左側部分を示す、
図2の線A―Aに沿う部分断面図である。
【
図6】上記モジュール化平面連結板の右側部分を示す、
図2の線A―Aに沿う部分断面図である。
【
図7】本発明の実施形態によるモジュール化平面連結板の製造方法に使用される金属素板の図である。
【
図8】2つのモジュール化平面連結板の間に平面セルユニットが挟まれている固体酸化物燃料電池の一部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を説明するために、本明細書及び特許請求の範囲において方向性用語を使用する(例えば、前、後、左、右、上、下、縦、横など)。これらの方向性の定義は、単に本明細書及び特許請求の範囲の記載を補助することを意図しており、本発明をいかなる方法でも限定することを意図していない。
【0009】
図1~
図6に示されるように、本発明の実施形態によるモジュール化平面連結板100は、固体酸化物燃料電池に使用できるものであって、複数の上主流路101と複数の下主流路102とが形成されている。
【0010】
各上主流路101は、縦方向Xに延伸し、且つ縦方向Xと交差する横方向Yにおいて互いに間隔をおいている。
【0011】
各下主流路102は、横方向Yに延伸し、且つ縦方向Xにおいて互いに間隔をおいている。
【0012】
本発明の実施形態によるモジュール化平面連結板100の製造方法は、ステップ(a)~(d)を含む。
【0013】
ステップ(a)において、
図7に示されるように、金属素板10が提供される。
【0014】
金属素板10は、主領域11と、主領域11を囲んでいる周方向領域12と、縦方向Xにおいて互いに間隔が空くように、周方向領域12の左側及び右側のそれぞれに配置された2つの第1の側方領域13とを有する。
【0015】
一部の実施形態において、金属素板10として、SUS430、SUS431、SUS441、クロファー(登録商標)22などのステンレス鋼材からなるものを用いる。
【0016】
図7に示される実施形態において、周方向領域12は、前側エリア121、後側エリア122、左側エリア123及び右側エリア124を含む。後側エリア122は、横方向Yにおいて前側エリア121と反対側にある。左側エリア123は、前側エリア121と共に第1の接続部125を定義し、後側エリア122と共に第2の接続部126を定義する。右側エリア124は、縦方向Xにおいて左側エリア123と反対側にあり、前側エリア121と共に第3の接続部127を定義し、後側エリア122と共に第4の接続部128を定義している。
【0017】
図7に示される実施形態において、各第1の側方領域13は、横方向Yに沿って延長する長形の中央エリア131と、長形の中央エリア131を囲んでいる第1のエリア132と、第1のエリア132を囲んでいる第2のエリア133と、第3のエリア134とを含む。左側の第1の側方領域13の第3のエリア134は、第1の接続部125から、第2のエリア133の外縁に沿って、第2の接続部126まで延伸し、且つ、右側の第1の側方領域13の第3のエリア134は、第3の接続部127から、第2のエリア133の外縁に沿って、第4の接続部128まで延伸する。
【0018】
図7に示される実施形態において、金属素板10は、互いに横方向Yで間隔を空けて、周方向領域12の前側及び後側のそれぞれに配置されている2つの第2の側方領域14を更に有する。各第2の側方領域14は、周方向領域12に対して遠位エリア141と近位エリア142とを含む。
【0019】
ステップ(b)において、2つの第1の側方領域13にそれぞれ開口21、22を1つずつ形成する。
【0020】
図1~
図3及び
図7に示される実施形態では、ステップ(b)において、各開口21、22を、2つの第1の側方領域13のそれぞれの長形の中央エリア131に形成する。
図1~
図3を参照して、ステップ(c)において、金属素板10を下方へスタンピングして、複数行の下凸部40と、複数行の上凹部31と、2つの下囲み凸部42と、2つの上囲み凹部33とを形成する。
【0021】
複数の下凸部40の行は、金属素板10の下面の主領域11に形成され、隣り合う2つの下凸部40の行の間に対応する1つの下主流路102を画成するように、互いに縦方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0022】
下凸部40の各行においては、複数の下凸部40が互いに横方向Yに間隔をおいて並んでいる。
【0023】
上凹部31の行は、金属素板10の上面の主領域11に形成され、互いに縦方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0024】
上凹部31の各行においては、複数の上凹部31が互いに横方向Yに間隔をおいて並んでいる。
【0025】
2つの下囲み凸部42は、金属素板10の下面の2つの第1側方領域13のそれぞれに形成されている。各下囲み凸部42は、開口21、22のそれぞれを囲むように延伸している。
【0026】
2つの上囲み凹部33は、金属素板10の上面の2つの第1の側方領域13のそれぞれに形成されている。各上囲み凹部33は、開口21、22のそれぞれを囲むように延伸している。
【0027】
図1~
図3及び
図7に示される実施形態では、ステップ(c)において、各下囲み凸部42を、金属素板10の下面の2つの第1の側方領域13のそれぞれの第2のエリア133に形成し、且つ、各上囲み凹部33を、金属素板10の上面の2つの第1の側方領域13のそれぞれの第2のエリア133に形成する。
【0028】
ステップ(d)において、金属素板10を上方へスタンピングして、複数列の上凸部30と、複数列の下凹部41と、上囲み凸部32と、下囲み凹部43とを形成する。
【0029】
複数の上凸部30の列は、金属素板10の上面の主領域11に形成され、隣り合う2つの上凸部30の列の間に対応する1つの上主流路101を画成するように、互いに横方向Yに間隔をおいて並んでいる。
【0030】
上凸部30の各列においては、複数の上凸部30が互いに縦方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0031】
下凹部41の列は、金属素板11の下面の主領域11に形成され、互いに横方向Yに間隔をおいて並んでいる。
【0032】
下凹部41の各列においては、複数の下凹部41が互いに縦方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0033】
上囲み凸部32は、金属素板10の上面に形成され、上凸部30、上凹部31及び2つの上囲み凹部33を囲むように延伸している。
【0034】
図1、
図2及び
図7に示される実施形態において、金属素板10の上面に形成された上囲み凸部32は、周方向領域12の前側エリア121に形成されている第1の前部分321と、周方向領域12の後側エリア122に形成されている第1の後部分322と、左側の第1の側方領域13の第3のエリア134に形成されている第1の左部分323と、右側の第1の側方領域13の第3のエリア134に形成されている第1の右部分324とを含む。
【0035】
下囲み凹部43は、金属素板10の下面に形成され、下凸部40、下凹部41及び2つの下囲み凸部42を囲むように延伸している。
【0036】
図3及び
図7に示される実施形態において、金属素板10の下面に形成されている下囲み凹部43は、周方向領域12の前側エリア121に形成されている第2の前部分431と、周方向領域12の後側エリア122に形成されている第2の後部分432と、左側の第1の側方領域13の第3のエリア134に形成されている第2の左部分433と、右側の第1の側方領域13の第3のエリア134に形成されている第2の右部分434とを含む。
【0037】
図1~
図3及び
図7に示される実施形態では、ステップ(c)において、金属素板10の下面の各第1の側方領域13の第1のエリア132に複数の下追加凸部44を更に形成し、且つ、金属素板10の上面の各第1の側方領域13の第1のエリア132に複数の上追加凹部35を更に形成する。
【0038】
図1~
図3及び
図7に示される実施形態では、ステップ(d)において、金属素板10の上面の各第1の側方領域13の第1のエリア132に、上追加凹部35と交互に配置されるように複数の上追加凸部34を更に形成し、且つ、金属素板10の下面の各第1の側部領域13の第1のエリア132に、下追加凸部44と交互に配置されるように複数の下追加凹部45を更に形成する。
【0039】
図1~
図3及び
図7に示される実施形態では、ステップ(c)において、金属素板10の下面の周方向領域12の左側エリア123及び右側エリア124のそれぞれに、互いに横方向Yに間隔をおいて、それぞれが縦方向Xに沿って延伸する複数の下縦凸部46を更に形成し、且つ、金属素板10の上面の周方向領域12の左側エリア123及び右側エリア124のそれぞれに、互いに横方向Yに間隔をおいて、それぞれが縦方向Xに沿って延伸する複数の上縦凹部37を更に形成する。
【0040】
図1~
図3及び
図7に示される実施形態では、ステップ(d)において、金属素板10の上面の周方向領域12の左側エリア123及び右側エリア124のそれぞれに、上縦凹部37と交互に配置されるように、それぞれ縦方向Xに沿って延伸する複数の上縦凸部36を更に形成し、且つ、金属素板10の下面の周方向領域12の左側エリア123及び右側エリア124のそれぞれに、下縦凸部46と交互に配置されるように、それぞれ縦方向Xに沿って延伸する複数の下縦凹部47を更に形成する。隣り合う2つの上縦凸部36の間に縦方向Xに沿って延伸する複数の上ルート105のうちの1つを画成する。
【0041】
図1~
図3及び
図7に示される実施形態において、本発明のモジュール化平面連結板の製造方法は、ステップ(e)を更に含む。ステップ(e)において、2つの第2の側方領域14の遠位エリア141に、それぞれカットアウト23、24を形成する。
【0042】
図1~
図4及び
図7に示される実施形態において、ステップ(c)において、金属素板10の下面の各第2の側方領域14の近位エリア142に、互いに縦方向Xに間隔をおいて、横方向Yに沿って延長する複数の下横凸部48を更に形成し、且つ、金属素板10の上面の各第2の側方領域14の近位エリア142に、互いに縦方向Xに間隔をおいて、それぞれ横方向Yに沿って延長する複数の上横凹部39を更に形成する。隣り合う2つの下横凸部48の間に横方向Yに沿って延伸する複数の下ルート106のうちの1つを画成する。
【0043】
図1~
図4及び
図7に示される実施形態において、ステップ(d)において、金属素板10の上面の各第2の側方領域14の近位エリア142に、上横凹部39と交互に配置されるように、それぞれ横方向Yに沿って延長する複数の上横凸部38を更に形成し、且つ、金属素板10の下面の各第2側方領域14の近位エリア142に、下横凸部48と交互に配置されるように、それぞれ横方向Yに沿って延長する複数の下横凹部49を更に形成する。
【0044】
上横凸部38、上横凹部39、下横凸部48及び下横凹部49の構成により、モジュール化平面連結板100の構造が更に強化される。
【0045】
図1及び
図2に示される実施形態において、金属素板10の上面の主領域11に、複数の列の上凸部30が形成されている。各列の上凸部30は、他の列の上凸部30に対応して位置合わせされている上、寸法が同じである。上凸部30の行は、隣り合う2つの上凸部30の行の間に上主流路101を横切る複数の上補助流路103のうちの1つを画成するように、互いに縦方向Xに間隔をおいて配置されている構成となる。
【0046】
図1及び
図2に示される実施形態において、ステップ(c)及びステップ(d)を同時に実施することができるように、各行の上凹部31は、すべて隣り合う行の上凸部31と互い違いに配置されている。
【0047】
図3に示される実施形態において、金属素板10の下面の主領域11に複数行の下凸部40が形成されている。各行の下凸部40は、他の行の下凸部40に対応して位置合わせされている上、寸法が同じである。下凸部40の列は、2つの隣り合う下凸部40の列の間に下主流路102を横切る複数の下補助流路104のうちの1つを画成するように、互いに横方向Yに間隔をおいて配置されている構成となる。
【0048】
図3に示される実施形態において、ステップ(c)及びステップ(d)を同時に実施することができるように、各列の下凹部41は、すべて隣り合う列の下凸部40と互い違いに配置されている。
【0049】
図8は、固体酸化物燃料電池の一部を示す。固体酸化物燃料電池は、複数のモジュール化平面連結板100(図中、2つだけが示される)と、複数の平面セルユニット500(図中、1つだけが示される)とを含む。モジュール化平面連結板100は、互いに直立方向(Z)に並んでおり、平面セルユニット500は、モジュール化平面連結板100と交互に配置されている。各平面セルユニット500は、平面セル部材51と、アノード部材52と、カソード部材53とを含む。
【0050】
平面セル部材51は、電解質として機能する平面セル体511と、平面セル体511を囲んで支持するように配置されていると共に、2つの開口513、514と2つのカットアウト515、516とを有するセル体支持フレーム512とを含む。
【0051】
アノード部材52は、アノードウェブ521と、アノードウェブ521を囲んで支持するように配置されていると共に、2つの開口523、524と2つのカットアウト525、526とを有するアノードフレーム522とを含む。
【0052】
カソード部材53は、カソードウェブ531と、カソードウェブ531を囲んで支持するように配置されていると共に、2つの開口533、534と2つのカットアウト535、536とを有するカソードフレーム532とを含む。
【0053】
モジュール化平面連結板100と平面セルユニット500とを固体酸化物形燃料電池に組み立てると、(i)開口21、513、523、533は、燃料流体用の第1の入口通路を形成するために、互いに位置合わせされており、(ii)開口22、514、524、534は、燃料流体用の第1の出口通路を形成するために、互いに位置合わせされており、(iii)カットアウト23、515、525、535は、酸素含有流体用の第2の入口通路を形成するために、互いに位置合わせされており、且つ、(iv)カットアウト24、516、526、536は、酸素含有流体用の第2の出口通路を形成するために、互いに位置合わせされている。
【0054】
燃料流体は、水素、アルコール、メタンまたは天然ガスなどを含む。
【0055】
更に、各モジュール化平面連結板100の上囲み凸部32と、隣り合う平面セルユニット500のアノードフレーム522との間に、第1のシール材(図示せず)を設けることができる。
【0056】
各モジュール化平面連結板100の下囲み凸部42と、隣り合う平面セルユニット500のカソードフレーム532との間に、第2のシール材(図示せず)を設けることができる。
【0057】
第1のシール材及び第2のシール材を設けることにより、モジュール化平面連結板100と平面セルユニット500との間の接合箇所から燃料流体が漏れ出すことを防止できる。
【0058】
図1、
図2及び
図8に示されるように、稼働中、前記第1の入口通路内の燃料流体は、アノードウェブ521へアクセスできるように、左側の上ルート105を通って、上主流路101及び上補助流路103に流入する。余分な燃料流体は、右側の上ルート105を通って前記第1の出口通路に排出される。右側の上ルート105は、燃料流体が上主流路101と上補助流路103との間で均等に分配されるように、左の上ルート105よりも小さい寸法を有する。他の実施形態において、各左側の上ルート105は、各右側の第1の上ルート105と実質的に同じ寸法を有する。
【0059】
一方、
図3及び
図8を参照して、前記第2の入口通路内の酸素含有流体は、カソードウェブ531へアクセスできるように、前側の下ルート106を通って、下主流路102及び下補助流路104に流入する。余分な酸素含有流体は、後側の下ルート106を通って前記第2の出口通路に排出される。
【0060】
上記の内容によれば、本発明のモジュール化平面連結板の製造方法は、1つのステップにより複雑な構成を形成できるので、より複雑な構成を有するモジュール化平面連結板を比較的簡単且つ迅速に製造できる。更に、製造されたモジュール化平面連結板が燃料流体は固体酸化物燃料電池から漏洩することを防止できる。
【0061】
また、ステップ(c)及びステップ(d)において、上追加凸部34、上追加凹部35、上縦凸部36、上縦凹部37、上横凸部38、上横凹部39、下追加凸部44、下追加凹部45、下縦凸部46、下縦凹部47、下横凸部48、下横凹部49も更に形成できるので、比較的簡単且つ迅速な方法で、より複雑な構成を有するモジュール化平面連結板を製造できる。
【符号の説明】
【0062】
100 モジュール化平面連結板
101 上主流路
102 下主流路
103 上補助流路
104 下補助流路
105 上ルート
106 下ルート
10 金属素板
11 主領域
12 周方向領域
121 前側エリア
122 後側エリア
123 左側エリア
124 右側エリア
125 第1の接続部
126 第2の接続部
127 第3の接続部
128 第4の接続部
13 第1の側方領域
131 中央エリア
132 第1のエリア
133 第2のエリア
134 第3のエリア
14 第2の側方領域
141 遠位エリア
142 近位エリア
21、22、513、514、523、524、533、534 開口
23、24、515、516、525、526、535、536 カットアウト
30 上凸部
31 上凹部
32 上囲み凸部
321 第1の前部分
322 第1の後部分
323 第1の左部分
324 第1の右部分
33 上囲み凹部
34 上追加凸部
35 上追加凹部
36 上縦凸部
37 上縦凹部
38 上横凸部
39 上横凹部
40 下凸部
41 下凹部
42 下囲み凸部
43 下囲み凹部
431 第2の前部分
432 第2の後部分
433 第2の左部分
434 第2の右部分
44 下追加凸部
45 下追加凹部
46 下縦凸部
47 下縦凹部
48 下横凸部
49 下横凹部
500 平面セルユニット
51 平面セル部材
511 平面セル体
512 セル体支持フレーム
52 アノード部材
521 アノードウェブ
522 アノードフレーム
53 カソード部材
531 カソードウェブ
532 カソードフレーム
X 縦方向
Y 横方向
【要約】
【課題】より複雑なモジュール化平面連結板を比較的簡単に製造する。
【解決手段】縦方向Xに延伸する複数の上主流路101及び横方向Yに延伸する複数の下主流路がある、固体酸化物燃料電池用のモジュール化平面連結板100の製造方法であって、主領域と、周方向領域と、2つの第1の側方領域と、を有する金属素板を提供するステップ(a)と、前記2つの第1の側方領域にそれぞれ1つずつの開口21、22を形成するステップ(b)と、前記金属素板をスタンピングすることにより、複数行の下凸部と、複数行の上凹部31と、2つの下囲み凸部と、2つの上囲み凹部33と、を形成するステップ(c)と、前記金属素板をスタンピングすることにより、複数列の上凸部30と、複数列の下凹部と、上囲み凸部32と、下囲み凹部と、を形成するステップ(d)とを含む。
【選択図】
図1