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特許7022980ウェーハ剥離装置およびウェーハ研磨装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】ウェーハ剥離装置およびウェーハ研磨装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20220214BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/304 622L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018000401
(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公開番号】P2019121682
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000236687
【氏名又は名称】不二越機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小布施 敦史
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-291689(JP,A)
【文献】特開2001-291688(JP,A)
【文献】特開2003-311609(JP,A)
【文献】特開平10-275787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート下面に貼付されたウェーハの被研磨面を定盤に押接して、前記定盤と前記プレートを相対回転させて前記ウェーハを研磨した後の、前記プレートから前記ウェーハを剥離するウェーハ剥離装置であって、
内壁が下方に向けて窄まるテーパ面に形成されて、前記プレートを、前記内壁によりガイドして底面上に位置決めして受け取り可能な第1の凹部、および該第1の凹部の底面に凹設され、内径が該第1の凹部の底面よりも小径で、剥離された後の前記ウェーハを内壁によって外周を位置決めして収容可能な第2の凹部を有するトレーと、
前記トレー内に水を供給する給水機構と、
前記ウェーハ研磨後の前記プレートを、前記ウェーハの前記被研磨面を下方に向けたまま、前記トレーの前記第1の凹部に搬入する搬送装置と、
前記トレーに設けられ、前記トレーの前記第1の凹部内に搬入された前記プレートに貼付されている前記ウェーハの外周部に水を噴出して該ウェーハを剥離し、剥離された該ウェーハを前記第2の凹部内の水中に落下させるノズル装置と、
前記ウェーハが剥離された後の前記プレートを前記第1の凹部から前記トレー外に搬出するプレート搬出部と、
前記プレートが搬出された後の、前記ウェーハの被研磨面の裏面側を保持して前記ウェーハを前記トレー外に搬出するウェーハ搬出部を具備することを特徴とするウェーハ剥離装置。
【請求項2】
前記ウェーハが前記プレートに水貼りされたウェーハであることを特徴とする請求項1記載のウェーハ剥離装置。
【請求項3】
前記ノズル装置が、前記トレーに周方向に間隔を置いて複数個配設され、各前記ノズル装置が、前記プレートに貼付されている前記ウェーハの外周部に向けて水を斜め下方から噴出することを特徴とする請求項1または2記載のウェーハ剥離装置。
【請求項4】
前記給水機構が、前記第2の凹部底面に開口する給水口から前記トレー内に水を供給する給水部と、前記トレー内に供給された水を排出して前記トレー内の水位を一定に保つ排水部と、前記給水部の前記給水口上方を覆って配設され、前記トレー内に供給される水を横方向に導く当て板を有することを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載のウェーハ剥離装置。
【請求項5】
前記第2の凹部の前記内壁が、下方に向けて窄まるテーパ面に形成されていることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載のウェーハ剥離装置。
【請求項6】
前記トレーが、支持部に対して横方向にスライド可能なスライド台上に固定されていることを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載のウェーハ剥離装置。
【請求項7】
前記支持部が、昇降装置により上下動可能に設けられていることを特徴とする請求項6記載のウェーハ剥離装置。
【請求項8】
プレート下面に貼付されたウェーハの被研磨面を定盤に押接して、前記定盤と前記プレートを相対回転させて前記ウェーハを研磨するウェーハの研磨装置であって、
前記プレートに前記ウェーハを貼付する貼付部と、
前記貼付部において前記ウェーハが貼付された複数の前記プレートが、支持台上に位置決めして搬入装置により搬入されるローディング部と、
該ローディング部に搬入された前記複数の前記プレートが、搬送装置により搬入され前記ウェーハの研磨がなされる、前記定盤を有する複数研磨段階の研磨部と、
最終段階の前記研磨部で研磨された複数の前記ウェーハが、被研磨面を下方に向けたまま前記プレートと共に搬入される、アンローディング部を兼ねる、複数の、請求項1~7いずれか1項記載のウェーハ剥離装置と、
複数の前記ウェーハ剥離装置から前記プレート搬出部により搬出される前記プレートが載置される載置部と、
複数の前記ウェーハ剥離装置から前記ウェーハ搬出部により搬出される剥離後の前記ウェーハが収納される収納部を具備することを特徴とするウェーハ研磨装置。
【請求項9】
前記ローディング部における前記支持台が水平面内で順次位置決めして回転される回転台に構成され、前記ウェーハが貼付された前記プレートが前記搬入装置により前記支持台の所定位置に順次搬入されることを特徴とする請求項8記載のウェーハ研磨装置。
【請求項10】
前記アンローディング部における複数の前記ウェーハ剥離装置が、水平面内で順次位置決めして回転される回転台に配設され、所定位置に回転した前記ウェーハ剥離装置から、前記プレート搬出部により順次前記プレートが前記載置部上に上下反転されて搬出されると共に、該プレート搬出後、剥離後の前記ウェーハが前記ウェーハ搬出部により順次搬出されて前記収納部に収納されることを特徴とする請求項8または9記載のウェーハ研磨装置。
【請求項11】
前記ウェーハ剥離装置から反転され、搬出されて載置される前記プレートの前記載置部、前記プレートの前記ウェーハ貼付面が洗浄される洗浄部、該洗浄部により洗浄された前記プレートに新たなウェーハが貼付される前記貼付部、該貼付部で前記ウェーハが貼付された前記プレートを上下反転して前記ローディング部に搬入する前記搬入装置を含む、プレート循環装置を具備することを特徴とする請求項10記載のウェーハ研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェーハ剥離装置およびウェーハ研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン等の半導体ウェーハの研磨装置では、ウェーハの両面研磨、あるいは片面研磨が行われる。ウェーハの片面研磨の場合は、セラミックス製のプレートにウェーハを貼付し、該プレートを、研磨部における定盤上に、ウェーハの下面側となる被研磨面が定盤面に向くように搬入し、トップリングによりプレートを押圧し、定盤とトップリング(プレート)を相対回転させてウェーハの被研磨面を研磨するようにしている。
ウェーハをプレートに貼付する方法としては、真空吸着する方法、接着剤により接着する方法、プレート表面に貼付したスウェード製の布の摩擦力を利用してプレートに水貼りする方法の3つのタイプがある。
いずれにしても研磨後は、ウェーハをプレートから剥離する必要がある。
【0003】
特許文献1(特開2002-319610号公報)には、ウェーハの剥離収納装置が開示されている。この特許文献1に示される剥離装置は、研磨が終了したウェーハの被研磨面側が上を向くようにしてプレートを支持台上に傾斜した状態で搬入し、くさび状の剥離冶具にてウェーハを剥離し、剥離したウェーハをノズルから水をシャワリングしながら傾斜面を滑らせ、ガイドで誘導しながら、水槽内に配置した収納部の所定位置に収納するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-319610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるウェーハ剥離装置においては、剥離したウェーハを、水によりシャワリングしつつ、ガイドで誘導しながら、水槽内に配置した収納部に収納するようにしているので、ウェーハの被研磨面にパーティクルが付着することがなく好適である。
しかしながら、特許文献1のものでは、研磨部から剥離装置にプレートを搬入する際、プレートを、研磨部における、ウェーハの被研磨面が下方を向く位置にある状態から、ウェーハの被研磨面が上方を向く状態となるように反転して、剥離装置に搬入する必要がある。この場合、何らかの反転装置を用いることになるが、その際のハンドリング時に、ウェーハの被研磨面を傷つけるおそれがある。また、剥離装置に搬入した後も、くさび状の剥離冶具を用いてウェーハをプレートから剥離するようにしているので、その際にもウェーハの被研磨面を傷つけるおそれがあるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、被研磨面を傷つける不具合を極力回避できるウェーハ剥離装置およびウェーハ研磨装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明に係るウェーハ剥離装置は、プレート下面に貼付されたウェーハの被研磨面を定盤に押接して、前記定盤と前記プレートを相対回転させて前記ウェーハを研磨した後の、前記プレートから前記ウェーハを剥離するウェーハ剥離装置であって、内壁が下方に向けて窄まるテーパ面に形成されて、前記プレートを、前記内壁によりガイドして底面上に位置決めして受け取り可能な第1の凹部、および該第1の凹部の底面に凹設され、内径が該第1の凹部の底面よりも小径で、剥離された後の前記ウェーハを内壁によって外周を位置決めして収容可能な第2の凹部を有するトレーと、前記トレー内に水を供給する給水機構と、前記ウェーハ研磨後の前記プレートを、前記ウェーハの前記被研磨面を下方に向けたまま、前記トレーの前記第1の凹部に搬入する搬送装置と、前記トレーに設けられ、前記トレーの前記第1の凹部内に搬入された前記プレートに貼付されている前記ウェーハの外周部に水を噴出して該ウェーハを剥離し、剥離された該ウェーハを前記第2の凹部内の水中に落下させるノズル装置と、前記ウェーハが剥離された後の前記プレートを前記第1の凹部から前記トレー外に搬出するプレート搬出部と、前記プレートが搬出された後の、前記ウェーハの被研磨面の裏面を保持して前記ウェーハを前記トレー外に搬出するウェーハ搬出部を具備することを特徴とする。
【0007】
前記ウェーハが前記プレートに水貼りされたウェーハであると好適である。
前記ノズル装置を、前記トレーに周方向に間隔を置いて複数個配設し、各前記ノズル装置から、前記プレートに貼付されている前記ウェーハの外周部に向けて水を斜め下方から噴出するようにすると好適である。
【0008】
前記給水機構を、前記第2の凹部底面に開口する給水口から前記トレー内に水を供給する給水部と、前記トレー内に供給された水を排出して前記トレー内の水位を一定に保つ排水部と、前記給水部の前記給水口上方を覆って配設され、前記トレー内に供給される水を横方向に導く当て板とで構成することができる。
【0009】
前記第2の凹部の前記内壁を、下方に向けて窄まるテーパ面に形成することができる。
前記トレーを、支持部に対して横方向にスライド可能なスライド台上に固定すると好適である。
また、前記支持部を、昇降装置により上下動可能に設けると好適である。
【0010】
また、本発明に係るウェーハ研磨装置は、プレート下面に貼付されたウェーハの被研磨面を定盤に押接して、前記定盤と前記プレートを相対回転させて前記ウェーハを研磨するウェーハの研磨装置であって、前記プレートに前記ウェーハを貼付する貼付部と、前記貼付部において前記ウェーハが貼付された複数の前記プレートが、支持台上に位置決めして搬入装置により搬入されるローディング部と、該ローディング部に搬入された前記複数の前記プレートが、搬送装置により搬入され前記ウェーハの研磨がなされる、前記定盤を有する複数研磨段階の研磨部と、最終段階の前記研磨部で研磨された複数の前記ウェーハが、被研磨面を下方に向けたまま前記プレートと共に搬入される、アンローディング部を兼ねる、複数の、上記いずれかに記載のウェーハ剥離装置と、複数の前記ウェーハ剥離装置から前記プレート搬出部により搬出される前記プレートが載置される載置部と、複数の前記ウェーハ剥離装置から前記ウェーハ搬出部により搬出される剥離後の前記ウェーハが収納される収納部を具備することを特徴とする。
【0011】
前記ローディング部における前記支持台を水平面内で順次位置決めして回転される回転台に構成し、前記ウェーハが貼付された前記プレートを前記搬入装置により、所定位置に回転した前記支持台の所定位置に順次搬入するようにすることができる。
前記アンローディング部における複数の前記ウェーハ剥離装置を、水平面内で順次位置決めして回転される回転台に配設し、所定位置に回転した前記ウェーハ剥離装置から、前記プレート搬出部により順次前記プレートを前記載置部上に上下反転して搬出し、該プレート搬出後、剥離後の前記ウェーハを前記ウェーハ搬出部により順次搬出して前記収納部に収納するようにすることができる。
【0012】
前記ウェーハ剥離装置から反転され、搬出されて載置される前記プレートの前記載置部、前記プレートの前記ウェーハ貼付面が洗浄される洗浄部、該洗浄部により洗浄された前記プレートに新たなウェーハが貼付される前記貼付部、該貼付部で前記ウェーハが貼付された前記プレートを上下反転して前記ローディング部に搬入する前記プレート搬入部を含む、プレート循環装置を設けると好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、最終研磨部で研磨されたウェーハが、搬送装置によってプレート上面を吸着した状態(ウェーハは被研磨面が下を向いたまま)でウェーハ剥離装置のトレーに搬入され、従来のようにプレートを反転するなどのハンドリングが行われないので、この点から、ウェーハの傷付けが極力防止される。
また、本発明では、水の噴出力によってウェーハがプレートから容易に剥離されるので、ウェーハを傷付けることが極力回避される。
さらに本発明では、剥離されたウェーハは、プレートがプレート搬出部によって載置部上に搬出された後、ウェーハ搬出部によってウェーハの被研磨面の裏面を保持して水槽内のウェーハ収納部にまで搬送され、収納部に収納されるものであるので、この点からも、ウェーハの被研磨面側を傷つけることが極力防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】研磨装置の全体の概要を示す平面図である。
図2】プレートにウェーハが貼付された状態の説明図である。
図3】研磨部の概要を示す正面図である。
図4】ウェーハ剥離装置の断面図である。
図5】ウェーハ剥離装置(プレートなし)の断面図である。
図6】ウェーハ剥離装置の平面図である。
図7】ノズル装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1はウェーハ研磨装置10の全体の概要を示す平面図、図2はプレートにウェーハが貼付された状態の説明図、図3は研磨部の概要を示す正面図である。
まず、図1により、研磨装置10について、その動作と共に説明する。
12はプレート循環装置であり、プレート13にウェーハ14を貼付する貼付部15を含む。ウェーハ14は、公知の手法によりプレート13に水貼にされる(図2)。プレート循環装置12の詳細は後記する。
【0016】
16はローディング部であり、貼付部15においてウェーハ14が貼付された複数(図1においては5個)のプレート13が、プレート循環装置12における搬入位置43から、搬入装置18により水平面内で回転可能に設けられた支持台17上に位置決めして順次搬入される。プレート13は、ウェーハ14の被研磨面が下方を向くように搬入装置18により反転されて支持台17上に搬入される。支持台17は、所要回転角ずつ順次回転されて、搬入装置18によりプレート13が支持台17上の所定位置に搬入される。
【0017】
20、21、22は公知の研磨部である。
研磨部20は一次研磨部であり、ウェーハ14の粗研磨がなされる。研磨部21は二次研磨部であり、ウェーハ14の中研磨がなされる。研磨部22は最終研磨部であり、ウェーハ14の仕上げ研磨がなされる。各研磨部20、21、22は、研磨布が貼付され、水平面内で回転する定盤24を有している。ウェーハ14の研磨時には、図示しないスラリー供給部からスラリーが供給される。
各研磨部20、21、22には、支持ローラが付いた5本の支持アーム26が所要間隔をおいて配置されている。各支持アーム26は、搬送装置によって搬入される各プレート13を定盤24上で回転自在に支持する。
【0018】
ローディング部16、研磨部20、研磨部21、研磨部22、および後記するウェーハ剥離装置は、この順に同一円周上に配置されている。ローディング部16から研磨部20への5個のプレート13の搬入、研磨部20から研磨部21への5個のプレート13の搬入、研磨部21から研磨部22への5個のプレート13の搬入、研磨部22からウェーハ剥離装置28への5個のプレート13の搬入は、2本のアームを持つ共通の搬送装置30によってなされる。搬送装置30は、回転軸30aを中心に回転するように設けられている。搬送装置30の各アームの先端部には、5個の吸着装置が取り付けられ、この吸着装置によりプレート13を吸着して搬送するようになっている。
【0019】
図3は、各研磨部20、21、22の概略を示す正面図である。
各研磨部20、21、22は、定盤24上に搬入された各プレート13を押圧する5つのトップリング31(図3では2つのみ図示)を有している。各トップリング31はシリンダ装置32によって上下動され、プレート13を所要圧力で押圧可能となっている。またトップリング31は、図示しない駆動装置によって軸線を中心として回転可能に設けられている。トップリング31を回転させることによって、トップリング31によって押圧されているプレート13も回転される。
【0020】
上記構成によって、ローディング部16から順次搬入される5個のウェーハ14は、定盤24、トップリング31が回転され、また定盤24上にスラリーが供給されることによって、研磨部20において一次研磨が、研磨部21において二次研磨が、研磨部22において最終研磨がなされることになる。
なお、各研磨部20、21、22には、研磨布のドレッシングを行うブラシ装置33が設けられている。
【0021】
研磨部22において最終研磨がなされた5個のウェーハ14は、プレート13に貼付され、被研磨面が下方を向いた状態のまま、搬送装置30によって、ウェーハ剥離装置28の5箇所に設けられた個別の各剥離装置に搬入される。この5箇所に設けられた各個別の剥離装置において、プレート13からウェーハ14が剥離される。
この個別の剥離装置についての詳細は後記する。
【0022】
各個別の剥離装置でウェーハ14が剥離されたプレート13は、プレート搬出部35によって、プレート循環装置12における載置台(載置部)36上に反転された状態(ウェーハ14が貼付された面が上向きの状態)で搬入される。
ウェーハ剥離装置28における各個別の剥離装置は、回転台29上に所定の配列で配置されている。回転台29が所定の回転角ずつ回転されることにより所定の位置に回転位置した各剥離装置から、プレート搬出部35によってプレート13が載置部36上に順次搬出される。
【0023】
プレート循環装置12は、基本的にローラ装置によって構成され、プレート13を搬送する間に、ウェーハ14が剥離された後のプレート13に種々の処理を行うようになっている。
プレート13は、載置部36から受渡部37に搬入される。受渡部37には、新規プレートのストッカ38から、新規のプレート13を搬入可能にもなっている。
39は洗浄部であり、洗浄水を用いてブラシによりプレート13下面を洗浄する。40も洗浄部であり、洗浄水を用いてブラシによりプレート13の上面を洗浄する。プレート13の上面(ウェーハの貼付面)は、ウェーハ14を水貼りできるように、水を所要量含むことが可能なスウェード製の布が貼付されていて、水による洗浄により、所要量以上の水を含むことになる。
【0024】
41は水切り部であり、スウェード製の布に含まれる水が必要な所要量となるように、例えば適宜な布等により水を吸い取り、水分調整をする。
15は、前記した貼付部であり、水分調整されたプレート13が位置決めして搬入される。
42はウェーハ14がストックされているストッカである。ストッカ42からウェーハ14が貼付部15におけるプレート13上に位置決めされて搬入され、プレート13上に押圧されることにより、ウェーハ14がプレート13上に正確に位置決めして貼付される。
【0025】
プレート13上に、ウェーハ14が正確に位置決めされて貼付されることが、後工程におけるウェーハ14の研磨や、ウェーハ剥離装置28におけるウェーハ14の剥離において重要である。
ウェーハ14が貼付されたプレート13は、ローディング部16への搬入位置43まで搬入され、前記したように搬入装置18により、反転されてローディング部16の所要位置に搬入される。
このようにして、プレート13は、循環して使用することが可能となる。
【0026】
ウェーハ剥離装置28から、プレート13が搬出されると、個別の剥離装置には、剥離されたウェーハ14が残ることになる。この場合、ウェーハ14は、被研磨面の裏面が上を向いた状態となっている。
回転台29の回転により、所要位置まで回転位置している各個別の剥離装置から、ウェーハ14を、その上面の被研磨面の裏面を吸着装置付きのウェーハ搬出部45によって吸着、搬送し、水槽46内に配置したウェーハ収納部(カセット)47内に収納するようにする。
以上のようにして、ウェーハ14のプレート13への貼付、各研磨部20、21、22におけるウェーハ14の研磨、ウェーハ14の剥離、プレート13の搬出、循環、剥離したウェーハ14の収納部(ウェーハ収納部47)への収納を、連続して自動的に行うことができる。
【0027】
次に、ウェーハ剥離装置28における個別の剥離装置について、図4図6により説明する。
図4図5は個別のウェーハ剥離装置(以下単に剥離装置ということがある)28の断面図、図6はその平面図、図7はノズル装置の拡大図を示す。
ウェーハ剥離装置28はトレー50を有する。
トレー50は、内壁が下方に向けて窄まるテーパ面51aに形成されて、プレート13を、テーパ面51aの内壁によりガイドして底面上に位置決めして受け取り可能な第1の凹部(プレート受容凹部)51を有する。図4図6は、プレート13が第1の凹部51に位置決めして受け取られている状態を示している。図5は、プレートを受け取る前の状態を示している。
【0028】
またトレー50は、第1の凹部51の底面に凹設され、内径が第1の凹部51の底面よりも小径で、剥離された後のウェーハ14を内壁によって外周を位置決めして収容可能な第2の凹部(ウェーハ受容凹部)52を有する。
第2の凹部52の内壁上部を、下方に向けて窄まるテーパ面52aに形成すると、剥離されたウェーハ14が該テーパ面にガイドされて第2の凹部52内に位置決めされた状態で落ち込むので好適である。
図4は、剥離されたウェーハ14が第2の凹部52内に落ち込んだ状態を示している。なお、ウェーハ14の被研磨面が第2の凹部52の底面に接触しないように、当該底面にさらに凹部を形成して、ウェーハ14の外縁部のみが第2の凹部52の底面に接触して受けられるようにするとよい。
【0029】
トレー50の内部には、給水機構54から水が供給される。
給水機構54は、第2の凹部52底面に開口する給水口からトレー50内に水を供給する給水部55と、トレー50内に供給された水を排出してトレー50内の水位を一定に保つ排水部56と、給水部55の給水口上方を覆って配設され、トレー50内に供給される水を横方向に導く当て板57を有している。
この給水機構54によりトレー50内の水位が一定に保たれ、第2の凹部52内に落ち込んだウェーハ14は、その外周部が第2の凹部52の内壁によって位置決めされた状態で、水中に位置する状態となる。
当て板57は、水流が直接ウェーハ14に向けて噴出されるのを防止している。
【0030】
前記したように、ウェーハ研磨後のプレート13は、搬送装置30により、ウェーハ14の被研磨面を下方に向けたまま、トレー50の第1の凹部51内に搬入され、テーパ面51aにガイドされて位置決めされる。
そしてトレー50には、搬送装置30によって、トレー50の第1の凹部51内に搬入されたプレート13に貼付されているウェーハ14の外周部に向けて水を噴出するノズル装置60がトレー50の周方向に適宜間隔をおいて4個設けられている。
ノズル装置60からは、図7に明確なように、トレー50に斜め上方に向けて開口されたノズル口61から、水が斜め上方に、ウェーハ14の外周部に向けて噴出される。
【0031】
ノズル装置60からウェーハ14外周部に向けて水が噴出されることにより、プレート13に水貼りされているウェーハ14はプレート13から容易に剥離される。
なお、水の噴出力によるウェーハ14の剥離は、プレート13に水貼りされたものばかりでなく、接着力の弱い、水溶性の接着剤によって接着されたウェーハ14の剥離にも応用可能である。
また、上記のような構成は、強い水流をウェーハ14に直接当てないので、表面保護や濡れ性向上等を目的として施されているウェーハ表面の膜を傷めることなく、確実にウェーハ14を剥離できる。
剥離されたウェーハ14は、前記のようにプレート13がプレート搬出部35によって、載置部36上に搬出された後、ウェーハ搬出部45によって、ウェーハ14の被研磨面の裏面側を保持して、水槽46内のウェーハ収納部47にまで搬送され、収納される。
【0032】
本実施の形態では、トレー50は、支持部63に対して横方向にスライド可能なスライド台64上に固定されている。これにより、搬送装置30により搬送されるプレート13とトレー50の位置が若干ずれていても、プレート13がテーパ面51aに当接して、トレー50が横方向に移動可能であるので、位置ずれが調整される。
スライド台64は、支持部63の上面に滑動部66を設けることにより水平方向自在に動くようにするとよい(図5参照)。
また、さらに支持部63を、基部65に対して、昇降装置により上下動可能に設けるようにすることもできる。これにより、搬送装置30により所定位置まで移動しているプレート13に対して、トレー50の方が自ら接近するように動くことができ、プレート13とトレー50との位置ずれをさらに容易に調整することができる。
昇降装置の具体例には、図5に示すように、ロッド68とシリンダ69からなるシリンダ機構67がある。ロッド68を上下動することによって、支持部63およびスライド台64が動くため、トレー50を上下動させることができる。
【0033】
本実施の形態では、最終研磨部22で研磨されたウェーハ14が、搬送装置30によってプレート13上面を吸着した状態(ウェーハ14は被研磨面が下を向いたまま)でウェーハ剥離装置28のトレー50に搬入され、従来のようにプレートを反転するなどのハンドリングが行われないので、この点から、ウェーハ14の傷付けが極力防止される。
また、本実施の形態では、上記のように、水の噴出力によってウェーハ14がプレート13から容易に剥離されるので、ウェーハ14を傷付けることが極力回避される。
さらに本実施の形態では、上記のように、剥離されたウェーハ14は、プレート13がプレート搬出部35によって載置部36上に搬出された後、ウェーハ搬出部45によってウェーハ14の被研磨面の裏面側を保持して水槽46内のウェーハ収納部47にまで搬送され、収納されるものであるので、この点からも、ウェーハ14の被研磨面側を傷つけることが極力防止される。
【符号の説明】
【0034】
10 研磨装置、12 プレート循環装置、13 プレート、14 ウェーハ、15 貼付部、16 ローディング部、17 支持台、18 搬入装置、20 研磨部、21 研磨部、22 研磨部、24 定盤、26 支持アーム、28 ウェーハ剥離装置、29 回転台、30 搬送装置、30a 回転軸、31 トップリング、32 シリンダ装置、33 ブラシ装置、35 プレート搬出部、36 載置部、37 受渡部、38 ストッカ、39 洗浄部、40 洗浄部、41 水切り部、42 ストッカ、43 搬入位置、45 ウェーハ搬出部、46 水槽、47 ウェーハ収納部、50 トレー、51 第1の凹部、51a テーパ面、52 第2の凹部、52a テーパ面、54 給水機構、55 給水部、56 排水部、 57 当て板、60 ノズル装置、61 ノズル口、63 支持部、64 スライド台、65 基部、66 滑動部、67 シリンダ機構、68 ロッド、69 シリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7