(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】眼炎症および目の化学的損傷を細胞外小胞で処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/34 20150101AFI20220214BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220214BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220214BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
A61K35/34
A61P27/02
A61P29/00
A61P27/04
(21)【出願番号】P 2018548440
(86)(22)【出願日】2017-03-14
(86)【国際出願番号】 US2017022370
(87)【国際公開番号】W WO2017160884
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-02-18
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514309457
【氏名又は名称】カプリコール,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス-ボーランド,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ヘマッチ,フーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ジェニファー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ペック,キール,エー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,レイチェル,アール.
(72)【発明者】
【氏名】マーバン,リンダ
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0099355(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105267240(CN,A)
【文献】特表2015-524844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする対象において眼炎症を処置するのに使用するための組成物であって、前記組成物は、治療的有効量の細胞外小胞を含み、前記細胞外小胞は、カーディオスフェアもしくはカーディオスフェア由来細胞(CDC)から得られるものである、組成物。
【請求項2】
前記細胞外小胞は、カーディオスフェア由来細胞(CDC)から得られるものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記眼炎症が、角膜浮腫、角膜の炎症、乾性角結膜炎(KCS)(ドライアイ症候群(DES)または乾性角膜炎とも呼ばれる)、角膜炎、眼GVHD、ぶどう膜炎、強膜炎、眼けん炎、虹彩炎、毛様体扁平部炎、硝子体炎、虹彩毛様体炎、脈絡網膜炎、シェ-グレン症候群、術後眼炎症、スティ-ブン・ジョンソン症候群に関連する眼障害、または眼天疱瘡もしくは眼瘢痕性類天疱瘡である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
必要とする対象において目の化学的損傷を処置するのに使用するための組成物であって、
前記組成物は、治療的有効量の細胞外小胞を含
み、前記細胞外小胞は、カーディオスフェアもしくはカーディオスフェア由来細胞(CDC)から得られるものである、組成物。
【請求項5】
前記目の前記化学的損傷は、角膜の化学的損傷である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記目の前記化学的損傷が、前眼房、結膜、角膜輪部、または強膜の化学的損傷である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記前眼房が、線維柱帯網、水晶体および毛様体を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記目の前記化学的損傷が、化学的熱傷である、請求項4~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記化学的熱傷が、酸熱傷またはアルカリ熱傷である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記酸熱傷が、酸剤への暴露により誘起される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記酸剤が、6、5、4、3または2未満のpHを有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸剤が、塩酸(HCl)、フッ化水素酸(HF)、酢酸(CH
3CO
2H)、硫酸(H
2SO
4)、または亜硫酸(H
2SO
3)である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記アルカリ熱傷が、アルカリ剤への暴露により誘起される、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記アルカリ剤が、8、9、10、11、12または13を超えるpHを有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記アルカリ剤が、アンモニア(NH
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)、アルカリ液または石灰である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記治療的有効量の細胞外小胞が、局所投与または結膜下注射による投与用に構成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記細胞外小胞が、エキソソ-ムである、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記細胞外小胞が、エキソソ-ム、微小胞、膜粒子、膜小胞、エキソソ-ム様小胞、エクトソ-ム、エクトソ-ム様小胞、またはエキソベシクルである、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
目の化学的損傷は、直後の評価および管理を必要とする眼科的緊急事態である。これらの損傷は多くの場合、顕著な眼罹患状態を生じる。化学的損傷の最も壊滅的な後遺症、つまり角膜融解、角膜輪部幹細胞疲弊症、および緑内障は、長期間にわたり生じる傾向があるが、初期損傷後の数分および数日以内の効果的な診断および処置は多くの場合、臨床経過を決定づけ、悲劇的結果を予防することができる。目の化学的損傷のほとんどは、若年男性に生じる。これらの損傷の少なくとも90%は、偶発的であり、それらは典型的には、工業的環境で起こり、多くの場合、保護メガネの使用に反して起こっている。例えば、Hemmati et al.,“Treating Acute Chemical Injuries of the Cornea,” Ophthalmic Pearls:Cornea,EyeNet Magazine,1-3(October 2012);Colby,Focal Points:Clinical Modules for Ophthalmologists,American Academy of Ophthalmology,the Eye M.D.Association,Vol.XXVIII,Module 1 of 3,1-14(March 2010)を参照されたい。
【0002】
アルカリ剤により誘起された損傷は、より一般的であり、酸による損傷よりも概ね重篤である。アルカリは、細胞膜をけん化する能力により、酸よりも即座に組織に浸透する。強アルカリ剤は、暴露の15秒以内に前眼房に到達して、経路(線維柱帯網、水晶体および毛様体など)に沿って細胞死および角膜の加水分解を引き起こす可能性がある。多くのアルカリ化学物質に共通するヒドロキシルイオンは、角膜のコラ-ゲンマトリックスを変性させて、さらなる化学物質の浸透を容易にする。罹患した組織は、融解壊死を受け、そこで炎症反応がタンパク質分解酵素の放出を惹起し、傷害カスケ-ドに導く。目のアルカリ損傷を一般に担う化学物質としては、例えば水酸化ナトリウム(アルカリ液;ドレインクリ-ナ-および工業用洗浄溶液中に見出される)、アンモニア(家庭用洗浄溶液および肥料中に見出される)、および水酸化カルシウム(石灰;セメントおよび石膏中に見出される)が挙げられる。結膜への直接の化学的傷害は、傷跡、円蓋部の短縮、眼けん癒着の形成、および瘢痕性外反症または内反症に導き得る。結膜杯細胞の破壊は、ドライアイの持続時間に寄与し得る。角膜輪部幹細胞への重度の熱傷は、角膜輪部幹細胞疲弊症を誘発して、角膜上皮前駆細胞の消失による角膜混濁、そして結果的に血管新生を生じる場合がある。その上、線維柱帯網への損傷、眼球の前部構造の萎縮、そしてことによると後眼部の神経節細胞への化学的傷害および炎症性傷害により、緑内障が生じる可能性がある。同書。
【0003】
酸熱傷は一般に、アルカリの同等物よりも破壊性が低く、通常は4未満のpHを有する強酸への暴露により生じる。塩酸(スイミングプ-ルの洗浄に使用)および硫酸(自動車用バッテリ-中に見出される)は、緊急事態で遭遇するより一般的な酸の一部である。酸は、接触により角膜タンパク質を変性、凝集および沈殿させて、より深部への酸浸透を予防するバリアを生成する。このタンパク質凝集は、重度の酸熱傷で認められることの多い角膜のすりガラス状の外観を生じる。フッ化水素酸(防錆溶液および硝子エッチング中で使用される)は、この例外であり、フッ素イオンは、細胞膜を通して角膜の厚さ全体に急速に浸透して、顕著な角膜および前眼部破壊を誘発する。同書。
【0004】
分類スキ-ムにより、眼科医は、損傷の重症度および損傷した目の進行を決定することができる。直後の管理は、暴露後のおびただしい量の洗浄からなる。直後および後期の効果的管理では、各時期に生じる細胞事象の理解が必要となる。適当な医療的および外科的ケアにより、これらの失明の可能性がある損傷にとっての最良の転帰の確保が支援され得る。同書。
【0005】
化学的損傷を管理する際には3つの主な目的:角膜上皮の回復を増進すること、コラ-ゲン分解および無菌性潰瘍形成を最小限に抑えながらコラ-ゲン合成を増加させること、ならびに炎症を制御すること、がある。重症の症例では、外科的処置が必要になり得る。現在、眼球表面の化学的熱傷を処置するこれら3つの主な目的全てを実現する効果的な薬理学的処置が、依然として必要とされている。同書。
【0006】
ヒト白血球抗原(HLA)適合ドナ-からの同種造血幹細胞移植(HSCT)は、血液疾患の処置の潜在的に治癒的形態である。同種HSCTの有効性は、生着を改善して再発リスクを低減する移植片対腫瘍効果に依存する。しかし、同種HSCTは、同種HSCTを受けた患者の罹患状態および死亡の主因である移植片対宿主病(GVHD)により、広範囲での使用が制限されてきた。GVHDの発症率は、同種HSCTを受けた患者の10~90%で変動する。GVHDを減弱しながら移植片対腫瘍効果を維持することが、医師に重大な難題を提起している。GVHDの病因は、多因子性である。GVHDは、ドナ-とレシピエントの適応免疫と自然免疫の間の複雑な相互作用から生じる免疫介在性疾患である。ドナ-に由来するCD4+およびCD8+T細胞は、GVHDの病因における主要なエフェクタ-細胞であると考えられている。GVHDにおいて、これらのドナ-由来T細胞は、宿主抗原、即ち日常的なHLAタイピングに含まれない少量の組織適合性抗原を外来物質として認識する。GVHDの発症率は、因子のうちでも、ドナ-組織の供給源、年齢、男性レシピエントに対する女性ドナ-、潜在的な疾患、コンディショニングの強度、および組織適合性の度合いに応じて変動する。GVHDにおける免疫攻撃のタ-ゲットは、主として皮膚、胃腸系、肝臓、肺、口腔粘膜および目である。眼GVHDは、同種HSCTを受けた患者の40~60%が罹患し、急性または慢性GVHDを有する患者に生じる可能性があり、慢性GVHDの患者の40~90%が、眼症状を発症する。眼GVHDは、マイボ-ム腺の炎症および瘢痕性傷跡または機能不全を通して眼表面および涙腺を罹患させる場合がある。眼GVHDの症状としては、中等度~重度の乾性角結膜炎、両側性辺縁角膜炎、前部ぶどう膜炎、角膜潰瘍形成、および/または血管新生を挙げることができる。例えば、開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる、Hasanain Shikari et al., “Ocular Graft-versus-Host Disease: A Review,” Survey of Ophthalmology, Vol. 58, No.3(May-June 2013)を参照されたい。
【0007】
眼GVHDの処置のために認可された市販の医薬製品はなく、眼炎症、詳細には眼GVHDに効果的な薬理学的処置が、依然として必要となされている。本発明は、当該技術分野におけるこの要求に適合する。
【0008】
ドライアイ疾患(DED)は、角膜、結膜および涙腺(LG)における慢性的炎症工程の症状発現である。現行の治療標準は、特定の炎症経路を標的とする局所薬物投与を必要とするが、それらは、多くのDED患者には無効であり、新規な治療模範が、緊急に求められている。
【0009】
細胞が、それぞれエキソソ-ムおよび微小胞と呼ばれるエンドソ-ムおよび形質膜を起源とする多様なタイプの膜小胞を、細胞外環境に放出する。これらの細胞外小胞は、膜の細胞と細胞基質タンパク質、脂質およびRNAの間の転位のためのビヒクルとして働くことにより、細胞間情報伝達の重要な様式を表す。例えば、Graca Raposo and Willem Stoorvogel, “Extracellular Vesicles: Exosomes, Microvesicles, and Friends,” The Journal of Cell Biology, Vol. 200, No. 4, 373-383 (2013)を参照されたい。WO2014/028493には、エキソソ-ム由来のカ-ディオスフェア由来細胞(CDC)、および傷害または疾患を負った細胞または組織、例えば傷害された心臓組織の修復または再生のための治療的有用性が記載されている。US2012/0315252にも、CDC、カ-ディオスフェアからのその誘導、および哺乳動物の傷害または疾患を負った心臓の機能を増強するための治療的有用性が記載されている。WO2005/012510にも、カ-ディオスフェア、ヒトまたは動物心臓組織生検試料からのそれらの誘導、ならびに心筋または他の臓器の細胞移植および機能的修復におけるそれらの治療的有用性が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の概要
本発明は、細胞外小胞、詳細にはカ-ディオスフェア由来細胞(CDC)に由来するエキソソ-ムが目の化学的損傷、詳細には角膜のアルカリ熱傷、ならびに眼GVHDおよび類似の炎症性眼病を処置するのに効果的である、という本発明者らによる驚くべき発見に基づく。目の化学的損傷、詳細には角膜のアルカリ熱傷、ならびに眼GVHDおよび類似の炎症性眼病を処置する細胞外小胞の潜在的な治療的有用性に関しては、当該技術分野では全く認識がなかったため、本発明は、本明細書に記載された通り、CDCに由来するエキソソ-ムが、角膜のアルカリ熱傷ならびに眼GVHDおよび類似の炎症性眼病の対象を処置するのに安全かつ有効であるということを予想外に示した関連の動物モデル実験における実証に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様は、必要とする対象において、目の化学的損傷、詳細には角膜、前眼房(線維柱帯網、水晶体および毛様体を含む)、結膜、角膜輪部、または強膜の化学的損傷を処置する方法であって、治療的有効量の細胞外小胞、詳細にはCDCに由来するエキソソ-ムを、対象の目に投与することを含む、方法を提供する。複数の実施形態において、対象は、哺乳動物、好ましくはヒトである。本発明の好ましい実施形態において、目の化学的損傷は、角膜のアルカリ熱傷である。
【0012】
本発明の第二の態様は、目の化学的損傷、詳細には角膜、前眼房(線維柱帯網、水晶体および毛様体を含む)、結膜、角膜輪部、または強膜の化学的損傷の処置における使用のための細胞外小胞を含む配合剤を提供する。
【0013】
幾つかの実施形態において、目の化学的損傷は、化学的熱傷、詳細には6、5、4、3、もしくは2未満のpHを有する酸剤への暴露により誘起された酸熱傷、または8、9、10、11、12、もしくは13を超えるpHを有するアルカリ剤への暴露により誘起されたアルカリ熱傷であり、酸剤は、塩酸(HCl)、フッ化水素酸(HF)、酢酸(CH3CO2H)、硫酸(H2SO4)、または亜硫酸(H2SO3)であり、アルカリ剤は、アンモニア(NH3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、アルカリ液または石灰である。
【0014】
追加の実施形態において、目の化学的損傷は、偶発的または敵対的行動(テロリズムまたは従来の戦闘行為)を原因とした化学剤への暴露により誘起される。
【0015】
本発明の第三の態様は、必要とする対象において眼炎症を処置するための方法であって、治療的有効量の細胞外小胞を対象の目に投与することを含む、方法を提供する。本発明は、眼炎症の患者を処置する際の使用のための細胞外小胞の配合剤を包含する。本発明は、眼炎症の患者を処置するための細胞外小胞の配合剤の使用を包含する。幾つかの実施形態において、投与は、局所投与または結膜下注射による。幾つかの実施形態において、眼炎症は、角膜浮腫を含む角膜の炎症、乾性角結膜炎(KCS)(ドライアイ症候群(DES)または乾性角膜炎とも呼ばれる)をはじめとする角膜炎、眼GVHD(詳細には患者が同種HSCTを受けた場合)、ぶどう膜炎、強膜炎、眼けん炎、虹彩炎、毛様体扁平部炎、硝子体炎、虹彩毛様体炎、脈絡網膜炎、シェ-グレン症候群、術後眼炎症、スティ-ブン・ジョンソン症候群に関連する眼障害、または眼天疱瘡もしくは眼瘢痕性類天疱瘡である。
【0016】
幾つかの実施形態において、細胞外小胞は、エキソソ-ム、微小胞、膜粒子、膜小胞、エキソソ-ム様小胞、エクトソ-ム、エクトソ-ム様小胞、エキソベシクル、エピジジモソ-ム(epididimosome)、アルゴソ-ム、プロミニノソ-ム、プロスタソ-ム、デキソソ-ム、テキソソ-ム、アルケオソ-ム、オンコソ-ムなどである。
【0017】
複数の実施形態において、投与は、皮下注射、経皮注射、皮内注射、局所投与(例えば、点眼薬の形態)、筋肉内注射、リンパ組織への注射、リンパ系への注射、全身投与(例えば、経口、静脈内、腸管内(intraparenteral))などによる。
【0018】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、結晶状溶液(例えば、Plasmalyte、通常の生理食塩水)、水性溶液、ゲル、軟膏、クリ-ム、局所または埋込式ヒドロゲル、粉末、スプレ-、持続放出性ポリマ-(例えば、PLGAおよびPLA)、ポリエチレングリコ-ル(PEG)含有溶液、懸濁液、エマルジョンの中に、薬物送達デバイス、挿入物、パッチなどの一部として配合される。複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、使用前に、適当な緩衝液、例えばヒト血清アルブミンを含む、または含まない滅菌PBSに再懸濁される。幾つかの実施形態において、エキソソ-ムは、以後の使用のために貯蔵され得、例えば-80℃で凍結され得る。
【0019】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、ヒトまたは動物の細胞に由来する。複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、カ-ディオスフェアまたはCDCから調製される。幾つかの実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、胚幹細胞、多能性(pluripotent)幹細胞、分化多能性(multipotent)幹細胞、人工多能性幹細胞、出生後幹細胞、成体幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、内皮幹細胞、上皮幹細胞、神経幹細胞、心臓前駆細胞を含む心臓幹細胞、骨髄由来幹細胞、脂肪細胞由来幹細胞、肝臓幹細胞、末梢血由来幹細胞、臍帯血由来幹細胞、胎盤幹細胞などの再生幹細胞から調製される。
【0020】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、特異的標的部位にそれらを方向づけるように修飾されている(例えば、遺伝子的または他の方法で)。例えば修飾は、幾つかの実施形態において、エキソソ-ム上の特異的細胞表面マ-カの発現を誘導して、所望の標的組織上の受容体との特異的相互作用をもたらすことを含み得る。幾つかの実施形態において、エキソソ-ムの本来の内容物が除去されて、所望の外因性タンパク質および/または核酸が交換または補充される。
【0021】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、miR-146a、miR-148a、miR-22、miR-24、miR-210、miR-150、miR-140-3p、miR-19a、miR-27b、miR-19b、miR-27a、miR-376c、miR-128、miR-320a、miR-143、miR-21、miR-130a、miR-9、miR-185、およびmiR-23aから選択される1種または複数のマイクロRNAを含む。好ましい実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、miR-146aおよびmiR-210を含む。複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、hsa-miR-23a-3p、hsa-miR-130a-3p、hsa-miR-21-5p、hsa-miR-4516、hsa-let-7a-5p、hsa-miR-125b-5p、hsa-miR-199a-3p、hsa-miR-199b-3p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-24-3p、hsa-miR-1290、hsa-miR-320e、hsa-miR-423-5p、hsa-miR-22-3p、hsa-miR-222-3p(miR-221-3pとしても公知)、hsa-miR-100-5p、hsa-miR-337-5p、hsa-miR-27b-3p、hsa-miR-1915-3p、およびhsa-miR-29b-3p、hsa-miR-25-3p(miR-92a-3pとしても公知)から選択される1種または複数のマイクロRNAを含む。
【0022】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、生体タンパク質、例えば転写因子、サイトカイン、成長因子、および標的細胞中のシグナル伝達経路をモジュレ-トし得る類似のタンパク質を含有する。幾つかの実施形態において、生体タンパク質は、組織の再生および/または改善された機能を促進することができる。幾つかの実施形態において、生体タンパク質は、Irak1、Traf6、Toll様受容体(TLR)シグナル伝達経路、NOX-4、SMAD-4、および/またはTGF-βに関連する経路をモジュレ-トすることができる。幾つかの実施形態において、生体タンパク質は、Hsp70、Hsp90、14-3-3イプシロン、PKM2、GW182およびAGO2などの細胞基質タンパク質のエキソソ-ム形成およびパッケ-ジングに関する。幾つかの実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、シグナル伝達脂質、例えばセラミドおよび誘導体を含有する。
【0023】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、テトラスパニン、例えばCD63、CD81、CD82、CD53、および/またはCD37を発現する。幾つかの実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、1種または複数の脂質ラフト関連タンパク質(例えば、グリコシルホスファチジルイノシト-ルアンカ-型タンパク質およびフロチリン)、コレステロ-ル、スフィンゴミエリン、および/またはヘキソシルセラミドを発現する。
【0024】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、例えば約15~250nm、約15~205nm、約90~220nm、約30~200nm、約20~150nm、約70~150nm、または約40~100nm、の径を有する。複数の実施形態において、細胞外小胞、例えば微小胞は、例えば約100~1000nm、の径を有する。
【0025】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、精製されて、混入物または望ましくない化合物が、エキソソ-ムから除去される。幾つかの実施形態において、患者は、実質的に精製されたエキソソ-ムを投与され、混入物の約50%~90%、または最大100%が、エキソソ-ムから除去されている。幾つかの実施形態において、エキソソ-ム調製物は、非エキソソ-ム成分を本質的に含まない。
【0026】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムは、1種または複数の追加の薬剤と組み合わせて投与される。例えば複数の実施形態において、エキソソ-ムは、エキソソ-ム由来の1種または複数のタンパク質または核酸と組み合わせて投与される。複数の実施形態において、エキソソ-ムが単離された細胞が、エキソソ-ムと併せて投与される。複数の実施形態において、そのようなアプロ-チは、有利には急性またはより長期のエキソソ-ム送達を提供する(例えば、急性は実際上のエキソソ-ム送達に基づき、長期は細胞内送達に基づき、その細胞が送達後にエキソソ-ムを分泌し続ける)。
【0027】
複数の実施形態において、細胞外小胞、例えばエキソソ-ムの用量は、約1.0×105~約1.0~109エキソソ-ムの範囲内である。特定の実施形態において、エキソソ-ム用量は、キログラムベ-スで、例えば約1.0×105エキソソ-ム/kg~約1.0×109エキソソ-ム/kgで投与される。追加の実施形態において、エキソソ-ムは、標的組織の重量に基づく量で、例えば約1.0×105エキソソ-ム/グラム標的組織~約1.0~109エキソソ-ム/グラム標的組織で送達される。複数の実施形態において、エキソソ-ムは、特定の標的組織中の細胞数に対するエキソソ-ム数の比に基づいて投与される。エキソソ-ムが、現行の治療(例えば、エキソソ-ムを依然として放出し得る細胞、医薬療法、核酸療法など)と併せて投与される場合、投与されるエキソソ-ムの用量は、それに応じて調整され得る(例えば、所望の治療効果を実現するのに必要なほど増加または減少)。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】アルカリ熱傷モデルを作製するために用いられたスプラグ-ドゥ-リ-・ラットの目を示した写真である。
【
図1B】
図1Aに関して、目のアルカリ熱傷を誘導するために水酸化ナトリウムで浸漬された濾紙の配置を示した写真である。
【
図1C】
図1Bに関して、アルカリ熱傷を目の中に誘導する方法を示した図解である。
【
図2】21日間にわたる、対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を示した写真である。
【
図3】結膜充血のパラメ-タに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図4】角膜混濁のパラメ-タに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図5】罹患した角膜表面積のパラメ-タに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図6】角膜血管性パンヌスのパラメ-タに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図7】炎症の尺度としての房水フレアのパラメ-タに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図8】炎症の尺度としての房水の細胞(aqueous cell)のパラメ-タに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図9】
図3に示された角膜充血、
図4に示された角膜混濁、
図5に示された罹患した角膜表面積、
図6に示された角膜血管性パンヌス、
図7に示された房水フレアおよび
図8に示された房水の細胞のパラメ-タの平均スコアの合計である全臨床スコアに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図10】フルオレセイン染色を用いて評価された上皮欠損面積のパラメ-タに及ぼす、21日間にわたる対照群に対するエキソソ-ムの局所および結膜下投与の影響を図表で示す。
【
図11】涙腺自己抗原に対して活性化された自己末梢血リンパ球を、静脈内投与を利用して試験動物に養子移入されて、軽~中等度自己免疫炎症性ドライアイ疾患を導いた、炎症性自己免疫性ドライアイ症候群の養子移入ウサギモデルを示す。
【
図12A】自己MCR(混合型細胞反応)活性化末梢血リンパ球のIV注射、ならびにCDC-EV(OD目)およびビヒクル(OS目)での2つの結膜下処置による養子移入の後の平均ロ-ズベンガルスコアを図表で示す。OD目へのCDC-EVの各結膜下注射の後およそ4週間で、ロ-ズベンガル染色スコアの有意な減少があったが、そのような有意差は、ビヒクル注射を受けた同じ動物のOS目では検出されなかった。P値は、有意な時点で示される。
【
図12B】自己MCR(混合型細胞反応)活性化末梢血リンパ球のIV注射、ならびにCDC-EV(OD目)およびビヒクル(OS目)での2つの結膜下処置による養子移入の後の平均ロ-ズベンガルスコアを図表で示す。OD目へのCDC-EVの各結膜下注射の後およそ4週間で、ロ-ズベンガル染色スコアの有意な減少があったが、そのような有意差は、ビヒクル注射を受けた同じ動物のOS目では検出されなかった。P値は、有意な時点で示される。
【
図13A】自己MCR活性化末梢血リンパ球のIV注射、ならびにCDC-EV(OD目)およびビヒクル(OS目)での2つの結膜下処置による養子移入の後の平均シルマ-ティアテスト-I(STT-I)スコアを図表で示す。平均STT-I増加は、ODで統計学的有意性に達したが(P=0.046)、OSでは達しなかった(P=0.100)。
【
図13B】自己MCR活性化末梢血リンパ球のIV注射、ならびにCDC-EV(OD目)およびビヒクル(OS目)での2つの結膜下処置による養子移入の後の平均シルマ-ティアテスト-I(STT-I)スコアを図表で示す。平均STT-I増加は、ODで統計学的有意性に達したが(P=0.046)、OSでは達しなかった(P=0.100)。
【
図14A】眼けん炎、結膜水腫、および眼濃厚滲出液(ocular dense exudate)を示す(矢印)。
【
図14B】充血した眼けん結膜血管の細部を示す(矢印)。
【
図15A】群A(ビヒクル対照)動物へのエキソソ-ムの結膜下注射の前の代表的な角膜潰瘍画像を示す(2日目、フルオレセイン染色)。
【
図15B】群B(低用量エキソソ-ム)動物への細胞外エキソソ-ムの結膜下注射の前の代表的な角膜潰瘍画像を示す(2日目、フルオレセイン染色)。
【
図15C】群C(高用量エキソソ-ム)動物への細胞外エキソソ-ムの結膜下注射の前の代表的な角膜潰瘍画像を示す(2日目、フルオレセイン染色)。
【
図16A】群A(ビヒクル対照)動物における涙液生成の変遷を示す。
【
図16B】群B(低用量エキソソ-ム)動物における涙液生成の変遷を示す。
【
図16C】群C(高用量エキソソ-ム)動物における涙液生成の変遷を示す。
【
図17A】群A(ビヒクル対照)動物における摂餌量の変遷を示す。
【
図17B】群B(低用量エキソソ-ム)動物における摂餌量の変遷を示す。
【
図17C】群C(高用量エキソソ-ム)動物における摂餌量の変遷を示す。
【
図18】群A(ビヒクル対照)動物における摂水量の変遷を示す。
【
図19】群B(低用量エキソソ-ム)動物における摂水量の変遷を示す。
【
図20】群C(高用量エキソソ-ム)動物における摂水量の変遷を示す。
【
図21-1】
図21A-
図21B。群A(ビヒクル対照)の#005ウサギの角膜実質における角膜上皮細胞の剥離、線維形成、および炎症細胞の軽度浸潤を示す。
【
図21-2】
図21C-
図21D。群A(ビヒクル対照)の#005ウサギの角膜実質における線維形成の細部を示す(MTC染色)。
【
図22-1】
図22A-
図22B。群B(低用量エキソソ-ム)の#004ウサギのデスメ膜(矢印)における中等度の炎症性浸潤を示す。
【
図22-2】
図22C-
図22D。群B(低用量エキソソ-ム)の#004ウサギの角膜上皮細胞の剥離を示す(MTC染色)。
【
図23-1】
図23A-
図23B。群C(高用量エキソソ-ム)の#037ウサギの角膜上皮細胞の中等度の剥離および軽微な炎症細胞浸潤を示す。
【
図23-2】
図23C-
図23D。群C(高用量エキソソ-ム)の#037ウサギの角膜上皮細胞の剥離を示す(MTC染色)。
【
図24-1】
図24A-
図24B。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの角膜における組織学的病変がないことを示す(HE染色)。
【
図24-2】
図24C-
図24D。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの角膜における組織学的病変がないことを示す(MTC染色)。
【
図25-1】
図25A-
図25B。虹彩角膜角における、群A(ビヒクル対照)の#005ウサギの眼球結膜および毛様体(矢印)での軽度の炎症細胞浸潤を示す(HE染色)。
【
図25-2】
図25C。群A(ビヒクル対照)の#011ウサギの眼球結膜における炎症細胞(矢印)の軽度浸潤および重度の線維形成を示す(HE染色)。
【
図25-3】
図25D。群A(ビヒクル対照)の#011ウサギの毛様体における軽度浮腫および炎症細胞の軽微浸潤を示す(HE染色)。
【
図25-4】
図25E-
図25F。群A(ビヒクル対照)の#011ウサギの虹彩角膜および毛様体における重度線維形成を示す(MTC染色)。
【
図26-1】
図26A。群B(低用量エキソソ-ム)の#004ウサギの眼球結膜における中等度の線維形成および炎症細胞(矢印)の軽微浸潤を示す(HE染色)。
【
図26-2】
図26B。群B(低用量エキソソ-ム)の#004ウサギの毛様体における炎症細胞(矢印)の軽度浸潤および線維形成を示す(HE染色)。
【
図26-3】
図26C-
図26D。群B(低用量エキソソ-ム)の#004ウサギの眼球結膜における中等度の線維形成を特に注射された角度で示す(MTC染色)。
【
図26-4】
図26E-
図26F。群B(低用量エキソソ-ム)の#004ウサギの毛様体における軽度線維形成を示す(MTC染色)。
【
図27-1】
図27A。群B(低用量エキソソ-ム)の#036ウサギの眼球結膜における組織学的病変がないことを示す(HE染色)。
【
図27-2】
図27B。群B(低用量エキソソ-ム)の#036ウサギの毛様体における炎症細胞(矢印)の極微細な浸潤を示す(HE染色)。
【
図27-3】
図27C。群B(低用量エキソソ-ム)の#036ウサギの眼球結膜を示す(MTC染色)。
【
図27-4】
図27D。群B(低用量エキソソ-ム)の#036ウサギの毛様体において、線維形成が存在しないことを示す(MTC染色)。
【
図28-1】
図28A群C(高用量エキソソ-ム)の#037ウサギの眼球結膜における炎症細胞(矢印)の極微細な浸潤を示す(HE染色)。
【
図28-2】
図28B。群C(高用量エキソソ-ム)の#037ウサギの毛様体における炎症細胞(矢印)の極微細な浸潤を示す(HE染色)。
【
図28-3】
図28C-
図28D。群C(高用量エキソソ-ム)の#037ウサギの線維形成を含まない虹彩角膜角を示す(MTC染色)。
【
図29-1】
図29A-
図29B。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの眼球結膜における中等度の線維形成、浮腫および炎症細胞浸潤を示す(HE染色)。
【
図29-2】
図29C。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの眼球結膜における炎症細胞(矢印)の中等度浸潤を示す(HE染色)。
【
図29-3】
図29D。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの毛様体における極微細な浮腫を示す(HE染色)。
【
図30-1】
図30A-
図30B。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの眼球結膜における中等度の線維形成を示す(MTC染色)。
【
図30-2】
図30C。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの眼球結膜における中等度の線維形成を示す(MTC染色)。
【
図30-3】
図30D。群C(高用量エキソソ-ム)の#040ウサギの線維形成を含まない毛様体を示す(MTC染色)。
【
図31-1】
図31A-
図31B。群C(高用量エキソソ-ム)の#041ウサギの角膜における構造分布と共に限局性の線維形成を示す(MTC染色)。
【
図31-2】
図31C-
図31D。群C(高用量エキソソ-ム)の#041ウサギの虹彩角膜角での重度線維形成を示す(MTC染色)。
【
図32-1】
図32A。群C(高用量エキソソ-ム)の#041ウサギの右目の虹彩血管充血、角膜浮腫および浸出液を示す。
【
図32-2】
図32B。群C(高用量エキソソ-ム)の#041ウサギの右目のフルオレセイン染色により明確にされた角膜潰瘍を示す。
【
図33-1】
図33A。群C(高用量エキソソ-ム)の#039ウサギの眼球結膜を示す。
【
図33-2】
図33B。群C(高用量エキソソ-ム)の#039ウサギの軟骨過形成を示す。
【
図34-2】
図34C-
図34D。群B(低用量エキソソ-ム)の#003ウサギの耳下腺リンパ節を示す(HE染色)。
【
図34-3】
図34E-
図34F。群C(高用量エキソソ-ム)の#034ウサギの耳下腺リンパ節を示す(HE染色)。
【
図35】高用量エキソソ-ムで処置されたウサギが、ビヒクルで処置された動物(5.8±3.4mm
2)よりも小さな面積(3.5±1.3mm
2)の、耳下腺リンパ節中リンパ組織を示しており、それらのリンパ節における免疫反応の低下が示唆されることを示す。
【
図36】4日目と2日目を対比させた、ビヒクル、低用量エキソソ-ムおよび高用量エキソソ-ム処置ウサギにおける角膜厚測定レベルを表す。高用量エキソソ-ム群を対照群に比較した時、角膜厚測定により分析された角膜厚のより大きな減少が観察された。
【
図37】2、3、4および5日目のビヒクル、低用量エキソソ-ムおよび高用量エキソソ-ム処置ウサギにおける平均角膜潰瘍の変遷を表す。
【
図38】3および4日目のビヒクル、低用量エキソソ-ムおよび高用量エキソソ-ム処置ウサギにおける基底量と対比させた倍率摂餌量を表す。
【
図39】3および4日目のビヒクル、低用量エキソソ-ムおよび高用量エキソソ-ム処置ウサギにおける基底量と対比させた倍率摂水量を表す。
【
図40】急性LPS角膜炎ウサギモデルにおけるCDC-EVの有効性を評価するための試験計画を略図で表す。
【
図41】急性眼GVHDマウスモデルにおけるCDC-EVの有効性を評価するための試験計画を略図で表す。
【
図42】色素不含または色素添加エキソソ-ム(UFC)の結膜下送達後の結膜下注射送達を表す。健常マウスに、10マイクロリットル容量のDiRで標識された粒子7.6×10
7個を結膜下注射し、1時間後に目のDiRの存在を、Xenogen IVIS Imaging Systemを用いて定量した。対照動物は、同様の量のDiRを含むビヒクルを受けた。
【
図43】非処置マウス(ナイ-ブ)に比較した、処置(右)および非処置(左)の目における色素不含(「ビヒクル」)または色素添加エキソソ-ム(0.5×10
9個、「純粋なUFC」)のマウスへの結膜下送達後1時間目の生体分布を表す。
【
図44】結膜下送達後のエキソソ-ムの生体分布および滞留を表す。蛍光色素を含有する3種の異なる量のエキソソ-ムを、マウスの目への結膜下注射により送達させ、マウスを、投与後24時間目の蛍光について評定した。
【
図45】エキソソ-ムの結膜下送達後24時間目の様々な臓器にエキソソ-ムがないことを表す。5×10
8DiR標識粒子を結膜下注射されたマウスを、投与後24時間目に殺処分し、DiRシグナルを、心臓、肝臓、肺、脾臓および腎臓でテストした。DiRシグナルは、送達後少なくとも7日間はエキソソ-ム処置の目で観察されたが、テストされた他の臓器では観察されなかった。
【
図46】色素不含(「ビヒクル」)または色素添加エキソソ-ム(0.5×10
9個)のマウスへの結膜下送達後の様々な時間の生体分布を表す。健常なマウスに、15マイクロリットル容量のDiR標識粒子5×10
8個、または同様の量のDiRを含有するビヒクル15マイクロリットルを結膜下注射した。目のDiRシグナルを、Xenogen IVIS Imaging Systemを用いて生成物注射後12時間、追跡調査した。DiRシグナルを、送達後少なくとも7日間、エキソソ-ム処置の目で観察した。
【
図47】マウスモデルにおけるEVの眼内生体分布およびクリアランスを評価するための試験計画を略図で表す。
【
図48】
図48Aは、健常マウスモデルにおける結膜下投与後のCDC-EVの生体分布を図表で示す。
図48Bは、結膜下投与を受けた右目のアルカリ熱傷後のCDC-EVの生体分布を図表で示す。
図48Cは、健常マウスにおける局所投与後のCDC-EVの生体分布を図表で示す。
図48Dは、アルカリ熱傷後の局所投与でのCDC-EVの生体分布を図表で示す。
図48Eは、健常マウスにおける結膜下投与後のCDC-EVの生体分布を図表で示す。
図48Fは、右目にアルカリ熱傷を受けたマウスにおける結膜下投与後のMSC-EVの生体分布を図表で示す。
図48A~Fでは、n=3または4、
*=ビヒクルと比較してp≦0.05。
【
図49】
図49A-
図49D。比較のため、結膜投与または局所投与、および健常または損傷マウスにより群分けされたCDC-EVの1時間デ-タを図表で示す。
【
図50】投与後1時間目の4種のCDC-EV実験の生体分布の比較を図表で示しており、ここでn=3または4、
*=ビヒクルと比較してp≦0.05。
【
図51】CDC-EVとMSC-EVの対比を図表で示しており、ここでn=3または4、
*=ビヒクルと比較してp≦0.05。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の詳細な記載
A)臨床での症状発現
目の化学的損傷を記載するために、数多くの分類スキ-ムが存在する。様々なスキ-ムで共通する因子は、最初の評定時の、結膜、角膜輪部、および角膜(上皮および実質)の損傷の程度の臨床的決定である。角膜輪部虚血および角膜薄濁の存在および度合いをはじめとする重要な因子が、損傷を分類するのに用いられる。Thofにより改変されたヒュ-ズ分類スキ-ムは、表1に要約される通り、化学的損傷を増悪の重症度の順に4つのカテゴリ-に分別するものである。
【表1】
【0030】
グレ-ドIの損傷は、角膜上皮のみがかかわり、異なった角膜上皮の供給源として働く角膜輪部幹細胞は、免れている。角膜は、上皮が露出されているが、無傷のままである。角膜輪部の虚血はない。グレ-ドII損傷は、限局性の角膜輪部虚血を伴う角膜輪部幹細胞の部分的消失を特徴とする。角膜は、薄濁しているが、前部構造(虹彩、水晶体)は、依然として目視できる。グレ-ドIII損傷は、角膜輪部のほとんどの顕著な虚血に加え、前眼房構造の視野を限定する重大な角膜薄濁を特徴とする。広範囲の角膜輪部幹細胞の消失により、グレ-ドIII損傷の患者は、予後が警戒される。グレ-ドIII損傷の後、角膜の表面再生のみが、角膜実質を覆う結膜上皮の生育により完遂され得る。視覚の改善は多くの場合、外科的処置を行わなければ実現されない。グレ-ドIV損傷は、角膜上皮および角膜輪部幹細胞の完全な消失に加え、近位結膜上皮の消失を特徴とする。損傷した角膜は、混濁しているため、前眼房を見ることができない。50%を超える角膜輪部が、虚血性である。角膜表面を再構築するための内因性供給源がなければ、積極的な内科的および外科的管理を行っても、無菌性潰瘍形成が、グレ-ドIV損傷の共通する後遺症になる。
【0031】
本発明の目的では、本明細書で用いられる「処置すること」などの用語は、診断された病的状態もしくは障害の症状を治癒、緩徐化、低減し、そして/または状態もしくは障害の進行を停止させる治療的手段を指す。例えば対象が、Thofにより改変されたヒュ-ズ分類スキ-ムにより臨床改善を示す場合には、対象は、本発明の方法による「処置」に成功している。
【0032】
B)カ-ディオスフェア
カ-ディオスフェアは、開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる、WO2005/012510、およびMessina et al.,“Isolation and Expansion of Adult Cardiac Stem Cells From Human and Murine Heart,” Circulation Research,95:911-921(2004)に記載される通り、自己接着性クラスタ-(self-adherent clusters)として生育する未分化心臓細胞である。
【0033】
手短に述べると、心臓組織は、手術または心臓生検の際に患者から採取され得る。心臓組織は、左心室、右心室、隔膜、左心房、右心房、分界稜、右心室心内膜、隔壁もしくは心室壁、心室付属器、またはそれらの組み合わせから回収され得る。生検は、例えば開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2009/012422号および同第2012/0039857号に記載される通り、例えば経皮生検鉗子を用いることにより、得ることができる。その後、組織を直接培養することができ、または別法として心臓組織を凍結、解凍し、その後、培養することができる。組織は、コラゲナ-ゼ、トリプシンなどのプロテア-ゼ酵素で消化され得る。心臓組織を外植片として培養して、線維芽細胞様細胞およびカ-ディオスフェア形成細胞をはじめとする細胞を、外植片から発生させることができる。幾つかの例において、外植片は、細胞外マトリックス(例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラ-ゲン、エラスチン、または他の細胞外マトリックスタンパク質)の1種または複数の成分でコ-ティングされた細胞容器で培養される。組織外移植片は、カ-ディオスフェア形成細胞を採取する前の約1、2、3、4週間、またはより長期間、培養され得る。線維芽細胞様細胞の層が、外植片から生育して、カ-ディオスフェア形成細胞が出現し得る。カ-ディオスフェア形成細胞は、位相差顕微鏡測定の下では、小さく円形で明るい相の(phase-bright)細胞として出現し得る。カ-ディオスフェア形成細胞を含む外植片を取り囲む細胞を、用手法により、または酵素消化により、採取し得る。採取されたカ-ディオスフェア形成細胞は、カ-ディオスフェアの形成を促進する条件下で培養され得る。幾つかの態様において、細胞は、緩衝培地、アミノ酸、栄養素、血清または血清代用物、非限定的にEGFおよびbFGFをはじめとする増殖因子、非限定的にカ-ディオトロフィンをはじめとするサイトカイン、および非限定的にトロンビンなどの他のカ-ディオスフェア促進因子を含むカ-ディオスフェア生育培地で培養される。カ-ディオスフェア形成細胞は、約20,000~100,000細胞/mLなど、カ-ディオスフェア形成に必要となる適当な密度で播種され得る。細胞は、ポリ-D-リジンがコ-ティングされた、または細胞が皿の表面に付着するの妨害する天然もしくは合成分子がコ-ティングされた滅菌皿で培養され得る。カ-ディオスフェアは、カ-ディオスフェア形成細胞が播種された後の約2~7日目またはさらに後に自然に出現し得る。
【0034】
C)カ-ディオスフェア由来細胞(CDC)
CDCは、例えば開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2012/0315252号に記載された手法で、カ-ディオスフェアを操作することにより作製された細胞の集団である。例えばCDCは、培養容器の固体表面への細胞接着を援助する物質、例えばフィブロネクチン、ヒドロゲル、ポリマ-、ラミニン、血清、コラ-ゲン、ゼラチン、またはポリ-D-リジンでコ-ティングされた固体表面にカ-ディオスフェアを播種すること、およびそれを接着性単層培養物として増殖させることにより作製され得る。CDCは、標準の細胞培養法に従って繰り返し継代培養され得る、例えば2回以上継代培養され得る。
【0035】
D)エキソソ-ム
エキソソ-ムは、細胞の形質膜の多胞体またはエンドソ-ム関連領域を含む特異的な細胞内経路を介して形成された小胞である。エキソソ-ムは、径がおよそ20~150nmサイズの範囲内であり得る。幾つかの例において、それらは、およそ1.1~1.2g/mLの特徴的な浮遊密度、および特徴的な脂質組成を有する。それらの脂質膜は、典型的にはコレステロ-ルが豊富であり、スフィンゴミエリン、セラミド、脂質ラフトおよび露出したホスファチジルセリンを含有する。エキソソ-ムは、インテグリンおよび細胞接着分子などの特定のマ-カタンパク質を発現するが、一般にリソゾ-ム、ミトコンドリア、またはカベオラのマ-カが欠如する。幾つかの実施形態において、エキソソ-ムは、非限定的にタンパク質、DNAおよびRNA(例えば、マイクロRNAおよびノンコ-ティングRNA)などの細胞由来成分を含有する。幾つかの実施形態において、エキソソ-ムは、エキソソ-ムのレシピエントに関して同種、自己、異種、または合成の供給源から得られた細胞から得ることができる。
【0036】
特定の型のRNA、例えばマイクロRNA(miRNA)は、エキソソ-ムにより輸送されることが知られている。miRNAは、多くの場合標的メッセンジャ-RNA転写産物(mRNA)上の相補性配列に結合し、それにより翻訳抑制、標的mRNA分解および/または遺伝サイレンシングをもたらすことを通して、翻訳後調節物質として機能する。例えばWO2014/028493に記載される通り、miR146aは、正常なヒト皮膚線維芽細胞から単離されたエキソソ-ムに比較して、CDCにおいて250倍を超える発現増加を呈し、miR210は、およそ30倍、上方制御される。
【0037】
カ-ディオスフェアおよびCDCに由来するエキソソ-ムは、例えば開示が全体として参照により本明細書に組み入れられるWO2014/028493に記載されている。エキソソ-ムを調製するための方法は、カ-ディオスフェアまたはCDCをコンディション培地で培養するステップと、細胞をコンディション培地から単離するステップと、例えば連続遠心分離により、エキソソ-ムを精製するステップと、場合により密度勾配、例えばショ糖密度勾配でエキソソ-ムを透明化するステップと、を含み得る。幾つかの例において、単離および精製されたエキソソ-ムは、カ-ディオスフェアまたはCDCの成分などの非エキソソ-ム成分を本質的に含まない。エキソソ-ムは、0.01~1%ヒト血清アルブミンを含有する滅菌PBS緩衝液などの緩衝液に再懸濁され得る。エキソソ-ムを、以後の使用のために凍結および貯蔵してもよい。
【0038】
エキソソ-ムは、非限定的にExoSpin(商標) Exosome Purification Kit、Invitrogen(登録商標) Total Exosome Purification Kit、PureExo(登録商標) Exosome Isolation Kit、およびExoCap(商標) Exosome Isolation Kitなどの市販のキットを用いて調製され得る。エキソソ-ムを幹細胞から単離するための方法は、例えばTan et al.,Journal of Extracellular Vesicles,2:22614(2013);Ono et al.,Sci Signal,7(332):ra63(2014)、ならびに米国特許出願公開第2012/0093885号および同第2014/0004601号に見出される。エキソソ-ムをカ-ディオスフェア由来細胞から単離するための方法は、例えばIbrahim et al.,Stem Cell Reports,2:606-619(2014)に見出される。採取されたエキソソ-ムは、当該技術分野で公知の方法を用いて濃縮および/または精製され得る。特定の方法論としては、超遠心分離、密度勾配、HPLC、親和性に基づく基質への接着、またはサイズ排除に基づく濾過が挙げられる。
【0039】
例えば、分画超遠心分離は、分泌されたエキソソ-ムを培養細胞の上清から単離する最先端技術となった。このアプロ-チは、比較的低い浮遊密度を活用することにより、エキソソ-ムをノンメンブレン粒子から分離することができる。サイズ排除は、生化学的に類似しているが生物物理学的に異なる、最大1,000nmの大きな径を有する微小胞からの分離を可能にする。浮遊速度の差が、異なるサイズのエキソソ-ムの分離をさらに可能にする。一般にエキソソ-ムのサイズは、40~100nmのサイズをはじめとする30~200nmの範囲内の径を有するであろう。さらなる精製は、該当する個々のエキソソ-ムの特異的性質に依存し得る。これには、例えばエキソプラスミックまたは外向きの配列を有する特異的小胞を選択するための該当するタンパク質での免疫吸着の利用がある。
【0040】
現行の方法、例えば分画遠心分離、不連続密度勾配、免疫親和性、限外濾過および高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)のうち、分画超遠心分離は、エキソソ-ム単離のために最も一般的に用いられる。この技術は、2000×gから10,000×gへ遠心力を上昇させて、100,000×gでエキソソ-ムペレットから中および大型粒子ならびに細胞屑を分離することを利用する。遠心分離のみで、コンディション培地からエキソソ-ムの相当な量の分離/採取が可能であるが、培地からの様々なタンパク質凝集物、遺伝子材料、微粒子、および一般の混入物である細胞屑を除去するには不十分である。エキソソ-ム精製の特異性を高めて、連続遠心分離を限外濾過と組み合わせて、またはショ糖密度勾配での平衡密度勾配遠心分離を展開して、エキソソ-ム調製物のより大きな純度(浮遊密度1.1~1.2g/mL)または調製時の離散型シュガ-クッション(discrete sugar cushion)の適用を提供してもよい。
【0041】
重要なこととして、限外濾過は、生物活性を損なわずにエキソソ-ムを精製するのに用いることができる。100kDa分子量カットオフ(MWCO)などの異なる孔径の膜、および小さな粒子を排除するゲル濾過は、非中性pHまたは非生理学的塩濃度の利用を回避するために用いられてきた。現在利用可能なタンジェンシャルフロ-フィルトレ-ション(TFF)システムは、増量可能であり(10,000Lより多くまで)、エキソソ-ム画分を精製するだけでなく濃縮することも可能であり、そのようなアプロ-チは、分画遠心分離よりも所要時間が短い。HPLCを用いれば、エキソソ-ムをホモジナイズでサイズ分類される粒子に精製し、調製物が生理学的pHおよび塩濃度で保持されるため生物活性を維持することができる。
【0042】
他の化学的方法は、沈殿技術のためのエキソソ-ムの異なる溶解度、体積排除ポリマ-(例えば、ポリエチレングリコ-ル(PEG))への付加、ことによると追加的遠心分離または濾過の組み合わせを活用してきた。例えば沈殿試薬ExoQuick(登録商標)を、コンディション細胞培地に添加して、エキソソ-ムの集団を急速かつ迅速に沈殿させることができるが、この技術を介して調製されたペレットの再懸濁が、困難な場合がある。フロ-・フィ-ルド・フロ-・フラクショネ-ション(FlFFF)は、巨大分子(例えば、タンパク質)とナノ~マイクロサイズの粒子(例えば、オルガネラおよび細胞)を分離および特徴づけるために用いられる溶出に基づく技術であり、培養培地からエキソソ-ムを分画するための適用に成功している。
【0043】
一般的な生化学的および生物物理学的特色に依存するこれらの技術以上に、関心を集めた技術は、該当する特異的エキソソ-ムを単離するために適用することができる。これは、特定のエキソソ-ム関連抗原を認識する抗体免疫親和性に依存することを含む。記載された通り、エキソソ-ムはさらに、膜表面で膜結合受容体の細胞外ドメインを発現する。これは、共有する抗原プロファイルに基づき、親細胞起源に関連するエキソソ-ムを単離および区別するためのうってつけの機会を提供する。磁気ビ-ズ、クロマトグラフィ-マトリックス、プレ-ト、またはマイクロ流体デバイスへのコンジュゲ-ションが、該当する親細胞からの生成、または関連の細胞調節状態に関連づけられ得るために、該当する特異的エキソソ-ム集団の単離を可能にする。他の親和性捕捉法は、エキソソ-ム表面の特異的糖残基に結合するレクチンを利用する。
【0044】
E)実施例
本発明を、以下の非限定的実施例を参照してさらに記載する。
【0045】
実施例1:CDCの培養
CDCは、開示が全体として参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2012/0315252号に記載される通り調製した。
【0046】
手短に述べると、心臓生検を小さな断片に摩砕して、コラゲナ-ゼで手短に消化した。その後、外植片を20mg/mLフィブロネクチンコ-ティング皿で培養した。角膜実質様の平坦な細胞および明るい相の円形細胞が、組織断片から自然に発生して、2~3週間でコンフルエンシ-に達した。0.25%トリプシンを用いてこれらの細胞を回収して、20mg/mLポリ-d-リジンで懸濁培養し、自己凝集性カ-ディオスフェアを形成させた。フィブロネクチンコ-ティングフラスコ上のカ-ディオスフェアを接着単層培養物として播種および増殖させることにより、CDCを得た。培養物は全て、10%FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、および2-メルカプトエタノ-ル0.1mLを補充されたIMDM基本培地を用いて、5%O2、5%CO2および37℃で保持した。CDCを、フィブロネクチンコ-ティングフラスコで100%コンフルエンシ-まで生育させて5回継代培養した。
【0047】
実施例2:CDCからのエキソソ-ムの単離
CDCが、所望のコンフルエンシ-に達したら、フラスコをPBSで3回洗浄した。CDCを無血清培地(IMDM)で処置し、5%O2、5%CO2にて37℃で15日間インキュベ-トした。15日後に、コンディション培地を225mL BD Falconポリプロピレンコニカルチュ-ブ(BD 352075-Blue Top)に採取し、2,000rpmにて4℃で20分間遠心分離して、細胞および細胞片を除去した(ペレットが崩れないように注意を払った)。コンディション培地を0.45μmメンブレンフィルタ-に通した。コンディション培地を、遠心式フィルタ-を用いて濃縮した。3KDa Centricon Plus-70 Centrifugal Filterを、分子等級の水10~25mLで予めすすぎ、3220gにて18℃で5分間遠心分離した。フィルタ-をすすいだら、残留水の全てを、フィルタ-に触れずに注意深く除去した。コンディション培地15mLをフィルタ-に添加して、3220gにて18℃で45分間遠心分離した。最初のスピンの後、残留する培地をピペッティングにより混合し、その後、所望の濃度に達するまで再度スピンさせた。その後、最終試料を0.22μmシリンジフィルタ-に通した。濃縮されたコンディション培地25μLを、Nanosightを用いた粒子カウントのためにPBS 975μLで希釈した。濃縮されたコンディション培地の別の100μLを用いて、タンパク質濃度を測定した。DCタンパク質アッセイを利用して、タンパク質を定量した。幾つかの例では、組織学的デ-タを用いて、遠心分離による限外濾過(UFC)の試料のタンパク質濃度を計算した。濃縮されたコンディション培地は、直ちに使用するか、または-80℃で貯蔵した。
【0048】
実施例3:25%ポリエチレングリコ-ル(PEG)を用いたエキソソ-ムの沈殿
適当な容量の25%PEGを、濾過された濃縮コンディション培地に添加した。試料をオ-ビタルシェ-カ-にて4℃で12~16時間インキュベ-トした。インキュベ-トが完了したら、試料を1500gにて4℃で30分間遠心分離した。ペレットが崩れないように、上清を注意深く除去した。ペレットを所望の容量の無血清培地に再懸濁させて、粒子計数のためにサンプリングした。
【0049】
実施例4:CDC-EV(10KDa法&1000KDa法);MSC-EV;Newt-EV
A)10KDa法&1000KDa法
CDC-EV(10KDaまたは1000KDa)薬物を、10KDaまたは1000KDa孔径フィルタ-でEV含有CDCコンディション培地(CM)を濾過した後に得る。分泌EVおよび濃縮CMで構成された最終生成物を、PlasmaLyte Aに配合させて、凍結貯蔵する。凍結された最終生成物は、解凍後に直接の結膜下注射または局所送達用に即使用可能である。
- 濃度:10KDa法では2mg/ml;1000KDa法では0.5mg/ml
- 粒子濃度: 10KDa法では1.0×1011粒子/ml;1000KDa法では5.0×1010粒子/ml
【0050】
B)MSC-EV
ヒト骨髄間葉系幹細胞(MSC-EV)から発生した細胞外小胞を、CDC-EV生成用と類似の工程に従って10KDa孔径フィルタ-でEV含有MSC CMを濾過した後に得る。MSC-EVは、定義された無血清条件下で培養されたヒトMSCから得られた非細胞のフィルタ-滅菌生成物である。分泌EVおよび濃縮CMで構成された最終生成物を、PlasmaLyte Aに配合させて、凍結貯蔵する。凍結された最終生成物は、解凍後に直接の結膜下注射に「即使用可能」である。
【0051】
C)Newt-EV
Newt A1細胞株から発生した細胞外小胞(Newt-EV)を、CDC-EV生成と類似の工程に続いて10KDa孔径フィルタ-でEV含有A1細胞株CMを濾過した後に得る。Newt-EVは、定義された無血清条件下で培養されたNewt A1細胞から得られた非細胞のフィルタ-滅菌生成物である。分泌EVおよび濃縮CMで構成された最終生成物を、PlasmaLyte Aに配合させて、凍結貯蔵する。凍結された最終生成物は、解凍後に直接の結膜下注射に即使用可能である。
【0052】
実施例5:被験物質および対照物質
被験物質は、実施例1~3に例示された通り調製された、定義された無血清条件下で培養されたヒトCDCから得られた非細胞フィルタ-滅菌生成物である。被験物質の一般的特徴を、表2に要約する。
【表2】
【0053】
対照物質は、滅菌非発熱性結晶状等張溶液であるPlasmaLyte Aである。
【0054】
被験物質および対照物質を、一晩の投与の間または投与日に解凍し、投与手順の間ずっと湿潤性の氷の上に保持した。
【0055】
実施例6:処置前の検査
試験選定の前に、各動物は眼科的検査(スリットランプ生体顕微鏡測定および間接的眼科顕微鏡測定)を受けた。眼科所見を、表3に要約された通り、改変McDonald-Shadduckスコアリングシステム(T. McDonald and J. A. Shadduck,“Eye irritation,” in Advances in Modern Toxicology:Dermatoxicology,F. Marzulli and H. I. Maibach,Eds.,pp. 579-582,Hemisphere Publishing Corporation,Washington,DC,USA,1977)に従ってスコア付けした。試験選定のための承認基準は、全ての変数が「0」のスコアであることであった。
【表3】
【0056】
実施例7:角膜アルカリ熱傷の動物モデルおよび試験計画
試験開始時におよそ200グラムで計量された雄スプラグ-ドゥ-リ-・ラット18匹は、Charles River Laboratoriesから得た。
【0057】
動物は、個別ケ-ジで同じ部屋において飼育した。基本の囲いは、USDA Animal Welfare Act(Code of Federal RegulationsのSection 9、Parts 1、2および3)で指定された通りであり、Guide for Care and Use of Laboratory Animals(ILAR publication,2011,National Academy Press)に記載された通りである。他の種は、同室で飼育されていなかった。この部屋は、少なくとも60%の新鮮な空気で十分に換気されていた(1時間あたり10回より多くの空気交換)。必要な試験手順に適応させるために暗室周期の間に部屋を照光させる場合を除き、12時間照光/12時間暗室の光周期が維持された。動物は、種専用の餌に随意に接近できた。混入物が試験結果を妨害するレベルで餌の中に存在しないことは、既知であった。地方自治体の水道水を、各動物が随意に利用できた。混入物が試験結果を妨害するレベルで水の中に存在しないことは、既知であった。動物は、投与初日前の少なくとも3日間は、指定された飼育に馴化された。
【0058】
動物に、角膜アルカリ熱傷を作製する前に、塩酸ケタミン(最大でおよそ80mg/kg)およびキシラジン(最大でおよそ12mg/kg)の筋肉内または皮下注射で麻酔した。イソフルランを、代替物として用いてもよい。処置の前に、局所塩酸プロパラカイン麻酔薬(0.5%)1~2滴を動物の目に適用した。必要に応じて、処置の際に、追加の局所眼麻酔薬の投与を利用した。麻酔からの回復の間、スタ-ナル・リカンベンシ-に達するまで、動物をモニタリングした。
【0059】
動物に麻酔をかけた後、0日目に各動物の右目(OD)に、水酸化ナトリウム(NaOH)で角膜アルカリ熱傷を作製した。1N NaOHを浸漬した円形濾紙(約2~3.5mm径)を、角膜表面の中心に約30秒間配置して、角膜熱傷を誘起した。その後、眼表面を通常の生理食塩水 約60mLですすいだ。ブプレノルフィン(0.5~1.0mg/kg)を、術後鎮痛のために与えた。
【0060】
アルカリ熱傷作製の後および投与前に、創傷の重症度を全動物で評価し、創傷重症度に基づき、動物を3つの実験群の1つに割り付けた(以下の表2参照)。動物には、創傷重症度に従って低下する順に1~18の数値ランクを割り付け(例えば、最高の創傷重症度の動物は、1のランクを割り付けられ)、表4に示されたスキ-ムに従って実験群に割り付けた。
【表4】
【0061】
被験物質および対照物質を、表5に示された試験計画に従って投与した。
【表5】
【0062】
群1および2では、被験物質または対照物質を10μL/目の容量で、1日3回の(TID)局所投与により1日目に開始して試験終了まで連続で右目(OD)に投与した。群3では、被験物質を1日目に単回の結膜下注射としてODに投与した。動物は、上記の通り麻酔した。鉗子を用いて結膜をつかみ、結膜と強膜の間の接続部が露出するまで、穏やかに引張った。小ゲ-ジの針(30G、31G、または32G)を、接続部から目に側方に挿入した。被験物質10μLを投与して、針を抜去した。被験物質を適用した後、スリットランプ検査により目を検査して、極微量の化合物が目から除去されたことを確認した。
【0063】
全群の全生存動物を、21日目に殺処分し、剖検に供した。計画外の死亡も、剖検に供した。計画された殺処分で、以下の臓器(存在すれば)を、固定前に計量した:脳、頸部リンパ節(顎下)、心臓、腎臓、肝臓、肺、および精巣。全ての計画された殺処分の動物から以下の組織を採取して、10%中性緩衝ホルマリンに保持した(ダビッドソン固定緩衝液に保持された目およびブアン液に保持された精巣を除く):脳、頸部リンパ節(顎下)、目、心臓、腎臓、肝臓、肺、および精巣。目は、計画外の死亡を含む全動物で採取した。
【0064】
別法として、ニュ-ジ-ランドホワイト・ウサギ(オリクトラグス・クニクルス;一方の性別)を用い、スプラグ-ドゥ-リ-・ラットと類似のプロトコルに従い、CDC-EV(10KDaまたは1000KDa)、MSC-EV、またはNewt-Evの有効性を評価してもよい。例えば、各群が実施例7に記載されたものと類似の手法で割り付けられたウサギ6匹を含む、表6に示された試験計画に従って、被験物質および対照物質を投与してもよい。
【表6】
【0065】
さらなる別法として、表7は、各群が実施例7に記載されたものと類似の手法で割り付けられたウサギ6匹を含む、角膜アルカリ熱傷ラットモデルを用いて、CDC-EV、MSC-EV、またはNewt-EVの有効性を評価するための試験計画の別の変法を示す。
【表7】
【0066】
さらなる別法として、表8は、各群が実施例7に記載されたものと類似の手法で割り付けられたウサギ6匹を含む、角膜アルカリ熱傷ラットモデルでのCDC-EV(10KDaまたは1000KDa)の有効性を評価するための試験計画の別の変法を示す。
【表8】
【0067】
さらなる別法として、表9は、各群が実施例7に記載されたものと類似の手法で割り付けられたウサギ6匹を含む、角膜アルカリ熱傷ラットモデルでのEVの有効性を評価するための試験計画の別の変法を示す。
【表9】
【0068】
さらなる別法として、表10は、各群が実施例7に記載されたものと類似の手法で割り付けられたウサギ6匹を含む、角膜アルカリ熱傷ラットモデルでのCDC-EVの有効性を評価するための試験計画の別の変法を示す。
【表10】
【0069】
実施例8:組織病理学的検査
計画外の死亡をはじめとする全ての動物の処置された目を処理し、パラフィンで包埋して切り出し、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)で染色した。動物の情報は、Pristima(登録商標)に入力した。顕微鏡スライドは全て、Pristima(登録商標)で直接評価した。Pristima(登録商標)では、スコアリング基準は、以下の通りである:1=極微細;2=軽度;3=中等度;4=顕著;5=重度。顕微鏡所見を、組織病理学的発生数で表す。
【表11】
【0070】
麻酔下で群2における14日目の計画外の死亡が2例起こった。これらの死亡は、処置関連と見なされなかった。
【0071】
試験21日目に、前試験群で角膜および虹彩に病変が見出された。病変は、群1および群2の2つの群の動物の前部および後部の眼房および硝子体眼房に見出された。処置群内の病変の存在および重症度は、モデル導入における有意な変動性を示唆している。
【0072】
・角膜
群3の動物6匹中2匹に存在する軽度~中等度の上皮空胞変性、ならびに群1の動物6匹中1匹および群2の動物4匹中2匹における軽度の限局性の基底下(sub-basial)上皮水疱形成を特徴とする上皮変性があった。
【0073】
・角膜実質
全群において角膜実質の線維形成および角膜下の線維性膜の形成があった。角膜実質の線維形成は、群1の動物6匹中2匹、群2の動物4匹中1匹、および群3の動物6匹中3匹に起こり、限局性で中心に位置する上皮下の線維形成からなり、多くの場合、血管新生を伴った。血管新生は、全群で同等の発生数および重症度で起こった。角膜下の線維性膜は、群1の動物6匹中3匹、ならびに群2および群3それぞれの動物1匹で起こり、炎症細胞と混合されて角膜の後面に接着しているものが多い、粗い線維性組織を特徴とした。
【0074】
極微細~中等度の角膜実質内にまばらに存在する炎症があり、単核細胞または混合性炎症細胞のいずれかで構成される。浸潤の発生数および重症度は、群3では対照に比較して低く、対照動物6匹中4匹で極微細~中等度の浸潤が起こったのに比較して、軽度浸潤が動物6匹中でわずかに1匹であった。群2はまた、対照に比較して浸潤の発生数および重症度が低下しており、極微細な浸潤が動物4匹中1匹の発生数であった。
【0075】
・虹彩、水晶体、および眼房
極微細~軽度の単核細胞浸潤が、全処置群で起こった。加えて、極微細~軽度の前部および/または後部癒着が、群1および群3それぞれの動物6匹中3匹、ならびに群2の動物4匹中2匹に起こった。これは、創傷誘導への炎症反応の後遺症の可能性があった。
【0076】
群1の動物2匹(軽度~中等度)および群2の動物1匹(極微細)に軽度~中等度の出血があった。これは、創傷形成の外傷に続発した可能性があった。
【0077】
要約すると、20μg/目の用量での被験物質の単回結膜下注射と、1日3回の20μg/目の用量での被験物質の連日局所投与の両方で、角膜炎症の発生数および重症度が対照処置動物に比較して低下した。対照処置動物および1日3回の20μg/目での局所被験物質処置動物の両方に比較して、20μg/目の結膜下被験物質処置動物では、存在する角膜病原のタイプ(びらんおよび水疱形成に対する上皮空胞変性)の重症度もわずかに低下した。
【0078】
・結論
この試験の条件下では、20μg/目の用量の被験物質の単回結膜下注射および21日間の1日3回の20μg/目の被験物質の連日局所投与は、対照に比較して角膜炎症の発生数および重症度をわずかに低下させ、20μg/目の用量での被験物質の単回結膜下注射は、角膜アルカリ熱傷ラットモデルにおける対照処置の目および20μg/目の1日3回局所被験物質処置の目の両方に比較して、角膜上皮病変の重症度をわずかに低下させた。
【0079】
実施例9:生前観察および測定
重要な試験パラメ-タおよび試験計画を、表12に要約する。
【表12】
【0080】
動物を、試験期間を通して1日1回、ケ-ジ内で観察した。各動物を、全身外観および挙動の変化について観察した。全般的健康状態の観察を、0日目に開始して連日記録した。動物を、創傷処置の前、毎週および終了前に体重測定した。臨床的眼科的検査(スリットランプ生体顕微鏡測定およびフルオレセイン染色を含む)を、基底状態、0日目の創傷作製直後、4、7、および14日目、21日目の安楽死直前に実施した。検査は、改変McDonald-Shadduckスコアリングシステムを利用することにより、上記の表3に要約された通り実施した。
【0081】
図9は、
図3に示された結膜充血、
図4に示された角膜混濁、
図5に示された罹患した角膜表面積、
図6に示された角膜血管性パンヌス、
図7に示された房水フレア、および
図8に示された房水の細胞のパラメ-タの平均スコアを合計した、全臨床スコアに及ぼす、21日間にわたる対照物質に比較した被験物質の局所および結膜下投与の影響を図表で示している(最大スコア 20ポイント)。
【0082】
図6に示される通り、被験物質の局所および結膜下投与は両者とも、角膜の血管新生の程度を劇的に減少させて、角膜輪部幹細胞および角膜上皮の疲弊症という必然的で、増悪し、典型的には不可逆的で、壊滅的な結末になる。無傷の上皮がなければ、結膜上皮(濁りがあり高度に血管形成する)および角膜深部層の新しい血管が、角膜周辺(角膜輪部)から中心に向かって遊走する。これが起こる場合、視力が有意に低下し、移植片拒絶を刺激する新規血管の存在のため、患者は、角膜移植候補になれない。これは、自然治癒するパラメ-タではなく、実際、時間が経過すると、処置がなければ増悪することになり、回復不能のポイントがある。これらのデ-タが被験物質処置群で血管性パンヌスのそのような有意な減少を示すという事実はまた、目の化学的損傷を効果的に処置する際に不可欠となる角膜上皮の回復をエキソソ-ムが増進することを裏づけている。
【0083】
図10に示される通り、被験物質の局所および結膜下投与は両者とも、角膜上皮欠損のサイズを劇的に減少させたが、対照物質処置の目は、実際上は経時的に増悪した(非処置の熱傷の自然歴と一致)。これらのデ-タは、現実の臨床効果を反映している。フルオレセイン染色を用いて評価された上皮欠損面積の減少は、それがなければ角膜乾癬、角膜実質の融解および恒久的混濁、ならびに恒久的な角膜血管新生(結膜化)が起こるため、最も臨床的に有意なエンドポイントである。フルオレセインは、適用の直後に角膜から浄化されないため、本質的には上皮除去された組織を「塗装」して、それを生育させる。角膜上皮の再生は、無傷の角膜と白色の/濁った結膜/強膜の間の接続部に存在する角膜輪部上皮幹細胞に依存する。角膜輪部幹細胞は、化学的損傷に対して非常に感受性があり、化学的傷害および/または重度の炎症の存在で死滅する。上皮欠損サイズに影響を及ぼす唯一のパラメ-タが、健常な上皮の有無であり、これらのデ-タが角膜上皮の回復を示すという事実は、被験物質が、角膜輪部上皮幹細胞を支持することへの生物活性を有し、重度の眼表面損傷を効果的に処置するのに不可欠であることを示唆している。
【0084】
図6および
図10は一緒になって、被験物質が指示された通り投与された場合に、角膜上皮の回復を増進するのに有効であることを実証している。
【0085】
図4に示される通り、被験物質の局所投与は、化学的損傷後の角膜混濁の密度を低下させるのに効果的と思われる。角膜混濁は、角膜全体でスコア付けした。青色光が、目の表面で輝かない場合、上皮欠損領域を見分けるのは容易でない。一般に、上皮欠損が悪化するほど、混濁が高密かつ広範囲になる(特に、21日間を十分に超える長期の場合)。上皮欠損の早期閉鎖は、下部の角膜実質の長期傷跡/混濁の減少に不可欠である。これらのデ-タは、被験物質により、コラ-ゲン合成が促進され、そして/またはコラ-ゲン分解が阻害されることを示唆している。この所見は、角膜混濁が直接の化学的傷害および/または免疫介在性効果、例えばマトリックスメタロプロテイナ-ゼの放出を介したコラ-ゲン線維の破壊(融解または架橋を介する)により誘発される、という事実を考慮すれば、有意な臨床的暗示を有する。角膜実質細胞が、損傷されると、それらは新しいコラ-ゲン線維を合成および定着させることができない。
【0086】
図5に示される通り、被験物質の局所および結膜下投与は、このモデルで影響を受けた角膜混濁の表面積を等しく減少させており、被験物質により、コラ-ゲン合成が促進され、そして/またはコラ-ゲン分解が阻害されたことが示唆される。この所見は、角膜混濁の影響がその密度(透明性の低下)および表面積の両方に比例するという事実を考慮すると、有意な臨床的暗示を有する。
【0087】
図4および
図5は一緒になって、被験物質が、指示された通り投与されると、コラ-ゲン分解および無菌性潰瘍を最小限に抑えながら、コラ-ゲン合成を増加させるのに有効であることを実証している。
【0088】
図7に示される通り、被験物質の局所および結膜下投与は両者とも、眼内炎症の重要な尺度である房水フレアを有意に減少させたが、被験物質処置の目は、どの測定された時点でも4/4のスコアのままであった。これは、2つの理由から臨床的に極めて重大である。第一に、化学的熱傷の状況での眼内炎症は、排水路(線維柱帯網 - 眼圧の上昇および緑内障を誘発する)、網膜および視神経をはじめとする目の不可欠な内部構造への恒久的傷害の大きな要因となる。近年になり、抗TNF薬などの生物製剤により化学的熱傷患者の眼内炎症を制御することに、大きな関心が寄せられるようになった。第二に、化学的熱傷の状況にある眼内および眼表面炎症のための唯一の現在利用可能な治療が、局所ステロイド点眼薬である。そのような点眼薬の使用は、逆説的な「角膜融解」を引き起こす可能性から、10~14日間の連続使用に限定されており、角膜融解は、その名前が示唆する通り、角膜実質中のコラ-ゲン線維を分解させて、角膜を穿孔する。こうして、ステロイドに関する10~14日の限定を大きく超えて使用され得る、眼表面および眼内炎症の両方に強い影響を有する安全なステロイド節約型抗炎症剤への重要なアンメットニ-ズが存在する。それゆえ、エキソソ-ムが、ステロイドと類似の炎症減少を呈するとしても、エキソソ-ム処置がステロイドの安全な期間を大きく超えて安全に使用され得る可能性から、エキソソ-ムが目の化学的損傷の本明細書で請求された適用における重要なアンメットニ-ズに適合することが示される。
【0089】
図8に示される通り、被験物質の局所および結膜下投与は両者とも、眼内炎症の重要な尺度である細胞内フレア(即ち、房水の細胞)を有意に減少させたが、被験物質処置の目は、中等度の炎症レベルでは差異がなかった。房水の細胞は、目の前表面と虹彩の前表面の間にある前眼房における炎症細胞の浮遊の実際上の存在(臨床的にはスリットランプ生体顕微鏡で可視)を反映する。
【0090】
図7および8は一緒になって、被験物質が、指示された通り投与されると、本発明の方法による眼表面の化学的熱傷の有効な処置の不可欠な要素である目の炎症制御に有効であることを実証している。
【0091】
実施例10:ウサギ急性LPS角膜炎モデルにおけるCDC-EVの有効性
この実験的試験は、2つの相に分別された:
第I相:眼炎症モデルの作製(擦過傷+セラチア・マルセッセンス由来のリポ多糖(LPS))。急性角膜炎を、Schultz et al.,Exp Eye Res.1997 Jan;64(1):3-9に記載されたプロトコルを適用して作製した。
【0092】
第II相:細胞外小胞の結膜下注射。追跡調査およびデ-タ回収。安楽死の後、目および耳下腺リンパ節を回収して、組織学的評価に供した。
【0093】
雌ニュ-ジ-ランドホワイトウサギ(3~4kg)の全18匹を、評価に用いた。ブプレノルフィン(0.02mg/kg/12時間、IM)を、角膜上皮擦過傷後3日間、全動物に投与した。動物は、個別のケ-ジで飼育し、餌および水に自由に接近可能であった。
【0094】
第I相(0、1および2日目)
処置前の角膜厚測定およびスリットランプ評価を実施して、動物が正常な解剖学的構造および角膜厚を有することを確認した。
【0095】
動物を、硫酸アトロピン(0.05mg/kg)およびミダゾラム(0.5mg/kg)のIM投与により予め薬物処置した。麻酔導入を、プロポフォ-ル(4mg/kg)で実施した。気管内挿管の後、動物を機械的換気システムおよびセボフルラン気化器に接続して、麻酔薬の流れを3.5%セボフルランに設定した。1mg/kgケトロラクおよび2mg/kgトラマド-ルを投与することにより、無痛覚を確実にした。その後、動物を左側臥位に保定して、右目(RE)を開眼器で開大状態にした。
【0096】
5ミリメ-トル径のパンチを用いて、デブリ-ドマンのエリアを標識した。次に、表面のデブリ-ドマンを、PVAスピア(角膜実質に透過しない)により眼表面で実施した。最後に、セラチア・マルセッセンス由来のLPSの接種をREで実施して、吸収のために10秒間放置した。このプロトコルは、試験動物全てで同じ外科医により実施された(0、1および2日目)。
【0097】
追跡調査を、角膜厚測定およびスリットランプにより実施して、眼炎症モデルの実行可能性を少なくとも1日1回、評定した。以下に記載される臨床スコアを、この相の間に登録した。
【0098】
眼炎症モデルの作製の間、術中または術後合併症は存在しなかった。麻酔の回復は、全ての例で滞りなかった。結膜水腫および結膜充血に加え、眼濃厚滲出液および角膜浮腫を得た。
図14Aの矢印は、眼けん炎、結膜水腫および眼濃厚滲出液を示す。
図14Bの矢印は、充血した眼けん結膜血管の詳細を示す。フルオレセイン染色を使用して、
図15A(群A)、15B(群B)および15C(群C)に示される通り、2日目に各群についてエキソソ-ムの結膜下注射前の異なる時間に角膜潰瘍サイズを定量した。
【0099】
図14A~Bおよび15A~C、ならびに第I相で得られたデ-タから、角膜上皮擦過傷とセラチア・マルセッセンス由来のLPSの組み合わせが、エキソソ-ムの性能を評定するのに必要となる、ウサギ眼角膜炎モデルにおける強い結膜炎および角膜浮腫を誘発することが確認された。
【0100】
第II相(2日目)(3回目のLPS投与後4~6時間目)
上記のプロトコルを利用して、全身麻酔を得た。
【0101】
処置前の角膜厚測定およびスリットランプを実施して、潰瘍面積(基底面積)を測定し、角膜炎症を評定した。
【0102】
細胞外小胞またはPlasmalyteの2回の結膜下注射を、REで実施した。動物を、それぞれウサギ6匹からなる3群に分別した:
- 群A:Plasmalyte注射(総容量100μl);
- 群B:細胞外小胞注射(低用量、40μg)(総容量100μl);
- 群C:細胞外小胞注射(高用量、200μg)(総容量100μl)。
【0103】
各群に従う投与のために、各目(RE)は、結膜の下で(テノン嚢下ではない)、上側頭骨象限への一方の注射(50μl)と、下鼻側象限へのもう一方の注射(50μl)を受けた。このために、30G針を用い、針進入部位から少なくとも5mmの位置から進め、穴からの液の逆流を防止した。
【0104】
その後、動物を麻酔から回復させて、動物飼育施設に戻し、臨床状態および疼痛の存在を評価するために獣医により連日チェックされた。
【0105】
様々な臨床的および組織学的パラメ-タに及ぼすエキソソ-ム調製物の影響を、本質的にT.McDonald and J.A.Shadduck,Eye irritation in Advances in Modern Toxicology:Dermatoxicology,F.Marzulli and H.I.Maibach,Eds.,pp.579-582,Hemisphere Publishing Corporation,Washington,DC,USA,1977に記載された通り決定した。結果から、高用量エキソソ-ムが、結膜炎、角膜浮腫、角膜創傷治癒、および炎症をはじめとする様々なパラメ-タ全体において、臨床的および組織学的の両方でビヒクルより優れていることが示される(
図6~12)。
【0106】
角膜厚、スリットランプおよびフルオレセイン染色を、試験中にモニタリングした(3、4および5日目)。
【0107】
追跡調査には、シルマ-テスト、羞明、角膜厚の測定、角膜の傷跡の変遷、臨床スコア、ならびに摂餌および摂水量が含まれた。
【0108】
別法としてこの試験の第II相を、
図40に示される通り、3日目(例えば、3回目のLPS投与後16時間目)に実施してもよい。
【0109】
さらなる別法として、角膜炎を、この動物モデルでLPSを用いず、即ち擦過傷のみで誘導してもよい。
【0110】
A)シルマ-テスト
涙液量の変遷を、シルマ-テストを用いて測定した。異常は、涙液生成について検出されず、パラメ-タは依然として臨床的に許容できる範囲内であった。結膜炎および角膜潰瘍に罹患した目の正常範囲内のまま涙液生成が増加した個別の例があった(
図16A~C)。
【0111】
B)角膜厚の測定
角膜厚の変遷を、角膜厚測定(μm)により測定した。角膜圧の増加は、角膜内の涙液量を反映している。表13A~Cは、それぞれ群A~Cでの値を示す。
【表13】
【表14】
【表15】
【0112】
表13Dは、経時的に全群の角膜厚測定で得られた平均値±標準偏差(μm)を示す。
【表16】
【0113】
図36は、特に外れ値のウサギ#41を分析から除外した場合の(ほぼ30%の減少)、群A(ビヒクル対照;17.5%減少)に比較してより大きな、群C(高用量エキソソ-ム;24.7%減少)の2日目に対比した4日目の角膜厚減少を図表で示している。
【0114】
C)角膜潰瘍サイズ
角膜を、フルオレセイン溶液で染色した。画像を、ImageJ program 1.44o(National Institutes of Health,USA)を用いて処理した。角膜潰瘍サイズの変遷を、スリットランプにより測定した。表14A~Cは、それぞれ群A~Cの罹患した角膜の割合%を示す。
【表17】
【表18】
【表19】
【0115】
図14Dは、平均値±標準偏差(罹患した面積の割合%)を示す。
【表20】
【0116】
要約すると、投与後日にPlasmalyte注射を受けた群に対比して、細胞外小胞で処置された群において明らかな減速が角膜潰瘍治癒で観察され得た。その後、3つの試験群は、高用量の細胞外小胞で処置された動物のより大きな上皮回復傾向と類似のパタ-ンに従った。
【0117】
図37は、特に外れ値のウサギ#41を分析から除外した場合に、3つの試験群が群C(高用量エキソソ-ム)におけるより大きな上皮回復傾向と類似のパタ-ンに従ったことを図表で示している。
【0118】
D)臨床結膜炎スコア
動物を、眼球結膜充血、結膜水腫および目脂について4点スケ-ルで処置の2日後(4日目)に評定し、結果を表15に要約している。
【表21】
【0119】
処置直前(2日目)とビヒクルまたはエキソソ-ム送達の2日後(4日目)の間に臨床結膜炎スコアの2段階(4点スケ-ルで)以上の改善が見られた動物は、群A(ビヒクル対照)では0%(ウサギ0/6匹)、群B(低用量エキソソ-ム)では16.7%(ウサギ1/6匹)、および群C(高用量エキソソ-ム)では66.7%(ウサギ4/6匹)であった。
【0120】
処置直前(2日目)とビヒクルまたはエキソソ-ム送達の2日後(4日目)の間の臨床結膜炎スコアの平均改善度は、群A(ビヒクル対照)で-0.067、群B(低用量エキソソ-ム)で-0.67、群C(高用量エキソソ-ム)で-1.50であった。
【0121】
表16は、臨床結膜炎スコアの平均値を示しており、統計学的有意差が群C(高用量エキソソ-ム)と群A(Plasmalyte注射)の間で4日目に認められ(p=0.047)、群Aよりも群Cにおいて結膜の罹患が少ないことが示される。
【表22】
【0122】
E)臨床角膜浮腫スコア
表17は、臨床角膜浮腫スコアにおける統計学的有意差が、群C(高用量エキソソ-ム)と群A(Plasmalyte注射)の間で4日目に認められることを(p=0.011)を示しており、群Aよりも群Cで少ない角膜罹患が示される。
【表23】
【0123】
F)摂餌および摂水量
摂餌および摂水量を、眼痛の代理マ-カとして分析した。例えば、Recognition and assessment of pain and distress,Pennsylvania University(2000);Guidelines on anesthesia and analgeshia in laboratory animals,University of South Florida(2007)を参照されたい。動物の大部分は、上皮擦過傷による予測された不快感と一致した、第I相の際の摂餌量減少を示した。3日以後から、動物の摂餌量が増加し、疼痛の減少および明確な回復が示された。
【0124】
図17A~Cは、それぞれ群A~Cの摂餌量の変遷を図表で示している。
図18A~Cは、それぞれ群A~Cの摂水量の変遷を図表で示している。
図9および10は、特に外れ値のウサギ#41を分析から除外した場合に、群C(高用量エキソソ-ム)が4日目(エキソソ-ム投与の2日後)に群A(ビヒクル対照)に比較して優れる傾向を示したことを示している。
【0125】
G)組織学的評価
5日目に、動物を殺処分した。分析試料中の線維形成のグレ-ドを評価するために、動物の右目および耳下腺リンパ節(右側)を、ヘマトキシリンおよびエオジン(HE)、またはマッソントリクロ-ム染料(MTC)を用いて分析した。スライドを、目の罹患エリアで組織病変または細胞浸潤について顕微鏡検査した。病変のグレ-ドスコアを、不変または正常限界内である0、軽微である1、軽度である2、中等度である3、および重度である4の0~4スケ-ルで確定して、組織病変スコアの平均値を示す表18に結果を要約している。
【表24】
【0126】
群A(ビヒクル対照)
群Aにおいて、角膜が動物6匹中2匹で角膜表面の75%より多くの、そして別の1匹で50%より多くの上皮剥離を示した。加えて、軽度炎症細胞浸潤が、3つの角膜で観察された。検出された炎症浸潤は、角膜浮腫の存在と一致した。
図21A~Dは、ウサギ#005の上皮細胞剥離、角膜実質における線維形成および炎症細胞の軽度浸潤を示している。
【0127】
群B(低用量エキソソ-ム)
群Bにおいて、角膜は、動物6匹中3匹で、角膜表面の50%を超える上皮剥離を示したが、残りの動物では、上皮細胞の消失は、25%未満であった。角膜の罹患面積は、ウサギ#004では
図22A~Dに示される通り群Aよりも小さかった。
【0128】
群C(高用量エキソソ-ム)
ウサギ#037について
図23A~Dに示される通り、3つの目だけが、角膜の上皮細胞の消失を示し、この層のより大きな回復が示された。ウサギ#040の評価された目の1つは、
図24A~Dに示される通り、上皮層の完全な回復を有した。
【0129】
要約すると、角膜上皮剥離および炎症細胞浸潤が、3群で観察されたが、これらの所見は、群A(ビヒクル対照)においてより重度であった。群B(低用量エキソソ-ム)および群C(高用量エキソソ-ム)の動物はいずれも、75%を超える剥離を示さなかった。実際に群C(高用量エキソソ-ム)のウサギ6匹中3匹は、完全な角膜上皮再生を示し、別の1匹は、角膜表面の25%未満を含む上皮欠損を有した。
【0130】
虹彩角膜角では、最も多かった形態学的所見が、3群および分析された目の大部分に存在した眼球結膜の線維形成であった。眼球結膜および毛様体における炎症細胞浸潤および浮腫が、最も共通していた。しかしこれらの病変のほとんどの重症度は、ウサギ#005の
図25A~Fに示される通り、群B(低用量エキソソ-ム)および群C(高用量エキソソ-ム)よりも群A(ビヒクル対照)で高かった。群B(低用量エキソソ-ム)において、病変は、重度ほどではなく、その場合、ウサギ#004の
図26A~Fおよびウサギ#036の
図27A~Dに示される通り、炎症細胞浸潤が極微細であり、線維形成が存在しなかった。群Cは、ウサギ#037の
図28A~D、ウサギ#040の
図29A~Dおよび30A~Dに示される通り、眼球結膜において軽度~中等度の炎症性浸潤を有し、毛様体の大部分が、極微細な浮腫を示すか、またはた線維形成を有さなかった。
【0131】
図31A~Dに示される通り、ウサギ#041の虹彩角膜角の重度線維形成が、群Cの唯一の例であった。5日目には、これは、
図32に示される通り、角膜浮腫、結膜水腫、虹彩血管充血および重度結膜炎を示した唯一の動物であった。まぶたが、軽微な脱毛および重度浸出液を呈した。これらの兆候は、定義された潰瘍面積の存在を説明し得るかき傷に伴う不快感を示す可能性がある。
【0132】
ウサギ#039(群C)において、軟骨異形成が、
図33A~Bに示される通り眼球結膜の実質細胞の間に観察された。しかしこれは、慢性病変であり、それゆえおそらくエキソソ-ム処置に関連しない。網膜では、病変は観察されなかった。動物の付随的所見である、軽微な限局性網膜剥離(おそらく試料採取により誘起された)および拡大した細胞の単離された小さな集団(おそらく肥大した網膜細胞)が、存在した。
【0133】
病理学的デ-タの全体性を利用して実施された17種の定量的な組織分析全体を通して、群C(高用量エキソソ-ム)は、9例ではビヒクルより優れ、5例では同等の、そして3例では劣る傾向を示した。病理学的デ-タの臨床的に関連するサブセットを用いて実施された12種の定量的組織分析を通して、群C(高用量エキソソ-ム)は、7例で群A(ビヒクル対照)より優れ、4例で同等の、そして1例のみで劣る傾向を示した。
【0134】
図34A~Fを参照すると、高用量エキソソ-ムで処置されたウサギ#034(群C)の耳下腺リンパ節は、ビヒクル(平均面積:4.69mm
2)で処置されたウサギ#010(群A)よりも小さな面積(平均面積:3.52mm
2)のリンパ組織を有した。耳下腺リンパ節中のリンパ組織の平均面積は、群A(ビヒクル対照)および群C(高用量エキソソ-ム)に比較して群B(低用量エキソソ-ム)でより大きかった(10.43mm
2)。群Cでは、リンパ組織の面積の平均は、他の2群よりも小さく、投与された物質へのリンパ節中の免疫反応低下が示唆された。
【0135】
実施例11:ウサギシェ-グレン症候群モデルにおけるCDC-EVの有効性
カ-ディオスフェア由来細胞に由来する細胞外小胞(CDC-EV)の有効性を、誘導された軽度~中等度ドライアイ疾患(DED)のウサギシェ-グレン症候群モデルで評価した。このモデルは、眼表面染色および涙液生成の臨床測定において、目の間、および動物間に中等度の変動性を有しながら、非常に軽度の形態の自己免疫炎症性DEDを生成する。
【0136】
ドナ-系列からのCDCを、37℃および5%O2で15日間、無結成培地でコンディショニングした。コンディション培地を採取して0.45μmフィルタ-で濾過し、10kDa Centricon Plus-70 Centrifugal Filter(Millipore)を用いて濃縮した。試料を、PlasmaLyte Aで透析濾過した。濃縮後に、CDC-EV試料を、0.22μmフィルタ-で濾過した。タンパク質濃度を、DCアッセイ(Biorad)を用いて測定した。
【0137】
図11に示される通り、炎症性自己免疫性DEDを、涙腺(LG)腺房細胞自己抗原に対してエクスビボで活性化された自己末梢血リンパ球(PBL)の静脈内注射により、ウサギ6匹に養子移入(AT)した。LG腺房細胞が構成的に分泌するエキソソ-ムを含む微粒子は、細胞基質および細胞膜結合コンパ-トメントの両方から得られた自己抗原の自然にマイクロカプセル化された試料である。微粒子を、一次培地の上清から単離して、骨髄単球から成熟されてLPSで刺激された樹状細胞(mDC)についての自己抗原の供給源として用いた。PBLを、試験動物(n=6)から単離して、MPでプライミングしたmDCとのエクスビボ混合の細胞反応で活性化させ、その後、周辺の耳静脈を介して注射により再導入した。PBLは、自己由来で再導入されたため、それらが移入されたいずれの炎症工程も、自己免疫となる。
【0138】
CDC-EVを、各動物の右目(OD)に4mg/mLの濃度としてそれぞれ50μL(目あたりの総量が100μL)の目あたり結膜下注射で2回(一方は上側頭骨象限に、他方は下鼻側象限に)送達した。Plasmalyteビヒクルを、各動物の左目(OS)に、それぞれ50μL(目あたりの総量が100μL)の目あたり結膜下注射で2回送達した。注射は、角膜ロ-ズベンガル染色のピ-クに対応するAT後12週間目(R×1)および24週間目(R×2)に実施した。
【0139】
眼表面状態を、R×1の前1日目およびAT後28週間に隔週の間隔で、改変van Bijsterveldスキ-マを利用したロ-ズベンガル染色およびシルマ-I涙液生成テスト(STT-I)により評価した。ロ-ズベンガル染色では、強度を、2つの露出した結膜ゾ-ン(鼻および側頭)および角膜で、各ゾ-ンについて0~3のスコアでスコア付けし、各時点の最大スコア9に付加した。
【0140】
右目(CDC EV処置)と左目(Plasmalyteビヒクル処置)の間の差の有意性を、ビヒクルに対するスチュ-デントT検定を利用してp≦0.05で決定した。
【0141】
基底ロ-ズベンガルスコアが高く(1.5)、STT-Iスコアが低かった(6.0mm/分)1つの目を、自然な疾患として除外した。眼表面炎症が、残りの11の目において二相のタイムコ-スで発症した。2週間目までに、ロ-ズベンガルスコアは、0.8±0.1から1.6±0.1へ上昇した。その後、平均スコアが低下したが、8週目までに回復した。12週目まで、ロ-ズベンガルスコアは、10の目で依然として高く(1.5±0.1)、1つの目で基底値に戻った(
図12A~B)。OD目およびOS目の両方を通した平均ロ-ズベンガルスコアは、AT後12週目までにおよそ1.5のピ-クレベルに達した。OD目へのCDC-EVの各結膜下注射後のおよそ4週間の間、ロ-ズベンガル染色スコアが有意に低下したが、そのような有意差は、ビヒクル注射を受けた同じ動物のOS目では検出されなかった。P値は、有意な時点で示される。
【0142】
2週間目までに、STT-Iスコアが、8つの目で低下し(9.8±0.4mmから6.4±0.4mmへ)、2つの目で不変であり、1つの目で基底値より1.0mm上昇した。12週目までに、STT-Iスコアが、7つの目で2.1±mm低下し、1つの目で規定値に戻り、2週目まで不変であった1つの目で基底値よりも2.0mm上昇し、2週目までに上昇した目で基底値より3mm上昇した(
図13A~B)。Rxは、両目でSTT-Iスコアが上昇するようであった。平均STT-I増加は、ODでは統計学的有意性に達したが(P=0.046)、OSでは達しなかった(P=0.100)。
【0143】
こうしてCDC-EVは、このモデルにおいて涙液生成の少量ではあるが有意な増加を生じ、眼表面染色を基底値まで戻したため、CDC-EVは、軽度~中等度自己免疫炎症性DEDに加え、眼GVDDをはじめとする眼表面の関連する炎症性疾患のための有望な治療法である。
【0144】
実施例12:眼GVHDマウスモデルにおけるCDC-EVの有効性
CDC-EVの有効性を、
図41に示されたプロトコル設計に従い、眼GVHDマウスモデルにおいてさらに評価してもよく、この場合、
・ Balb/cマウスに、4時間の間隙および総線量850cGyで2回照射する。
・ 2回目の照射の後、マウスに、RPMI 300μl中で、C57-BL6マウスから得られた骨髄細胞5×10
6個+脾臓細胞5×10
6個を注射する。C57-BL6マウス3匹を、BMおよび脾臓細胞単離に用いる。
・ 照射後10日目に、各動物は眼科的検査を受ける。眼科所見を、スコア付けする。
・ 動物を、表19に示される通り3群に無作為に分ける。
【表25】
・ 結膜下群:マウスは、照射後10日目にCDC-EVの単回結膜下投与を受ける。
・ 局所群:マウスは、照射後10日目に開始して7日間のCDC-EVの連日局所投与を受ける。
・ 対照群:マウスは、左目にビヒクルの単回結膜下注射を受け、右目に照射後10日目に開始して7日間の局所投与を受ける。
・ 結膜下投与および局所投与の両方で、各送達で10μl容量が提案される。
・ 動物を、CDC-EV投与後20日間、追跡調査する。
・ 追跡調査
o フルオレセインを用いた角膜上皮染色
o 体重変動
o GVHDの兆候を分析する(挙動、活動度、皮膚および体毛の完全性を、0~2スケ-ルを利用して分析する(Cooke KR et al.,Blood,15;88(8):3230-9(1996))。
o 両目の巨視的解析を、週2回実施する。眼周囲の体毛、眼けん縁、眼けんけいれんを、3グレ-ドの臨床スケ-ルを利用して評価する(Lorenzo R.,Biol Blood Marrow Transplant,17:270-273(2011))。
・ 動物を処置後20日目に殺処分する。
・ 安楽死の後、全動物から両目(眼球全体)を採取し、眼球を摘出し、個々のバイアルのダビッドソン固定緩衝液に入れる。脾臓、耳下腺リンパ節、肝臓、肺および腎臓も採取する。
【0145】
実施例13:マウスモデルにおける眼投与後のCDC-EVの生体分布およびクリアランス
単回結膜下注射を介して、蛍光色素(DiR、1,1’-ジオクタデシル-3,3,3’,3’-テトラメチルインドトリカルボシアニンヨ-ダイド)を添加されたエキソソ-ム(0.5×10
7、0.5×10
8、または0.5×10
9)処置のマウスの目は、投与後12日目までに目にエキソソ-ムの保持を示した(
図42~44および46)。マウスの他の組織へのエキソソ-ム遊走が、ほとんど認められなかった(
図45)。
【0146】
加えて、豊富なヒト特異性RNA断片5’-GGU CCG AUG GUA GUG GGU UAU CAG-3’(hY4
f)を検出するqPCRを開発し、そこでNCBIヌクレオチドBLAST 2.6.1(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi(7))を、 そのクエリ-配列としてのhY4
fと共に用い、マウスゲノム+転写産物を、デ-タベ-スとして選択して、以下のマウス注射および組織回収プロトコルを用い、
図47に示す。
【0147】
A)健常マウスへのCDC-EVの結膜下投与
CDC-EV(5μL、4mg/mL)を、イソフルランにより麻酔された雌FVBマウスの右目の結膜下腔に注射した。1、24または72時間後に、マウス4匹を殺処分して、組織を摘出した。PlasmaLyte A(VWR)注射マウス4匹を、注射後24時間目に殺処分した。マウス組織を、さらなる処理を実施するまで-20℃でRNAlater(ThermoFisher)中で保持した。
【0148】
B)アルカリ熱傷マウスへのCDC-EVの結膜下投与
麻酔された雌FVBマウスの右目に1N NaOHに浸漬された1/16インチ濾紙を30秒間配置することにより、アルカリ熱傷を雌FVBマウス16匹の右目に誘導した。その後、目を生理食塩水で洗浄して、残留するNaOHを除去した。翌日、CDC-EV(5μL、4mg/mL)を、マウス12匹の右目の結膜下腔に注射した。1、24、または72時間後に、マウス4匹を殺処分して、組織を摘出した。PlasmaLyte A注射マウス4匹を、注射後24時間目に殺処分した。マウス組織を、さらなる処理を実施するまで-20℃でRNAlater中で保持した。
【0149】
C)健常マウスへのCDC-EVの局所投与
20μLピペットを用いて、麻酔された雌FVBマウス10匹の右目にCDC-EV(4mg/mL)の1液10μLを投与した。この手順を、合計3回の投与の間、1時間空けて2回繰り返し、最後の投与後1、24、または72時間目に、マウス4匹を殺処分して、組織を摘出した。PlasmaLyte A処置マウス4匹を、送達後24時間目に殺処分した。マウス組織を、さらなる処理を実施するまで-20℃でRNAlater中で保持した。
D)アルカリ熱傷マウスへのCDC-EVの局所投与
先に示される通り、アルカリ熱傷を誘導して、CDC-EVを送達した。PlasmaLyte A処置マウス4匹を、3.4.3と同様に24時間目に殺処分した。マウス組織を、さらなる処理を実施するまで-20℃でRNAlater中で保持した。
【0150】
E)アルカリ熱傷マウスへのMSC-EVの結膜下投与
アルカリ熱傷を、先に示される通り誘導し、MSC-EV(5μL)を翌日、マウス12匹の右目の結膜下腔に注射した。1、24、または72時間後に、マウス4匹を殺処分して、組織を摘出した。PlasmaLyte A処置マウス4匹を、24時間目に殺処分した。マウス組織を、さらなる処理を実施するまで-20℃でRNAlater中で保持した。
【0151】
組織を、RNase不含スチ-ルビ-ズと共にBead Ruptor 12(OMNI International)を用い、Qiazol(Qiagen)でホモジナイズした。RNAを、miRNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて単離し、QuantiMir Kit(Systems Biosciences)を逆転写に用いた。qPCRを、QuantStudio 12K FlexまたはQuantStudio 6 Flex system(Applied Biosystems)にて、QuantiMirユニバ-サルリバ-スプライマ-、hY4fフォワ-ドプライマ-(5’-GGTCCGATGGTAGTGGGTTATCAG-3’)、およびハウスキ-ピング遺伝子用のマウスU6フォワ-ドプライマ-(5’-TGGCCCCTGCGCAAGGATG-3’)と共にQuantiTect SYBR Green(Qiagen)を用いて実施した。各組織のΔCtをPlasmaLyte注射マウスからの組織のそれを比較することによる2
(-ΔΔCt)を用いて、倍率変化を計算した。有意性は、ビヒクルに対比したスチュ-デントT検定を用いてp≦0.05で決定した。結果を、
図48A~Fに示す。全実験において、CDC-EVおよびMSC-EVは、シグナルが基底値の4.6倍であった
図48Eの結膜下注射されたアルカリ損傷マウスの右目を除き、24時間後にはほぼ検出不能になった。
【0152】
結膜下投与とは対照的に、局所投与による肝臓には、CDC-EVが見出されなかった(
図49A~B)。健常マウス(
図49C)において、CDC-EVは、局所投与では心臓および腎臓で検出されたが、結膜下投与では検出されなかった。同じ傾向が、アルカリ熱傷マウスで認められなかったため(
図49D)、上記のことが投与経路によるものか、そして他の因子によるものでないかは、不明である。
【0153】
1時間後の生体分布を比較するために、送達後1時間目にCDC-EVを注射されたマウスの組織中で得られたシグナルを、
図50に示される通り共にグラフ化した。
【0154】
生体分布についてのCDC-EVとMSC-EVの対比
MSC-EVを、角膜上皮にアルカリ熱傷を有するマウスの結膜下腔に注射した。MSCを無血清培地中で24の間、培養した後、得られたコンディション培地から、EVを採取した。MSC-EVの投与は、タンパク質濃度により測定されなかったが、CDC-EVで用いられたものと同じ出発CD容量を用いると測定された。投与後1時間目に、MSC-EVが、
図51に示される通り右目、肝臓、および脳で見出された。
【0155】
意図する臨床適応症(眼GVHD)に近いモデルにおけるCDC-EVの有用性、およびのCDC-EVの生物活性についての概念証明は、ラットおよびウサギの両方の角膜アルカリ化学熱傷の動物モデルを利用して実証される。このモデルは、意図する適応症の目立った特色の多くを再現している。ヒトの眼GVHDにおいて、眼表面および涙腺の炎症および線維形成を担う主な細胞型は、マクロファ-ジ、T細胞、および好中球である。例えば、Barabino,et al.,Ocular surfase immunity:homeostatic mechanisms and their disruption in dry eye disease,Prog Retin Eye Res,31(3):271-285(2012)を参照されたい。アルカリ化学熱傷モデルにおいて、1N NaOHの角膜中心適用を、30秒間(ラット)または60秒間(ウサギ)実施して、角膜および結膜炎症、角膜浮腫、角膜の傷跡、角膜血管新生、および角膜上皮欠損を導く。例えば、Yao,et al.,Role of mesenchymal stem cells on cornea wound healing induced by acute alkali burn,PLoS One 7(2):e30842(2012)を参照されたい。眼GVHDと同様に、アルカリ化学熱傷モデルの眼表面は、マクロファ-ジ、T細胞、および好中球により浸潤されるようになり、劇症型急性および慢性炎症、角膜の傷跡および線維形成、ならびに角膜の慢性血管新生を導く。例えばYao,et al.(2012)を参照されたい。言い換えれば、アルカリ化学熱傷モデルに存在する細胞レパ-トリ-は、ヒト眼GVHDと類似しており、これにより適切なモデルで、慢性眼炎症疾患の状況でのCDC-EV有効性の耐久度を評定することができる。
【0156】
眼GVHDおよび角膜アルカリ化学熱傷の臨床表現型は、強い類似性も共有している。眼GVHDは、臨床的、そして1つの発表されたマウスモデルの両方で、持続的な角膜上皮欠損およびびらん、慢性角膜血管新生、角膜線維症、角膜上皮幹細胞疲弊症、結膜充血、ならびに眼表面潤滑性の疾患により、重度のドライアイの症状を導くことを特徴とする。例えばHerretes,et al.,Recruitment of Donor T Cells to the Eyes During Ocular GVHD in Recipients of MHC-Matched Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplants,Invest Ophthalmol Vis Sci 56(4):2348-2357(2015)を参照されたい。同様にヒトおよび動物の目の両方で、眼表面へのアルカリ化学熱傷は、重大な角膜上皮欠損、角膜血管新生、角膜線維形成、角膜輪部幹細胞疲弊症、結膜損傷、および重度のドライアイ症状をもたらす。例えば、Hamill,et al.,Corneal alkali burns:a review of the literature and proposed protocol for evaluation and treatment,Int Ophthalmol Clin 53(4):185-194(2013)を参照されたい。
【0157】
共通する細胞メカニズムおよび臨床症状の機能として、眼GVHDおよび目のアルカリ化学熱傷のための処置は、同様に重複する傾向がある。両方の疾病は、典型的には局所滑沢剤、自己血清、コルチコステロイド、強膜コンタクトレンズ、羊膜移植、そして重度疾患の場合には、角膜輪部幹細胞移植、全層角膜移植、または人工角膜移植の組み合わせで処置される。例えば、Shikari,et al.,Ocular graft-versus-host disease:a review,Surv Ophthalmol 58(3):233-251(2013)を参照されたい。