(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】漏出を防ぐ閉鎖手段を有する容器
(51)【国際特許分類】
B65D 3/20 20060101AFI20220214BHJP
B65D 3/06 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
B65D3/20 A ZAB
B65D3/06
(21)【出願番号】P 2018562587
(86)(22)【出願日】2017-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2017062852
(87)【国際公開番号】W WO2017207466
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-02-19
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IE
(73)【特許権者】
【識別番号】514300890
【氏名又は名称】ハンパック リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANPAK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ウエイ ル
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-520710(JP,A)
【文献】実開昭57-101714(JP,U)
【文献】特表2014-513012(JP,A)
【文献】実開昭59-179687(JP,U)
【文献】米国特許第08746545(US,B2)
【文献】特開2003-072733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0193196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 3/20
B65D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側と、内側と、一端に閉塞底部と、対向端部に概ね湾曲した周縁とを有する壁を備える容器であって、前記周縁は前記容器の頂部開口部を画定する容器において、前記容器は更に、
前記容器の壁内に、壁の対向する側面に前記周縁の下で形成された、一対の実質的に弓状の折り目線を備える容器であって、各折り目線は、前記周縁とつながる第1端部および第2端部を備え、各折り目線と、前記周縁の、前記折り目線の第1端部と第2端部との間の部分は、外面および内面を備えたフラップを画定し、各折り目線がヒンジとして機能するよう構成され、前記フラップに初期外力を加えることで、各フラップは、前記フラップが
当該フラップの内面が前記壁の内面に対して平行となっている凸型であり前記容器の壁の一部を形成する開口直立位置と、前記フラップが
当該フラップの内面が前記壁の内面に対して鋭角となるように凹型に変形する閉鎖下降位置との2つの位置の間で切り替え可能であり、
前記容器は更に閉鎖手段を備え、前記閉鎖手段は、前記フラップが閉鎖下降位置にある際に、各折り目線の端部が前記容器の周縁とつながる位置またはそこに隣接する位置に画定された少なくとも1つのフラップ開口部を制限するように動作可能であり、前記閉鎖手段は前記容器の壁の内側に少なくとも1つの閉鎖リーフを備え、
前記閉鎖リーフは、前記折り目線の端部が、制限されている前記フラップ開口部の周縁とつながる位置から離れた場所で前記フラップのうちの第1のフラップに取り付けられ、前記閉鎖リーフが前記第1のフラップと共に移動可能であることを特徴とし、
前記フラップが閉鎖下降位置にある際に、前記閉鎖リーフは、前記フラップ開口部から下方に離間した第1のフラップ開口部の下で延在している、容器。
【請求項2】
前記閉鎖リーフは、前記フラップが開口直立位置にある際には、前記第1のフラップに直立に配置される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記閉鎖リーフは、前記フラップが開口直立位置にある際には、前記第1のフラップと同心に配置される、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記閉鎖リーフは、前記第1のフラップに実質的に重ねられている、請求項2または3に記載の容器。
【請求項5】
前記容器が概ね直立位置にある際の漏出を防ぎ、かつ、前記容器を傾けた際に、内容物が前記容器から流出し、前記閉鎖リーフを迂回して、前記フラップ開口部を通じて容器から排出することができるように、前記フラップが閉鎖下降位置にある際に、前記閉鎖リーフが前記フラップ開口部を制限するように成形されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記フラップ開口部に近位の閉鎖リーフの部分は、前記第1のフラップに取り付けられておらず、前記閉鎖リーフは前記フラップ開口部から遠位の部分によって前記第1のフラップに取り付けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記フラップが閉鎖下降位置にある際、前記フラップ開口部の近位の閉鎖リーフの部分が前記第1のフラップから離間し、前記フラップ開口部から遠位の閉鎖リーフの部分が前記第1のフラップに取り付けられるように、前記閉鎖リーフは前記第1のフラップに対して接線方向に延在している、請求項1~6のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記閉鎖リーフは、前記第1のフラップを画定する前記周縁の部分および前記折り目線から離間した位置で前記第1のフラップに取り付けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記閉鎖リーフは、前記第1のフラップを画定する前記周縁の部分と前記折り目線との対向端部の中間の位置にて前記第1のフラップに取り付けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記閉鎖リーフは、前記第1のフラップの中央位置にて前記第1のフラップに取り付けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記フラップが閉鎖下降位置にある際に、前記閉鎖リーフは、前記フラップ開口部の下で、前記フラップ開口部から下方に離間した前記容器の壁の内側に突き当たる、請求項1~10のいずれか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記容器の壁の内側に突き当たる前記閉鎖リーフの部分は、前記容器の壁の内側に適合するよう成形された周縁部分を有する、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
各折り目線は、前記フラップが凸状であり、かつ前記容器の壁の一部を形成する開口直立位置と、前記フラップが凹状にその形状を変化させる閉鎖下降位置とが安定位置となるように構成されており、前記フラップの材料の弾力性により、前記フラップは切り替えを完了し、開口直立位置と閉鎖下降位置との間の中間位置で停止することが妨げられ、各折り目線の長さ、および前記折り目線が軸方向に前記フラップの周縁から最も離間する点と前記周縁との間の最短の間隔は、前記フラップを閉鎖下降位置に移動するときに各フラップが前記容器の底部に対して傾斜方向をとるように、選択され、第1のフラップの周縁が第2のフラップの内面に突き当たり、2つのフラップが前記容器の頂部開口部に亘って二重の傾斜ルーフを形成し、前記第1のフラップの周縁と前記第2のフラップの内面との間に耐漏出性の密閉状態を形成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の容器。
【請求項14】
前記第1のフラップが、閉鎖下降位置に完全に移行可能である場合、前記第2のフラップは、前記第1のフラップの周縁により、閉鎖下降位置に完全に移行するのを妨げられ、前記第1のフラップの周縁は、前記容器の材料の弾力性により前記第2のフラップによる変形が妨げられ、その結果、前記第2のフラップは、前記容器の材料の弾力性により、閉鎖下降位置に向けて、静的に前記第1のフラップの周縁に対して圧迫された状態にとどまり、前記第1のフラップの周縁と前記第2のフラップの内面との間の反作用は、前記周縁および内面が各々共に良好に接触するよう押圧するのに十分であり、これにより、前記フラップ間に密閉状態を形成する、請求項13に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷飲料および温飲料または食品用の容器に関し、特に板紙またはプラスチック等の柔軟な弾性材料から製造された使い捨てまたは再利用可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばファストフードチェーンまたは自動販売機で使用されているような既知の使い捨てまたは再利用可能な容器は、通常、閉塞底部および開口頂部を有する逆円錐台形の本体を備える。容器の内容物が漏出するのを防止するため、蓋は、通常、容器の開口部上に位置する。こうした蓋は、一般的にはプラスチック材料から成形される。こうした蓋を紙から形成することもできる。適合する蓋は、販売場所において容器を配給するユーザの手の届く場所に、常に置かれる必要がある。蓋は明らかに、容器の周縁上で確実にフィットし、漏出を防止するよう、容器の開口部と対応している必要がある。こうした蓋の使用に関連して、多くの不便が生じている。円錐台は同一の一般的な形状を備えるが、こうした容器はサイズが異なるため、各容器サイズ用に異なる蓋が通常必要となる。各容器サイズに適合する蓋をストックしておくために追加の費用がかさみ、追加の保管場所および管理資源も必要となる。更に、たとえ適合する蓋であっても、一度で容器開口部上に載せるのはしばしば困難であり、一般的に蓋が最終的に正しい位置に落ち着くまで、何らかの操作が要求される。更に、蓋を容器の周縁に対して僅かでも強く圧迫しすぎると、容器が倒れる可能性があり、必然的に内容物が容器から漏出する。多くの蓋には飲み口/開口部が設けられているため、例えば容器を保持している人が歩いたり、鍵、携帯電話等の他の対象物を操作したりする際、飲み口を介して漏出する危険性が更に高まる。ファストフードサービスの絶え間ない人気により、膨大な量の容器および蓋が、日常的に世界中で使用され、廃棄されている。多くの容器は板紙製であり、こうした容器は再生可能かつリサイクル可能である一方、蓋は概ね、環境にそれほど配慮していないプラスチック製である。
【0003】
既知の容器において、カップの形態の容器を閉鎖するための手段の提供を試みた1つの既知のタイプが、特許文献1に開示されている。この既知の円錐台形カップは、柔軟な弾性材料から製造されており、カップの頂部開口部を画定する円形の周縁を備える。一対の弓状の折り目線が、カップの壁の対向する側面に周縁の下で形成される。折り目線は一対のフラップを画定し、フラップを折り目線に沿って折ることで、カップの頂部開口部を閉鎖する。カップの材料の弾力性により、フラップに初期外力を加えることで、各フラップは2つの安定位置の間、即ちフラップが凸型であり、カップの壁の一部を形成する開口直立位置と、フラップが凹型に変形する閉鎖傾斜位置との間で切り替え可能である。閉鎖モードにおいては、1つのフラップの周縁は第2のフラップの内面に突き当たる。フラップ間に作用する静的な反力により、閉鎖モードにおいてフラップは、比較的剛性を維持する。1つのフラップの周縁が第2のフラップの内面に突き当たる際に、折り目線の端部に隣接してフラップ間に空隙またはフラップ開口部が存在し、これら空隙により開口部が生じ、その開口部から、例えば、カップを傾けるか、またはストローを介してカップの内容物を消費することができる。しかしながら、カップが振られるか、または他の方法で衝撃を受けた場合、カップの内容物が開口部から飛び散るかまたは漏出するという問題がある。
【0004】
フラップ開口部からのカップの内容物の飛び散りおよび漏出を低減または制限するための閉鎖手段が、特許文献2に記載されている。この閉鎖手段は、カップの壁に取り付けられ、かつカップの壁から半径方向内向きに延在する翼を提供する。カップのフラップが閉鎖されると、翼はフラップ開口部の下に配置され、それによって漏出を防ぐ。飛び散りおよび漏出を低減するための効率的な障壁を提供する一方で、この手段に関連した多くの欠点が存在する。1つの欠点として、使用時に、翼がフラップ開口部の位置の下でカップの壁から半径方向内向きに突出することにより、カップ内への注ぎ込みを妨げる点が挙げられる。別の欠点として、カップのフラップを閉鎖する際に、全ての翼が適切に湾曲し、または所定の位置に収まるとは限らず、性能が低下する結果となり得る故、この手段が必ずしも信頼できるとは限らない点が挙げられる。他の欠点として、漏出を防ぐために翼をフラップ開口部付近に配置しなければならない点が挙げられる。更に、フラップ開口部は比較的小さくなければならない。これは飲用中の流路を不所望に制限する可能性がある。翼をフラップ開口部付近に配置している故、翼の一部がフラップ開口部に進入し、消費中にユーザに不快感を与える可能性がある。更に、翼の製造および位置決めにおける公差は比較的厳しく、それによって製造工程を比較的困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2011/063835号パンフレット
【文献】国際公開第2013/175020号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した観点から、本発明の目的は、上記の不便を緩和および軽減し、使い捨てまたは再利用可能な容器の内容物の飛び散りおよび漏出を低減または制限する、改良された容器の閉鎖手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、第1の態様において、本発明は、外側と、内側と、一端に閉塞底部と、対向端部に概ね湾曲した周縁とを有する壁を備える容器を提供するものであって、周縁は容器の頂部開口部を画定する容器において、容器は更に、
容器の壁内に、壁の対向する側面に周縁の下で形成された、一対の実質的に弓状の折り目線を備える容器であって、各折り目線は、周縁とつながる第1端部および第2端部を備え、各折り目線と、周縁の、折り目線の第1端部と第2端部との間の部分は、外面および内面を備えたフラップを画定し、各折り目線がヒンジとして機能するよう構成され、フラップに初期外力を加えることで、各フラップは、フラップが凸型であり容器の壁の一部を形成する開口直立位置と、フラップが凹型に変形する閉鎖下降位置との2つの位置の間で切り替え可能であり、
容器は更に閉鎖手段を備え、閉鎖手段は、フラップが閉鎖下降位置にある際に、各折り目線の端部が容器の周縁とつながる位置またはそこに隣接する位置に画定された少なくとも1つのフラップ開口部を制限するように動作可能であり、閉鎖手段は容器壁の内側に少なくとも1つの閉鎖リーフを備え、
閉鎖リーフは、折り目線の端部が、制限されているフラップ開口部にて周縁とつながる位置から離れた位置でフラップのうちの第1のフラップに取り付けられ、閉鎖リーフが第1のフラップと共に移動可能であることを特徴とし、
フラップが閉鎖下降位置にある際に、閉鎖リーフは、フラップ開口部から下方に離間した第1のフラップ開口部の下で延在する容器である。
【0008】
好ましくは、閉鎖リーフは、フラップが開口直立位置にある際には、第1のフラップに直立に、好ましくは第1のフラップと同心に配置されている。一構成では、閉鎖リーフは第1のフラップに重ねられている。
【0009】
フラップが閉鎖下降位置にある際に、フラップ開口部は閉鎖リーフによって制限されている故、容器がほぼ直立しており、振られるかまたは他の方法で衝撃を受けた際の漏出を防止または低減させる。しかしながら、フラップ開口部は、閉鎖リーフによって完全に封止されないことが好ましく、容器が傾けられた際に、フラップ開口部を通して容器の内容物が依然として通過可能であることで、容器からの飲用または注ぎ込みが可能であるようにする。この目的のために、閉鎖リーフを適切に、例えば、カップの頂部開口部よりも小さく、および/または、容器から出て行く内容物が閉鎖リーフを迂回して、フラップ開口部を通して容器から排出されることを可能にするための適切な1つ以上の切り欠き、ノッチ、穴または類似の手段を有するように成形することができる。しかしながら、一部の構成において、例えば食品用容器では、閉鎖リーフは、容器の頂部開口部を完全に閉鎖するような大きさおよび形状にすることができる。フラップを開口直立位置に移動させると、閉鎖リーフによりフラップ開口部を制限し、フラップと共に直立方向をとる位置から離れるように閉鎖リーフもフラップと共に枢動する。これにより、スペース効率の良い方法で複数の容器を積み重ねることができる。また、容器の頂部開口部は、注ぎ込み中に妨げられない。フラップによって容器を閉鎖する必要がある場合、閉鎖リーフが第1のフラップと同時に1度の移動でフラップ開口部を制限する位置に閉鎖リーフが移動する。閉鎖リーフがフラップ開口部を制限する位置に閉鎖リーフを移動させるために、別個の動作は必要ない。更に、高レベルの精度で、閉鎖リーフがフラップ開口部の下に正確に位置決めされることが保証される。
【0010】
好ましくは、フラップ開口部の近位の閉鎖リーフの部分は、第1のフラップに取り付けられておらず、閉鎖リーフはフラップ開口部から遠位の部分によって第1のフラップに取り付けられている。
【0011】
一構成では、フラップが閉鎖下降位置にある際、フラップ開口部の近位の閉鎖リーフの部分が第1のフラップから離間し、フラップ開口部から遠位の閉鎖リーフの部分が第1のフラップに取り付けられるように、閉鎖リーフを第1のフラップに対して接線方向に延在させる。
【0012】
一構成では、閉鎖リーフは、例えば適切な種類の板紙またはプラスチック等の弾性的に変形可能な材料から製造される。フラップが閉鎖下降位置にある際には、閉鎖リーフは実質的に平面、凸面または凹面とすることができ、フラップが開口直立位置にある際には、第1のフラップの弓形形状に一致するように湾曲させることができる。
【0013】
好ましくは、閉鎖リーフは、第1のフラップを画定する周縁の部分および折り目線から離間した位置で第1のフラップに取り付けられる。好ましくは、閉鎖リーフは、第1のフラップを画定する周縁の部分と折り目線との対向端部の中間位置にて第1のフラップに取り付けられる。閉鎖リーフは、第1のフラップの中央位置にて第1のフラップに取り付けられてもよい。
【0014】
フラップが閉鎖下降位置にある際に、閉鎖リーフは、フラップ開口部の下で、フラップ開口部から下方に離間した容器の壁の内側に突き当たるようにしてもよい。更に確実に容器の内容物がフラップ開口部から漏出しないようにするために、カップの壁の内側に突き当たる閉鎖リーフの部分は、カップの壁の内側に適合するよう成形された周縁部分を有することが好ましい。従って、飛び散りを最小化し、容器が転倒した際の漏出率を低減する。従って、本発明は、容器の耐漏出特性を改善する一方で、飲用または注ぎ込みが必要とされる際には、飲用および注ぎ込みのために容器を傾けると、容器の内容物を通過させることができる。閉鎖リーフは、容器がユーザの手で把持された際に容器が変形しにくいという点で、容器に更なる剛性も付与する。
【0015】
本発明の閉鎖リーフの更なる利点は、容器を三次元形状に形成する前の、容器の製造工程中に容器を形成するための平坦な半加工品に比較的容易に取り付けることができる点が挙げられる。以前にも、先行技術の翼を平坦な半加工品に取り付けることができたが、容器の壁の長手方向の継ぎ目の位置に近接した容器の壁に取り付けなければならなかった故に、翼と平坦な未加工品との両方の接着領域の位置決めは、非常に正確に制御されなければならなかった。更に、先行技術の下では、2つの開口部を保護するのに一般に2つの翼が必要であった故に、2つの翼の相対的な位置決めにおいて、2つの開口部を保護するのに1つの閉鎖リーフしか必要としない本発明によって要求されるよりもより高い精度が必要とされた。本発明の閉鎖リーフは、一般に、フラップ上の容器の壁の内側の多様な位置に取り付けることができる故に、閉鎖リーフの位置決めは簡単である。
【0016】
本発明の閉鎖リーフの更なる利点は、先行技術の翼よりも厳格でない公差で閉鎖リーフを製造し、かつ容器内に位置決めすることができる点が挙げられる。閉鎖リーフはフラップに取り付けられている故に、先行技術の翼よりも、フラップ開口部から容器の底部に向けて更に下方に離間しており、先行技術の翼よりも広い範囲を被覆することができる一方で、それと同時にフラップに安定的に取り付けられた状態を維持する。従って、漏出を制限する点において、より正確でない寸法および位置決めで、同等のまたは改善された効率を達成することができる。閉鎖リーフが先行技術の翼よりもフラップ開口部から更に下方に離間されている故に、消費中の流路がより制限されない、または改善されたより大きなフラップ開口部を設けることができ、閉鎖リーフがフラップ開口部内に突出して、ユーザに触覚的な不快感を引き起こす可能性が排除される。
【0017】
閉鎖リーフは、必要または所望に応じて任意の適切な形状とすることができ、容器の形状および実行されるべき機能に特に適した形状を有するように適合することができる。例えば、閉鎖リーフは、必要に応じて、実質的に円形、楕円形、多角形または不規則な形状とすることができる。更に、閉鎖リーフは、容器から出て行く内容物が閉鎖リーフを迂回してフラップ開口部を通して容器から排出され得るための適切な1つ以上の切り欠き、ノッチ、穴または同様の手段から形成することができる。閉鎖リーフは、容器のフラップ開口部を1つだけ制限するように成形されてもよい。閉鎖リーフは、容器の対向する一対のフラップ開口部を制限するように成形されてもよい。必要に応じて、閉鎖リーフは、容器のフラップの閉鎖時に、容器の頂部開口部を完全に閉鎖するように成形されてもよい。必要に応じて、フラップ開口部を制限するために、1つ、2つまたはそれ以上の閉鎖リーフを設けることができる。
【0018】
閉鎖リーフは、容器と同じ材料から製造されてもよく、あるいは、より重いゲージもしくはより軽いゲージ、および/または付加的な強度もしくは機能性のための代替的な材料から製造されてもよい。
【0019】
使用時には、容器を閉鎖するために、第1のフラップ、即ち閉鎖リーフが取り付けられているフラップが最初に閉鎖され、次に他方のフラップが閉鎖される。
【0020】
各折り目線は、フラップが凸状であり、かつ容器の壁の一部を形成する開口直立位置と、フラップが凹状にその形状を変化させる閉鎖下降位置とが安定位置となるように構成することができ、フラップの材料の弾力性により、フラップは切り替えを完了し、開口直立位置と閉鎖下降位置との間の中間位置で停止することが防止される。各折り目線の長さ、および折り目線が軸方向にフラップの周縁から最も離れた点と周縁との間の最短距離は、フラップを閉鎖下降位置に移動するときに、各フラップが容器の底部に対して傾斜方向をとるように選択することができ、第1のフラップの周縁は第2のフラップの内面に突き当たり、2つのフラップは容器の頂部開口部に亘って二重の傾斜ルーフを形成する。
【0021】
一構成では、フラップが閉鎖されると、第1のフラップの周縁と第2のフラップの内面との間に耐漏出性の密閉状態を形成することができる。
【0022】
フラップのうちの1つ、例えば第1のフラップが、閉鎖下降位置に完全に移行可能である場合、第2のフラップは、第1のフラップの周縁により、閉鎖下降位置に完全に移行するのを妨げられる。第1のフラップの周縁は、容器の材料の弾力性に起因して第2のフラップにより変形が妨げられ、その結果、第2のフラップは、容器の材料の弾力性により、閉鎖下降位置に向けて、静的に第1のフラップの周縁に対して圧迫された状態にとどまる。第1のフラップの周縁と第2のフラップの内面との間の反作用は、周縁および内面が各々共に良好に接触するよう押圧するのに十分であり、これは、場合によってはフラップ間に密閉状態を形成するのに役立ち得る。
【0023】
折り目線の対向端部が容器の周縁とつながる位置またはその付近に留まっているフラップ開口部は、飲用開口部として機能するが、閉鎖手段を有しないと、これらのフラップ開口部を通して容器の内容物の漏出も生じ得る。フラップが閉鎖下降位置にあるとき、フラップ開口部は1つだけ形成されてもよいことを理解されよう。本発明による閉鎖リーフを設けることにより、フラップが閉鎖下降位置に移動されたときに容器の周縁に形成されたフラップ開口部を制限または保護するように動作可能であり、従って容器の内容物の飛散を防止または改善し、容器が転倒した場合の漏出率を低減する手段を提供する。従って、本発明は容器の耐漏出特性を改善する一方で、飲用または注ぎ込みにおいて必要に応じて、飲用および注ぎ込みのために容器が傾けられた際の容器の内容物の通過を可能にする。本発明の閉鎖リーフはまた、複数の容器の積み重ねを可能にし、内容物の容器内への注ぎ込みを妨害せず、かつ第1のフラップの下方への移動と同時に1度の移動でフラップ開口部の下に閉鎖リーフを正確に位置決めすることができる。
【0024】
好ましくは、閉鎖リーフは、接着剤、超音波溶接および/または熱溶着を使用して、第1のフラップに接続されている。
【0025】
閉鎖リーフは容器と一体的に形成されてもよい。
【0026】
容器は柔軟な弾性材料から製造されてもよい。
【0027】
容器における好適な材料は、板紙またはプラスチック等の柔軟な弾性材料であり、板紙はリサイクル可能である故により好ましい材料である。
【0028】
好ましくは、容器はカップとする。あるいは、容器は、液体、半固体または固体の内容物を、飲用、運搬または貯蔵するための水差し、カートンまたは丸型容器とする。
【0029】
第2の態様において、本発明は、外側と、内側と、一端に閉塞底部と、対向端部に概ね湾曲した周縁とを有する壁を備える容器を提供し、周縁は容器の頂部開口部を画定する容器において、容器は更に、
容器の壁内に、周縁の下で形成された少なくとも1つの実質的に弓状の折り目線を備える容器であって、折り目線は、周縁とつながる第1端部および第2端部を備え、折り目線と、周縁の、折り目線の第1端部と第2端部との間の部分は、外面および内面を備えたフラップを画定し、折り目線がヒンジとして機能するよう構成され、フラップに初期外力を加えることで、フラップは、フラップが凸型であり容器の壁の一部を形成する開口直立位置と、フラップが凹型に変形する閉鎖下降位置との2つの位置の間で切り替え可能であり、
容器は更に閉鎖手段を備え、閉鎖手段は、フラップが閉鎖下降位置にある際に、フラップを画定する周縁の部分と、容器の壁の内側との間に画定される少なくとも1つのフラップ開口部を制限するように動作可能であり、
閉鎖手段は、容器の壁の内側に少なくとも1つの閉鎖リーフを備え、
閉鎖リーフは、折り目線の端部が周縁とつながる位置から離間した位置、または第1のフラップを画定する周縁および折り目線の部分から離間した位置にてフラップに取り付けられており、閉鎖リーフはフラップと共に移動可能であって、
フラップが閉鎖下降位置にあるとき、閉鎖リーフは平面視にてフラップ開口部を横切って延在している容器である。
【0030】
フラップが閉鎖下降位置にあるとき、側面視にて、閉鎖リーフはフラップ開口部の下に延在してもよい。
【0031】
こうした手段は、粘性または固形の食品(例えば、スープまたはフィンガーフード)を保持するための食品用容器において特に有用であり得る。この手段における閉鎖リーフは、内容物が漏出するのを防ぐ一方で、フラップが内容物に接触することはなく、フラップを持ち上げた際に内側と外側が清潔な状態を維持する。食物の小片はフラップ上ではなく閉鎖リーフ上に留まる。従って、容器の壁は汚れない状態を維持し、ユーザはこの容器を使用することで快適性を感じる。
【0032】
本発明の第1の態様の特徴を必要な変更を加えて第2の態様に組み込むことができることを理解されよう。
【0033】
「内」、「内方に」、「外」、「外方に」、「軸方向に」、「長手方向に」またはこれらと類似する用語は、容器の中心の長手方向軸に対する関係を表すものとして使用される。従って、「凸型」および「凹型」との用語は、それぞれ「中心軸に対して外方および内方に曲げられる」と理解することができる。「上」、「上部」、「直立」、「下」、「下部」、「下方へ」、「下降」および「傾斜した」との用語についても、容器の底部に対する関係を表すものとして使用されると理解される。
【0034】
次に、本発明を、本発明による容器の実施形態を単なる例として示す、添付の図面を参照して以下に詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】先行技術によるカップとして形成された容器の多様な図である。
【
図2】先行技術によるカップとして形成された容器の多様な図である。
【
図3】先行技術によるカップとして形成された容器の多様な図である。
【
図4】先行技術によるカップとして形成された容器の多様な図である。
【
図5】先行技術によるカップとして形成された容器の多様な図である。
【
図6】先行技術によるカップとして形成された容器の多様な図である。
【
図7】先行技術によるカップとして形成された容器の多様な図である。
【
図8】本発明の第1の態様の一実施形態による閉鎖手段を示す、カップとして形成された容器の概略斜視図である。
【
図10】完全に閉鎖された
図9のカップの斜視図である。
【
図12】本発明の第2の態様の一実施形態による閉鎖手段を示す、カップとして形成された容器の概略平面図である。
【
図13】部分的に閉鎖された、
図12のカップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、添付の特許請求の範囲に定義されている故、以下の記載の実施形態は請求されている発明を限定するものとして解釈すべきではない。例えば、以下の記載においてのみ、本発明の特徴は、カップとして実施された容器に関連するものとして説明される。しかしながら、液体、半固体または固体の内容物を飲用、運搬または貯蔵するための水差し、カートンまたは丸型容器等である容器用の他の実施形態も想定可能であると理解される。従って、カップとして形成された容器のみに関する以下の記述は、決して限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0037】
先ず、
図1~
図7を参照すると、先行技術によるカップが基本的に参照番号1として示されている。カップ1は、板紙またはプラスチック材料等の柔軟で弾力性のある材料から製造される。
【0038】
カップ1は壁2を備え、壁2は、中心軸3と、一端に位置し選択的に直径が小さい閉塞底部4と、反対端に位置し選択的に直径が大きい概ね円形の周縁5とを備える円錐台形である。本発明において、カップの壁は円形の断面に限定されるものではない。実際、概ね湾曲した、例えば楕円形または他の断面のカップは、本発明の範囲内である。突出する飲み口または飲用口を備えるものもまた、本発明の範囲内である。周縁5は、カップ1の頂部開口部6を画定する。周縁5および底部4は、同一の直径としてもよい。
【0039】
一対の実質的に弓状の折り目線7,8はカップ1の壁2内に、壁2の対向する側面に周縁5の下で形成される。各折り目線7,8はそれぞれ、第1端部7a、8aおよび第2端部7b、8bを備える。折り目線の端部7a,8a,7b,8bは、周縁5とつながる。また、第1の折り目線7の各端部7a,7bは、第2の折り目線8の対応する端部8a,8bと、カップの周縁5上で実質的につながる。しかしながら、飲用口または注ぎ口または漏斗を備える容器を提供するためには、折り目線7,8の端部7a,7b,8a,8bは、
図7の空隙5a,5bが示すように、周縁5にて十分に幅広な開口部を形成するように周縁5にて互いにつながらず、その結果、飲用口または注ぎ漏斗または開口部100a,100bを形成することを理解されよう。
【0040】
各折り目線7,8と、周縁5の、折り目線7,8の各第1端部および第2端部7a,7b;8a,8bの間の各部分57,58とが、各フラップ70,80を画定する。各フラップ70,80は、外面70a,80aおよび内面70b,80bをそれぞれ備える。
【0041】
各折り目線7,8は、適切な方法(例えばプラスチック製カップの場合のように、壁2の材料を曲げ、切り込み、または、異なる成形方法を用いる)を使用して、ヒンジとして機能するよう構成され、フラップ70,80に初期外力を加えることで、各フラップ70,80は2つの安定位置の間で切り替え可能である。2つの安定位置の1つは、フラップ70,80が凸型でカップの壁2の部分を形成する開口直立位置であり、例えば
図1に示される。2つの安定位置の2つ目は、フラップ70,80が凹型に変形する閉鎖下降位置であり、例えば
図4および
図5に示される。本実施例においては、フラップ70,80は、フラップ70,80の材料の弾力性により、開口直立位置と閉鎖下降位置との間の中間位置にとどまることが防止される。なぜなら、フラップ70,80の周方向の長さが、各折り目線7,8で画定された面の長さより長いため、フラップ70,80は中間位置において、いびつになり、例えば波状変形するためである。フラップ70,80が外力により中間位置へと押され、続いて外力が消滅すると、カップの材料の本来の弾力性の作用で、フラップ70,80は閉鎖下降位置の凹型形状か、または開口直立位置の凸型形状となる。カップの材料の弾力性により、フラップ70,80に引き続いて外力を加えられる必要無く切り替えが完了し、フラップ70,80が開口直立位置と閉鎖下降位置との間の中間位置で停止することが防止される。別の実施形態では、この2つの位置は安定している必要はないことを理解されよう。
【0042】
各折り目線7,8の長さ、各折り目線7,8が軸方向にフラップ70,80の周縁部分57,58から最も離間する距離である、
図1に示す点P1とP2との間隔および周縁5は、フラップ70,80の閉鎖時に、各フラップ70,80がカップ1の底部4に対して下降、湾曲および/または角度をつけるよう選択される。更に、第1のフラップ、例えばフラップ70は、
図4に示すように、閉鎖下降位置に完全に移行可能である。第2のフラップ、即ちフラップ80は、第2のフラップ80の内面80bに突き当たる第1のフラップの周縁部分57により、実質的に第1のフラップ70の周縁部分57の全長に沿い、閉鎖下降位置に完全に移行するのを妨げられる。
図5に示すように、第1のフラップ70の周縁部分57は、第1のフラップ70の材料(即ちカップ1の材料)の弾力性に起因して第2のフラップ80により変形が妨げられる一方で、第2のフラップ80は、第2のフラップ80の材料(即ちカップ1の材料)の弾力性に起因して、完全に閉鎖下降位置の方向へ、静的に第1のフラップ70の周縁部分57に対して圧迫された状態に留まる。第1のフラップ70の周縁部分57と第2のフラップ80の内面80bとの間で強制接触が継続するため、耐漏出性の密閉状態が、第1のフラップ70の周縁部分57の長さに沿って形成される。
図5~
図7に示すように、2つのフラップ70,80がカップ1の頂部開口6に亘って二重の傾斜ルーフを形成する。別の実施形態では、フラップは互いに突き当たる必要はなく、または二重の傾斜ルーフを形成する必要はないことを理解されよう。
【0043】
フラップ70、80が閉鎖されると、折り目線の端部7a、8aおよび7b、8bがカップの周縁5につながる場所である、周縁部分57,58の端部57a,57b,58a,58bに隣接して、顕著な空隙またはフラップ開口部100a,100bが存在し、これらの開口部が出口となり、そこからカップ1の内容物が漏出し得る。本発明は改良された閉鎖手段を提供することで、フラップ開口部100a、100bを制限または保護することによって、容器が概ね直立位置にある際の、容器の内容物の飛び散りを防止または改善し、かつ、容器が転倒した際の漏出率を低減させる。従って、本発明により容器の耐漏出特性が改善される一方、飲用または注ぎ込みが要求される際には、飲用および注ぎ込むために傾ければ、容器は容器の内容物の流路を形成可能である。折り目線の端部7a,8aおよび7b,8bは、飲用口および/または注ぎ口または漏斗を形成するための、周縁5において十分な広さの開口部を形成することを目的として周縁5とつながるのではないと理解される。
【0044】
次に、
図8~
図11を参照すると、本発明の第1の態様によるカップは、基本的に参照番号10で示されている。カップ10は、先行技術のカップ1の特徴の大部分を含み、簡略的に表現するために、先行技術のカップ1と共通のカップ10の部分は、共通の参照番号を用いて示されている。本発明の一構成では、閉鎖手段は、フラップ70、80が折り畳まれたときに形成される対向する空隙またはフラップ開口部100a、100bのそれぞれを制限するための少なくとも1つの閉鎖リーフ130を含む。閉鎖リーフ130は両方のフラップ開口部100a、100bを制限するように図面に示されているが、カップ10は、単一のフラップ開口部を封止すべき場合、またはカップ10にフラップ開口部が1つのみ設けられている場合、閉鎖リーフ130により1つのみのフラップ開口部を制限する必要があることを理解されよう。例えば、本発明の特定の用途に応じて、容器の内容物が2つのフラップ開口部のうちの1つを通して妨げられない流路を有し、かつ2つのフラップ開口部のうちの他方を通して流路を制限することが望ましい場合があり、この場合、フラップ開口部の一方のみを制限するための閉鎖リーフ130を含める必要がある。従って、1つのフラップ開口部を制限すること、または2つの対向するフラップ開口部を制限することに関する閉鎖リーフ130への言及は、決して限定的なものとして解釈されるべきではない。従って、特定の要件に応じて、閉鎖リーフ130は、カップ10の一方のフラップ開口部のみを制限するように成形されてもよい。閉鎖リーフ130は、カップ10の両方のフラップ開口部70、80を制限するように成形されてもよい。更に、一対の閉鎖リーフ130を同じフラップに設けることで、対向するフラップ開口部70、80をそれぞれ制限することもできる。
【0045】
本実施例においては、使用時に、閉鎖リーフ130は、開口部100a、100bをカップ10内から制限して容器の内容物の飛散を低減するように形成されている。
【0046】
閉鎖リーフ130は、折り目線7、8の端部7a、8a、7b、8bがフラップ開口部100a、100bにて周縁5につながる位置から離間した位置Aで、フラップ70、80のうちの第1のフラップ、例えばフラップ70に取り付けることができ、また閉鎖リーフ130は第1のフラップ70と共に移動可能である。本配置において、閉鎖リーフ130は、第1のフラップ70を画定する周縁5および折り目線7の部分から離間した第1のフラップ70の中央位置で第1のフラップ70に取り付けられる。
図8および
図10における各矢印IおよびIIによって示されるように、使用時には、カップ10を閉鎖するために、第1のフラップ70が最初に閉鎖され、他方のフラップ80が次に閉鎖される。
【0047】
本配置において、閉鎖リーフ130は第1のフラップ70上に実質的に重なっている。また、本配置において、
図8および
図9に示すようにフラップ70、80が開口直立位置にあるとき、閉鎖リーフ130は第1のフラップ70に直立に、かつ第1のフラップ70と同心に配置される。
図10および
図11に示すように、フラップ70、80が閉鎖下降位置にあるとき、閉鎖リーフ130は、フラップ開口部100a、100bから下方に離間したフラップ開口100a、100bの下で延在している。
【0048】
フラップ70、80が閉鎖下降位置にある際に、フラップ開口部100a、100bは閉鎖リーフ130によって制限されている故、カップ10が概ね直立しており、振られるかまたは他の方法で衝撃を受けた際の漏出を防止または最小限に抑える。しかしながら、閉鎖リーフがカップ10の頂部開口部6を完全には塞いでいない故に、フラップ開口部100a、100bは、閉鎖リーフ130によって完全には封止されておらず、カップ10を傾斜した際に、カップの内容物がフラップ開口部100a、100bを通して依然として通過可能であることで、カップ10からの飲用または注ぎ込みが可能となる。本構成において、閉鎖リーフ130に切り欠き140を設けることにより、カップの内容物の通過を可能にし、またフラップおよび閉鎖リーフ130を併せて保持して、それらを開口直立位置に移行可能とする。しかしながら、他の構成では、例えば食品用容器では、閉鎖リーフ130は、容器の頂部開口部6を完全に閉鎖するよう成形してもよい。フラップ70を開口直立位置に移動すると、閉鎖リーフ130もまた、閉鎖リーフ130がフラップ開口部100a、100bを制限し、フラップ70と共に直立方向をとる位置から離れるようにフラップ70と共に枢動する。これにより、効率的な保管のために複数のカップ10を互いに積み重ねることが可能となる。また、カップ10の頂部開口部6は充填中に妨げられない。フラップ70、80によってカップ10を閉鎖する必要がある場合、閉鎖リーフ130は、第1のフラップ70と同時に1度の移動で閉鎖リーフ130がフラップ開口部100a、100bを制限する位置に移動される。閉鎖リーフ130がフラップ開口部100a、100bを制限する位置に閉鎖リーフ130を移動させるための別個の動作は必要ではない。更に、閉鎖リーフ130がフラップ開口部100a、100bの下に正確に位置決めされることが保証される。
【0049】
フラップ開口部100a、100bの近位の閉鎖リーフ130の部分は、第1のフラップ70に取り付けられておらず、閉鎖リーフ130は、フラップ開口部100a、100bから遠位の部分によって第1のフラップ70に取り付けられている。
図10に最もよく見られるように、フラップ70、80が閉鎖下降位置にあるとき、フラップ開口部100a、100bの近位の閉鎖リーフ130の部分が第1のフラップ70から離間し、フラップ開口100a、100bから遠位の閉鎖リーフ130の部分が第1のフラップ70に取り付けられるように、閉鎖リーフ130は第1のフラップ70に対して接線方向に延在している。閉鎖リーフ130は、好ましくは、例えば、適切な種類の板紙またはプラスチック等の弾性の変形可能な材料から製造される故、フラップ70、80が閉鎖下降位置にあるとき、閉鎖リーフ130は実質的に平面、または僅かに凸面または凹面とすることができ、フラップ70、80が開口直立位置にあるときは、第1のフラップ70の弓状形状に一致するように湾曲させることができる。
【0050】
一構成では、フラップ70、80が閉鎖下降位置にあるとき、第1のフラップ70の周縁5と第2のフラップ80の内面との間に耐漏出性の密閉状態が形成されてもよい。
【0051】
フラップ70、80が閉鎖下降位置にあるとき、閉鎖リーフ130は、フラップ開口部100a、100bの下で、フラップ開口部100a、100bから下方に離間した位置にて、カップの壁2の内側面に突き当たる。好ましくは、カップの壁2の内側に突き当たる閉鎖リーフ130の部分は、カップの壁2の内側に適合し係合するように成形された端縁部分135を有することで、カップ10の内容物がフラップ開口部100a、100bから更に確実に飛び散らないようにする。従って、飛び散りが最小限に抑えられ、カップ10が転倒した際の漏出率を低減する。従って、本発明はカップ10の耐漏出特性を改善する一方で、飲用または注ぎが必要とされる際には、飲用および注ぎ込みのために傾けると、カップ10がカップの内容物を通過可能とする。これはまた、カップ10がユーザの手で把持された際にカップ10が変形しにくいという点で、カップ10に更なる剛性も付与する。
【0052】
本発明の閉鎖リーフ130はまた、複数のカップ10の積み重ねを可能にし、かつ内容物のカップ10への注ぎ込みを妨げず、また第1のフラップ70の下方への移動と同時に、一度の移動でフラップ開口部100a、100bの下に閉鎖リーフ130を正確に位置決めすることができる。
【0053】
本発明の閉鎖リーフ130の更なる利点は、カップ10を三次元形状に成形する前のカップ10の製造工程中に、カップ10を成形するための平坦な半加工品(図示せず)に比較的容易に取り付けることができる点が挙げられる。以前にも、先行技術の翼を平坦な半加工品に取り付けることができたが、カップの壁の長手方向の継ぎ目(図示せず)の位置に近接したカップの壁に取り付けなければならなかった故に、翼と平坦な未加工品との両方の接着領域の位置決めは、非常に正確に制御されなければならなかった。更に、先行技術の下では、2つの開口部を保護するのに一般に2つの翼が必要であった故に、2つの翼の相対的な位置決めにおいて、2つの開口部を保護するのに1つの閉鎖リーフしか必要としない本発明によって要求されるよりもより高い精度が必要とされた。本発明の閉鎖リーフ130は、一般に、フラップ70上のカップの壁2の内側の多様な位置に取り付けることができる故に、閉鎖リーフ130の位置決めは簡単である。
【0054】
本発明の閉鎖リーフ130の更なる利点は、先行技術の翼よりも厳格でない公差で閉鎖リーフ130を製造し、かつカップ10内に位置決めすることができる点が挙げられる。閉鎖リーフ130はフラップ70に取り付けられている故に、閉鎖リーフ130は、先行技術の翼よりも、フラップ開口部100a、100bからカップ10の底部4に向けて更に下方に離間しており、先行技術の翼よりも広い範囲を被覆することができる一方で、それと同時にフラップ70に安定的に取り付けられた状態を維持する。従って、漏出を制限する点において、より正確でない寸法および位置決めで、同等または改善された効率を達成することができる。閉鎖リーフ130は先行技術の翼よりもフラップ開口部100a、100bから更に下方に離間されている故に、消費中の流路がより制限されない、より大きなフラップ開口部100a、100bを設けることができる。更に、閉鎖リーフ130がフラップ開口部100a、100b内に突出して、ユーザに触覚的な不快感を引き起こす可能性が排除される。
【0055】
閉鎖リーフ130は、必要または所望に応じて任意の適切な形状とすることができ、カップ10の形状および実行されるべき機能に特に適した形状を有するように適合することができる。例えば、閉鎖リーフ130は、必要に応じて、実質的に円形、楕円形、多角形または不規則な形状とすることができる。更に、カップ10から出て行く内容物が閉鎖リーフ130を迂回してフラップ開口部100a、100bを通してカップ10から排出され得るための適切な1つ以上の切り欠き、ノッチ、穴または同様の手段を閉鎖リーフ130に組み込んでもよい。必要に応じて、閉鎖リーフ130は、カップ10のフラップ100a、100bの閉鎖時に、容器の頂部開口部6を完全に閉鎖するように成形されてもよい。
【0056】
閉鎖リーフ130は、カップ10と同じ材料から製造されてもよく、あるいは、より重いゲージもしくはより軽いゲージ、および/または付加的な強度もしくは機能性のための代替的な材料から製造されてもよい。
【0057】
次に、
図12および
図13を参照すると、本発明の第2の態様によるカップは、基本的に参照番号110で示されている。カップ110は、カップ10の特徴の一部を含み、簡略的に表現するために、カップ10と共通のカップ110の部分は、共通の参照番号を用いて示されている。容器110では、1つの折り目線7と、折り目線の第1端部7aと第2端部7bとの間の周縁5の部分とによって、1つのフラップ70のみが画定されている。フラップ開口部200は、フラップ70が折り畳まれたときに、フラップ70を画定する周縁5の部分と容器の壁2の内側との間に画定される。本発明のこの態様の閉鎖手段は、フラップ開口部200を制限するために、容器の壁2の内側に少なくとも1つの閉鎖リーフ138を備える。閉鎖リーフ138は、折り目線7の端部7a、7bが周縁5とつながる位置から離れた位置にてフラップ70に取り付けられる。フラップ70が閉鎖下降位置にあるとき、閉鎖リーフ138はフラップ70と共に移動可能であり、平面視ではフラップ開口部200に亘って延在し、また側面視ではフラップ開口部の下で延在している。フラップ70が閉鎖下降位置にあるとき、閉鎖リーフ138の自由外縁部分は、容器の壁2の内側面に突き当たり、および/または容器の壁2の内側面の形状に適合させることができる。
【0058】
こうした手段は、粘性または固形食品(例えば、スープまたはフィンガーフード)を保持するための食品用容器において特に有用であり得る。この手段の閉鎖リーフ138は、内容物が漏出するのを防止する一方で、フラップ70が内容物に接触することはなく、フラップ70を持ち上げた際には内側と外側が清潔な状態が維持される。食物の小片はフラップ70上ではなく閉鎖リーフ138上に留まる。従って、カップの壁2は汚れない状態を維持し、ユーザはカップ110を使用することで快適性を感じる。
【0059】
他の変形例では、カップ110は、カップ10のように2つのフラップを含むことができる。カップ10の他の特徴は、必要な変更を加えてカップ110に組み込むことができる。
【0060】
当業者においては、本発明の範囲から逸脱することなく変更および修正が可能であることを理解されたい。