(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】医療用管
(51)【国際特許分類】
A61M 16/08 20060101AFI20220214BHJP
F16L 11/11 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
A61M16/08 300Z
F16L11/11
(21)【出願番号】P 2021117664
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2021-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517127584
【氏名又は名称】株式会社MAGOS
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】新田 一福
(72)【発明者】
【氏名】グエン キム クエン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0247619(US,A1)
【文献】特開昭57-190571(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104373698(CN,A)
【文献】米国特許第04360104(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/08
F16L 11/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状又はらせん状に延びて環を構成する基準環が軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる
複数の基準側蛇腹管部と、
前記基準側蛇腹管部とは異なる形状で管として構成され、
前記基準環と異なる形状で環状又はらせん状に延びて環を構成する異形環が前記軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる複数の異形側蛇腹管部と、
前記基準側蛇腹管部とは異なる形状で管として構成され、軸直交断面が正円形状となる円筒部を含む複数の管端部と、
を有し、
前記基準側蛇腹管部の軸方向長さは、前記異形側蛇腹管部の前記軸方向長さよりも長く、
前記基準側蛇腹管部と、前記異形側
蛇腹管部が、前記軸方向に交互に連なっており、
複数の前記基準側蛇腹管部と、少なくとも1つの前記異形側蛇腹管部が、前記軸方向に交互に連なる構成を医療用管片と定義した際、当該医療用管片は、両端において前記管端部に連なっており、
前記基準環の中心軸に沿う断面の内壁側の凸形状を基準山形状と定義し、前記中心軸に沿う前記異形環の断面の内壁側の凸形状を異形山形状と定義する際、
前記中心軸を中心として該基準山形状の基部及び前記異形山形状の基部は、共通となる円筒状の仮想基準円筒面上に位置し、
前記基準山形状の山高さと比較して、前記異形山形状の山高さが低いことを特徴とする、
医療用管。
【請求項2】
前記管端部の内壁側の最内部分の内径は、前記仮想基準円筒面の径と同じであることを特徴とする、
請求項1に記載の医療用管。
【請求項3】
前記基準環の軸方向幅と前記異形環の前記軸方向幅が同じであることを特徴とする、
請求項
1又は
2に記載の医療用管。
【請求項4】
前記基準山形状の山頂の角度又は曲率と比較して、前記異形山形状の山頂の角度又は曲率が大きいことを特徴とする、
請求項
1~3のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項5】
隣接する前記医療用管片の間の前記管端部の少なくとも1つは、切断後に医療用部材に接続可能な形状を発現し得る接続部
により構成されることを特徴とする、
請求項
1~4のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項6】
前記
異形側蛇腹管部を少なくとも3つ備えており、
前記基準側蛇腹管部を介在して前記軸方向の一方側から他方側に並ぶ少なくとも3つの前記
異形側蛇腹管部の前記軸方向長さが順に増大、又は、減少することを特徴とする、
請求項
1~5のいずれか一項に記載の医療用管。
【請求項7】
前記
異形側蛇腹管部を少なくとも3つ備えており、
前記基準側蛇腹管部を介在して前記軸方向の一方側から他方側に並ぶ少なくとも3つの前記
異形側蛇腹管部の前記異形環の数が順に増大、又は、減少することを特徴とする、
請求項
1~5のいずれか一項に記載の医療用管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の治療において用いられる医療用管に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、呼吸用マスクに装着される吸気管は、蛇腹状に形成されている(例えば、特許文献1参照)。吸気管の外形は、外部波頂部(または環状突出部)と内部波底部(または環状凹部)とが交互に並ぶ波形に形成される。そして、外部波頂部と内部波底部は、同じ形状及び大きさのものが軸方向に繰り返し形成される。
【0003】
そして、一般的に、
図12に示すように、吸気管900は、同じ形状及び大きさの単位形状910が繰り返されて構成される。単位形状910は、管端部911、蛇腹管部912、管端部913が順に繋がって構成される。そして、隣接する管端部911と管端部913が繋がって、単位形状910が繰り返される。通常、管端部911,913の軸方向の長さは、それぞれ19(mm)であり、蛇腹管部912の軸方向の長さは、112(mm)であるため、単位形状910の軸方向の長さは、150(mm)となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構造の吸気管900に空気を供給すると、吸気管900内の音響パワーレベルが大きくなり、うるさく感じる。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、管内に空気が供給されても、管内の音響パワーレベルを抑えることができる医療用管を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医療用管は、上記課題を解決するためになされたものであり、環状又はらせん状に延びて環を構成する基準環が軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる複数の基準側蛇腹管部と、前記基準側蛇腹管部とは異なる形状で管として構成され、前記基準環と異なる形状で環状又はらせん状に延びて環を構成する異形環が前記軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる複数の異形側蛇腹管部と、前記基準側蛇腹管部とは異なる形状で管として構成され、軸直交断面が正円形状となる円筒部を含む複数の管端部と、を有し、前記基準側蛇腹管部の軸方向長さは、前記異形側蛇腹管部の前記軸方向長さよりも長く、前記基準側蛇腹管部と、前記異形側蛇腹管部が、前記軸方向に交互に連なっており、複数の前記基準側蛇腹管部と、少なくとも1つの前記異形側蛇腹管部が、前記軸方向に交互に連なる構成を医療用管片と定義した際、当該医療用管片は、両端において前記管端部に連なっており、前記基準環の中心軸に沿う断面の内壁側の凸形状を基準山形状と定義し、前記中心軸に沿う前記異形環の断面の内壁側の凸形状を異形山形状と定義する際、前記中心軸を中心として該基準山形状の基部及び前記異形山形状の基部は、共通となる円筒状の仮想基準円筒面上に位置し、前記基準山形状の山高さと比較して、前記異形山形状の山高さが低いことを特徴とする。また、本発明の医療用管において、前記管端部の内壁側の最内部分の内径は、前記仮想基準円筒面の径と同じであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の医療用管において、前記異形側管部は、前記基準環と異なる形状で且つ環状又はらせん状に延びて環を構成する異形環を、前記軸方向に複数連なる状態で有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の医療用管において、前記基準環の内壁側の最大内径と比較して、前記異形環の内壁側の最大内径が小さいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の医療用管において、前記基準環の軸方向幅と前記異形環の前記軸方向幅が同じであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の医療用管において、前記異形側管部は、複数の前記異形環が前記軸方向に連なることで湾曲自在の蛇腹状となることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の医療用管において、前記基準環の中心軸に沿う断面の内壁側の凸形状を基準山形状と定義し、前記異形環の中心軸に沿う断面の内壁側の凸形状を異形山形状と定義する際に、前記基準山形状の山高さと比較して、前記異形山形状の山高さが低いことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の医療用管において、前記基準環の中心軸に沿う断面の内壁側の凸形状を基準山形状と定義し、前記異形環の中心軸に沿う断面の内壁側の凸形状を異形山形状と定義する際に、前記基準山形状の山頂の角度又は曲率と比較して、前記異形山形状の山頂の角度又は曲率が大きいことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の医療用管において、前記異形側管部は、軸直交断面の内壁側が正円形状となる円筒部を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の医療用管において、隣接する前記医療用管片の間の前記管端部の少なくとも1つは、切断後に医療用部材に接続可能な形状を発現し得る接続部により構成されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の医療用管において、複数の前記異形側管部には、前記軸方向長さが異なるものが含まれることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の医療用管において、複数の前記基準側蛇腹管部には、前記軸方向長さが異なるものが含まれることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の医療用管において、前記異形側蛇腹管部を少なくとも3つ備えており、前記基準側蛇腹管部を介在して前記軸方向の一方側から他方側に並ぶ少なくとも3つの前記異形側蛇腹管部の前記軸方向長さが順に増大、又は、減少することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の医療用管において、前記異形側蛇腹管部を少なくとも3つ備えており、前記基準側蛇腹管部を介在して前記軸方向の一方側から他方側に並ぶ少なくとも3つの前記異形側蛇腹管部の前記異形環の数が順に増大、又は、減少することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の医療用管において、複数の前記異形側管部には、複数の前記異形環が前記軸方向に連なることで湾曲自在の蛇腹状となる複数の異形側蛇腹管部、及び、少なくとも1つの前記接続部が含まれ、前記異形側蛇腹管部及び前記接続部は、前記基準側蛇腹管部を介在して前記軸方向に交互に並ぶことを特徴とする。
【0021】
本発明の医療用管は、環状又はらせん状に延びて環を構成する基準環が軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる基準側蛇腹管部と、前記基準環と異なる形状で環状又はらせん状に延びて環を構成する異形環が前記軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる異形側蛇腹管部と、を有し、前記基準環の内壁側の最大内径と比較して、前記異形環の内壁側の最大内径が小さいことを特徴とする。
【0022】
本発明の医療用管は、上記課題を解決するためになされたものであり、環状又はらせん状に延びて環を構成する基準環が軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる基準側蛇腹管部と、前記基準側蛇腹管部とは異なる形状で管として構成される異形側管部と、を有し、複数の前記基準側蛇腹管部と、複数の前記異形側管部が、前記軸方向に交互に連なっており、複数の前記基準側蛇腹管部には、軸方向長さが互いに異なるものが含まれることを特徴とする。
【0023】
本発明の医療用管は、上記課題を解決するためになされたものであり、環状又はらせん状に延びて環を構成する基準環が軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる基準側蛇腹管部と、前記基準側蛇腹管部とは異なる形状で管として構成される異形側管部と、を有し、複数の前記基準側蛇腹管部と、複数の前記異形側管部が、前記軸方向に交互に連なっており、複数の前記異形側管部には、軸方向長さが互いに異なるものが含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の医療用管によれば、管内に空気が供給されても、管内の音響パワーレベルを抑えることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】(A)は、本発明の第一実施形態における医療用管を示す図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用管を、医療用管の軸方向に沿って切った断面図である。
【
図2】(A)は、本発明の第一実施形態における医療用管の基準環及び異形環を、医療用管の軸方向に沿って切った断面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における医療用管の管端部を、医療用管の軸方向に沿って切った断面図である。(C)は、本発明の第一実施形態における医療用管の管端部の軸直交断面図である。
【
図3】(A),(B)は、本発明の第一実施形態における医療用管の基準環及び異形環の変形例を、医療用管の軸方向に沿って切った断面図である。
【
図4】(A)は、本発明の第一実施形態における複数の医療用管片を繋げて構成された医療用管を示す図である。(B)は、従来の複数の医療用管片を繋げて構成された医療用管を示す図である。
【
図5】(A)は、本発明の第一実施形態における第一変形例の医療用管を示す図である。(B)は、本発明の第一実施形態における複数の第一変形例の医療用管を繋げて構成された医療用管を示す図である。(C)は、本発明の第一実施形態における第二変形例の医療用管を示す図である。(D)は、本発明の第一実施形態における複数の第二変形例の医療用管を繋げて構成された医療用管を示す図である。
【
図6】(A)は、本発明の第二実施形態における医療用管を示す図である。(B)は、本発明の第二実施形態における医療用管の基準環及び異形環を、医療用管の軸方向に沿って切った断面図である。(C),(D)は、本発明の第二実施形態における医療用管の変形例を示す図である。
【
図7】(A)は、本発明の第三実施形態における医療用管を示す図である。(B)は、本発明の第三実施形態における医療用管の変形例を示す図である。
【
図8】(A)は、本発明の第四実施形態における医療用管を示す図である。(B)は、本発明の第四実施形態における医療用管の変形例を示す図である。
【
図9】(A)は、本発明の第四実施形態における医療用管の第一変形例を示す図である。(B),(C)は、本発明の第四実施形態における医療用管の第一変形例の円筒部を、医療用管の軸方向に沿って切った断面図である。(D)は、本発明の第四実施形態における医療用管の第二変形例を示す図である。(E)は、本発明の第四実施形態における医療用管の第二変形例の円筒部を、医療用管の軸方向に沿って切った断面図である。
【
図10】(A)~(I)は、所定のシミュレーションソフトを用いて、10種類の医療用管の音響パワーレベルについてシミュレーションを行った結果を示す図である。
【
図11】
図10に示すシミュレーション結果の評価を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1~
図11は発明を実施する形態の一例であって、図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わす。
【0027】
<第一実施形態>
図1を参照して、本発明の第一実施形態における医療用管1について説明する。本実施形態における医療用管1は、例えば、人工呼吸器等の呼吸補助装置で吸気管として用いられる。本実施形態における医療用管1は、複数の基準側蛇腹管部2と、複数の異形側管部3と、を有する。
【0028】
<基準側蛇腹管部>
基準側蛇腹管部2は、
図1(A)に示すように、環状又はらせん状に延びて環を構成する基準環20が軸方向Lに複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管として構成されるものである。なお、本願図面では、医療用管1の軸方向を軸方向L、軸方向Lに沿って医療用管1を切った時の断面を断面視した時の軸方向Lに直交する医療用管1の径方向を径方向Rと表記する。
【0029】
基準環20は、医療用管1を構成する複数の環のうち、基準となるものである。そして、基準環20は、医療用管1の周方向を一周する。また、基準環20は、
図1(B)及び
図2(A)に示すように、軸方向Lに沿って切った断面の内壁側(内周側)又は外壁側(外周側)が径方向Rの外側に凸となる凸形状又は山形状(以下、基準山形状と呼ぶ。)になっている。基準側蛇腹管部2を構成する各基準環20の基準山形状は、同一の大きさ及び形状である。
【0030】
具体的に基準環20は、
図2(A)に示すように、軸方向Lにおいて互いの内壁面21A,22Aが対向すると共に、基準山形状の頂部23において繋がる環壁部21,22により構成される。環壁部21,22は、医療用管1の周方向に沿って延びて環状に形成される。また、環壁部21,22は、それぞれ径方向Rの外側に進むに従って軸方向Lにおいて互いに接近するように傾斜する。また、環壁部21,22は、
図2(A)に示すように、基準山形状の基部24から頂部23まで略一定の厚みで直線状に延びる。結果、基準環20の頂部23は、尖ったように構成される。
【0031】
<異形側管部>
異形側管部3は、基準側蛇腹管部2とは異なる形状で管として構成されるものである。本実施形態において異形側管部3は、異形側蛇腹管部30と、管端部31と、を有する。
【0032】
<異形側蛇腹管部>
異形側蛇腹管部30は、基準環20とは大きさ及び/又は形状が異なると共に、環状又はらせん状に延びて環を構成する異形環300が軸方向Lにおいて複数連なる湾曲自在の蛇腹状の管として構成されるものである。異形環300は、
図1(B)及び
図2(A)に示すように、軸方向Lに沿って切った断面が径方向Rの外側に凸となる山形状(以下、異形山形状と呼ぶ。)になっている。また、異形環300は、医療用管1の周方向を一周する。異形側蛇腹管部30を構成する各異形環300の異形山形状は、同一の大きさ及び形状である。
【0033】
具体的に異形環300は、
図2(A)に示すように、軸方向Lにおいて互いの内壁面301A,302Aが対向すると共に、異形山形状の頂部303において繋がる一対の環壁部301,302により構成される。環壁部301,302は、医療用管1の周方向を一周する環状に形成される。また、環壁部301,302は、それぞれ径方向Rの外側に進むに従って軸方向Lにおいて互いに接近するように傾斜する。
【0034】
また、環壁部301,302の各々は、
図2(A)に示すように、異形山形状の基部304から頂部303まで略一定の厚みで、径方向外側に凸となるように湾曲しつつ延びる。結果、異形環300の頂部303は、曲面状に丸みを帯びたように構成される。
【0035】
なお、本実施形態において異形山形状の基部304と基準山形状の基部24は、
図2(A)に示すように、医療用管1の中心軸11を起点として径方向Rに沿って等距離な位置にある。つまり、異形山形状の基部304と基準山形状の基部24は、医療用管1の中心軸11を中心とする円筒状の仮想基準円筒面S上に位置する。この仮想基準円筒面Sによって、安定した流量を確保する。なお、異形山形状の基部304と基準山形状の基部24の少なくとも一方が仮想基準円筒面Sから径方向Rにずれた位置にあるものも本発明の範囲に含まれる。
【0036】
また、本実施形態において異形環300の異形山形状の内壁側の山高さH2は、
図2(A)に示すように、基準環20の内壁側の基準山形状の山高さH1よりも低い。なお、基準山形状及び異形山形状の内壁側の山高さとは、それぞれの基部24,304、又は仮想基準円筒面Sを基準とした径方向Rにおける基準山形状及び異形山形状の高さを指す。なお、異形環300の山高さH2の二倍と、仮想基準円筒面Sの内径の合計値は、異形環300の内壁側の最大内径と称することもできる。同様に、基準環20の山高さH1の二倍と、仮想基準円筒面Sの内径の合計値は、基準環20の内壁側の最大内径と称することもできる。
【0037】
また、本実施形態において異形環300の内壁側の異形山形状の山幅W2は、
図2(A)に示すように、基準環20の基準山形状の内壁側の山幅W2と略同じである。ちなみに、基準山形状及び異形山形状の山幅W1,W2とは、軸方向Lにおける基準山形状及び異形山形状の幅(軸方向幅)を指す。なお、異形環300の異形山形状の山幅W2が基準環20の基準山形状の山幅W1より大きいものも小さいものも本発明の範囲に含まれる。つまり、基準環20と異形環300の形状が異なる概念には、山幅W1/W2の相違、山高さH1/H2の相違、頂部の直径の相違、谷部の直径の相違、山自体の形状の相違(直線状の山/湾曲状の山/台形状の山などの形状相違、湾曲状の山同士の曲率の相違など)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0038】
以上において異形環300の内周面305と外周面306は、異形環300の肉厚全体が略一定となるような径方向外側に凸となる凸面で構成されることで、内周面305と外周面306の双方に山形状が形成されていたが、これに限定されるものではない。優先されるのは、内周面305側の山形状となる。例えば、
図3(A)に示すように、異形環300は、外周面306が仮想基準円筒面Sと相似かつ大径となる円筒面で構成され、内周面305が径方向外側に凸となるような凸面で構成されてもよい。この場合、異形環300は、山形状の谷部分で肉厚になる。また、例えば、
図3(B)に示すように、内周面305が、断面台形状に凸となる凸面で構成される異形環300としてもよい。以上のようなものも本発明の範囲に含まれる。
【0039】
<管端部>
管端部31は、医療用部材に接続可能な形状を有し、
図1(A),(B)に示すように、医療用管1の端部に設けられる。ちなみに、医療用部材として、例えば、患者の口及び鼻を覆うマスク等が一例として挙げられる。そして、管端部31は、
図2(B)に示すように、基準環20とは大きさ及び/又は形状が異なると共に、環状に延びて環を構成する異形環310A~310Dが軸方向Lにおいて順に連なる管により構成される。
【0040】
異形環310Aは、医療用管1の端部に位置するものであり、軸方向Lに沿って切った断面が径方向Rの外側に凸となるL字形状をしている。そして、異形環310Aの内周側の端部縁で医療用管1の開口12が構成される。なお、本実施形態において異形環310Aの径方向Rにおける内壁側の高さは、異形環310Cの異形山形状の内壁側の山高さと略同じであるが、これに限定されるものではなく、低くても高くてもよい。
【0041】
異形環310B,310Dは、
図2(C)に示すように、中心軸11を基準とした軸直交断面が正円形状となる円筒部34により構成される。異形環310Bは、異形環310Dよりも軸方向長さが長い。
【0042】
異形環310Cは、異形環300と大きさ及び形状が異なる異形山形状をしている。本実施形態において異形環310Cの異形山形状は、異形環300の異形山形状よりも横幅が小さく、山高さが低くなっているが、これに限定されるものではない。つまり、異形環310Cの異形山形状は、異形環300の異形山形状と大きさ及び形状が同じであってもよいし、異形環300の異形山形状よりも横幅が大きいか、又は、山高さが高くてもよい。いずれにしても、異形側管部3(異形側蛇腹管部30、管端部31)の内壁側の最大内径は、基準環20の内壁側の最大内径と比較して小さいことが好ましい。
【0043】
また、管端部31は、医療用部材に接続可能な形状であれば、以上のものに限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。
【0044】
<医療用管の全体構成>
医療用管1は、
図1(A),(B)に示すように、複数の基準側蛇腹管部2と複数の異形側管部3が軸方向Lにおいて交互に連なって構成される。結果、異形側蛇腹管部30は、2つの基準側蛇腹管部2の間に配置される。そして、複数の基準側蛇腹管部2には、軸方向Lにおける長さ(以下、軸方向長さと呼ぶ。)が同じものと異なるものが混在する。同様に、複数の異形側管部3は、それぞれ軸方向長さが異なる。これらを区別するため、複数の基準側蛇腹管部2を
図1(A)の左側から順に第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2Dと名付ける。また、複数の異形側蛇腹管部30を
図1(A)の左側から順に第一異形側蛇腹管部30A、第二異形側蛇腹管部30B、第三異形側蛇腹管部30Cと名付ける。そして、医療用管1は、
図1(A),(B)に示すように、管端部31A、第一基準側蛇腹管部2A、第一異形側蛇腹管部30A、第二基準側蛇腹管部2B、第二異形側蛇腹管部30B、第三基準側蛇腹管部2C、第三異形側蛇腹管部30C、第四基準側蛇腹管部2D、管端部31Bが順に連続して繋がって構成される。
【0045】
複数の基準側蛇腹管部2において第二基準側蛇腹管部2Bと第三基準側蛇腹管部2Cは軸方向長さが同一であり、それ以外はそれぞれ軸方向長さが異なる。
【0046】
第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B(第三基準側蛇腹管部2C)、及び第四基準側蛇腹管部2Dは、順に、連続する基準環20の数が増大する。具体的に第一基準側蛇腹管部2Aは基準環20が13個連続し、第二基準側蛇腹管部2B(第三基準側蛇腹管部2C)は基準環20が12個連続し、第四基準側蛇腹管部2Dでは基準環20が11個連続する。結果、第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B(第三基準側蛇腹管部2C)、及び第四基準側蛇腹管部2Dは、順に、軸方向長さが短くなる。つまり、本実施形態における医療用管1では、第一基準側蛇腹管部2Aから第四基準側蛇腹管部2Dに進むに従って、連続する基準環20の数は減少し、軸方向長さが短くなる。
【0047】
なお、第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B(第三基準側蛇腹管部2C)、及び第四基準側蛇腹管部2Dは、以上の構成に限定されるものではなく、いずれも軸方向長さが異なっていてもよい。
【0048】
第一異形側蛇腹管部30A、第二異形側蛇腹管部30B、及び第三異形側蛇腹管部30Cは、順に、連続する異形環300の数が増大する。
図1(A)では、第一異形側蛇腹管部30Aは異形環300が4個連続し、第二異形側蛇腹管部30Bは異形環300が5個連続し、第三異形側蛇腹管部30Cは異形環300が6個連続している。結果、第一異形側蛇腹管部30A、第二異形側蛇腹管部30B、及び第三異形側蛇腹管部30Cは、順に、軸方向長さが長くなる。つまり、本実施形態における医療用管1では、第一異形側蛇腹管部30Aから第三異形側蛇腹管部30Cに進むに従って、連続する異形環300の数が増大し、軸方向長さが増大する。
【0049】
なお、第一異形側蛇腹管部30A、第二異形側蛇腹管部30B、及び第三異形側蛇腹管部30Cは、以上の構成に限定されるものではなく、軸方向長さが同じものが混在してもよい。
【0050】
また、基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、及び第四基準側蛇腹管部2D)は、異形側蛇腹管部30(第一異形側蛇腹管部30A、第二異形側蛇腹管部30B、及び第三異形側蛇腹管部30C)よりも軸方向長さが長い。そして、本実施形態では、第二異形側蛇腹管部30Bは、医療用管1の略中央に配置されていると見做せる。また、第一異形側蛇腹管部30A及び第三異形側蛇腹管部30Cは、医療用管1の略中央から端部側にずれた位置で、且つ医療用管1を略4等分する位置に配置されていると見做せる。つまり、本実施形態における医療用管1では、基準側蛇腹管部2及び異形側蛇腹管部30の中心位置を、医療用管1の等分位置から若干ずらして配置される。
【0051】
なお、以上の構成を一つの医療用管片10と見做して、
図4(A)に示すように、医療用管片10が連続して繋がった医療用管1も本発明の範囲に含まれる。医療用管片10が連続して繋がる場合、隣接する医療用管片10の間には、管端部31B,31Aが連続して繋がる接続部31Cが形成される。
【0052】
接続部31Cが含まれる医療用管1では、医療用管1の長さを調整する際、接続部31Cの中央部分で接続部31Cを切断する。接続部31Cを中央部分で切断すると、そこには、管端部31B,31Aが発現する。
【0053】
<医療用管の軸方向長さ>
図1に示す本実施形態において、管端部31Aの軸方向長さは30(mm)以下が好ましく、ここでは19(mm)で、第一基準側蛇腹管部2Aの軸方向長さは112(mm)未満が好ましく、ここでは64.7(mm)で、第一異形側蛇腹管部30Aの軸方向長さは40(mm)以下が好ましく、ここでは20(mm)で、第二基準側蛇腹管部2Bの軸方向長さは112(mm)未満が好ましく、ここでは60(mm)で、第二異形側蛇腹管部30Bの軸方向長さは40(mm)以下が好ましく、ここでは25(mm)で、第三基準側蛇腹管部2Cの軸方向長さは112(mm)未満が好ましく、ここでは60(mm)で、第三異形側蛇腹管部30Cの軸方向長さは40(mm)以下が好ましく、ここでは30(mm)で、第四基準側蛇腹管部2Dの軸方向長さは112(mm)未満が好ましく、ここでは55(mm)で、管端部31Bの軸方向長さは30(mm)以下が好ましく、ここでは19(mm)である。
【0054】
なお、基準環20の軸方向長さ、及び異形環300の軸方向長さは10(mm)以下が好ましく、ここでは5(mm)である。ただし、管端部31Aと連続する基準環20の軸方向長さは4.7(mm)である。また、基準環20の基準山形状の内壁側の山高さは5(mm)以下が好ましく、ここでは3.5(mm)で、異形環300の異形山形状の内壁側の山高さは、4.5(mm)以下が好ましく、ここでは2.7(mm)である。基準山形状の山高さと異形山形状の山高さの差は0.5(mm)以上が好ましい。また、仮想基準円筒面Sの径(医療用管1の内径)は、22(mm)である。
【0055】
なお、一般的には、
図4(B)に示すように、管端部31A、基準側蛇腹管部2、管端部31Bの順に繋がる医療用管片10が連続して繋がった医療用管1が用いられている。その医療用管片10の軸方向長さは、一般的には、150(mm)である。そして、医療用管片10に含まれる両管端部31A,31Bの軸方向長さは、それぞれ19(mm)なので、基準側蛇腹管部2の軸方向長さは、112(mm)となる。
【0056】
本実施形態において各基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D)の軸方向長さは、112(mm)よりも小さい。ただし、医療用管1の中に、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが112(mm)以上のものが含まれていてもよい。
【0057】
<第一実施形態の変形例>
図5を参照して、本実施形態の医療用管1の変形例について説明する。
図5(A)に示す第一変形例の医療用管1は、管端部31A、
蛇腹管部2A、第一異形側蛇腹管部30A、第二基準側蛇腹管部2B、第二異形側蛇腹管部30B、第三基準側蛇腹管部2C、管端部31Bが順に連続して繋がって構成される。
【0058】
第一変形例においても第二基準側蛇腹管部2B、及び第三基準側蛇腹管部2Cは、それぞれ軸方向長さが異なる。つまり、第二基準側蛇腹管部2B、及び第三基準側蛇腹管部2Cは、連続する基準環20の数が異なる。
【0059】
ただし、第一変形例における医療用管1では、第二基準側蛇腹管部2Bは基準環20が9個連続し、第三基準側蛇腹管部2Cは基準環20が5個連続する。つまり、第一変形例における医療用管1では、軸方向に沿って基準側蛇腹管部2に含まれる基準環20の数が増減する。結果、第一変形例における医療用管1では、軸方向に沿って基準側蛇腹管部2の軸方向長さが増減するように変化する。
【0060】
また、第一変形例においても第一異形側蛇腹管部30A及び第二異形側蛇腹管部30Bは、それぞれ軸方向長さが異なる。つまり、第一異形側蛇腹管部30A及び第二異形側蛇腹管部30Bは、連続する異形環300の数が異なる。第一変形例における医療用管1において、第一異形側蛇腹管部30Aは異形環300が4個連続し、第二異形側蛇腹管部30Bは異形環300が3個連続する。
【0061】
また、蛇腹管部2Aは、第一異形側蛇腹管部30A及び第二異形側蛇腹管部30Bよりも軸方向長さが小さい。また、第一異形側蛇腹管部30A及び第二異形側蛇腹管部30Bは、第二基準側蛇腹管部2B、及び第三基準側蛇腹管部2Cのいずれと比べても軸方向長さが小さい。そして、第一変形例では、第一異形側蛇腹管部30A及び第二異形側蛇腹管部30Bは、医療用管1の中央の両脇に位置するように配置されると見做せる。
【0062】
そして、
図5(B)に示すように、以上の構成を一つの医療用管片10と見做して、医療用管片10が連続する医療用管1も本発明の範囲に含まれる。医療用管片10が連続する場合、隣接する医療用管片10の間には、管端部31B,31Aが連続して繋がる接続部31Cが形成される。以降の隣接する医療用管片10の間にも接続部31Cが形成されるように構成されてもよい。この接続部31Cも、異形側管部3の一種となる。
【0063】
また、医療用管片10が連続する医療用管1全体を見ると、医療用管1は、軸方向Lに沿って、連続する異形環300の数が3個の第一異形側蛇腹管部30Aと、連続する異形環300の数が4個の第二異形側蛇腹管部30Bと、ストレートの管状となる接続部31Cが、基準側蛇腹管部2を間に置いてこの順番に並ぶ。
【0064】
図5(C)に示す第二変形例の医療用管1は、管端部31A、第一基準側蛇腹管部2A、第一異形側蛇腹管部30A、第二基準側蛇腹管部2B、管端部31Bが順に連続して繋がって構成される。第二変形例の医療用管1では、第一変形例の医療用管1よりも基準側蛇腹管部2及び異形側管部3の数がそれぞれ一つずつ少なくなっている。
【0065】
第一基準側蛇腹管部2A及び第二基準側蛇腹管部2Bは、それぞれ軸方向長さが異なる。つまり、第一基準側蛇腹管部2A及び第二基準側蛇腹管部2Bは、連続する基準環20の数が異なる。
図5(C)に示す医療用管1では、第一基準側蛇腹管部2Aは基準環20が11個連続し、第二基準側蛇腹管部2Bは基準環20が10個連続する。結果、第一基準側蛇腹管部2Aは、第二基準側蛇腹管部2Bよりも軸方向長さが長くなる。
【0066】
また、
図5(C)に示す医療用管1では、第一異形側蛇腹管部30Aは異形環300が2個連続する。第一異形側蛇腹管部30Aの軸方向長さは、第一基準側蛇腹管部2A及び第二基準側蛇腹管部2Bそれぞれの軸方向長さよりも短い。そして、第一異形側蛇腹管部30Aは、第二変形例の医療用管1の略中央に位置すると見做せる。
【0067】
そして、
図5(D)に示すように、第二変形例の構成を一つの医療用管片10と見做して、医療用管片10が連続する医療用管1も本発明の範囲に含まれる。医療用管片10が連続する場合、隣接する医療用管片10の間には、管端部31B,31Aが連続して繋がる接続部31Cが形成される。以降の隣接する医療用管片10の間にも接続部31Cが形成されるように構成されてもよい。この接続部31Cも、異形側管部3の一種となる。
【0068】
また、医療用管片10が連続する医療用管1全体を見ると、医療用管1では、軸方向Lに沿って、第一基準側蛇腹管部2A、第一異形側蛇腹管部30A、第二基準側蛇腹管部2B、接続部31Cがこの順に繰り返して並ぶ。
【0069】
医療用管1は、以上の変形例の構成に限定されるものではなく、基準側蛇腹管部2と異形側蛇腹管部30とが交互に連続するようなものであれば、全て含む。さらに、医療用管1は、異形側蛇腹管部30の少なくとも一部を異形環300が1個だけで構成されたものに置き換えたものをも含む。
【0070】
<第一実施形態の変形例における医療用管の軸方向長さ>
本第一実施形態の第一変形例において、管端部31Aの軸方向長さは、19(mm)で、蛇腹管部2Aの軸方向長さは、9.7(mm)で、第一異形側蛇腹管部30Aの軸方向長さは、20(mm)で、第二基準側蛇腹管部2Bの軸方向長さは、45(mm)で、第二異形側蛇腹管部30Bの軸方向長さは、15(mm)で、第三基準側蛇腹管部2Cの軸方向長さは、25(mm)で、管端部31Bの軸方向長さは、19(mm)である。
【0071】
本第一実施形態の第二変形例において、管端部31Aの軸方向長さは、19(mm)で、第一基準側蛇腹管部2Aの軸方向長さは、54.7(mm)で、第一異形側蛇腹管部30Aの軸方向長さは、10(mm)で、第二基準側蛇腹管部2Bの軸方向長さは、50(mm)で、管端部31Bの軸方向長さは、19(mm)である。
【0072】
本第一実施形態の第一変形例及び第二変形例においても、基準環20の軸方向長さ、及び異形環300の軸方向長さは、5(mm)である。ただし、管端部31Aと連続する基準環20の軸方向長さは、4.7(mm)である。また、基準環20の基準山形状の山高さは、3.5(mm)で、異形環300の異形山形状の山高さは、2.7(mm)である。また、仮想基準円筒面Sの径(医療用管1の内径)は、22(mm)である。
【0073】
本第一実施形態において各基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B)の軸方向長さは、112(mm)よりも小さい。ただし、医療用管1の中に、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが112(mm)以上のものが含まれていてもよい。
【0074】
<第二実施形態>
図6を参照して、本発明の第二実施形態における医療用管1について説明する。本第二実施形態における医療用管1では、第一実施形態における医療用管1と異なり、
図6(B)に示すように、異形環300の異形山形状の内壁側の山高さH2が基準環20の基準山形状の内壁側の山高さH1よりも高い。そのような異形環300を含む医療用管1として、例えば、
図6(A)に示すように、管端部31A、第一基準側蛇腹管部2A、単一の異形環300、第二基準側蛇腹管部2B、第一異形側蛇腹管部30A、第三基準側蛇腹管部2C、管端部31Bが順に連続して繋がって構成されたものが一例として挙げられる。
【0075】
本第二実施形態における第一基準側蛇腹管部2Aは基準環20が5個連続し、第二基準側蛇腹管部2Bは基準環20が7個連続し、第三基準側蛇腹管部2Cでは基準環20が8個連続する。結果、第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、及び第三基準側蛇腹管部2Cは、順に、軸方向長さが長くなる。そして、第一異形側蛇腹管部30Aは、異形環300が2個連続する。また、第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2Cは、単一の異形環300、第一異形側蛇腹管部30Aよりも軸方向長さが長い。また、本第二実施形態では、単一の異形環300及び第一異形側蛇腹管部30Aは、医療用管1の中央の両脇に位置するように配置されていると見做せる。ちなみに、単一の異形環300よりも第一異形側蛇腹管部30Aの方が医療用管1の中央に寄っている。
【0076】
なお、異形山形状の内壁側の山高さH2が基準環20の基準山形状の内壁側の山高さH1よりも高い異形環300Aと、低い異形環300Bとが混在した医療用管1であってもよい。そのような医療用管1として、例えば、
図6(C)に示すように、本第二実施形態の医療用管1の単一の異形環300を、異形環300Bが複数連続する第二異形側蛇腹管部30Bに置き換えたものが一例として挙げられる。また、そのような医療用管1として、例えば、
図6(D)に示すように、本第二実施形態の医療用管1の単一の異形環300を、異形環300Aと異形環300Bとが連続して構成される第二異形側蛇腹管部30Bに置き換えられたものが一例として挙げられる。また、上記置き換えられる第二異形側蛇腹管部30Bは、複数の異形環300Aと複数の異形環300Bとが交互に連続したものや、異形環300Aが複数連続したもの、及び/又は異形環300Bが複数連続したものが一部に含まれるもののいずれの態様であっても本発明の範囲に含まれる。
【0077】
<第二実施形態における医療用管の軸方向長さ>
図6の本第二実施形態において、管端部31Aの軸方向長さは、19(mm)で、第一基準側蛇腹管部2Aの軸方向長さは、24.7(mm)で、異形環300Aの軸方向長さは、5(mm)で、第二基準側蛇腹管部2Bの軸方向長さは、35(mm)で、第一異形側蛇腹管部30Aの軸方向長さは、10(mm)で、第三基準側蛇腹管部2Cの軸方向長さは、40(mm)で、管端部31Bの軸方向長さは、19(mm)である。
【0078】
本第二実施形態においても、基準環20の軸方向長さ、及び異形環300Aの軸方向長さは、5(mm)である。ただし、管端部31Aと連続する基準環20の軸方向長さは、4.7(mm)である。また、基準環20の基準山形状の山高さは、3.5(mm)で、異形環300Aの異形山形状の山高さは、7.0(mm)である。また、仮想基準円筒面Sの径(医療用管1の内径)は、22(mm)である。
【0079】
本第二実施形態において各基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C)の軸方向長さは、112(mm)よりも小さい。ただし、医療用管1の中に、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが112(mm)以上のものが含まれていてもよい。
【0080】
<第三実施形態>
図7を参照して、本発明の第三実施形態における医療用管1について説明する。本第三実施形態における医療用管1は、基準側蛇腹管部2と、異形側管部の一種となる接続部31Cが交互に繋がったものである。具体的に本第三実施形態における医療用管1は、
図7(A)に示すように、例えば、異形側管部の一種となる管端部31A、第一基準側蛇腹管部2A、異形側管部の一種となる接続部31C、第二基準側蛇腹管部2B、異形側管部の一種となる接続部31C、第三基準側蛇腹管部2C、異形側管部の一種となる接続部31C、第四基準側蛇腹管部2D、異形側管部の一種となる接続部31C、第五基準側蛇腹管部2E、異形側管部の一種となる管端部31Bがこの順に繋がって構成される。
【0081】
第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、及び第五基準側蛇腹管部2Eは、連続する基準環20の数が異なる。
図7(A)に示す医療用管1では、第一基準側蛇腹管部2Aは基準環20が23個連続し、第二基準側蛇腹管部2Bは基準環20が13個連続し、第三基準側蛇腹管部2Cは基準環20が18個連続し、第四基準側蛇腹管部2Dは基準環20が39個連続し、第五基準側蛇腹管部2Eは基準環20が23個連続する。結果、第一基準側蛇腹管部2Aから第二基準側蛇腹管部2Bまでの区間では、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが短く変化し、第二基準側蛇腹管部2Bから第四基準側蛇腹管部2Dまでの区間では、第二基準側蛇腹管部2Bから第四基準側蛇腹管部2Dに進むに従って基準側蛇腹管部2の軸方向長さが長く変化し、第四基準側蛇腹管部2Dから第五基準側蛇腹管部2Eまでの区間では、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが短く変化する。
【0082】
なお、上記連続する基準環20の数は一例であって、それ以外の数であってもよい。また、基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、及び第五基準側蛇腹管部2E)は、接続部31Cを介して軸方向長さが長いものと短いものが交互に配設される区間があってもよいし、軸方向の一方側に進むに従って軸方向長さが長く、又は短くなるように配設される区間があってもよいし、更には、
図7(B)に示すように、軸方向長さが一定の区間があってもよい。ちなみに、
図7(B)は、
図7(A)の第一基準側蛇腹管部2A側に、接続部31Cを介して第二基準側蛇腹管部2Bと同様の2つの基準側蛇腹管部2(第六基準側蛇腹管部2F、第七基準側蛇腹管部2G)を繋げたものである。
【0083】
また、本第三実施形態において第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、及び第五基準側蛇腹管部2E、第六基準側蛇腹管部2F、第七基準側蛇腹管部2Gは、異形側管部の一種となる接続部31Cよりも軸方向長さは長いが、これに限定されるものではなく、接続部31Cよりも軸方向長さが短いものが含まれていてもよい。
【0084】
<第三実施形態における医療用管の軸方向長さ>
本第三実施形態において、管端部31Aの軸方向長さは、19(mm)で、第一基準側蛇腹管部2Aの軸方向長さは、115(mm)で、第二基準側蛇腹管部2Bの軸方向長さは、62(mm)で、第三基準側蛇腹管部2Cの軸方向長さは、92(mm)で、第四基準側蛇腹管部2Dの軸方向長さは、194(mm)で、及び第五基準側蛇腹管部2Eの軸方向長さは、115(mm)で、第六基準側蛇腹管部2Fの軸方向長さは、62(mm)で、第七基準側蛇腹管部2Gの軸方向長さは、62(mm)で、管端部31Bの軸方向長さは、19(mm)である。
【0085】
本第三実施形態においても、基準環20の軸方向長さ、及び異形環300Aの軸方向長さは、5(mm)である。ただし、管端部31Aと連続する基準環20の軸方向長さは、4.7(mm)である。また、基準環20の基準山形状の山高さは、3.5(mm)である。また、仮想基準円筒面Sの径(医療用管1の内径)は、22(mm)である。
【0086】
本第三実施形態において各基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、及び第五基準側蛇腹管部2E、第六基準側蛇腹管部2F、第七基準側蛇腹管部2G)には、軸方向長さが112(mm)よりも小さいものと大きいものが混在している。ただし、各基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、及び第五基準側蛇腹管部2E、第六基準側蛇腹管部2F、第七基準側蛇腹管部2G)全部の軸方向長さが112(mm)よりも小さくてもよい。
【0087】
<第四実施形態>
図8を参照して、本発明の第四実施形態における医療用管1について説明する。本第四実施形態における医療用管1は、異形側管部3が円筒部34により構成されており、基準側蛇腹管部2と円筒部34が交互に繋がったものである。そして、複数の円筒部34は、それぞれ軸方向長さが異なる。これらを区別するため、複数の円筒部34を
図8(A)の左側から順に第一円筒部34A、第二円筒部34B、第三円筒部34C、第四円筒部34D、第五円筒部34Eと名付ける。
【0088】
具体的に本第四実施形態における医療用管1は、管端部31A、第一基準側蛇腹管部2A、第一円筒部34A、第二基準側蛇腹管部2B、第二円筒部34B、第三基準側蛇腹管部2C、第三円筒部34C、第四基準側蛇腹管部2D、第四円筒部34D、第五基準側蛇腹管部2E、第五円筒部34Eが順に連続して繋がって構成されたものが一例として挙げられる。
【0089】
本第四実施形態における第一基準側蛇腹管部2Aは基準環20が5個連続し、第二基準側蛇腹管部2Bは基準環20が7個連続し、第三基準側蛇腹管部2Cでは基準環20が14個連続し、第四基準側蛇腹管部2Dでは基準環20が17個連続し、第五基準側蛇腹管部2Eでは基準環20が9個連続する。結果、第一基準側蛇腹管部2Aから第四基準側蛇腹管部2Dまでの区間では、第一基準側蛇腹管部2Aから第四基準側蛇腹管部2Dに進むに従って基準側蛇腹管部2の軸方向長さが長く変化し、第四基準側蛇腹管部2Dから第五基準側蛇腹管部2Eまでの区間では、第四基準側蛇腹管部2Dから第五基準側蛇腹管部2Eに進むに従って基準側蛇腹管部2の軸方向長さが短く変化する。
【0090】
同様に、第一円筒部34Aから第四円筒部34Dまでの区間では、第一円筒部34Aから第四円筒部34Dに進むに従って円筒部の軸方向長さが長く変化し、第四円筒部34Dから第五円筒部34Eまでの区間では、第四円筒部34Dから第五円筒部34Eに進むに従って円筒部の軸方向長さが短く変化する。
【0091】
なお、本第四実施形態においても、上記連続する基準環20の数は一例であって、それ以外の数であってもよい。また、基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D及び第五基準側蛇腹管部2E)は、円筒部34(第一円筒部34A、第二円筒部34B、第三円筒部34C、第四円筒部34D)を介して軸方向長さが長いものと短いものが交互に配設される区間があってもよいし、軸方向の一方側に進むに従って軸方向長さが長く、又は短くなるように配設される区間があってもよいし、更には、
図8(B)に示すように、軸方向長さが一定の区間(例えば、第二円筒部34Bから第三円筒部34Cまでの区間)があってもよい。
【0092】
また、本第四実施形態において第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、及び第五基準側蛇腹管部2Eは、円筒部34(第一円筒部34A、第二円筒部34B、第三円筒部34C、第四円筒部34D、第五円筒部34E)よりも軸方向長さは長いが、これに限定されるものではなく、円筒部よりも軸方向長さが短いものが含まれていてもよい。
【0093】
<第四実施形態における医療用管の軸方向長さ>
本第四実施形態において、管端部31Aの軸方向長さは、19(mm)で、第一基準側蛇腹管部2Aの軸方向長さは、24.7(mm)で、第一円筒部34Aの軸方向長さは、5(mm)で、第二基準側蛇腹管部2Bの軸方向長さは、35(mm)で、第二円筒部34Bの軸方向長さは、10(mm)で、第三基準側蛇腹管部2Cの軸方向長さは、70(mm)で、第三円筒部34Cの軸方向長さは、15(mm)で、第四基準側蛇腹管部2Dの軸方向長さは、85(mm)で、第四円筒部34Dの軸方向長さは、25(mm)で、第五基準側蛇腹管部2Eの軸方向長さは、45(mm)で、第五円筒部34Eの軸方向長さは、12(mm)である。
【0094】
本第四実施形態においても、基準環20の軸方向長さは、5(mm)である。ただし、管端部31Aと連続する基準環20の軸方向長さは、4.7(mm)である。また、基準環20の基準山形状の山高さは、3.5(mm)である。また、仮想基準円筒面Sの径(医療用管1の内径)は、22(mm)である。
【0095】
本第四実施形態において各基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、第五基準側蛇腹管部2E)の軸方向長さは、112(mm)よりも小さい。ただし、医療用管1の中に、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが112(mm)以上のものが含まれていてもよい。
【0096】
<第四実施形態の変形例>
図9を参照して、本第四実施形態の医療用管1の変形例について説明する。
図9(A)に示す第一変形例の医療用管1は、
図9(A)に示すように、第三円筒部34C、第四円筒部34Dに相当する部分が本第四実施形態における医療用管1と異なっており、それ以外は同様の構造である。
【0097】
第一変形例の医療用管1における第三円筒部34Cの周壁34CAは、径方向外側に凸状に形成されている。具体的には、
図9(B)に示すように、第三円筒部34Cの軸方向における周壁34CAの中央部が、仮想基準円筒面Sを基準として第三円筒部34Cの径方向外側に湾曲状に凸となっている。
【0098】
第一変形例の医療用管1における第四円筒部34Dの周壁34DAは、径方向に凹凸状に形成されている。具体的には、
図9(C)に示すように、第四円筒部34Dの軸方向における周壁34DAの中央部340が、仮想基準円筒面Sと略同一の面になっている。
【0099】
そして、第四円筒部34Dの軸方向における周壁34DAの中央部に隣接する一方側の周壁34DAの一部が仮想基準円筒面Sを基準として第四円筒部34Dの径方向内側に凹んでおり、凹部341を形成する。また、第四円筒部34Dの軸方向における周壁34DAの中央部に隣接する他方側の周壁34DAの一部が仮想基準円筒面Sを基準として第四円筒部34Dの径方向内側に凹んでおり、凹部342を形成する。なお、凹部341の方が凹部342よりも深さが深い。
【0100】
ちなみに、
図9(D),(E)に示す本第四実施形態の第二変形例の医療用管1では、本第四実施形態における医療用管1の第四基準側蛇腹管部2Dの途中の一部の周壁が、仮想基準円筒面Sよりも径方向内側に、湾曲しつつ凹む凹状の第六円筒部34Fに置き換えられている。このようなものも本発明の範囲に含まれる。
【0101】
円筒部の周壁の凹凸態様は、以上のようなものに限定されるものではなく、更に、凹の数、又は、凸の数や凹凸態様が別のものも本発明の範囲に含まれる。そして、
図9(A),(D)に示す構成を一つの医療用管片10と見做して、医療用管片10が連続する医療用管1も本発明の範囲に含まれる。
【0102】
<第四実施形態の変形例における医療用管の軸方向長さ>
本第四実施形態の第一変形例において、第三円筒部34Cの軸方向長さは、15.43(mm)で、第四円筒部34Dの軸方向長さは、19.9(mm)で、その他は、本第四実施形態における医療用管の軸方向長さと同様である。本第四実施形態の第二変形例において、第四円筒部34Dの軸方向長さは、5(mm)で、その他は、本第四実施形態における医療用管の軸方向長さと同様である。
【0103】
本第一及び第二変形例においても、基準環20の軸方向長さは、5(mm)である。ただし、管端部31Aと連続する基準環20の軸方向長さは、4.7(mm)である。また、基準環20の基準山形状の山高さは、3.5(mm)である。また、仮想基準円筒面Sの径(医療用管1の内径)は、22(mm)である。
【0104】
本第一及び第二変形例において各基準側蛇腹管部2(第一基準側蛇腹管部2A、第二基準側蛇腹管部2B、第三基準側蛇腹管部2C、第四基準側蛇腹管部2D、第五基準側蛇腹管部2E)の軸方向長さは、112(mm)よりも小さい。ただし、医療用管1の中に、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが112(mm)以上のものが含まれていてもよい。
【0105】
以上のように構成される第一~五実施形態における医療用管1によれば、区間毎に様々な軸方向長さの基準側蛇腹管部2や異形側管部3(異形側蛇腹管部30、管端部31)を設けることにより、同一形状が冗長に連続する区間を減らしている。結果、後述するように、本実施形態の変形例における医療用管1の管内に空気が供給されても、従来の医療用管と比較して、管内の音響パワーレベルを抑えることができ、医療用管1の静音化を実現することができる。
【0106】
<実施例>
本願発明者は、所定のシミュレーションソフトを用いて、以上の第一~第五実施形態における医療用管1に基づく軸方向長さが略1(m)の医療用管1A~1H、及び比較例としての医療用管1Iを作成して、医療用管1A~1Iの内部に、単位時間当たり150(L/min)の気体を流した際の、医療用管1の内部の音響パワーレベル(dB)についてシミュレーションソフトを利用してシミュレーションを行った。
【0107】
なお、医療用管1Aは、第一実施形態において医療用管片10と見做したものを3つ繋いだものである。ただし、医療用管片10と医療用管片10の繋ぎ目には、接続部31Cではなく、単一の管端部31が形成されている。医療用管1Bは、第一実施形態の第一変形例において医療用管片10と見做したものを7つ繋いだものである。医療用管1Cは、第一実施形態の第二変形例において医療用管片10と見做したものを7つ繋いだものである。医療用管1Dは、第三実施形態において医療用管片10と見做したものを、
図7(B)に示すように、繋いだものである。医療用管1Eは、第五実施形態において医療用管片10(
図8参照)と見做したものを3つ繋いだものである。医療用管1Fは、第二実施形態において医療用管片10(
図6参照)と見做したものを7つ繋いだものである。医療用管1Gは、第五実施形態の第一変形例において医療用管片10(
図9(A)参照)と見做したものを3つ繋いだものである。医療用管1Hは、第五実施形態の第二変形例において医療用管片10(
図9(D)参照)と見做したものにおいて、第五基準側蛇腹管部2Eの1つの基準環を、その基準環よりも内壁側の山高さが高い異形環に置き換えたものを3つ繋いだものである。医療用管1Iは、比較例として用意したものであり、
図4(B)に示す医療用管片10と見做したものを7つ繋いだものである。なお、医療用管1A,1E,1G,1Hを除いて、医療用管片10と医療用管片10の繋ぎ目には、接続部31Cが形成される。また、医療用管1A~1Iにおける軸方向長さ等のサイズは、以上の各実施形態において説明したものと同様である。
【0108】
シミュレーション結果を、
図10(A)~(I)に示す。なお、医療用管1A~1Gの内部の音響パワーレベル(dB)を色の濃淡で表す。
図10(A)~(I)に示す医療用管1A~1Iの左側端部から延びる色が濃い領域は、音響パワーレベル(dB)が0~3.5(dB)の間の低いレベルのものである。この領域を、音響パワー低レベル領域と呼ぶ。一方、
図10(G),(H)に示す医療用管1G,1Gの音響パワー低レベル領域よりも右側にある3つの色が濃い領域は、音響パワーレベル(dB)が31.5~35.0(dB)の間の高いレベルのものである。この領域を、音響パワー高レベル領域と呼ぶ。なお、
図10(I)に示す音響パワー高レベル領域は、音響パワーレベル(dB)が34.14~39.01(dB)の間の高いレベルのものである。
【0109】
また、シミュレーション結果に基づく各医療用管内の音響についての評価を
図11の表に示す。
図11に示す表の評価では、音響パワーレベルの高低のみならず、音響パワーレベルの変化の様子も考慮している。
【0110】
医療用管1Iは、
図10(I)に示すように、左端の音響パワー低レベル領域の軸方向長さは他の医療用管1A~1Gに比べて短いし、それ以降は、全て音響パワー高レベル領域となる。従って、医療用管1Iは、どの区間においても音響パワーレベルが高く、騒音として気になるレベルである。以上から、
図11に示す表において、医療用管1Cの音響についての評価を「×」とした。
【0111】
医療用管1Cは、
図10(C)に示すように、音響パワー低レベル領域よりも右側の領域では、他の医療用管と比べて、色(音響パワーレベル)の変化が少ないため、全体として音響パワーレベルが均一化していると言える。このため、医療用管1Cに気体を供給しても他の医療用管1A,1B,1D~1Iと比べて、騒音として気にならないレベルとなる。以上から、
図11に示す表において、医療用管1Cの音響についての評価を「◎」とした。
【0112】
また、医療用管1A,1B,1Dは、医療用管1Cよりも色の変化はあるが、その他の医療用管1E~1Hと比べて、色(音響パワーレベル)の変化が少ない。このため、医療用管1A,1B,1Dに気体を供給すると、他の医療用管1E~1Iと比べて、騒音として気にならないレベルとなる。以上から、
図11に示す表において、医療用管1A,1B,1Dの音響についての評価を「○」とした。
【0113】
医療用管1E,1Fでは、
図10(E),(F)に示すように、色(音響パワーレベル)が濃い部分が全体的に分布している。このため、医療用管1E,1Fに気体を供給すると、医療用管1E,1Fでは、他の医療用管1A~1Dと比べて、騒音として気になるレベルとなるが、その他の医療用管1G~1Iと比べると、騒音として気にならないレベルとなる。以上から、
図11に示す表において、医療用管1E,1Fの音響についての評価を「△」とした。
【0114】
医療用管1G,1Hでは、
図10(G),(H)に示すように、特に、音響パワー高レベル領域が所定の間隔を置いて3つあり、音響パワー高レベル領域の間の領域も色が変化する領域が多数存在する。このため、医療用管1G,1Hに気体を供給すると、医療用管1G,1Hでは、他の医療用管1A~1Fと比べて、騒音として気になるレベルとなるが、その他の医療用管1Iと比べると、騒音として気にならないレベルとなる。以上から、
図11に示す表において、医療用管1G,1Hの音響についての評価を「△」よりも低いが、「×」よりも高い「▲」とした。
【0115】
ちなみに、音響パワー高レベル領域は、
図10(G),(H)に示すように、医療用管1G,1Hの双方とも、仮想基準円筒面Sを基準として円筒部の周壁が内側に凹んでいる部分(
図9(B)の周壁34CAの凹部341参照、
図9(D)の凹状の第六円筒部34F参照。)又はその近傍を起点として延びている。従って、医療用管1において、仮想基準円筒面Sよりも径が小さくなる部分では、音響パワーレベルは高くなりやすいと推測できる。
【0116】
上記シミュレーションソフトにより医療用管1Iに対してシミュレーションを行った結果、音響パワー高レベル領域が医療用管1I内部の広範囲に渡って広がっていたが、その理由として、本願発明者は、医療用管1Iにおいて繰り返しされる単位形状(以下、繰り返し単位形状と呼ぶ。)が変化に乏しい形状をしており、それが冗長に連続しているからではないかと考えた。そして、本願発明者は、医療用管1Iを基準として医療用管の繰り返し単位形状に変化を与えたり、単なる繰り返しではなく、軸方向長さを区間により変えたりする等の工夫を行った。以上のシミュレーション結果から、それらの工夫により医療用管の騒音レベルを低くすることができた。具体的には、医療用管1Iの一部を異形環300,300A,300Bに置き換えて、繰り返し単位形状をより複雑化することにより、医療用管1Iの場合と比較して騒音レベルを低くすることができた(医療用管1A~1C,1F)。特に、基準環20の基準山形状の内壁側の山高さよりも山高さが低い異形環300Bに置き換えれば、より騒音レベルを低くすることができた(医療用管1A~1C)。また、医療用管1Iにおける各繰り返し単位形状の軸方向長さに様々な長さが混在するように医療用管を構成しても、医療用管1Iの場合と比較して騒音レベルを低くすることができた(医療用管1D)。また、区間ごとに基準側蛇腹管部2及び円筒部34の軸方向長さを変えた医療用管を構成しても、医療用管1Iの場合と比較して騒音レベルを低くすることができた(医療用管1E,1G,1H)。
【0117】
なお、医療用管1Iは、長さ調整用の切断箇所としての接続部31Cを6つ有する。接続部31Cであれば、途中で切断しても、切断箇所に管端部31A,31Bが発現する。接続部31Cの数を少なくすると、きめ細かな長さの調整が難しくなる。このため、医療用管1Iにおける基準側蛇腹管部2の長さは、あまり長くすることができない。このことが考慮されて、一般的に、管端部31A,31B及び基準側蛇腹管部2全体の軸方向長さを150(mm)とし、基準側蛇腹管部2の軸方向長さを112(mm)としている。本願発明では、基準側蛇腹管部2の軸方向長さを112(mm)よりも短いのものをも含めつつ、医療用管1の繰り返し単位形状を工夫することにより医療用管1内の騒音レベルを低くすることを実現した。なお、医療用管1には、基準側蛇腹管部2の軸方向長さが112(mm)以上のものと、112(mm)よりも短いのものが混在してもよい。
【0118】
尚、本発明の医療用管1は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0119】
1 医療用管
2 基準側蛇腹管部
3 異形側管部
10 医療用管片
11 中心軸
12 開口
20 基準環
30 異形側蛇腹管部
31,31A,31B 管端部
31C 接続部
34 円筒部
300,300A,300B,310A,310B,310C,310D 異形環
340 中央部
341,342 凹部
900 吸気管
910 単位形状
911,913 管端部
912 蛇腹管部
L 軸方向
R 径方向
S 仮想基準円筒面
【要約】
【課題】管内に空気が供給されても、管内の音響パワーレベルを抑えることができる医療用管を提供する。
【解決手段】本発明の医療用管は、環状又はらせん状に延びて環を構成する基準環が軸方向に複数連なることで、湾曲自在の蛇腹状の管となる基準側蛇腹管部と、前記基準側蛇腹管部とは異なる形状で管として構成される異形側管部と、を有し、複数の前記基準側蛇腹管部と、複数の前記異形側管部が、前記軸方向に交互に連なっており、少なくとも1つの前記基準側蛇腹管部の軸方向長さが112mmよりも小さい。
【選択図】
図1