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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】傾斜隔壁付きのコンパクトなポット
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20220214BHJP
【FI】
A47J27/21 101D
A47J27/21 101C
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017161121
(22)【出願日】2017-08-24
(65)【公開番号】P2018042995
(43)【公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】1658536
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ブリエール
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン リュシェ
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/025125(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第04403638(DE,A1)
【文献】登録実用新案第3189742(JP,U)
【文献】中国実用新案第203088728(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21-27/212
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気加熱底部(8)の上に配設された本体部(3)と、沸騰時に発生する蒸気を蒸気検出センサの方へ運ぶための蒸気管路(10)とを備え、前記蒸気管路(10)が、前記本体部(3)の内面(9)の上部に配設された流入口(11)を前記本体部の給水最高水位の上に備えるポット(1)であって、沸騰時の蒸気管路(10)内への水の浸入を防止するための、プラスチック材料で製作された、前記流入口(11)の下に延びる隔壁(21)を有する保護装置(20)を備えるポット(1)において、
前記隔壁(21)は、前記流入口(11)の下の前記内面(9)から前記内面(9)と離隔しながら下方に延びる第1の部位(22)であって、前記内面(9)に接近しながら下方に延びて前記内面(9)と合流する第2の部位(23)をもって延伸する第1の部位(22)を前記内面(9)に対して横断方向の鉛直断面内に有しており、前記第2の部位(23)は、鉛直方向に沿って上向する水および蒸気の流れに対して横断方向に延びて前記鉛直方向との間に45°未満の角度αを形成すること、および、前記本体部(3)は前記流入口(11)レベルに周囲Pの横断面を有しており、前記隔壁(21)は前記周囲Pの少なくとも10%にわたって前記流入口(11)の両側に延びることを特徴とするポット(1)。
【請求項2】
前記本体部(3)は半径R、周囲Pの円形横断面を有しており、前記隔壁(21)は2つの半径線分R1、R2によって形成される角度βの角領域に位置し、前記流入口(11)は角領域βの中央付近に配設されることを特徴とする、請求項1に記載のポット(1)。
【請求項3】
前記第2の部位(23)は前記内面(9)に対して横断方向の鉛直断面内を径方向に半径Rの10%超の距離Dにわたって延びることを特徴とする、請求項2に記載のポット(1)。
【請求項4】
前記隔壁(21)は前記内面(9)に対して横断方向の鉛直断面内に所定の高さを有しており、前記所定の高さが前記本体部(3)の高さの15%超であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項5】
前記隔壁(21)および前記内面(9)は互いの間に、前記隔壁(21)の2つの側端(26、27)に位置する2つの開口などから水が入り込むことができる空間Vを画定することを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項6】
前記第1の部位(22)と前記第2の部位(23)が勾配部を形成する接続ゾーン(25)を備えることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項7】
前記第2の部位(22)は、前記本体部(3)に実体化された補給最高水位よりも下の水平面に含まれる直線(24)から下方に延びることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項8】
前記内面(9)の上部は鉛直断面内にU字形の溝(14)を有し、前記流入口(11)は前記溝(14)の中に配設されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項9】
前記保護装置(20)は前記蒸気管路(10)の先端部位(30)を備えること、および前記蒸気管路(10)は前記第1の部位(22)に沿って延びることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項10】
前記保護装置(20)は前記内面(9)に付加されたモジュールからなることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のポット(1)。
【請求項11】
前記流入口(11)と径方向反対側となるように配設された注ぎ口(5)を備えること、および前記隔壁(21)は沸騰時に水および蒸気の上向流を前記注ぎ口(5)の方に偏向させることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のポット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱器具に関し、特に、水受け容器を形成する本体部と電気加熱底部と沸騰検出装置とを備える電気ポットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1または特許文献2などにより、電気加熱底部の上に配設された本体部と、本体部の上部の沸騰時に放出される蒸気を蒸気検出センサの方へ運ぶための蒸気管路であって、本体部内面の本体部の給水最高水位よりも上に配設された流入口を有する蒸気管路とを備えるポットが知られている。
【0003】
このようなポットでは、加熱時には、水および蒸気の上向流が発生し、沸騰に近づくにつれて自由水面に次第に大きな渦や飛散を生じるようになる。水の飛沫が流入口から蒸気管路に入り込み、蒸気検出センサを傷めることがないようにするため、水の自由水面の上に大きな空気体積が残るような給水最高水位とすることでポットの有効容積を制限する。空気体積はポットの全容積の40%までを占める可能性がある。そうすることにより、蒸気管路の開口部から補給最高水位にある水の水面までの距離は、飛沫が蒸気管路に入らないようにするのに十分なものとなる。
【0004】
そのため、所与の有効加熱容積を得るためにポットの容積全体は大きなものとなり、ユーザはその利用や片付けのための場所を見つけるのが難しいという状況に遭遇する可能性がある。さらに、ポットの梱包がかさばり、ポットを生産工場からユーザのもとに送り届けるためのコストもかさむ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第0786221号明細書
【文献】英国特許第2332095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、上述の不都合に対処して、全容積に対する有効容積の比率が最適化されたポットを提案することにある。
【0007】
本発明のもう1つの目的は、設計が単純で経済的に実施することができるポットを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、電気加熱底部の上に配設された本体部と、沸騰時に放出される蒸気を蒸気検出センサの方に運ぶための蒸気管路であって、本体部の給水最高水位よりも上の本体部内面の上部に配設された流入口を有する蒸気管路とを備えるポットにおいて、ポットは、沸騰時に蒸気管路内に水が浸入するのを防ぐ保護装置であって、プラスチック材料で製作され、流入口の下に延びる隔壁を有する保護装置を備え、隔壁は、流入口の下の内面から内面と離隔しながら下方に延びる第1の部位であって、内面に接近しながら下方に延びて内面と合流する第2の部位をもって延伸する第1の部位を内面に対して横断方向の鉛直断面内に有しており、第2の部位は、鉛直方向に沿って上向する水および蒸気の流れに対して横断方向に延びて鉛直方向との間に80°未満、好ましくは45°未満の角度αを形成すること、および、本体部は流入口レベルに周囲Pの横断面を有しており、隔壁は周囲Pの少なくとも5%、好ましくは周囲Pの少なくとも10%にわたって流入口の両側に延びることを特徴とするポットによって果たされる。
【0009】
したがって、隔壁、特に第2の部位は、水および蒸気の上向流に対して横断方向に内面から水の中に傾斜した形で延びることで、沸騰時に水および蒸気の上向流を少なくとも部分的に偏向させ、流入口から遠ざける。周囲Pの少なくとも20%にわたって開口部の両側に延びる隔壁は、流入口を、特にその両側端について内面に沿って保護する。
【0010】
このような構成は沸騰時に蒸気管路の流入口周辺における水面の乱れを減らし、飛散の大きさを制限することができる。そのため、蒸気管路の開口部から補給最高水位にある水面までの距離は、蒸気管路内に水が入り込むリスクを冒すことなしに小さくすることができ、水の自由水面より上の空気体積を小さめにすることができる。その結果、ポットはよりコンパクトな(特に高さに関して)ものとすることができる。
【0011】
補給最高水位とは、ポットの本体部にたとえば標線などによって実体化される最高水位をいう。
【0012】
有利には、保護装置はプラスチック材料、とりわけポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンまたはポリカーボネートの射出によって製作される。
【0013】
有利には、本体部は半径R、周囲Pの円形横断面を有しており、隔壁は2つの半径線分R1、R2によって形成される角度βの角領域に内接し、流入口は角領域βの中央付近に配設される。
【0014】
沸騰時の蒸気管路への水の浸入を防ぐための隔壁付きの保護装置は円形横断面のポットでは特に有効である。
【0015】
好ましくは、第2の部位は内面に対して横断方向の鉛直断面内を径方向に半径Rの5%超、好ましくは半径Rの10%超の距離Dにわたって延びる。
【0016】
有利には、隔壁は、内面に対して横断方向の鉛直断面内に高さHを有しており、高さHは本体部の高さの15%超である。
【0017】
本体部の高さとは、加熱底部の上を通る水平面から蓋の下を通る水平面までの高さをいう。
【0018】
このような配置を取ることにより、ポットが補給最高水位まで満たされているとき、沸騰時の水および蒸気の上向流をポットの中心に偏向させるのに十分なところまで隔壁の一部が水に浸かるようにすることができ、それによって流入口を水の飛沫から守ることが可能となる。
【0019】
好ましくは、隔壁は、内面に対して横断方向の鉛直断面内に流入口の両側で一定の断面積を有する。
【0020】
そうして、隔壁は、水および蒸気の上向流内に規則的に延びて、水の水面の乱流を低減し、飛散の大きさを制限する均衡した対称形の区域を流入口および内面とは反対側に作り出す第2の部位を特に備える。
【0021】
有利には、隔壁と内面は互いの間に、隔壁の2つの側端に位置する2つの開口などから水が入り込むことができる空間Vを画定する。
【0022】
隔壁と内面の間の水は沸騰の影響をほとんど受けず、そのため、この水が流入口に向かって飛散することはない。
【0023】
好ましくは、第1の部位と第2の部位は勾配の急変部を形成する接続ゾーンを備える。
【0024】
そのため、流入口に対して鉛直直下の水および蒸気の上向流は傾斜した第2の部位と遭遇し、続いて勾配の急変部と遭遇する。そのため、沸騰が激しく、水および蒸気の上向流の速度が速いときは、その流れは流入口の反対前方に偏向される。
【0025】
有利には、第2の部位は、本体部に実体化された補給最高水位よりも下の水平面に含まれる直線から下方に延びる。
【0026】
それにより、水に浸された第2の部位は、沸騰が始まった時点から水および蒸気の上向流を偏向させる。
【0027】
好ましくは、内面の上部は鉛直断面内に有利にはU字形の溝を有し、流入口はその溝の中に配設される。
【0028】
この配置は、流入口を水の飛沫から保護する隔壁の補完的保護を得ることを可能にする。
【0029】
有利には、保護装置は蒸気管路の先端部位を備え、蒸気管路は第1の部位に沿って延びている。
【0030】
好ましくは、保護装置は内面に付加されたモジュールからなる。
【0031】
そのため、保護装置はポットにおいて別個の部品を形成するものであり、従来型のポットに大きな変更を加えることなく、容易に適合することができる。
【0032】
有利には、保護装置は、沸騰時に水および蒸気の上向流を偏向させるために隔壁以外の能動部材を持たない。
【0033】
先端部位は沸騰時に水および蒸気の上向流を偏向させるものではないが、水の飛沫からの保護を行うと考えることができる。
【0034】
そのため、保護装置はコンパクトかつ経済的に実現することができる。
【0035】
有利には、ポットは、流入口と径方向反対側となるように配設された注ぎ口を備え、隔壁は沸騰時に水および蒸気の上向流を注ぎ口の方に偏向させる。
【0036】
好ましくは、本体部は注ぎ口に向かう貫通開口部を備え、その貫通開口部は補給最高水位の水の水面より下に配設される。
【0037】
そのため、補給最高水位では、開口内に水が存在することで注ぎ口から水の飛沫が出るのを妨げる。
【0038】
本発明は、何ら限定的でないものとして取り上げ、添付の図面によって図解した実施形態を検証することによってよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】沸騰時に蒸気管路への水の浸入を防止する本発明の具体的な一実施形態による保護装置を備えるポットの斜視図である。
図2図1に示したポットの本体部なしの斜視図である。
図3図1に示したポットのIII-III断面図である。
図4図3に示したポットの詳細IV図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書では、ポットについて説明するために用いる「水平」、「鉛直」、「下部」、「上部」、「高」、「低」の表現は、水平な作業面に置いた使用状態のポットに関するものであることに留意されたい。
【0041】
図1から4に示された実施形態では、ポット1は、コード(図示せず)によって電源供給されるベース部2と、水の入れ物を形成する本体部3とを備える。本体部3は、蓋部(図示せず)によって閉ざされる補給用上部開口部4を備える。ポット1は、上部開口部4のレベルに位置する注ぎ口5と、上部開口部4に関して注ぎ口5と反対側に位置するハンドル6とを備える。本体部3は、半径Rのほぼ円筒形で、鉛直軸7を有する。蓋部は本体部3に対して取外し可能であり、蓋部は、本体部3の鉛直軸7とほぼ平行な平行移動動作によって本体部3に組み立てられるようになっている。
【0042】
ベース部2はステンレス鋼製の皿部からなる加熱底部8を備えており、その下にアルミニウム製ディフューザと加熱要素が配置される。ポット1は、沸騰時に本体部3の上部から放出される蒸気をベース部2に配設された蒸気検出センサ(図示せず)の方へ運ぶための蒸気管路10を備える。蒸気検出センサに蒸気が押し寄せると、加熱底部8に対する電源供給の切断がトリガされる。本体部3は、上部開口部4を画定する上部縁12を備える。蒸気管路10は本体部3の内面9に沿って鉛直に延び、流入口11を備える。内面9は上部縁12のレベルにU字形の溝14を有する。流入口11は溝14内に配設される(図3および4)。
【0043】
ポット1は、沸騰時に水が蒸気管路10の流入口11に浸入するのを防ぐ保護装置20を備える。保護装置20は、流入口11の下に内面9から延びる隔壁21を備え、隔壁21は、第1の部位22および第2の部位23を有している。第1の部位22は、流入口11の下に内面9から本体部3の内側の方へ、内面9から離隔するように延びる。第1の部位22から延伸した第2の部位23は下方に延びて内面9と合流し、内面9によって支えられる。第2の部位23は鉛直軸7沿いの鉛直方向の水および蒸気の上向流に対して横断方向に延びて、その鉛直方向との間に45°の角度αを形成する。
【0044】
本体部3は上部縁12の下に半径R、周囲P(図2)の円形横断面を有し、隔壁は30°の角度βの角領域に内接し、2つの半径線分R1、R2によって形成され、流入口は角領域βの中央付近に配設される。そのため、隔壁21は流入口11の両側に周囲Pの8%にわたって延びる。
【0045】
図4を見ると解るように、第1の部位22は、内面9に対して横断方向の鉛直断面内を傾斜した内面9に対してほぼ鉛直に延びる。第2の部位23は直線的に延びて第1の部位22と角度αをなす。そのため、第1の部位22と第2の部位23は勾配の急変部を形成する接続ゾーンを備える。
【0046】
隔壁21は厚さが一定であり、内面9に対向して延びる。隔壁21と内面9は、隔壁21の2つの側端26、27(図2)に位置する2つの開口などから水が入り込むことができる空間V(図4)を画定する。
【0047】
保護装置20は、ほぼ長方形の管状部32が延びた円形管状部31を備える管状の蒸気管路10の上端部位30を持つ。ほぼ長方形の管状部32は溝14内に配設される。流入口11はほぼ長方形の管状部32に設けられる。蒸気管路10は、蒸気管路10が密封係合された円形管状部31から第1の部位22に沿って延びる。
【0048】
保護装置20は、内面9に付加されたモジュールによって構成され、ポット1において、とりわけ本体部3に対して別個の部品を形成する。保護装置20はプラスチック材料、とりわけポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンまたはポリカーボネートの射出によって製作される。保護装置20は、隔壁21の第1の部位22に対して垂直に延びる2つの穴あき脚28、29によって形成される本体部3への取付け手段を備える。2つの穴あき脚28、29は、それらがねじ止めなどによって取り付けられた上部縁12と協働する。
【0049】
図1のとおり、注ぎ口5は流入口11とは径方向反対側に配設される。本体部3は注ぎ口5に向かう貫通開口部13を備え、その貫通開口部13は、補給最高水位の水の水面より下になるように配設される。
【0050】
使用時、大量の水を沸かそうとするユーザは、ポット1を補給最高水位まで満たし、ポット1を起動させる。加熱底部8は本体部3内に含まれる水の加熱を始め、沸騰に近づくにつれて、加熱底部8から水の自由水面に向けて水および蒸気の上向流が生まれる。保護装置20に対して鉛直直下の水および蒸気の上向流は隔壁21の第2の部位23によって偏向される。沸騰が大きく、水および蒸気の流れの速度が高い場合には、第1の部位22と第2の部位23の間の接続ゾーン25の勾配の急変部によって、その流れは前方に、流入口と反対の方へ偏向される。沸騰によって発生した蒸気は水の水位より上に集まり、次いで流入口11から蒸気管路10に入り込んで、蒸気検出センサに到達すると、蒸気検出センサが加熱底部8の停止をトリガする。保護装置20は、蒸気管路10の流入口11の周辺における水の水面の乱流や飛沫を減らすことで、十分な蒸気を発生させて加熱底部8の停止をトリガするために必要な時間にわたって流入口11内に水が入り込まないようにすることができる。このような保護装置20では、自由水面よりも上の空気体積をポットの全体容積の20%に減らすことができる。
【0051】
本発明が、あくまでも例示のためにのみ取り上げて説明し、図示した実施形態だけにいささかも限定されるものでないことは言うまでもない。様々な要素の構成という観点からの変更や、同等の技術による置換による変更などは、それによって本発明の保護対象領域から逸脱することなくなお可能である。
【0052】
変形実施形態として、第1の部位と第2の部位は、内面に対して横断方向の鉛直断面内に湾曲した形状を有することができる。この変形形態にあっても同様に、第1の部位22と第2の部位23は勾配の急変部を形成する接続ゾーンを備える。
【符号の説明】
【0053】
1 ポット
2 ベース部
3 本体部
4 上部開口部
5 注ぎ口
6 ハンドル
7 鉛直軸
8 加熱底部
9 内面
10 蒸気管路
11 流入口
12 上部縁
13 貫通開口部
14 溝
20 保護装置
21 隔壁
22 第1の部位
23 第2の部位
25 接続ゾーン
26,27 側端
28,29 穴あき脚
30 上端部位
31 円形管状部
32 管状部
図1
図2
図3
図4