(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】切り替え可能ドレープを用いるシーリングシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20060101AFI20220214BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20220214BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
A61F13/02 380
A61F13/00 301Z
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2017182858
(22)【出願日】2017-09-22
(62)【分割の表示】P 2014547523の分割
【原出願日】2012-12-14
【審査請求日】2017-10-20
【審判番号】
【審判請求日】2019-09-20
(32)【優先日】2011-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ラックメイヤー,ジェイムズ
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】間中 耕治
【審判官】井上 茂夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-304877(JP,A)
【文献】特表2011-517288(JP,A)
【文献】特開2004-73483(JP,A)
【文献】特開2002-238944(JP,A)
【文献】実開平1-90516(JP,U)
【文献】実開平2-139626(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00 - 13/14
A61F 15/00 - 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り替え可能ドレープの製造方法において、
第1の側面および第2の側面を有し流体シールをもたらすよう構成された可撓性ドレープ材から形成された外層を供給するステップと;
前記外層を穿孔して複数の穿孔を形成するステップであって、各穿孔が、約0.05mm~約0.40mmの平均有効径を有
し、前記複数の穿孔が前記外層を通して切り替え溶液の通過を可能にするように構成される、ステップと;
前記外層の前記第2の側面に高強度接着材を適用するステップであって、前記高強度接着材は第1の側面および第2の側面を有し、および前記高強度接着材は前記複数の穿孔を被覆
し、前記高強度接着材は、前記外層の前記第1の側面への前記切り替え溶液の適用に応答して、減少した接着強度に切り替え可能であるステップと;
前記外層の前記第1の側面に第1の剥離部材を適用するステップと;
前記高強度接着材の前記第2の側面に第2の剥離部材を適用するステップと
を含み、
前記穿孔が、前記高強度接着材の厚さの約2~6倍のピッチを有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記外層を穿孔するステップが、前記外層の周辺部分を穿孔することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記外層を穿孔するステップが、前記外層を引き裂きパターンに穿孔して、前記外層の前記可撓性ドレープ材の引き裂きを容易にすることを含むことを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2乃至3のいずれか一項に記載の方法において、さらに、前記高強度接着材に拡張部材を配置することを含み、前記拡張部材が、前記高強度接着材の接着強度を低下させるよう構成された切り替え溶液との接触に応答して、主に、前記外層の前記第2の側面に対して垂直に拡張するように構成されていることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月16日出願の米国仮特許出願第61/576,786号(SEALING SYSTEMS AND METHODS EMPLOYING A SWITCHABLE DRAPE)の優先権を主張し、この開示全体を、参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、概して、減圧を用いて患者を治療するための医療システム、装置、および方法に関し、より詳細には、限定されるものではないが、切り替え可能ドレープを用いるシーリングシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床試験および実習から、組織部位に近接して減圧をもたらすことによって、組織部位における新しい組織の成長を増強および加速することが示されている。この現象の適用は多数あるが、減圧を行うことは、創傷の治療においてかなり成功している。この治療(医学界では「陰圧閉鎖療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と呼ばれることが多い)はいくつもの利点を提供し、それら利点には、迅速な治癒や肉芽組織の形成加速化が含まれる。治療を実施する際、患者の一部分を医療用ドレープでシールする。伝統的なドレープは、ドレープ上の接着材の強度と、患者からドレープを取り除くときに生じ得る痛みおよび破損の程度とのバランスをとることを含む。
【発明の概要】
【0004】
例示的実施形態によれば、減圧を用いて患者の組織部位を治療する際に使用するためのシーリングシステムは、ドレープ材から形成された外層を含み、かつ第1の側面および第2の患者対面側面を有する。外層には、外層を貫通して延在する複数の穿孔が形成されている。シーリングシステムはまた、外層の第2の患者対面側面に結合された高強度接着材を含む。高強度接着材は、第1の側面および第2の患者対面側面を有する。システムは、さらに、切り替え溶液を含む。切り替え溶液は、高強度接着材に適用されると、高強度接着材の結合性を変化させて、接着材の接着力を低下させる。
【0005】
別の例示的実施形態によれば、切り替え可能ドレープの製造方法は、ドレープ材から形成された、第1の側面および第2の患者対面側面を有する外層を供給するステップを含む。この方法では、外層を穿孔する。この方法は、さらに、外層の第2の患者対面側面に高強度接着材を適用するステップを含む。高強度接着材は、第1の側面および第2の患者対面側面を有する。高強度接着材は複数の穿孔を被覆する。この方法はまた、外層の第1の側面に第1の剥離部材を適用し、かつ高強度接着材の第2の患者対面側面に第2の剥離部材を適用するステップを含み得る。
【0006】
別の例示的実施形態によれば、患者の体の一部分を覆うシールを形成するキットが、切り替え可能ドレープおよび切り替え溶液を含む。切り替え可能ドレープは、外層および高強度接着材を含む。外層は、ドレープ材から形成され、かつ第1の側面および第2の患者対面側面を有する。外層には、外層を貫通して延在する複数の穿孔が形成されている。高強度接着材は、外層の第2の患者対面側面に結合される。高強度接着材は、第1の側面および第2の患者対面側面を有する。切り替え溶液は、高強度接着材に適用されると、高強度接着材の接着強度を低下させる。
【0007】
別の例示的実施形態によれば、減圧を用いて患者を治療する方法は、組織部位に隣接してマニホールドを展開するステップと、マニホールドと組織部位に隣接した表皮の少なくとも一部分とを覆うように切り替え可能ドレープを展開して、密閉空間を形成するステップとを含む。この方法はまた、密閉空間に減圧を供給するステップと;切り替え可能ドレープの外層の第1の側面に切り替え溶液を配置するステップと;患者から切り替え可能ドレープを除去するステップとを含む。
【0008】
別の例示的実施形態によれば、減圧を用いて患者の組織部位を治療する方法は、組織部位の近くにマニホールドを展開するステップと;マニホールドと患者の無傷の皮膚の一部分とを覆って医療用ドレープを展開して、密閉空間を形成するステップと;密閉空間に減圧を供給するステップとを含む。この方法は、さらに、密閉空間への減圧の供給を終了するステップと;医療用ドレープを貫通する穿孔を形成するステップと;ドレープの第1の側面に切り替え溶液を適用するステップとを含む。この方法はまた、ドレープを除去するステップを含む。
【0009】
別の例示的実施形態によれば、減圧を用いて患者の組織部位を治療する際に使用するためのシーリングシステムは、第1の側面および第2の患者対面側面を有するドレープ材から形成された外層を含む。外層には、外層を貫通して延在する複数の穿孔が形成されている。システムはまた、第1の側面および第2の患者対面側面を有する高強度接着材を含む。外層の第2の患者対面側面および高強度接着材の第1の側面に、可溶性の層が結合される。システムはまた、切り替え溶液を含む。可溶性の層は、切り替え溶液で湿潤すると、実質的に溶解するように動作可能である。
【0010】
別の例示的実施形態によれば、減圧を用いて患者の組織部位を治療する方法は、組織部位に近接させてマニホールドを展開するステップと;マニホールドと患者の無傷の皮膚の一部分とを覆ってシーリングシステムを展開して、マニホールドを含む密閉空間を形成するステップとを含む。シーリングシステムは、第1の側面および第2の患者対面側面を有するドレープ材から形成された外層を含む。外層には、外層を貫通して延在する複数の穿孔が形成されている。システムはまた、第1の側面および第2の患者対面側面を有する高強度接着材と、外層の第2の患者対面側面および高強度接着材の第1の側面に結合された可溶性の層とを含む。システムはさらに、切り替え溶液を含む。可溶性の層は、切り替え溶液で湿潤すると、実質的に溶解するように動作可能である。この方法は、さらに、密閉空間に減圧を供給するステップと、可溶性の層が実質的に溶解されるまで、外層の第1の側面に切り替え溶液を適用するステップと、シーリングシステムを除去するステップとを含む。
【0011】
別の例示的実施形態によれば、減圧を用いて患者の組織部位を治療する際に使用するためのシーリングシステムは、ドレープ材から形成され、かつ第1の側面および第2の患者対面側面を有する外層と、第1の側面および第2の患者対面側面を有する高強度接着材とを含む。シーリングシステムはまた、高強度接着材の少なくとも一部分に隣接して配置されたウィッキング層を含む。ウィッキング層は、高強度接着材の周囲に延在する複数のウィッキング層端部を有する。システムはまた、切り替え溶液を含む。切り替え溶液は、高強度接着材の接着強度を低下させるように動作可能である。ウィッキング層は、切り替え溶液をウィッキング層端部から接着材の少なくとも周辺部分まで輸送するように動作可能である。
【0012】
別の例示的実施形態によれば、患者の組織部位を治療する方法は、組織部位に近接させてマニホールドを展開するステップを含む。この方法は、マニホールドと患者の無傷の皮膚の一部分とを覆うようにシーリングシステムを展開して、マニホールドを含む密閉空間を形成するステップを含む。シーリングシステムは、第1の側面および第2の患者対面側面を有するドレープ材から形成された外層と、第1の側面および第2の患者対面側面を有する高強度接着材とを含む。シーリングシステムはまた、高強度接着材の少なくとも一部分に隣接して配置されたウィッキング層を含む。ウィッキング層は、高強度接着材の周囲に延在する複数のウィッキング層端部を含む。シーリングシステムはさらに切り替え溶液を含み、この切り替え溶液は、高強度接着材の接着強度を低下させるように動作可能である。ウィッキング層は、切り替え溶液をウィッキング層端部から高強度接着材の少なくとも周辺部分に輸送するように動作可能である。この方法は、さらに、密閉空間に減圧を供給するステップと;高強度接着材の接着強度が少なくとも周辺部分において低下するまで、ウィッキング層端部に切り替え溶液を適用するステップと;シーリングシステムを除去するステップとを含む。
【0013】
例示的実施形態の他の態様、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することから明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、例示的なシーリングサブシステムを用いる、患者の組織部位を治療するシステムの例示的実施形態の(一部分を断面にして示す)斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の例示的なシーリングサブシステムの一部分の(一部分を断面にして示す)斜視図である。
【
図3】
図3は、切り替え可能ドレープの例示的実施形態の一部分の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、例示的なシーリングサブシステムを用いる、患者の組織部位を治療するシステムの例示的実施形態の一部分の平面図である。
【
図5】
図5は、切り替え可能ドレープの例示的実施形態の断面図である。
【
図6】
図6は、切り替え可能ドレープの例示的実施形態の断面図である。
【
図7】
図7は、切り替え可能ドレープの例示的実施形態の(一部分を断面にして示す)斜視図である。
【
図8】
図8は、患者の体の部分を覆うシールを形成するキットの例示的実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の例示的かつ非限定的な実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部をなす添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるようにするのに十分な程度、詳細に説明し、および本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、他の実施形態を使用し得ること、および論理的な構造上の、機械的な、電気的な、および化学的な変更がなされ得ることが理解される。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細に関する説明を避けるために、当業者に公知の特定の情報に関する説明を省略し得る。それゆえ、以下の詳細な説明は、限定的ととられるべきではなく、例示的実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0016】
ここで図面、主に
図1~2を参照すると、減圧を用いて組織部位101を治療するシステム100の例示的実施形態が示されている。システム100はシーリングサブシステム104を含む。シーリングサブシステム104は切り替え可能ドレープ106を含み、この切り替え可能ドレープは、使用中、組織部位101に隣接した表皮112に強く接着するが、取り外すために接着力の弱いモードに変更されるまたは切り替わる。このようにして、切り替え可能ドレープ106と組織部位101との間の接続を強くして漏れを防止し得るが、使用後には、痛みを最小限にしてまたは少なくとも我慢できる程度にして、切り替え可能ドレープ106を組織部位101から取り外し得る。
【0017】
組織部位101は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯、または任意の他の組織を含む、任意のヒト、動物、または他の生物の体の組織とし得る。他に指定のない限り、本明細書を通して、「または」は相互排他性である必要はない。組織部位101の治療は、流体、例えば滲出液や腹水の除去を含み得る。この例では、組織部位101は、表皮112と、真皮114とを通って、皮下組織116に至る創傷として示すが、任意の創傷のサイズ、深さ、または組織が含まれ得る。
【0018】
組織部位101の治療では、組織部位101に近接してマニホールド118を展開できる。マニホールド118は、組織部位101に対して減圧を行ったり、流体を送達したり、または組織部位101から流体を除去したりするのを支援するために設けられる物体または構造である。マニホールド118は、組織部位101に提供されかつそこから除去される流体を分配する複数の流路または流れ経路を含む。例示的一実施形態では、流路または流れ経路は相互に接続されて、組織部位101に提供されるかまたはそこから除去される流体の分配を改善し得る。マニホールド118は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:組織部位101と接触して配置されかつ組織部位101に減圧を分配することができる生体適合性材料;例えば気泡質の発泡体、連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、液体、ゲル、および流路を含むまたは硬化して流路を含む発泡体などの、流路を形成するように配置された構造要素を有する装置;多孔質材、例えば発泡体、ガーゼ、フェルトのマット、または特定の生物学的適用に好適な任意の他の材料;または流路の機能を果たす複数の連続気泡または細孔を含む多孔質発泡体、例えば、Kinetic Concepts,Incorporated(San Antonio、Texas)製のGranuFoam(登録商標)材などのポリウレタン製の網状発泡体;生体再吸収性材料;または足場材料。場合によっては、マニホールド118はまた、薬剤、抗菌薬、成長因子、および様々な溶液などの流体を組織部位101に分配するためにも使用し得る。マニホールド118にまたはマニホールド118上に、吸収材料、ウィッキング材料、疎水性材料、および親水性材料などの他の層も含まれ得る。
【0019】
例示的かつ非限定的な一実施形態では、マニホールド118は、使用後に患者の体に留まってもよい生体再吸収性材料から構成し得る。好適な生体再吸収性材料は、限定はされないが、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを含み得る。ポリマーブレンドはまた、限定はされないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびカプララクトンを含み得る。マニホールド118は、新しい細胞増殖のための足場としての機能をさらに果たしてもよいし、または細胞増殖を促進するためにマニホールド118と足場材料が一緒に使用されてもよい。足場は、細胞増殖または組織形成を増進させるまたは促進するのに使用される物体または構造体であり、例えば、細胞増殖のテンプレートを提供する三次元の多孔質構造体である。足場材料の実例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト(coral hydroxy apatite)、カーボネート、または加工された同種移植片材料を含む。
【0020】
シーリングサブシステム104の切り替え可能ドレープ106は、マニホールド118と、組織部位101に隣接した表皮112の一部分とを被覆して、密閉空間120を形成する。密閉空間120にマニホールド118を含む。密閉空間120に減圧を供給し、減圧を用いて組織部位101を治療する。
【0021】
減圧は、一般的に、治療が施されている組織部位における周囲圧力を下回る圧力を指す。ほとんどの場合、この減圧は、患者がいる場所の気圧を下回る。あるいは、減圧は、組織における静水圧を下回り得る。他に指定のない限り、本明細書で述べる圧力の定量値はゲージ圧である。送達される減圧は、一定であってもまたは変動しても(パターン化またはランダム)よく、連続的にまたは断続的に送達され得る。用語「真空」および「負圧」を、組織部位に適用される圧力を説明するために使用し得るが、組織部位で行われる実際の圧力は、通常完全な真空に関連付けられる圧力を著しく上回り得る。本明細書での使用に一致して、他に指定のない限り、減圧または真空圧の上昇は、一般に、絶対圧の低下を指す。
【0022】
減圧は、減圧供給導管126によって減圧源122から減圧インターフェース124に送達され得る。減圧インターフェース124は密閉空間120と流体連通している。
【0023】
減圧源122は、減圧を供給するための任意の装置、例えば真空ポンプ、壁面吸い込み、マイクロポンプ、または他の減圧源とし得る。組織部位に行われる減圧の量および性質は、一般に適用に応じて変動するが、減圧は、一般に、-5mm Hg(-667Pa)~-500mm Hg(-66.7kPa)、より典型的には、-75mm Hg(-9.9kPa)~-300mm Hg(-39.9kPa)とし得る。
【0024】
減圧源122によって生じた減圧は、減圧供給導管126を通って減圧インターフェース124に送達される。例示的一実施形態では、減圧インターフェース124は、KCI(San Antonio、Texas)から入手可能なT.R.A.C.(登録商標)PadまたはSensa T.R.A.C.(登録商標)Padである。減圧インターフェース124は、密閉空間120に減圧を送達できるようにする。一部の実施形態では、減圧インターフェース124は、密閉空間120に延在する減圧供給導管126の部分とし得るか、または単に、密閉空間120に延在するマイクロポンプの真空ポートとし得る。
【0025】
シーリングサブシステム104は、切り替え可能ドレープ106および切り替え溶液を含む。ここで主に
図2および
図3を参照して説明すると、切り替え可能ドレープ106は外層128を含み、この外層は、ドレープ材から形成され、かつ第1の側面130および第2の患者対面側面132を有する。外層128は、外層128を貫通して延在する複数の穿孔134を備えて形成されている。
【0026】
複数の穿孔134は、ドレープ材が取り除かれた任意の形状のアパーチャとし得るか、またはドレープ材が取り除かれていない任意の形状のスリットとし得る。例示的一実施形態では、除去されたドレープ材は、約0.05mm~約0.40mmの範囲の平均有効径を有する開口部を形成する。別の例示的実施形態では、複数の穿孔134は複数のアパーチャを含み、除去された材料の表面積は、平均すると、外層128の表面積の約0.2%~約13%とし得る。複数の穿孔134は、外層128全体または外層128の一部分を被覆し得る。
図4に示すように、外層128の一部分が複数の穿孔134を含む。穿孔134のピッチは、典型的には、高強度接着材136の厚さの約2~約6倍とし得る。そのピッチは、例えば、厚さ0.5mmの高強度接着材136を有する切り替え可能ドレープ106では、一般に、両方向に1.0~3.0mmの範囲である。このピッチ、すなわち隣接する穿孔間の距離の測定値は、各方向で異なってもよく、各方向において不均一にでき、およびパターン状の間隙を有し得る。穿孔134のサイズおよび分布を使用して、高強度接着材136を侵蝕する溶液の速度を制御する。穿孔134のサイズおよび分布を使用して、外層128の引裂強度も制御する。
【0027】
切り替え可能ドレープ106を形成するドレープ材は、流体シールをもたらすドレープ材とし得る。ドレープ材は、例えば、不透過性または半透過性のエラストマー材料とし得る。半透過性材料に関して、透過性は、所与の減圧源に対して、所望の減圧を維持し得るように十分に低い必要がある。エラストマー材料は、一般的に、ゴムのような特性を有するポリマー材料を指す。より具体的には、ほとんどのエラストマーは、極限伸びが100%超であり、かなりの程度の弾力性を有する。材料の弾力性は、弾性変形から回復する材料の能力を指す。エラストマーの例は、限定されるものではないが、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コ-ポリエステル、およびシリコーンを含む。さらに、ドレープ材の例は、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、またはAvery Dennison Corporation(Pasadena、California)から入手可能なものなどのポリウレタン(PU)ドレープを含む。
【0028】
ドレープ材は、高透湿度ドレープ材とし得る。「透湿度(moisture vapor transmission rate)」または「MVTR」は、所与の期間で材料を通過できる水分量を表す。例えば、高透湿度ドレープのMVTRは、約300g/m2/24時間を上回り、より典型的には、約1000g/m2/24時間以上である。好適なドレープ材の追加的な例は、以下のうちの1つまたは複数を含む:親水性ポリウレタン、セルロース系材料、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性シリコーンポリマー、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマー、およびこれらのコポリマー。例示的かつ非限定的で具体的な一実施形態として、ドレープ材は、14500~14600g/m2/24時間のMVTR(インバーテッドカップ(inverted cup)技術)を有する、Exopack Advanced Coatings(Wrexham、United Kingdom)からINSPIRE2301の名称で販売されている通気性のキャストマットポリウレタンフィルムとし得る。外層128は、様々な厚さ、例えば約10~約100ミクロン(μm)、例えば、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100ミクロンまたは述べた範囲内のいずれかの数値を有し得る。
【0029】
切り替え可能ドレープ106はまた高強度接着材136を含み、この高強度接着材は、第1の側面138および第2の患者対面側面140を有し得る。切り替え可能ドレープ106は、高強度接着材136が複数の穿孔134を被覆しているために、複数の穿孔134を通って漏出させないことに留意されたい。このため、高強度接着材136は、一般に、複数の穿孔134が形成された後で外層128の第2の患者対面側面132に適用される。
【0030】
高強度接着材136は、一般に、ほとんどの医療用ドレープで使用される接着材よりも1~2倍強力な接着強度を有する。例えば、限定されるものではないが、ある医療用ドレープ、例えば、AveryによるMED1827Aは、ポリセン(polythene)に対して、90度で、144N/mの結合強度を有する。その一方で、例示的一実施形態によれば、本明細書で説明した実施形態に従って生成された切り替え可能ドレープは、同様の試験条件下で約144N/m超~約288N/mの範囲の結合強度を有し得る。高強度接着材136は、一般に、約0.3mm~約1.5mmの範囲の厚さを有する。高強度接着材136は、アクリル接着材または他の接着材から形成し得る。高強度接着材136は、一般に、組織部位101に隣接した表皮112のいかなるひび割れや裂け目も高強度接着材136が充填して、強力な流体シールを形成し、かつ密閉空間120に負圧が適用されるときにそのシールを維持するのに十分に柔らかく、かつ十分に厚みがある。
【0031】
図3から最もよく分かるように、外層128の第1の側面130は、第1の剥離部材142によって被覆され得る。第1の剥離部材142は、外層128の表面を封止するかまたは外層に追加的な取扱剛性(handling rigidity)をもたらす材料とし得る。第1の剥離部材142はまた、取り外し可能な材料とし得る。第1の剥離部材142は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る:ポリウレタンフィルム、高密度ポリエチレン、高MVTRフィルム、ポリマー、例えばアクリルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルブロックアミドコポリマー(PEBAX)、ポリビニルアルコールおよびコポリマー、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、またはポリ塩化ビニリデン。
図3に示すように、第1の剥離部材142は、除去を容易にするために2つの把持部分144、146を有する2部品の部材とし得る。第1の剥離部材142は、外層128の展開中にのみ保持され、その後除去され得る。あるいは、第1の剥離部材142は、組織部位101からの外層128の除去が望まれるまで、複数の穿孔134を被覆する適所に留まり得る。この後者の場合には、第1の剥離部材142で、高強度接着材136が、複数の穿孔134を通して溶液に偶発的にさらされるのを防止する。
【0032】
図3に示すように、第1の剥離部材142に類似する第2の剥離部材148を使用して、使用前、高強度接着材136の第2の患者対面側面140を被覆し得る。第2の剥離部材148が除去されてから、高強度接着材136は、組織部位101に隣接した表皮112に接して展開される。第2の剥離部材148は、第1の把持部材150および第2の把持部材152を含み、高強度接着材136からの第2の剥離部材148の除去を容易にし得る。
【0033】
既に説明した通り、複数の穿孔134は、ドレープ材の複数の部分を除去してまたは除去せずに、形成され得る。材料が除去されない場合、穿孔は、例えば、限定されるものではないが、半月形スリットなどのスリットとして形成されてもよく、それらスリットは、その後、第2の患者対面側面132上で高強度接着材136によって被覆される。このように、複数の穿孔134は、小さな弁の機能を果たし、かつ外層128の第1の側面130へ高強度接着材136をさらすのを最小限にする。複数の穿孔134を形成するときにドレープ材が除去される場合、高強度接着材136は、穿孔134を通って延在し、かつ外層128の第1の側面130に粘着力を生じ得る。この場合、第1の剥離部材142は適所に残されて、切り替え可能ドレープ106の除去が望まれるまで、外層128の第1の側面130の穿孔134を被覆し得る。あるいは、外層128の第1の側面130に粉体またはシール剤を適用し得る。
【0034】
切り替え溶液は、高強度接着材136に適用されると、高強度接着材136の接着強度を低下させる溶液である。換言すると、高強度接着材136が、初期接着強度A1を有する場合、切り替え溶液の適用後の高強度接着材136の接着強度A2は低下する、例えば、A2<A1である。切り替え溶液の適用後の接着強度A2は、元の接着強度の約70%、70%A1未満、またはそれよりも少なく、例えば、60%A1、50%A1、40A1、30%A1、20%A1、10%A1、または0%A1とし得る。多くの置換が可能であるが、一実施形態では、切り替え可能ドレープ106は、伝統的なドレープの接着強度の2倍の接着強度を有しても、除去する際は、伝統的なドレープの接着強度の半分以下である。
【0035】
切り替え溶液は、以下のうちの1つまたは複数とし得る:メタノール、プロピルアルコールなどのアルコール、およびブタノールなどの他のアルコール、ブチルエタノエート(butyl ethanoate)(アセテート)などのエステル、プロパノン(アセトン)などのケトン、亜麻仁油、大豆油などの天然油、およびこれら全ての材料の互いのブレンド、および水とのブレンドとし得る。切り替え溶液は、局所的な痛み止めまたは鎮痛薬、例えば、Lidocaine、プリロカイン、ブピバカイン、またはこれらの混合物、または別の好適な物質など、追加的な構成成分を含有し得る。切り替え溶液は、瓶、バイアル、パウチ、シールされたワイプ(sealed wipe)、または他の好都合な貯蔵または送達手段に保存し得る。
【0036】
切り替え可能ドレープ106は多数の方法で形成し得る。例示的一実施形態によれば、外層128はドレープ材から形成される。その後、複数の穿孔134が、例えば打ち抜き、切断、またはドリル加工によって、外層128を貫通して形成される。高強度接着材136は、外層128の第2の患者対面側面132に適用される。第1の剥離部材142は、外層128の第1の側面130に適用される。第2の剥離部材148は、高強度接着材136の第2の患者対面側面に適用される。
【0037】
動作時、例示的一実施形態によれば、マニホールド118は、組織部位101に隣接して展開される。切り替え可能ドレープ106は、マニホールド118と、組織部位101に隣接した表皮112の一部分とを覆って展開され、密閉空間120を形成する。減圧インターフェースがまだ適用されていない場合には、減圧インターフェース124を適用して、切り替え可能ドレープ106の外部の点から密閉空間120への流体連通をもたらす。減圧インターフェース124と減圧源122との間には減圧供給導管126が流体的に結合される。減圧源122が作動されて、減圧が密閉空間120に供給され、かつマニホールド118によって分配される。所望の治療時間が経過後、切り替え可能ドレープ106を除去する。
【0038】
切り替え可能ドレープ106の除去を、適切な場合には第1の剥離部材142を取り除きかつ切り替え可能ドレープ106の第1の側面138に切り替え溶液を適用することによって、行う。切り替え溶液は、複数の穿孔134を通って移動して、高強度接着材136を湿潤させる。高強度接着材136が湿潤することにより、高強度接着材136の接着強度が低下する。その後、切り替え可能ドレープ106の外層128を患者102から除去する。
【0039】
別の例示的実施形態では、減圧源122としてマイクロポンプを使用する。この実施形態では、マイクロポンプは切り替え可能ドレープ106に結合される。別の例示的実施形態では、切り替え可能ドレープ106は、減圧が行われないドレッシングとして使用し得る。
【0040】
ここで主に
図4を参照すると、シーリングサブシステム104の別の例示的実施形態の一部分が示されている。シーリングサブシステム104は、ほとんどの点で
図1~3のシーリングサブシステム104に類似しているため、いくつかの部分は、符号を付しているが、ここでさらに説明することはしない。この実施形態は、主に、外層128の周辺部分154にのみ複数の穿孔134が形成される点が異なる。周辺部分154は、外層128の外側帯領域であり、組織部位101に隣接した表皮112のみ、またはほぼそこのみを覆うようなサイズにされている。対照的に、外層128の中心部分156は、組織部位101を覆い、かつ穿孔134を有しない。高強度接着材(
図3の136に類似)を、周辺部分154においてのみ外層128の第2の患者対面側面132に適用する。外層128の第2の患者対面側面132の中心部分156には接着強度の低い接着材を使用する。この手法は、高強度接着材136として、患者に過度の痛みを引き起こすことなく、さらに強力な接着材を使用することを可能にし得る。
【0041】
ここで主に
図5を参照すると、切り替え可能ドレープ106の別の例示的実施形態の一部分が示されている。切り替え可能ドレープ106は、ほとんどの点で
図1~3の切り替え可能ドレープ106に類似しているため、いくつかの部分は、符号を付しているが、ここでさらに説明することはしない。この実施形態は、主に、高強度接着材136が、さらに、複数の拡張部材158を含む点で異なる。拡張部材158は、切り替え溶液によって活性化されると、主に、外層128の第2の患者対面側面132に対して垂直に拡張するように構成される。拡張部材158は、例えば、圧縮された発泡体としてもよく、発泡体は、圧縮されて、転移温度未満に冷却され、一時的に「硬化(set)」を固定させる。「硬化」は、切り替え溶液に含まれる可塑剤と発泡体が接触すると、解除される。例えば、ポリ酢酸ビニル発泡体をこのように硬化させて、かつ発泡体を可塑化させるためにエタノールに接触させ、それにより「硬化」を解除して、発泡体が拡張できるようにし得る。拡張部材158はまた、発泡剤、例えば重炭酸塩を含有し得る。重炭酸塩を使用する場合、切り替え溶液は、水および弱酸(例えばクエン酸)を含み得る。水および弱酸が重炭酸塩と接触すると、二酸化炭素ガスが放出され、拡張する力をもたらす。拡張部材158は、切り替え溶液によって活性化されると、組織部位101に隣接した表皮112に対して垂直に拡張し、それにより、外層128を上昇させ、かつ高強度接着材136を弱める。この作用が、患者から切り替え可能ドレープ106を除去するのを容易にする。
【0042】
ここで主に
図6を参照すると、切り替え可能ドレープ106の別の例示的実施形態の一部分が示されている。切り替え可能ドレープ106は、ほとんどの点で
図1~3の切り替え可能ドレープ106に類似しているため、一部の部分は、符号を付しているが、ここでさらに説明することはしない。この実施形態は、主に、切り替え可能ドレープ106が、外層128と高強度接着材136との間に可溶性の層160を含む点が異なっている。可溶性の層160は、第1の側面162および第2の患者対面側面164を有する。第1の側面162は、外層128の第2の患者対面側面132に隣接している。第2の患者対面側面164は、高強度接着材136の第1の側面138に隣接している。
【0043】
可溶性の層160は、切り替え溶液または別の溶液(例えば、水または水溶液)が適用されると、可溶性の層160が溶解するかまたは実質的に溶解し、それにより、高強度接着材136の第1の側面138への可溶性の層の把持力を緩めるようにする。このようにして、外層128は迅速に除去され得る。可溶性の層160はまた、製造中に高強度接着材136が穿孔134に入らないようにし得る。
【0044】
ここで主に
図7を参照すると、切り替え可能ドレープ106の別の例示的実施形態の一部分が示されている。切り替え可能ドレープ106は、ほとんどの点で
図1~3の切り替え可能ドレープ106に類似しているため、いくつかの部分は、符号を付しているが、ここでさらに説明することはしない。この実施形態は、主に、外層128と高強度接着材136との間ウィッキング層166が配置されている点で異なる。ウィッキング層166は、図示の通り別個としてもよいし、または高強度接着材136に埋め込まれていてもよい。ウィッキング層166は、織り材料や不織材料などの、軽量な、開口型材料とし得る。一部の実施形態では、ウィッキング層166は、単一のより糸を使用する。ウィッキング層166の織りまたは不織材料のより糸は、連続としても、スカッターコート(scatter coat)されても、またはウィッキング層166に不規則に分布してもよい。不規則な繊維の分布は、周辺から中心へと発生し得る漏れ経路を妨害し得る。
【0045】
ウィッキング層166は、切り替え可能ドレープ106の縁部170に複数のウィッキング層端部168を含む。ウィッキング層166は、ウィッキング層端部168から高強度接着材136の少なくとも周辺部分172に切り替え溶液を輸送するように動作可能である。周辺部分172は、周辺部分154と同様とし、かつ接着層136の外側帯領域とし、組織部位101に隣接した表皮112のみまたはほぼそこのみを覆うようなサイズにされ得る。ウィッキング層166は、切り替え溶液を縁部170から内部に移動させ、かつその過程で切り替え溶液を高強度接着材136にさらすので、外層128は穿孔を必要としない。ウィッキング層166が漏れを発生させる場合、ウィッキング層166と組織部位101との間には接着層136が介在しているため、漏れは、組織部位101ではなく、減圧インターフェース124にある。ウィッキング層166は、溶剤可溶性コーティングでラミネートされ、漏れを発生させる可能性を低下させ得る。
【0046】
図7に関連する例示的実施形態によれば、組織を覆うようにマニホールド(図示しないが、118に類似)を適用してから、マニホールドと組織部位に隣接した表皮の一部分とを覆うように切り替え可能ドレープ106を適用して密閉空間を形成することによって、患者の組織部位は治療される。密閉空間に減圧を適用して減圧治療を行う。所望の治療時間が経過した後、使用者は、ウィッキング層端部168に切り替え溶液を適用する。切り替え溶液は、ウィッキング層166の繊維に吸い込まれる。それにより、高強度接着材136は、高強度接着材136の少なくとも周辺部分172の切り替え溶液によって湿潤される。その結果、高強度接着材136は粘着力を失う。高強度接着材136に十分な粘着力がなくなった後、外層128を除去する。
【0047】
ここで主に
図8を参照して説明すると、シーリングサブシステム104は、キット174に保管して使用できるようにし得る。キット174は、パッケージまたは容器176を有し得る。容器176は、切り替え可能ドレープ106を収容する第1の区画室178を有し得る。容器176は、切り替え溶液を入れる容器、バイアル182、ワイプ、または他の品目を収容するための第2の区画室180を有し得る。別の区画室(図示せず)を追加して、皮膚処置材料(skin preparation materials)を含んでもよい。一実施形態では、シールされた皮膚処置ワイプは、第2の区画室180に配置され得る。1つの皮膚処置ワイプを使用して皮膚を整え、および別のワイプを使用して、シーリングサブシステム104の使用後に、外層128の第1の側面130をこすって外層128を除去する。
【0048】
組織部位を治療する代替的な方法によれば、マニホールドは、組織部位に近接して展開される。マニホールドと患者の無傷の皮膚の一部分とは、医療用ドレープ(例えば、切り替え可能ドレープ106であるが、穿孔がない)で被覆されて、密閉空間を形成する。密閉空間に減圧を送達する。所望の治療時間後、減圧を終了する。その後、手持工具を使用して、組織部位の周囲の医療用ドレープに複数の穿孔を形成し、かつ穿孔の上に切り替え溶液を適用する。切り替え溶液は、医療用ドレープ上の接着材の接着強度を低下させる。医療用ドレープを除去する。
【0049】
一部の例示的実施形態では、穿孔134は、異なる効果を及ぼすために、いくつかの場所にのみ配置され得るか、または主要な場所に配置され得るか、またはいくつかの場所に集中し得る。例えば、
図4に関連して説明したように、穿孔134は、周辺部分154にのみあってもよい。さらに、穿孔134は、引き裂きラインまたは引き裂きパターンを形成するように集中していてもよい。引き裂きパターンまたは引き裂きラインは、切り替え可能ドレープ106を引き裂きラインまたは引き裂きパターンに沿って手で引き裂けるようにする。このようにして、切り替え可能ドレープ106は、工具を使用せずに、手である大きさにされ得る。一部の実施形態では、穿孔134は、切り替え可能ドレープ106の伸縮を容易にするために、複数の場所、例えば、関節を覆うように配置され得る。
【0050】
本明細書のシステム、シーリングサブシステム、および切り替え可能ドレープには、多数の利点がある。利点のうちのいくつかは、外部エネルギーを必要とせずに、切り替え可能ドレープを「切り替え」得る-接着強度を弱めるように活性化される-こと;切り替え可能ドレープの使用は、現行方式からの特殊技能を必要としないこと;システムの費用効率が高いこと;組織部位に隣接した表皮への切り替え可能ドレープのシールが向上すること;および既存のシステムに切り替え可能ドレープを使用できることを含み得る。他の利益および利点が存在する。
【0051】
本発明およびその利点をいくつかの例示的かつ非限定的な実施形態に照らしを説明したが、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、様々な変更、代替、置換、および修正をなし得ることを理解されたい。いずれか一つの実施形態に関連して説明された任意の特徴はまた、任意の他の実施形態にも適用可能であり得ることを理解されたい。
【0052】
上述の利益および利点は、一実施形態に関連し得ること、またはいくつかの実施形態に関連し得ることを理解されたい。「1つの(an)」品目への言及は、1つまたは複数のそれら品目を指すことをさらに理解されたい。
【0053】
本明細書で説明した方法のステップは、任意の好適な順序で、または適切な場合には、当業者に理解されるように、同時に実施し得る。
【0054】
適切な場合には、上述の実施形態のいずれかの態様を、説明の任意の他の実施形態の態様と組み合わせて、類似のまたは異なる特性を有しかつ同じまたは異なる問題に対処する別の例を形成する。
【0055】
好ましい実施形態の上述の説明は例示にすぎず、当業者は様々な修正をなし得ることを理解されたい。上述の明細書、例およびデータは、本発明の例示的な実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。本発明の様々な実施形態を、ある程度詳細に、または1つまたは複数の個々の実施形態を参照して上記で説明したが、当業者は、特許請求の範囲から逸脱せずに、開示の実施形態に多数の修正をなすことができる。