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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/96 20060101AFI20220214BHJP
【FI】
E06B3/96 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017205878
(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公開番号】P2019078076
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】七山 貴志
(72)【発明者】
【氏名】清水 弥
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-190213(JP,A)
【文献】特開2017-119948(JP,A)
【文献】特開2009-299440(JP,A)
【文献】特開2001-123756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0066598(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0180447(EP,A2)
【文献】中国特許出願公開第106065755(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 1/70
3/96- 3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体開口部の内周側に配置される額縁と、縦枠及び横枠と、縦枠と横枠とのコーナー部に取付けたコーナー部品とを備え、額縁は、室外側端部の内周側面に内周側と室外側が開口する段状のしゃくりを有し、縦枠と横枠は、額縁に取付けられるアングル部を有し、コーナー部品は、アングル部の見付部を覆う覆い部を有し、縦枠側の覆い部と横枠側の覆い部の少なくとも一方が付け根付近に設けた溝で折り取り自在であり、覆い部を折り取ることでアングル部が額縁のしゃくりに納まることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下枠に内装材覆い部(いわゆるアングル部)が開口部の縁部に設けられ、縦枠に内装材覆い部が開口部の縁部より外側に配置され、下枠の内装材覆い部と縦枠の内装材覆い部とを繋ぐ中継覆い部材を設けた建具が記載されている。この建具は、室内側から見て縦枠及び下枠の内装材覆い部と中継覆い部材との境目が見えるため、意匠性がよくなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4955636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、縦枠と横枠とのコーナー部の意匠性の良い建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、躯体開口部の内周側に配置される額縁と、縦枠及び横枠と、縦枠と横枠とのコーナー部に取付けたコーナー部品とを備え、額縁は、室外側端部の内周側面に内周側と室外側が開口する段状のしゃくりを有し、縦枠と横枠は、額縁に取付けられるアングル部を有し、コーナー部品は、アングル部の見付部を覆う覆い部を有し、縦枠側の覆い部と横枠側の覆い部の少なくとも一方が付け根付近に設けた溝で折り取り自在であり、覆い部を折り取ることでアングル部が額縁のしゃくりに納まることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、コーナー部品に縦枠及び横枠のアングル部の見付部を覆う覆い部を有していることで、正面から見て縦枠及び横枠のアングル部がコーナー部品の覆い部で隠れるため、意匠性が向上する。さらに、縦枠側の覆い部と横枠側の覆い部の少なくとも一方が付け根付近に設けた溝で折り取り自在であり、覆い部を折り取ることでアングル部が額縁の室外側端部の内周側面に内周側と室外側に開口して設けたしゃくりに納まるため、額縁等の造作材の形状に合わせた現場施工が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コーナー部品の取付け方を示す縦断面図である。
図2】本発明の建具の第1実施形態を示す縦断面図である。
図3】同建具の横断面図である。
図4】同建具の下枠側を拡大して示す縦断面図である。
図5】同建具の一方の縦枠側を拡大して示す横断面図である。
図6】同建具の縦枠と下枠とのコーナー部を室内側から見た正面図である。
図7】同建具の縦枠と下枠とのコーナー部を示す斜視図である。
図8】同建具の縦枠と下枠とのコーナー部の室内側正面図であって、コーナー部品を取付ける前の状態を示す。
図9】(a)はコーナー部品の平面図、(b)はコーナー部品の室内側正面図、(c)はコーナー部品の底面図、(d)はコーナー部品の側面図、(e)はA-A断面図、(f)はB-B断面図である。
図10】(a)は第1実施形態の建具の変形例を示す縦断面図であり、(b)は同建具の横断面図である。
図11図10に示す建具の縦枠と下枠とのコーナー部を室内側から見た正面図である。
図12】(a)は図10に示す建具に用いられるコーナー部品の平面図、(b)は同コーナー部品の室内側正面図、(c)は同コーナー部品の側面図である。
図13】(a)は第1実施形態の建具の他の変形例を示す縦断面図であり、(b)は同建具の横断面図である。
図14図13に示す建具の縦枠と下枠とのコーナー部を室内側から見た正面図である。
図15】(a)は図13に示す建具に用いられるコーナー部品の平面図、(b)は同コーナー部品の室内側正面図、(c)は同コーナー部品の側面図である。
図16】本発明の建具の第2実施形態を示す上枠と縦枠とのコーナー部の室内側正面図である。
図17】(a)は本発明の建具の第3実施形態を示す縦断面図であり、(b)は同建具の横断面図である。
図18】第3実施形態の建具の縦枠と下枠とのコーナー部を室内側から見た正面図である。
図19】第3実施形態の建具の縦枠と下枠とのコーナー部の室内側正面図であって、コーナー部品を取付ける前の状態を示す。
図20】第3実施形態の建具におけるコーナー部品の取付状態を示す縦断面図である。
図21】(a)は本発明の建具の第4実施形態を示す縦断面図であり、(b)は同建具の横断面図である。
図22】第4実施形態の建具の縦枠と下枠とのコーナー部を室内側から見た正面図である。
図23】第4実施形態の建具の縦枠と下枠とのコーナー部の室内側正面図であって、コーナー部品を取付ける前の状態を示す。
図24】第4実施形態の建具におけるコーナー部品の取付状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2~9は、本発明の建具の第1実施形態であって、コーナー部品3は見込方向移動規制部7を縦枠1の突出壁5に係合し、アングル部4b,4cの見付部21を覆う覆い部22a,22bを縦枠1側、横枠(下枠2)側とも残す場合を示している。本建具は、図2,3に示すように、躯体開口部に取付けられる枠8と、枠8内に上下枠12,2に沿って摺動可能に納めた外障子9と内障子10と網戸11とを備え、掃出し窓タイプの引違い窓となっている。
【0009】
枠8は、図2,3,6に示すように、樹脂製の押出形材よりなる上枠12と下枠2と左右の縦枠1,1の両端部をそれぞれ斜め45°に切断し、端部同士を突き合わせて溶着することで矩形に枠組みされている。上枠12と左右の縦枠1,1は、図2,3に示すように、断面形状が同一となっており、室内側端部に室内側に向けて突出するアングル部4a,4bと、内周側に向けて突出する突出壁5を有している。上枠12と縦枠1のアングル部4a,4bは、造作材としての額縁13の室外側端部の内周側に重ねてビス14で固定してある。
下枠2は、上枠12及び縦枠1と断面形状が若干異なっており、室内側端部に室内側に向けて突出するアングル部4cが内周側端部に形成してある。下枠2のアングル部4cは、造作材としての床材15の室外側端部に重ねてビス14で固定してある。
【0010】
このように、縦枠1はアングル部4bが突出壁5の分だけ枠8の開口縁部より外周側に形成され、下枠2はアングル部4cが枠8の開口縁部に形成されており、縦枠1と下枠2でアングル部4b,4cの位置が内外周方向で異なっているため、縦枠1と下枠2のアングル部4b,4cの長手方向端部同士を突き合わせることができない。なお、縦枠1及び下枠2のアングル部4b,4cは、図8に示すように、長手方向の端部がそれぞれ切り欠かれている。そこで本建具は、図6,7に示すように、縦枠1と下枠2とのコーナー部内周側にコーナー部品3を取付け、コーナー部品3により縦枠1のアングル部4bと下枠2のアングル部4cとを繋いでいる。
【0011】
コーナー部品3は、樹脂で一体成形したものであり、図4,5,7に示すように、縦枠1のアングル部4bの内周側に当接する縦壁16と、下枠2のアングル部4cの内周側に当接する横壁17と、縦枠1の突出壁5の室内側に当接する見付壁18を有している。さらにコーナー部品3は、図9に示すように、横壁17の外周側(下面側)に回転規制部6を有すると共に、見付壁18の上部にフック状の見込方向移動規制部7を有している。回転規制部6は、縦枠1側の端部と下枠2側の端部とに弾性変形自在な爪片19がそれぞれ設けてある。
本コーナー部品3は、図1(c)に示すように、回転規制部6が縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと下枠2のアングル部4cの長手方向端部20b間に保持されることで回転が規制され、且つ図5に示すように、見込方向移動規制部7が縦枠1の突出壁5に係止することで見込方向の移動が規制されるため、ネジ止めすることなくコーナー部に安定して取付けられる。
【0012】
コーナー部品3の取付け方は、図1(a)に示すように、見込方向移動規制部7の上端側を縦枠1の突出壁5に内周側から係止させ、図1(b)に示すように、その係止部を支点としてコーナー部品3を外周側に向けて回転させる。すると、図1(c)に示すように、回転規制部6の両端部に形成された爪片19が、縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと下枠2のアングル部4cの長手方向端部20bとにそれぞれ弾発的に係止し、回転規制部6が両アングル部4b,4cの長手方向端部20a,20b間に保持され、且つ見込方向移動規制部7が縦枠1の突出壁5と係合しているため、コーナー部品3は不用意に外れることがない。
コーナー部品3を取外す際には、マイナスドライバー等の工具の先端をコーナー部品3の横壁17と下枠2のアングル部4c間に差し込み、横壁17の先端を持ち上げるようにすれば、簡単に取り外すことができる。
【0013】
さらに本コーナー部品3は、図4~7に示すように、縦壁16と横壁17の室内側端部に沿って外周側に突出する形で、縦枠1及び下枠2のアングル部4b,4cの見付部21を覆う覆い部22a,22bが形成してある。各覆い部22a,22bは、図9に示すように、縦壁16及び横壁17との付け根部分に室内側から溝23が形成してあり、当該溝23にカッター等で切れ目を入れることで、簡単に折り取りできるようになっている。なお、図4~7に示す例では、縦枠1側と下枠2側の覆い部22a,22bを両方とも折り取らずに残してある。
【0014】
図10~12は、第1実施形態の建具の変形例であって、コーナー部品3は見込方向移動規制部7を縦枠1の突出壁5に係合し、アングル部4b,4cの見付部21を覆う覆い部22a,22bを縦枠1側のみ折り取った場合を示している。本建具も、掃出し窓タイプの引違い窓となっており、図10に示すように、上枠12及び左右の縦枠1,1のアングル部4a,4bが固定される額縁13が、アングル部4a,4bが納まるしゃくり24を設けたしゃくり付きの額縁となっている。この場合、コーナー部品3は、縦枠1側の覆い部22aを折り取ってある。覆い部22aは、先に述べたように付け根部分に室内側から溝23が形成してあり、その溝23の位置で切り離すことで、覆い部22aの切断面25が見込方向に形成される。下枠2側の覆い部22bは、残してある。
【0015】
図13~15は、第1実施形態の建具の他の変形例であって、コーナー部品3は見込方向移動規制部7を縦枠1の突出壁5に係合し、アングル部4b,4cの見付部21を覆う覆い部22a,22bを縦枠1側、横枠(下枠2)側とも折り取った場合を示している。本建具は、腰窓タイプの引違い窓となっており、図13に示すように、四周の額縁13の全てがアングル4a,4b,4cの納まるしゃくり24付きの額縁となっている。この場合、コーナー部品3は、図15に示すように、縦枠1側と横枠(下枠2)側の覆い部22a,22bを両方とも折り取る。
【0016】
図16は、本発明の建具の第2実施形態を示している。本建具は、横枠(上枠12)に内周側に突出する突出壁5を有し、縦枠1に突出壁5を有しないものとなっており、コーナー部品3は見込方向移動規制部7を横枠(上枠12)の突出壁5に係合している。本建具は、上枠12と縦枠1とのコーナー部にコーナー部品3が取付けてあり、コーナー部品3により上枠12のアングル部4aと縦枠1のアングル部4bとを繋いでいる。コーナー部品3は、図7等に示したものと同じものを、90°回転した姿勢で用いている。
【0017】
図17~20は、本発明の建具の第3実施形態であって、コーナー部品3は見込方向移動規制部(見付壁18)を縦枠1の突出壁5に接着する場合を示している。コーナー部品3は、縦枠1のアングル部4bの内周側に当接する縦壁16と、下枠2のアングル部4cの内周側に当接する横壁17と、縦枠1の突出壁5の室内側に当接する見付壁18と、縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと下枠2のアングル部4cの長手方向端部20b間に保持される回転規制部6を有している。本コーナー部品3は、図20に示すように、回転規制部6を縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと下枠2のアングル部4cの長手方向端部20b間に保持することで回転を規制し、図17に示すように、見付壁18を縦枠1の突出壁5に両面テープ26で接着することにより、見込方向の移動を規制している。図19においてハッチングした部分27は、コーナー部品3の見付壁18が両面テープ26で接着される部分である。コーナー部品3にアングル部4b,4cの見付部21を覆う覆い部22a,22bを有し、覆い部22a,22bが折り取り自在である点は、第1実施形態と同様である。
【0018】
図21~24は、本発明の建具の第4実施形態であって、枠8は縦枠1及び横枠(下枠2)に突出壁5が無く、コーナー部品3は見込方向移動規制部(係合部28)をアングル部4b,4cに係合する場合を示している。コーナー部品3は、縦枠1のアングル部4bの内周側に当接する縦壁16と、下枠2のアングル部4cの内周側に当接する横壁17と、縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと下枠2のアングル部4cの長手方向端部20b間に保持される回転規制部6を有している。回転規制部6は、図24に示すように、縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと下枠2のアングル部4cの長手方向端部20b間に内周側から弾発的に係止するものとなっている。縦壁16と横壁17には、図21に示すように、縦枠1及び下枠2のアングル部4b,4cと係合する係合部28(見込方向移動規制部)を有しており、係合部28をアングル部4b,4cと係合することでコーナー部品3の見込み方向の移動を規制している。
【0019】
以上に述べたように本発明の建具は、コーナー部品3に縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと横枠(下枠2)のアングル部4cの長手方向端部20b間に保持される回転規制部6と、突出壁5に係合(第1,第2実施形態)又は接着(第3実施形態)される見込方向移動規制部7,18を有することで、コーナー部品3の取付けにネジ止めが不要であり、施工性・メンテナンス性が良い。
第1・第2実施形態の建具のコーナー部品3は、回転規制部6が枠8の内周側から弾発的に係合するようにしたので、コーナー部品3の取付け・取外しが一層容易に行え、また、アングル部4b,4cの長手方向端部の切欠き寸法に多少の誤差があっても、コーナー部品3をがたつきなく安定して取付けできる。
本発明の建具(第4実施形態)は、コーナー部品3に縦枠1のアングル部4bの長手方向端部20aと横枠(下枠2)のアングル部4cの長手方向端部20b間に保持される回転規制部6と、縦枠1又は横枠(下枠2)のアングル部4b,4cと係合する見込方向移動規制部(係合部28)を有することで、コーナー部品3の取付けにネジ止めが不要であり、施工性・メンテナンス性が良い。
【0020】
また、本発明の建具は、コーナー部品3に縦枠1及び横枠(下枠2)のアングル部4b,4cの見付部21を覆う覆い部22a,22bを有していることで、正面から見て縦枠1及び横枠(下枠2)のアングル部4b,4cがコーナー部品3の覆い部22a,22bで隠れるため、意匠性が向上する。さらに、縦枠1側の覆い部22aと横枠側の覆い部22bの少なくとも一方が折り取り自在であるため、額縁13等の造作材の形状に合わせた現場施工が容易に行える。
さらに本発明の建具は、コーナー部品3の覆い部22a,22bを折り取ったときに、その切断面25が見込方向に形成されるため、切断面25が外部に露出せず意匠性が良い。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。コーナー部品の形状、材質は、適宜変更することができる。枠は、樹脂枠に限定されず、金属枠や金属と樹脂の複合枠であってもよい。窓の種類は任意であり、引違い窓に限らず、片引き窓、すべり出し窓、嵌め殺し窓など、あらゆる窓種に対応できる。
【符号の説明】
【0022】
1 縦枠
2 下枠(横枠)
3 コーナー部品
4a,4b,4c アングル部
5 突出壁
6 回転規制部
7 見込方向移動規制部
12 上枠(横枠)
18 見付壁(見込方向移動規制部)
21 アングル部の見付部
22a,22b 覆い部
28 係合部(見込方向移動規制部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
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図19
図20
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