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特許7023098力又は圧力を測定するための測定素子スタック及びこの種の測定素子スタックの製造方法
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  • 特許-力又は圧力を測定するための測定素子スタック及びこの種の測定素子スタックの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】力又は圧力を測定するための測定素子スタック及びこの種の測定素子スタックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/16 20060101AFI20220214BHJP
【FI】
G01L1/16 C
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017238752
(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公開番号】P2018109617
(43)【公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】A 51130/2016
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】507116592
【氏名又は名称】ピエツォクリスト・アドヴァンスト・ゼンゾリクス・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・シュトゥルムセック
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・バウムガルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ディートマール・クレーガー
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07548012(US,B2)
【文献】米国特許第03281612(US,A)
【文献】特開昭61-124183(JP,A)
【文献】特表2010-508648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/16
H01L 41/083
H01L 41/113
H01L 41/27
H01L 41/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ反対向きの電気分極を有する横圧電効果を利用してスタックされ、側面(13)に導出電極(12)を有する複数の圧電結晶素子(11)からなる、力又は圧力を測定するための測定素子スタック(10)であって、
該側面(13)に対して基本的に垂直をなし、対向する、力の導入に資する、第一及び第二表面(14,15)に、第一及び第二表側電極(16,17)が配置された構成の測定素子スタック(10)において、
各導出電極(12)は一つの電気絶縁領域(20)によって、前記両表面(14,15)の一方に隣接する小さな端電極(18)と、大きな主電極(19)とに区分され、
前記結晶素子(11)の前記主電極(19)の一方は該結晶素子の第一表面(14)に隣接するとともに前記第一表側電極(16)と接触し、他方の前記主電極(19)は該結晶素子の第二表面(15)に隣接するとともに前記第二表側電極(17)と接触し、隣の導出電極(12)の前記端電極(18)は互いに密接していることを特徴とする測定素子スタック(10)。
【請求項2】
隣の導出電極(12)の前記絶縁領域(20)は、ある結晶素子(11)の前記端電極(18)と、隣接する結晶素子(11)の前記主電極(19)との間の電気的接触が阻止されるように、鏡対称に又は互いにずらして配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の測定素子スタック(10)。
【請求項3】
前記測定素子スタック(10)のすべての結晶素子(11)の前記第一表面(14)と該表面に隣接する前記端電極及び主電極(18,19)とは、前記第一表側電極(16)のための平らな閉じた載設面を形成し、
すべての結晶素子(11)の前記第二表面(15)と該表面に隣接する前記端電極及び主電極(18,19)とは、前記第二表側電極(17)のための平らな閉じた載設面を形成し、
これら両載設面は基本的に互いに平行平面をなすように形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の測定素子スタック(10)。
【請求項4】
前記端電極(18)と、前記主電極(19)の表側端領域(21)とは、前記主電極(19)の残りの部分よりも厚い材料厚さを有し、そのため、前記測定素子スタック(10)内の隣の導出電極(12)は、前記両表側領域を除いて、互いに離間していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の測定素子スタック(10)。
【請求項5】
前記端電極(18)と前記電気絶縁領域(20)とは合わせて、前記結晶素子(11)の前記側面(13)の面積の20%未満を占めることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定素子スタック(10)。
【請求項6】
前記結晶素子(11)は、前記対向する両表面(14,15)の間に、前端のエッジに丸み付けも面取りも形成されることのない、基本的に統一的な断面を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の測定素子スタック(10)。
【請求項7】
前記表側電極(16,17)は1μmから20μmの厚さで形成され、少なくとも前記測定素子スタック(10)の組み付けにあたり前記結晶素子(11)同士の結合に有用であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の測定素子スタック(10)。
【請求項8】
それぞれ反対向きの電気分極を有する横圧電効果を利用してスタックされる複数の圧電結晶素子(11)からなる、力又は圧力を測定するための測定素子スタック(10)の製造方法であって、以下のステップ、すなわち、
a.概略寸法で、平行な側面(13)と互いに対向する第一及び第二表面(14,15)とを有する基本的に直方体形状の結晶素子を用意するステップ、
b.各導出電極(12)は、それぞれ、一つの電気絶縁領域(20)によって、前記両表面(14,15)の一方に隣接する小さな端電極(18)と、大きな主電極(19)とに区分され、その際両端電極(18)が前記結晶素子(11)のそれぞれ異なった表面(14,15)に隣接するように、両側面(13)に導出電極(12)を被着するステップ、
c.一つの測定素子スタック(10)とするために、隣の導出電極(12)の前記端電極(18)が互いに密接するように、複数の結晶素子(11)を並列するステップ、
d.外側から作用する締め付け装置によって、前記結晶素子(11)を固定するステップ、
e.前記締め付け装置内の個々の結晶素子(11)の長さ差を削除し、二つの対向する、基本的に平行平面の載設面を製作するために、研削及び/又はラップ加工により、前記結晶素子(11)の前記第一表面(14)及び前記第二表面(15)のそれぞれ一緒の加工が行われるステップ、
f.前記第一載設面に第一表側電極(16)を被着し、前記第二載設面に第二表側電極(17)を被着するステップ、ならびに
g.前記測定素子スタック(10)から前記締め付け装置の取り外しをするステップ、
を含んでなることを特徴とする方法。
【請求項9】
ステップbに記載の前記電気絶縁領域(20)は、スパッタリング、蒸着又は真空蒸着によって前記導出電極(12)を被着する際のマスキングによって製作されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップbに記載の前記電気絶縁領域(20)は、事後的なエッチング、フライス加工、研磨又はレーザアブレーションによって製作されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステップbに続いて又はステップbにおいて、前記表側の端電極(18)と前記主電極(19)の表側端領域(21)とは、前記主電極(19)の残りの部分よりも厚い材料厚さで形成されることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記測定素子スタック(10)は、ステップeに記載の前記表側電極(16,17)の被着により、少なくとも力又は圧力を測定するための装置への前記測定素子スタック(10)の組み付けをするまで、一体保持されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ反対向きの電気分極を有する横圧電効果を利用してスタックされ、側面に導出電極を有する複数の圧電結晶素子からなる、力又は圧力を測定するための測定素子スタックであって、該側面に対して基本的に垂直をなし、対向する、力の導入に資する、第一及び第二表面に、第一及び第二表側電極が配置された構成の測定素子スタックに関する。さらに本発明はこの種の測定素子スタックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連して、国際公開第2005/026678号から、複数の、並列配置された、圧電結晶素子からなる、横効果を利用した測定素子スタックが知られている。該結晶素子は厚さ約0.5mmを有し、プレート形状又は平らな直方体形状として形成されている。力の作用下で帯電するすべての側面は、側方電極コーティングされている。該スタックの両外側、側方電極は別として、その他の中央の導出電極はそれぞれ二つの隣接する結晶素子を互いに固定している。該導出電極による結合は、それが測定素子スタックに印加されることとなる最大荷重下において、かつ該スタックに許容される全温度範囲にわたって解離することがないように形成されている。こうした結合は、例えば、接着、はんだ付け又は熱圧着によって達成可能である。ただし重要な点は、それぞれ反対向きの分極方向を有する二つの隣接した結晶素子が配置されていることである。
【0003】
電荷受容のために、荷重の作用下で力を吸収する結晶素子の表面も、同じく、導電性材料でコーティングされる。これにより、表面電極が生ずる。側方の導出電極は、測定中、それぞれ交互に反対の電荷を集めることから、隣の導出電極は互いに絶縁されて形成されるように留意しなければならない。そのため、側方の導出電極は交互に上方ないし下方の表面電極から分離される。
【0004】
これは、前記国際公開第2005/026678号において、側面から表面への移行部にノッチ状の傾斜面を付することによって行われる。これにより、荷重の作用下で、それぞれ、正の電荷が測定素子スタックの一方の表面に集まり、負の電荷が測定素子スタックの対向側の表面に集まる。これらの、それぞれノッチ状の面取りによって分離された表面電極において、すべての側方の導出電極の電荷受容を行うことができる。このようにして接続された測定素子スタックは、表面に対して垂直に作用する、軸方向力又は圧力の測定に適している。
【0005】
こうした公知のコンセプトの短所は、特に、接着、はんだ付け又は熱圧着によって結合された隣接する結晶素子間の導出電極を介した個々の結晶素子の固定的結合であり、これにより、特に、相対的高温時に測定素子スタックの内部に応力が生ずると同時に、個々の導出電極の剥離が生ずることが懸念される点である。
【0006】
さらにもう一つの短所は、力を導入する表面に設けられたノッチ状の面取りによって材料の脆弱化が生じ、これによって、高荷重時又は急激な荷重変化時に、この領域において個々の結晶素子の破壊の発生が懸念される点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2005/026678号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、冒頭に述べたタイプの、複数の圧電結晶素子からなる、力又は圧力を測定するための測定素子スタックを改良し、上述した短所を回避し、高温強度を有するとともに、高い荷重及び圧力の印加に耐える測定素子スタックを実現可能とすることである。さらにもう一つの目的は、この種の測定素子スタックのできるだけ簡易な製造方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、本発明によれば、前記個々の結晶素子のそれぞれの側面に配された各導出電極は一つの電気絶縁領域によって、前記両表面の一方に隣接する小さな端電極と、大きな主電極とに区分され、前記結晶素子の前記主電極の一方は該結晶素子の第一表面に隣接するとともに前記第一表側電極と接触し、他方の主電極は該結晶素子の第二表面に隣接するとともに前記第二表側電極と接触し、隣の導出電極の前記端電極は互いに密接することによって達成される。
【0010】
本発明において、前記導出電極の異なった電荷は、表側の切り込みによって互いに分離されるのではなく、隣接する表面とのエッジに沿って延びるそれぞれ幅の狭い端電極を形成する、前記導出電極の幅の狭い、好ましくは帯状の絶縁領域によって互いに分離される。
【0011】
本発明によれば、前記測定素子スタックのすべての結晶素子の前記第一表面と該表面に隣接する端電極及び主電極とは前記第一表側電極のための平らな閉じた載設面を形成し、すべての結晶素子の前記第二表面と該表面に隣接する端電極及び主電極とは、前記第二表側電極のための平らな閉じた載設面を形成し、これら両載設面は基本的に互いに平行平面をなすように形成されている。前記表側電極のためのこれらの平らな載設面は、ノッチ状の面取りが必要ないために、簡易な方法で製造及びコーティングが可能である。
【0012】
それぞれ反対向きの電気分極を有する横圧電効果を利用してスタックされる複数の圧電結晶素子からなる、力又は圧力を測定するための測定素子スタックの本発明による製造方法は、以下のステップ、すなわち、
a.概略寸法で、平行な側面と互いに対向する第一及び第二表面とを有する基本的に直方体形状の結晶素子を用意するステップ、
b.各導出電極は、それぞれ、一つの電気絶縁領域によって、前記両表面の一方に隣接する小さな端電極と、大きな主電極とに区分され、その際両端電極が前記結晶素子のそれぞれ異なった表面に隣接するように、両側面に導出電極を被着するステップ、
c.一つの測定素子スタックとするために、隣の導出電極の前記端電極が互いに密接するように、複数の結晶素子を並列するステップ、
d.外側から作用する締め付け装置によって、前記結晶素子を固定するステップ、
e.前記締め付け装置内の個々の結晶素子の長さ差を削除し、二つの対向する、基本的に平行平面の載設面を製作するために、研削及び/又はラップ加工により、前記結晶素子の前記第一表面及び前記第二表面のそれぞれ一緒の加工が行われるステップ、
f.前記第一載設面に第一表側電極を被着し、前記第二載設面に第二表側電極を被着するステップ、ならびに
g.前記測定素子スタックから前記締め付け装置の取り外しをするステップ、
を含んでなることを特徴とする。
【0013】
本発明による方法において、コーティングが行われる前の前記個々の結晶素子は正確な寸法に裁断される必要はなく、概略寸法であれば十分であり、その際、例えば、前記個々の結晶素子の数ミリ程度の長さ差は許容される。こうした長さ差は、ステップeにおいて、研削及び/又はラップ加工による前記結晶素子の前記第一及び第二表面の一緒の加工によって整えられる。
【0014】
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明する。各図は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】複数の圧電結晶素子からなる、力又は圧力を測定するための本発明による測定素子スタックの断面図である。
図2図1に示した測定素子スタックの製造方法におけるそれぞれ異なった段階を示す図である。
図3図1に示した測定素子スタックの製造方法におけるそれぞれ異なった段階を示す図である。
図4図1に示した測定素子スタックの製造方法におけるそれぞれ異なった段階を示す図である。
図5図1に示した測定素子スタックの製造方法におけるそれぞれ異なった段階を示す図である。
図6図1の断面図に示した本発明による測定素子スタックの別実施形態を示す図である。
図7図6に示した測定素子スタックの製造方法におけるそれぞれ異なった段階を示す図である。
図8図6に示した測定素子スタックの製造方法におけるそれぞれ異なった段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
機能的同一の部品(部材)には、個々の実施形態において、同一の符号が付されている。
【0017】
図1に示した測定素子スタック10は、それぞれ反対向きの電気分極を有する横圧電効果を利用してスタックされ、力の作用下で電荷を生ずる側面13に導出電極12が設けられた複数の、直方体形状の、圧電結晶素子11から構成されている。該側面13に対して基本的に垂直をなし、力の導入(矢印K、参照)に資する、対向する第一及び第二表面14,15には、それぞれ基本的に測定素子スタック10の上ないし下の表面を被覆する第一及び第二表側電極16,17が配置されている。該表側電極16,17の層厚さは端に向かって減らされないし丸められていてよい。
【0018】
導出電極12及び表側電極16,17の層厚さは、詳細を分かり易く示すため、結晶素子11の寸法に比較して過大に表されている。
【0019】
導出電極12は、電気絶縁領域20によって、それぞれ非対称の、両表面14,15の一方に隣接する小さな端電極18と、大きな主電極19とに区分され、その際、結晶素子11の主電極19の一方は該結晶素子の第一表面14に隣接するとともに第一表側電極16と接触し、他方の主電極19は該結晶素子の第二表面15に隣接するとともに第二表側電極17と接触している。
【0020】
本発明にあっては、電荷が相殺される、測定信号に寄与しない結晶素子11の端領域を小さく保つべく、端電極18と電気絶縁領域20とは合わせて、結晶素子11の側面13の20%未満、好ましくは5%から10%未満を占めるように考慮される。
【0021】
スタックされた結晶素子11の第一表面14と該表面に隣接する、該測定素子スタック10のすべての結晶素子11の端電極及び主電極18,19とは、第一表側電極16のための平らな閉じた載設面を形成する。これは第二表面15と該表面に隣接する、すべての結晶素子11の端電極及び主電極18,19とにも当てはまり、これらは第二表側電極17のための平らな閉じた載設面を形成し、これら両載設面は互いに平行平面をなすように形成されている。
【0022】
したがって、結晶素子11は、対向する両表面14,15の間に、基本的に統一的な断面を有しており、該断面は、従来の技術におけるように、表側に丸み付けと面取りが形成されることによって該結晶素子のエッジが脆弱化されるという短所を有していない。
【0023】
本発明によれば、表側電極16,17は1μmから20μm、好ましくは2μmから4μmの厚さで形成されていてよく、少なくとも、例えば圧力センサへの、該測定素子スタック10の組み付けにあたり結晶素子11同士の側方における結合に有用である。したがって、はんだ付け又は接着による側方における導出電極12の固定的結合は不要でありまた望ましくもない。
【0024】
本発明による測定素子スタックの製造にあたり、まず、概略寸法で、平行な側面13と、対向する第一及び第二表面14,15とを有する基本的にプレート形状ないし直方体形状の結晶素子11が切り出されることとなり、つまり、該結晶素子11は、正確に同一の(両表面14,15の間の)長さ、幅又は厚さを有している必要はない。
【0025】
続いて、図2に示すように、両側面13に導出電極12を被着するが、その際、各導出電極は、それぞれ、一つの電気絶縁領域20によって、両表面14,15の一方に隣接する小さな端電極18と、大きな主電極19とに区分され、両端電極18は各結晶素子11のそれぞれ異なった表面14,15に隣接している。
【0026】
横圧電効果を利用するため、結晶素子11は、力の作用下で発生する電気分極Pがそれぞれ反対向きであり、隣の導出電極12の端電極18が互いに密接するようにしてスタックされる。こうして、図3に示された測定素子スタック10が生ずるが、この場合、個々の結晶素子11は、なおほんの少し異なった長さ(過大に表されている)を有しており、一緒の加工を行うために横に、つまり、導出電極12に対して垂直方向に一体締付される(矢印22参照)。
【0027】
続いて、図4に示したように、個々の結晶素子11の長さ差を削除し、二つの対向する平行平面をなす載設面ε1及びε2を製作するために、研削及び/又はラップ加工による結晶素子11の第一表面14及び第二表面15の一緒の加工が行われる。
【0028】
最後のステップにおいて、図5に示したように、第一載設面ε1に第一表側電極16を被着し、第二載設面ε2に第二表側電極17を被着する。結果として、図1に示した測定素子スタック10が生ずる。
【0029】
隣の導出電極12の絶縁領域20は鏡対称に配置されているか、又は、個々の結晶素子11の異なった長さのゆえに互いにほんの少しずれて配置されていてもよい。いずれにせよ、ある結晶素子11の端電極18と、隣接する結晶素子11の主電極19との間の電気的接触が阻止されているように注意しなければならない。
【0030】
帯状の電気絶縁領域20は、例えば、スパッタリング、蒸着又は真空蒸着によって導出電極12を被着する際の、適切なマスキングによって製作することが可能である。
【0031】
電気絶縁領域20は、導出電極12の、事後的なエッチング、フライス加工、研磨又はレーザアブレーションによって製作することも可能であるが、その際、結晶素子11の側面13が保護保全処理されるように注意しなければならない。
【0032】
図6に示された本発明の別実施形態は、端電極18と、主電極19の表側の端領域21とが、主電極19の残りの部分よりも厚い材料厚さ(過大に表されている)、例えば二倍の材料厚さを有し、そのため、測定素子スタック10内の隣の導出電極12は、両表側領域を除いて、互いに離間している(図6図8参照)という点において、図1に示した実施形態と異なっている。こうした対策により、測定運転時における隣の導出電極12同士の接触は、高温時及び高荷重時ないし急激な荷重変化時でさえも、十分に排除可能である。
【0033】
図6に示した測定素子スタックの製造は、基本的に、既述した図1に示したスタックの製造方法と同様にして行われる。
【0034】
導出電極12の被着に際しては、表側の端電極18と主電極19の表側の端領域21とは、主電極19の残りの部分よりも厚い材料厚さ(図7、参照)で形成されるように注意しなければならない。
【0035】
結晶素子11のつなぎ合わせが行われた後、既に上述したように、個々の結晶素子11の長さ差を削除し、二つの対向する、平行平面をなす載設面ε1及びε2を製作するために(図8、参照)、研削及び/又はラップ加工により、結晶素子11の第一表面14及び第二表面15の一緒の加工が行われる。表側電極16,17の被着後、図6に示した測定素子スタック10が生ずる。
【0036】
平行平面な載設面ε1及びε2への表側電極16,17の被着により、測定素子スタック10は、少なくとも、力又は圧力を測定するための装置、例えば圧力センサへの組み付けをするまで、一体保持が可能である。
【0037】
力の導入に資する面ε1及びε2(図4図5参照)が一工程で、一緒に製作可能であることから、本発明による測定素子スタック10の測定精度は向上する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8