(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】ソールとソールに対して片持ちに配置されたハンドルとを備えるアイロンを含むアイロン掛け家電装置
(51)【国際特許分類】
D06F 75/28 20060101AFI20220214BHJP
D06F 75/34 20060101ALI20220214BHJP
D06F 75/40 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
D06F75/28
D06F75/34
D06F75/40
(21)【出願番号】P 2017559417
(86)(22)【出願日】2016-05-12
(86)【国際出願番号】 FR2016051121
(87)【国際公開番号】W WO2016181080
(87)【国際公開日】2016-11-17
【審査請求日】2019-03-19
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-01
(32)【優先日】2015-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー ルメール
(72)【発明者】
【氏名】アントニー マソン
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】長馬 望
【審判官】田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】実公昭36-11192(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 75/28
D06F 75/34
D06F 75/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイロン(1)を含むアイロン掛け家電装置であって、前記アイロン(1)が本体(11)を載せた平坦な掛け面を有するソール(10)と、前記ソール(10)に対して片持ちに配置された把持ハンドル(12)と、前記ハンドル(12)に設けられた開口部(15)を通して前記アイロン(1)から引き出される電源コード(3)とを備え、前記ハンドル(12)が前記本体(11)とつながる前端部と自由後端部とを有する家電装置において、前記開口部は前記ハンドル(12)の上面に設けられ、前記ハンドル(12)の前記後端部は、下面から上面へ斜めに切り取られ、前記ハンドル(12)は前記ソール(10)の前記掛け面の平面との間に鈍角αをなす傾斜した平坦な後部表面を有
し、前記傾斜した平坦な後部表面は、前記アイロン(1)が前記ソール(10)の後縁の周りに傾動したとき、水平面にほぼ平らに載ることを特徴とする家電装置。
【請求項2】
前記開口部(15)は前記ハンドル(12)の前記後端部付近に配置されることを特徴とする請求項1に記載の家電装置。
【請求項3】
前記アイロン(1)は、前記ハンドル(12)からの引出口で前記コード(3)を
所定の向きに保持するコード案内部品(4)を前記開口部(15)レベルに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の家電装置。
【請求項4】
前記コード案内部品(4)によって強制される向きは、前記掛け面を下にして前記アイロン(1)を平らに置いたときに前記コード(3)が正の傾斜をなす方向に延びて前記開口部(15)から引き出され
、前記ハンドル(12)の後方に向かって傾斜するようになるものであることを特徴とする請求項3に記載の家電装置。
【請求項5】
前記コード(3)は、前記コード案内部品のレベルで、前記掛け面を下にして前記アイロン(1)を平らに置いたときに水平に対して20°から70°の間の傾きを持つことを特徴とする請求項4に記載の家電装置。
【請求項6】
前記コード(3)は前記アイロン(1)の後方に傾斜していることを特徴とする請求項5に記載の家電装置。
【請求項7】
前記コード(3)は電気ケーブルおよび流体を運ぶための管を内蔵することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の家電装置。
【請求項8】
前記家電装置は、ベース(2)を備え、前記コード(3)は前記アイロンを
前記ベース(2)とつなぐことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の家電装置。
【請求項9】
前記ベース(2)は前記アイロン(1)を休止位置に置くための置き場(24)を有しており、その位置で前記アイロン(1)の前記ソール(10)は前記置き場(24)に載置され、さらにその位置で前記ハンドル(12)の前記後端部は前記ベース(2)に支えられ、前記ベース(2)は前記アイロン(1)をそのハンドル(12)で握持するために手の指を通すことができるだけの空間が前記ハンドル(12)の
前記下面の下方に生まれるような形状を有することを特徴とする請求項8に記載の家電装置。
【請求項10】
前記置き場(24)は凹形状をなすことを特徴とする請求項9に記載の家電装置。
【請求項11】
前記ベース(2)は、前記ベース(2)に対する前記アイロン(1)の係止手段であって、前記ハンドル(12)の前記後端部と協働するようにした固定ブロック要素(27)と、前記ハンドル(12)の反対側に位置する前記本体(11)の一部に押しつけられるようにした可動ブロック要素(28)であって、前記アイロン(1)を前記ベース(2)から取り出すことができる引込み位置と、前記アイロン(1)が前記置き場(24)に係止される係止位置との間で回転可動なブロック要素とからなる係止手段を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の家電装置。
【請求項12】
前記固定ブロック要素は、前記ハンドル(12)の前記後端部がその下に係合するようにした横材(27)からなることを特徴とする請求項11に記載の家電装置。
【請求項13】
前記ソール(10)は15cm未満の長さと10cm未満の幅を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の家電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体を載せた平坦な掛け面を有するソールと、ソールに対して片持ちに配置された把持ハンドルとを備えるアイロン掛け家電装置に関し、より詳細には、ハンドルに設けられた開口部を通して電源コードがアイロンから引き出される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、発熱ソールを備えるアイロンと、電源コードによってアイロンとつながれたベースとを備えるアイロン掛け装置であって、アイロンはソールに対して片持ちで配置された把持ハンドルを備える装置が知られている。この文献では、コードはハンドルの裏側のハンドルの後端部付近に設けられた開口部を通してアイロンから引き出されて、ハンドルからの引出口でコードが下方に延びるようにされている。そのため、重力の作用でコードがアイロン台の縁とこすれ、アイロンの移動時に洗濯物にしわが寄る危険が大きい。さらに、アイロン台に直接置いたとき、アイロンはコードの重みによって下向きの引張力を受けるために不安定で、その引張力によってアイロンはソールの後縁の周りに傾動し、さらにアイロン台の縁まで引っ張られることになりがちで、アイロンがアイロン台から落下して破損する危険が大きいという不都合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】仏国特許出願公開第2929298号明細書
【文献】仏国特許出願公開第1452469号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、本発明の目的の1つは、片持ちハンドルを具備したアイロンをコードがさほど邪魔にならずに利用することができ、さらにアイロン台に安定して置くことができる人間工学的に改善されたアイロン掛け装置を提案することによってそれらの不都合を是正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、アイロンを含むアイロン掛け家電装置であって、アイロンが本体を載せた平坦な掛け面を有するソールと、本体につながる前端部を有する把持ハンドルと、ハンドルに設けられた開口部を通してアイロンから引き出される電源コードとを備え、ハンドルがソールに対して片持ちに配置されて自由後端部を有する家電装置において、開口部はハンドルの上面に設けられることを特徴とする家電装置を対象とする。
【0006】
上面とは、ハンドルの上半分にあるハンドルのすべての表面をいう。
【0007】
このような装置は、コードが上方に引き出されることにより、コードがアイロンの近くで洗濯物とこすれるのを防ぐことができるため、非常に優れた人間工学的な使い勝手を提供するという利点を有する。さらに、コードが上方に引き出されることで、コードがハンドルの裏側でからむことも防ぐことができ、それによってハンドルの後端部をアイロン台に直接置くことが可能となってアイロンをアイロン台の上に置いたときに安定した支えを得ることができるとともに、コードの重みによってかかる引張力の作用を受けてアイロンがソールの後縁の周りに傾動することもできる。
【0008】
本発明の別の特徴によれば、ソールの平面に対してハンドルの正射影をとったとき、ハンドルの長手方向にハンドルの少なくとも4分の3はソールよりも外に張り出す。
【0009】
本発明の装置の別の特徴によれば、アイロンは、アイロンのソールが水平面上で平らにされたとき、コードの重みによる引張力の作用を受けてソールの後縁の周りに自動的に傾動する。
【0010】
本発明による装置の別の特徴によれば、開口部はハンドルの後端部付近、好ましくは後端部から3cm以内に配置される。
【0011】
このような特徴は、ユーザの手全体でつかむことのできるハンドルの有効表面を最適化することができる。
【0012】
本発明の別の特徴によれば、ハンドルに対して横断方向の断面による断面図で見たとき、開口部はハンドルの頂部に設けられる。
【0013】
このようなハンドル頂部の開口部は、アイロンの長手方向軸上にコードの引出口を設けることで、左利きにも右利きにも同じ人間工学的な使い勝手を提供することが可能である。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、アイロンは、ハンドルからの引出口でコードを好ましい向きに保持するコード案内部品を開口部レベルに備える。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、コード案内部品によって強制される向きは、掛け面を下にしてアイロンを平らに置いたときにコードが正の傾斜をなす方向に延びて開口部から引き出されるようになるものである。
【0016】
このような技巧的特徴はハンドルからの引出口でコードを上方向に保持することを可能にするもので、それによってコードがその自重によって垂れ下がってくる位置をアイロンからできるだけ遠ざけることができ、それによってアイロン掛け作業時にコードが洗濯物に触れるのを防ぐことができる。
【0017】
本発明の別の特徴によれば、コードは、コード案内部品のレベルで、掛け面を下にしてアイロンを平らに置いたときに水平に対して20°から70°の間、好ましくは約45°の傾きを持つ。
【0018】
このようなコードの傾きはコードが垂れ下がってくる位置とアイロンとの距離を最適化することを可能にする。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、コード案内部品はエラストマー製の補強シースを備える。
【0020】
このようなコード案内部品はその実現が単純かつ経済的であるという利点を有する。
【0021】
本発明の別の特徴によれば、コードはアイロンの後方に傾斜している。
【0022】
このような特徴は、コードがその自重によって垂れ下がってくる位置をアイロンのできるだけ後方に離すことができる。
【0023】
本発明の別の特徴によれば、ハンドルの後端部は斜めに切り取られ、ハンドルはソールの掛け面の平面との間に鈍角αをなす傾斜した平坦な後部表面を有する。
【0024】
このような特徴は、ソールの後端がアイロン台に支えられるようにしてアイロンがアイロン台に置かれたときのアイロンの安定性を最適化させるという利点を有する。
【0025】
本発明の別の特徴によれば、コードは電気ケーブルおよび/または流体を運ぶための管を内蔵する。
【0026】
本発明の別の特徴によれば、コードはアイロンをベースとつなぐ。
【0027】
本発明の別の特徴によれば、ベースはアイロンを休止位置に置くための置き場を有しており、その位置でアイロンのソールは置き場に載置され、さらにその位置でハンドルの後端部はベースに支えられ、ベースはアイロンをそのハンドルで握持するために手の指を通すことができるだけの空間がハンドルの裏側に生まれるような形状を有する。
【0028】
このような特徴は、アイロンをごく安全な状態で定置するための専用の置き場を具備したベースを備える装置を提案することで人間工学的な使い勝手を一段と高めるという利点を有する。
【0029】
本発明の別の特徴によれば、置き場は凹形状をなす。
【0030】
このような置き場には、アイロンを置き場に案内して自動的に正しく位置決めするのに役立つくぼんだ形を有するという利点がある。
【0031】
本発明の別の特徴によれば、ベースは、ベースに対するアイロンの係止手段であって、ハンドルの後端部と協働するようにした固定ブロック要素と、ハンドルの反対側に位置する本体の一部に押しつけられるようにした可動ブロック要素であって、アイロンをベースから取り出すことができる引込み位置と、アイロンが置き場に係止される係止位置との間で回転可動なブロック要素とからなる係止手段を備える。
【0032】
このようなブロック手段は、アイロンのハンドルをつかんで装置全体を運搬できるようにするための置き場へのアイロンの係止を可能にする。
【0033】
本発明の別の特徴によれば、固定ブロック要素は、ハンドルの後端部がその下に係合するようにした横材からなる。
【0034】
このような技巧的解決法は、アイロンを置き場に納める際にも、そこから取り出す際にも人間工学的な使い勝手のよさを提供しつつ、その実現が単純かつ経済的であるという利点を有する。
【0035】
本発明の別の特徴によれば、ソールは尖った前端を有する。
【0036】
本発明の別の特徴によれば、ソールは15cm未満の長さと10cm未満の幅を有する。
【0037】
このような特徴は、ソールの小さめの寸法によってアイロン仕事の際にアイロンを非常に取り回しのよいものとすることができる。
【0038】
本発明の目的、態様および利点については、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として示す本発明の具体的実施形態に関する以下の説明によってよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の具体的実施形態によるアイロン掛け装置の斜視図であって、ブロックアーチを係止位置で示した斜視図である。
【
図2】アイロンがベースから持ち上げられ、ブロックアーチが引込み位置にあるときの
図1の装置の斜視図である。
【
図4】ソールを水平面に平らに置いた状態の
図4のアイロンの側面図である。
【
図5】ソールをその後縁の回りに倒した状態の
図4のアイロンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の理解に必要な要素のみを図示してある。図面を読み取りやすくするため、同じ要素には図面間で同じ符号を与えてある。
【0041】
図1、
図2および
図6は、従来のように、アイロン1と、アイロン1にコード3でつながれた可搬型ベース2であって、電気ケーブル(図示せず)によって家庭用電源に電気的に接続されたベース2を備えるアイロン掛け装置を表している。
【0042】
ベース2は、アイロン台のような水平な表面に平らに置くことが意図された下面22と、取り外し可能なタンク20と、
図6に模式的に破線で示したポンプ21であって、タンク20内の水を汲み出してコード3に仕込まれたチューブを通してアイロン1に送り出すポンプ21とを備える。
【0043】
図3に示すとおり、アイロン1は本体11を載せた平坦なソール10を備え、さらにアイロン1は本体11に取り付けられた前端部と本体11から横に突き出た自由後端部とを有する把持ハンドル12を備える。ハンドル12はソール10に対して片持ちとなるように設けられて有利には約12cmの長さを有し、本体11およびハンドル12は注型によって得られるプラスチック材料の一体部品として製作されることが好ましい。
【0044】
本体11には自明なように鋳造品(図示せず)が内蔵されており、その鋳造品は、ソール10と熱的に接触する一方、ソール10の温度を約135°Cの指令温度に維持することのできる調節不能なサーモスタットによって調整される発熱抵抗体を備える。
【0045】
鋳造品は有利にはアルミニウム製であり、タンク20を出た水がポンプ21によってその中に噴射される瞬間蒸発室を備え、ポンプ21の動作はハンドル12の前端部の裏側に配設された引き金13によって操作される。ポンプ21および蒸発室は、有利には、引き金13を引いたときに連続的に毎分約25gの蒸気流量を発生させることができるように設計される。
【0046】
蒸発室で発生した蒸気は、ソール10の平坦な掛け面に設けられてV字形に配置された2つの溝に開口する蒸気出口穴14から放出される。ソール10は有利にはステンレス鋼製で、ハンドル12とは反対側に配置された尖った前端10Aと、ソール10が最も幅広となる部位である丸みを帯びた後端10Bとを備える。
【0047】
有利には、アイロン1はきわめて取り回しのよいものとなるように、ソール10は15cm未満、好ましくは約14cmの長さと、10cm未満、好ましくは約8cmの幅とを有する。
【0048】
図4のとおり、コード3はハンドル12の上面に設けられた開口部15を通してアイロン1から引き出され、開口部15は好ましくはハンドル12の後端部からわずかに手前に、たとえば1~2cm程度の距離に配置される。
【0049】
開口部15には、有利には、コード3を包み込み、好ましい方向Dに沿って開口部15でコード3を保持するコード案内部品4が取り付けられる。
【0050】
ここに図示した具体的実施形態では、コード案内部品は、ソール10の掛け面を下にしてアイロン1を平らに置いたときに水平面Hに対して約45°の角度βをなす方向Dに沿ってコード3をハンドル12の後方に傾けて保持するエラストマー製の補強シース4からなる。
【0051】
ハンドル12の後端部は有利には切り取られた形状をなし、
図5に示すようにソール10の平面との間に約145°の鈍角αをなすV字形を形成する後部表面12Aを含む。
【0052】
図2のとおり、ベース2の最上部には、アイロン掛け中断時やアイロン1を仕舞うときにアイロン1を休止位置でその上に置くことができる凹形の置き場24がある。
【0053】
この置き場24は、V字形に配置された前方面24Aと後方面24Bからなる底を持ち、前方面24Aはアイロン1のソール10を受けることが意図された突起支承部25を備え、後方面24Bはハンドル12の平坦な後部表面12Aを受けることが意図されており、その後部表面12Aはソール10が前方面24Aに載せられたときに後方面24Bに対して平らに載るように適合された傾きを持つ。
【0054】
置き場24は、後方面24Bの後端の縁に、また後方面24Bおよび前方面24Aの側辺沿いにも、高さ方向に延びる外周壁24Cをさらに備える。この外周壁24Cは置き場24上でアイロン1のソール10を横に案内し、アイロン1が置き場24上で休止位置に置かれたときにハンドル12の後端部が衝止される障害物をなす。
【0055】
好ましくは、外周壁24Cは、ベース2の後端レベルに後方面24Bの上に延びるブロック横材27を備えており、アイロン1が置き場24上で休止位置に置かれるとハンドル12の後端部がそのブロック横材27の下に係合する。
【0056】
図1および
図2のとおり、ベース2の前端は有利には、前方面24Aの縁に枢動可能に取り付けられて置き場24の前端付近に配置された三角形のブロックアーチ28を備える。
【0057】
アーチ28は、
図2に示すように、アーチ28が置き場24の縁で前方面24Aと平行に配置される引込み位置と、
図1および
図6に示すように、アーチ28がソール10の先端部の上で本体11を押えつける係止位置との間で枢動することができる。
【0058】
ベース2は、自明なように、引込み位置と係止位置との間の中間位置を通過するときに向きが反転する復帰トルクをアーチ28に対して与える復帰手段(図示せず)を内蔵しており、復帰トルクは、アーチ28が引込み位置の近くにあるときはアーチ28を引込み位置に戻し、アーチ28が係止位置の近くにあるときはアーチ28を係止位置に戻す。このような復帰手段は、出願人によって出願された特許文献2にさらに詳しく示されている。
【0059】
こうして製作されたアイロン掛け装置は、非常に優れた人間工学的な使い勝手をもたらすという利点を有する。
【0060】
実際、コードがハンドルの上面から引き出され、なおかつ上方を向いていることで、アイロンの近くではコードを高く保持することができ、それによってコードが、特にアイロン台の縁にこすれるなどして、洗濯物と干渉し、洗濯物にしわが寄るのを防ぐことができる。
【0061】
さらに、こうして製作されたアイロンは、本体の一方の側に片持ちで設けられてソールの動きを増幅することができるハンドルの存在と、ソールが小さめであることによって得られるアイロンの軽さとのおかげで非常に取り回しがよいという利点を有する。
【0062】
このような装置は、アイロン掛けの中断時にユーザがアイロン台にアイロン1を直接置こうとした場合に安定性が向上し、それによって落下の危険の少ないアイロン1が得られるという利点もある。
【0063】
実際、ハンドル12の上面からコード3を引き出すことで空けられたハンドル12の後端部は、コード3の重みによってかかる引張力の作用でアイロン1がソール10の後縁の周りに傾動したときには、
図5に示すようにアイロン台の水平面Hに直接載ることができる。また、ハンドル12の後部表面12Aの傾きはハンドル12が水平面Hにほぼ平らに載ることを可能にするものであり、傾きのわずかな差はアイロン台を覆うために通常使用されるメルトンがつぶれることによって埋め合わされる。
【0064】
ユーザはアイロン掛けの中断時にアイロン1をベース2の置き場24で休止位置に置くことを選択することもでき、その操作は、ハンドル12の後端部を後方面24Bに対してベース2の後方に滑らせてハンドル12がブロック横材27の下に係合して外周壁24Cで衝止されるところまで持って行くという、きわめて人間工学にかなった形で果たされる。ユーザはそこでアイロン1を放すか、または手の動きを添えることで、アイロン1が自重で前方に枢動するように、そしてソール10が前方面24Aの支承部の上に載るようにするだけでよい。
【0065】
図1および
図2に示すように、アイロン1がベース2上で休止位置にあるとき、アイロン1は安定的に定置されており、ハンドル12の後端部レベルに支点が確保されるため、後方に転倒する危険はない。さらに、その際、ユーザが指を差し込んで手全体でハンドル12を容易につかむことができる空間がハンドル12の裏側に生まれる。
【0066】
最後に、こうして製作された装置は、アイロン1をベース2に固定して、装置全体をアイロン1のハンドル12で運ぶことができるという利点がある。
【0067】
実際、アイロン1は、ブロックアーチ28を
図2に示すような引込み位置から
図1に示すような係止位置まで傾動させてアーチ28をアイロン1の本体11に押しつけるようにすることによって、ベース2上で容易に休止位置に係止することができる。この係止位置では、アーチ28の復帰手段がアイロン1をベース2の後方に押しやるように力を及ぼすことでブロック横材27の下へのハンドル12の係合によってアイロン1の後端が係止される一方で、アイロン1の前端がアーチ28によって係止される。
【0068】
本発明が、もっぱら例としてのみ掲げて説明し、図示した実施形態だけにいささかも限定されるものでないことは言うまでもない。様々な要素の構成という観点からの変更や、等価の技術による置換えによる変更などは、それによって本発明の保護対象領域から外れることなくなお可能である。
【0069】
そのため、ここに示されていない変形実施形態では、ベースは、加圧蒸気を発生させるための容器を備え、コードにはアイロンに蒸気を運ぶための管が含まれるものであってよいだろう。
【0070】
そのため、ここに示されていない変形実施形態では、装置はアイロンを置くためのベースを取り去ったものであることができよう。その変形実施形態では、ハンドルの後端部の後部表面は、有利には、アイロンがコードの引張力の作用でソールの後縁の周りに傾動したときに後部表面がアイロン台に完璧に平らに載るように適合された傾きを持つものとされよう。