(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】内視鏡装置、内視鏡装置の作動方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20220214BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220214BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
A61B1/045 630
A61B1/045 632
G02B23/24 B
H04N7/18 M
(21)【出願番号】P 2018003733
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100086379
【氏名又は名称】高柴 忠夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】浜田 裕介
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-117486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0091176(US,A1)
【文献】特開2017-192115(JP,A)
【文献】特開2016-049260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御部は、
前記制御パラメータの変動頻度を検出し、前記制御パラメータの変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記制御パラメータの変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記制御パラメータの変動に周期性を有すると判定するとき、現時点までの周期における前記制御パラメータの平均値を現時点の前記制御パラメータとして定める
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御部は、
前記輝度の変動頻度を検出し、前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記輝度の変動に周期性を有すると判定するとき、前記輝度の現時点までの周期における平均値が前記目標値に近づくように前記制御パラメータを決定する
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御部は、
前記制御パラメータの変動頻度を検出し、前記制御パラメータの変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記制御パラメータの変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記制御パラメータの変動に周期性を有しないと判定するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定める
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御部は、
前記輝度の変動頻度を検出し、前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記輝度の変動に周期性を有しないと判定するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定める
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記追従性を低下させるとき、前記制御パラメータの変化量を少なくする
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記追従性を低下させるとき、前記制御パラメータの変化を開始させない輝度の範囲を大きくする
請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御部は、
前記制御パラメータの変動頻度を検出し、
前記制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度以下であるとき、前記輝度の変動頻度を検出し、
前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記輝度の変動に前記周期性を有すると判断するとき、前記輝度の現時点までの周期における平均値が前記目標値に近づくように前記制御パラメータを決定し、
前記輝度の変動に前記周期性を有しないと判定するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定める
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御部は、
前記制御パラメータの変動頻度を検出し、
前記制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度以下であるとき、前記輝度の変動頻度を検出し、
前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記輝度の変動に前記周期性を有すると判断するとき、前記輝度の現時点までの周期における平均値が前記目標値に近づくように前記制御パラメータを決定する
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御部は、
前記制御パラメータの変動頻度を検出し、
前記制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度以下であるとき、前記輝度の変動頻度を検出し、
前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記輝度の変動に前記周期性を有しないと判定するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定める
ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記挿入部の動作を検出するとき、
前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性に維持して前記制御パラメータを定める
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備える内視鏡装置の作動方法であって、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、
前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、
前記制御パラメータの変動頻度を検出し、
前記制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度以下であるとき、前記輝度の変動頻度を検出し、
前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定し、
前記輝度の変動に前記周期性を有すると判断するとき、前記輝度の現時点までの周期における平均値が前記目標値に近づくように前記制御パラメータを決定し、
前記輝度の変動に前記周期性を有しないと判定するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定める
ことを特徴とする内視鏡装置の作動方法。
【請求項12】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
を備える内視鏡装置のコンピュータに、
前記画像の輝度を評価する手順と、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定する手順と、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出する手順と、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含む手順と
を実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記制御パラメータの変動頻度を検出させ、
前記制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度以下であるとき、前記輝度の変動頻度を検出させ、
前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定させ、
前記輝度の変動に前記周期性を有すると判断するとき、前記輝度の現時点までの周期における平均値が前記目標値に近づくように前記制御パラメータを決定させ、
前記輝度の変動に前記周期性を有しないと判定するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定めさせる
プログラム。
【請求項13】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
を備える内視鏡装置のコンピュータに、
前記画像の輝度を評価する手順と、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定する手順と、
前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出する手順と、
前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含む手順と
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
前記制御パラメータの変動頻度を検出させ、
前記制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度以下であるとき、前記輝度の変動頻度を検出させ、
前記輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記輝度の変動に周期性を有するか否かを判定させ、
前記輝度の変動に前記周期性を有すると判断するとき、前記輝度の現時点までの周期における平均値が前記目標値に近づくように前記制御パラメータを決定させ、
前記輝度の変動に前記周期性を有しないと判定するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定めさせる
記憶媒体。
【請求項14】
被写体の画像を生成する撮像素子と、
前記撮像素子を備えた挿入部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像の輝度を評価し、
前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、
少なくとも前記輝度と前記制御パラメータの一方の変動頻度を検出し、前記少なくとも前記輝度と前記制御パラメータの一方の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記少なくとも前記輝度と前記制御パラメータの一方の変動の周期性を検出し、
前記少なくとも前記輝度と前記制御パラメータの一方の変動に周期性を有しないと判断するとき、前記輝度の前記目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて前記制御パラメータを定める
ことを特徴とする内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置、内視鏡装置の作動方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は、医療分野に限らず産業分野において広く利用されている。内視鏡装置は、細長の挿入部を備え、航空機をはじめとする輸送機器、その他の機器や構造物の内部における損傷、腐食等の観察、検査等のために用いられる。一般に被写体は様々であるため、内視鏡装置には、自動露光(AE:Automatic Exposure)制御機構が搭載されているものがある。AE制御は、観察条件に応じて画像の明るさを調整する処理であり、撮像される画像の明るさと目標の明るさとの差分に基づいて明るさの制御パラメータを定めるフィードバック制御を含む。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の内視鏡装置は、カメラの動きに応じて露光時間と感度を切り替える。より具体的には、カメラの動きを検出するとき、1フレームの画像を表示するまでの間に複数の画像を読み出す。このことにより、急激な輝度変化に対する追従性が向上し、より品位の高い画像を取得する。
特許文献2に記載の内視鏡装置では、ハンチングを検出するときAE制御を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-188644号公報
【文献】特開2002-325729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、AE制御の実行中において、観察対象の被写体が周期的に動作するために、その被写体を表す画像の明るさが周期的に変動することがある。かかる現象は、例えば、工業用内視鏡を用いて発電所内でガスタービンエンジンのタービンブレードを回転させながら撮影した画像に表れることがある。また、挿入部をエンジン空間などの空洞部に挿入するとき、先端に取り付けられたカメラが壁面に近づけたり遠のけたりすることで、撮像された画像の急激な明るさの変動が繰り返されることがある。撮像された画像には、明るさの変化を本来伴わない部分が含まれても、その部分の明るさも変動することとなる。このような明るさの変動は、ユーザにとり、わずらわしく、疲労感をもたらすことがある。
【0006】
また、特許文献1に記載の内視鏡装置のようにAE制御の追従性を向上しても、カメラへの入射光量の急激な変化が繰り返し発生する状況下では、撮像される画像において各部分の明るさの急激な変化が繰り返し発生することには変わりはない。
また、特許文献2に記載の内視鏡装置では、AE制御を停止した後、輝度のレベルがさらに変化しても、その輝度のレベルの変化に追従することができない。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、入射光量の変化が繰り返し発生する状況においても、より快適に明るさを制御することができる内視鏡装置、内視鏡装置の作動方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、被写体の画像を生成する撮像素子と、前記撮像素子を備えた挿入部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像の輝度を評価し、前記輝度が予め定められた目標値に近づくように前記輝度の制御パラメータを設定し、前記輝度と前記制御パラメータの両方の変動状況を検出し、前記変動状況に基づいて、前記制御パラメータを定め、前記変動状況は前記輝度と前記制御パラメータの変動頻度と、前記輝度と前記制御パラメータの周期性とを含み、前記制御部は、前記制御パラメータの変動頻度を検出し、前記制御パラメータの変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、前記制御パラメータの変動に周期性を有するか否かを判定し、前記制御パラメータの変動に周期性を有すると判定するとき、現時点までの周期における前記制御パラメータの平均値を現時点の前記制御パラメータとして定めることを特徴とする内視鏡装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入射光量の変化が繰り返し発生する状況においても、より快適に明るさが制御される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る内視鏡装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る撮像制御の例を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態による輝度制御の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態による輝度制御の他の例を示す図である。
【
図6】本実施形態による輝度制御のさらに他の例を示す図である。
【
図8】本実施形態による追従性の制御例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内視鏡装置1の構成例を示すブロック図である。
本実施形態に係る内視鏡装置1は、挿入部10と、本体部11とを含んで構成される。挿入部10は、被写体の内部に挿入され、少なくとも被写体の内部の画像を取得する。被写体の種類は、特に限定されない。被写体は、例えば、エンジン、タービン、ボイラ、などの産業用機器であってもよいし、生体であってもよい。挿入部10は、屈曲可能であり細長い管状の形状を有する。挿入部10の長さは、例えば、1~30mである。
【0012】
挿入部10は、その先端部において、CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)撮像素子104、対物レンズ105、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)106、サーミスタ107、加速度センサ108、ワイヤー固定部109、ワイヤー連結部124および着脱コネクタ134を備える。挿入部10の長手方向には、4本の湾曲用ワイヤー126が挿通されている。
【0013】
CCD撮像素子104は、被写体からの光を光電変換する。CCD撮像素子104の撮像面には、画素ごとに受光素子が配列され、各受光素子は到来した光の強度に応じた電圧を生じる。CCD撮像素子104は、本体部11から入力される駆動信号が指示するタイミングに基づいて、光電変換により得られる電圧値から画素ごとの信号値を示す撮像信号を生成する。生成された撮像信号は、被写体の画像を示す。CCD撮像素子104は、生成した撮像信号を本体部11に出力する。
【0014】
対物レンズ105は、挿入部10の先端部に入射する光を収束し、被写体の像をCCD撮像素子の撮像面に結像する。対物レンズ105は、当該先端部の受光窓(図示せず)に対向して配置される。
【0015】
LED106は、本体部11から供給される駆動電力に基づいて光を発光する光源である。LED106は、発光した光を被写体に照射する。
【0016】
サーミスタ107は、挿入部10の先端部における温度を検出する温度センサである。サーミスタ107は、検出した温度を示すサーミスタ信号を生成し、生成したサーミスタ信号を本体部11に出力する。
【0017】
加速度センサ108は、挿入部10の先端部における加速度を検出する。加速度センサ108は、例えば、3軸加速度センサである。3軸加速度センサは、3次元空間における互いに直交する3方向のそれぞれの加速度を検出する。加速度センサ108は、検出した加速度を示す加速度信号を本体部11に出力する。
【0018】
ワイヤー固定部109は、挿入部10の先端部に設置されている。ワイヤー固定部109には、4本の湾曲用ワイヤー126の先端が、挿入部10の長手方向に直交する2軸方向に交互に傾動可能に接続されている。2軸のそれぞれの方向は、相互に直交する。2軸の方向には、UD(Up-Down)方向とRL(Right-Left)方向がある。UD方向、RL方向は、撮像面に配列された画素の垂直方向、水平方向に相当する。UD、RL方向の湾曲に係る各2本の湾曲用ワイヤーを、それぞれUD、RLワイヤーと呼ぶ。
【0019】
ワイヤー連結部124は、挿入部10の基端部に設置されている。ワイヤー連結部124は、本体部11が備えるワイヤー連結部125との連結時において、ワイヤー連結部125による牽引に応じて、各湾曲用ワイヤー126を挿入部10の長手方向に牽引する。
【0020】
着脱コネクタ134は、挿入部10の基端部に設置されている。着脱コネクタ134は、本体部11が備える着脱コネクタ135と着脱可能な機構を備える。着脱コネクタ134は、例えば、着脱コネクタ135と相互に嵌合する形状を有する。
【0021】
なお、挿入部10には、撮像制御信号、撮像信号、駆動電力、サーミスタ信号および加速度信号のそれぞれを伝送する接続ケーブルが挿通されている。これらの接続ケーブルは、着脱コネクタ134が本体部11の着脱コネクタ135に装着されているときに、それぞれの送信元ならびに送信先の構成要素と電気的に接続される。これらの接続ケーブルは、例えば、複合同軸線である。着脱コネクタ134、135は、各接続ケーブルの基端と電気的に接続する接点を備える。
【0022】
本体部11は、挿入部10の基端部と当接されうる端部にワイヤー連結部125と着脱コネクタ135を備える。本体部11は、システム制御部110、ユーザインタフェース部111、記憶媒体112、パラメータ記憶部113、タイミングジェネレータ114、CCDドライブ回路115、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)118、LED駆動回路119、湾曲制御部121、UD湾曲モータ122、RL湾曲モータ123、プリアンプ136、AFE(Analog Front End)137および画像処理部140を含んで構成される。
【0023】
システム制御部110は、内視鏡装置1の全体の動作制御を行う構成要素である。システム制御部110には、ユーザインタフェース部111、記憶媒体112、パラメータ記憶部113、CCDドライブ回路115、LCD118、LED駆動回路119、湾曲制御部121、着脱コネクタ135の接点および画像処理部140と接続されている。システム制御部110は、ユーザインタフェース部111から入力された操作信号、パラメータ記憶部113に記憶された各種のパラメータなどに基づいて、内視鏡装置1の各構成要素の動作を制御する。システム制御部110は、例えば、LED106の点灯/消灯制御、CCD撮像素子104の撮像動作制御、湾曲制御部121の湾曲制御、温度検出制御、などがある。温度検出制御において、システム制御部110は、サーミスタ107から入力されるサーミスタ信号が示す現在の温度を示す情報をLCD118にLCDコントローラ110bを介して表示させる。また、システム制御部110は、パラメータ記憶部113に予め記憶した許容温度の上限または下限に基づいて、現在の温度が、その上限または下限から所定範囲内である場合、上限よりも高い場合または下限よりも低い場合、LCD118に所定の警告メッセージを表示させる。システム制御部110は、画像記録部110aとLCDコントローラ110bを含んで構成される。
【0024】
画像記録部110aは、ユーザインタフェース部111から入力された制御信号に基づいて、画像処理部140から入力される画像信号を記憶媒体112に記憶する。例えば、画像記録部110aは、制御信号で指示される記録開始時から記録終了時までの画像信号を記憶媒体112に記憶する。
【0025】
LCDコントローラ110bは、ユーザインタフェース部111から入力された制御信号に基づいて、画像処理部140から画像記録部110aを介して入力される画像信号をLCD118に出力する。これにより、LCD118は、画像処理部140が取得した各種の動画像、静止画像を表示することができる。静止画像を表示させる場合、LCDコントローラ110bは、その時点で取得されるフレームの画像信号を継続してLCD118に出力する。画像記録部110aは、静止画像として取得される画像信号を記憶媒体112に記録してもよい。LCDコントローラ110bは、その他、各種の表示情報を示す画像信号をLCD118に出力する。表示情報には、例えば、操作入力等に必要な情報の案内画面などがある。
【0026】
ユーザインタフェース部111は、操作部を含んで構成される。操作部は、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部は、例えば、ジョイスティック、操作スイッチ、操作ボタンなどの部材である。ユーザインタフェース部111は、受け付けた操作入力に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号をシステム制御部110に出力する。
【0027】
記憶媒体112は、画像信号を記憶する記憶媒体である。記憶媒体112には、例えば、画像処理部140により得られる動画像、静止画像などの画像を示す画像信号が記憶される。
【0028】
パラメータ記憶部113は、ユーザインタフェース部111への操作入力、画像処理部140が実行する各種の画像処理に用いる画像処理パラメータ、湾曲制御部121による湾曲制御に関する湾曲制御パラメータなど、ユーザの操作により変更される各種のパラメータを記憶する。また、パラメータ記憶部113には、非撮像信号の伝送路長とCCDドライブ回路115のドライブ処理のパラメータとの関係などが記憶されている。その他、パラメータ記憶部113は、画像処理部140によって得られた各種の値、データを記憶してもよい。
【0029】
タイミングジェネレータ114は、システム制御部110の撮像制御部147(後述)から入力された撮像制御信号に基づいてCCD撮像素子を駆動するタイミング信号を生成する。撮像制御信号には、画像処理部140から通知された露光時間などの情報が含まれる。露光時間は、各画素における露光開始から露光終了までの時間であり、シャッター速度の逆数に相当する。従って、露光時間が長いほど1回の読取で得られる信号レベルが高くなる。露光時間は、撮像される画像の明るさを制御するための制御パラメータとして用いられる。ここで、露光時間が長いほど輝度が高くなり、露光時間が短いほど輝度が低くなる。タイミングジェネレータ114は、生成したタイミング信号をCCDドライブ回路115に出力する。なお、撮像制御部147により露光時間の制御が行われない場合には、タイミングジェネレータ114は、予め自部に設定された露光時間を用いてタイミング信号を生成してもよい。
【0030】
CCDドライブ回路115は、タイミングジェネレータ114から入力されたタイミング信号と、システム制御部110からの制御信号に基づいて駆動信号を生成する。システム制御部110からの制御信号は、撮像動作制御を示す信号である。撮像動作制御として撮像開始、撮像停止、輝度調整などが指示される。CCDドライブ回路115は、生成した駆動信号をCCD撮像素子104に出力する。駆動信号により、フレームレート、各フレームにおいて信号レベルを取得する画素の順序、画素ごとの露光開始ならびに露光終了が指示される。
【0031】
LCD118は、システム制御部110から入力される画像信号に基づく画像を表示する画像表示部である。
【0032】
LED駆動回路119は、システム制御部110から入力される制御信号に基づいてLED106の点灯/消灯制御を行う。LED駆動回路119は、点灯が指示されるときLED106への駆動電力の供給を開始し、消灯が指示されるとき駆動電力の供給を停止する。
【0033】
湾曲制御部121は、システム制御部110から入力される制御信号に基づいてUD湾曲モータ122、RL湾曲モータ123の一方または両方を駆動する。制御信号は、例えば、ユーザインタフェース部111が検出した2方向の操作量のそれぞれに対応する湾曲方向ごとの湾曲量を示す。湾曲方向は、上述したUD方向、RL方向に相当する。湾曲制御部121は、制御信号が示すUD方向の湾曲量に対応する駆動量、RL方向の湾曲量に対応する駆動量をUD湾曲モータ122、RL湾曲モータ123に指示する。
【0034】
UD湾曲モータ122、RL湾曲モータ123は、それぞれの回転により湾曲制御部121が指示した駆動量でUDワイヤー、RLワイヤーをそれぞれ牽引する。
ワイヤー連結部125は、着脱コネクタ135が挿入部10の着脱コネクタ134に装着された状態であるとき、挿入部10のワイヤー連結部124に連結されたUDワイヤー、RLワイヤーを連結する。UDワイヤー、RLワイヤーは、UD湾曲モータ122、RL湾曲モータ123によって牽引される。これにより、ユーザの操作に応じて挿入部10の先端部が湾曲する。
【0035】
着脱コネクタ135は、挿入部10の基端部に当接にされる位置に設置されている。着脱コネクタ135は、挿入部10の着脱コネクタ134と着脱可能な機構を備える。着脱コネクタ135は、例えば、着脱コネクタ134と相互に嵌合する形状を有する。
【0036】
プリアンプ136は、CCD撮像素子104から入力される撮像信号を増幅し、増幅した撮像信号をAFE137に出力する。この増幅は、伝送により減衰した信号レベルを補うために行われる。
【0037】
AFE137は、プリアンプから入力されたアナログの撮像信号に対して、CDS(Correlated Double Sampling、相関二重サンプリング)処理、AGC(Automatic Gain Control、自動利得制御)処理およびAD(Analog-to-Digital、アナログ/ディジタル)変換処理を行ってディジタルの撮像信号を生成する。なお、AFE137には、撮像制御部147(後述)からゲインを示す撮像制御信号が入力される場合がある。その場合には、AFE137は、予め自部に設定されたゲインに代え、入力される撮像制御信号が示すゲインをアナログの撮像信号に乗じて、その信号レベルを調整する。AFE137は、振幅を調整したアナログの撮像信号に対してAD変換処理を行う。AFE137は、生成したディジタルの撮像信号を画像処理部140に出力する。
【0038】
画像処理部140は、黒補正部142、画素補間・輝度色差変換部143、補正処理部144、輝度評価部145および撮像制御部147を含んで構成される。
【0039】
黒補正部142は、入力された撮像信号が示す画素ごとの信号レベルから黒レベルを差し引いて補正後の信号レベルを算出する。黒補正部142は、黒レベルとして、例えば、LED106の消灯期間中における信号レベル、各フレームまたは所定の期間内における信号レベルの画素間の最低値などを用いてもよい。黒補正部142は、画素ごとの補正後の信号レベルを示す撮像信号を画素補間・輝度色差変換部143に出力する。
【0040】
画素補間・輝度色差変換部143は、黒補正部142から入力された撮像信号について画素補間処理を行う。入力される撮像信号は、画素ごとに赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色成分の信号レベルを有する。赤、緑、青に係る画素は、画素が2次元空間内で周期的に配列されている。この配列は、例えば、べイヤー配列である。以下、各1周期の色成分に係る画素の組を画素周期と呼ぶ。画素補間処理において、画素補間・輝度色差変換部143は、対象画素ごとに当該対象画素から所定範囲内に配置され、当該対象画素と同一の色成分に係る画素ごとの信号レベルを補間して当該対象画素の信号レベルを算出する。対象画素とは、その時点における処理対象の画素である。フレーム内の各画素が対象画素として扱われる。補間において、例えば、バイリニア補間、バイキュービック補間などの手法を用いることができる。
【0041】
画素補間・輝度色差変換部143は、補間により得られる色成分ごとの各画素の信号レベルについて色空間変換を行って、画素周期ごとの輝度レベル(Y)と2つの色差レベル(Cr)、(Cb)を算出する。つまり、画素補間・輝度色差変換部143は、色空間変換において、RGB表色系で表されたRGB値をYCrCb表色系で表されたYCrCb値に変換する。色空間変換において、例えば、ITU-R BT.601に規定の変換式を用いることができる。色差レベル(Cr)、(Cb)は、それぞれ赤系統、青系統の色の色相と彩度を示す。画素補間・輝度色差変換部143は、画素周期ごとの輝度レベルを示す輝度信号を補正処理部144、および輝度評価部145に出力する。画素補間・輝度色差変換部143は、画素周期ごとの2つの色差レベル(Cr)、(Cb)を示す色差信号を補正処理部144に出力する。
【0042】
補正処理部144は、画素補間・輝度色差変換部143から入力された輝度信号、2つの色差信号のそれぞれについて各種の補正処理を行う。補正処理には、例えば、ガンマ補正、収差補正、ノイズ軽減処理などが含まれる。ガンマ補正とは、入力された信号レベル(以下、「入力レベル」と呼ぶ)の1/γ乗を出力する信号レベル(以下、「出力レベル」と呼ぶ)として変換する処理である。ガンマ補正により、CCD撮像素子104における入力光量に応じた出力値の特性が補償される。γは、ガンマ値を示す。ガンマ値は、入力レベルの変化に対する出力レベルの変化の割合を示す。一般にガンマ値が大きいほどコントラストが高い画像が得られ、ガンマ値が小さいほどコントラストが低い画像が得られる。なお、撮像制御部147(後述)によりガンマ値が設定される場合には、補正処理部144は、設定されたガンマ値を予め自部に設定されたガンマ値に代え、入力レベルに作用して出力レベルに変換する。補正処理部144は、補正処理により得られた輝度信号、2つの色差信号のそれぞれについて、色空間変換を行って補正後の画素ごとの信号レベルを示す画像信号を生成する。つまり、補正処理部144は、色空間変換において、YCrCb表色系で表されたYCrCb値をRGB表色系で表されたRGB値に変換する。この色空間変換処理は、画素補間・輝度色差変換部143における色空間変換の逆変換に相当する。補正処理部144は、生成した画像信号をシステム制御部110に出力する。
【0043】
輝度評価部145は、画素補間・輝度色差変換部143から入力された輝度信号から各1フレームの画像全体の輝度を評価する。輝度評価部145は、輝度レベルの評価値として、例えば、輝度レベルの1フレーム内の画素周期間の平均値を算出する。輝度の評価値は、必ずしも平均値に限られず、1フレームの画像全体の輝度を代表する値であればよい。例えば、輝度評価部145は、中央重点型の評価値、画素周期間の中央値、最頻値のいずれを輝度の評価値として算出してもよい。中央重点型の評価値とは、画像の周縁部よりも中央部における輝度レベルを相対的に重視、もしくは、周縁部における輝度レベルを無視もしくは相対的に軽視して算出された評価値である。輝度評価部145は、算出した輝度の評価値を示す評価値情報をパラメータ記憶部113に記憶する。
【0044】
撮像制御部147は、フレーム毎に最新の評価値情報をパラメータ記憶部113から読み出し、読み出した評価値情報が示す評価値が示す輝度が所定の輝度の目標値に近づくように、その撮像された画像の輝度を制御するための制御パラメータを定める。ここで、撮像制御部147は、輝度の評価値と制御パラメータの一方又は両方の変動状況として、例えば、その一方又は両方の周期性や変動の頻度(以下、「変動頻度」と呼ぶ)を検出する。撮像制御部147は、その変動状況のケース毎に異なる手法で制御パラメータを定める。制御パラメータとして、露光時間、ゲインのいずれか一方もしくは双方を用いることができる。
【0045】
制御パラメータが露光時間である場合、撮像制御部147は、例えば、次の処理を行って露光時間を定めることができる。
(ケースC01)撮像制御部147は、その時点(現時点)までの所定期間内における露光時間の変動頻度が所定の露光時間の変動頻度の閾値よりも高く、かつ、露光時間の変動に周期性を有すると判定する場合、その時点までの最新の1周期内の露光時間の平均値を算出し、算出した平均値を露光時間の制御値として定める。変動頻度、周期性の検出例については後述する。
(ケースC02)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内における露光時間の変動頻度が所定の変動頻度の閾値よりも高く、かつ、露光時間の変動に周期性を有しないと判定する場合、AE制御により露光時間を定める。但し、撮像制御部147は、輝度の評価値を目標輝度に近づける際の追従性を所定の標準の追従性よりも低くしてAE制御を行う。AE制御における追従性の制御例については後述する。
【0046】
(ケースC03)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内における露光時間の変動頻度が所定の変動頻度の閾値以下であり、かつ、輝度の評価値の変動頻度が所定の評価値の変動頻度の閾値以下と判定する場合、AE制御により露光時間を定める。但し、その場合、撮像制御部147は、輝度の評価値を目標輝度に近づける際の追従性を所定の標準の追従性としてAE制御を行う。
【0047】
(ケースC04)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内における露光時間の変動頻度が所定の変動頻度の閾値以下であり、輝度の評価値の変動頻度が所定の評価値の変動頻度の閾値よりも高く、かつ、輝度の評価値の変動に周期性を有すると判定する場合、次のようにして露光時間を定める。撮像制御部147は、その時点までの最新の1周期内の輝度の評価値の平均値を算出し、算出した評価値の平均値を輝度の制御値として定める。そして、撮像制御部147は、定めた輝度の制御値が所定の輝度の目標値に近づくようにAE制御を行って露光時間を定める。
【0048】
(ケースC05)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内における露光時間の変動頻度が所定の変動頻度の閾値以下であり、輝度の評価値の変動頻度が所定の評価値の変動頻度の閾値よりも高く、かつ、輝度の評価値の変動に周期性を有しないと判定する場合、AE制御により露光時間を定める。その場合、撮像制御部147は、輝度の評価値を目標輝度に近づける際の追従性を所定の標準の追従性よりも低くしてAE制御を行う。
【0049】
なお、撮像制御部147は、フレーム毎に定めた露光時間を示す撮像制御信号をタイミングジェネレータ114に出力する。これにより、定めた露光時間がタイミングジェネレータ114に設定される。
【0050】
また、撮像制御部147は、ゲインについても、その変動頻度と変動の周期性、輝度の評価値の変動頻度と変動の周期性に基づいて該当するケースを露光時間と同様な手法で判定し、判定したケースに応じた方式でそのゲインを定めることができる。
(ケースC01)撮像制御部147は、現時点までの所定期間内におけるゲインの変動頻度が所定のゲインの変動頻度の閾値よりも高く、かつ、ゲインの変動に周期性を有すると判定する場合、その時点までの最新の1周期内のゲインの平均値を算出し、算出した平均値をゲインの制御値として定める。
(ケースC02)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内におけるゲインの変動頻度が所定の変動頻度の閾値よりも高く、かつ、ゲインの変動に周期性を有しないと判定する場合、AE制御により露光時間を定める。その場合、撮像制御部147は、輝度の評価値を目標輝度に近づける際の追従性を所定の標準の追従性よりも低くしてAE制御を行う。
【0051】
(ケースC03)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内におけるゲインの変動頻度が所定の変動頻度の閾値以下であり、かつ、輝度の評価値の変動頻度が所定の評価値の変動頻度の閾値以下と判定する場合、AE制御によりゲインを定める。その場合、撮像制御部147は、輝度の評価値を目標輝度に近づける際の追従性を所定の標準の追従性としてAE制御を行う。
【0052】
(ケースC04)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内におけるゲインの変動頻度が所定の変動頻度の閾値以下であり、輝度の評価値の変動頻度が所定の評価値の変動頻度の閾値よりも高く、かつ、輝度の評価値の変動に周期性を有すると判定する場合、その時点までの最新の1周期内の輝度の評価値の平均値を算出し、算出した評価値の平均値を輝度の制御値として定める。そして、撮像制御部147は、定めた輝度の制御値が所定の輝度の目標値に近づくようにAE制御によりゲインを定める。
【0053】
(ケースC05)撮像制御部147は、その時点までの所定期間内におけるゲインの変動頻度が所定の変動頻度の閾値以下であり、輝度の評価値の変動頻度が所定の評価値の変動頻度の閾値よりも高く、かつ、輝度の評価値の変動に周期性を有しないと判定する場合、AE制御によりゲインを定める。その場合、撮像制御部147は、輝度の評価値を目標輝度に近づける際の追従性を所定の標準の追従性よりも低くしてAE制御を行う。
撮像制御部147は、フレーム毎に定めたゲインを示す撮像制御信号をAFE137に出力する。これにより、定めたゲインがAFE137に設定される。
【0054】
(変動頻度の例)
次に、制御パラメータを定める条件を判定するための変動頻度の例について説明する。
撮像制御部147は、露光時間やゲインなどの制御パラメータの変動頻度として、例えば、その時点までの所定期間内における制御パラメータの変化傾向が増加から減少に変化する回数と、制御パラメータの変化傾向が減少から増加に変化する回数の合計回数を計数する。所定時間は、制御パラメータの変動周期として想定される変動周期よりも長い期間であればよい。
【0055】
より具体的には、撮像制御部147は、上記の制御パラメータを定める処理を画像のフレーム毎に行い、定めた制御パラメータをパラメータ記憶部113に記憶する。撮像制御部147は、その時点における最新のフレーム(以下、「現フレーム」と呼ぶ)における制御パラメータと、前フレームにおける制御パラメータとを比較し、制御パラメータの変化傾向として前フレームにおける制御パラメータから現フレームにおける制御パラメータが増加したか又は減少したかを判定する。そして、撮像制御部147は、所定期間内における変化傾向が増加から次に減少に転じたイベントと、変化傾向が減少から次に増加に転じたイベントとの合計回数を変動頻度として計数することができる。なお、撮像制御部147は、増加したか否かの判定において、制御パラメータの増加量が所定の増加量の閾値よりも大きい場合に制御パラメータが増加したと判定し、減少したか否かの判定において、制御パラメータの減少量が所定の減少量の閾値よりも小さい場合に制御パラメータが減少したと判定してもよい。これにより、制御パラメータの有意な変動に伴う上下変動の回数が変動頻度として計数されるので、制御パラメータに加わる誤差やノイズの影響が低減する。
【0056】
撮像制御部147は、輝度の代表値の変動頻度として、例えば、その時点までの所定期間内において輝度の代表値が所定の輝度の目標値よりも大きい状態から小さい状態に変化するイベントと、輝度の代表値が所定の輝度の目標値よりも大きい状態から小さい状態に変化するイベントとの合計回数を計数する。所定時間は、制御パラメータの変動周期として想定される変動周期よりも長い期間であればよい。
なお、撮像制御部147には、所定の輝度の目標値よりも大きい第2の目標値と、所定の輝度の目標値よりも小さい第3の目標値を予め設定しておいてもよい。そして、撮像制御部147は、輝度の代表値が所定の輝度の第3の目標値よりも小さい状態から次に第2の目標値より大きい状態に変化するイベント、第2の目標値よりも大きい状態から次に第3の目標値よりも小さい状態に変化するイベントの回数を変動頻度として計数してもよい。これにより、所定の目標値からの輝度の有意な変動に伴う上下変動の回数が変動頻度として計数されるので、輝度の目標値に加わる誤差やノイズの影響が低減する。
【0057】
(周期性の検出例)
次に、制御パラメータを定める条件を判定するための周期性の検出例について説明する。
撮像制御部147は、例えば、現時点までの所定期間内における制御パラメータについてフーリエ変換を行い、周波数ごとの強度を算出する。撮像制御部147は、算出した強度が所定の強度の閾値よりも大きくなる周波数が存在するとき、制御パラメータの時間変化に周期性を有すると判定し、そのような周波数が存在しないとき周期性を有しないと判定する。撮像制御部147は、周期性を有すると判定するとき、その周波数の逆数を変動周期として算出することができる。
周期性を検出する際、撮像制御部147は、現時点までの制御パラメータと、時間シフトした制御パラメータとの自己相関係数をシフト量毎に算出してもよい。そして、撮像制御部147は、自己相関係数が所定の自己相関係数の閾値よりも大きいシフト量が存在するとき、制御パラメータの時間変化に周期性を有すると判定し、そのようなシフト量が存在しないときは、周期性を有しないと判定する。撮像制御部147は、周期性を有すると判定するとき、そのシフト量を変動周期として定めることができる。
【0058】
また、撮像制御部147は、制御パラメータの変化が周期性を有すると判定するとき、さらに制御パラメータの振幅に定常性を有するか否かを判定してもよい。定常性の判定において、撮像制御部147は、例えば、周期性を有すると判定した区間において周期毎に制御パラメータの極大値と極小値を検出する。そして、撮像制御部147は、最新の周期(以下、「現周期」と呼ぶ)における極大値とその直前の周期(以下、「前周期」と呼ぶ)における極大値との差の絶対値が所定の差の閾値未満であり、かつ、現周期における極小値と前周期における極小値との差の絶対値が所定の差の閾値未満であるとき、定常性を有すると判定する。他方、撮像制御部147は、現周期における極大値と前周期における極大値との差の絶対値が所定の差の閾値以上であるか、現周期における極小値と前周期における極小値との差の絶対値が所定の差の閾値以上である場合、定常性を有しないと判定する。
【0059】
撮像制御部147は、上記のケースC01の判定条件として、制御パラメータの変化の周期性に対して、制御パラメータの振幅に定常性を有することを条件としてさらに課してもよい。つまり、さらに制御パラメータの振幅に定常性を有しない場合には、撮像制御部147は、ケースC02に準じて制御パラメータを定める。これにより、制御パラメータを1周期の平均値とするケースが、被写体の画像の輝度の変化が周期的かつ振幅が定常的である場合に限られ、被写体の画像の輝度の変化が周期的であっても振幅が非定常的である場合には、制御により得られる輝度の目標値への追従性が失われない。かかる条件判定は、発電所内のガスタービンエンジンのタービンブレードの画像である場合のように、被写体の動作に伴う輝度の変化が周期的かつ振幅が定常的である場合に好適である。
【0060】
なお、撮像制御部147は、輝度の評価値についても制御パラメータと同様な手法により周期性の有無を判定し、周期性を有すると判定する場合には、その周期を定めることができる。撮像制御部147は、輝度の評価値についても制御パラメータと同様な手法により振幅の定常性の有無を判定することができる。撮像制御部147は、上記のケースC04の判定条件として、輝度の評価値の周期性に対して、さらに輝度の評価値の振幅に定常性を有することを条件として課してもよい。つまり、さらに輝度の評価値の振幅に定常性を有しない場合には、撮像制御部147は、ケースC05に準じて制御パラメータを定める。
【0061】
(撮像制御)
次に本実施形態に係る撮像制御の例について説明する。次の説明では、制御パラメータとして、露光時間とゲインの一方又は両方が用いられる場合を例にする。
図2は、本実施形態に係る撮像制御の例を示すフローチャートである。
(ステップS102)輝度評価部145は、画素補間・輝度色差変換部143から入力された輝度信号に基づいてその時点で最新の1フレームの画像全体の輝度を示す輝度の評価値を算出し、算出した評価値を示す評価値情報、露光時間およびゲインをパラメータ記憶部113に記憶する。その後、ステップS104の処理に進む。
(ステップS104)撮像制御部147は、パラメータ記憶部113に記憶された制御パラメータ情報を参照し、その時点までの所定期間内における露光時間もしくはゲインの変更頻度を計数する。撮像制御部147が、変更頻度が所定の変更頻度の閾値よりも高いと判定するとき(ステップS104 YES)、ステップS106の処理に進む。撮像制御部147が、変更頻度が所定の変更頻度の閾値以下であると判定するとき(ステップS104 NO)、ステップS120の処理に進む。
【0062】
(ステップS106)撮像制御部147は、露光時間もしくはゲインの変動が周期性を有するか否かを判定する。撮像制御部147は、周期性を有すると判定するとき、さらに露光時間もしくはゲインの振幅に定常性を有するか否かを判定する。撮像制御部147は、露光時間もしくはゲインの変動が周期的であり、かつ振幅が定常的であると判定するとき(ステップS106 YES)、ステップS108の処理に進む。撮像制御部147は、露光時間もしくはゲインの変動が周期的ではない、もしくは周期的であっても振幅が定常的でないと判定するとき(ステップS106 NO)、ステップS130の処理に進む。
(ステップS108)撮像制御部147は、パラメータ記憶部113に記憶された制御パラメータ情報を参照し、その時点までの最新の1周期内の露光時間もしくはゲインの平均値を算出する。撮像制御部147は、算出した露光時間の平均値をタイミングジェネレータ114に設定する、もしくは、算出したゲインの平均値をAFE137に設定する。その後、ステップS110の処理に進む。
(ステップS110)撮像制御部147は、その時点までに記憶した評価値情報と露光時間もしくはゲインを示す制御パラメータ情報を消去(リセット)する。その後、ステップS112の処理に進む。
【0063】
(ステップS112)輝度評価部145は、画素補間・輝度色差変換部143から入力された輝度信号に基づいてその時点で最新の1フレームの輝度の評価値を算出する。輝度評価部145は、算出した評価値を示す評価値情報をパラメータ記憶部113に記憶し、撮像制御部147は、その時点で設定した露光時間もしくはゲインを示す制御パラメータ情報をパラメータ記憶部113に記憶する。その後、ステップS114の処理に進む。
(ステップS114)撮像制御部147は、パラメータ記憶部113を参照して、評価値を示す評価値情報と、露光時間もしくはゲインを示す制御パラメータ情報が少なくとも所定時間分記憶されているか否かを判定する。撮像制御部147は、少なくとも所定時間分記憶されていると判定するとき(ステップS114 YES)、ステップS102の処理に進み、処理対象のフレームを次のフレームに変更する。撮像制御部147は、所定時間分記憶されていないと判定するとき(ステップS114 NO)、ステップS112の処理に進み、処理対象のフレームを次のフレームに変更する。
【0064】
(ステップS120)撮像制御部147は、パラメータ記憶部113に記憶された評価値情報を参照し、その時点までの所定期間内における輝度の評価値の変更頻度を計数する。撮像制御部147は、変更頻度が所定の変更頻度の閾値よりも高いか否かを判定する。変更頻度が所定の変更頻度の閾値よりも高いと判定するとき(ステップS120 YES)、ステップS122の処理に進む。撮像制御部147が、変更頻度が所定の変更頻度の閾値以下であると判定するとき(ステップS120 NO)、ステップS140の処理に進む。
(ステップS122)撮像制御部147は、輝度の評価値の変動が周期性を有するか否かを判定する。撮像制御部147は、周期性を有すると判定するとき、さらに評価値の振幅に定常性を有するか否かを判定する。撮像制御部147は、評価値の変動が周期的であり、かつ振幅が定常的であると判定するとき(ステップS122 YES)、ステップS124の処理に進む。撮像制御部147は、評価値の変動が周期的ではない、もしくは周期的であっても振幅が定常的でないと判定するとき(ステップS122 NO)、ステップS130の処理に進む。
【0065】
(ステップS124)撮像制御部147は、パラメータ記憶部113に記憶された評価値情報を参照し、その時点までの最新の1周期内の輝度の評価値の平均値を算出する。撮像制御部147は、算出した評価値の平均値を輝度の制御値として定め、定めた輝度の制御値と所定の輝度の目標値に基づいてAE制御を実行して露光時間もしくはゲインを算出する。撮像制御部147は、算出した露光時間の平均値をタイミングジェネレータ114に設定する、もしくは、算出したゲインの平均値をAFE137に設定する。また、撮像制御部147は、算出した露光時間もしくはゲインを示す制御パラメータ情報をパラメータ記憶部113に記憶する。その後、ステップS102の処理に進み、処理対象のフレームを次のフレームに変更する。
【0066】
(ステップS130)撮像制御部147は、露光時間もしくはゲインを更新するための更新パラメータとして、通常の更新パラメータよりも追従性を低くするための低速用の更新パラメータを設定する。その後、ステップS150の処理に進む。
(ステップS140)撮像制御部147は、露光時間もしくはゲインを更新するための更新パラメータとして、通常の更新パラメータを設定する。その後、ステップS150の処理に進む。
【0067】
(ステップS150)撮像制御部147は、その時点において最新のフレームにおける評価値を輝度の制御値として定め、定めた輝度の制御値と所定の輝度の目標値に基づいてAE制御を実行して露光時間もしくはゲインを算出する。撮像制御部147は、算出した露光時間の平均値をタイミングジェネレータ114に設定する、もしくは、算出したゲインの平均値をAFE137に設定する。また、撮像制御部147は、算出した露光時間もしくはゲインを示す制御パラメータ情報をパラメータ記憶部113に記憶する。その後、ステップS102の処理に進み、処理対象のフレームを次のフレームに変更する。
【0068】
(輝度制御の例)
次に、本実施形態に係る輝度制御の例について説明する。
図3は、本実施形態による輝度制御の一例を示す図である。
図3において、I31、I32、I33は、それぞれ各時刻における対物レンズ105への入射光量、露光時間の逆数、輝度の評価値を示す。この例では、当初回転中の発電所内のガスタービンエンジンのタービンブレードを被写体とする画像のように入射光量I31が周期的に変動する。撮像制御部147は、通常の更新パラメータを用いてAE制御を行って露光時間を求める(
図2、ステップS140、S150)。ここで、輝度の評価値I33と輝度の目標値との差が小さくなるように露光時間が算出される。そのため、入射光量I31の変動に露光時間の逆数I32に追従し、輝度の評価値I33の変動が入射光量I31の変動よりも緩和される。輝度の入射光量I31の変動に応じて、露光時間も周期的かつ振幅が一定に制御されるため(
図2、ステップS106)、撮像制御部147は、時刻t
31において最新の1周期内の露光時間の平均値を算出し、算出した露光時間の平均値をタイミングジェネレータ114に設定する(
図2、ステップS108)。そのため、動いている被写体の明るさが変動するものの、動いていない被写体のように本来輝度が変化しない被写体の明るさが一定となるので、ユーザにとってのわずらわしさが低減もしくは解消される。
【0069】
図3に示す例では、設定される露光時間が一定値に固定されるため、入射光量I31の変動と輝度の評価値I33の変動が同期する。少なくとも時刻t
31から所定時間経過後の時刻t
32までの間、露光時間が一定であるので、その直後の時刻において露光時間の変動頻度が所定の変動頻度以下と判定される(
図2、ステップS104 NO)。その時点では、評価値の変動頻度が所定の変動頻度よりも高く(
図2、ステップS120 YES)、評価値の変動頻度が周期的かつ振幅が定常的と判定される(
図2、ステップS122 YES)。そのため、撮像制御部147は、その時点までの最新の1周期内の評価値の平均値を、その輝度の制御値としたAE制御を開始する(
図2、ステップS124)。従って、入射光量の周期変動に追従した輝度の制御がなされずに、入射光量もしくは輝度の評価値の振幅の変動といった、より巨視的な変化傾向(マクロトレンド)に追従した露光時間の制御がなされる。また、本来輝度が変化しない被写体の明るさの周期変動が生じないので、ユーザにとってのわずらわしさが低減する。
【0070】
時刻t
33では、露光時間の変動頻度が所定の変動頻度以下と判定され(
図2、ステップS104 NO)、評価値の変動頻度が所定の変動頻度よりも高く(
図2、ステップS120 YES)、評価値の変動頻度が周期的かつ振幅が定常的ではないと判定される(
図2、ステップS122 NO)。そのため、撮像制御部147は、撮像制御部147は、低速用の更新パラメータを用いてAE制御を開始して露光時間を求める(
図2、ステップS130、S150)。
時刻t
34では、露光時間の変動頻度が所定の変動頻度以下と判定され(
図2、ステップS108 NO)、評価値の変動頻度が所定の変動頻度よりも高く(
図2、ステップS120 YES)、評価値の変動頻度が周期的かつ振幅が定常的と判定される(
図2、ステップS122 YES)。その時点までの最新の1周期内の評価値の平均値を、その輝度の制御値としたAE制御を再開する(
図2、ステップS124)。
【0071】
上述の制御によれば時刻t31以降において、入射光量の変化傾向と輝度の評価値の変化傾向とが、ほぼ同期する。このことは、撮像された画像のうち、本来明るさが変動する被写体の部分の明るさが、その変動に応じて変動し、本来明るさが変動しない被写体の部分の明るさが変動しないことを示す。従って、ユーザに対して撮像した画像の違和感や疲労感が軽減もしくは解消されることが期待される。
【0072】
図4は、本実施形態による輝度制御の他の例を示す図である。
図4において、I41、I42は、それぞれ各時刻における対物レンズ105への入射光量、露光時間の逆数を示す。この例では、撮像制御部147は、通常の更新パラメータを用いてAE制御を行って露光時間を求める場合を仮定している(
図2、ステップS140、S150)。入射光量I41がランダムに変動し、周期性を有しない。そのため、露光時間の逆数I42が入射光量I41に速やかに追従する。但し、上述のように入射光量I41や露光時間の変動に周期性を有する場合には、ユーザに対してわずらわしさをもたらすこととなる。
【0073】
図5は、撮像された画像の例を示す図である。
図5では、通常の更新パラメータを用いてAE制御を行って露光時間を求める場合を仮定している(
図2、ステップS140、S150)。画像Im51-Im55は、パイプの内部に挿入部10を挿入しているときに撮像された画像である。画像Im51-Im55が撮像された時刻は、その順序である。画像Im51は、パイプの内部に挿入部10を挿入しているときに撮像された画像である。この例では、挿入部10の先端がパイプの中央に浮いている。そのため、画面の中央部がその周囲よりも暗くなっている。画像Im52は、挿入部10の先端部の画面に対して右下部がパイプの内壁面に当て付いている状態で撮像された画像である。そのため、内壁面を表す部分においてハレーションが生ずる。ハレーションとは、画素ごとに検出された輝度が信号値として表現可能な所定の最大値を超えるために、信号値がその最大値に制限される現象である。画像Im53は、挿入部10の先端部の画面に対して右下部がパイプの内壁面に当て付いたままの状態で撮像された画像である。但し、AE制御により画像Im52よりも暗くなる。特に、明るさの変化が期待されないパイプの中空を表す部分が暗くなる。画像Im54は、挿入部10の先端がパイプの中央に浮いている状態で再度撮像された画像である。画像Im54の明るさは、当初撮像された画像Im51と同等となることが期待されるが、AE制御により画像Im51よりも暗くなる。画像Im55は、挿入部10の先端が引き続きパイプの中央に浮いている状態で撮像された画像である。画像Im55は、AE制御により画像Im54よりも明るくなり、画像Im51の明るさと同等となる。このように、挿入部10の先端がパイプの内壁面に当たったり離れたりすることに伴い、入射光量が変化するとAE制御が働き、輝度の変化が大きいわずらわしい画像となってしまう。特に、画像全体の輝度の変化が周期的である場合には、本来明るさが変化しない部分の明るさが変化してしまうので、わずらわしさが顕著になる。
【0074】
図6は、本実施形態による輝度制御のさらに他の例を示す図である。
図6において、I61、I62は、それぞれ各時刻における対物レンズ105への入射光量、露光時間の逆数を示す。この例では、撮像制御部147は、低速用の更新パラメータを用いてAE制御を行って露光時間を求める場合を仮定している(
図2、ステップS130、S150)。入射光量I51がランダムに変動し、周期性を有しない。この場合、撮像された画像(ライブ画像)の輝度の変化が抑制されるが、輝度の評価値の目標値に対する乖離が大きくなる。
【0075】
図7は、撮像された画像の他の例を示す図である。
図7では、低速用の更新パラメータを用いてAE制御を行って露光時間を求める場合を仮定している(
図2、ステップS130、S150)。画像Im71-Im75の撮像条件は、更新パラメータを除き画像Im51-Im55の撮像条件とそれぞれ同様である。そのため、画像Im71、Im72、Im75は、画像Im51、Im52、Im55とそれぞれ同様となる。但し、AE制御における追従性が、
図5に示す例よりも低いため、画像Im73においてハレーションが生じている部分が残されるが、画像全体としての画像Im72からの輝度変化が緩和される。また、画像Im74の明るさは、当初の画像Im71の明るさにより近づく。そのため、ユーザに対するわずらわしさが緩和もしくは解消される。
【0076】
(追従性の制御例)
次に、AE制御における追従性の制御例について説明する。
制御パラメータとして、露光時間を定める際、撮像制御部147は、例えば、比例制御(Proportional Control、P制御)を行う。P制御では、撮像制御部147には、制御により得られる直前の輝度の評価値と目標値の差分である輝度差に所定の比例ゲインを乗じて制御パラメータである露光時間の変化量をフレームごとに算出する。撮像制御部147は、算出した変化量を直前の制御パラメータの値(以下、「制御値」と呼ぶ)に加算して、その時点における制御値を定める。比例ゲインは、制御速度を制御するためのパラメータである。比例ゲインが大きいほど制御速度が高く、比例ゲインが小さいほど制御速度が低い。従って、撮像制御部147は、追従性を低くする際、予め定めた比例ゲインとして通常の比例ゲインよりも小さい比例ゲインを用いることで露光時間のフレーム当たりの変動量が少なくなるので、追従性を低くすることができる。例えば、
図8の曲線I81、I82は、いずれも時刻t
81において露光時間の制御を開始する場合を示す。但し、曲線I82は、標準の追従性を示す曲線I81よりも時間経過に対する露光時間の変化量、即ち追従性が低いことを示す。
【0077】
また、撮像制御部147には、追従性を低くする際、制御速度を低くすることに代え、第1の不感領域と、第1の不感領域よりも広い第2の不感領域を設定することにより、ヒステリシスを設けてもよい。第1の不感領域はAE制御を停止する輝度の範囲であるのに対し、第2の不感領域は、AE制御を開始しない輝度の範囲、即ち、その領域外でAE制御を開始する輝度の範囲である。ここで、追従性を低くするほど、第1の不感領域に対する第2の不感領域の範囲を広くする。このように、AE制御を開始する輝度の範囲と停止する輝度の範囲に差を設けることで、輝度の目標値と評価値の乖離が大きくなるのでAE制御の開始が遅れることになる。
図8に示す例では、E8、E8’は、それぞれAE制御を停止する第1の不感領域の下限と上限を示す。但し、追従性に関わらず第1の不感領域は一定である。A81、A83は、それぞれ標準の追従性に係るAE制御を開始しない第2の不感領域、追従性を低くする場合におけるAE制御を停止する第2の不感領域を示す。第2の不感領域A81、A83の中央値は、それぞれ輝度の目標値E0である。E81、E81’は、それぞれ第2の不感領域A81の下限、上限を示す。E83、E83’は、それぞれ第2の不感領域A83の下限、上限を示す。
【0078】
曲線C81は、標準の追従性が設定されている場合における各時刻の輝度の評価値を示す。撮像制御部147は、当初(時刻t81)から輝度の評価値が第2の不感領域A81の上限E81’を上回っているのでAE制御を開始し、評価値が第1の不感領域の上限E8’に達した時点でAE制御を停止する。これに対し、曲線C83は、追従性を低くする場合における各時刻の輝度の評価値を示す。撮像制御部147は、輝度の評価値が第2の不感領域A83の上限E83’を超えた時刻t83においてAE制御を開始し、評価値が第1の不感領域の上限E8’に達したときにAE制御を停止する。
なお、撮像制御部147は、ゲインについても露光時間と同様に追従速度もしくは不感領域を制御することによって輝度の追従性を制御することができる。
【0079】
(輝度の制御例)
なお、輝度の評価値の変動量が所定の変動量の閾値よりも大きいとき、撮像制御部147は、補正処理部144における出力レベルの範囲を予め定めた標準の範囲よりも狭くしてもよい。出力レベルの範囲を狭くする際、撮像制御部147は、その範囲に応じた1つのガンマテーブルを決定する。撮像制御部147には、複数通りの出力レベルの範囲のそれぞれに対応するガンマテーブルを予め設定しておく。個々のガンマテーブルは、複数の入力レベルのそれぞれについて、各入力レベルに対応する出力レベルを対応付けて構成される。補正処理部144は、撮像制御部147により決定されるガンマテーブルを参照することにより、ガンマ補正を行って出力レベルを取得する。補正処理部144には、ガンマ補正において、入力レベルに対応する出力レベルを特定する。
図9は、ガンマテーブルを例示する図である。曲線I91、I92は、それぞれ標準のガンマテーブルを示し、より出力レベルの範囲が小さいガンマテーブルを示す。I92のガンマテーブルが用いられることで、出力レベルの範囲Dg92は、標準の出力レベルの範囲Dg91よりも狭くなる。従って、輝度の変動が著しい場合には、I92のガンマテーブルを用いてガンマ補正することで各1フレーム画像の明るさの変動も抑制される。そのため、画像の明るさの変動によるわずらわしさが低減する。また、挿入部10の検査対象物への挿入中など、詳細な観察を必ずしも要しない場合には、このような出力レベルの範囲Dg91の縮小が許容されうる。
【0080】
なお、撮像制御部147は、湾曲動作など挿入部10の動作に対する操作を検出するとき、制御パラメータまたは輝度の評価値の変動頻度もしくは周期性にかかわらずAE制御における輝度の追従性を低下させずに、予め定めた通常の追従性に維持してもよい。これは、ユーザの意図した操作に伴う入射光量の変化に対しては、むしろ撮像された画像の明るさが即座に目標値に追従することが期待されるためである。撮像制御部147は、システム制御部110を介してユーザインタフェース部111から入力された制御信号に基づいて操作の有無を検出してもよい。撮像制御部147は、例えば、挿入部10の湾曲などの動作を指示する制御信号が入力されるとき、動作に対する操作を検出していると判定し、動作を示す制御信号が入力されないとき、動作に対する操作を検出していないと判定してもよい。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態に係る内視鏡装置1は、被写体の画像を生成するCCD撮像素子104と、CCD撮像素子104を備えた挿入部10と、画像処理部140と、を備える。画像処理部140は、画像の輝度を評価する輝度評価部145と、評価した輝度が予め定められた目標値に近づくように輝度の制御パラメータを設定する撮像制御部147を備える。撮像制御部147は、少なくとも評価した輝度と設定した制御パラメータの一方の変動状況を検出し、変動状況の変動頻度に基づいて、当該制御パラメータを定める。
この構成により、撮像された画像の輝度と制御された制御パラメータの少なくとも一方の変動状況の周期性に基づいて画像の輝度が制御される。従って、変動状況の変動頻度が考慮されずに一律に輝度を制御する場合よりも、画像の輝度の周期変動などの変動要因によるユーザに対するわずらわしさなどの不快感が抑制又は解消され、撮像された画像の明るさがユーザにとってより快適に制御される。
【0082】
また、撮像制御部147は、制御パラメータの変動に周期性を有すると判定するとき、現時点までの周期における当該制御パラメータの平均値を現時点の制御パラメータとして定めてもよい。
この構成により、制御パラメータの変動に周期性を有する場合、制御パラメータが周期内の平均値に定められる。そのため、制御パラメータの周期変動によって得られた画像のうち本来輝度の変化を生じない部分における明るさの周期変動が解消される。従って、画像の明るさの周期変動に伴う不快感が解消され、より適切な明るさ制御がなされる。
【0083】
また、撮像制御部147は、輝度の変動に周期性を有すると判定するとき、輝度の現時点までの周期における平均値が輝度の目標値に近づくように制御パラメータを決定してもよい。この構成により、輝度の大局的な変動に対する追従性を完全に失わせずに、輝度の周期変動に対する追従性が緩和もしくは解消される。従って、画像の明るさの周期変動に伴う不快感が解消され、より快適に画像の明るさが制御される。
【0084】
また、撮像制御部147は、制御パラメータもしくは輝度の変動に周期性を有しないと判定するとき、輝度の目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させて制御パラメータを定めてもよい。この構成により制御パラメータの変動に伴う画像の明るさの変動が緩和されるため、画像の明るさの非周期的な変動に伴う不快感が低減し、より快適に明るさが制御される。
【0085】
また、撮像制御部147は、輝度の目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させるとき、制御パラメータの変化量を少なくしてもよい。この構成により、明るさの制御を完全に停止せずに、画像の明るさ非周期的な変動に伴う不快感を低減することができる。
【0086】
また、撮像制御部147は、輝度の目標値への追従性を所定の追従性よりも低下させるとき、制御パラメータの変化を開始させない輝度の範囲を大きくしてもよい。この構成により、撮像される画像の輝度とその目標値との差を大きくして追従性を低下させるので、制御パラメータを更新するための処理を変更せずに画像の明るさの非周期的な変動に伴う不快感を低減することができる。
【0087】
また、撮像制御部147は、制御パラメータの変動頻度を検出し、制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度よりも高いとき、制御パラメータの変動に周期性を有するか否かを判定してもよい。
この構成により、制御パラメータの変動が比較的著しいとき、その制御パラメータの周期性の有無に応じて制御パラメータが設定される。そのため、制御パラメータの変動に起因した画像の明るさの変動に伴う不快感を、その変動の周期性の有無に応じた手法で低減することができる。
【0088】
また、撮像制御部147は、制御パラメータの変動頻度が所定の制御パラメータの変動頻度以下であるとき、輝度の変動頻度を検出し、輝度の変動頻度が所定の変動頻度よりも高いとき、輝度の変動に周期性を有するか否かを判定してもよい。
この構成により、制御パラメータの変動が比較的緩やかであっても、輝度の変動が比較的著しいとき、輝度の変動に周期性を有するか否かが判定され、周期性の有無に応じた制御パラメータを設定することができる。そのため、制御パラメータの変動が比較的穏やかであるときであっても、画像の明るさの変動が比較的著しいとき、その変動の周期性の有無に応じた不快感を低減することができる。
【0089】
また、撮像制御部147は、挿入部10の動作を検出するとき、輝度の目標値に対する追従性を所定の追従性に維持して前記制御パラメータを定める。この構成により、挿入部10の動作が検出されるとき、そのため、わずらわしさの要因となる制御後の画像の明るさの変化が許容される状況において、目標値への追従性を低下させずに撮像された画像の明るさが制御される。
【0090】
なお、上記の実施形態では、挿入部10の先端に備わる撮像素子がCCD撮像素子104である場合を例にしたが、これには限られない。挿入部10は、CCD撮像素子104に代えて、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)撮像素子を備えてもよい。CMOS撮像素子を備える場合には、本体部11は、タイミングジェネレータ114、CCDドライブ回路115、プリアンプ136及びAFE137が省略されてもよい。そこで、撮像制御部147は、撮像に用いる制御パラメータとして露光時間に応じた各素子の駆動タイミングとゲインを示す撮像制御信号を生成し、生成した撮像制御信号をCMOS撮像素子に出力する。CMOS撮像素子は、撮像制御信号で指示された駆動タイミングで画素ごとの信号値を示す撮像信号を生成し、生成した撮像信号を撮像制御信号で指示されたゲインで増幅する。CMOS撮像素子は、増幅した撮像信号を画像処理部140の黒補正部142に出力する。
【0091】
また、上記のケースC01では、撮像制御部147が、その時点までの最新の1周期内の制御パラメータの平均値を算出し、算出した平均値を輝度の制御に用いる場合を例にしたが、これには限られない。撮像制御部147が、その時点までの過去の1周期もしくは複数周期内の制御パラメータの平均値を算出し、算出した平均値を輝度の制御に用いてもよい。
また、撮像制御部147は、その時点までの最新の1周期内の輝度の評価値の平均値を輝度の制御値として算出する場合を例にしたが、その時点までの過去の複数周期内の輝度の評価値の平均値を輝度の制御値として算出してもよい。
【0092】
なお、上記の実施形態では、AE制御において、主にP制御を採用する場合を例にしたが、制御量と目標量の差分の大きさを小さくするように露光時間などの制御変数を算出する手法であれば、いかなる手法を用いてもよい。例えば、PI(Proportional-Integral Control)制御、PID(Proportional-Integral-Differential Control)制御が用いられてもよい。
LED106は、本体部11に備えられてもよい。その場合には、LED106からの光を対物レンズ105に伝達し、挿入部10の先端部から出射させるライトガイドが挿入部10に備えられてもよい。また、システム制御部110からの画像信号を受信し、受信した画像信号に基づく画像を表示することができれば、LCD118は、本体部11において省略されてもよい。
なお、上記の実施形態では、AE制御における制御対象として露光時間とゲインである場合を例にしたが、撮像素子が受光する光量を制御するための手段として、例えば、メカニカルシャッターのパラメータ(例えば、露光時間、絞りなど)やフィルターのパラメータ(例えば、フィルター係数など)などをAE制御の制御対象に含んでもよい。
【0093】
なお、上記の実施形態に係る内視鏡装置1の一部、例えば、システム制御部110と画像処理部140は、それぞれもしくは全体として、1個又は複数のプロセッサ、メモリ、入出力インタフェース及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体などからなるコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、システム制御部110と画像処理部140それぞれもしくは全体の機能を実現するためのプログラムを記録媒体に記録しておき、記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、「コンピュータシステム」とは、内視鏡装置1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(Programmable Logic Device)などのいずれであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disc)(登録商標)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0094】
また、上述した実施形態に係る内視鏡装置1の一部、例えば、システム制御部110と画像処理部140のそれぞれもしくは組み合わせ、または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路として実現してもよい。内視鏡装置1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部の組、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0095】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態及びその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0096】
1…内視鏡装置、10…挿入部、11…本体部、104…CCD撮像素子、105…対物レンズ、106…LED、107…サーミスタ、108…加速度センサ、109…ワイヤー固定部、110…システム制御部、110a…画像記録部、110b…LCDコントローラ、111…ユーザインタフェース部、112…記憶媒体、113…パラメータ記憶部、114…タイミングジェネレータ、115…CCDドライブ回路、118…LCD、119…LED駆動回路、121…湾曲制御部、122…UD湾曲モータ、123…RL湾曲モータ、124、125…ワイヤー連結部、126…湾曲用ワイヤー、134、135…着脱コネクタ、136…プリアンプ、137…AFE、140…画像処理部(制御部)、142…黒補正部、143…画素補間・輝度色差変換部、144…補正処理部、145…輝度評価部、147…撮像制御部