(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】車両用撮影装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20220214BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20220214BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B60S1/62 120B
B60R1/26 200
(21)【出願番号】P 2018016346
(22)【出願日】2018-02-01
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000105925
【氏名又は名称】サカエ理研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【氏名又は名称】山内 健吾
(72)【発明者】
【氏名】青池 和音
(72)【発明者】
【氏名】大野 洋司
(72)【発明者】
【氏名】松本 光広
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/048126(WO,A1)
【文献】特開2010-155484(JP,A)
【文献】特開2017-210208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0297535(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0217694(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
B60R 1/00-1/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側に設けられた収納部と、
前記収納部内に収納された収納位置と、前記収納位置から車外側に突出した突出位置との間で移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記突出位置と前記収納位置との間で動作させる駆動手段と、
前記可動部材に設けられ、該可動部材が前記突出位置にあるときに車両後方側を撮影可能となり、前記収納位置にあるときに前記収納部内に収納されるカメラと、
前記カメラのレンズ面を洗浄する洗浄手段
であって、ウォッシャー液の噴射口が前記収納部に設けられ、前記レンズ面に前記ウォッシャー液を吹き付ける液体洗浄手段と、
を備え、
前記液体洗浄手段における前記ウォッシャー液の噴射軸線は、前記可動部材が前記突出位置にある場合のレンズ面と、前記収納位置にある場合のレンズ面との双方に対し交差しており、それら双方の位置において前記レンズ面に前記ウォッシャー液を吹き付け可能とされていることを特徴とする車両用撮影装置。
【請求項2】
車体側に設けられた収納部と、
前記収納部内に収納された収納位置と、前記収納位置から車外側に突出した突出位置との間で移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記突出位置と前記収納位置との間で動作させる駆動手段と、
前記可動部材に設けられ、該可動部材が前記突出位置にあるときに車両後方側を撮影可能となり、前記収納位置にあるときに前記収納部内に収納されるカメラと、
前記カメラのレンズ面を洗浄する洗浄手段
であって、固体洗浄部材を接触させる形で前記レンズ面を洗浄する接触洗浄手段と、
を備え、
前記接触洗浄手段は、前記レンズ面との接触時に前記固体洗浄部材を該レンズ面に押し付けるように付勢する付勢手段を有し、
前記可動部材は、所定の回動軸線の周りを回動可能となるよう車体側に組み付けられた回動部材であり、
前記固体洗浄部材は、前記収納部内において回動する前記回動部材に対しその回動半径方向外側又は前記回動軸線の軸線方向の一方側で接触するように配置されることを特徴とする車両用撮影装置。
【請求項3】
前記接触洗浄手段は、前記可動部材の移動途中に前記固体洗浄部材が前記レンズ面を拭き取るようにして接触する
請求項2に記載の車両用撮影装置。
【請求項4】
前記収納部は、車両の左右側面を形成する側面パネルに開口を形成し、当該開口から車両内向きに凹む凹部として設けられ、
前記可動部材は、前記収納位置にあるときの車両外側の外表面が前記側面パネルにおける前記開口の周辺面と面一となるよう形成されている請求項1ないし
請求項3のいずれか1項に記載の車両用撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においては、車両左右側方のサイドミラーに代わって、カメラによる撮影映像を車室内で表示する技術がある。こうした技術ではカメラのレンズ面が汚れることにより、表示される撮影映像の質が落ちる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、車両のサイドミラーに代わってカメラの撮影映像を用いる車両用撮影装置において、質の高い撮影映像を安定して提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の車両用撮影装置は、
車体側に設けられた収納部と、
前記収納部内に収納された収納位置と、前記収納位置から車外側に突出した突出位置との間で移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記突出位置と前記収納位置との間で動作させる駆動手段と、
前記可動部材に設けられ、該可動部材が前記突出位置にあるときに車両後方側を撮影可能となり、前記収納位置にあるときに前記収納部内に収納されるカメラと、
前記カメラのレンズ面を洗浄する洗浄手段であって、ウォッシャー液の噴射口が前記収納部に設けられ、前記レンズ面に前記ウォッシャー液を吹き付ける液体洗浄手段と、
を備え、前記液体洗浄手段における前記ウォッシャー液の噴射軸線は、前記可動部材が前記突出位置にある場合のレンズ面と、前記収納位置にある場合のレンズ面との双方に対し交差しており、それら双方の位置において前記レンズ面に前記ウォッシャー液を吹き付け可能とされていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために本発明の車両用撮影装置は、
車体側に設けられた収納部と、
前記収納部内に収納された収納位置と、前記収納位置から車外側に突出した突出位置との間で移動可能な可動部材と、
前記可動部材を前記突出位置と前記収納位置との間で動作させる駆動手段と、
前記可動部材に設けられ、該可動部材が前記突出位置にあるときに車両後方側を撮影可能となり、前記収納位置にあるときに前記収納部内に収納されるカメラと、
前記カメラのレンズ面を洗浄する洗浄手段であって、固体洗浄部材を接触させる形で前記レンズ面を洗浄する接触洗浄手段と、
を備え、
前記接触洗浄手段は、前記レンズ面との接触時に前記固体洗浄部材を該レンズ面に押し付けるように付勢する付勢手段を有し、
前記可動部材は、所定の回動軸線の周りを回動可能となるよう車体側に組み付けられた回動部材であり、
前記固体洗浄部材は、前記収納部内において回動する前記回動部材に対しその回動半径方向外側又は前記回動軸線の軸線方向の一方側で接触するように配置されることを特徴とする。
【0006】
上記本発明によれば、カメラが可動部材によって収納位置と突出位置との間を移動し、突出位置において車両側方から後方を撮影することができる。未使用中のカメラを収納しておくことができるからレンズ面が汚れる恐れが無い。また、レンズ面を洗浄する洗浄手段を備えているため、仮に汚れたとしても洗浄することができる。このため、質の高い撮影映像を安定して提供できる。
【0007】
上記本発明の前記洗浄手段として、前記レンズ面にウォッシャー液を吹き付ける液体洗浄手段を設けることができる。これにより、レンズ面を液体によって洗浄できるから、レンズ面に付着した汚れを確実に取り除いて質の高い撮影映像を安定して提供することができる。
【0008】
上記本発明の前記液体洗浄手段は、前記ウォッシャー液の噴射口が前記収納部に設けられるようにできる。これにより、ウォッシャー液の噴射口が外部にさらされて意匠性を落とすようなことが無い。また、可動部材が収納位置にある場合にレンズ面を洗浄するようにすれば、洗浄そのものも外部にさらされることが無くなる。なお、この場合、前記収納部は、その底面に設けられた排水口から、洗浄に使用されたウォッシャー液を車両外部に排水する排水手段を有していてもよい。
【0009】
上記本発明において、前記液体洗浄手段における前記ウォッシャー液の噴射軸線は、前記可動部材が前記突出位置にある場合のレンズ面と、前記収納位置にある場合のレンズ面との双方に対し交差するように設定することができる。これにより、前記可動部材が前記突出位置と前記収納位置との双方の位置において前記レンズ面に前記ウォッシャー液を吹き付け可能になるから、様々なタイミングでの洗浄が可能になる。例えば、収納時に定期的に洗浄することができるし、撮影中の急な汚れにも対応することができる。
【0010】
上記本発明の前記洗浄手段として、固体洗浄部材を接触させる形で前記レンズ面を洗浄する接触洗浄手段を設けることができる。これにより、例えばスポンジや布材等の固体洗浄部材をレンズ面に直接接触させる形でレンズ面を洗浄できるから、レンズ面の汚れを確実に取り除いて質の高い撮影映像を安定して提供することができる。
【0011】
上記本発明における前記接触洗浄手段は、前記レンズ面との接触時に前記固体洗浄部材を該レンズ面に押し付けるように付勢する付勢手段を有するようにできる。これにより、レンズ面の汚れを確実に取り除くことができる。
【0012】
上記本発明における前記接触洗浄手段は、前記可動部材の移動途中に前記固体洗浄部材が前記レンズ面を拭き取るようにして接触するようにできる。この構成によれば、可動部材の移動を利用して、レンズ面の汚れを拭き取ることができる。
【0013】
上記本発明において、前記可動部材は、所定の回動軸線の周りを回動可能となるよう車体側に組み付けられた回動部材とすることができる。この場合、前記固体洗浄部材は、前記収納部内において回動する前記回動部材に対しその回動半径方向外側又は前記回動軸線の軸線方向の一方側で接触するように配置することができる。この構成によれば、可動部材の回動を効率的に利用して、レンズ面の汚れを拭き取ることができる。
【0014】
上記本発明において、前記収納部は、車両の左右側面を形成する側面パネルに開口を形成し、当該開口から車両内向きに凹む凹部として設けられ、前記可動部材は、前記収納位置にあるときの車両外側の外表面が前記側面パネルにおける前記開口の周辺面と面一となるよう形成できる。これにより、非撮影時において、可動部材は車両の側面と面一となるように収納されるから、余計な凹凸の無い優れた意匠性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第一実施例である車両用撮影装置を搭載した車両を簡略的に示した平面図。
【
図2】
図1の車両用撮影装置を備えて構成される車両用表示システムのブロック図。
【
図3】
図1の車両用撮影装置において可動部材が収納位置にある状態を示した斜視図。
【
図4】
図1の車両用撮影装置において可動部材が突出位置にある状態を示した第一の斜視図。
【
図5】
図1の車両用撮影装置において可動部材が突出位置にある状態を示した第二の斜視図。
【
図6】
図1の車両用撮影装置における収納位置の可動部材をウォッシャーノズル側から見た側面図。
【
図7】
図3の車両用撮影装置を水平方向に切断した断面で示した断面図。
【
図8】
図4の車両用撮影装置を水平方向に切断した断面で示した断面図。
【
図9】本発明の第二実施例である車両用撮影装置において可動部材が収納位置にある状態を、
図7と同様の断面で示した断面図。
【
図10】
図9の車両用撮影装置において可動部材が突出位置にある状態を、
図8と同様の断面で示した断面図。
【
図11】
図9の車両用撮影装置の車両後方を撮影するカメラの洗浄方法を説明する断面図。
【
図12】
図9の車両用撮影装置の車両下方を撮影するカメラの洗浄方法を説明する断面図。
【
図13】本発明の第三実施例の車両用撮影装置において、可動部材が収納位置にある状態を、
図7と同じ断面で示した断面図。
【
図14】
図13の車両用撮影装置において、可動部材が突出位置にある状態を、
図8と同じ断面で示した断面図。
【
図15】本発明の第四実施例の車両用撮影装置において、可動部材が収納位置にある状態を示した斜視図。
【
図16】
図15の実施例の車両用撮影装置において、可動部材が突出位置にある状態を示した斜視図。
【
図17】本発明の第五実施例の車両用撮影装置において、可動部材が収納位置にある状態を示した斜視図。
【
図18】
図17の車両用撮影装置において、可動部材が突出位置にある状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
車両用撮影装置1は、
図1に示すように、車両100の左右側方の車外カメラ5によって車両左右側方から車両後方側を撮影するものであり、それら左右双方のカメラ5の撮影画像を車室内において画面表示する表示装置30と共に車両用表示システム50を構成する(
図2参照)。この車両用表示システム50は、サイドミラーと同様、車両側方側からの車両後方視野を運転者に視認させるものであり、ここでは
図2に示すように、左右のカメラ5の撮影データが入力される制御部20を備え、制御部20は、入力された撮影データに基づいて所定の表示装置30(ディスプレイ)に左右のカメラ5の撮影映像を表示する。なお、
図1は、車両用撮影装置1が車両後方を撮影している状態を簡略的に示した模式図であるが、実際よりも強調された形で示されており、サイズや車体側からの突出量等が実際のものとは異なっている。
【0018】
ここでの車両用撮影装置1は、従来のサイドミラーの位置又はその周辺に設けられている。具体的にいえば、車両100のフロントフェンダーに取り付けられている。ただし、車両用撮影装置1の取り付け位置は、上記のような車両100のフロントフェンダーに限らず、撮影映像がサイドミラーの反射像に代わる映像となる位置であれば、他の位置でもよい。
【0019】
車両用撮影装置1は、
図5~
図8に示すように、収納部2と、可動部材3と、駆動手段4と、カメラ5、6と、洗浄手段11と、を有する。
【0020】
収納部2は、車両の左右側面を形成する側面パネル101(ここではフロントフェンダーパネル)に開口101Hを形成し、当該開口101Hから車両内向きに凹む凹部として車体100側に設けられる。具体的にいえば、側面パネル101の内表面側に固定されている。
【0021】
可動部材3は、収納部2内に収納された収納位置(
図7参照)と、収納位置から車外側に突出した突出位置(
図8参照)との間で移動可能な部材である。ここでの可動部材3は、所定の回動軸線3Zの周りを回動可能となるよう車体100側に組み付けられた回動部材3である。ここでの回動部材3は、回動軸線3Zが車両上下方向に設定されている。そして、その回動軸線3Zが回動部材3の車両前方側に位置し、回動部材3の車両後方側が車両側方外向きに回動して突出位置に到達するようになっている。
【0022】
また、可動部材3は、
図7及び
図8に示すように、外表面パネル部材3Aと、内側ケース体3Bと、内側カバー体3Cと、を有して構成され、その内部にはカメラ5、6が配置されている。外表面パネル部材3Aは、収納位置にあるときの車両外側の外表面3aを形成する板状部材である。内側ケース体3Bは、カメラ5、6やその配線等を収容するケース体であり、外表面パネル部材3Aに対し車両内側に組み付けられ、対応する開口からカメラ5、6のレンズ面5S、6Sを露出させている(
図5参照)。内側カバー体3Cは、内側ケース体3Bと外表面パネル部材3Aとの間に形成される内部空間内に配置され、カメラ5、6が可動部材3の内部の所定位置に固定設置されるよう、内側ケース体3Bに組み付けられる。可動部材3は、後述する駆動源(モータ4M)からの力を受けて全体を突出位置と収納位置との間で動作させるものであり、内側ケース体3Bに組み付けられる。
【0023】
なお、ここでの外表面パネル部材3Aは、可動部材3が収納位置にあるときに車両外側となる外表面3aが側面パネル101における開口101Hの周辺の外表面101aと面一となる(
図3及び
図7参照)。これにより、車両外表面からの突出が無くなり、スマートかつ危害感の無い構造となっている。
【0024】
駆動手段4は、可動部材3を収納位置(
図7参照)と突出位置(
図8参照)との間で動作させる手段であり、ここでは
図6に示すように、可動部材3を予め定められた収納位置と突出位置との間で往復移動させる手段として、駆動源となるモータ4Mと、モータ4Mの回転出力を可動部材3に伝達する伝達機構4Gと、を有して構成された周知のものである。
図2に示すように、モータ4Mは、制御部20によって駆動制御されるものであり、例えば車両100のアクセサリー電源がONとされた場合に可動部材3が突出位置に移動するよう駆動制御され、アクセサリー電源がOFFとされた場合に可動部材3が収納位置に移動するよう駆動制御される。ここでの伝達機構4Gは、
図6に示すように、内側ケース体3B側に固定され、回動軸線3Z方向に延出する軸部4zと、軸部4zの周りに固定されるギア部4g2と、可動部材3内のモータ4Mの出力軸と一体回転し、ギア部4g2に噛合するギア部4g1と、を有する。なお、駆動手段4は、このような構成に限らず、可動部材3を収納位置と突出位置との間で動作させる構成であれば、他の構成とされていてもよい。
【0025】
カメラ5は、可動部材3に設けられ、
図7及び
図8に示すように、その可動部材3が突出位置にあるときにレンズ面5Sが車両後方側を臨んで車両後方側を撮影可能となる後方撮影カメラであり、収納位置にあるときには収納部2内に収納される。他方、カメラ6は、同じく可動部材3に設けられ、
図5に示すように、その可動部材3が突出位置にあるときにレンズ面6Sが車両下方側を臨んで車両下方側を撮影可能となる下方撮影カメラであり、収納位置にあるときには収納部2内に収納される。カメラ5、6の撮影映像は、制御部20によって、車両100の後方側から下方側までを映し出すアラウンドビュー映像として表示装置30に画面表示される。
【0026】
洗浄手段11は、カメラ5のレンズ面5Sを洗浄する手段である。ここでの洗浄手段11は、レンズ面5Sにウォッシャー液を吹き付ける液体洗浄手段であり、
図2に示すようにウォッシャーポンプ11P(噴射駆動部)が制御部20によって駆動制御される。駆動したウォッシャーポンプ11Pは、ウォッシャータンク(図示なし)内のウォッシャー液を、
図6及び
図7に示すウォッシャーノズル11N(噴射口)からカメラ5のレンズ面5Sに向けて直線状に噴射させる。その結果、ウォッシャー液がレンズ面5Sに吹き付けられ、レンズ面5Sに付着した汚れを除去できる。ここでは、運転席の運転者により操作可能な予め定められた洗浄操作部40に所定の操作入力がなされた場合に、制御部20がウォッシャーポンプ11Pを駆動して、ウォッシャーノズル11Nからウォッシャー液が噴出される。
【0027】
ウォッシャーノズル11N(噴射口)は、可動部材3に設けることもできるが、ここでは収納部2に設けられている。ウォッシャータンクは、図示されない車体側内部に固定設置されており、そこからウォッシャーポンプ11P(
図2参照)によって収納部2のウォッシャーノズル11Nにウォッシャー液が供給され、噴出される。
【0028】
また、ウォッシャーノズル11N(噴射口)は、可動部材3が突出位置にある場合のレンズ面5S(
図8参照)と、収納位置にある場合のレンズ面5S(
図7参照)との双方に吹き付けることができるように配置されている。具体的にいえば、ウォッシャーノズル11N(噴射口)から直線状に噴射されるウォッシャー液の噴射軸線11Wが、可動部材3が突出位置にある場合のレンズ面5Sと、収納位置にある場合のレンズ面5Sとの双方に対し交差するように配置されており、これによって、突出位置と収納位置との双方の位置においてレンズ面5Sにウォッシャー液を吹き付けることが可能となっている。
【0029】
また、この場合の収納部2は、洗浄に使用されたウォッシャー液を車両外部に排水する排水手段を有する。具体的にいえば、
図7に示すように、収納部2の底面2bに排水口2Hが設けられ、その底面2bが排水口2Hに向かって下る傾斜面とされるとともに、排水口2Hから車外に連通する排水路(図示なし)が形成されている。排水口2Hは、可動部材3が収納位置にあるときのレンズ面5Sの直下位置とすることができる。
【0030】
また、この場合の可動部材3(内側ケース体3B)は、
図4~
図6に示すように、カメラ5のレンズ面5Sを露出させる開口の周辺に、当該レンズ面5Sよりもその撮影方向側に突出する突出壁部3BTが設けられている。ここでの突出壁部3BTは、可動部材3が突出位置にある場合において、レンズ面5Sの車両上下側と車両外側と連続する略U字状の壁部をなす。これにより、可動部材3が突出位置にある時のレンズ面5Sの外部からの汚れを抑制し、また、洗浄手段11による洗浄中のウォッシャー液の飛散を防いでいる。
【0031】
以上、本発明の第一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。例えば上記第一実施例において一部の構成要件を省略する、さらには他の構成要件を追加する等、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0032】
以下、本発明の他の実施例及び変形例について説明する。なお、上記実施例と共通の機能部や同様の機能部については、同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。また、上記実施例と下記実施例及び変形例は、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施できる。
【0033】
本発明の第二実施例について、
図9~
図12を用いて説明する。
【0034】
第二実施例の車両用撮影装置1は、第一実施例とは洗浄手段が異なっている。第二実施例の洗浄手段12は、レンズ面5Sやレンズ面6Sに固体洗浄部材10を接触させる形で洗浄する接触洗浄手段が採用されている。ここでの洗浄手段12は、可動部材3の移動途中にレンズ面5S、6Sを固体洗浄部材10で拭き取ることにより洗浄する拭き取り洗浄手段として構成されており、
図2に示した洗浄操作部40は必要ない。この洗浄手段12は、開閉移動する回動部材3の動作をレンズ洗浄に利用する洗浄機構であり、固体洗浄部材10は、例えばレンズ面に傷を与えにくい布材やペーパー材、あるいはスポンジのような吸水性多孔質材等とすることができる。固体洗浄部材10は、収納部2内において回動する可動部材3のレンズ面5S、6Sに対しその回動半径方向3Dの外側(
図11参照)や、回動軸線3Zの軸線方向の一方側(
図12参照)で接触するように配置することができる。
【0035】
ここでのカメラ5は、
図11に示すように、レンズ面5Sが回動半径方向3Dの外側を臨み、かつ突出位置から収納位置に向かう回動方向3R側を臨むように配置され、固体洗浄部材10は、収納部2の内部における開口101H側(ここでは開口101Hの周辺部の裏側)に固定して配置されている。これにより、レンズ面5Sは、可動部材3が収納部2に収納される直前(
図11の下図)に固体洗浄部材10によって拭き取られて洗浄される。
【0036】
また、ここでの固体洗浄部材10は、
図11に示すカメラ5のレンズ面5Sを洗浄するものだけではなく、
図12に示すカメラ6のレンズ面6Sを洗浄するものを有する。
図12に示すように、カメラ6は、レンズ面6Sが回動軸線3Zの軸線方向の一方側(ここでは
図12の下側)を臨むように配置され、固体洗浄部材10は、収納部2の内部における開口101H側(ここでは開口101Hの周辺部の裏側)に固定して配置されている。これにより、レンズ面6Sは、可動部材3が収納部2に収納される直前(
図12の中央図から
図12の下図にかけての間)に、固体洗浄部材10によって拭きられて取り洗浄される。
【0037】
また、洗浄手段12は、
図11及び
図12に示すように、レンズ面5S、6Sとの接触時に固体洗浄部材10を該レンズ面5S、6Sに押し付けるように付勢する付勢手段15を有する。ここでの付勢手段15はばね部材とされているが、エアダンパー等の他の付勢手段でもよい。
【0038】
本発明の第三実施例について、
図13及び
図14を用いて説明する。
【0039】
第三実施例の車両用撮影装置1は、第一実施例及び第二実施例とは洗浄手段が異なっている。第三実施例の洗浄手段13では、第二実施例と同様の接触洗浄手段が採用されているが、ここでの洗浄手段13は、カメラ5のレンズ面5Sに固体洗浄部材10を押し当てる押し当て洗浄手段として構成されており、
図2における洗浄操作部40は必要ない。この洗浄手段13は、収納部2に対し接近離間する回動部材3の動作をレンズ洗浄に利用する洗浄手段であり、固体洗浄部材10は、例えば第二実施例と同様の材料を用いることができる。この固体洗浄部材10は、収納部2内において収納位置にある可動部材3に対しカメラ5のレンズ面5Sを押付状態に保持されるよう固定して配置され、可動部材3が収納位置にある際にはカメラ5のレンズ面5Sによって押し付けられた状態(押し込まれた状態)に保持され、可動部材3が収納位置から離れた際にはそのレンズ面5Sが固体洗浄部材10から離れる。なお、この固体洗浄部材10にも既に述べた付勢手段15を設け、可動部材3が収納位置にある際にレンズ面5Sを押し付けるように付勢させてもよい。
【0040】
本発明の第四実施例について、
図15及び
図16を用いて説明する。
【0041】
第四実施例の車両用撮影装置1は、第一実施例~第三実施例とは可動部材3の移動方向が異なっている。ここでの可動部材3は、所定の回動軸線3Zの周りを回動可能となるよう車体100側に組み付けられる点では、第一実施例~第三実施例と同様であるが、その回動軸線3Zが車両前後方向に延びている点でそれらの実施例と異なっている。第四実施例の車両用撮影装置1では、
図15に示すように、この車両前後方向に延びる回動軸線3Zが、可動部材3において開口101Hの上下いずれかの内縁側(ここでは開口101Hの上側内縁)に偏って設定されており、可動部材3の他方の内縁側部分(ここでは可動部材3の下側部分)が車両側方外向きへと回動して突出位置(
図16参照)に到達し、それとは逆向きに回動して収納位置(
図15参照)に到達するようになっている。なお、可動部材3にはカメラ5、6が配置されており、それぞれのレンズ面5S、6Sを洗浄する洗浄手段として、第二実施例と同様の拭き取り洗浄手段12が配置されている。
【0042】
本発明の第五実施例について、
図17及び
図18を用いて説明する。
【0043】
第五実施例の車両用撮影装置1は、第一実施例~第四実施例とは可動部材3の移動方向が異なっている。ここでの可動部材3は、車両側方外向きに直線的に引き出される形で突出位置に到達し、車両側方内向きに直線的に引き込まれる形で収納位置に到達するようになっている。なお、可動部材3にはカメラ5、6が配置されており、それぞれのレンズ面5S、6Sを洗浄する洗浄手段として、第二実施例と同様の拭き取り洗浄手段12が配置されている。
【0044】
なお、上述した洗浄手段11、12、13は、後方を撮影するカメラ5に対してのみ設けてもよいし、下方を撮影するカメラ6に対してのみ設けてもよいし、双方のカメラ5、6に対して設けてもよい。また、上述した洗浄手段11、12、13は、他の洗浄手段と組み合わせて使用してもよく、双方のレンズ面5S、6Sに対し異なる洗浄手段を設けてもよいし、各レンズ面5S、6Sに対しそれぞれ種類の異なる複数の洗浄手段を組み合わせて設けてもよい。例えば、第一実施例の下方を撮影するカメラ6に対して、後方を撮影するカメラ5と同様の洗浄手段11ではなく、それとは異なる洗浄手段12や洗浄手段13を設けてもよい。また、第一実施例の後方を撮影するカメラ5に対して、洗浄手段11(液体洗浄手段)だけでなく、洗浄手段12、13(接触洗浄手段)を設け、それらを組み合わせて洗浄する(即ち、液体洗浄手段と接触洗浄手段との組み合わせ洗浄)ようにしてもよい。
【0045】
また、上述した洗浄手段11(液体洗浄手段)は、車室内に設けられた洗浄操作部40へのユーザー操作に基づいて洗浄を実行するものでなくてもよく、例えば可動部材3が収納位置に到達したタイミング、可動部材3が収納位置から離脱するタイミング、可動部材3が突出位置に到達したタイミング等、所定のタイミングで制御部20が自動実行するようにしてもよい。
【0046】
また、内側ケース体3Bは、可動部材3が突出位置にある場合に、側面パネル101(ここではフロントフェンダーパネル)の開口101Hを塞ぐ形状とされていてもよい。例えば、第四実施例や第五実施例においては、可動部材3が突出位置となった際に、内側ケース体3Bも開口101Hの外に現れ、その現れた部分によって開口101Hが塞がれ、開口101Hの奥が視認できないようになっている(
図16及び
図18参照)。なお、開口101Hの内縁と可動部材3との間には、移動する可動部材3との接触を避ける目的でわずかな隙間が形成されている。本発明において突出位置にある可動部材3が開口101Hを塞ぐとは、開口101Hを隙間なく完全に塞いだ状態だけではなく、隙間が存在した状態も含むものとする。このように可動部材3が突出位置にある場合において開口101Hを塞ぐ形態は、第一実施例や第三実施例においても当然適用可能である。特に第一実施例のような洗浄手段11(液体洗浄手段)を用いる場合においては、シール用弾性部材等を配置して開口101Hを可動部材3で隙間なく密閉することで、車外から収納部2内への塵埃の侵入を防ぐだけでなく、収納部2内から車外へのウォッシャー液の飛散を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0047】
1 車両用撮影装置
100 車両
101 側面パネル
101H 開口
101a 開口周辺の外表面
2 収納部
3 可動部材
3Z 回動軸線
3a 外表面
4 駆動手段
5 カメラ
5S レンズ面
6 カメラ
6S レンズ面
10 固体洗浄部材
11 洗浄手段(液体洗浄手段)
12、13 洗浄手段(接触洗浄手段)
15 付勢手段