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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/317 20210101AFI20220214BHJP
   H01M 50/325 20210101ALI20220214BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220214BHJP
【FI】
H01M50/317 101
H01M50/325
H01M50/209
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018085631
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019192547
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
(72)【発明者】
【氏名】寺島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
(72)【発明者】
【氏名】菊池 卓郎
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-508518(JP,A)
【文献】特開2005-332767(JP,A)
【文献】特開2004-221129(JP,A)
【文献】特開2018-060671(JP,A)
【文献】特開2000-036295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/317
H01M 50/325
H01M 50/209
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、前記電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、
前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、
を備え、
前記圧力調整弁は、前記第2連通孔を塞ぐシール面を有する弾性部材を備え、
前記シール面には前記第2連通孔に連通された凹部が形成されており、
前記弾性部材は、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10 -12 ~2×10 -11 [mol/(m ・s・Pa)]のガス透過度を有する材料を含む、電池モジュール。
【請求項2】
複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、前記電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、
前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、
を備え、
前記圧力調整弁は、前記第2連通孔を塞ぐシール面と、前記圧力調整弁の外部空間と連通された凹部が形成されている外側面と、を有する弾性部材を備え、
前記弾性部材は、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10 -12 ~2×10 -11 [mol/(m ・s・Pa)]のガス透過度を有する材料を含む、電池モジュール。
【請求項3】
複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、前記電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、
前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、
を備え、
前記圧力調整弁は、前記第2連通孔を塞ぐ弾性部材を備え、
前記弾性部材は、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10-12~2×10-11[mol/(m・s・Pa)]のガス透過度を有する材料を含む、電池モジュール。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記圧力調整弁の外部空間と連通された凹部が形成されている外側面を備える、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記第2連通孔を塞ぐ第1部分と、第2部分とを有し、
前記第1部分は、第1ガス透過度を有する第1材料を含み、
前記第2部分は、前記第1ガス透過度よりも大きい第2ガス透過度を有する第2材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池モジュールとしては、例えば特許文献1に記載されているような薄型電池が知られている。特許文献1に記載の薄型電池は、正極、負極及び集電体を有するバイポーラ電極と、セパレータ及び電解液を含む電解質層と、集電体の一方の主面に正極を取り囲むように配置された第1シール部と、集電体の他方の主面に負極を取り囲むように配置された第2シール部と、第2シール部を貫通するチューブとを備えている。チューブの一端は、セパレータ、集電体及び第2シール部で画成された内部空間に臨み、チューブの他端は、第2シール部の外部空間に臨んでいる。電池内部に発生したガスは、チューブを介して電池外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-287451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、チューブは、内部空間の圧力が上昇すると、内部空間のガスを排出する圧力調整弁として機能する。一方、圧力調整弁が、内部空間と連通する連通孔を塞ぐ弾性部材を備えることがある。この場合、例えば充電時又は過放電時に発生したガスにより内部空間の圧力が上昇すると、弾性部材が押されて連通孔の縁と弾性部材との間に隙間が生じるので、当該隙間からガスが排出される。
【0005】
例えばニッケル水素二次電池では、電池の劣化により電解液が分解して水素ガスが発生することがある。その場合、予め負極の容量(単位:Ah)を正極の容量よりも大きくしておくことによって、負極の一部の活物質を、水素ガスを受け止める充電リザーブとして機能させることができる。しかしながら、充電リザーブが水素ガスを受け止めきれなくなると、内部空間の圧力が上昇するので、頻繁に圧力調整弁が開くことになる。その場合、電解液も圧力調整弁から排出されることによって、電解液が少なくなるおそれがある。
【0006】
本発明の一側面は、圧力調整弁が閉じた状態でも内部空間の圧力上昇を抑制できる圧力調整弁を有する電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る電池モジュールは、複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、前記電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、を備え、前記圧力調整弁は、前記第2連通孔を塞ぐシール面を有する弾性部材を備え、前記シール面には前記第2連通孔に連通された凹部が形成されている。
【0008】
上記電池モジュールでは、内部空間においてガスが発生した場合、圧力調整弁が閉じた状態で、当該ガスの一部が、シール面の凹部から弾性部材を透過して圧力調整弁の外部空間に漏れ出る。シール面には凹部が形成されているので、凹部が形成されていない場合に比べて、ガスが入射する領域の面積は大きくなる。そのため、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、圧力調整弁が閉じた状態でも内部空間の圧力上昇を抑制できる。
【0009】
本発明の他の一側面に係る電池モジュールは、複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、前記電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、を備え、前記圧力調整弁は、前記第2連通孔を塞ぐシール面と、前記圧力調整弁の外部空間と連通された凹部が形成されている外側面と、を有する弾性部材を備える。
【0010】
上記電池モジュールでは、内部空間においてガスが発生した場合、圧力調整弁が閉じた状態で、当該ガスの一部が、シール面から弾性部材を透過して、外側面の凹部から圧力調整弁の外部空間に漏れ出る。外側面には凹部が形成されているので、凹部が形成されていない場合に比べて、ガスが放出される領域の面積は大きくなる。そのため、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、圧力調整弁が閉じた状態でも内部空間の圧力上昇を抑制できる。
【0011】
本発明の他の一側面に係る電池モジュールは、複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、前記電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、を備え、前記圧力調整弁は、前記第2連通孔を塞ぐ弾性部材を備え、前記弾性部材は、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10-12~2×10-11[mol/(m・s・Pa)]のガス透過度を有する材料を含む。
【0012】
上記電池モジュールでは、内部空間においてガスが発生した場合、圧力調整弁が閉じた状態で、当該ガスの一部が、弾性部材を透過して圧力調整弁の外部空間に漏れ出る。弾性部材は高いガス透過度を有する材料を含むので、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、圧力調整弁が閉じた状態でも内部空間の圧力上昇を抑制できる。
【0013】
本発明の他の一側面に係る電池モジュールは、複数のバイポーラ電極が積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、前記電極積層体に設けられた内部空間と連通された第1連通孔を有する枠体とを有するモジュール本体と、前記モジュール本体に取り付けられ、前記第1連通孔と連通された第2連通孔を有する圧力調整弁と、を備え、前記圧力調整弁は、前記第2連通孔を塞ぐ第1部分と、第2部分とを有する弾性部材を備え、前記第1部分は、第1ガス透過度を有する第1材料を含み、前記第2部分は、前記第1ガス透過度よりも大きい第2ガス透過度を有する第2材料を含む。
【0014】
上記電池モジュールでは、内部空間においてガスが発生した場合、圧力調整弁が閉じた状態で、当該ガスの一部が、弾性部材を透過して圧力調整弁の外部空間に漏れ出る。弾性部材の第2部分は高いガス透過度を有する第2材料を含むので、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、圧力調整弁が閉じた状態でも内部空間の圧力上昇を抑制できる。
【0015】
前記弾性部材は、前記圧力調整弁の外部空間と連通された凹部が形成されている外側面を備えてもよい。この場合、内部空間において発生したガスは、圧力調整弁が閉じた状態で、弾性部材を透過して、外側面の凹部から圧力調整弁の外部空間に漏れ出る。外側面には凹部が形成されているので、ガスが放出される領域の面積は大きくなる。そのため、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間の圧力上昇を更に抑制できる。
【0016】
前記弾性部材は、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10-12~2×10-11[mol/(m・s・Pa)]のガス透過度を有する材料を含んでもよい。この場合、弾性部材が高いガス透過度を有する材料を含むので、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間の圧力上昇を更に抑制できる。
【0017】
前記弾性部材は、前記第2連通孔を塞ぐ第1部分と、第2部分とを有し、前記第1部分は、第1ガス透過度を有する第1材料を含み、前記第2部分は、前記第1ガス透過度よりも大きい第2ガス透過度を有する第2材料を含んでもよい。この場合、弾性部材の第2部分が高いガス透過度を有する第2材料を含むので、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間の圧力上昇を更に抑制できる。
【0018】
前記弾性部材は、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10-12~2×10-11[mol/(m・s・Pa)]のガス透過度を有する材料を含んでもよい。この場合、弾性部材が高いガス透過度を有する材料を含むので、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間の圧力上昇を更に抑制できる。
【0019】
前記弾性部材は、前記第2連通孔を塞ぐ第1部分と、第2部分とを有し、前記第1部分は、第1ガス透過度を有する第1材料を含み、前記第2部分は、前記第1ガス透過度よりも大きい第2ガス透過度を有する第2材料を含んでもよい。この場合、弾性部材の第2部分が高いガス透過度を有する第2材料を含むので、弾性部材のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間の圧力上昇を更に抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、圧力調整弁が閉じた状態でも内部空間の圧力上昇を抑制できる圧力調整弁を有する電池モジュールが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る電池モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。
図2】電池モジュールの概略断面図である。
図3】電池モジュールの概略斜視図である。
図4】電池モジュールの一部を示す分解斜視図(一部断面を含む)である。
図5】電池モジュールが備える圧力調整弁の斜視図である。
図6】圧力調整弁の一部を示す断面図である。
図7】第1変形例に係る圧力調整弁の一部を示す断面図である。
図8】第2変形例に係る圧力調整弁の一部を示す断面図である。
図9】第3変形例に係る圧力調整弁の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。図1において、蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両のバッテリとして使用される。蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)の電池モジュールとしてのバイポーラ電池2を備えている。バイポーラ電池2は、例えばニッケル水素二次電池である。
【0024】
複数のバイポーラ電池2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(Z軸方向)の両端に位置するバイポーラ電池2の外側にも配置されている。バイポーラ電池2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)を呈している。導電板3は、隣り合うバイポーラ電池2と電気的に接続されている。これにより、複数のバイポーラ電池2が積層方向に直列接続されている。
【0025】
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
【0026】
導電板3は、バイポーラ電池2において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板3には、積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに垂直な方向(Y軸方向)に延在した複数の空隙3aが設けられている。これらの空隙3aを空気等の冷媒が通過することにより、バイポーラ電池2からの熱を効率的に外部に放出することができる。
【0027】
また、蓄電装置1は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に挟む1対の拘束プレート7と、これらの拘束プレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
【0028】
拘束プレート7は、鉄等の金属で形成されている。各拘束プレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。拘束プレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を呈している。ボルト8の軸部8aが各拘束プレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、バイポーラ電池2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。
【0029】
図2は、バイポーラ電池2の概略断面図である。図3は、バイポーラ電池2の概略斜視図である。図2及び図3において、バイポーラ電池2は、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。バイポーラ電池2は、モジュール本体11と、このモジュール本体11の一側面に取り付けられた複数(ここでは4つ)の圧力調整弁12とを備えている。
【0030】
モジュール本体11は、複数のバイポーラ電極13がセパレータ14を介して積層されてなる電極積層体15と、この電極積層体15を取り囲むように配置された枠体16とを備えている。
【0031】
バイポーラ電極13及びセパレータ14は、例えば平面視矩形状を呈している。セパレータ14は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極13の間に配置されている。バイポーラ電極13は、集電体であるニッケル箔17と、このニッケル箔17の上面17a(一方面)に形成された正極18と、ニッケル箔17の下面17b(他方面)に形成された負極19とを有している。
【0032】
バイポーラ電極13の正極18は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極13の負極19と対向している。バイポーラ電極13の負極19は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極13の正極18と対向している。
【0033】
電極積層体15の最下層には、正極側終端電極20が配置されている。正極側終端電極20は、ニッケル箔17と、このニッケル箔17の上面17aに形成された正極18とを有している。電極積層体15の最上層には、負極側終端電極21が配置されている。負極側終端電極21は、ニッケル箔17と、このニッケル箔17の下面17bに形成された負極19とを有している。正極側終端電極20の正極18は、セパレータ14を挟んで最下層のバイポーラ電極13の負極19と対向している。負極側終端電極21の負極19は、セパレータ14を挟んで最上層のバイポーラ電極13の正極18と対向している。正極側終端電極20及び負極側終端電極21のニッケル箔17は、積層方向に隣り合う導電板3(図1参照)に接続されている。
【0034】
正極18は、ニッケル箔17の一方面に正極活物質を塗工することにより形成されている。正極活物質としては、例えばコバルト(Co)酸化物コートが施された水酸化ニッケルが用いられる。負極19は、ニッケル箔17の他方面に負極活物質を塗工することにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が用いられる。ニッケル箔17の縁部17cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
【0035】
セパレータ14は、正極18と負極19との間に配置され、正極18と負極19とを隔離する。セパレータ14は、積層方向から見てニッケル箔17よりも小さく且つ正極18及び負極19よりも大きい。セパレータ14は、例えばシート状に形成されている。セパレータ14は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、もしくはPE、PP、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはメチルセルロース等からなる不織布または織布等で形成されている。また、セパレータ14は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されていてもよい。なお、セパレータ14の形状としては、特にシート状に限られず、袋状であってもよい。
【0036】
枠体16は、電極積層体15の周囲に配置され、各ニッケル箔17の縁部17cをそれぞれ保持する複数の一次シール部22と、これらの一次シール部22の周囲に配置された二次シール部23とを有している。
【0037】
各一次シール部22は、積層方向に沿ってニッケル箔17毎に配置されている。一次シール部22は、枠状に形成されている。一次シール部22は、ニッケル箔17の縁部17cに熱溶着により接合されている。
【0038】
積層方向に隣り合うニッケル箔17間には、ニッケル箔17、正極18、負極19及び一次シール部22によって画成された内部空間Vが設けられている。従って、電極積層体15には、複数の内部空間Vが設けられている。セパレータ14内を含む内部空間Vには、アルカリ性の電解液が注入されている。アルカリ性の電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等を含むアルカリ溶液が用いられている。一次シール部22は、内部空間Vを封止する。バイポーラ電池2の各セルは、2つのニッケル箔17、正極18、負極19、セパレータ14及び一次シール部22により構成され、内部空間Vを有している。
【0039】
二次シール部23は、角筒状を有している。二次シール部23は、内部空間Vを更に封止する。二次シール部23は、各一次シール部22に接合されている。二次シール部23は、例えば射出成形等により形成されている。
【0040】
一次シール部22及び二次シール部23は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等の樹脂で形成されている。
【0041】
枠体16を構成する一の壁部16aには、圧力調整弁12が取り付けられる複数(ここでは4つ)の圧力調整弁取付領域24が設けられている。一次シール部22の各圧力調整弁取付領域24には、図4に示されるように、複数(ここでは6つ)の連通孔25(第1連通孔)がそれぞれ設けられている。連通孔25は、各圧力調整弁取付領域24において2列3段(Y軸方向に2列、Z軸方向に3段)に配列されている。従って、連通孔25は、壁部16aにおいて8列3段に配列されている。各連通孔25は、異なるセルの内部空間Vとそれぞれ連通されている。
【0042】
二次シール部23の各圧力調整弁取付領域24には、図4に示されるように、各連通孔25と連通された複数(ここでは6つ)の連通孔26(第1連通孔)がそれぞれ設けられている。連通孔26は、一次シール部22側から二次シール部23の外側面に向かって徐々に幅広となるようにテーパ状に形成されている。連通孔26は、各圧力調整弁取付領域24において2列3段に配列されている。
【0043】
連通孔25,26は、内部空間Vに電解液を注入するための注液孔として機能する。また、連通孔25,26は、電解液が注入された後は、内部空間Vで発生したガスが流れる流路となる。
【0044】
二次シール部23の各圧力調整弁取付領域24の外側面には、略枠状の接合用突起27がそれぞれ設けられている。接合用突起27は、モジュール本体11と圧力調整弁12とを接合すると共に、各内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは6つ)の流路28を連通孔26と協働して形成する。従って、流路28は、各圧力調整弁取付領域24において2列3段に配列されている。流路28は、X軸方向に垂直な方向に切った断面で矩形状を呈している。一方の列の流路28は、他方の列の流路28に対して積層方向(Z軸方向)にずれている。
【0045】
接合用突起27は、一方の列の流路28と他方の列の流路28とを仕切る隔壁29を有している。隔壁29は、Z軸方向に直線状に延在している。隔壁29の幅寸法は、接合用突起27における隔壁29以外の部分の幅寸法よりも大きい。
【0046】
圧力調整弁12は、図4に示されるように、ケース33(第1部材)と、複数(ここでは6つ)の弁体34(弾性部材)と、カバー35(第2部材)とを有している。ケース33は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。ケース33は、底面を含む底壁部36を有している。底壁部36には、底面からカバー35側に向けて貫通した複数(ここでは6つ)の連通孔37(第2連通孔)が設けられている。これらの連通孔37は、モジュール本体11の各連通孔26とそれぞれ連通されている。連通孔37は、X軸方向に垂直な方向に切った断面で円形状を呈している(図5参照)。
【0047】
ケース33の底面には、略枠状の接合用突起38がそれぞれ設けられている(図5参照)。接合用突起38は、モジュール本体11と圧力調整弁12とを接合すると共に、各内部空間Vからのガスがそれぞれ流れる複数(ここでは6つ)の流路39を形成する。接合用突起38は、モジュール本体11の接合用突起27と接合される。接合用突起38は、接合用突起27に対応する形状及び寸法を有している。従って、流路39は、X軸方向に垂直な方向に切った断面で矩形状を呈している。一方の列の流路39は、他方の列の流路39に対してZ軸方向にずれている。
【0048】
接合用突起38は、図5に示されるように、一方の列の流路39を形成する枠部40と、他方の列の流路39を形成する枠部41とを有している。枠部40,41は同じ形状を有しており、Z軸方向において互いにずれている。枠部40,41間にはZ軸方向に延在する隙間が形成されている。なお、図5は、圧力調整弁12の斜視図である。
【0049】
また、ケース33は、図4に示されるように、弁体34を収容する複数(ここでは6つ)の収容凹部44aを形成する内壁部44を有している。内壁部44は、底壁部36と一体化されている。収容凹部44aは、X軸方向に垂直な方向に切った断面で円形状を呈している。収容凹部44aは、連通孔37と連通可能となっている。
【0050】
弁体34は、連通孔37を塞ぐように収容凹部44aに収容されている。弁体34は、連通孔37を開閉させる。弁体34の側面34cと内壁部44の内壁面との間には、隙間Gが設けられている(図6参照)。
【0051】
カバー35は、ケース33の開口を塞ぐ板状部材である。カバー35は、例えばPP、PPSまたは変性PPE等の樹脂で形成されている。カバー35は、ケース33の開口端面に熱溶着により接合されている。カバー35は、複数の弁体34をケース33の底壁部36に押し付ける押圧部材としても機能する。ケース33の内壁部44とカバー35との間には、収容凹部44aと連通した収容空間Sが設けられている。また、カバー35には、複数(ここでは2つ)の排気口45が設けられている。排気口45は、収容空間Sと連通されている。
【0052】
このような圧力調整弁12において、ケース33の連通孔37は、二次シール部23の連通孔26及び一次シール部22の連通孔25を通してモジュール本体11の内部空間Vと連通されている。内部空間Vの圧力が設定圧よりも低いときは、連通孔37が弁体34によって塞がれた閉弁状態に維持される。内部空間Vの圧力が上昇して設定圧以上になると、弁体34が底壁部36から離間するように弾性変形し、連通孔37の閉塞が解除された開弁状態となる。その結果、内部空間Vからのガスが弁体34の側面34cと内壁部44の内壁面との隙間G及び収容空間Sを通って排気口45から排出されるようになる(図6参照)。
【0053】
図6は、圧力調整弁12の一部を示す断面図である。図6に示されるように、弁体34は、連通孔37を塞ぐシール面34aと、カバー35によって押圧される押圧面34bと、シール面34aと押圧面34bとを接続する側面34c(外側面)とを有する。弁体34は、シール面34aに交差する方向に延在する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。
【0054】
シール面34aは、ケース33の底壁部36と弁体34との間をシールする。シール面34aは、連通孔37の縁に設けられた突起37aに接触している。シール面34aの縁は、連通孔37の外側に位置しており、例えば円形状を有する。シール面34aには、連通孔37に連通された凹部34dが形成されている。弁体34の軸方向における凹部34dの深さは、例えば弁体34の軸方向の長さの1/4以上である。凹部34dの開口面は例えば円形であり、連通孔37の開口端の内側に位置する。凹部34dの内面は、柱状の弁体34の軸方向に延在する円筒形状を有する。凹部34dの底面は例えば半球形状を有している。凹部34dの開口面の大きさは非常に小さくてもよいし、当該開口面の形状は例えば矩形状であってもよい。すなわち、凹部34dは、切り欠き、スリット又はピンホールであってもよい。また、複数の凹部34dがシール面34aに形成されてもよい。
【0055】
押圧面34bの縁は、シール面34aの縁と同じ形状を有している。弁体34の側面34cと内壁部44の内壁面との間には、収容空間Sと連通された隙間Gが設けられている。したがって、隙間Gは、収容空間S及び排気口45を介して圧力調整弁12の外部空間と連通されている。
【0056】
弁体34は、例えばゴム部材である。ゴム部材は、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴムを含む。弁体34の全質量を基準としてゴムの組成比は例えば90質量%以上である。弁体34は、例えば熱可塑性エラストマー等からなる樹脂部材であってもよい。
【0057】
上述のバイポーラ電池2では、内部空間Vにおいて例えば電解液から水素ガス等のガスが発生した場合、ガスは、連通孔25,26,37を通って弁体34のシール面34aの凹部34dに到達する。ここで、ガスの一部は、圧力調整弁12が閉じた状態で、シール面34aの凹部34dから弁体34を透過して、側面34cから隙間Gに漏れ出る。隙間Gに漏れ出たガスは、収容空間S及び排気口45を経由して圧力調整弁12の外部空間に排出される。シール面34aには凹部34dが形成されているので、凹部34dが形成されていない場合に比べて、ガスが入射する領域の面積は大きくなる。また、シール面34aに凹部34dが形成されていることによって、凹部34dの内面に入射したガスが弁体34を透過する際のガス経路長を短くできる。その結果、弁体34のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間Vの圧力上昇を抑制できる。これにより、頻繁に圧力調整弁12が開くことを抑制し、圧力調整弁12からの電解液の排出量を低減することができる。また、内部空間V内で発生したガスを圧力調整弁12の外部空間に徐々に排出できるので、負極19の容量を正極18の容量よりも大きくすることによって形成される充電リザーブの寿命も長くできる。
【0058】
図7は、第1変形例に係る圧力調整弁112の一部を示す断面図である。図7に示される圧力調整弁112は、弁体34に代えて弁体134を備えること以外は図6の圧力調整弁12と同じ構成を有する。弁体134は、連通孔37を塞ぐシール面134aと、カバー35によって押圧される押圧面134bと、シール面134aと押圧面134bとを接続する側面134c(外側面)とを有する。弁体134は、シール面134aに交差する方向に延在する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。
【0059】
シール面134aは、凹部34dが形成されていないこと以外はシール面34aと同じ構成を有する。押圧面134bは押圧面34bと同じ構成を有する。側面134cには、弁体134の軸方向に配列された複数の凹部134dが形成されている。各凹部134dは、隙間G、収容空間S及び排気口45を介して圧力調整弁112の外部空間と連通されている。凹部134dは、柱状の弁体134の軸の周りに全周又は一部にわたって形成されている。弁体134の軸を含む断面(図7)において、凹部134dの底面は例えば半球形状を有している。凹部134dの開口面の大きさは非常に小さくてもよいし、当該開口面の形状は例えば円形状であってもよいし、矩形状であってもよい。すなわち、凹部134dは、切り欠き、スリット又はピンホールであってもよい。この場合、凹部134dが存在していても、シール面134aの全体にわたって面圧を所望の範囲内に制御し易い。凹部134d内には粉末が収容されてもよい。この場合、弁体134が圧縮されることによって凹部134dが潰れても、粉末によって凹部134dが消失することが防止される。そのため、ガスが粉末間の空隙を通ることができる。粉末としては、例えばセラミック多孔体を用いることができるが、他にも電気的な短絡の要因とならない絶縁物の粒子であれば用いることができる。凹部134dは、深さ方向(弁体134の軸に交差する方向)において弁体134を貫通してもよい。例えば、弁体134は、積層された複数の円盤状部材からなる。また、単一の凹部134dが側面134cに形成されてもよい。
【0060】
図7の圧力調整弁112を備えるバイポーラ電池2では、内部空間Vにおいてガスが発生した場合、ガスは、連通孔25,26,37を通って弁体134のシール面134aに到達する。ここで、ガスの一部は、圧力調整弁112が閉じた状態で、シール面134aから弁体134を透過して、側面134cの凹部134dから隙間Gに漏れ出る。隙間Gに漏れ出たガスは、収容空間S及び排気口45を経由して圧力調整弁112の外部空間に排出される。側面134cには凹部134dが形成されているので、凹部134dが形成されていない場合に比べて、ガスが放出される領域の面積は大きくなる。また、側面134cに凹部134dが形成されていることによって、凹部134dの内面から放出されるガスが弁体134を透過する際のガス経路長を短くできる。その結果、弁体134のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間Vの圧力上昇を抑制できる。これにより、頻繁に圧力調整弁112が開くことを抑制し、圧力調整弁112からの電解液の排出量を低減することができる。また、内部空間V内で発生したガスを圧力調整弁112の外部空間に徐々に排出できるので、負極19の容量を正極18の容量よりも大きくすることによって形成される充電リザーブの寿命も長くできる。
【0061】
図8は、第2変形例に係る圧力調整弁212の一部を示す断面図である。図8に示される圧力調整弁212は、弁体34に代えて弁体234を備えること以外は図6の圧力調整弁12と同じ構成を有する。弁体234は、連通孔37を塞ぐシール面234aと、カバー35によって押圧される押圧面234bと、シール面234aと押圧面234bとを接続する側面234c(外側面)とを有する。弁体234は、シール面234aに交差する方向に延在する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。
【0062】
弁体234は、常温(25℃)において水素ガスに対して1×10-12~2×10-11[mol/(m・s・Pa)]のガス透過度を有する材料を含む。ガス透過度は、JIS K 6275-1における圧力センサ法に従って測定される。
【0063】
弁体234の材料は、ゴムと、添加剤とを含む。ゴムとしては、弁体34を構成するゴムと同じ種類のゴムが使用され得る。弁体234の全質量を基準としてゴムの組成比は例えば90質量%以上である。添加剤の添加量を調整することによって、ゴム部材を構成する材料のガス透過度を調整することができる。
【0064】
図8の圧力調整弁212を備えるバイポーラ電池2では、内部空間Vにおいてガスが発生した場合、ガスは、連通孔25,26,37を通って弁体234のシール面234aに到達する。ここで、ガスの一部は、圧力調整弁212が閉じた状態で、シール面234aから弁体234を透過して、側面234cから隙間Gに漏れ出る。隙間Gに漏れ出たガスは、収容空間S及び排気口45を経由して圧力調整弁212の外部空間に排出される。弁体234は高いガス透過度を有する材料を含むので、弁体234のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間Vの圧力上昇を抑制できる。これにより、頻繁に圧力調整弁212が開くことを抑制し、圧力調整弁212からの電解液の排出量を低減することができる。また、内部空間V内で発生したガスを圧力調整弁212の外部空間に徐々に排出できるので、負極19の容量を正極18の容量よりも大きくすることによって形成される充電リザーブの寿命も長くできる。
【0065】
図9は、第3変形例に係る圧力調整弁312の一部を示す断面図である。図9に示される圧力調整弁312は、弁体34に代えて弁体334を備えること以外は図6の圧力調整弁12と同じ構成を有する。弁体334は、連通孔37を塞ぐシール面334aと、カバー35によって押圧される押圧面334bと、シール面334aと押圧面334bとを接続する側面334c(外側面)とを有する。弁体334は、シール面334aに交差する方向に延在する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。
【0066】
弁体334は、第1部分335と第2部分336とを有する。第1部分335と第2部分336とは互いに別体である。第1部分335は、連通孔37を塞ぐシール面334aを有する。第1部分335は、シール面334aに交差する方向に延在する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。第1部分335は第1ガス透過度を有する第1材料を含む。第1材料は、例えば弁体34の材料と同じであり、高い耐アルカリ性を有し、高いシール性を有する。第2部分336は、カバー35によって押圧される押圧面334bを有する。第2部分336は、押圧面334bに交差する方向に延在する軸を有する柱状部材(例えば円柱状部材)である。第2部分336は、第1ガス透過度よりも大きい第2ガス透過度を有する第2材料を含む。第2材料は、例えば弁体234の材料と同じであり、高いガス透過度を有する。
【0067】
弁体334は、複数の第1部分335と複数の第2部分336とを備え、柱状の弁体334の軸方向に沿って第1部分335と第2部分336とが交互に配列されてもよい。
【0068】
図9の圧力調整弁312を備えるバイポーラ電池2では、内部空間Vにおいてガスが発生した場合、ガスは、連通孔25,26,37を通って弁体334のシール面334aに到達する。ここで、ガスの一部は、圧力調整弁312が閉じた状態で、シール面334aから弁体334を透過して、側面334cから隙間Gに漏れ出る。隙間Gに漏れ出たガスは、収容空間S及び排気口45を経由して圧力調整弁312の外部空間に排出される。弁体334の第2部分336は高いガス透過度を有する第2材料を含むので、弁体334のガス透過量を大きくできる。したがって、内部空間Vの圧力上昇を抑制できる。これにより、頻繁に圧力調整弁312が開くことを抑制し、圧力調整弁312からの電解液の排出量を低減することができる。また、内部空間V内で発生したガスを圧力調整弁312の外部空間に徐々に排出できるので、負極19の容量を正極18の容量よりも大きくすることによって形成される充電リザーブの寿命も長くできる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0070】
上記実施形態及び変形例の各構成要素は任意に組み合わされてもよい。例えば、図7の弁体134のシール面134aには凹部34dが形成されていないが、図6の凹部34dが形成されてもよい。
【0071】
図8の弁体234のシール面234aには凹部34dが形成されていないが、図6の凹部34dが形成されてもよい。弁体234の側面234cには凹部134dが形成されていないが、図7の凹部134dが形成されてもよい。
【0072】
図9の弁体334のシール面334aには凹部34dが形成されていないが、図6の凹部34dが形成されてもよい。弁体334の側面334cには凹部134dが形成されていないが、図7の凹部134dが形成されてもよい。凹部134dは、第1部分335に形成されてもよいし、第2部分336に形成されてもよい。また、凹部134d内に第2部分336が埋め込まれ、弁体334のその他の部分が第1部分335であってもよい。すなわち、図7の弁体134が第1部分335に相当し、図7の凹部134d内に第2部分336が埋め込まれてもよい。
【0073】
上記実施形態では、電池モジュールとしてのバイポーラ電池2はニッケル水素二次電池であるが、本発明は、特にニッケル水素二次電池には限られず、リチウムイオン二次電池等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
2…バイポーラ電池(電池モジュール)、11…モジュール本体、12,112,212,312…圧力調整弁、13…バイポーラ電極、15…電極積層体、16…枠体、25,26…連通孔(第1連通孔)、34,134,234,334…弁体(弾性部材)、34a,134a,234a,334a…シール面、34d,134d…凹部、34c,134c,234c,334c…側面(外側面)、37…連通孔(第2連通孔)、335…第1部分、336…第2部分、V…内部空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9