(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】被加工物に歯部を作製または加工する方法、この方法を実行するコンピュータプログラム、及び、歯作製機械
(51)【国際特許分類】
B23F 23/12 20060101AFI20220214BHJP
B23Q 15/12 20060101ALI20220214BHJP
G05B 19/404 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
B23F23/12
B23Q15/12 Z
G05B19/404 K
(21)【出願番号】P 2018522966
(86)(22)【出願日】2016-11-03
(86)【国際出願番号】 EP2016001829
(87)【国際公開番号】W WO2017076503
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-07-18
(31)【優先権主張番号】102015014313.1
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500120211
【氏名又は名称】グリーソン - プァウター マシネンファブリク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン キーンツレ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン メイヤー
【審査官】永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-62967(JP,A)
【文献】特表平6-500415(JP,A)
【文献】特開昭60-52219(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146661(WO,A1)
【文献】特開2011-141247(JP,A)
【文献】特開2005-96070(JP,A)
【文献】独国特許発明第4133539(DE,C1)
【文献】特開2004-25333(JP,A)
【文献】特開2005-81500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00-23/12,
B23Q 15/00-15/28,
G05B 19/18-19/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転加工するように係合して、歯車形削りによって、被加工物に歯部を作製または加工するための方法であって、被加工物および工具の回転スピンドル駆動装置のNC制御装置は、それぞれの特定のスピンドルの回転角度位置を、前記方法の基礎となるプロセス設計に関係するプロセスパラメータに応じた設定値に調整することを含み、
加工中に発生するプロセス力によって生じ、前記被加工物の歯形の形状ずれを引き起こすゆがみに関する情報を含むデータであって、前記プロセス設計の意図した位置からはずれた工具および被加工物の工具の歯面の位置のデータを使用して、前記ゆがみを考慮して、前記被加工物のスピンドルおよび/または工具のスピンドルの回転角度位置の補正を決定し、それにより前記調整の前記設定値を修正することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記設定値の補正は周期的である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設定値の補正の被加工物に関する周期長さは、360°/前記被加工物の歯数、に相当する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記補正の1つの位相は、空間的に固定された特定の基準角度位置までの前記被加工物の歯溝の中心の角度距離に加えて、位相のオフセットを含む請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記設定値の補正の振幅は、工具および被加工物の直径ならびに歯数、前記工具および被加工物の弾性、歯のモジュール、前記歯のねじれ角のうちの1つまたは複数のパラメータに応じて決定される請求項2乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
最初の被加工物の1回の加工を完了した後に前記設定値を修正し、前記設定値の補正は、同じプロセス設計の下で加工が実行される、後続の同じタイプの被加工物に対して実行される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
加工終了した前記被加工物を測定し、前記設定値の補正のためにその測定からデータを引きだす請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記設定値の補正の振幅の大きさは、前記歯形の形状ずれにおける前記歯全体で平均化された最大厚さ差によって決定される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工具および被加工物の直径ならびに歯数、前記工具および被加工物の弾性、歯のモジュール、前記歯のねじれ角のパラメータのうちの1つまたは複数は、前記振幅の微調整に取り込まれる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、1つの被加工物になされる少なくとも2回のパスで実行され、早い方のパスは前記設定値の補正前に終了され、前記設定値の変更は、前記被加工物の加工の後続のパスのうち少なくとも1つのパスのために実行される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記早い方のパス中に、まだ修正されていない調整によって実行される実際の値の再調節の時間推移が、設定値によって決定され、前記設定値の補正の前記決定のためのデータとして使用される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記設定値の補正の前記決定は、被加工物および/もしくは工具のスピンドルの前記回転角度位置の記録された前記ずれに基づいて、及び、被加工物および工具の弾性を考慮して、トルク調整に基づいて被加工物および/もしくは工具のスピンドルのスピンドルモータによって実際に加えられたトルクの検出値に基づいて実行される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記設定値の前記修正は、表の形式で作られた補正値によって前記NC制御装置に入れられる請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
歯作製機械に実装された場合、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法を実行するための前記機械を制御するプログラム命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項15】
歯作成機械であって、加工工具をつかむための、スピンドル駆動モータによって回転駆動される回転工具スピンドルと、被加工物スピンドルを駆動するためのスピンドル駆動モータと、前記スピンドルの回転角度位置を、前記機械に入力された前記プロセスパラメータに応じて指定の設定値に調整することを含む前記回転スピンドル駆動装置のNC制御装置であって、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法を実行するための前記機械を制御する、制御装置によって特徴付けられたNC制御装置と、を備える歯作製機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転加工するように係合して、具体的には歯車形削りによって、被加工物に歯部を作製または加工するための方法に関する。本方法では、被加工物および工具の回転スピンドル駆動装置のNC制御は、それぞれの特定のスピンドルの回転角度位置を、本方法の基礎となるプロセス設計に関係するプロセスパラメータに応じて決められた設定値に調整することを含む。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、歯部作製技術分野の当業者にはよく知られており、例えば、歯部の歯車形削りおよび歯車ホブ切りを含む。本方法はプロセス設計に基づき、プロセス設計は、はじめに、作製しようとする被加工物のパラメータで決定される。これらは一般に、使用者によって指定され、被加工物の直径およびその歯数、作製される歯部のモジュール、ならびにねじれ角、必要ならば、クラウニングなどの歯面の修正に関係する。これらの被加工物のパラメータに加えて、形削りプロセス用の形削りカッタまたはホブ切りプロセス用のホブカッタなどの工具のパラメータが、プロセス設計と同様に決定される。ここでは、工具に対して歯数および直径が考慮され、また、プロセスパラメータまたは技術パラメータとして、サイクル数(荒加工サイクル、仕上サイクル)、および、例えば、歯車形削り時のピッチ当たりのストローク数が考慮される。試行の目的で、プロセス設計の機能効率が試験され、試行で被加工物が所望精度を満足していないことを示した場合、必要ならばプロセス設計が調節される。歯車形削りの場合、そのときには、例えば、ピッチ当たりの形削りストローク数を増やし、プロセス設計はそれに対応して適合される。このようにプロセス設計が確立されると、パラメータも設定され、それらのパラメータに応じてNC制御された機械の軸に対する設定値が指定される。これらは、工具および被加工物が回転する回転軸の回転スピンドル駆動装置、直線および回転方向の位置決め軸、ならびに、歯車形削りの場合には、形削り具のキャリッジの軸にとって意味がある。NC制御装置に含まれるこれらの設定値の調整を使用して、被加工物に歯部を作製する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、このタイプの方法を使用することによって可能な最短の加工時間で可能な最高の加工精度を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、前述のタイプの方法をさらに発展させることによって方法論的な考え方から達成される。これは、加工中に発生するプロセス力によって生じ、被加工物の歯形の形状ずれを引き起こすゆがみに関する情報を含むデータであって、プロセス設計の意図した位置からはずれた工具および被加工物の工具の歯面の位置のデータを使用して、そのゆがみを考慮して、被加工物のスピンドルおよび/または工具のスピンドルの回転角度位置の補正を決定し、それにより調整の設定値を修正することを本質的に特徴とする。
【0005】
本発明の環境では、発生するプロセス力のため、指定の設定値で調整したにもかかわらず、被加工物/工具の歯面がプロセス設計により意図された位置からはずれてゆがみ、これが歯形の形状ずれの発生の要因となるが、それは、プロセス設計に関係するプロセスパラメータに応じて、ゆがみに対して逆の働きをする補正を用いて指定の設定値を修正することによって、基本のプロセス設計を変えないでも打ち消すことができることが認識される。その後、修正された設定値がNC制御装置に与えられ、これは、実際には基本のプロセス設計においては歯形の形状ずれを導くが、プロセス力のために生じるずれと反対方向を向き、その結果、全体として、指定した設定値の輪郭からの歯形の形状ずれが小さい被加工物が得られる。これによって、技術パラメータおよびプロセス設計の変化を避けることができ、または、それらの変化は限定的にすぎず、また、このようにして加工時間を節約することができる。
【0006】
好ましい実施形態では、設定値の補正は周期的に適用される。この環境では、被加工物に基づく周期長さは、360°/被加工物の歯数、に相当するものとする。
【0007】
さらに、また、設定値の補正は、全体的に調波的に、または、例えば、初回のアプローチで調波的に設計することができ、また、いくつかの場合、より小さな程度の非調波補正をこの高調波補正に重ねることができる。
【0008】
好ましい方法の実施形態では、補正の1つの位相は、空間的に固定された特定の基準角度位置からの被加工物の歯溝の中心の角度距離に加えて、被加工物の歯形の誤差を考慮した位相のオフセットを含む。この補正と空間的に固定された基準角度位置とを適切に合わせる結果として、関連する角度距離もまた、補正プロセスの「較正」によってゼロに調節することができる。それによって、例えば、スピンドルモータによって加えられたトルクをプロットした(回転角度に基づいた)経路全体に最もよく合うように(回転角度に基づいてすでに決定された周波数)調和関数を設定することで位相のオフセットを決定することができる。
【0009】
本方法の特に好ましい実施形態では、設定値の補正の振幅は、次のパラメータのうちの1つまたは複数のパラメータに応じて決定される。すなわち、工具および被加工物の直径および歯数、工具および被加工物の弾性、歯のモジュール、歯のねじれ角である。工具の弾性は、工具の中心点で測定されたものに関し、被加工物の弾性は、力が流れるすべての構成部品を含めてこれを考慮することができる(絶対値測定)。
【0010】
この方法の好ましい変形例では、最初の被加工物の1回の加工を完了した後に設定値を修正し、設定値の補正は、同じプロセス設計の下で加工が実行される、後続の同じタイプの被加工物に対して実行される。この方法の変形例は、一連の多くの類似の被加工物を作製する場合に特に適している。
【0011】
この変形例では、加工を完了した被加工物が測定され、また、それから設定値の補正のためのデータも採られることが好ましい。このタイプの設定値の補正によって、所望の設定値の歯形の形状にできるだけ近い歯形の形状にする際にさらに高い精度にすることができる。
【0012】
特に好ましい方法の設計において、この変形例では、設定値の補正の振幅の大きさは、測定された被加工物の歯形の形状ずれにおける歯全体で測定された最大寸法差によって決定される。これによって、すでに歯形の形状ずれは認識できるほど小さくなる。さらに、歯形の形状ずれの最小化をさらに最適化するために、前述のパラメータのうちの1つまたは複数を振幅の微調整に影響を与えるようにさせることができる。
【0013】
代替または補足の方法の設計では、方法は、1つの被加工物になされる少なくとも2回のパス、具体的には異なる送り込み深さ、で実行され、早い方のパスは設定値の補正前に終了され、設定値の変更は、被加工物の加工の後続のパスのうち少なくとも1つ、特に最終パスを含むパスのために実行される。この変形例では、中間測定のための被加工物の補強は不要である。その代わり、設定値の補正は早い方のパスで決定されたデータを参照して達成される。この変形例の方法は、例えば、個々に製造する大きな被加工物には特に適している。
【0014】
この環境では、まだ修正されていない調整によって実行される実際の値の設定値への再調節の時間推移が、早い方のパスで決定され、これらの再調節値は、設定値の補正の決定のためのデータとして使用されることが好ましい。
【0015】
特に好ましい方法の設計では、また、設定値の補正の決定は、被加工物および/もしくは工具のスピンドルの回転角度位置の記録されたずれを使用して、ならびに/または、特に、被加工物および工具で測定された弾性を考慮して、トルク調整に基づいて被加工物および/もしくは工具のスピンドルのスピンドルモータによって実際に加えられたトルクの検出値を使用して実行される。
【0016】
設定値の修正は、表の形式で用意された補正の値でNC制御装置に入れることが都合がよい。このようにして、適切な態様で、NC制御ソフトウエアのすでに利用可能な操作者インターフェースを歯作製機械によって使用することができる。
【0017】
プロセスの過程はまた、前の被加工物の測定値を利用できるか、できないかに応じて設計することができる。したがって、1つの変形例では、仕上パスを完全に省略することができ、例えば、回転荒加工によって修正することができる。別の変形例では、(例えば、仕上げ時のトルクの決定のための)まだ修正されていない最初の仕上パスと、修正された次の仕上パスで作業することができる。
【0018】
本発明による方法はまた、前述の方法の態様のいずれかによる方法を実行するための機械を制御するプログラム命令を有するコンピュータプログラムが歯作製機械に実装される場合、コンピュータプログラムの形態で保護される。
【0019】
装置技術の考え方から、歯作製機械は、加工工具をつかむための、スピンドル駆動モータによって回転駆動される回転工具スピンドルと、被加工物スピンドルを駆動するためのスピンドル駆動モータと、スピンドルの回転角度位置を、機械に入力されたプロセスパラメータに応じて、指定の設定値に調整することを含む回転スピンドル駆動装置のNC制御装置であって、前述の方法の態様のいずれかによる方法を実行するための機械を制御する、または上記の制御プログラムが備えられた制御装置によって特徴付けられたNC制御装置とを備えて、保護されて配置される。
【0020】
追加の工具のストローク運動およびそれに関係するプロセス力に基づいて、本発明による方法の利点は特に明らかであるので、本方法を歯車形削りに使用し、それに対応して装備された歯車形削り機械が提供されるのが特に好ましいが、歯車ホブ切りおよびホブピーリングに対応して適用することもまた可能である。本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】設定値修正なしの加工後の被加工物で測定された歯形の形状誤差の図である。
【
図1B】修正ありの加工後の被加工物で測定された歯形の形状誤差の図である。
【
図2】補正メカニズムを示した、プロセス変数の経過のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1Aは、歯車形削りプロセスにおいて当業者には典型的である手法で、特定のパラメータの下で生成された被加工物の歯面の測定結果を示す。より正確な工具データは以下の説明には関連しないが、その代わり、評価時、個々の歯面に存在する歯形の形状誤差が、この例示的な実施形態では、6.3から8.9μmの範囲内と決定されることが本発明の以下の説明にとっては重要である。この被加工物は、例えば、順番に加工される同一の被加工物の多数の一連の被加工物の最初の被加工物である。
【0023】
いずれにせよ、これらの連続した被加工物は、もはや同一の制御方法を使用するのではなく、修正された方法で形削りによって生成される。この目的のために、下記に示すように、以下のステップがこの例示的な実施形態で実行される。
【0024】
最初の被加工物の仕上削り中、被加工物のスピンドルのスピンドル駆動モータによって加えられたトルクが記録される。ここでは、回転角度に関する図が選ばれている。この記録の結果は、
図2にプロットされた大きく変動するパスである。次いで、次式の形式の高調波補正に対する手法が選ばれ、
【0025】
【0026】
ここでは、回転角度に関係する周波数ω
φを2π/被加工物の歯数(または、360°/被加工物の歯数)で設定する。位相Ψを合わせることによって、まず、この関数は、
図2に示すトルクの基本振動に関して最も合うようになるまで遅らされる。これは、
図2に表された状態では、実線の正弦曲線によって与えられている。
【0027】
次に、
図2のこの実線の正弦曲線は、歯形ずれに対する反対の効果を生じさせるために、算術符号にしたがって(振幅を除いて特定の)補正関数として使用される(いくつかの場合には、位相Ψは、NC制御装置で、入力方法に応じてπまたは180°さらにずらされる)。さらに、まだ特定されていない振幅
【0028】
【0029】
は、平均の歯形の形状ずれf
fαの半分に設定され、これは、
図1Aから測定された歯車の例示的な実施形態では3.5μmとなっている。
【0030】
次いで、補正曲線から補正表を作成することができ、補正表は、回転角度に関係し、後続の被加工物を加工するために、そうでなければ使用される回転角度に対する設定値の修正として機械制御に渡される。この結果、制御装置はこの後、純粋に運動学的に見ると、被加工物の歯面の歯形の形状ずれをもたらす設定値を出力する。生じる加工力、およびそれによって生じる歯面のゆがみのため、この場合もまた、実際に得られる歯形は所望の設定値により近くなる。
【0031】
この修正の結果は、設定値を修正して歯車形削り加工の仕上ステップで作製された最初の被加工物の測定値を示している
図1Bで見ることができる。この例示的な実施形態では、平均の歯形の形状ずれはほとんど50%低減され、これは、
図1Aおよび
図1Bのグラフを比較すると目で見てもわかるほど改善されたことを意味している。
【0032】
被加工物の加工のために前の被加工物の歯形の形状ずれの測定値がまだ利用できない場合、加工中の被加工物に対してもまた歯形の形状ずれを小さくすることができる。これを行うために、例えば、最初の仕上ステップの荒加工プロセスの後、被加工物のスピンドル駆動装置のトルクを記録して、次の仕上パスのために、回転角度に関係した周波数、360°/被加工物の歯数、で補正関数を決定する。したがって、補正関数の位相は、上記で示した方法と同じ方法で決定することができる。振幅の決定は、例えば、歯形誤差eを考慮して行うことができる。歯形誤差eは、切削中の工具と被加工物との間の接触点の変位を意味し、被加工物の側での変位および工具の側での変位とを含む。
【0033】
e=ΔuWZ-ΔuWS
【0034】
ここで、Δuはそれぞれ、接線方向の変位を示す。これは、それぞれの場合で、被加工物または工具のねじれとたわみとの重ね合わせを結合する。
【0035】
【0036】
ここで、Tは工具および被加工物の各添え字を付けたトルクを示し、rは各添え字を付けた半径であり、CTは工具および被加工物に対する添え字を付けたそれぞれに対するねじれ剛性を示し、CBは各添え字を付けた各曲げ強さであり、Fcontactは接触力に対して次式で適用される。
【0037】
【0038】
この関係に基づいて、
図2において上記で例示した誤差eを決定するためには、被加工物のスピンドルのトルクの測定で十分であり、上記の式を互いに代入することによって線形関係が得られる。
【0039】
e=k・TWS
【0040】
次いで、記録されたトルク(例えば、
図2に示す)は係数k/r
WSを使用して縮小拡大することができ、高調波補正関数の振幅もまた、振幅の方向にこれらの縮小拡大された値に適合することができる(例えば、修正が、被加工物のスピンドルの設定値の補正にのみ実行される場合)。
【0041】
あるいは、修正は、工具のスピンドルの回転角度の調整によって、または被加工物のスピンドルと工具のスピンドルに比例的に分割された回転角度の調整によって構成することができる。
【0042】
本発明による設定値の改善によって精度を改善することができるため、さらなる方法の設計として、仕上ステップを完全に省略することができ、修正を回転荒加工によって実行することができる。この場合、前の荒加工のトルクの記録を適用するという違いはあるが、上記で説明したように、回転角度から得られた周波数および補正関数の位相の決定に進む。さらに、時間または回転角度位置に関して一定である補正関数の振幅ではなく、その代わりに、螺旋状に押し付ける動きの半径方向の送りに必要な回転角度に依存する振幅を使用する、すなわち「疑似周期的な」補正関数で全体的に動作させることが好ましい。例えば、前述の平均化された歯形の形状ずれの代わりに、最小の歯形の形状ずれを有する歯と最大の歯形の形状ずれを有する歯との間に直線状の傾斜が形成されることを特徴とする、直線的に減少する振幅で動作させることができる。
【0043】
本発明は、本書の添付図に示された詳細に限定されるものではない。その代わりに、上記の特徴および以下の請求項の特徴は、様々な実施形態で本発明を実施するために、個別に、および組み合わせて重要となり得る。