(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】繊維複合構成部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 5/24 20060101AFI20220214BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20220214BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20220214BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20220214BHJP
C08G 18/44 20060101ALI20220214BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
C08J5/24 CFF
C08G18/76
C08G18/48
C08G18/42
C08G18/44
C08G18/66 074
C08G18/66 040
(21)【出願番号】P 2018546444
(86)(22)【出願日】2017-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2017054807
(87)【国際公開番号】W WO2017149031
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-28
(32)【優先日】2016-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、ショルンシュタイン
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/165823(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/170252(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/24
C08G 18/76
C08G 18/48
C08G 18/42
C08G 18/44
C08G 18/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記プロセス工程を含んでなる、ポリウレタンベース繊維複合構成部品の製造方法:
a)ポリウレタン反応混合物を製造すること、
b)2つのキャリアフィルムの少なくとも1つの上に反応混合物を適用すること、
c)2つのキャリアフィルムの少なくとも1つの上の反応混合物に強化繊維を付与すること、
d)c)からの2つのキャリアフィルムを一緒にして、両側上にあるキャリアフィルムが強化繊維を含んでなる反応混合物を囲み、サンドイッチを形成すること、
e)ロールおよび/またはローラーを用いてサンドイッチをロール状にすること、
場合により、続いて巻き上げを行い、いわゆるシートモールディングコンパウンド(SMC)を得ること、または場合により続いてサンドイッチを切断していわゆるSMCピースにし、該SMCピースを堆積すること、
f)場合により巻き上げたSMCまたはSMC堆積物を保管すること、
g)工程e)またはf)からの製品を加工し、かつ2つのキャリアフィルムを除去すること、
h)場合により工程g)からの複数の製品を堆積させること、
i)工程g)またはh)からの製品を、型内で成形かつ完全に硬化して繊維複合構成部品を得ることを含み、
前記使用したポリウレタン反応混合物が、以下の成分からなる:
A)1つ以上の芳香族イソシアネート成分、
B1)70重量%~100重量%の1つ以上のポリオール成分であって、分子中のすべてのOH基に対して70%~100%の第二OH基を有し、15~500mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO53240、第二部、2007年11月版による)および1.9~2.5の数平均官能価を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される1つ以上のポリオール成分、
B2)0重量%~30重量%の1つ以上のポリオールであって、ポリオール成分B1)を除く、15~500mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO53240、第二部、2007年11月版による)を有し、1.9~2.5の数平均官能価を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される1つ以上のポリオール、
ここで、B1)とB2)は、合計して100重量%となり、かつ成分B1)とB2)のOH基の全体の少なくとも70%は第二OH基であり、
C)場合により、1つ以上の短鎖ポリオールであって、550~2000mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO53240、第二部、2007年11月版による)を有し、1.9~6の数平均官能価を有する1つ以上の短鎖ポリオール、
D)1つ以上の内部離型剤、
E)50℃~120℃、好ましくは60℃~100℃の温度で触媒活性を有する1つ以上の潜熱触媒、
F)
ポリウレタン反応混合物に対して、20重量%~70重量%の無機フィラー、
G)場合により補助剤および/または添加物質、
ここで、23℃での前記PUR反応混合物が2500~14000mPasの開始粘度(DIN EN ISO53019(粘度測定)-回転粘度計を用いた粘度および流動曲線の測定-第一部:原理および測定幾何学、2008年9月版、剪断速度d/dt=1 1/s)を有し、かつ成分A)のNCO基の数の、成分B1)、B2)およびC)のOH基の数に対する比は、1.35:1~10:1である。
【請求項2】
2つの外部のキャリアフィルムと、完全に硬化されていないポリウレタンから構成された強化繊維コアとからなるシートモールディングコンパウンド(SMC)であって、該コアが、5重量%~50重量%の強化繊維および50重量%~95重量%の完全に硬化されていないポリウレタンを含有するものであり、該ポリウレタンが以下の成分の混合物からなり:
A)1つ以上の芳香族イソシアネート成分、
B1)70重量%~100重量%の1つ以上のポリオール成分であって、分子中のすべてのOH基に対して70%~100%の第二OH基を有し、ならびに15~500mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO53240、第二部、2007年11月版による)および1.9~2.5の数平均官能価を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される1つ以上のポリエーテルポリオール成分、
B2)0重量%~30重量%の1つ以上のポリオールであって、ポリオール成分B1)を除く、15~500mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO53240、第二部、2007年11月版による)および1.9~2.5の数平均官能価を有する、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される1つ以上のポリオール、
ここで、B1)とB2)は、合計して100重量%となり、かつ成分B1)とB2)のOH基の全体の少なくとも70%は第二OH基であり、
C)場合により、1つ以上の短鎖ポリオールであって、550~2000mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO53240、第二部、2007年11月版による)および1.9~6の数平均官能価を有する1つ以上の短鎖ポリオール、
D)1つ以上の内部離型剤、
E)50℃~120℃、好ましくは60℃~100℃の温度で触媒活性を有する1つ以上の潜熱触媒、
F)
ポリウレタン反応混合物に対して、20重量%~70重量%の無機フィラー、
G)場合により補助剤および/または添加物質、
の混合物からなり、
ここで、23℃での該PUR反応混合物が2500~14000mPasの開始粘度(DIN EN ISO53019(粘度測定)-回転粘度計を用いた粘度および流動曲線の測定-第一部:原理および測定幾何学、2008年9月版、剪断速度d/dt=1 1/s)を有し、かつ成分A)のNCO基の数の、成分B1)、B2)およびC)のOH基の数に対する比は、1.35:1~10:1である、シートモールディングコンパウンド。
【請求項3】
繊維複合構成部品を製造するための、請求項2に記載の1つ以上のSMCの使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明はシートモールディングコンパウンド(SMC:sheet molding compound)、およびこれらのシートモールディングコンパウンド(SMC)からの繊維複合構成部品の製造方法に関する。
【0002】
繊維複合材料は、原則的には、プラスチックと、そこに取り込まれた天然または複合、有機または無機の繊維からなるマトリクス材料から構築されている。繊維複合構成部品は、その低い比重ならびにその高い剛性および弾力性を理由として、航空宇宙産業、乗り物、機械およびプラントの建設、ならびにスポーツ用品において広く用途が見出されている。
【0003】
複合構成部品の分野では異なる成形方法、例えば非圧縮繊維を型に入れて、型を閉じ、その後樹脂を型に射出する、樹脂トランスファー成形(RTM:resin transfer molding)法または真空浸出法などが複数存在する。典型的には型中の樹脂の架橋は、熱を供給することによって達成される。この方法の1つの難点、ひいては不利な点は、原料混合物中の粘度を増加させ、結果繊維を完全に含浸させることを妨げるフィラーの使用である。さらに、フィラーはもはや構成部品中に均一に分配されない。構成部品が不均一であることは構成部品の特性への弊害である。
【0004】
シートモールディングコンパウンド(SMC)の形態の繊維強化材料は、その取扱いが便利であること、構成部品を得るための加工の間の効率性が高いこと、および繊維複合構成部品の表面品質が良いことを理由に、多くの産業用途で使用されていて、例えば、WO99/50341A1に記載されている。WO 99/50341A1は、強化繊維構成部品の生産について記載し、この当該部品は、複数のSMC層から生産される。WO03/080319A1は、流動性非圧縮繊維または織物強化物(SMC)を含んでなる樹脂マットの製造方法およびそれらから得られる構成部品について記載している。
【0005】
SMCは「シートモールディングコンパウンド」を表わし、DIN EN 14598-1(樹脂マット(SMC)および強化繊維圧縮成形化合物(BMC)用の強化硬化性成形化合物仕様-第一部:説明;EN 14598:2005のドイツ語版)による樹脂マットの英語表記である。SMCは、好ましくは等方性特性を有する強化繊維を含んでなる流動性樹脂マットを意味するとして一般的に解釈する。SMCは、例えば不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂に基づくシート状樹脂マットである。使用する強化繊維は典型的にはガラス繊維であるが、強化のために他の材料も適している。典型的なSMC製剤は、例えば、ポリマーを約30%、フィラーを約30%、およびガラス繊維を約30%含んでなる。残りは、例えば着色顔料、硬化剤、分散剤および同様の物質などの添加剤からなる。SMCは、いわゆる樹脂原料ペースト物(反応混合物)および強化繊維から製造する。樹脂原料ペーストおよび繊維は、2つのキャリアフィルム上に連続的に適用される。一旦強化繊維が適用されると、両方のキャリアフィルムは加圧し合わせてサンドイッチ状構造を形成する。このサンドイッチは、加圧および圧延の動作によっていわゆるSMCに加工し、このために繊維が樹脂で均一に濡らされる。最後に、サンドイッチはロール状に巻くかまたは切断して堆積する。反応混合物の部分的な硬化/熟成は全体の手順の間に化学的および/または物理的な方法によって達成される。この硬化/熟成の工程後に、熟成しているが未だ完全に硬化していないSMCをさらなる加工に供してもよい。キャリアフィルムを除去した後に、SMCは、典型的には加熱したプレス型中で繊維複合構成部品に加工する。型の温度は、一般に130℃~155℃である。型温度は硬化を開始し、SMCには発熱性架橋反応が起こる。プレス型内での加工の間、典型的には手動でSMCを計量する。成形(構成部品)の製造を問題なく達成するためには、正確な計測量を厳守することが重要である。この目的のために、SMCは、テンプレートを使用してサイズに切断するだけでなく、計量する。サイズに切断した材料の計量は確認の役割を果たし、サイズに切断した材料の任意の修正を可能にする。その後、SMCを型に入れ、型を閉じる。成形品が完全に硬化するまで、圧力を加えて維持する。
【0006】
SMCの工業利用には、良好な取扱い、短い熟成時間および室温での長い保管安定性だけでなく、急速な循環時間および低い放出(低いVOC;例えば、SMC中に存在しているかもしれない揮発性溶媒に起因するもの)も要求される。
【0007】
複合構成部品の製造で好ましく使用する樹脂はその強度およびその強靱性を理由に、ポリエステル、ビニルエステル、およびエポキシのシステムに加えてほんのわずかである。これらには、とりわけポリウレタン樹脂が含まれ、その強靱性および強度を理由に、特に繊維複合プロファイルの製造、例えば、引き抜き成形法でも使用されている。ポリウレタンベース繊維複合構成部品(fiber composite component parts based on polyurethane)は、ビニルエステル、不飽和ポリエステル樹脂(UPE:unsaturated polyester resin)またはUPEウレタンハイブリッド樹脂から作製された構成部品と比較して改善した強靭性を提示する。PURは繊維複合構成部品の製造のために既に使用されているが、「SMC法」では使用されておらず、その理由としては、PURが反応混合物の反応性が高いためにSMC法では扱うことができないためである。
【0008】
SMCのマトリックス成分は多くの要件を満たさなければならない。例えば、樹脂原料ペースト物は強化繊維を完全に埋め込み、かつそこから得られたSMCの、可能な限り低い温度および低い圧力での構成部品/成形品へのさらなる加工を容易にすることができるものでなければならない。熟成プロセス後、SMCが提示する粘着性は、存在するならば可能な限り低くあるべきであるが、完全に硬化されているべきでもない。よって樹脂マトリックスは、溶融可能であるまま維持されるが接触時に粘着性ではないように、単に予め重合されている(部分的に重合されている)べきである。型内での硬化後、このように生産された構成部品は、接着することなく型から除去可能でなければならない。架橋した樹脂マトリックスは、強化繊維に対して高い界面付着性を有するべきであるが、型に対しては有するべきではない。繊維複合構成部品は良好な機械的特性、化学的安定性および耐熱性を示すはずである。
【0009】
不飽和ポリエステルとビニルエステルに基づくSMCは、US5236976AおよびWO03/080319A1から知られている。これらの文章で使用されている樹脂の不利な点は、樹脂がスチレンを含有し、製造、加工の間および完成した繊維複合構成部品中に、スチレンの放出が発生し、作業環境および構成部品品質の両方に悪影響をもたらす。さらに、製造された繊維複合構成部品の機械的特性、特に引張強度は、多くの用途には不十分である。
【0010】
従って、本発明の目的は、低いVOC値および良好な機械的特性(例えば、高い熱安定性、高い引張強度および良好な表面)を有する繊維複合構成部品の製造方法であって、単純かつ理想的には連続的であり、かつ経済的な方法を提供することである。
【0011】
驚くべきことに、この度、特別なポリウレタンに基づいたSMC法において、そのような繊維複合構成部品の製造が可能であることが見出され、そこでは強化繊維が、指数(NCO基のOH基に対する比)が上昇した特定の低粘性ポリウレタン反応混合物で封入され、その後保管安定性なSMCを得るために部分的に硬化されたものである。依然として活性であるこれらSMCはその後、場合によりすぐに保管した後に、構成部品を得るために型内で成形して完全に硬化させる。本発明に従い製造した構成部品および対応するSMCが示すVOC値は、存在するならば低い。
【0012】
本特許出願では、SMCは、プロセスの状況に依存してキャリアフィルムを備えているか、または備えていない、部分的に硬化した強化繊維ポリウレタン(PUR)層の意味であると理解される。
【0013】
このように、本発明は、下記プロセス工程を含んでなる、ポリウレタンベース繊維複合構成部品(polyurethane-based fiber composite component part)の製造方法を提供する:
a)ポリウレタン反応混合物を製造すること、
b)2つのキャリアフィルムの少なくとも1つの上に反応混合物を適用すること、
c)2つのキャリアフィルムの少なくとも1つの上の反応混合物に強化繊維を付与すること、
d)c)からの2つのキャリアフィルムを一緒にして両側上にあるキャリアフィルムが強化繊維を含んでなる反応混合物を囲み、サンドイッチを形成すること、
e)ロールおよび/またはローラーを用いてサンドイッチをロール状にすること、
場合により、続けて巻き上げを行い、いわゆるシートモールディングコンパウンド(SMC)を得ること、または場合により続けてサンドイッチを切断していわゆるSMCピースにし、これらSMCピースを堆積すること、
f)場合により巻き上げたSMCまたはSMC堆積物を保管すること、
g)工程e)またはf)からの製品を加工し、かつ2つのキャリアフィルムを除去すること、
h)場合により、工程g)からの複数の製品を堆積させること、
i)工程g)またはh)からの製品を、型内で成形かつ完全に硬化して繊維複合構成部品を得ることを含み、
ここで、使用したポリウレタン反応混合物が、以下の成分からなる:
A)1つ以上の芳香族イソシアネート成分、
B1)70重量%~100重量%の1つ以上のポリエーテルポリオールであって、分子中のすべてのOH基に対して70%~100%の第二OH基を有し、15~500mgKOH/gの数平均OH価(number average OH number)(DIN EN ISO 53240、第二部、2007年11月版による)および1.9~2.5の数平均官能価を有する1つ以上のポリエーテルポリオール、
B2)0重量%~30重量%の1つ以上のポリオールであって、ポリオール成分B1)を除く、15~500mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO 53240、第二部、2007年11月版による)を有し、1.9~2.5の数平均官能価を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される1つ以上のポリオール、
ここで、B1)とB2)は、合計して100重量%となり、かつ成分B1)とB2)のOH基の全体の少なくとも70%は第二OH基であり、
C)場合により、1つ以上の短鎖ポリオールであって、550~2000mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO 53240、第二部、2007年11月版による)を有し、1.9~6の数平均官能価を有する1つ以上の短鎖ポリオール、
D)1つ以上の内部離型剤、
E)50℃~120℃、好ましくは60℃~100℃の温度で触媒活性を有する1つ以上の潜熱(thermolatent)触媒、
F)ポリウレタン反応混合物に対して、20重量%~70重量%の無機フィラー、
G)場合により、補助剤および/または添加物質、
ここで、成分A)のNCO基の数の、成分B1)、B2)およびC)のOH基の数に対する比は、1.35:1~10:1、好ましくは1.4:1~6.0:1である。
【0014】
さらに、本発明は、2つの外部のキャリアフィルムおよび完全に硬化されていないポリウレタンから構成された強化繊維コアからなるシートモールディングコンパウンド(SMC)を提供し、ここでコアは、5重量%~40重量%の強化繊維および60重量%~95重量%の完全に硬化されていないポリウレタンを含有するものであり、ここでポリウレタンは以下の成分の混合物からなる:
A)1つ以上の芳香族イソシアネート成分、
B1)70重量%~100重量%の1つ以上のポリエーテルポリオールであって、分子中のすべてのOH基に対して70%~100%の第二OH基を有し、ならびに15~500mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO 53240、第二部、2007年11月版による)および1.9~2.5の数平均官能価(number-average functionality)を有する1つ以上のポリエーテルポリオール、
B2)0重量%~30重量%の1つ以上のポリオールであって、ポリオール成分B1)は除く、15~500mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO 53240、第二部、2007年11月版による)を有し、1.9~2.5の数平均官能価を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される1つ以上のポリオール、
ここで、B1)とB2)は、合計して100重量%となり、成分B1)とB2)のOH基の全体の少なくとも70%は第二OH基であり、
C)場合により、1つ以上の短鎖ポリオールであって、550~2000mgKOH/gの数平均OH価(DIN EN ISO 53240、第二部、2007年11月版による)および1.9~6の数平均官能価を有する1つ以上の短鎖ポリオール、
D)1つ以上の内部離型剤、
E)50℃~120℃、好ましくは60℃~100℃の温度で触媒活性を有する1つ以上の潜熱触媒、
F)ポリウレタン反応混合物に対して、20重量%~70重量%の無機フィラー、
G)場合により補助剤および/または添加物質、
ここで、成分A)のNCO基の数の、成分B1、B2)およびC)のOH基の数に対する比は、1.35:1~10:1、好ましくは1.4:1~6.0:1である。
【0015】
反応混合物は、例えば、静的ミキサーまたは動的ミキサーを備えたカーテンコーティング機中で製造することもできる。
【0016】
初めからSMCを生産するためには、10℃~80℃、特に好ましくは18℃~60℃の温度で成分A)~G)から均一のポリウレタン反応混合物を製造し、場合により冷却した後に2つのキャリアフィルムの少なくとも1つの上に続けて適用する。その後、反応混合物に強化繊維を付与する。このように付与したキャリアフィルムは一緒に設置し、次に、通常通り、好ましくは15℃~35℃でロール状にする。これにより、強化繊維にポリウレタン反応混合物が含浸し、同時に繊維の良好な分配が達成される。この手順の後に、このように製造したSMCは必要に応じてロール状または層状に保管してもよく、加工し、キャリアフィルムを除去した後に、後の時点で、90℃~150℃での温度の型内で成形して完全に加工し、本発明の繊維複合構成部品を得る。
【0017】
完全に硬化されていないSMCのNCO値は、ポリウレタン中の未転換のイソシアネート基の重量分率を示す。NCO値は数週間に渡って決定される。このNCO値はSMCの保管安定性のよい指標である。
【0018】
SMCのNCO値は、4週間の期間にわたり、週あたりで決定される。本発明によるSMCのNCO含有量は、好ましくは5重量%~16重量%、特に好ましくは6重量%~14重量%、および特に好ましくは8重量%~12重量%の範囲である。SMCのNCO値は、外部の遮断剤/いわゆる停止剤(stopper)の添加がなくても4週間の期間に渡って少ししか変化しないことが好ましい。NCO値はDIN EN ISOプラスチック-ポリウレタン材料-イソシアネート割合の決定(ISO 14896:2009);EN ISO 14896:2009のドイツ語版により決定される。
【0019】
本発明に従い使用する反応混合物およびそれで製造したSMCは、溶媒も揮発性成分も含有していないためにVOC(揮発性有機成分)値は低い。
【0020】
本発明に従い使用するポリウレタン反応混合物は、低温(90℃~150℃)での対応するSMCの急速な硬化(例えば120秒以内)を可能とし、したがって急速な繊維複合構成部品の製造を可能にする。
【0021】
本発明に従い製造したSMCは、室温で数週間、高い保管安定性を示し、さらに加工することが簡単である。
【0022】
キャリアフィルムを除去した後に、層の形態または複数の重ね合わせた層の形態でもよいSMCは、本発明による繊維複合構成部品へさらに加工してもよい。ポリウレタンマトリクス材の完全な架橋に先立って、キャリアフィルムを除去する前に好ましくはSMCをサイズに切断し、その後、場合により真空を適用して圧力下で好適な型内で加圧する。これにより一様に型内で分配されたSMCが確保される。SMCからの繊維複合構成部品の製造は、好ましくは90℃~150℃、好ましくは110℃~140℃、特に好ましくは110℃~135℃の温度、および1~150bar、好ましくは1~110bar、および特に好ましくは1~100barの圧力で、好ましくは1~6分、好ましくは1~4分に渡り行われる。
【0023】
SMCの型内での繊維複合構成部品への加工中に、部分的に硬化したポリウレタンマトリックス材料が溶融すると、強化繊維のさらなる含浸およびポリウレタン反応混合物が完全に硬化(架橋)してポリウレタンマトリクス全体を硬化する前に型内での良好な分配が達成される。型の空洞には、キャリアフィルムが除かれたSMCを差し込む前に外部の剥離剤を追加で提供してもよい。キャリアフィルムが除かれたSMCを導入する前に、さらなる保護層または装飾層を型内へ差し込んでもよい(例えば1つ以上のゲルコート層)。
【0024】
本発明により製造された繊維複合構成部品は、建設、電気、自動車(例えば車体部品)、航空宇宙(航空機建設)、道路建設(マンホールカバー)およびエネルギー(風力発電所;例えばロータブレード)の産業部門、造船ならびに高度に圧力がかかる建設物における多様な用途で使用してもよい。
【0025】
特に好ましいのは、ポリウレタンが、20~50重量%、好ましくは22~45重量%のイソシアネート(A)、10~40重量%、好ましくは12~30重量%のポリオール(B1およびB2)、0.1~5重量%、好ましくは0.1~4重量%の内部離型剤(D)、0.1~3重量%、好ましくは0.3~1.4重量%の触媒(E)、20~70重量%、好ましくは20~65重量%のフィラー(F)、および0~3重量%、好ましくは0~1.5重量%の補助剤および/または添加物質(G)から得られるものである繊維複合構成部品が好ましく、ここで成分A)~G)の重量分率は合計すると100重量%になる。
【0026】
繊維複合構成部品中の繊維割合は、繊維複合構成部品の総重量に対して、好ましくは5重量%~40重量%、特に好ましくは15重量%~40重量%、非常に特に好ましくは25重量%~35重量%である。
【0027】
23℃では、PUR反応混合物の開始粘度は、2500~14000mPas(DIN EN ISO 53019(粘度測定)-回転粘度計を用いた粘度および流動曲線の測定-第一部:原理および測定幾何学、2008年9月版、剪断速度d/dt=1 1/s)好ましくは5000~11000mPas、特に好ましくは5500~9000mPasである。
【0028】
芳香族イソシアネート成分A)として使用されるものは慣習的な芳香族ジ-および/またはポリイソシアネートである。そのような好適なポリイソシアネートの例は、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシネナート(TDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,2’-および/または2,4’-および/または4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)および/またはそれらのより高い同族体(pMDI)、1,3-および/またはl,4-ビス(2-イソシアナート-プロプ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3-ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン(XDI)である。使用されるイソシアネートは好ましくはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)であり、特にジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(pMDI)の混合物である。上述のイソシアネートに加えて、修飾されたイソシアネート、例えば、アルコール、具体的にはポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールで製造したイソシアネートプレポリマー、および例えば、ウレトジオン、イソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトニミン(uretonimine)、アロファネートまたはビウレットの構造を有するものも使用することが可能である。好ましくは、修飾されたイソシアネート成分は、35重量%~55重量%の間、好ましくは40重量%~50重量%の間、特に好ましくは43重量%~49重量%の間のモノマー含有量を有する。イソシアネート成分A)として使用するプレポリマーのNCO含有量は、好ましくは27重量%~31重量%、好ましくは28重量%~31重量%である。好ましく使用するプレポリマー中のポリエステルポリオールに基づくエステル基の含有量は、好ましくは5重量%~7.5重量%の間である。NCO含有量は、DIN EN ISOプラスチック-ポリウレタン材料-イソシアネート割合(ISO 14896:2009)の決定;EN ISO 14896:2009のドイツ語版に従い決定する。DIN EN ISO 53019(粘度測定-回転粘度計を用いた粘度および流動曲線の測定-第一部:原理および測定幾何学、2008年9月版、剪断速度d/dt=1 1/s)に従い決定するプレポリマーの粘度は好ましくは30~250mPas(20℃にて)、特に好ましくは30~200mPas(20℃にて)、非常に特に好ましくは30~170mPas(20℃にて)である。
【0029】
ポリオールの単独使用の場合には、ポリオール成分B1)のOH価は、当該ポリオールのOH価を指す。混合物の場合には、混合物の数平均OH価を示す。この値はDIN EN ISO 53240のヒドロキシル価の決定-第二部:触媒を用いた方法、2007年11月版により決定される。
【0030】
ポリオール成分(ポリオールまたはポリオール混合物)B1)のOH価(OHN:OH number)、場合により平均OHNは、15~500mgKOH/g、好ましくは50~400mgKOH/g、特に好ましくは60~300mgKOH/gである。使用するポリオール成分の数平均官能価は好ましくは1.9~2.5である。本出願の文脈では官能価は、1つの分子当たりのNCO反応性基の数を意味するとして理解されるべきである。
【0031】
ポリオール成分B1)は、末端OH基の割合が分子中のOH基の全体に対して、70~100%、好ましくは80~100%である少なくとも1つのポリオールを含有している。本発明によればポリエーテルポリオールを使用する。
【0032】
ポリオール成分B2)として好ましく使用されるのは、平均OHN価が15~500mgKOH/g、好ましくは50~400mgKOH/g、および特に好ましくは60~300mgKOH/gであり、かつ数平均官能価が1.9~2.5であるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールであり、成分B2)は成分B1)と同一ではない。
【0033】
成分C)として使用可能なものは、具体的にアルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン)および/または数平均官能価が1.9~6であるポリエーテルポリオール類である。単一の化合物の使用の場合には、成分C)のOH価が、当該化合物のOH価を示す。混合物の場合には、混合物の数平均OH価が示される。OHNは、DIN EN ISO 53240ヒドロキシル価の決定-第二部:触媒を用いた方法、2007年11月版に従い決定する。
【0034】
成分C)のOH価(OHN)、場合により数平均OHNは、550~2000mgKOH/g、好ましくは550~1950mgKOH/g、特に好ましくは550~1850mgKOH/gである。使用する成分C)の数平均官能価は好ましくは1.9~6である。成分C)として特に好ましく使用するのは、60~499の分子量および3個の活性H原子を有する、橋架剤(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、およびそれらのアルコキシル化生成物)として機能する化合物がである。
【0035】
例えば、内部離型剤D)として使用するのは、例えば、脂肪酸エステル、好ましくは一級アミンまたはアミドまたはエステル基を含有しているアミンと反応させた脂肪族カルボン酸の塩、あるいは特定の三級アミンと組み合わせたカルボン酸、アミドカルボン酸、リン酸またはホウ酸の金属塩からなる生成物である。そのような内部離型剤は、例えばWO99/16602Aから知られている。
【0036】
潜熱触媒E)として好ましく使用するのは、50℃~120℃の間の範囲で触媒活性な触媒である。典型的な潜熱触媒は、例えばブロックアミンおよびアミジン触媒であって、製造会社Air Products(例えば、Polycat(商標)SA-1/10(フェノールブロック1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン(=DBU))、Polycat(商標)SA 102/10、Dabco KTM 60、DABCO(商標)8154(ギ酸ブロックトリエチレンジアミン)またはDABCO(商標)WT)およびTosoh Corporation(例えば、Toyocat(商標)DB 2、DB 30、DB 31、DB 40、DB 41、DB 42、DB 60、DB 70)およびHuntsman Corporation (例えば、Accelerator DY 9577)からのブロックアミンおよびアミジン触媒である。しかしながら、50℃~120℃のスイッチング温度を有するポリウレタン化学からの他の潜熱触媒を使用することも可能である。潜熱触媒E)として使用可能なものは、既知の触媒、通常の塩基(三級アミン、酢酸カリウムなどの弱酸の塩)および有機金属化合物である。そのような既知の潜熱ガスは例えばWO2009/132784Aから知られている。潜熱触媒のさらなる代表例およびこれらの触媒の活性態様に関する詳細は、Kunststoff-Handbuch、第VII巻、"Polyurethanes"、第3版、Carl Hanser Verlag、Munich / Vienna、 1993、104~110ページに記載されている。
【0037】
フィラーF)として考慮されるのは、例えば、地山鉱物(natural ground mineral)、金属酸化物、ケイ酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シリカ、珪藻土、石英粉末およびこれらの2つ以上のフィラーの混合物である。好ましい金属酸化物は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムである。好ましい硫酸塩は硫酸バリウムおよび硫酸カルシウムである。好ましいケイ酸塩は滑石、カオリン、マイカおよび珪灰石である。好ましい炭酸塩はアルカリ土類金属の炭酸塩である。
【0038】
補助物質および/または添加物質(添加剤)G)は、場合により添加してもよい。これらは、例えば、脱気装置、消泡剤、フロー助剤、有機または無機の染料、発泡剤である。必要に応じて使用してもよいさらなる既知の添加物および添加剤は、Polyurethane Handbook、第二版、Guenter Oertel、Carl Hanser Verlag、Munich / Vienna / New York、1994、98~119頁に述べられている。
【0039】
強化繊維として使用可能なものは、サイズが指定されているかまたは無サイズの繊維(sized or unsized fiber)、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維(例えば、スチールまたは鉄繊維)、天然繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、玄武岩繊維である。繊維は、織布、非圧縮織物、組みひも(braid)、マット、不織布、編物および/または長さが0.1~50mmである短繊維であり;短繊維強化複合構成部品が好ましい。規定された繊維配向を有するSMCを使用する場合、複数のSMCを適当に重ねることによって構成部品中の繊維の異なる配向(例えば、一方向または複数方向)を得ることが可能である。
【実施例】
【0040】
本発明は、以下の実施例を参照してより詳細に説明する。
【0041】
使用した機器および基準:
DIN EN ISO 53240-第二部:触媒を用いた方法、2007年11月版によるヒドロキシル価の決定
2009年のDIN EN ISO 14896による、NCO含有量(プラスチック-ポリウレタン原料)の決定
DIN EN ISO 527による引張試験:プラスチック-引張特性の決定-第一部:一般原理(ISO 527-1 von 2012)
2012年のDIN EN ISO 1183-1による非発泡プラスチックの密度の決定方法-第一部:含浸法、液体比重びんを用いた方法および滴定法
2004年のISO75-1/75によるHDT決定;方法A(フラットエンド(flat ended))
1996年のDIN EN ISO1172による織物用ガラスの測定および鉱物フィラーの含有量の決定;織物用ガラス強化プラスチック-プレプレグ、成形材料およびラミネート、か焼方法(calcination method)
2008~09年(H<<R)のDIN 53019-1による粘度決定、d/dt=剪断速度、プレート-プレート計量システムPP 25、23℃での回転における測定。測定にはAnton Paar「MCR 501」のレオメーターを使用。
産業規則VDA 278によるVOC値の決定-2011年10月1日に発行された非金属自動車材料の特徴化のための有機排ガスの熱放出(Thermodesorption)分析。SMCは、VDA 278に記載されているように最高温度として23℃で7日間屋外保管に曝すのではなく、むしろ製造直後に分析した。
ゲル化時間(tg)の決定:PUR反応混合物のゲル化時間は、Paul N. Gardner「Gardco」GT-SHP-220ゲルタイマーを使用して決定した。この機器は、反応混合物中に漬けてある電動機によって駆動する撹拌機からなるものである。この装置にとって特定の最大トルクに到達するや否や(これでPUR反応混合物は、高粘度または固形状である)モーターは停止し、装置上でゲル化時間を読むことができる。
【0042】
一般的製造方法:
SMCを、ポリイソシアネート、ポリオール、フィラー、添加剤、潜在性触媒および強化繊維から製造し、続けて成形し硬化して、本発明による繊維複合構成部品を得た。SMCを製造するために、2つのキャリアフィルムの上にそれぞれポリウレタン反応混合物の薄層を適用した。その後、強化繊維はポリウレタン反応混合物の層のうちの1つの上に広げた。PUR層がキャリアフィルム間でのコア層となるように、両方のキャリアフィルムをポリウレタン層と一緒にした。このように得られたサンドイッチをロール状にし、PUR反応混合物は部分的硬化に供した。SMCは10×20cmのピースに加工し、キャリアフィルムを取り除いた。これらの加工したSMCピースのうちの4つを互いの上に堆積し、その後、130℃および5barで120秒間プレス型内で圧縮して壁厚が4mmの繊維複合構成部品を得た。
【0043】
NCO/OHの比は、ポリイソシアネート成分A)中のNCO基の数の、成分B)中のOH基の数に対する比を示す。
【0044】
詳細(量と特性など)は表中で報告する。
【0045】
均質的に混合したPUR反応混合物のゲル化時間(tg)は、材料を75g使用して、ゲルタイマーによって決定した。
【0046】
製造した繊維複合構成部品は、DIN EN ISO 527:プラスチック-引張特性の決定-第一部:一般原則(ISO 527-1:2012)による引張試験のための試験試料を製造するために使用した。同様に決定したのは、DIN EN ISO 75-1/75 2004年、方法A(フラットエンド)による撓温度(HDT:heat distortion temperature)および非発泡プラスチックの密度の決定方法-第一部:浸漬法、液体比重びんを用いた方法および滴定法(ISO 1183-1:2012)による密度である。成形品のガラス繊維およびフィラーの含有量の合計は、DIN EN ISO 1172:織物ガラス強化プラスチック-プレプレグ、成形材料およびラミネート、織物用ガラスおよび鉱物フィラー含量、か焼方法(ISO 1172:1996)による試験試料の灰化(ashing)により決定した。
【0047】
PUR反応混合物の粘度は、混合した直後および、DIN EN ISO 53019、粘度測定-回転粘度計を用いた粘度および流動曲線の測定-第一部:原理および測定幾何学、2008年9月版、剪断速度d/dt=1 1/sに従い、23℃および剪断速度1 1/sにて回転粘度計を用いて成分を混合した15分後に決定した。
【0048】
VOC値を決定するために、製造直後にSMCのテスト試験片(30×3×3mm)を産業規則VDA 278-非金属自動車材料の特徴化のための有機排出物の熱放出分析により分析した。
【0049】
例1:
112mgKOH/gのOH価、すべてのOH基に対して95%の第二OH基、および数平均官能価として2(25℃での粘度:140mPas;1,2-プロピレングリコールスターター;酸化プロピレンに基づく、商品名DESMOPHEN(商標)PE 9015-Covestro Deutschland AGの製品)を有する33gのポリエーテルポリオールと、0.3gのEdenor(商標)TI 05(添加剤:dist.オレイン酸;Cognis GmbHの製品)と、1.0gのToyocat(商標)DB40(潜熱触媒:TOSOH Corporationからのブロックアミン)とを均一に混合した。続けて、29.9gのフィラーMillicarb(商標)OG(炭酸カルシウム:Omyaの製品)を加え、混合物を混合した。同時に、55.4gのDesmodur(商標)44P01(Covestro Deutschland AGからのポリイソシアネート;f=2.68;NCO含有量:29.15重量%;20℃での粘度:135mPas)と、89.7gのフィラーMillicarb(商標)OG(炭酸カルシウム:Omyaの製品)とを加え、混合物を混合した。2つの混合物を組み合わせた。このように製造した反応混合物は、57.1重量%のフィラー含有量を有し、ポリエチレンで作製された2つのキャリアフィルムの上に適用した。強化繊維(Vetrotex(商標)EC2400/P207で作製された27mmのチョップドガラス)は、被覆フィルムのうちの1つの上に広げられた。両方のキャリアフィルムは2つのキャリアフィルムの間のPUR反応混合物の内層を備えてなるサンドイッチを形成するために一緒に設置した。サンドイッチはロール状にして繊維の良好な分配を得た。内部ポリウレタン層は、30重量%の強化繊維含有量、および7日後のNCO値として10.5重量%を有していた。SMCは10×20cmのピースに加工し、キャリアフィルムを除去し、これらの加工したSMCのピースのうちの4つは互いの上に設置し、続けて、130℃および5barで圧縮して繊維複合構成部品を得た。
【0050】
23℃で反応混合物のゲル化時間および粘性時間プロファイルを決定するために、出発成分の脱気を予め行うことはせずに紙コップ内で反応混合物を、混合物が均質の状態となるまで10秒間撹拌した。ゲル化時間および粘度を決定するために、混合物はそれぞれゲルタイマーおよびレオメーターへと移した。
【0051】
比較例2:
190mgKOH/gのOH価、OH基の全体に対して95%の第一OH基、および数平均官能価として2(25℃での粘度:120mPas;1,2-プロピレングリコールスターター;エチレンオキシドに基づく、商品名DESMOPHEN(商標)L 300-Covestro Deutschland AGの製品)を有する33gのポリエーテルポリオールと、0.3gのEdenor(商標)TI 05(添加剤:dist.オレイン酸;Cognis GmbHの製品)と、1.0gのToyocat(商標)DB40(潜熱触媒:TOSOH Corporationからのブロックアミン)とを均一に混合した。続けて、34.3gのフィラーMillicarb(商標)OG(炭酸カルシウム:Omyaの製品)を加えた。同時に、68.7gのDesmodur(商標)44P01(Covestro Deutschland AGからのポリイソシアネート;f=2.68;NCO含有量: 29.15重量%;20℃での粘度:135mPas)に、103gのフィラーMillicarb(商標)OG(炭酸カルシウム:Omyaの製品)を加えて、混合物を均質に混合した。2つの混合物を合わせた。このように製造した反応混合物は、57.1重量%のフィラー含有量を有し、ポリエチレンで作製した2つのキャリアフィルムの上に適用した。強化繊維(Vetrotex EC 2400/P207で作成した27mmのチョップドガラス)を被覆フィルムのうちの1つに広げた。両方のキャリアフィルムは2つのキャリアフィルムの間のPUR反応混合物の内層を備えてなるサンドイッチを形成するために一緒に設置した。ポリウレタン層の強化繊維含有量の目標は30重量%であった。高反応性および非常に急速な粘性増加により、繊維の良好な分配を達成するためにサンドイッチをロール状にすることはもはや可能ではなかった。SMC、それ故の繊維複合構成部品の製造は可能ではなかった。
【0052】
23℃で反応混合物のゲル化時間および粘性時間プロファイルを決定するために、出発成分の脱気を予め行うことはせずに紙コップ内で反応混合物を、混合物が均質の状態となるまで10秒間撹拌した。ゲル化時間および粘度を決定するために、混合物はそれぞれゲルタイマーおよびレオメーターへと移した。
【0053】
比較例3:US5236976A、例7からのデータ
比較例4:
110mgKOH/gのOH価、OH基の全体に対して95%の第二OH基、および数平均官能価として2(25℃での粘度:11500mPas;アジピン酸と2,3-ブタンジオールの製品;Covestro Deutschland AGの試験的製品)を有する33gのポリエーテルポリオールと、0.3gのEdenor(商標)TI 05(添加剤:dist.オレイン酸;Cognis GmbHの製品)と、1.0gのToyocat(商標)DB40(潜熱触媒:TOSOH Corporationからのブロックアミン)とを均一に混合した。続けて、29.9gのフィラーMillicarb(商標)OG(炭酸カルシウム:Omyaの製品)を加え、混合物を混合した。同時に、55.4gのDesmodur(商標)44P01(Covestro Deutschland AGからのポリイソシアネート;f=2.68;NCO含有量:29.15重量%;20℃での粘度:135mPas)に、89.7gのフィラーMillicarb(商標)OG(炭酸カルシウム:Omyaの製品)を加えて、混合物を混合した。2つの混合物を合わせた。このように製造した反応混合物は、57.1重量%のフィラー含有量を有し、ポリエチレンで作製した2つのキャリアフィルムの上に適用した。強化繊維(Vetrotex(商標)EC 2400/P207で作成した27mmのチョップドガラス)を被覆フィルムのうちの1つに広げた。両方のキャリアフィルムは2つのキャリアフィルムの間のPUR反応混合物の内層を備えてなるサンドイッチを形成するために一緒に設置した。内部ポリウレタン層の強化繊維含有量の目標は30重量%であった。高粘度および非常に急速な粘性増加により、繊維の良好な分配を達成するためにサンドイッチをロール状にすることはもはや可能ではなかった。SMC、それ故の繊維複合構成部品の製造も同様に可能ではなかった。
【0054】
23℃で反応混合物のゲル化時間および粘性時間プロファイルを決定するために、出発成分の脱気を予め行うことはせずに紙コップ内で反応混合物を、混合物が均質の状態となるまで10秒間撹拌した。ゲル化時間および粘度を決定するために、混合物はそれぞれゲルタイマーおよびレオメーターへと移した。
【0055】
【0056】
実施例1からのSMCの保管安定性はNCO値[重量%で示す]を参照することで決定した。表1からの値からSMCの架橋能が4週間にわたる期間の室温での保管によって損なわれなかったことは明白である。比較例によって示されるように、選択されたポリウレタン反応混合物で作製された本発明のSMCのみが構成部品へとさらに加工することができた。
【0057】
比較例2では、およそ95%の一級OH末端基を含んでなるポリエーテルポリオールを、実施例1からのポリエーテルポリオールの代わりに使用した。潜在性触媒Toyocat(商標)DB 40のモル量は変化しないままであった。室温でのわずか数分の間に、得られた反応混合物はほぼ完全な反応を経たために、SMCも繊維複合構成部品も生産が不可能であった。
【0058】
比較例4では、110mgKOH/gのOH価および官能価として2を有するポリエステルポリオールを、実施例1からのポリエーテルポリオールの代わりに使用した。残りの成分は変更しないままであった。高粘度および迅速な粘性増加により、ロール状にすることも繊維の分配も可能ではなかった。