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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】金型冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/22 20060101AFI20220214BHJP
   B22C 9/06 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
B22D17/22 D
B22C9/06 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019206103
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021079386
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2020-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128749
【弁理士】
【氏名又は名称】海田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】田邉 博典
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221577(JP,A)
【文献】特開2013-158804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/22,
B22C 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカスト金型に形成された冷却穴に設置して用いられる金型冷却装置であって、
外部から冷却水を取り込む冷却水供給穴と、前記冷却水供給穴から取り込んだ冷却水を前記ダイカスト金型に形成された前記冷却穴に向けて誘導する内側パイプと、前記冷却穴で熱を奪った冷却水を外部へと誘導する外側パイプと、前記外側パイプによって誘導され戻された温まった冷却水を外部へと排出する冷却水排出穴と、から構成され、
前記内側パイプは、前記外側パイプの内側に配置されており、前記内側パイプと前記外側パイプとで二重管が構成されており、
前記冷却水供給穴と前記冷却水排出穴と軸方向穴を有するホルダー部材と、
前記ホルダー部材が有する前記軸方向穴内に設置されることで、前記冷却水供給穴、前記冷却水排出穴および前記軸方向穴をシールすることによって、前記冷却水が誘導経路から漏れ出すことを防止するシール部材と、
を備え、
前記冷却水供給穴と前記冷却水排出穴とが、前記軸方向穴の軸方向に対して直交して接続するように設けられており、
前記冷却水供給穴が、前記冷却水排出穴よりも前記軸方向穴の軸方向で前記シール部材の設置方向後方に設けられ、
前記冷却水供給穴との接続箇所における前記軸方向穴の穴径が、前記軸方向穴に接続する前記冷却水供給穴と前記冷却水排出穴の間に設置される前記シール部材の径よりも大きく形成されていることを特徴とする金型冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金型冷却装置において、
前記シール部材は、
前記ホルダー部材が有する前記軸方向穴内に挿入可能なアダプタと、
前記アダプタに形成された2箇所のOリング保持部に設置された2つのOリングと、
を有して構成されており、
前記アダプタにおける設置方向前方のOリング保持部および前方のOリングは、設置方向後方のOリング保持部および後方のOリングよりも小さく形成されていることを特徴とする金型冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト装置のダイカスト金型には、キャビティを画成する固定ダイスと可動ダイスが設けられ、また、キャビティ内に突出する鋳抜きピンや押出ピン等のピン部材が、可動ダイス又は固定ダイスに形成されたピン部材貫通孔内を貫通して設けられている。そして、ダイカスト後には、型開きがなされて、押出ピンを動作してダイカスト品をキャビティから分離させ、その後にダイカスト金型が外部冷却されたり、キャビティに離型剤が塗布されたりする。
【0003】
この種のダイカスト装置では、金型におけるキャビティ内への空気の侵入を防ぐために、金型の各所にはOリング等が設けられており、ダイカストを実行する際にキャビティ内が気密性を保つように構成されている。
【0004】
一方、金型におけるキャビティ内に金属溶湯を射出注入する際には、金属溶湯からの高熱が金型に対して伝達されるため、この金型に対する熱影響を好適に低減するために、金型には冷却穴が設けられるとともに当該冷却穴には金型冷却装置が配置されることが従来から行われている。なお、金型の冷却穴に配置される金型冷却装置の発明が、例えば、下記特許文献1等において開示されている。
【0005】
下記特許文献1に開示された金型冷却装置は、二重構造をしたパイプの内部に冷却水を挿通可能となっており、この冷却水をパイプの二重構造を利用して金型の冷却穴に対する供給と排出を行うことによって、ダイカスト法を行う際の金型の適切な温度管理を実現することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-221577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上掲した特許文献1に代表される従来の金型冷却装置では、ホルダー部材にアダプタを組み付ける際、冷却水供給穴と冷却水排出穴との間に設置されるOリングが冷却水供給穴の縁に接触して摩耗する可能性があり、構造面や耐久性の面で改善の余地が残されていた。
【0008】
本発明は、上述した従来技術に存在する課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、組立性に優れた構造を備えるとともに耐久性にも優れた金型冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明に係る金型冷却装置(22)は、ダイカスト金型(2)に形成された冷却穴(31)に設置して用いられる金型冷却装置(22)であって、外部から冷却水を取り込む冷却水供給穴(52a)と、前記冷却水供給穴(52a)から取り込んだ冷却水を前記ダイカスト金型(2)に形成された前記冷却穴(31)に向けて誘導する内側パイプと、前記冷却穴(31)で熱を奪った冷却水を外部へと誘導する外側パイプ(22b)と、前記外側パイプ(22b)によって誘導され戻された温まった冷却水を外部へと排出する冷却水排出穴(52c)と、から構成され、前記内側パイプは、前記外側パイプ(22b)の内側に配置されており、前記内側パイプと前記外側パイプ(22b)とで二重管が構成されており、前記冷却水供給穴(52a)と前記冷却水排出穴(52c)と軸方向穴(52)を有するホルダー部材(51)と、前記ホルダー部材(51)が有する前記軸方向穴(52)内に設置されることで、前記冷却水供給穴(52a)、前記冷却水排出穴(52c)および前記軸方向穴(52)をシールすることによって、前記冷却水が誘導経路から漏れ出すことを防止するシール部材(60)と、を備え、前記冷却水供給穴(52a)と前記冷却水排出穴(52c)とが、前記軸方向穴(52)の軸方向に対して直交して接続するように設けられており、前記冷却水供給穴(52a)が、前記冷却水排出穴(52c)よりも前記軸方向穴(52)の軸方向で前記シール部材(60)の設置方向後方に設けられ、前記冷却水供給穴(52a)との接続箇所における前記軸方向穴(52)の穴径が、前記軸方向穴(52)に接続する前記冷却水供給穴(52a)と前記冷却水排出穴(52c)の間に設置される前記シール部材(60)の径よりも大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る金型冷却装置(22)において、前記シール部材(60)は、前記ホルダー部材(51)が有する前記軸方向穴(52)内に挿入可能なアダプタ(41)と、前記アダプタ(41)に形成された2箇所のOリング保持部(43,44)に設置された2つのOリング(61,62)と、を有して構成されており、前記アダプタ(41)における設置方向前方のOリング保持部(43)および前方のOリング(61)は、設置方向後方のOリング保持部(44)および後方のOリング(62)よりも小さく形成されていることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、組立性に優れた構造を備えるとともに耐久性にも優れた金型冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る真空ダイカスト装置の断面図である。
図2】本実施形態に係る真空ダイカスト装置が備える金型冷却装置を示す図である。
図3】本実施形態に係る真空ダイカスト装置の冷却穴に対して金型冷却装置が取り付けられた状態を示す図である。
図4】本実施形態に係るシール部材を構成するアダプタを示す図であり、図中の分図(a)がアダプタの全体構成を示し、分図(b)が分図(a)中の符号Aで示す箇所の部分拡大図を示している。
図5】本実施形態に係るホルダー部材を示す図であり、図中の分図(a)がホルダー部材の全体構成を示し、分図(b)が分図(a)中の符号Bで示す箇所の部分拡大図を示している。
図6】本実施形態に係るシール部材とホルダー部材とを組み合わせて構成した金型冷却装置の要部を拡大して示した透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
まず、本発明を適用可能な本実施形態に係る真空ダイカスト装置および真空ダイカスト法について、図1に基づき説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る真空ダイカスト装置の断面図である。
【0016】
本実施形態に係る真空ダイカスト装置1は、ダイカスト金型2を備えており、ダイカスト金型2は、固定型3と、この固定型3に当接・離間する可動型4とにより構成されている。固定型3と可動型4の当接面がダイカスト金型2の分割面(PL面)である。固定型3は、固定ホルダー3Aと、固定ホルダー3Aに収容固定されキャビティ5の一部を画成する固定ダイス3Bとを備える。固定ホルダー3Aには、給湯口6aが形成された射出スリーブ6が接続されている。射出スリーブ6には、給湯口6aから供給されたアルミニウム合金等の溶湯Mをキャビティ5に充填するための射出プランジャ7が往復摺動可能に設けられている。固定ダイス3Bと後述する可動ダイス4Bの分割面(ダイカスト金型2の分割面)には、排気ランナー3aが形成され、固定ホルダー3Aの上方には、排気ランナー3aに連通する真空バルブ8が収容配置されている。
【0017】
可動型4は、可動ホルダー4Aと、可動ホルダー4Aに収容固定された可動ダイス4Bとを備える。可動ダイス4Bは、固定ダイス3Bとともにキャビティ5を画成する。可動ホルダー4Aには、分流子9が収容固定されている。可動ダイス4Bの分割面(ダイカスト金型2の分割面)には、分流子9を介して溶湯Mをキャビティ5へ導くランナー4aが形成されている。可動ホルダー4Aと可動ダイス4Bには、押出ピン貫通孔10,11が、その一端側(図1における紙面右側)をキャビティ5に開口して形成されている。押出ピン貫通孔10,11には、それぞれ押出ピン12,13が配置されている。押出ピン12,13の後端は、押出板14に固定され、この押出板14が図示せぬ駆動機構又は可動型4の開閉動作に協働する機構により駆動され、押出ピン10,11の先端(図1における紙面右側の先端部)がキャビティ5に対して突出、後退可能となっている。
【0018】
可動ホルダー4Aの分割面(ダイカスト金型2の分割面)には、型締め時に固定ホルダー3Aと可動ホルダー4Aの間をシールするためのOリング等のシール部材15が設けられている。
【0019】
真空バルブ8は、排気ランナー3aの所定の位置に配置された図示せぬ溶湯感知センサーが溶湯Mを感知するまでは、後述する真空タンク17と排気ランナー3aとを連通する連通位置に保持され、溶湯感知センサーが溶湯Mを感知したときに、この連通を遮断する遮断位置に切換え可能となっている。なお、図1では、連通位置に保持された真空バルブ8を示している。
【0020】
本実施形態に係る真空ダイカスト装置1では、真空タンク17が電磁弁19を介して真空バルブ8に接続されている。ここで電磁弁19は、真空バルブ8と真空タンク17とを連通させる連通位置と、両者間の連通を遮断する遮断位置とに切換え可能に設けられている。真空タンク17は、真空ポンプ18に接続されており、真空タンク17と真空ポンプ18が、本実施形態に係る真空排気手段を構成する。
【0021】
さらに、図示せぬ離型剤スプレー装置が、型開き時に固定型3と可動型4との間の空間を進退可能にダイカスト金型2の近傍に設けられる。また、ダイカスト品を取り出すための図示せぬロボットと、ダイカスト金型2を外部冷却するための図示せぬ冷却水供給装置とが、ダイカスト金型2の近傍に配置されている。
【0022】
そして、本実施形態に係る真空ダイカスト法では、固定型3と可動型4を開状態にして、図示せぬ冷却水供給装置と離型剤スプレー装置を固定型3と可動型4との間の空間に侵入させ、キャビティ5に離型剤を塗布する。
【0023】
次に、固定型3と可動型4を閉じ、真空バルブ8が連通位置に保持されている状態で、電磁弁19を連通位置に切換えてキャビティ5を減圧する。こうしてキャビティ5の減圧を開始してキャビティ5を所定の真空度にした後に、射出プランジャ7により射出スリーブ6内の溶湯Mを加圧し、溶湯Mを分流子9およびランナー4aを介してキャビティ5に充填する。キャビティ5を充填した溶湯Mが排気ランナー3aに配置された図示せぬ溶湯感知センサーに感知されると、真空バルブ8が遮断位置に切換えられる。
【0024】
その後、型開きがなされ、押出板14が図示せぬ駆動機構又は可動型4の開閉動作に協働する機構により駆動されることにより、押出ピン12,13がダイカスト品をキャビティ5から分離させる。そして、図示せぬロボットがダイカスト品を取り出すことにより、本実施形態に係る真空ダイカスト法の一サイクルが終了する。
【0025】
以上、本実施形態に係る真空ダイカスト装置1の基本構成と、本実施形態に係る真空ダイカスト法についての説明を行った。次に、本実施形態に係る真空ダイカスト装置1に適用される本発明の金型冷却装置の基本構成について、図2および図3を用いて説明を行う。ここで、図2は、本実施形態に係る真空ダイカスト装置が備える金型冷却装置を示す図であり、また、図3は、本実施形態に係る真空ダイカスト装置の冷却穴に対して金型冷却装置が取り付けられた状態を示す図である。
【0026】
図2には、本実施形態に係る金型冷却装置22が示されている。この金型冷却装置22は、外部から冷却水を取り込む冷却水供給口22aと、冷却水供給口22aから取り込んだ冷却水を後述する冷却穴31に向けて誘導する図示しない内側パイプと、冷却穴31で熱を奪った冷却水を外部へと誘導する外側パイプ22bと、外側パイプ22bによって誘導され戻された温まった冷却水を外部へと排出する冷却水排出口22cと、から構成されている。なお、図示しない内側パイプは、外側パイプ22bの内側に配置されており、図示しない内側パイプと外側パイプ22bとで二重管が構成されている。また、この金型冷却装置22単体については、従来から用いられているものである。
【0027】
以上、図2を用いて説明した金型冷却装置22を、冷却穴31に設置した状態が、図3に示されている。
【0028】
図3で示す例では、可動ホルダー4Aを貫通し、可動ダイス4Bの途中まで設けられた冷却穴31に対して、金型冷却装置22が設置された状態が示されている。そして、可動ダイス4Bに形成された冷却穴31の最深部である金型冷却装置22の設置方向前方と、金型冷却装置22を構成する外側パイプ22bの先端側については、両部材に形成されたねじ溝形状によってねじ止めされている。ただし、このねじ溝形状による螺合結合箇所については、Oリングなどを用いて固定することができる。また、図3では、冷却穴31の入口部である金型冷却装置22の設置方向後方と、金型冷却装置22を構成する外側パイプ22bの後端側については、不図示の接続固定手段を設置可能であり、冷却穴31に対する金型冷却装置22の確実な固定設置が可能となっている。
【0029】
以上、本実施形態に係る真空ダイカスト装置1に適用される金型冷却装置22の基本構成について、図2および図3を用いて説明を行った。次に、図4図6を用いて、本実施形態に係る金型冷却装置の特徴的な構成についての説明を行う。ここで、図4は、本実施形態に係るシール部材を構成するアダプタを示す図であり、図中の分図(a)がアダプタの全体構成を示し、分図(b)が分図(a)中の符号Aで示す箇所の部分拡大図を示している。また、図5は、本実施形態に係るホルダー部材を示す図であり、図中の分図(a)がホルダー部材の全体構成を示し、分図(b)が分図(a)中の符号Bで示す箇所の部分拡大図を示している。さらに、図6は、本実施形態に係るシール部材とホルダー部材とを組み合わせて構成した金型冷却装置の要部を拡大して示した透視図である。
【0030】
本実施形態に係る金型冷却装置22は、図4で示されるアダプタ41にOリング61,62を設置してシール部材60を構成し、このシール部材60を図5で示されるホルダー部材51に嵌め込むことで構成されている(図6参照)。
【0031】
図4に示すアダプタ41は、中空状の部材であり、設置方向後方となる後端部(図4の紙面下側)に取付部42を有している。この取付部42は、設置方向前方に形成された前方Oリング保持部43と、設置方向後方に形成された後方Oリング保持部44とを有している。前方Oリング保持部43と後方Oリング保持部44には、図6で示すように、それぞれの保持部に対してOリング61,62が設置されることで、シール部材60が構成されることとなる。さらに、本実施形態に係るアダプタ41については、前方Oリング保持部43の外径が、後方Oリング保持部44の外径よりも小さく構成されている。つまり、前方Oリング保持部43と後方Oリング保持部44に2つのOリング61,62を設置してシール部材60を構成したときに、アダプタ41における設置方向前方の前方Oリング保持部43および前方のOリング61は、設置方向後方の後方Oリング保持部44および後方のOリング62よりも、径が小さくなるように形成されている。
【0032】
なお、本実施形態に係るアダプタ41には、前方Oリング保持部43と後方Oリング保持部44との間に冷却水入口45が設けられており、この冷却水入口45は、アダプタ41の設置方向前方の先端開口まで接続している。さらに、アダプタ41の先端部には、中空の中子ピン48が固定設置されている。
【0033】
図5に示すホルダー部材51は、中空状の部材であり、軸方向で設置方向後方(図5の紙面下側)から設置方向前方(図5の紙面上側)に向かって徐々に縮径する軸方向穴52と、軸方向穴52の軸方向に対して直交して接続するように設けられる冷却水供給穴52aおよび冷却水排出穴52cを有している。なお、冷却水供給穴52aの入口が冷却水供給口22aであり、冷却水排出穴52cの入口が冷却水排出口22cである。そして、本実施形態に係るホルダー部材51においては、軸方向穴52に対して上述したシール部材60を挿入して嵌め込むことで、金型冷却装置22が構成されることになるが、当該ホルダー部材51では、冷却水供給穴52aが、冷却水排出穴52cよりも軸方向穴52の軸方向でシール部材60の設置方向後方に設けられるという構成が取られている。
【0034】
なお、本実施形態に係るホルダー部材51には、中子ピン48の動作検知用の板体である不図示のリミッターバーを取り付けるための座58が設けられている。
【0035】
以上説明したアダプタ41の前方Oリング保持部43と後方Oリング保持部44のそれぞれに対してOリング61,62を設置してシール部材60を構成し、当該シール部材60をホルダー部材51の設置方向後方(図5の紙面下側)の後端開口部から軸方向穴52内に挿入することで、シール部材60のホルダー部材51への取り付けが行われる。この取り付けが完了すると、アダプタ41に形成された冷却水入口45とホルダー部材51に形成された冷却水供給穴52aが連通するので、冷却水をアダプタ41の先頭から中子ピン48内に挿通させることが可能となる。
【0036】
さらに、上記の取り付けの際に、ホルダー部材51に形成された軸方向穴52における冷却水供給穴52aに対向する箇所における穴径は、アダプタ41に形成された前方Oリング保持部43とここに取り付けられる前方のOリング61の径、すなわち、ホルダー部材51に形成された軸方向穴52における冷却水供給穴52aと冷却水排出穴52cとの間の箇所の内径よりも大きく形成されている。したがって、ホルダー部材51にシール部材60を取り付ける際に、前方のOリング61が冷却水供給穴52aの縁に接触して摩耗するという従来技術に存在した不具合が発生することがないので、高い耐久性を備えた金型冷却装置22を実現することが可能となっている。よって、本実施形態によれば、組立性に優れた構造を備えるとともに耐久性にも優れた金型冷却装置22と、この金型冷却装置22を備えた真空ダイカスト装置1を提供することが可能である。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、金型冷却装置22を備える真空ダイカスト装置1と、この金型冷却装置22を備えた真空ダイカスト装置1を用いて実行される真空ダイカスト法についての説明を行ったが、本発明に係る金型冷却装置の適用範囲は真空状態の場合には限られず、あらゆる条件下で使用されるダイカスト装置とダイカスト法に対して適用可能である。
【0039】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0040】
1 真空ダイカスト装置、2 ダイカスト金型、3 固定型、3A 固定ホルダー、3B 固定ダイス、3a 排気ランナー、4 可動型、4A 可動ホルダー、4B 可動ダイス、4a ランナー、5 キャビティ、6 射出スリーブ、6a 給湯口、7 射出プランジャ、8 真空バルブ、9 分流子、10,11 押出ピン貫通孔、12,13 押出ピン、14 押出板、15 シール部材、17 真空タンク、18 真空ポンプ、19 電磁弁、22 金型冷却装置、22a 冷却水供給口、22b 外側パイプ、22c 冷却水排出口、31 冷却穴、41 アダプタ、42 取付部、43 前方Oリング保持部、44 後方Oリング保持部、45 冷却水入口、48 中子ピン、51 ホルダー部材、52 軸方向穴、52a 冷却水供給穴、52c 冷却水排出穴、58 座、60 シール部材、61 (前方の)Oリング、62 (後方の)Oリング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6