(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】オゾン水噴出装置
(51)【国際特許分類】
B01F 23/20 20220101AFI20220214BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20220214BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20220214BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20220214BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
B01F3/04 Z
B01F1/00 A
B01F5/00 D
C02F1/461 Z
A61L2/18 100
(21)【出願番号】P 2020039832
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2020-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019054981
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000234166
【氏名又は名称】伯東株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100139941
【氏名又は名称】川津 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】阿野 哲也
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161619(JP,A)
【文献】特開2018-038944(JP,A)
【文献】特開2014-224646(JP,A)
【文献】特開平05-123554(JP,A)
【文献】特開2011-240267(JP,A)
【文献】特開平08-229582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
C02F 1/461
A61L 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン水噴出装置であって、
オゾン水を噴出する噴出ノズルと当該噴射ノズルが取り付けられた筐体を備え、
前記筐体内に、
原料水を収容する容器と、
前記原料水を電気分解して、オゾン水を生成する電気分解ユニットと、
前記オゾン水を前記噴出ノズルに輸送する送液ポンプと、
前記送液ポンプと前記噴出ノズルとの間の流路に設けられ、前記オゾン水が充満することなく流通する内部空間を有する気液混合部と、を有し、
前記内部空間には、前記送液ポンプから前記オゾン水が流入する流入口と、前記噴出ノズルに向かって前記オゾン水が流出する流出口とが形成され、
前記気液混合部の前記内部空間は、前記オゾン水が通過するときの前記オゾン水の形成する気液界面の面積が0.1~64mm
2であり、
前記流入口の底部から前記内部空間の頂部までの高さが、2.7~12mmであるオゾン水噴出装置。
【請求項2】
前記内部空間の頂部が、前記流入口の頂部よりも上方にある、請求項1に記載のオゾン水噴出装置。
【請求項3】
前記流入口における、前記流入口の底部から前記内部空間の頂部までの高さ(H)の、前記流入口の底部から前記流入口の頂部までの高さ(h)に対する比率(H/h)が、1.1~4.0である、請求項2に記載のオゾン水噴出装置。
【請求項4】
前記流路の延在方向における、前記内部空間の長さの最大値(D)の、前記流入口の底部から前記流入口の頂部までの高さ(h)に対する比率(D/h)が、0.1~3.0である、請求項2又は3に記載のオゾン水噴出装置。
【請求項5】
前記流入口における、前記流入口の底部から前記内部空間の頂部までの高さ(H)の、前記流路の延在方向における、前記内部空間の長さの最大値(D)に対する比率(H/D)が、0.3~40である、請求項2~4のいずれか一項に記載のオゾン水噴出装置。
【請求項6】
前記内部空間が、前記流路に直交する方向延びる略円柱状の形状である、請求項1~5のいずれか一項に記載のオゾン水噴出装置。
【請求項7】
前記オゾン水噴出装置は、
その内部に、前記流路に直交して下方に延びる分岐流路を有する分岐部と、
前記分岐流路に設けられ、前記流路内の圧力が所定圧力以上になると開放され、所定圧力未満となると閉塞される圧力開放弁と、を更に有し、
前記分岐流路と前記内部空間が連通している、請求項1~6のいずれか一項に記載のオゾン水噴出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工業用、民生用などの幅広い分野において、除菌、殺菌及び消臭対策のニーズが高まっている。このような状況下において、オゾン水は、食品を取扱う現場や医療現場において、塩素系材料と同等以上の除菌及び殺菌効果を有し、人体に対する安全性が高く、環境に対する負荷が低いため、注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、オゾン発生源から発生したオゾンガスを水道水に溶解してオゾン水を製造する、オゾン水製造装置が開示されている。特許文献1に開示されている装置には、オゾンガスの水道水への溶解を促進する簡易ミキサが設けられている。簡易ミキサは、ビーズ状の粒子が充填された通路管である。通路管に充填された粒子の隙間を水道水とオゾンガスが流れることにより、水道水とオゾンガスとの接触面積が拡大し、接触時間も長くなる。これにより、水道水へのオゾンガスの溶解量が向上する。
【0004】
また、特許文献2には電池で駆動する、持ち運び可能な小型のオゾン水スプレーが開示されている。ハンディで小型のオゾン水スプレーは、医療現場やクリーンルーム等での素材、器具、手指の除菌、殺菌用の利用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-223441号公報
【文献】特開2006-346203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明者の試験結果によれば、特許文献2のオゾン水スプレーでは、オゾンは液中に充分に溶存することはなく、大部分はオゾンガスの状態で噴射されることが分かった。このため、使用目的であるオゾン水の生成効率が低く、高濃度のオゾン水を噴射できない。また、オゾンガスは日本国内では産業衛生学会において許容濃度0.1ppm、米国ではFDA(アメリカ合衆国食料医薬品局)において許容濃度0.05ppmの基準が設けられており、低濃度での濃度管理が必要である。このため、オゾンガスの噴出が多い場合、人体に対する安全性が懸念される。
【0007】
また、特許文献1で提案されている簡易ミキサは、圧力損失が大きいため、オゾン水を十分に噴出できなくなる虞がある。それ故、このような簡易ミキサを小型のオゾン水スプレーに用いるには、ハイパワーの送液ポンプが必要となる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、内部にオゾンを発生する機能を備え、十分なオゾンが溶存したオゾン水を容易に噴出できるオゾン水噴出装置(オゾン水スプレー)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に従えば、オゾン水噴出装置であって、原料水を収容する容器と、前記原料水を電気分解して、オゾン水を生成する電気分解ユニットと、前記オゾン水を噴出する噴出ノズルと、前記オゾン水を前記噴出ノズルに輸送する送液ポンプと、前記送液ポンプと前記噴出ノズルとの間の流路に設けられ、前記オゾン水が充満することなく流通する内部空間を有する気液混合部と、を有するオゾン水噴出装置が提供される。
【0010】
前記内部空間には、前記送液ポンプから前記オゾン水が流入する流入口と、前記噴出ノズルに向かって前記オゾン水が流出する流出口とが形成され、前記内部空間の頂部が、前記流入口の頂部よりも上方にあってもよい。前記流入口における、前記流入口の底部から前記内部空間の頂部までの高さ(H)の、前記流入口の底部から前記流入口の頂部までの高さ(h)に対する比率(H/h)が、1.1~4.0であってもよい。前記流路の延在方向における、前記内部空間の長さの最大値(D)の、前記流入口の底部から前記流入口の頂部までの高さ(h)に対する比率(D/h)が、0.1~3.0であってもよい。前記流入口における、前記流入口の底部から前記内部空間の頂部までの高さ(H)の、前記流路の延在方向における、前記内部空間の長さの最大値(D)に対する比率(H/D)が、0.3~40であってもよい。前記内部空間が、前記流路に直交する方向延びる略円柱状の形状であってもよい。
【0011】
前記オゾン水噴出装置は、その内部に、前記流路に直交して下方に延びる分岐流路を有する分岐部と、前記分岐流路に設けられ、前記流路内の圧力が所定圧力以上になると開放され、所定圧力未満となると閉塞される圧力開放弁と、を更に有し、前記分岐流路と前記内部空間が連通していてもよい。前記気液混合部と前記分岐部が一体に成形されていてもよい。前記オゾン水噴出装置は、前記圧力開放弁と前記容器とを連結する回収流路を更に有し、前記オゾン水が、前記圧力開放弁から前記回収流路を介して前記容器に回収されてもよい。また、前記噴出ノズルが、前記オゾン水を噴霧可能であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオゾン水噴出装置は、内部にオゾンを発生する機能を備え、十分なオゾンが溶存したオゾン水を容易に噴出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態のオゾン水噴出装置の概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態のオゾン水噴出装置が備える、気液混合部及び圧力開放弁の概略断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態のオゾン水噴出装置の気液混合部をオゾン水が流通する様子を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態のオゾン水噴出装置の別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[オゾン水噴出装置の構成]
本実施形態のオゾン水噴出装置(オゾン水スプレー)100は、
図1に示すように、原料水を収容する容器(略円筒形状のボトル)21と、原料水を電気分解して、オゾン水を生成する電気分解ユニット22と、オゾン水を噴出する噴出ノズル26と、オゾン水を噴出ノズル26に輸送する送液ポンプ25と、送液ポンプ25と噴出ノズル26との間の流路35aに設けられた気液混合部40とから、主に構成される。本実施形態のオゾン水噴出装置100は、ハンディタイプの小型装置であり、噴出ノズル26が取り付けられたスプレー筐体24内に、噴出ノズル26以外の上記構成物が収容されている。
【0015】
スプレー筐体24は、略円筒形状で内部に容器21が収容される収容部24Aと、収容部24Aの上方に設けられ、収容部24Aよりも縮径されている把持部24Bと、把持部24Bの上方に設けられ、噴出ノズル26が取り付けられたヘッド部24Cを有する。使用者は、把持部24Bを握ることにより、容易に手でオゾン水噴出装置100を把持して使用できる。送液ポンプ25及び気液混合部40は、ヘッド部24C内に収容されている。噴出ノズル26と送液ポンプ25とは、内部に流路35aが形成された接続配管34により連結され、流路35aの途中に気液混合部40が設けられている。電気分解ユニット22と、送液ポンプ25とは、内部に流路35bが形成された接続配管34により連結されている。
【0016】
図1において、オゾン水噴出装置100は、水平面90(鉛直方向に対して垂直な面)に載置されているものとする。
図1に、鉛直方向と平行な上下方向を矢印で示す。本願明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、オゾン水噴出装置100を水平面に載置したときの、鉛直方向と平行な上下方向における「上方」及び「下方」を意味する。噴出ノズル26、送液ポンプ25及び気液混合部40は、容器21に対して上方に配置され、容器21は、噴出ノズル26、送液ポンプ25及び気液混合部40に対して、下方に配置される。また、オゾン水噴出装置100において、電気分解ユニット22で生成したオゾン水は、電気分解ユニット22から噴出ノズル26へ向かって流れる。したがって、電気分解ユニット22から噴出ノズル26までの間のある地点において、電気分解ユニット22側を「上流」、噴出ノズル26側を「下流」と記載する場合がある。
【0017】
容器21は、原料水を収容する容器であり、スプレー筐体24に固定された容器でもよいし、着脱が可能なカートリッジ式の容器であってもよい。カートリッジ式の容器は、スプレー筐体24から取り外して原料水を注水した後、取り付けて使用できるため、便利であり好ましい。容器21は、樹脂、金属、ガラス、セラミック等、様々な材質のものを用いることができ、特に限定はされないが、持ち運びの観点からは、より軽量な樹脂性が好ましい。
【0018】
本実施形態では、容器21として、以下に説明するカートリッジ式の樹脂製の容器を用いる。容器21は、上端に縮径された開口部21aが設けられており、開口部21aは蓋21bによってネジ構造により開閉可能とされている。蓋21bはパッキン39に挿入することによって、スプレー筐体24の収容部24A内部に容器21と共に固定される。また、容器21の底は底蓋27によって覆われており、これによってスプレー筐体24内に収められている。底蓋27は図示しないロック機構によって開閉可能とされている。
【0019】
電気分解ユニット22は、容器21内に収容される原料水を電気分解して、オゾンと電解液を発生させる機構であれば特に限定されず、汎用のものを用いることができる。
【0020】
本実施形態では、以下に説明する電気分解ユニット22を用いる。本実施形態の電気分解ユニット22は、最下端に原料水を取り入れる吸水口28を有する略円筒形状の細長いユニットカバー22aと、その内部に収容される電解モジュール30と、ユニットカバー22a内において吸水口28と電解モジュール30との間に配置される逆止弁29とを有する。電解モジュール30は、原料水を電気分解するときに、酸素ガス及びオゾンガスが発生する陽極(不図示)と、水素ガスが発生する陰極(不図示)を有する。電解モジュール30は、更に、陰極と陽極との間にイオン交換膜から成る隔膜(不図示)を設けてもよい。隔膜を設けることで、陰極、陽極で生成した物質が、反対の電極で消費されることを防止すると共に、電気伝導率が低い純水等を原料水として用いた場合でも、電解を速やかに進行させることができる。電気分解ユニット22において、発生したオゾンの一部は電解液に溶解して、オゾン水が生成する。そして、オゾン水とオゾンガス等とを含む気液混合物が、電気分解ユニット22の下流に流出する。電解モジュール30としては、例えば、デノラ・ペルメレック(株)社製のスパイラル電極等、市販の電解モジュールを用いてもよい。
【0021】
電気分解ユニット22は、容器21の蓋21bに脱着可能に取り付けられる。電気分解ユニット22の、吸水口28が形成されている下端は、容器21内に配置され、上端は蓋21bから上方に突出する。また、電気分解ユニット22は、スプレー筐体24に設置されたリチウムイオン電池31に回路基板32を介して接続されている。回路基板32は、リチウムイオン電池31から電気分解ユニット22へ印可される電圧を制御する。電気分解ユニット22への電圧印加のON-OFFは、スプレー筐体24の把持部24Bに取り付けられた電源スイッチ33によって切り替えられる。
【0022】
噴出ノズル26は、オゾン水を噴出可能なノズルであれば、特に限定されず、汎用のものを用いることができる。噴出ノズルは、ストレート水流を噴出するノズルであってもよいし、霧(ミスト)を噴霧するノズルであってもよいし、これらを切り替えられるノズルであってもよい。また、噴出ノズル26の接液部の材質はオゾンに不活性な材料であれば、金属、セラミックス、樹脂等、特に限定はされない。
【0023】
送液ポンプ25は、オゾン水を噴出ノズルに送液可能な送液ポンプであれば、特に限定されず、汎用のものを用いることができる。送液ポンプの種類は、オゾン水を安定して連続的に噴出するために、無脈動ポンプが好ましい。また、送液ポンプ25の接液部の材質は、オゾンに不活性な材料であれば金属、セラミックス、樹脂等、特に限定はされない。
【0024】
流路35a及び35bを形成する材料は、オゾンに不活性な材料であれば、金属、セラミックス、樹脂等、特に限定はされない。
【0025】
気液混合部40は、送液ポンプ25と噴出ノズル26との間の、第1方向に延びる流路35aに設けられ、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を促進する。オゾンガスの溶解及び分散が促進されるメカニズムについては後述する。
図2に示すように、気液混合部40は内部空間41を有する。本実施形態において、内部空間41は、流路35aに直交する方向(
図2に矢印で示す、第1方向に直交する第2方向)に延びる略円柱状の形状である。内部空間41には、送液ポンプ25からオゾン水が流入する流入口42と、噴出ノズル26に向かってオゾン水が流出する流出口43とが形成されている。オゾン水を噴出ノズル26から噴出するとき、オゾン水は、流入口42から流出口43に向って、即ち、
図2及び
図3において右から左に向って内部空間41内を流通する。
図3にオゾン水の流通方向を矢印で示す。内部空間41の頂部41aは、流入口42の頂部42aよりも上方にあり(高く)、これにより、内部空間上部41bを創出している。即ち、内部空間41は、流入口の頂部42aよりも上方にある空間(内部空間上部)41bと、流入口の頂部42aよりも下方にあり、流入口42と同じ高さの空間(流路空間)41cとを有する。
図3に示すように、オゾン水50は、内部空間41、特に、内部空間上部41bを充満することなく内部空間41内を流通できる。内部空間41の上方には、オゾンガス80が分離し、オゾンガス80とオゾン水50との気液界面50aが形成される。尚、流入口42と流出口43の大きさは同一であってもよいし、異なってもよい。本実施形態では、流出口43を流入口42より小さくする。流出口43及びそれに続く噴出ノズル26までの流路35aを細くすることで、噴出ノズル26へ送られるオゾン水の圧力が高まり、効率的に噴出できる。
【0026】
流入口42における、流入口の底部42bから内部空間の頂部41aまでの高さHの、流入口の底部42bから流入口の頂部42aまでの高さhに対する比率H/hは、例えば、1.1~4.0であり、好ましくは、1.5~3.0であり、更により好ましくは、2.0~3.0である。比率H/hが上記範囲の下限値以上であれば、内部空間41内にオゾンガス80が存在するスペースが十分に確保でき、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。また、例えば、使用者がオゾン水噴出装置100を
図1に示す状態から傾けて使用したとしても、比率H/hが上記範囲の下限値以上であれば、流入口の高さhに対して内部空間の高さHが十分に高いため、オゾン水50は、内部空間41を充満することなく流通できる。これにより、使用者がオゾン水噴出装置100を傾けて使用しても、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を促進できる。また、比率H/hが上記範囲の上限値以下であれば、内部空間41の容積が大きくなり過ぎず、内部空間41内にオゾン水と共に存在するオゾンガスの圧力を高められる。これにより、気液界面50aにおけるオゾン水50とオゾンガス80との接触効率がより高まり、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。
【0027】
内部空間上部41bの容積は、例えば、0.02mm3~575mm3であり、10mm3~100mm3が好ましい。内部空間上部41bの容積がこの範囲の下限値以上であれば、内部空間41内にオゾンガス80が存在するスペースが十分に確保でき、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。また、内部空間上部41bの容積が上記範囲の上限値以下であれば、内部空間上部41b内にオゾン水と共に存在するオゾンガスの圧力を高められ、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。
【0028】
また、流路35aの延在方向(
図2に示す、第1方向)における、内部空間41の長さの最大値Dの、流入口の底部42bから流入口の頂部42aまでの高さhに対する比率D/hは、例えば、0.1~3.0であり、好ましくは、0.2~2.0である。比率D/hが上記範囲の下限値以上であれば、オゾンガス80とオゾン水50との気液界面50aの面積を十分に広くでき、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。また、比率D/hが上記範囲の上限値以下であれば、内部空間41の容積が大きくなり過ぎず、内部空間41内にオゾン水と共に存在するオゾンガスの圧力を高められる。これにより、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。
【0029】
また、流入口42における、流入口の底部42bから内部空間41の頂部41aまでの高さHの、流路35aの延在方向(
図2に示す、第1方向)における、内部空間42の長さの最大値Dに対する比率H/Dは、例えば、0.3~40であり、好ましくは、0.5~15である。比率H/Dが上記範囲内であれば、オゾンガス80とオゾン水50との気液界面50aの面積と、内部空間41の容積とを共に適当な大きさとすることができ、これにより、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。
【0030】
気液混合部40における、高さH、高さh及び内部空間42の長さの最大値Dの大きさは特に限定されず、比率H/h、比率D/h、比率H/Dが上述した好ましい範囲内となるように、適宜、設計できる。オゾン水噴出装置100がハンディタイプの小型装置であることを鑑みた場合、例えば、高さHは、2.7~12mmであってよく、高さhは、0.2~5.0mmであってよく、内部空間42の長さの最大値Dは、0.25~9mmであってもよい。
【0031】
図3に示すようにオゾン水50が内部空間41内を流通するとき、オゾンガス80とオゾン水50との気液界面50aの面積は、例えば、0.1~64mm
2であり、好ましくは、0.3~29mm
2であってもよい。気液界面50aの面積が上記範囲の下限値以上であれば、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。気液界面50aの面積が上記範囲の上限値以下であれば、内部空間41の容積が大きくなり過ぎず、内部空間41内にオゾン水と共に存在するオゾンガスの圧力を高められる。これにより、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進できる。
【0032】
本実施形態において、「流入口の底部42bから流入口の頂部42aまでの高さh」は、
図2に示す第2方向における高さ(長さ)であり、流入口42が円形であるとき、その直径に等しい。また、「流入口42における、流入口の底部42bから内部空間の頂部41aまでの高さH」は、
図2に示す第2方向における高さ(長さ)であり、流入口の底部42bから略円柱状の内部空間41の上方の底面までの高さであり、また、内部空間上部41bの高さと流路空間41cの高さとの合計である。「内部空間41の長さの最大値D」は、略円柱状の内部空間41の底面の直径に等しい。また、オゾンガス80とオゾン水50との気液界面50aの面積は、気液界面50aが水平面90(
図1参照)に平行な場合、略円柱状の内部空間41の水平面90と平行な断面の断面積に等しい。また、気液混合部40の接液部の材質は、オゾンに不活性な材料であれば金属、セラミックス、樹脂等、特に限定はされない。
【0033】
オゾン水噴出装置100は、更に、流路35a内の圧力が所定圧力以上になると開放され、所定圧力未満となると閉塞される圧力開放弁(リリーフ弁)60を有してもよい。流路35a内は、オゾン水と共に、オゾン水に溶解していないオゾンガスも流通する。圧力開放弁60を設けることで、流路35a内が所定圧力以上となることを防ぎ、オゾン水噴出装置100の安全性を高められる。圧力開放弁60の種類は特に限定されず、ボールチェックバルブ、スイングチェックバルブ、ウエハーチェックバルブ等の汎用のものを用いることができる。圧力開放弁の材質はオゾンに不活性な材料であれば金属、セラミックス、樹脂等、特に限定はされない。
【0034】
本実施形態では、圧力開放弁60として、ボール60aと、スプリング60bとを含むボールチェックバルブを用いる。オゾン水噴出装置100は、分岐部70を有し、分岐部70内には、流路35aに直交して下方に延びる分岐流路35cが形成されている。即ち、分岐流路35cは、流路35aから分岐して、第2方向において下方に延びている。圧力開放弁60は、分岐部70内の分岐流路35cに設けられている。分岐流路35cは、その流路径が縮小された縮径部35dを有する。圧力開放弁60は、縮径部35dの下方に配置される。ボール60aは、スプリング60bにより上方の縮径部35dに向って付勢されている。流路35aの圧力が所定圧力未満のとき、縮径部35dはボール60aにより閉塞されている。そして、流路35aの圧力が所定圧力以上になると、ボール60aは下方に移動し、縮径部35dが開放される。
【0035】
本実施形態において、気液混合部40の内部空間41と、圧力開放弁60が設けられている分岐流路35cとは連通している。これにより、圧力開放弁60が所定圧力未満で開放されることを防止できる。このメカニズムについては、後述する。内部空間41と、分岐流路35cとは、第2方向に並んで配置されて、連通していることが好ましい。本実施形態では、内部空間41及び分岐流路35cは、共に略円柱状の形状であり、内部空間41の中心軸Lと、分岐流路35cの中心軸Mとは、同一軸上にある。内部空間41の底面の直径と、分岐流路35cの底面の直径とは、同一であっても、異なっていてもよい。本実施形態では、内部空間41の直径と、分岐流路35cとの直径とは略同一である。即ち、内部空間41及び分岐流路35cが、第2方向に延びる1つの略円柱状の形状を構成する。
【0036】
また、気液混合部40及び分岐部70の材料及び製造方法は、特に限定されず、例えば、プラスチック、金属等の切削加工により製造してもよい。また、内部空間41を有する気液混合部40と、分岐流路35cを有する分岐部70は、例えば、樹脂により、一体に成形されていてもよい。即ち、気液混合部40と分岐部70とが、一体成形体であってもよい。これにより、部品点数の削減、省スペース化、及びコストの低減が図れる。
【0037】
本実施形態のオゾン水噴出装置100は、
図1に示すように、圧力開放弁60と容器21とを連結する回収流路35eを更に有してもよい。これにより、圧力開放弁60が開放されたとき、圧力開放弁60から回収流路35eを介してオゾン水を容器21に回収できる。
【0038】
また、本実施形態のオゾン水噴出装置100は、
図1に示すように、不使用時には載置台36に載置されてもよい。載置台36内部には電磁誘導コイル36aが設けられている。さらに、底蓋27内には電磁誘導コイル27aが載置台36内の電磁誘導コイル36aに対面する位置で設けられている。電磁誘導コイル36aに接続されたプラグ37を図示しないコンセントに差し込むことにより、電磁誘導によってリチウムイオン電池31が充電される。また、スプレー筐体24の側面にはLED38a、38b取り付けられており、電気分解によるオゾン水の生成中であるか否かの区別や、電池残量、電極交換サイン、電極クリーニングサインを示すことが可能とされている。
【0039】
[オゾン水噴出装置の使用方法及び作用・効果]
次に、本実施形態のオゾン水噴出装置100の使用方法及び作用・効果について説明する。使用者は、オゾン水噴出装置100を手に持ち、底蓋27のロック機構を外して底蓋27を外し、容器21を取り出す。そして、蓋21bを外して精製水を注入し、蓋21bを締めた後、再び容器21を元の位置に設置し、底蓋27を閉めてロック機構によってロックする。
【0040】
原料水を充填した容器21をセットした装置のスプレー筐体24の把持部24Bを把持し、噴出ノズル26の噴出方向が殺菌しようとする部材に向かうようにした状態で、電源スイッチ33を押してON状態とする。これにより、送液ポンプ25が駆動し、吸水口28から原料水が流入し、電気分解ユニット22内に送液されるとともに、リチウムイオン電池31から、回路基板32を介して電気分解ユニット22に電圧が印加される。電気分解ユニット22に印加される電圧は、回路基板32によって電極に所定の電流値が一定に流れるように制御される。これにより、電解モジュール30で原料水が電気分解され、オゾン水とオゾンガスとを含む気液混合物が生成される。気液混合物は、電気分解ユニット22の下流に設けられた気液混合部40に流入する。
【0041】
気液混合部40では、気液混合物のオゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散が促進される。これにより、気液混合部40から下流へ流出するオゾン水中のオゾン濃度は、気液混合部40の上流から流入するオゾン水中のオゾン濃度と比べて高くなる。このメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
図3に示すように、気液混合部40は、その内部にオゾン水50が充満することなく流通する内部空間41を有する。気液混合物が内部空間41を通過するとき、内部空間41の上方にオゾンガス80が分離して、オゾンガス80とオゾン水50との気液界面50aが形成される。気液混合物が内部空間41を通過するのに伴い、気液界面50aが激しく振動することが観察されている。これにより、気液界面50aでのオゾン水50とオゾンガス80との接触効率が高まり、オゾン水50へのオゾンガス80の溶解及び分散が促進すると推測される。尚、以上説明したメカニズムは推測であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0042】
こうして生成した高濃度のオゾン水は、噴出ノズル26に送られ、噴出ノズル26から噴出される。
【0043】
以上説明した本実施形態のオゾン水噴出装置100は、気液混合部40を設けることにより、小型の装置でありながら高濃度のオゾン水を製造でき、噴出ノズル26から効率的に噴出できる。オゾン水噴出装置100は、噴出するオゾン水のオゾン濃度を、気液混合部40が設けられていない場合と比較して、例えば、約1.3倍~約2倍、又は約1.5倍~約2倍に増加させることができる。気液混合部40において、オゾンガスのオゾン水への溶解及び分散が促進されるため、噴出ノズル26から噴出されるオゾンガスの濃度を低減できる。これにより、人体に対する安全性が高まり、環境に対する負荷が低下する。また、気液混合部40は、内部空間41を有する簡易な構造であるため、圧力損失が小さい。このため、噴出ノズル26から、効率よくオゾン水を噴出できる。特に、噴出用ノズル26からオゾン水を噴霧する場合、本実施形態のオゾン水噴出装置100は有用である。噴出用ノズル26からオゾン水を噴霧する場合、高圧のオゾン水を噴出用ノズル26に供給する必要がある。本実施形態のオゾン水噴出装置100は、十分な圧力を有するオゾン水を噴出用ノズル26に送ることができるため、高濃度のオゾン水を噴霧可能である。
【0044】
本実施形態のオゾン水噴出装置100は、更に、分岐流路35cに圧力開放弁60を設けてもよく、分岐流路35cと内部空間41とが連通してもよい。圧力開放弁60を設けることで、オゾン水噴出装置100の安全性を高められる。また、内部空間41と分岐流路35cとが連通することにより、圧力開放弁60が所定圧力未満で開放されることを防止できる。このメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。圧力開放弁60が所定圧力未満で開放される原因の1つとして、原料水に少量含まれる混入物(コンタミネーション)が、圧力開放弁60のボール60aと、分岐流路35cの縮径部35dとの隙間に詰まることが考えられる。この隙間に混入物が詰まるのみでは、圧力開放弁60は開放されない。しかし、更に、この隙間に気液混合物に含まれるオゾンガス等の気体が入り込むと、隙間が広がり、圧力開放弁60が所定圧力未満で開放されると考えられる。圧力開放弁60が所定圧力未満で開放されると、十分な圧力を有するオゾン水を噴出用ノズル26に送れなくなり、噴出ノズル26から効率よくオゾン水を噴出できない。これに対して、本実施形態では、
図3に示すように、分岐流路35cと内部空間41とを連通させる。これにより、気液混合物中のオゾンガス80等の気体は、分離して内部空間41の上方に移動する。内部空間41より下方に存在する圧力開放弁60近傍には、オゾン水50のみが存在するため、ボール60aと縮径部35dとの隙間にオゾンガス80等の気体が入り込み難くなる。これにより、圧力開放弁60が所定圧力未満で開放されることを防止できる。また、内部空間41と、分岐流路35cとが、第2方向に並んで配置されて連通されると、オゾンガス80等の気体は内部空間41の上方に移動し易くなるため、この効果は更に促進される。尚、以上説明したメカニズムは推測であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0045】
尚、以上説明した本実施形態のオゾン水噴出装置100は、
図1~
図3に示すように、流路35aの延びる第1方向は、鉛直方向に垂直である。即ち、流路35aは水平方向(水平面90に平行な方向)に延在している。しかし、本実施形態はこれに限定されない。内部空間41内をオゾン水が充満することなく流通できるのであれば、例えば、
図4に示すオゾン水噴出装置200ように、流路35aは水平方向に対して傾いていてもよい。また、以上説明した本実施形態では、気液混合部40を1個設けたが、本実施形態はこれに限定されない。オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散を更に促進するために、気液混合部40を複数個設けてもよい。また、以上説明した本実施形態では、気液混合部40の内部空間41の下方に分岐流路35c及び圧力開放弁60が設けられているが、本実施形態はこれに限定されない。分岐流路35c及び圧力開放弁60を伴わずに、内部空間41のみが気液混合部40に形成されていてもよい。
【0046】
また、以上説明した本実施形態のオゾン水噴出装置100では、
図2に示すように、気液混合部40の内部空間41は略円柱状の形状であるが、本実施形態はこれに限定されない。内部空間41をオゾン水が充満することなく流通することが可能であれば、その形状は限定されない。例えば、内部空間41の形状は、立方体、台形、円錐、ピラミッド等の形状であってもよい。
【実施例】
【0047】
次に、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。尚、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
【0048】
[実施例1]
図1に示すオゾン水噴出装置100を用いてオゾン水を噴出し、噴出したオゾン水中のオゾン濃度(以下、適宜「オゾン水濃度」と記載する)を測定した。
【0049】
<オゾン水噴出装置の気液混合部について>
本実施例で用いたオゾン水噴出装置では、気液混合部の流入口における、流入口の底部から内部空間の頂部までの高さHを3.3mm、流入口の底部から流入口の頂部までの高さhを3mmとした。したがって、比率H/hは、1.1であった。尚、流路の延在方向(
図2に示す、第1方向)における、内部空間の長さの最大値Dは、4.3mmとした。
【0050】
<オゾン水濃度の測定>
水平面に対して略垂直に立てたガラス板に、ガラス板に対する垂直方向からオゾン水噴出装置を用いてオゾン水を噴出し、ガラス板を伝って落下するオゾン水を空のビーカー内に採取した。オゾン水噴出中はオゾン水がビーカー外に飛ばされない程度に横からエアーを流すことによってオゾンガスを吹き飛ばし、オゾンガス由来のオゾンがビーカー内に入ることを防止した。採取したオゾン水のオゾン濃度を分光光度計を用いて吸光光度分析法により定量した(吸収波長:258nm)。結果を表1に示す。併せて、高さH、高さh、比率H/h、及び比較例のオゾン水濃度に対する各実施例のオゾン水濃度の割合を表2に示す。
【0051】
尚、本実施例では、原料水としてイオン交換水を用い、0.6Aの電流で原料水の電気分解を行い、スプレー速度を70mL/minとしてオゾン水の噴出を行った。また、噴出液を受けるビーカーは事前に中性洗剤で洗った後、精製水で洗い、最後に噴出液で共洗いを充分行ってから上記測定を行った。
【0052】
[実施例2~6]
気液混合部における高さHを表1に示す値に変更したオゾン水噴出装置を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、オゾン水噴出装置から噴出したオゾン水中のオゾン濃度(オゾン水濃度)を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
[比較例]
気液混合部における高さHと高さhを同じ大きさ(3mm)としたオゾン水噴出装置を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、オゾン水噴出装置から噴出したオゾン水中のオゾン濃度(オゾン水濃度)を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
【0055】
表1に示すように、比率H/hが1を超える実施例1~6(H/h=1.1~4.0)は、オゾン水濃度が高く、中でも、比率H/hが1.5~3である実施例2~5は、オゾン水濃度が特に高かった。実施例1~6のオゾン水濃度は、比率H/hが1である比較例のオゾン水濃度の1.33~2.08倍であり、実施例2~5のオゾン水濃度は、比較例のオゾン水濃度の1.75~2.08倍であった。実施例1~6では、気液混合部の内部空間をオゾン水が充満することなく流通し、これにより、オゾン水へのオゾンガスの溶解及び分散が促進されたと推測される。
【0056】
一方、比較例では、気液混合部の高さHと高さhとが同じ大きさであるため(H/h=1)、気液混合部の内部空間をオゾン水が充満して流通し、このため、オゾン水濃度が低かったと推測される。
【0057】
[実施例7~11]
気液混合部における高さHを8.5mm、高さhを3mmとし、内部空間の長さの最大値Dを表2に示す値に変更したオゾン水噴出装置を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、オゾン水噴出装置から噴出したオゾン水中のオゾン濃度(オゾン水濃度)を測定した。結果を表2に示す。併せて、気液混合部の内部空間の長さの最大値D、高さh、比率D/h、気液界面の面積(
図3に示す気液界面50aの面積)、及び比較例のオゾン水濃度に対する各実施例のオゾン水濃度の割合を表2に示す。
【0058】
【0059】
表2に示すように、比率D/hが0.1~3.0である実施例7~11は、オゾン水濃度が高く、中でも、比率D/hが0.2~2.0である実施例8~10は、オゾン水濃度が特に高かった。実施例7~11のオゾン水濃度は、比較例のオゾン水濃度の1.33~1.92倍であり、実施例8~10のオゾン水濃度は、比較例のオゾン水濃度の1.75~1.92倍であった。
【0060】
尚、オゾン水濃度が高い実施例7~11では、気液界面の面積が0.1~64mm2の範囲内であり、オゾン水濃度が特に高い実施例8~10では、気液界面の面積が0.3~29mm2の範囲内であった。
【0061】
[実施例12~16]
気液混合部における高さhを3mmとし、高さH及び内部空間の長さの最大値Dを表3に示す値に変更したオゾン水噴出装置を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、オゾン水噴出装置から噴出したオゾン水中のオゾン濃度(オゾン水濃度)を測定した。結果を表3に示す。併せて、気液混合部の高さH、内部空間の長さの最大値D、比率H/D及び比較例のオゾン水濃度に対する各実施例のオゾン水濃度の割合を表3に示す。
【0062】
【0063】
表3に示すように、比率H/Dが0.3~40である実施例12~16は、オゾン水濃度が高く、中でも、比率H/Dが0.5~15である実施例13~15は、オゾン水濃度が特に高かった。実施例12~16のオゾン水濃度は、比較例のオゾン水濃度の1.33~1.92倍であり、実施例13~15のオゾン水濃度は、比較例のオゾン水濃度の1.75~1.92倍であった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のオゾン水噴出装置は、高濃度のオゾン水を製造でき、製造したオゾン水を十分に噴出可能である。オゾン水を噴出できるため、医療現場やクリーンルーム等での素材、器具や作業者の手指の消毒、除菌、殺菌に利用できる。本発明のオゾン水噴出装置が噴出する高濃度のオゾン水は、通常、アルコールが用いられる細菌及びウィルスの消毒、除菌、殺菌に用いることができ、更に、アルコールでは対応が難しいノロウィルスを代表とするノンエンベロープウイルスの消毒、除菌、殺菌も可能である。また、本発明のオゾン水噴出装置を用いた消毒、除菌、殺菌は、アルコール消毒等で問題となる手荒れが生じ難く、更に、アルコールにアレルギーを有する作業者、アルコールの使用が宗教上の禁忌である使用者も行うことができる。このように、本発明のオゾン水噴出装置は、新たな市場を開拓できる。
【符号の説明】
【0065】
21・・・容器、22・・・電気分解ユニット、24スプレー筐体、25・・・送液ポンプ、26・・・噴出ノズル、35a,35b・・・流路、35c・・・分岐流路、40・・・気液混合部、41・・・内部空間、50・・・オゾン水、50a・・・気液界面、60・・・圧力開放弁(リリーフ弁)、70・・・分岐部、80・・・オゾンガス、100,200・・・オゾン水噴出装置