(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】蔵書管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220214BHJP
G06Q 10/08 20120101ALI20220214BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20220214BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/08 330
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2020182392
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2019199197
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596100812
【氏名又は名称】京セラコミュニケーションシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】長野 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】西 晃史郎
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-044481(JP,A)
【文献】特開2012-208591(JP,A)
【文献】TUMU, Sudheer,An Investigative and Goal driven Workbench for Text Extraction and Image Processing,PhD Thesis,The Ohio State University [オンライン],2013年,[検索日 2021年9月30日],インターネット:<URL: http://rave.ohiolink.edu/etdc/view?acc_num=osu1376930066>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図書館が所蔵している本に関するデータを保存している管理サーバと、
前記図書館の書架の一部の範囲が撮影された画像の画像解析を行う解析サーバと、を備え、
前記解析サーバは、
前記画像に含まれる複数の本のそれぞれについて画像解析によって背表紙の範囲を区画し、
背表紙の範囲で区画された本ごとに、画像解析によって該本の情報を抽出し、
前記書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータを前記管理サーバから取得し、
画像解析によって抽出した前記本の情報と、前記管理サーバから取得した前記書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータとを照合
し、
前記書架の一部の範囲が撮影された画像に対し、前記背表紙の範囲を囲う枠線を重畳表示し、
照合の結果が一致すると判定された本を囲う枠線と、一致しないと判定された本を囲う枠線とを異なる態様の枠線とする、蔵書管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蔵書管理システムにおいて、
前記解析サーバは、照合の結果を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記照合の結果に基づいて照合結果リストを作成して、該照合結果リストを保存する、蔵書管理システム。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の蔵書管理システムにおいて、
前記解析サーバは、背表紙の範囲で区画された本ごとに、該本の情報として、背表紙の文字情報を抽出する、蔵書管理システム。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の蔵書管理システムにおいて、
前記解析サーバは、背表紙の範囲で区画された本ごとに、該本の情報として、背表紙の画像情報を抽出する、蔵書管理システム。
【請求項5】
請求項
4に記載の蔵書管理システムにおいて、
前記解析サーバは、抽出した前記背表紙の画像情報と、前記本に関するデータとを照合する際、多数の背表紙画像を用いて機械学習で学習された学習モデルを用いて照合を実行する、蔵書管理システム。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の蔵書管理システムにおいて、
前記画像は、動画像として撮影された画像から切り出された画像である、蔵書管理システム。
【請求項7】
本を所蔵する施設が所蔵している本に関するデータを保存している管理サーバと、
前記本を所蔵する施設の書架の一部の範囲が撮影された画像の画像解析を行う解析サーバと、を備え、
前記解析サーバは、
前記画像に含まれる複数の本のそれぞれについて画像解析によって背表紙の範囲を区画し、
背表紙の範囲で区画された本ごとに、画像解析によって該本の情報を抽出し、
前記書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータを前記管理サーバから取得し、
画像解析によって抽出した前記本の情報と、前記管理サーバから取得した前記書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータとを照合
し、
前記書架の一部の範囲が撮影された画像に対し、前記背表紙の範囲を囲う枠線を重畳表示し、
照合の結果が一致すると判定された本を囲う枠線と、一致しないと判定された本を囲う枠線とを異なる態様の枠線とする、蔵書管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蔵書管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図書館では、蔵書を管理するために、所蔵している本が所定の場所に収まっているかどうかを確認する棚卸し作業が年に数回程度実施されている。
【0003】
棚卸しの際に書架に置かれている本の書誌データを取得する方法として、いくつかの方法が知られている。例えば、本に貼付されたバーコードを読み取ることで、書誌データを取得する方法が知られている(特許文献1参照)。また、例えば、本に貼付されたICタグを読み取ることで、書誌データを取得する方法が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6460207号公報
【文献】特開2017-62130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本に貼付されているバーコード又はICタグを読み取る作業は手間がかかる。例えば、バーコード又はICタグの読み取りを手作業でやる場合、棚卸し作業に数日を要する場合もある。その場合、数日の間、図書館を休館することが必要となってしまう。
【0006】
また、バーコード又はICタグを読み取るためには、予め書誌データを含むバーコード又はICタグを本に貼付しておく必要があるが、バーコード又はICタグを本に貼付する作業にも手間がかかる。
【0007】
また、書誌データをICタグから読み取れるようにするためには、ICタグを読み取り可能な環境を整えるために、多額の設備投資が必要となる。
【0008】
かかる観点に鑑みてなされた本開示の目的は、低コストで効率的に蔵書管理をすることができる蔵書管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態に係る蔵書管理システムは、図書館が所蔵している本に関するデータを保存している管理サーバと、前記図書館の書架の一部の範囲が撮影された画像の画像解析を行う解析サーバと、を備え、前記解析サーバは、前記画像に含まれる複数の本のそれぞれについて画像解析によって背表紙の範囲を区画し、背表紙の範囲で区画された本ごとに、画像解析によって該本の情報を抽出し、前記書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータを前記管理サーバから取得し、画像解析によって抽出した前記本の情報と、前記管理サーバから取得した前記書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータとを照合する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一実施形態に係る蔵書管理システムによれば、低コストで効率的に蔵書管理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る蔵書管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る管理サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る解析サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る蔵書管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】棚を選択する際の画面表示の一例を示す図である。
【
図7】撮影された画像が表示されている様子の一例を示す図である。
【
図8】枠線が重畳された画像が表示されている様子の一例を示す図である。
【
図9】照合結果の一覧が表示されている様子の一例を示す図である。
【
図10】一冊の本についての詳細が表示されている様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係る蔵書管理システム1の構成例を示す図である。蔵書管理システム1は、図書館に所蔵されている本を管理するためのシステムである。蔵書管理システム1は、管理サーバ10と解析サーバ20とを備える。
【0014】
管理サーバ10と解析サーバ20とは、ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。ネットワーク40は、無線通信可能なネットワークであってもよいし、有線通信可能なネットワークであってもよい。または、ネットワーク40は、無線通信可能なネットワークと、有線通信可能なネットワークとの両方を含むネットワークであってよい。
【0015】
管理サーバ10及び解析サーバ20は、ネットワーク40を介して端末装置30と通信可能に接続されている。
【0016】
管理サーバ10は、汎用のコンピュータであってもよいし、管理サーバ10として機能する専用のコンピュータであってもよい。管理サーバ10は、図書館に設置されていてもよいし、図書館の外部に設置されていてもよい。
【0017】
解析サーバ20は、汎用のコンピュータであってもよいし、解析サーバ20として機能する専用のコンピュータであってもよい。解析サーバ20は、図書館に設置されていてもよいし、図書館の外部に設置されていてもよい。
【0018】
端末装置30は、撮影機能及び通信機能を有する装置である。端末装置30は、例えば、タブレット又はスマートフォンなどであってよい。端末装置30は、図書館の棚卸し作業を行う際に、棚卸し作業の作業員によって操作される。
【0019】
最初に、
図1を参照して、本実施形態の概要を説明する。
【0020】
蔵書管理システム1において、管理サーバ10は、図書館が所蔵している本に関するデータを保存している。端末装置30は、棚卸し作業の際に、図書館の書架の一部の範囲を撮影する。管理サーバ10は、端末装置30が撮影した画像を受信すると、該画像を解析サーバ20に送信する。解析サーバ20は、管理サーバ10から受信した画像の画像解析を行う。解析サーバ20は、画像解析によって抽出した情報と、管理サーバ10から受信した図書館が所蔵している本に関するデータとを比較して、照合処理を実行する。
【0021】
図2を参照して、本実施形態に係る管理サーバ10の構成を説明する。管理サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0022】
通信部11は、無線又は有線を介して外部装置と通信可能な1つ以上の通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、例えば、LAN(Local Area Network)用のインタフェースであってよい。通信部11は、ネットワーク40を介して、解析サーバ20及び端末装置30と通信可能である。
【0023】
記憶部12は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を含む。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部12は、管理サーバ10の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してよい。記憶部12の一部は、管理サーバ10の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設定されている記憶部12の一部は、任意のインタフェースを介して管理サーバ10と接続される。
【0024】
記憶部12は、図書館が所蔵している本に関するデータを保存している。図書館が所蔵している本に関するデータは、書誌データ、蔵書データ及び棚データを含む。書誌データは、図書館が所蔵しているそれぞれの本についての詳細なデータであり、例えば、タイトル、著者、出版社、ISBN(International Standard Book Number)、及び背表紙の画像などを含む。蔵書データは、図書館が何の本を所蔵しているかを示すデータである。すなわち、蔵書データは、図書館が所蔵している全ての本をリスト化したデータである。棚データは、図書館の書架の特定の一部の範囲にどの本が所蔵されているかを示す情報である。ここで、「書架の特定の一部の範囲」は、例えば、「書架の特定の棚」であってよい。本実施形態においては、「棚」は一列分の棚を意味するものとする。また、「書架」は複数の棚を含む書架全体を意味するものとする。本実施形態においては、以後、「書架の特定の一部の範囲」は、「書架の特定の棚」であるものとして説明する。ただし、これは一例であり、「書架の特定の一部の範囲」は、一列分の棚よりも狭い範囲であってもよいし、複数の棚に亘る範囲であってもよい。
【0025】
制御部13は、例えば、1つ以上のプロセッサを含んでよい。本実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であるが、これらに限られない。制御部13は、管理サーバ10全体の動作を制御する。管理サーバ10の動作の詳細については後述する。
【0026】
図3を参照して、本実施形態に係る解析サーバ20の構成を説明する。解析サーバ20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0027】
通信部21は、無線又は有線を介して外部装置と通信可能な1つ以上の通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、例えば、LAN用のインタフェースであってよい。通信部21は、ネットワーク40を介して、管理サーバ10及び端末装置30と通信可能である。
【0028】
記憶部22は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を含む。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部22は、解析サーバ20の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してよい。記憶部22の一部は、解析サーバ20の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設定されている記憶部22の一部は、任意のインタフェースを介して解析サーバ20と接続される。
【0029】
制御部23は、例えば、1つ以上のプロセッサを含んでよい。制御部23は、解析サーバ20全体の動作を制御する。解析サーバ20の動作の詳細については後述する。
【0030】
図4を参照して、本実施形態に係る端末装置30の構成を説明する。端末装置30は、カメラ31と、表示部32と、入力部33と、通信部34と、記憶部35と、制御部36とを備える。
【0031】
カメラ31は、図書館の書架の一部の範囲を撮影可能である。すなわち、カメラ31は、書架の特定の棚を撮影可能である。
【0032】
表示部32は、任意のディスプレイである。表示部32は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等であってよい。
【0033】
入力部33は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン又はマイク等であってよい。
【0034】
通信部34は、無線又は有線を介して外部装置と通信可能な1つ以上の通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G、若しくは5Gなどの移動通信規格に対応したインタフェース、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信に対応したインタフェース、又はLANインタフェースなどであってよい。通信部34は、ネットワーク40を介して、管理サーバ10及び解析サーバ20と通信可能である。
【0035】
記憶部35は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を含む。記憶部35は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部35は、端末装置30の動作に用いられる任意の情報を格納する。例えば、記憶部35は、システムプログラム、又はアプリケーションプログラム等を格納してよい。記憶部35の一部は、端末装置30の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設定されている記憶部35の一部は、任意のインタフェースを介して端末装置30と接続される。
【0036】
制御部36は、例えば、1つ以上のプロセッサを含んでよい。制御部36は、端末装置30全体の動作を制御する。端末装置30の動作の詳細については後述する。
【0037】
図5に示すシーケンス図を参照して、本実施形態に係る蔵書管理システム1の動作の一例について説明する。
図5に示す動作は、蔵書管理システム1が、図書館の棚卸し作業の際に実行する動作である。
【0038】
図5のステップS101において、端末装置30は、作業員による入力部33への入力を受け付けて、画像解析の対象となる対象範囲を指定する。ここで、対象範囲は、例えば、図書館にある書架のうちの特定の棚である。端末装置30は、例えば、蔵書管理システム1にアクセスするためのアプリを起動して、アプリ上で棚を選択してよい。蔵書管理システム1にアクセスするためのアプリは、端末装置30の記憶部35に記憶されていてよい。あるいは、蔵書管理システム1にアクセスするためのアプリは、WEBサーバ上で実行されるアプリであってもよい。この場合、端末装置30は、WEBブラウザ上で、蔵書管理システム1にアクセスするためのアプリを実行する。
【0039】
図6に、端末装置30の表示部32に棚を選択するための画面が表示されている様子の一例を示す。作業員は、
図6に示す棚選択用のボタン201を操作して、棚を選択する。棚選択用のボタン201は、例えば、スライダ形式で棚が選択できるようになっているボタンであってよい。
図6は、「棚1」が選択された様子を示している。
図6において「データ取り込み」と表示されている決定用のボタン202が押されると、「棚1」の選択が確定する。
【0040】
図5のステップS102において、端末装置30は、ステップS101において指定された対象範囲の情報を、管理サーバ10に送信する。例えば、ステップS101において「棚1」が選択されていた場合、端末装置30は、対象範囲の情報として「棚1」を管理サーバ10に送信する。
【0041】
管理サーバ10の制御部13は、対象範囲の情報を端末装置30から受信すると、受信した対象範囲に置かれている本に関するデータを記憶部12から抽出する。例えば、対象範囲が「棚1」である場合、制御部13は、「棚1」に置かれている本に関するデータを記憶部12から抽出する。
【0042】
図5のステップS103において、管理サーバ10は、記憶部12から抽出した対象範囲に置かれている本に関するデータを解析サーバ20に送信する。
【0043】
図5のステップS104において、端末装置30のカメラ31は、作業員による操作によって、ステップS101で指定された対象範囲を撮影する。例えば、ステップS101において「棚1」が選択されていた場合、カメラ31は、「棚1」を撮影する。ここで、「棚1」を撮影するとは、「棚1」に置かれている複数の本を撮影することを意味する。
【0044】
図7に、端末装置30の表示部32に、カメラ31が撮影した画像が表示されている様子の一例を示す。対象範囲として「棚1」が撮影されている場合、撮影された画像は、棚1に置かれている複数の本の画像を含む。カメラ31は、複数の本が「棚1」に置かれている状態をそのまま撮影するため、画像には複数の本の背表紙が写っている。
【0045】
図5のステップS105において、端末装置30は、撮影された画像を管理サーバ10に送信する。端末装置30は、例えば、
図7に示す画面において「送信」のボタン203が押されたときに、撮影された画像を管理サーバ10に送信する。
【0046】
図5のステップS106において、管理サーバ10は、端末装置30から受信した画像を解析サーバ20に送信する。
【0047】
図5のステップS107において、解析サーバ20は、管理サーバ10から受信した画像に含まれる複数の本のそれぞれについて画像解析によって背表紙の範囲を区画する。
【0048】
解析サーバ20の制御部23は、管理サーバ10から受信した画像について画像解析を行い、画像に含まれる複数の本の背表紙の範囲を区画する。解析サーバ20は、例えば、機械学習で学習された学習モデルを用いて画像解析を行い、画像に含まれる複数の本の背表紙の範囲を区画してよい。画像に含まれる複数の本の背表紙の範囲を区画するための学習モデルは、解析サーバ20の記憶部22に記憶されていてよい。
【0049】
図5のステップS108において、解析サーバ20は、背表紙の範囲で区画された本ごとに、画像解析によって本の情報を抽出する。
【0050】
解析サーバ20の制御部23は、区画された背表紙の範囲の画像を解析して、区画された背表紙の範囲に記載されている文字情報を抽出する。制御部23は、例えば、区画された背表紙の範囲の画像に対してOCR(Optical Character Recognition)を実行して、区画された背表紙の範囲に記載されている文字情報を抽出する。
【0051】
図5のステップS109において、解析サーバ20は、ステップS108において抽出した本の情報と、ステップS103において取得した対象範囲に置かれている本に関するデータとを比較して、照合処理を実行する。解析サーバ20が実行する照合処理は、下記の一致度の算出処理及び判定処理を含む処理である。
【0052】
解析サーバ20の制御部23は、例えば、ステップS108において抽出した背表紙の範囲に記載されている文字情報について、ステップS103において取得した対象範囲に置かれている本に関するデータに含まれている文字情報との一致度を算出する。制御部23は、例えば、一致度が所定の閾値以上である場合に、ステップS108において抽出した背表紙の範囲に記載されている文字情報が、ステップS103において取得した対象範囲に置かれている本に関するデータに含まれている文字情報と「一致する」と判定してよい。また、制御部23は、例えば、一致度が所定の閾値未満である場合に、ステップS108において抽出した背表紙の範囲に記載されている文字情報が、ステップS103において取得した対象範囲に置かれている本に関するデータに含まれている文字情報と「一致しない」と判定してよい。
【0053】
制御部23は、ステップS107において背表紙の範囲を区画することができた全ての本について、一致度の算出処理及び判定処理を実行する。
【0054】
制御部23は、一致度の算出処理及び判定処理を実行する際に、機械学習で学習された学習モデルを用いて、一致度の算出処理及び判定処理を実行してよい。一致度の算出処理及び判定処理において用いられる学習モデルは、解析サーバ20の記憶部22に記憶されていてよい。
【0055】
制御部23は、ステップS108において、背表紙の情報を抽出する際、文字情報の代わりに、又は、文字情報と共に、背表紙の画像情報を抽出してもよい。この場合、制御部23は、背表紙の画像情報と、ステップS103において受信した対象範囲の本の背表紙の画像情報とを比較して、照合処理を実行してもよい。また、制御部23は、例えば、画像情報の比較で「一致しない」と判定された本について文字情報の比較をするなどのように、画像情報の比較と文字情報の比較とを組み合わせて照合処理を実行してもよい。
【0056】
制御部23は、ステップS108において背表紙の画像情報を抽出し、ステップS109において当該画像情報に基づいて照合処理を実行する場合、多数の背表紙画像を用いて機械学習で学習された学習モデルを用いて、一致度の算出処理及び判定処理を実行してよい。多数の背表紙画像を用いて機械学習で学習された学習モデルは、解析サーバ20の記憶部22に記憶されていてよい。
【0057】
図5のステップS110において、解析サーバ20は、ステップS109において実行した照合処理の結果(以後、単に「照合結果」と記載することもある)を管理サーバ10に送信する。照合結果は、背表紙の範囲を区画することができた全ての本についての情報を含む。
【0058】
照合結果は、例えば以下の情報を含んでよい。
・「一致する」又は「一致しない」と判定された本の書誌データ
・OCRで認識された文字情報
・一致度
・一致度の判定結果
・背表紙の範囲の座標
【0059】
図5のステップS111において、管理サーバ10は、解析サーバ20から受信した照合結果を端末装置30に送信する。
【0060】
図5のステップS112において、端末装置30は、管理サーバ10から受信した照合結果に基づく画像を、表示部32に表示させることができる。
【0061】
図8~
図10に、端末装置30が、ステップS111で受信した照合結果に基づく画像を表示部32に表示させている様子の一例を示す。なお、
図8~
図10に示すような画像を表示させるためのデータは、解析サーバ20が、ステップS110の前に生成して照合結果に含ませてもよいし、管理サーバ10が、ステップS111の前に生成して照合結果に含ませてもよい。
【0062】
図8は、撮影された画像に枠が重畳されて表示されている様子を示す。ステップS107において解析サーバ20によって背表紙の範囲が区画された本は、
図8に示す画像において、背表紙の範囲を実線の枠線204又は破線の枠線205によって囲まれている。すなわち、背表紙の範囲が実線の枠線204又は破線の枠線205によって囲まれている本は、ステップS107において解析サーバ20によって背表紙が認識された本である。
【0063】
図8に示す例においては、ステップS109における照合処理で「一致する」と判定された本の背表紙は、実線の枠線204によって囲まれている。ステップS109における照合処理で「一致しない」と判定された本の背表紙は、破線の枠線205によって囲まれている。
【0064】
なお、
図8において、実線の枠線204及び破線の枠線205によって、背表紙の範囲が囲まれているのは一例である。枠線204及び枠線205は、ステップS109における照合処理の結果、「一致する」と判定された本と、「一致しない」と判定された本とが区別できればよい。例えば、「一致する」と判定された本の背表紙が青色の実線の枠線によって囲まれ、「一致しない」と判定された本の背表紙が赤色の実線の枠線によって囲まれてもよい。
【0065】
図8において、実線の枠線204及び破線の枠線205のいずれにも囲まれていない本は、ステップS107の処理において背表紙の範囲を区画することができなかった本であることを示す。例えば、ピントが合っていなかったなどの理由により、端末装置30が撮影した画像が不鮮明であった場合、解析サーバ20が背表紙の範囲を区画することができない本が画像に含まれうる。
【0066】
端末装置30は、照合結果の一覧を表示部32に表示させうる。
図9に、端末装置30が照合結果の一覧を表示部32に表示している様子の一例を示す。端末装置30は、例えば、
図8に示す画面において、「結果一覧」のボタン206が押されると、
図9に示すような結果一覧の画面を表示する。
【0067】
端末装置30は、例えば
図9に示すように、照合結果の一覧をリストとして表示する。照合結果の一覧のリストは、例えば
図9に示すように、「判定」、「本ID」及び「タイトル」を項目として含んでよい。「判定」は、ステップS109における照合処理の判定結果を示す。「本ID」及び「タイトル」は、照合結果に含まれる書誌データの一部である。
【0068】
端末装置30は、
図9に示すような照合結果の一覧を示す画面において、「画像解析結果」のボタン207が押されると、
図8に示す画像を表示させてよい。
【0069】
端末装置30は、照合結果に含まれる本のうちの選択された本についての詳細情報を表示部32に表示させうる。
図10に、端末装置30が、認識された本の詳細情報を表示部32に表示している様子の一例を示す。端末装置30は、例えば、
図8に示す画面において、実線の枠線204又は破線の枠線205で囲まれた本のいずれかが選択されると、選択された本について
図10に示すような詳細情報を表示する。または、端末装置30は、例えば、
図9に示す画面において、照合結果の一覧のリストの中から1冊の本が選択されると、選択された本について
図10に示すような詳細情報を表示する。
【0070】
図10に示すような詳細情報を表示部32に表示させる際、端末装置30は、例えば、端末装置30によって撮影された画像全体208と、画像全体208に含まれている本のうちのどの本が選択されたかを示すマーク209と、選択された本の背表紙の拡大された画像210と、選択された本に関する情報211とを表示する。情報211は、項目として、例えば、「タイトル」、「著者」、「OCR」、「一致度」及び「判定結果」などを含んでよい。「タイトル」及び「著者」は、選択された本の書誌データの一部である。「OCR」は、ステップS108においてOCRによって認識された文字列である。「一致度」は、ステップS109において算出された一致度である。「判定結果」は、ステップS109における一致度の判定結果である。
【0071】
端末装置30は、
図10に示すような画面において、「画像解析結果」のボタン212が押されると、
図8に示す画像を表示させてよい。端末装置30は、
図10に示す画面において、「結果一覧」のボタン213が押されると、
図9に示す画像を表示させてよい。
【0072】
図5のステップS113において、管理サーバ10は、解析サーバ20から受信した照合結果に基づいて、照合結果リストを作成する。なお、管理サーバ10は、ステップS113の処理を、ステップS111の処理と並行して実行してよい。
【0073】
管理サーバ10の制御部13は、解析サーバ20から照合結果を受信すると、記憶部12に保存されている図書館が所蔵している本に関するデータと、照合結果とを比較して、照合結果リストを作成する。
【0074】
照合結果リストは、以下のリストを含む
・発見リスト
・未発見リスト
・範囲外リスト
・不明リスト
ここで、「発見リスト」は、ステップS101において指定された対象範囲にあるべき本のうち発見された本のリストである。「未発見リスト」は、ステップS101において指定された対象範囲にあるべき本のうち発見されなかった本のリストである。「範囲外リスト」は、ステップS107において背表紙の範囲が区画された本のうち、図書館が所蔵している本ではあるが、ステップS101において指定された対象範囲以外の場所に置かれているべき本のリストである。「不明リスト」は、ステップS107において背表紙の範囲が区画された本のうち、図書館に所蔵されている本として登録されていない本のリストである。
【0075】
図5のステップS114において、管理サーバ10は、照合結果リストを記憶部12に保存する。
【0076】
蔵書管理システム1は、図書館にある書架の全ての棚について、ステップS101~ステップS114の処理を繰り返すことにより、棚卸し作業を実行することができる。
【0077】
蔵書管理システム1のユーザは、端末装置30を介して、ステップS114において管理サーバ10に保存された照合結果リストを確認することができる。照合結果リストを確認した結果、ある特定の対象範囲について撮影された画像にピントずれなどの問題があった可能性があると判断した場合、ユーザは、該対象範囲について、
図5のステップS101~S114の処理を再度行い、照合結果リストを更新することができる。
【0078】
本実施形態に係る蔵書管理システム1によれば、解析サーバ20は、図書館の書架の一部の範囲が撮影された画像に含まれる複数の本のそれぞれについて画像解析によって背表紙の範囲を区画し、背表紙の範囲で区画された本ごとに、画像解析によって該本の情報を抽出する。また、解析サーバ20は、書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータを管理サーバ10から取得し、画像解析によって抽出した本の情報と、管理サーバ10から取得した書架の一部の範囲に所蔵されている本に関するデータとを照合する。このように、解析サーバ20が画像に含まれる複数の本について一括して画像解析を実行するため、蔵書管理システム1は、効率的に照合処理を実行することができる。また、蔵書管理システム1は、端末装置30が撮影した画像に基づいて棚卸し作業を実行可能であるため、例えば、ICタグを読み取るために必要な設備などの高額な設備を必要としない。従って、本実施形態に係る蔵書管理システム1は、低コストで効率的に蔵書管理をすることができる。
【0079】
また、本実施形態に係る蔵書管理システム1によれば、効率的に蔵書管理をすることができるため、棚卸し作業の期間を短くすることができ、棚卸し作業に伴う図書館の休館日を短くすることができる。
【0080】
また、本実施形態に係る蔵書管理システム1によれば、効率的に蔵書管理をすることができるため、バーコード又はICタグを読み取ることによって行う蔵書管理に比べて人手がかからず、棚卸し作業の際の人件費を低減することができる。
【0081】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0082】
本実施形態においては、管理サーバ10と解析サーバ20とが、ネットワーク40を介して通信可能に接続されているものとして説明した。しかしながら、管理サーバ10と解析サーバ20とは、専用の通信線で接続されていてもよい。この場合、管理サーバ10がネットワーク40を介して端末装置30と通信可能に接続されていて、解析サーバ20はネットワーク40に接続されていなくてもよい。
【0083】
本実施形態においては、作業員が端末装置30を操作して棚を撮影するものとして説明したが、ドローン等のロボットに備え付けられた端末装置30が自動で棚を撮影してもよい。このような構成とすることで、端末装置30は、例えば夜間に自動的に図書館全体の棚を撮影することができる。また、蔵書管理システム1は、端末装置30が撮影した画像を用いて、夜間に自動的に照合処理を実行することができる。
【0084】
本実施形態においては、作業員が端末装置30を操作して棚を撮影するものとして説明したが、書架の前に設置された固定カメラ又は書架の前を移動するカメラが棚を常時撮影してもよい。このような構成とすることで、端末装置30は、棚の画像を常時取得することができ、照合処理を常時実行することができる。すなわち、蔵書管理システム1は、撮影した棚の画像の照合処理をリアルタイムで実行することができる。
【0085】
本実施形態においては、解析サーバ20がOCRを実行するものとして説明したが、OCRは、外部の装置が実行してもよい。この場合、解析サーバ20は、外部の装置に画像情報を送信し、該画像情報に対して実行されたOCRの結果を外部の装置から受信する。
【0086】
本実施形態において、
図6~
図10に示した表示部32における表示の例は、あくまでも一例である。表示部32の表示は、
図6~
図10に示した例には限定されない。
【0087】
本実施形態において、解析サーバ20が
図5のステップS109に示す照合処理を実行するものとして説明したが、ステップS109に示す照合処理は、管理サーバ10が実行してもよい。
【0088】
本実施形態において解析サーバ20が実行する処理は、複数のサーバで分担して実行してもよい。例えば、
図5に示すステップS107及びステップS108の処理を第1の解析サーバが実行し、
図5に示すステップS109の処理を第2の解析サーバが実行してもよい。
【0089】
本実施形態において端末装置30が撮影する画像は、動画像であってもよい。この場合、解析サーバ20は、動画像から切り出した静止画像を用いて、
図5に示すステップS107~S109の処理を実行してよい。動画像から静止画像を切り出す処理は、端末装置30が実行してもよいし、解析サーバ20が実行してもよい。
【0090】
本実施形態においては、蔵書管理システム1が図書館で用いられる場合を例に挙げて説明したが、蔵書管理システム1は、本を所蔵する施設であれば、図書館以外であっても利用可能である。蔵書管理システム1は、例えば、書店、倉庫などのような、図書館以外の本を所蔵する施設においても利用可能である。
【0091】
本実施形態において蔵書管理システム1によって画像解析された背表紙の画像の情報は、公開サービスに活用可能な情報として管理サーバ10又は解析サーバ20に記憶されていてよい。画像解析された背表紙の画像の情報は、例えば、図書館のホームページからアクセスできるように、管理サーバ10又は解析サーバ20に記憶されていてよい。
【符号の説明】
【0092】
1 蔵書管理システム
10 管理サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 解析サーバ
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30 端末装置
31 カメラ
32 表示部
33 入力部
34 通信部
35 記憶部
36 制御部
40 ネットワーク