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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】撮像光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20220214BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020219644
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】202010910966.4
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】320011719
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス (ソシュウ) カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 韵▲傑▼
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-059969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0174879(US,A1)
【文献】中国特許第107526152(CN,B)
【文献】中国特許出願公開第107656355(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学レンズであって、
前記撮像光学レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ及び正の屈折力を有する第3レンズによって構成され、
前記撮像光学レンズ全体の焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第1レンズの物体側面の曲率半径をR1、前記第1レンズの像側面の曲率半径をR2、前記第2レンズの物体側面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の曲率半径をR4、前記第3レンズの物体側面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の曲率半径をR6、前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をd4、前記第3レンズの軸上厚みをd5としたときに、以下の条件式(1)~(6)を満たすことを特徴とする撮像光学レンズ。
0.75≦f1/f≦0.95 (1)
1.20≦f3/f≦2.00 (2)
0≦(R1+R2)/(R1―R2)≦0.80 (3)
―3.50≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.50 (4)
―8.00≦(R5+R6)/(R5―R6)≦―2.50 (5)
1.50≦d5/d4≦4.00 (6)
【請求項2】
前記第2レンズの焦点距離をf2としたときに、以下の条件式(7)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
―1.20≦f2/f≦―0.90 (7)
【請求項3】
前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第1レンズの像側面から前記第2レンズの物体側面までの軸上距離をd2としたときに、以下の条件式(8)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
1.00≦d1/d2≦2.00 (8)
【請求項4】
前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(9)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.08≦d1/TTL≦0.28 (9)
【請求項5】
前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(10)~(11)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
―2.36≦f2/f≦―0.62 (10)
0.03≦d3/TTL≦0.15 (11)
【請求項6】
前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(12)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
0.11≦d5/TTL≦0.44 (12)
【請求項7】
前記撮像光学レンズの像高をIH、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(13)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
TTL/IH≦1.84 (13)
【請求項8】
前記撮像光学レンズ全体の焦点距離をf、前記第1レンズと前記第2レンズとの合成焦点距離をf12としたときに、以下の条件式(14)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
1.00≦f12/f≦3.92 (14)
【請求項9】
前記撮像光学レンズの画角FOVは、77.00°以上であることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
【請求項10】
前記撮像光学レンズの絞り値FNOは、2.54以下であることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズ分野に関し、特にスマートフォン、デジタルカメラなどの携帯端末装置と、モニタ、PCレンズなどの撮像装置とに適用される撮像光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンの登場に伴い、小型化の撮像レンズに対する需要がますます高まっているが、撮像レンズの感光素子は、一般的に、感光結合素子(Charge Coupled Device、CCD)又は相補型金属酸化物半導体素子(Complementary Metal―OxideSemiconductor Sensor、CMOS Sensor)の2種類のみに大別される。また、半導体製造プロセスの技術の進歩により、感光素子の画素サイズが縮小可能であるとともに、現在の電子製品は、優れた機能および軽量化・薄型化・小型化の外観を発展の傾向とする。そのため、良好な結像品質を有する小型化の撮像レンズは、現在の市場において既に主流となっている。
【0003】
優れた結像品質を得るために、携帯電話のカメラに搭載された従来のレンズは、3枚式のレンズ構造を用いることが多い。通常の3枚式のレンズは良好な光学性能を有するものの、その屈折力、レンズ間の距離及びレンズ形状が依然としてある程度の不合理性を有することによって、レンズ構造が良好な光学性能を有しても、大口径、極薄化、広角化の設計要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑みて、本発明は、高結像性能を得るとともに、大口径、広角化及び極薄化の設計需要を満たす撮像光学レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本発明の実施形態は、撮像光学レンズを提供する。前記撮像光学レンズは、物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ、正の屈折力を有する第3レンズによって構成され、
前記撮像光学レンズ全体の焦点距離をf、前記第1レンズの焦点距離をf1、前記第3レンズの焦点距離をf3、前記第1レンズの物体側面の曲率半径をR1、前記第1レンズの像側面の曲率半径をR2、前記第2レンズの物体側面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の曲率半径をR4、前記第3レンズの物体側面の曲率半径をR5、前記第3レンズの像側面の曲率半径をR6、前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をd4、前記第3レンズの軸上厚みをd5としたときに、以下の条件式(1)~(6)を満たす。
0.75≦f1/f≦0.95 (1)
1.20≦f3/f≦2.00 (2)
0≦(R1+R2)/(R1―R2)≦0.80 (3)
―3.50≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.50 (4)
―8.00≦(R5+R6)/(R5―R6)≦―2.50 (5)
1.50≦d5/d4≦4.00 (6)
【0006】
好ましくは、前記第2レンズの焦点距離をf2としたときに、以下の条件式(7)を満たす。
―1.20≦f2/f≦―0.90 (7)
【0007】
好ましくは、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記第1レンズの像側面から前記第2レンズの物体側面までの軸上距離をd2としたときに、以下の条件式(8)を満たす。
1.00≦d1/d2≦2.00 (8)
【0008】
好ましくは、前記第1レンズの軸上厚みをd1、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(9)を満たす。
0.08≦d1/TTL≦0.28 (9)
【0009】
好ましくは、前記第2レンズの焦点距離をf2、前記第2レンズの軸上厚みをd3、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(10)~(11)を満たす。
―2.36≦f2/f≦―0.62 (10)
0.03≦d3/TTL≦0.15 (11)
【0010】
好ましくは、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(12)を満たす。
0.11≦d5/TTL≦0.44 (12)
【0011】
好ましくは、前記撮像光学レンズの像高をIH、前記撮像光学レンズの光学長をTTLとしたときに、以下の条件式(13)を満たす。
TTL/IH≦1.84 (13)
【0012】
好ましくは、前記撮像光学レンズ全体の焦点距離をf、前記第1レンズと前記第2レンズとの合成焦点距離をf12としたときに、以下の条件式(14)を満たす。
1.00≦f12/f≦3.92 (14)
【0013】
好ましくは、前記撮像光学レンズの画角FOVは、77.00°以上である。
【0014】
好ましくは、前記撮像光学レンズの絞り値FNOは、2.54以下である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、下記の有益な効果を奏することができる。本発明に係る撮像光学レンズは、良好な光学性能を有しつつ、大口径、広角化、極薄化の特性を有し、特に高画素用のCCD、CMOSなどの撮像素子により構成された携帯電話の撮像レンズユニットとWEB撮像レンズに適用することができる。
【0016】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載する図面は本発明のいくつかの実施の例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
図2図1に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図3図1に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図4図1に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
図6図5に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図7図5に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図8図5に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
図10図9に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図11図9に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図12図9に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズの構成を示す模式図である。
図14図13に示す撮像光学レンズの軸上色収差を示す模式図である。
図15図13に示す撮像光学レンズの倍率色収差を示す模式図である。
図16図13に示す撮像光学レンズの像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、解決手段及びメリットがより明瞭になるように、本発明の各実施形態を図面を参照しながら以下に詳細に説明する。しかし、本発明の各実施形態において、本発明が良く理解されるように多くの技術的詳細が与えられているが、それらの技術的詳細および以下の各実施形態に基づく各種の変化及び修正が存在しなくとも、本発明の保護しようとするものを実現可能であることは、当業者に理解されるべきである。
【0019】
(第1実施形態)
図面を参照すると、本発明は、撮像光学レンズ10を提供する。図1には、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10が示され、当該撮像光学レンズ10は、3枚のレンズを備える。具体的に、前記撮像光学レンズ10、物体側から像側へ順に、第1レンズL1、絞りS1、第2レンズL2、第3レンズL3によって構成される。第3レンズL3と像面Siとの間には、ガラス平板GFが設けられて、ガラス平板GFは、カバーガラスであってもよく、光学フィルタであってもよい。
【0020】
本実施形態では、第1レンズL1が正の屈折力を有し、第2レンズL2が負の屈折力を有し、第3レンズL3が正の屈折力を有する。
【0021】
本実施形態では、第1レンズL1がプラスチック材質であり、第2レンズL2がプラスチック材質であり、第3レンズL3がプラスチック材質である。
【0022】
ここで、撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、第1レンズL1の焦点距離をf1、第3レンズL3の焦点距離をf3、第1レンズL1の物体側面の曲率半径をR1、第1レンズL1の像側面の曲率半径をR2、第2レンズL2の物体側面の曲率半径をR3、第2レンズL2の像側面の曲率半径をR4、第3レンズL3の物体側面の曲率半径をR5、第3レンズL3の像側面の曲率半径をR6、第2レンズL2の像側面から第3レンズL3の物体側面までの軸上距離をd4、第3レンズL3の軸上厚みをd5と定義すると、以下の条件式(1)~(6)を満たす。
0.75≦f1/f≦0.95 (1)
1.20≦f3/f≦2.00 (2)
0≦(R1+R2)/(R1―R2)≦0.80 (3)
―3.50≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.50 (4)
―8.00≦(R5+R6)/(R5―R6)≦―2.50 (5)
1.50≦d5/d4≦4.00 (6)
【0023】
条件式(1)は、第1レンズL1の焦点距離f1と撮像光学レンズ10全体の焦点距離fとの比を規定するものである。条件式の範囲内では、システムの球面収差および像面湾曲量を効果的にバランスさせることができる。
条件式(2)は、第3レンズL3の焦点距離f3と撮像光学レンズ10全体の焦点距離fとの比を規定するものである。焦点距離の合理的な配分により、システムが優れた結像品質及び低い感度を有する。好ましくは、条件式1.23≦f3/f≦1.85を満たす。
条件式(3)は、第1レンズL1の形状を規定するものである。条件式の範囲内では、光線がレンズを通る偏向度合いを緩和可能であり、収差を効果的に低減することができる。好ましくは、条件式0.05≦(R1+R2)/(R1―R2)≦0.78を満たす。
条件式(4)は、第2レンズL2の形状を規定するものである。この条件式の範囲内では、軸上色収差の補正に有利である。好ましくは、条件式―3.42≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.65を満たす。
条件式(5)は、第3レンズL3の形状を規定するものである。この条件式の範囲内では、軸外画角の収差の補正に有利である。
条件式(6)は、第3レンズL3の軸上厚みd5と第2、第3レンズの間の空気間隔d4との比を規定するものである。条件式の範囲内では、光学システムの全長の短縮化に有利であり、極薄化の効果を図る。
【0024】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、第2レンズL2の焦点距離をf2として定義すると、条件式―1.20≦f2/f≦―0.90を満たす。この条件式は、第2レンズL2の焦点距離f2と撮像光学レンズ10全体の焦点距離fとの比を規定するものである。焦点距離の合理的な配分により、撮像光学レンズ10が優れた結像品質及び低い感度を有する。
【0025】
第1レンズL1の軸上厚みをd1、第1レンズL1の像側面から第2レンズL2の物体側面までの軸上距離をd2と定義し、条件式1.00≦d1/d2≦2.00を満たす。この条件式は、第1レンズL1の軸上厚みd1と第1、第2レンズの間の空気間隔d2との比を規定するものである。条件式の範囲内では、光学システムの全長の短縮化に有利であり、極薄化の効果を図る。
【0026】
本実施形態では、第1レンズL1は、物体側面が近軸において凸面であり、像側面が近軸において凸面である。
【0027】
第1レンズL1の軸上厚みをd1、撮像光学レンズ10の光学長をTTLと定義し、条件式0.08≦d1/TTL≦0.28を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.13≦d1/TTL≦0.22を満たす。
【0028】
本実施形態では、第2レンズL2は、物体側面が近軸において凹面、像側面が近軸において凸面である。
【0029】
撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、第2レンズL2の焦点距離をf2と定義し、条件式―2.36≦f2/f≦―0.62を満たす。第2レンズL2の負屈折力を合理的な範囲で規定することにより、光学システムの収差の補正に有利である。好ましくは、条件式―1.47≦f2/f≦―0.77を満たす。
【0030】
撮像光学レンズ10の光学長をTTL、第2レンズL2の軸上厚みをd3と定義し、条件式0.03≦d3/TTL≦0.15を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.06≦d3/TTL≦0.12を満たす。
【0031】
本実施形態では、第3レンズL3は、物体側面が近軸において凸面であり、像側面が近軸において凹面である。
【0032】
撮像光学レンズ10の光学長TTLと第3レンズL3の軸上厚みd5は、条件式0.11≦d5/TTL≦0.44を満たす。条件式の範囲内では、極薄化を図ることに有利である。好ましくは、条件式0.18≦d5/TTL≦0.35を満たす。
【0033】
本実施形態では、撮像光学レンズ10の像高をIH、撮像光学レンズ10の光学長をTTLと定義し、条件式TTL/IH≦1.84を満たす。これにより、極薄化を図ることに有利である。
【0034】
本実施形態では、前記撮像光学レンズ10の画角FOVは、77.00°以上である。これにより、広角化を図る。
【0035】
本実施形態では、前記撮像光学レンズの絞り値FNOは、2.54以下である。これにより、大口径を図り、撮像光学レンズの結像性能に優れる。
【0036】
本実施形態では、撮像光学レンズ10全体の焦点距離をf、第1レンズL1と第2レンズL2との合成焦点距離をf12と定義し、条件式1.00≦f12/f≦3.92を満たす。条件式の範囲内では、撮像光学レンズ10の収差と歪曲を解消することができ、且つ撮像光学レンズ10のバックフォーカスを抑え、映像レンズシステム群の小型化を維持することができる。好ましくは、条件式1.60≦f12/f≦3.14を満たす。
【0037】
また、本実施形態に係る撮像光学レンズ10では、各レンズの表面は、非球面として設定されてもよい。非球面は、球面以外の形状として容易に製造され、多くの制御変数を得て収差の低減に用いられ、更にレンズの使用数を削減可能であるため、撮像光学レンズ10の全長を効果的に短縮化することができる。本実施形態では、各レンズの物体側面及び像側面は、何れも非球面である。
【0038】
本発明の前記撮像光学レンズ10の焦点距離、各レンズの焦点距離及び曲率半径が上記条件式を満たすときに、撮像光学レンズ10は、優れた光学性能を有しつつ、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たす。当該撮像光学レンズ10の特性によれば、当該撮像光学レンズ10は、特に高画素用のCCD、CMOSなどの撮像素子により構成された携帯電話の撮像レンズユニットとWEB撮像レンズに適用することができる。
【0039】
以下、実施例を用いて、本発明に係る撮像光学レンズ10について説明する。各実施例に記載の符号は、以下の通りである。焦点距離、軸上距離、曲率半径、軸上厚み、変曲点位置、停留点位置の単位はmmである。
【0040】
TTLは、光学長(第1レンズL1の物体側面から像面Siまでの軸上距離)であり、単位はmmである。
絞り値FNOとは、撮像光学レンズの有効焦点距離と入射瞳径ENPDとの比を指す。
【0041】
また、各レンズの物体側面及び/又は像側面には、変曲点及び/又は停留点(Stationary Point)が設置されてもよい。具体的な実施案について、下記の説明を参照されたい。
【0042】
以下では、図1に示す撮像光学レンズ10の設計データを示す。
【0043】
表1には、本発明の第1実施形態において撮像光学レンズ10を構成する第1レンズL1~第3レンズL3の物体側面の曲率半径及び像側面の曲率半径R、各レンズの軸上厚みおよび隣接する2つのレンズ間の距離d、屈折率nd及びアッベ数vdが挙げられている。説明すべきことは、本実施形態において、Rとdの単位が何れもミリメートル(mm)である。
【0044】
【表1】
【0045】
ここで、各符号の意味は、以下の通りである。
S1:絞り
R:光学面中心における曲率半径
R1:第1レンズL1の物体側面の曲率半径
R2:第1レンズL1の像側面の曲率半径
R3:第2レンズL2の物体側面の曲率半径
R4:第2レンズL2の像側面の曲率半径
R5:第3レンズL3の物体側面の曲率半径
R6:第3レンズL3の像側面の曲率半径
R7:光学フィルタGFの物体側面の曲率半径
R8:光学フィルタGFの像側面の曲率半径
d:レンズの軸上厚み、レンズ間の軸上距離
d0:絞りS1から第1レンズL1の物体側面までの軸上距離
d1:第1レンズL1の軸上厚み
d2:第1レンズL1の像側面から第2レンズL2の物体側面までの軸上距離
d3:第2レンズL2の軸上厚み
d4:第2レンズL2の像側面から第3レンズL3の物体側面までの軸上距離
d5:第3レンズL3の軸上厚み
d6:第3レンズL3の像側面から光学フィルタGFの物体側面までの軸上距離
d7:光学フィルタGFの軸上厚み
d8:光学フィルタGFの像側面から像面までの軸上距離
nd:d線の屈折率
nd1:第1レンズL1のd線の屈折率
nd2:第2レンズL2のd線の屈折率
nd3:第3レンズL3のd線の屈折率
ndg:光学フィルタGFのd線の屈折率
vd:アッベ数
v1:第1レンズL1のアッベ数
v2:第2レンズL2のアッベ数
v3:第3レンズL3のアッベ数
vg:光学フィルタGFのアッベ数。
【0046】
表2は、本発明の第1実施形態に係る撮像光学レンズ10における各レンズの非球面データを示す。
【0047】
【表2】
【0048】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20は非球面係数である。
y=(x/R)/[1+{1―(k+1)(x/R)}1/2]
+A4x+A6x+A8x+A10x10+A12x12+A14x14+A16x16+A18x18+A20x20 (15)
【0049】
但し、xは、非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、yは、非球面深さ(非球面において光軸からxの点と、非球面の光軸上の頂点に接する接平面の両者間の垂直距離)である。
【0050】
各レンズ面の非球面は、便宜上、上記式(15)で表される非球面を使用している。しかしながら、本発明は、特にこの式(15)の非球面多項式に限定されるものではない。
【0051】
表3、表4は、本実施形態に係る撮像光学レンズ10における各レンズの変曲点およびび停留点の設計データを示す。ここで、P1R1、P1R2は、それぞれ第1レンズL1の物体側面と像側面を示し、P2R1、P2R2は、それぞれ第2レンズL2の物体側面と像側面を示し、P3R1、P3R2は、それぞれ第3レンズL3の物体側面と像側面を示す。「変曲点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された変曲点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。「停留点位置」欄の対応するデータは、各レンズの表面に設置された停留点から撮像光学レンズ10の光軸までの垂直距離である。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
また、後の表17は、第1実施形態における各数値と条件式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
表17に示すように、第1実施形態は、各条件式を満たす。
【0055】
図2図3は、それぞれ波長430nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の軸上色収差及び倍率色収差を示す模式図である。図4は、波長555nmの光が第1実施形態に係る撮像光学レンズ10を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。図4の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、タンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0056】
本実施形態では、撮像光学レンズ10の入射瞳径ENPDは、0.904mmであり、全視野像高IHは、1.814mmであり、対角線方向の画角FOVは、77.20°である。撮像光学レンズ10は、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0057】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態における撮像光学レンズ20の構造模式図である。第2実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、以下の表における符号の意味も第1実施形態と同じであるため、ここで同じ部分について繰り返し説明しない。
【0058】
表5は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20の設計データを示す。
【0059】
【表5】
【0060】
表6は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの非球面データを示す。
【0061】
【表6】
【0062】
表7、表8は、本発明の第2実施形態に係る撮像光学レンズ20における各レンズの変曲点及び停留点の設計データを示す。
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
また、後の表17は、第2実施形態における各数値と条件式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
【0066】
表17に示すように、第2実施形態は、各条件式を満足する。
【0067】
図6図7は、それぞれ波長430nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第2実施形態に係る撮像光学レンズ20を通った後の軸上色収差及び倍率色収差を示す模式図である。図8は、波長555nmの光が第2実施形態に係る撮像光学レンズ20を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【0068】
本実施形態では、撮像光学レンズ20の入射瞳径ENPDは、0.904mmであり、全視野像高IHは、1.814mmであり、対角線方向の画角FOVは、77.00°である。撮像光学レンズ20は、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0069】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態における撮像光学レンズ30の構造模式図である。第3実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、以下の表における符号の意味も第1実施形態と同じであるため、ここで同じ部分について繰り返し説明しない。
【0070】
表9は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30の設計データを示す。
【0071】
【表9】
【0072】
表10は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30における各レンズの非球面データを示す。
【0073】
【表10】
【0074】
表11、表12は、本発明の第3実施形態に係る撮像光学レンズ30における各レンズの変曲点及び停留点の設計データを示す。
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
また、後の表17は、第3実施形態における各数値と条件式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
【0078】
表17に示すように、第3実施形態は、各条件式を満足する。
【0079】
図10図11は、それぞれ波長430nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第3実施形態に係る撮像光学レンズ30を通った後の軸上色収差及び倍率色収差を示す模式図である。図12は、波長555nmの光が第3実施形態に係る撮像光学レンズ30を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【0080】
本実施形態では、撮像光学レンズ30の入射瞳径ENPDは、0.904mmであり、全視野像高IHは、1.814mmであり、対角線方向の画角FOVは、78.60°である。撮像光学レンズ30は、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0081】
(第4実施形態)
図13は、第4実施形態における撮像光学レンズ40の構造模式図である。第4実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、以下の表における符号の意味も第1実施形態と同じであるため、ここで同じ部分について繰り返し説明しない。
【0082】
表13は、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズ40の設計データを示す。
【0083】
【表13】
【0084】
表14は、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズ40における各レンズの非球面データを示す。
【0085】
【表14】
【0086】
表15、表16は、本発明の第4実施形態に係る撮像光学レンズ40における各レンズの変曲点及び停留点の設計データを示す。
【0087】
【表15】
【0088】
【表16】
【0089】
また、後の表17は、第4実施形態における各数値と条件式で規定されたパラメータに対応する値を示す。
【0090】
表17に示すように、第4実施形態は、各条件式を満足する。
【0091】
図14図15は、それぞれ波長430nm、470nm、510nm、555nm、610nm及び650nmの光が第4実施形態に係る撮像光学レンズ40を通った後の軸上色収差及び倍率色収差を示す模式図である。図16は、波長555nmの光が第4実施形態に係る撮像光学レンズ40を通った後の像面湾曲及び歪曲収差を示す模式図である。
【0092】
本実施形態では、撮像光学レンズ40の入射瞳径ENPDは、0.904mmであり、全視野像高IHは、1.814mmであり、対角線方向の画角FOVは、77.80°であり、撮像光学レンズ40は、大口径、広角化、極薄化の設計需要を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、優れた光学特性を有する。
【0093】
以下では、表17は、上記条件式に従って第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態において条件式に対応する値並びに他の関連するパラメータの値を示す。
【0094】
【表17】
【0095】
当業者であれば理解されるように、上記各実施形態は、本発明を実施するための具体的な実施形態であり、実際の適用において、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において種々の変更が可能である。
【要約】
【課題】本発明は光学レンズ分野に関し、撮像光学レンズを開示する。
【解決手段】撮像光学レンズは物体側から像側へ順に、第1、第2と第3レンズによって構成され、撮像光学レンズの焦点距離をf、第1、第3レンズの焦点距離をf1、f3、第1レンズの物体側面の曲率半径をR1、第1レンズの像側面の曲率半径をR2、第2レンズの物体側面の曲率半径をR3、第2レンズの像側面の曲率半径をR4、第3レンズの物体側面の曲率半径をR5、第3レンズの像側面の曲率半径をR6、第2レンズの像側面から第3レンズの物体側面までの軸上距離をd4、第3レンズの軸上厚みをd5とすると、0.75≦f1/f≦0.95、1.20≦f3/f≦2.00、0≦(R1+R2)/(R1―R2)≦0.80、―3.50≦(R3+R4)/(R3―R4)≦―1.50、―8.00≦(R5+R6)/(R5―R6)≦―2.50、1.50≦d5/d4≦4.00を満たす。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図5
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