(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】蓄圧器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20220214BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
(21)【出願番号】P 2020525824
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2019024751
(87)【国際公開番号】W WO2019245036
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2018118454
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391018019
【氏名又は名称】JFEコンテイナー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 拓史
(72)【発明者】
【氏名】長尾 彰英
(72)【発明者】
【氏名】石川 信行
(72)【発明者】
【氏名】松原 和輝
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊夫
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/008515(WO,A1)
【文献】特開2017-223564(JP,A)
【文献】特開2013-160285(JP,A)
【文献】国際公開第2014/057987(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206800474(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄圧器に対してAE信号を用いて当該蓄圧器を製造する蓄圧器の製造方法であって、
前記蓄圧器に配置されたAEセンサが、前記蓄圧器から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態となる応力水準の範囲を推定する第1推定工程と、
前記第1推定工程にて推定された応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第1設計工程と、
前記蓄圧器の材料の疲労特性に及ぼす水素の影響に基づいて、前記疲労特性での水素劣化が顕在化しない疲労限度を推定する第2推定工程と、
前記第2推定工程にて推定された疲労限度以下の応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第2設計工程と、
を含む蓄圧器の製造方法。
【請求項2】
蓄圧器に対してAE信号を用いて当該蓄圧器を製造する蓄圧器の製造方法であって、
前記蓄圧器に配置されたAEセンサが、前記蓄圧器から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態となる応力水準の範囲を推定する第1推定工程と、
前記第1推定工程にて推定された応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第1設計工程と、
前記蓄圧器の素材の内面及び外面のうち少なくとも内面の脱炭層を除去する除去工程と、
を含む蓄圧器の製造方法。
【請求項3】
前記蓄圧器の材料の疲労特性に及ぼす水素の影響に基づいて、前記疲労特性での水素劣化が顕在化しない疲労限度を推定する第2推定工程と、
前記第2推定工程にて推定された疲労限度以下の応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第2設計工程と、
を含む請求
項2に記載の蓄圧器の製造方法。
【請求項4】
前記蓄圧器の素材の内面及び外面のうち少なくとも内面の脱炭層を除去する除去工程を含む請求項
1に記載の蓄圧器の製造方法。
【請求項5】
前記蓄圧器は、
前記蓄圧器に配置され、AE信号を検出するAEセンサを備える請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄圧器の製造方法。
【請求項6】
前記蓄圧器は、
一部が開放された金属製の容器と、
前記容器の開放部分に設けられ、開放部分を閉塞する蓋部材と、
を備える請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄圧器の製造方法。
【請求項7】
前記AEセンサは、前記容器又は前記蓋部材のいずれか一方又は両方に設けられる請求項6に記載の蓄圧器の製造方法。
【請求項8】
前記容器は、両端部が開放された金属円筒部であり、
前記蓋部材は、前記金属円筒部の両端部の開放部分をそれぞれ閉塞する請求項6又は7に記載の蓄圧器の製造方法。
【請求項9】
前記蓄圧器は、
前記金属円筒部の外周を覆う炭素繊維強化樹脂部を備える請求項8に記載の蓄圧器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば水素などの高圧ガスなどが封入される蓄圧器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アコースティックエミッション(以下、AEと称する)を用いて回転機械内の軸受の寿命を診断する技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、AE信号の基準最大振幅値と使用中の軸受におけるAE信号の最大振幅値を比較し、軸受の寿命を診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、AE信号での寿命の判定は、たとえば水素などの高圧ガスなどが封入される蓄圧器にも適用できる。ここで、特許文献1の技術では、AE信号の最大振幅値を定期的に取得し、軸受の寿命する診断する。このため、1年毎などの保安検査のみで寿命を診断する蓄圧器には、繰り返し寿命診断を行うことが不向きである。そして、1年毎などの保安検査のみで寿命を診断する蓄圧器では、当該保安検査にてAE信号が見逃されずに確実に検出されることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、AE信号が見逃されずに確実に検出される蓄圧器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
本発明の蓄圧器の製造方法は、
蓄圧器に対してAE信号を用いて当該蓄圧器を製造する蓄圧器の製造方法であって、
前記蓄圧器に配置されたAEセンサが、前記蓄圧器から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態となる応力水準の範囲を推定する第1推定工程と、
前記第1推定工程にて推定された応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第1設計工程と、
前記蓄圧器の材料の疲労特性に及ぼす水素の影響に基づいて、前記疲労特性での水素劣化が顕在化しない疲労限度を推定する第2推定工程と、
前記第2推定工程にて推定された疲労限度以下の応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第2設計工程と、
を含む。
[2]
本発明の蓄圧器の製造方法は、
蓄圧器に対してAE信号を用いて当該蓄圧器を製造する蓄圧器の製造方法であって、
前記蓄圧器に配置されたAEセンサが、前記蓄圧器から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態となる応力水準の範囲を推定する第1推定工程と、
前記第1推定工程にて推定された応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第1設計工程と、
前記蓄圧器の素材の内面及び外面のうち少なくとも内面の脱炭層を除去する除去工程と、
を含む。
[3]
本発明の[2]に記載の蓄圧器の製造方法は、
前記蓄圧器の材料の疲労特性に及ぼす水素の影響に基づいて、前記疲労特性での水素劣化が顕在化しない疲労限度を推定する第2推定工程と、
前記第2推定工程にて推定された疲労限度以下の応力水準を前記蓄圧器の最小肉厚に設計する第2設計工程と、
を含む。
[4]
本発明の[1]に記載の蓄圧器の製造方法は、
前記蓄圧器の素材の内面及び外面のうち少なくとも内面の脱炭層を除去する除去工程を含む。
[5]
本発明の[1]~[4]のいずれか1に記載の蓄圧器の製造方法では、
前記蓄圧器は、
前記蓄圧器に配置され、AE信号を検出するAEセンサを備える。
[6]
本発明の[1]~[5]のいずれか1に記載の蓄圧器の製造方法では、
前記蓄圧器は、
一部が開放された金属製の容器と、
前記容器の開放部分に設けられ、開放部分を閉塞する蓋部材と、
を備える。
[7]
本発明の[6]に記載の蓄圧器の製造方法では、
前記AEセンサは、前記容器又は前記蓋部材のいずれか一方又は両方に設けられる。
[8]
本発明の[6]又は[7]に記載の蓄圧器の製造方法では、
前記容器は、両端部が開放された金属円筒部であり、
前記蓋部材は、前記金属円筒部の両端部の開放部分をそれぞれ閉塞する。
[9]
本発明の[8]に記載の蓄圧器の製造方法では、
前記蓄圧器は、
前記金属円筒部の外周を覆う炭素繊維強化樹脂部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の蓄圧器の製造方法によれば、蓄圧器に配置されたAEセンサが、蓄圧器から発生する材料の損傷に起因するAE信号が予め定めた状態となる応力水準の範囲を推定し、その推定された応力水準を蓄圧器の最小肉厚に設計する。これによれば、使用時の蓄圧器にてAEセンサによって疲労損傷した蓄圧器からAE信号が予め定めた状態である顕著な信号度合で検出される。したがって、1年毎などの保安検査のみで寿命を診断する蓄圧器であっても、当該保安検査にてAE信号が見逃されずに確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る蓄圧器の寿命推定装置を示す概要構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る推定部を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る蓄圧器の寿命推定装置の推定方法を示すフローチャート図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るAEセンサのAE信号と蓄圧器の寿命の推定特性との相関関係を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るAEセンサのAE信号と蓄圧器の寿命の渦流探傷法による最小欠陥特性との相関関係を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態の変形例に係る蓄圧器の寿命推定装置を示す概略構成図である。
【
図7】本発明の実施の形態の実施例に係るAEセンサのAE信号による位置標定結果を示す説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態の実施例に係る許容寿命の推定結果を示す説明図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る蓄圧器の製造方法を示すフローチャート図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る金属の弾性変形及び塑性変形と損傷AE信号発生の挙動との相関関係を図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る第1推定工程での応力水準範囲を示す説明図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る第1推定工程から第2推定工程を経た応力水準範囲を示す説明図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係る容器内面のホーニング加工の有無による応力耐性を示す説明図である。
【
図14】本発明の実施の形態に係る容器全体の内面の機械加工の有無又は金属円筒部単体の内面の機械加工の有無による応力耐性を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の蓄圧器の好ましい実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0010】
<蓄圧器10の寿命推定装置100の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄圧器10の寿命推定装置100を示す概要構成図である。
図1に示すように、寿命推定装置100は、蓄圧器10と、2つのAEセンサ11a、11bと、非破壊センサ12と、推定部13と、を備える。寿命推定装置100は、蓄圧器10に対してAE信号を用いて蓄圧器10の寿命を推定する。
【0011】
<蓄圧器10>
蓄圧器10は、水素ステーションなどで水素を貯留する。蓄圧器10は、一部が開放された金属製の容器1と、容器1の開放部分に設けられ、開放部分を閉塞する蓋部材2と、を備える。容器1は、両端部が開放された金属円筒部1aである。蓋部材2は、金属円筒部1aの両端部の開放部分をそれぞれ閉塞している。容器1内における蓋部材2の内側には、容器1の内部を封止する封止部3が設けられている。容器1には、金属円筒部1aの外周を覆う炭素繊維強化樹脂部4が設けられている。炭素繊維強化樹脂部4は、蓄圧器10の所要の耐圧性である機械的強度を確保するため設けられ、金属円筒部1aの外周面の貯蔵部を覆うように巻き付けられている。
【0012】
<金属円筒部1a>
金属円筒部1aは、たとえば、低合金鋼で構成される。すなわち、金属円筒部1aは、たとえばクロムモリブデン鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、マンガンクロム鋼、マンガン鋼もしくはボロン添加鋼のうちいずれか1つを有するものとして構成されている。
【0013】
<炭素繊維強化樹脂部4>
炭素繊維強化樹脂部4は、蓄圧器10の所要の耐圧性である機械的強度を確保するための層であり、金属円筒部1aの外周面の貯蔵部を覆うように巻き付けられている。炭素繊維強化樹脂部4は、強化材に炭素繊維を用い、これに樹脂を含浸させて強度を向上させた複合材料であり、たとえばPAN系炭素繊維あるいはPITCH系炭素繊維などが用いられる。
【0014】
PAN系炭素繊維は、航空機などの種々の用途に使用され、一般に普及している。PITCH系炭素繊維は、PAN系炭素繊維に比べて強度は小さいが弾性率は大きく高剛性であるという特徴を有している。たとえば、PITCH系炭素繊維のヤング率が620GPaもしくは780GPaであるのに対し、PAN系炭素繊維のヤング率が230GPaである。このように、PITCH系炭素繊維がPAN系炭素繊維に比べて剛性となる弾性率が優れている。一方、PITCH系炭素繊維の引張強さTSが3600GPaであるのに対し、PAN系炭素繊維の引張強さTSが5000GPaである。このように、PAN系炭素繊維は、PITCH系炭素繊維に比べて強度が優れている。
【0015】
<蓋部材2>
蓋部材2は、金属円筒部1aの端部に取り付けられ、金属円筒部1aを閉塞するのに利用される。少なくとも一方の蓋部材2には、図示しないバルブが設けられ、内容物の封入又は放出に利用される。蓋部材2には、バルブに繋がる図示しない通し孔が形成されている。
【0016】
<AEセンサ11a、11b>
2つのAEセンサ11a、11bは、蓄圧器10に配置され、AE信号を検出する。なお、AEセンサ11a、11bは、1つ以上設けられ、2つ以上設けられることが好ましい。AEセンサ11a、11bが2つ以上設けられると、2つ以上のAEセンサ11a、11bが検出したAE信号の相対差に基づき蓄圧器10の疲労損傷部位を特定できる。2つのAEセンサ11a、11bは、容器1の両端部に設けられている。なお、1以上のAEセンサ11a、11bは、容器1又は蓋部材2のいずれか一方又は両方に設けられると良い。AEセンサ11a、11bは、材料中のき裂形成に伴って発生したAE波を対象材料表面に設置されてAE信号として検出する。なお、AEセンサ11a、11bは、蓄圧器10に常時設置されず、保安検査時にのみ蓄圧器10に設置されても良い。2つのAEセンサ11a、11bは、使用時の蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号を検出するために用いられる。ここで、損傷に伴う損傷AE信号には、疲労損傷に伴うAE信号を含む。
【0017】
<非破壊センサ12>
非破壊センサ12は、非破壊検査手法による疲労き裂深さを検出する。非破壊センサ12に用いる非破壊検査手法としては、たとえば、超音波探傷法、磁粉探傷法、渦流探傷法などが用いられ、中でも手間がかからず0.1mmからのき裂を検出できる渦流探傷法が用いられると好ましい。このため、非破壊センサ12は、渦流探傷法による疲労き裂深さを検出する。なお、非破壊センサ12は、蓄圧器10に常時設けられず、AEセンサ11a、11bによって材料にき裂が発生したことを示すAE信号が検出された場合にのみ蓄圧器10に備えられても良い。
【0018】
<推定部13>
図2は、本発明の実施の形態に係る推定部13を示すブロック図である。
図2に示すように、推定部13は、CPU、ROM及びRAMなどのメモリ並びにI/Oポートなどの入出力装置を備えたマイコンを有した処理回路である。推定部13は、2つのAEセンサ11a、11b及び非破壊センサ12からの信号を無線又は有線の通信線を介して受信する。なお、推定部13は、蓄圧器10に常時設けられず、保安検査時にのみ蓄圧器10に備えられても良い。
【0019】
推定部13は、AEセンサ11a、11bが使用時の蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号を検出すると、その検出時点を出荷時の蓄圧器10の非破壊検査手法によって検出される最小初期欠陥発生時点と設定する。出荷時の蓄圧器10に検出される最小初期欠陥発生に用いる非破壊検査手法としては、たとえば、超音波探傷法、磁粉探傷法、渦流探傷法などが用いられ、中でも明確に確立された0.3mmのき裂を検出できる磁粉探傷法が用いられると好ましい。このため、出荷時の蓄圧器10に検出される最小初期欠陥発生には、磁粉探傷法が用いられ、最小初期欠陥が0.3mmと設定される。なお、推定部13は、AEセンサ11a、11bが蓄圧器10に常時設けられた場合には、初めの損傷AE信号をすぐに検出できる。また、推定部13は、AEセンサ11a、11bが保安検査時にのみ蓄圧器10に備えられる場合には、保安検査の頻度が磁粉探傷法での最小初期欠陥である0.3mm以下の状態で初めの損傷AE信号を検出できるように実施される。
【0020】
加えて、推定部13は、2つのAEセンサ11a、11bが検出した損傷AE信号の相対差に基づき蓄圧器10の疲労損傷部位を特定する。
【0021】
なお、推定部13は、2つ以上のAEセンサ11a、11bによって最小初期欠陥発生時点での疲労損傷部位にて蓄圧器10の疲労き裂深さを損傷AE信号から検出しても良い。そして、推定部13は、疲労損傷度合に対応する損傷AE信号の度合いに応じたAE信号対応欠陥き裂が発生したと設定し、AE信号対応欠陥き裂からの蓄圧器10の許容疲労寿命を推定しても良い。
【0022】
<蓄圧器10の寿命推定装置100の推定方法>
図3は、本発明の実施の形態に係る蓄圧器10の寿命推定装置100の推定方法を示すフローチャート図である。本推定方法のルーチンは、蓄圧器10に常時用いられず、保安検査時にのみ用いられても良い。
【0023】
ステップS11では、推定部13は、2つのAEセンサ11a、11bが蓄圧器10の損傷AE信号を検出し、損傷AE信号が検出されたか否かを判別する。ステップS11にてAE信号が検出された場合には、ステップS12に移行する。ステップS11にてAE信号が検出されない場合には、本ルーチンを終了する。なお、上述のように、推定部13による2つのAEセンサ11a、11bでの蓄圧器10の損傷AE信号の検出は、少なくとも保安検査の頻度が磁粉探傷法での最小初期欠陥である0.3mm以下の状態で初めの損傷AE信号を検出できるように実施される。
【0024】
ステップS12では、推定部13は、AEセンサ11a、11bが使用時の蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号を検出すると、その検出時点を出荷時の蓄圧器10の磁粉探傷法によって検出される最小初期欠陥発生時点と設定する。このとき、AEセンサ11a、11bが2つ設けられているので、推定部13が2つのAEセンサ11a、11bが検出した損傷AE信号の相対差に基づき蓄圧器10の疲労損傷部位を特定する。ステップS12の処理の後、ステップS13に移行する。
【0025】
図4は、本発明の実施の形態に係るAEセンサ11a、11bのAE信号と蓄圧器10の寿命の推定特性との相関関係を示す説明図である。
図4に示すように、推定部13は、AEセンサ11a、11bが損傷AE信号を検出すると、その検出時点を図示点線特性で示す出荷時の蓄圧器10の磁粉探傷法によって検出される0.3mmの最小初期欠陥発生時点と設定する。そして、推定部13は、0.3mmのき裂からの蓄圧器10の許容疲労寿命を仮に図示実線の推定特性として推定する。0.3mmの最小初期欠陥による寿命の推定特性は、予め調査済みである。また、本ルーチンでは、次のステップが存在するため、推定特性を仮のものとして蓄圧器10の許容疲労寿命を推定するが、この推定特性に基づいて蓄圧器10の許容疲労寿命を明確に設定しても良い。これにより、推定特性は、図示一点鎖線で示す実際の寿命である実力寿命特性にかなり近づく。そして、許容疲労寿命が実力寿命に近づいて推定できる。
【0026】
ステップS13では、推定部13は、渦流探傷法による非破壊センサ12によって最小初期欠陥発生時点での疲労損傷部位にて蓄圧器10の疲労き裂深さを検出し、疲労き裂深さが検出されるか否かを判別する。ステップS13にて疲労き裂深さが検出された場合には、ステップS14に移行する。ステップS13にて疲労き裂深さが検出されない場合には、ステップS15に移行する。
【0027】
なお、ステップS13では、推定部13は、AEセンサ11a、11bによって最小初期欠陥発生時点での疲労損傷部位にて蓄圧器10の疲労き裂深さを損傷AE信号から検出しても良い。
【0028】
ステップS14では、推定部13は、渦流探傷法による非破壊センサ12によって検出された疲労き裂が発生したと設定し、疲労き裂からの蓄圧器10の許容疲労寿命を推定する。後述するように、渦流探傷法による非破壊センサ12によって検出される最小欠陥き裂は、0.1mmである。このため、ステップS14で検出される疲労き裂は、0.1mm以上の深さである。そこで、予め調査済みの非破壊センサ12によって検出された疲労き裂からの労損傷特性で疲労損傷が発生するであろうと予測して蓄圧器10の寿命が推定される。
【0029】
また、疲労き裂からの疲労損傷特性が明らかでない場合でも、後述するように、渦流探傷法による非破壊センサ12によって検出される最小欠陥き裂は、0.1mmであり、予め調査済みで最小欠陥き裂からの最小欠陥特性が明らかになっている。このため、渦流探傷法による最小欠陥き裂である0.1mmからの最小欠陥特性とステップS12での磁粉探傷法による初期欠陥である0.3mmからの推定特性との間で比較して疲労損傷特性が推定されても良い。
【0030】
なお、ステップS14では、推定部13は、AEセンサ11a、11bによって最小初期欠陥発生時点での疲労損傷部位にて蓄圧器10の疲労き裂深さを損傷AE信号から検出した場合でも良い。この場合には、推定部13は、AEセンサ11a、11bによって検出された疲労損傷度合に損傷対応するAE信号の度合いに応じたAE信号対応欠陥き裂が発生したと設定する。そして、推定部13は、AE信号対応欠陥き裂からの蓄圧器10の許容疲労寿命を推定する。蓄圧器10の許容疲労寿命の推定に用いる疲労損傷特性は上記のステップS14と同じ手法で良い。ステップS14の処理の後、本ルーチンを終了しても良い。なお、ステップS16に移行しても良い。
【0031】
ステップS15では、推定部13は、ステップS13にて渦流探傷法による非破壊センサ12によって疲労き裂深さが検出されない。そのため、推定部13は、最小初期欠陥発生時点に渦流探傷法による非破壊センサ12によって検出される最小欠陥き裂である0.1mmが発生したと設定する。推定部13は、最小欠陥き裂からの最小欠陥特性で蓄圧器10の許容疲労寿命を推定する。ステップS15の処理の後、本ルーチンを終了しても良い。なお、ステップS16に移行しても良い。
【0032】
図5は、本発明の実施の形態に係るAEセンサ11a、11bのAE信号と蓄圧器10の寿命の渦流探傷法による最小欠陥特性との相関関係を示す説明図である。
図5に示すように、推定部13は、渦流探傷法による非破壊センサ12によって疲労き裂深さが検出されないので、初めて損傷AE信号を検出した時点を渦流探傷法による非破壊センサ12によって検出できる最小欠陥き裂である0.1mmが発生したと設定する。そして、推定部13は、0.1mmの最小欠陥き裂からの蓄圧器10の許容疲労寿命を、図示破線で示す仮の推定特性から図示実線で示す渦流探傷法による非破壊センサ12での最小欠陥特性として推定する。渦流探傷法による非破壊センサ12での最小欠陥特性は、予め調査済みである。これにより、最小欠陥特性は、推定特性よりも図示一点鎖線で示す実力寿命特性により近づく。そして、許容疲労寿命が実力寿命により近づいて推定できる。
【0033】
ステップS16では、AEセンサ11a、11bが損傷AE信号を検出すると、作業者が疲労損傷部位を研磨などによって除去し、蓄圧器10の寿命を延長させる。疲労損傷部位は2つのAEセンサ11a、11bの損傷AE信号の差分で分かっている。このため、損傷AE信号が初めて検出されたときの疲労き裂の深さが磁粉探傷法での最小き裂深さである0.3mm以下と考えられるので、金属円筒部1aの内面側の疲労き裂自体を除去する。これによれば、疲労損傷部位が除去され、蓄圧器10の寿命が更に延長できる。ステップS16の処理の後、本ルーチンを終了する。
【0034】
<蓄圧器10の寿命推定装置100の変形例>
図6は、本発明の実施の形態の変形例に係る蓄圧器10の寿命推定装置100を示す概略構成図である。ここでは、蓄圧器10以外の構成は上記実施の形態と同様であるので説明を省略し、蓄圧器10の異なる構成を説明する。
【0035】
容器1は、一方の端部側及び他方の端部側のうちの少なくとも一方が縮径しているものでも良い。
図6では、容器1の両方の端部側が縮径している態様を一例として示している。容器1の端部側が縮径されてボンベ型の肩部として半球状まで縮径した態様となっている。容器1の両端部の開放部分には、蓋部材2が設けられている。容器1がボンベ型のため、2つのAEセンサ11a、11bは、容器1に設置される。
【実施例】
【0036】
図7は、本発明の実施の形態の実施例に係る2つのAEセンサ11a、11bのAE信号による位置標定結果を示す説明図である。
図7に示すように、発明者らが実施の形態に係る蓄圧器10の寿命推定装置100を用いて2つのAEセンサ11a、11bのAE信号による位置標定を実施したところ、損傷AE信号を発生させた疲労き裂深さの非常に浅い損傷部位が検出できた。
図7の位置標定結果は、
図3のフローチャート図のステップS11の処理によって得られたものである。
【0037】
図7の位置標定結果を得た後、
図3のフローチャート図のステップS12の処理によって損傷AE信号検出時点を初期欠陥発生時点と設定し、ステップS13の処理として渦流探傷法による非破壊センサ12で疲労き裂深さが検出された。この損傷部位は、蓄圧器10の容器1における長手方向の中心部付近にて容器1の内面からの渦流探傷法(ET(Eddy Current Testing))による非破壊センサ12で0.1mmの欠陥として検出された。容器1の全長が2.2mであり、この損傷部位が
図7の破線の範囲で出現してAEセンサ11b側から約1.2mの位置で顕著であった。この損傷部位は、従来のUT(Ultrasonic Testing)あるいはPT(Penetrant Testing)で容器1の内面又は外面から検出できなかった。
【0038】
図8は、本発明の実施の形態の実施例に係る許容寿命の推定結果を示す説明図である。
図8に示すように、ステップS14の処理として疲労亀裂深さからの許容寿命が推定できた。具体的には、0.1mmの欠陥の検出後に、この欠陥を初期欠陥として繰り返し疲労でこの欠陥がどれくらい進展するかを解析した。解析方法は、日本国高圧ガス保安協会の超高圧ガス設備に関する基準KHKS0220(2016)に従っている。これによると、この欠陥から50mmの肉厚の容器1を貫通するのに要する内圧を高める繰り返し数が約250万回であった。次に、安全率を考慮した寿命として定義される許容繰り返し寿命を推定すると、容器1の肉厚×0.8に到達する繰り返し寿命の半分である。具体的には、50mmの肉厚の容器1×0.8の安全率=40mmの肉厚までの約250万回の繰り返し数の半分の約120万回が許容繰り返し数である。以上により、ステップS14の処理として、疲労亀裂深さからの許容寿命の推定が検証できた。
【0039】
<蓄圧器10の製造方法>
以上説明した蓄圧器10の寿命推定装置100を使用するにあたり、蓄圧器10は、疲労損傷時にAEセンサ11a、11bによって損傷AE信号を顕著に発生させる設計にする必要がある。そこで、以下に疲労損傷時に損傷AE信号を顕著に発生させるように蓄圧器10に対してAE信号を用いて蓄圧器10を製造する蓄圧器10の製造方法を説明する。
【0040】
図9は、本発明の実施の形態に係る蓄圧器10の製造方法を示すフローチャート図である。
図9に示すように、蓄圧器10の製造方法は、第1推定工程S21と、第1設計工程S22と、第2推定工程S23と、第2設計工程S24と、脱炭層除去工程S25と、を含む。
【0041】
<第1推定工程S21>
第1推定工程S21は、蓄圧器10に配置されたAEセンサ11a、11bが、蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態である顕著に発生する状態となる応力水準の範囲を推定する。
【0042】
図10は、本発明の実施の形態に係る金属の弾性変形及び塑性変形と損傷AE信号発生の挙動との相関関係を図である。
図11は、本発明の実施の形態に係る第1推定工程S21での応力水準範囲を示す説明図である。
【0043】
図10に示すグラフは、1回限りの引っ張り試験での損傷AE信号発生の挙動である。
図10に示すように、蓄圧器10の容器1に用いられる金属は、弾性変形から塑性変形に至る過程にて損傷AE信号が顕著に発生する現象が知られ、従来知見から弾性変形領域では損傷AE信号の発生が乏しいことが分かる。
【0044】
一方で、発明者らは、弾性領域で破壊する疲労破壊について着目し、特定の応力水準の領域では、弾性領域であっても疲労によって損傷に伴うAE信号が発生することを明らかにした。
【0045】
そこで、第1推定工程S21では、予め
図8のような金属の特性を調査し、疲労限界応力に対する上限値と下限値の範囲を推定する。具体的には、
図11に示すように、第1推定工程S21は、蓄圧器10に配置されたAEセンサ11a、11bが蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態である顕著に発生する状態となる応力水準が疲労限度応力の0.25倍から1.50倍の範囲と推定する。応力水準が疲労限度応力の0.25倍未満であると、材料の損傷に対する損傷AE信号量が少なくなる。応力水準が疲労限度応力の1.50倍よりも大きいと、材料が塑性変形に伴って損傷AE信号の検知ができなくなる。このため、図示のハッチングの範囲が推定される。
【0046】
<第1設計工程S22>
第1設計工程S22では、第1推定工程S21にて推定された応力水準を蓄圧器10の最小肉厚に設計する。これにより、蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態である顕著に発生する状態となる応力水準が適用できる最小肉厚が決定される。
【0047】
<第2推定工程S23>
第2推定工程S23では、蓄圧器10が水素を封入される用途に用いられることに鑑み、蓄圧器10の材料の疲労特性に及ぼす水素の影響に基づいて、疲労特性での水素劣化が顕在化しない疲労限度を推定する。
【0048】
図12は、本発明の実施の形態に係る第1推定工程S21から第2推定工程S23を経た応力水準範囲を示す説明図である。
図12に示すように、疲労特性での水素劣化が顕在化しない疲労限度を考慮すると、第1推定工程S21にて推定した範囲をより限定して図示ハッチングの範囲に推定される。
【0049】
<第2設計工程S24>
第2設計工程S24では、第2推定工程S23にて推定された疲労限度以下の応力水準を蓄圧器10の最小肉厚に設計する。これにより、蓄圧器10に水素が封入される場合に適した最小肉厚が決定される。
【0050】
<脱炭層除去工程S25>
脱炭層除去工程S25では、第2設計工程S24までの工程を経て製造された蓄圧器10において、蓄圧器10の素材の内面及び外面のうち少なくとも内面の脱炭層を除去する。
【0051】
図13は、本発明の実施の形態に係る容器1の内面のホーニング加工の有無による応力耐性を示す説明図である。
図14は、本発明の実施の形態に係る容器1全体の内面の機械加工の有無又は金属円筒部1a単体の内面の機械加工の有無による応力耐性を示す説明図である。
【0052】
図13、
図14に示すように、蓄圧器10は、ホーニング加工あるいは機械加工を内面に施すことにより、蓄圧器10の素材の脱炭層が除去され、応力耐性が向上する。これにより、蓄圧器10の寿命が延長できる。
【0053】
<実施の形態の効果>
実施の形態によれば、蓄圧器10の製造方法は、蓄圧器10に対してAE信号を用いて当該蓄圧器10を製造する。蓄圧器10の製造方法は、蓄圧器10に配置されたAEセンサ11a、11bが、蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態となる応力水準の範囲を推定する第1推定工程S21を含む。蓄圧器10の製造方法は、第1推定工程S21にて推定された応力水準を蓄圧器10の最小肉厚に設計する第1設計工程S22を含む。
【0054】
この構成によれば、使用時の蓄圧器10にてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した蓄圧器10から損傷AE信号が予め定めた状態である顕著な信号度合で検出される。したがって、1年毎などの保安検査のみで寿命を診断する蓄圧器10であっても、当該保安検査にてAE信号が見逃されずに確実に検出できる。
【0055】
実施の形態によれば、第1推定工程S21は、蓄圧器10に配置されたAEセンサ11a、11bが蓄圧器10から発生する材料の損傷に起因する損傷AE信号が予め定めた状態となる応力水準が疲労限度応力の0.25倍から1.50倍の範囲と推定する。
【0056】
この構成によれば、使用時の蓄圧器10にてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した蓄圧器10から損傷AE信号が予め定めた状態となる応力水準が疲労限度応力の0.25倍から1.50倍の範囲の顕著な信号度合で検出される。応力水準が疲労限度応力の0.25倍未満であると、材料の損傷に対する損傷AE信号量が少なくなる。応力水準が疲労限度応力の1.50倍よりも大きいと、材料が塑性変形に伴って損傷AE信号の検知ができなくなる。
【0057】
実施の形態によれば、蓄圧器10の製造方法は、蓄圧器10の材料の疲労特性に及ぼす水素の影響に基づいて、疲労特性での水素劣化が顕在化しない疲労限度を推定する第2推定工程S23を含む。蓄圧器10の製造方法は、第2推定工程S23にて推定された疲労限度以下の応力水準を蓄圧器10の最小肉厚に設計する第2設計工程S24を含む。
【0058】
この構成によれば、使用時の蓄圧器10にてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した蓄圧器10からAE信号が蓄圧器10に封入される水素の影響によって水素劣化が顕在化しない疲労限度以下の状態で検出される。したがって、蓄圧器10が封入する水素に適した設計になる。
【0059】
実施の形態によれば、蓄圧器10の製造方法は、蓄圧器10の素材の内面及び外面のうち少なくとも内面の脱炭層を除去する脱炭層除去工程S25を含む。
【0060】
この構成によれば、蓄圧器10の素材から脱炭層が除去され、蓄圧器10の応力耐性が向上できる。そして、使用時の蓄圧器10にてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した蓄圧器10から損傷AE信号が予め定めた状態である顕著な信号度合でより正確に検出できる。
【0061】
実施の形態によれば、蓄圧器10は、蓄圧器10に配置され、AE信号を検出するAEセンサ11a、11bを備える。
【0062】
この構成によれば、使用時の蓄圧器10にてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した蓄圧器10からAE信号が予め定めた状態である顕著な信号度合で検出できる。
【0063】
実施の形態によれば、蓄圧器10は、一部が開放された金属製の容器1を備える。蓄圧器10は、容器1の開放部分に設けられ、開放部分を閉塞する蓋部材2を備える。
【0064】
この構成によれば、使用時の金属製の容器1にてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した容器1からAE信号が予め定めた状態である顕著な信号度合で検出できる。
【0065】
実施の形態によれば、AEセンサ11a、11bは、容器1又は蓋部材2のいずれか一方又は両方に設けられている。
【0066】
この構成によれば、使用時の金属製の容器1にてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した容器1からAE信号が検出できる。
【0067】
容器1は、両端部が開放された金属円筒部1aである。蓋部材2は、金属円筒部1aの両端部の開放部分をそれぞれ閉塞している。
【0068】
この構成によれば、使用時の金属円筒部1aにてAEセンサ11a、11bによって疲労損傷した金属円筒部1aからAE信号が検出できる。
【0069】
実施の形態によれば、蓄圧器10は、金属円筒部1aの外周を覆う炭素繊維強化樹脂部4を備える。
【0070】
この構成によれば、炭素繊維強化樹脂部4が金属円筒部1aの外周を覆い、金属円筒部1aの耐久性が向上できる。
【符号の説明】
【0071】
1 容器、1a 金属円筒部、2 蓋部材、3 封止部、4 炭素繊維強化樹脂部、10 蓄圧器、11a、11b AEセンサ、12 非破壊センサ、13 推定部、100 寿命推定装置、S21 第1推定工程、S22 第1設計工程、S23 第2推定工程、S24 第2設計工程、S25 脱炭層除去工程。