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特許7023375拡張可能コンテナ及びそのようなコンテナを備えるシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】拡張可能コンテナ及びそのようなコンテナを備えるシステム
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/08 20060101AFI20220214BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20220214BHJP
   B65D 6/02 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
B65D21/08
B65D21/02 400
B65D6/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020544104
(86)(22)【出願日】2017-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2017079126
(87)【国際公開番号】W WO2019096364
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】520164459
【氏名又は名称】シェーラー アリベルト ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】517420902
【氏名又は名称】アラート イノヴェイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】シュバルツ、 デニス
(72)【発明者】
【氏名】フォスナイト、 ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ダイアー、 ジョン
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-216338(JP,A)
【文献】特開昭61-104948(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03034425(EP,A1)
【文献】米国特許第04580681(US,A)
【文献】特開2010-083521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/08
B65D 21/02
B65D 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
側壁と、
前記ベースよりも大きな断面を有するコンテナ開口部を画定するリムと
を備え、
前記側壁の少なくとも1つは、上方に延びる側部及び実質的に水平なベース部を有する可動側壁として構成され、
コンテナを別のコンテナの中にネスティングすることを容易にするために前記側壁が傾斜しているネスティング位置と、前記ネスティング位置と比較して前記コンテナの保管空間を増加させるために前記側壁が外側に動かされる拡張位置との間で、前記可動側壁が移動可能であるように、第1のヒンジによって前記側部の上端部は前記リムに接続され
前記側壁が前記ネスティング位置と前記拡張位置との間で動かされるときに、前記ベース部が前記ベースに実質的に平行な平面において誘導された運動を行うように、前記可動側壁の前記ベース部は前記ベースに結合され、
前記側壁の前記ベース部と前記ベースとを接続するジョイントが設けられ、それによって、前記可動側壁が内側に動いたときに、前記ベース部が前記ベースから離れることを防ぐ、拡張可能コンテナ。
【請求項2】
前記可動側壁の前記側部は、前記ネスティング位置と前記拡張位置との間で前記可動側壁が動かされたときに、前記側部と前記ベース部との間の角度の調節を可能にする前記ベース部に近接する第2のヒンジを備える、請求項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項3】
誘導された水平運動を強制するために、前記ベース部は、スロット及びボルト接続、クーリストラック又はさねはぎ接続によって前記ベースに結合される、請求項1又は2のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項4】
前記可動側壁は、その複数の側縁の1つに配置されかつ隣接する側壁に実質的に平行な方向にコンテナ内部に向かって延びる少なくとも1つのフラップを備える、請求項1~のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項5】
前記可動側壁は、前記側部の側縁上で前記第1のヒンジと前記第2のヒンジの間に配置される少なくとも1つの第1のフラップと、前記第2のヒンジと前記ベース部との間に配置される少なくとも1つの第2のフラップとを備える、請求項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項6】
一対の対向する可動側壁と一対の対向する剛性側壁とを備える、請求項1~のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項7】
前記対向する剛性側壁の各々が、別のコンテナ内にネスティングされたときに、前記拡張可能コンテナを支持するために、定義された支持エリアを形成する外向きのステップを備える、請求項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項8】
前記可動側壁の前記ベース部は、前記ベースの上面に平坦に配置される、請求項1~のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項9】
前記可動側壁は、フィルムヒンジによって前記リムに接続される、請求項1~のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項10】
前記第2のヒンジは、一体型フィルムヒンジである、請求項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項11】
前記コンテナは、ポリマー材料から作られる、請求項1~10のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項12】
前記ベース、前記4つの側壁及び前記リムは、一体に成形される、請求項1~11のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項13】
前記可動側壁は、前記拡張位置において実質的に直立している、請求項1~12のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナ。
【請求項14】
射出成形により請求項1~13のいずれか1項に記載の拡張可能コンテナを製造するための製造方法であって、
少なくとも1つの可動側壁がベースから切り離された状態で、前記コンテナを一体に成形するステップと、
前記ベース部と前記ベースとの間の水平方向の相対運動を可能にするように、前記可動側壁のベース部を前記ベースに結合するステップと
を特徴とする、製造方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの可動側壁は、前記可動側壁の前記側部が前記ベースに対して実質的に平行である拡張位置で成形される、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
少なくとも1つの可動側壁がベースから切り離された状態で、請求項1に記載の拡張可能コンテナを一体に成形するステップと、
後続の製造ステップで前記可動側壁を前記ベースに取り外せないように結合するステップと
を少なくとも含む、ネスティング可能コンテナを製造するための製造方法。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の各コンテナである複数の拡張可能サブトート及びメイントートを備えるシステムであって、前記複数の拡張可能サブトートは、前記メイントートの内部で互いに隣接してネスティング可能である、システム。
【請求項18】
前記拡張可能サブトートが前記メイントート内にネスティングにされると、前記メイントートの壁に隣接する前記サブトートの前記可動側壁が前記ネスティング位置に配置され、別のサブトートに隣接する前記可動側壁は拡張位置に配置される、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に水平なベースと、(4つの)側壁と、ベースよりも大きな断面を有するコンテナ開口部を画定するリムとを備える拡張可能コンテナに関し、(4つの)側壁の少なくとも1つは、上方に延びる側部及び実質的に水平なベース部を有する可動側壁として構成され、側部の上端部はヒンジによってリムに接続され、それによって、コンテナを別のコンテナの中にネスティングすることを容易にするために側壁が傾斜しているネスティング位置と、ネスティング位置と比較してコンテナの保管空間を増加させるために側壁が外側に動かされる拡張位置との間で、可動側壁が移動可能になる。さらに、本発明は、上述の複数の拡張可能コンテナがネスティングされ得るメイントートを備えるシステム、及び拡張可能コンテナを製造するための製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
特に、自動倉庫(automated storage and retrieval system;ASRS又はAS/RS)の分野では、多数のサブトートをネストできるメイントートのシステムに対する需要が高まっている。しかしながら、このタイプの既知のシステムの大きな欠点は、サブトートの側壁の傾斜のために貴重な保管空間が失われることである。この問題は、各々が傾斜した側壁と直立した側壁の個別の構成を備える複数の異なるサブトートを提供することにより克服され得るが、このような構成では複数の射出成形ツールが必要であり、さらにサブトートをメイントートの内側に特定の方向と順序で配置する必要があるという欠点があり、これがシステムの取り扱いを複雑にしている。
【発明の概要】
【0003】
従来のネスティング式コンテナの欠点は、本発明による拡張可能なネスティング式コンテナによって解決される。したがって、本発明は、構造が比較的単純でありかつ取り扱いが容易な拡張可能なネスティング式コンテナを対象とする。さらに、本発明の好ましい目的は、別のコンテナ内にネスティングされたときに、保管容量を最大化するコンテナを提供することである。さらに、本発明は、サブトートがメイントート内に入れ子にされたときに、比較的単純な構造、容易な取り扱いを有し、保管容量を最大化するメイントート及び複数のサブトートを有するシステムを対象とする。さらに、このようなコンテナの簡単かつ効率的な製造を可能にする、拡張可能なネスティング式コンテナの製造プロセスが提案されている。
【0004】
上記の問題は、独立請求項1の特徴によるコンテナ、請求項15の特徴による製造プロセス、及び請求項17の特徴によるシステムによって解決される。有利な実施形態は、それぞれの従属請求項の目的である。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、ベース、4つの側壁、ベースよりも大きな断面を有するコンテナ開口部を規定するリムを備える拡張可能コンテナが提供される。4つの側壁の少なくとも1つは、上方に延びる側部及び実質的に水平なベース部を有する可動側壁として構成され、側部の上端部は第1のヒンジによってリムに接続され、それによって、コンテナを別のコンテナの中にネスティングすることを容易にするために側壁が傾斜しているネスティング位置と、ネスティング位置と比較してコンテナの保管空間を増加させるために側壁が外側に動かされる拡張位置との間で、可動側壁が移動可能である。上記のコンテナ設計により、別のコンテナにネスティングされたときに、その側壁の傾斜を自動的に適合させ、十分な外部空間が提供されている場合(例えば、コンテナが充填されている場合)に内部の保管空間を自動的に拡張する一様なコンテナ設計が可能になる。
【0006】
可動側壁の側部は、拡張位置に配置されたときに、ベースに対して実質的に垂直(鉛直)であってもよい。
【0007】
本発明の実施形態によれば、側壁がネスティング位置と拡張位置との間で動かされるときに、ベース部がベースに実質的に平行な平面において誘導された運動を行うように、可動側壁のベース部はベースに結合される。言い換えると、ベースと可動側壁のベース部とを接続するジョイントは、可動側壁が内側に移動したときにベース部がベースから離れる(上方に持ち上げられる)のを防ぐように設計されてもよい。ベース部は、ベースの上面に平坦に置かれ、この面一な整列位置に留まるように結合されてもよい。このような実施形態は、可動側壁が内側に動かされたときであっても、コンテナの保管空間が最大化されるという利点を有する。
【0008】
可動側壁の側部は、ベース部に近接する第2のヒンジを備えてもよく、これは、ネスティング位置と拡張位置との間で可動側壁が動かされたときに、側部とベース部との間の角度の調節を可能にする。言い換えれば、第2のヒンジは、さもなければその柔軟性を有する可動側壁の動きによって引き起こされる張力を吸収する連動ジョイントとして提供される。
【0009】
一実施形態では、誘導された水平運動を矯正するために、ベース部は、ベースの特徴部に挿入されるか又はその逆になる突出部分、例えば、スロット及びボルト接続、クーリス(coulisse)トラック又はさねはぎ接続によってベースに結合されてもよい。さらなる実施形態において、スロット及びボルトコネクタ/ジョイントは、スナップ/ロック係合を行うように構成されてもよく、これはツールなしでの組み立てを可能にする。これは、例えば、ボルトの遠位(自由)端に設けられたフックによって実装することができる。ボルトは、ベース又はベース部に一体的に形成される。
【0010】
ベースとベース部との間のジョイントは、その2つの間の移動を制限するように構成されてもよい。
【0011】
一実施形態によれば、可動側壁は、その複数の側縁の1つに配置されかつ隣接する側壁に実質的に平行な方向にコンテナ内部に向かって延びる少なくとも1つのフラップを備えてもよい。フラップは、隣接する側壁の内面に平坦に置かれてもよい。上述のフラップにより、可動側壁が拡張位置にあるときに、可動側壁と隣接する側壁との間の隙間が覆われ/塞がれて、保管された物品がコンテナから落下するのを防ぐことができる。可動側壁は、側部の側縁上で第1のヒンジと第2のヒンジの間に配置される少なくとも1つの第1のフラップと、第2のヒンジとベース部との間に配置される少なくとも1つの第2のフラップとを備え得る。コンテナの隅にある自由な隙間の量を減らして製品の落下を制限するためにフラップ状の構造が提供されているとも言える。
【0012】
コンテナは、一対の対向する可動側壁と一対の対向する剛性側壁とを備えてもよい。
【0013】
一実施形態では、対向する剛性側壁の各々が、別のコンテナ内にネスティングされたときに、拡張可能コンテナを支持するために、定義された支持エリアを形成する外向きのステップを備えてもよい。このような設計によって、ネスティング中の接触エリア、したがってコンテナ間のくさび作用のリスクを最小限に抑えることができる。
【0014】
第1及び/又は第2のヒンジは、一体型フィルムヒンジ(柔軟性を提供するための薄化した材料)として実装されてもよい。この設計オプションにより、一体的なコンテナの一体成形が容易になる。したがって、特に、ベース、4つの側壁、及びリムを一体に射出成形することにより、ポリマー材料のコンテナを作ることが好ましい。
【0015】
可動側壁は、例えば、材料の内部弾性により、拡張位置に付勢されてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様は、上記の拡張可能コンテナを製造するための製造方法に関し、少なくとも1つの可動側壁がベースから切り離された状態で、コンテナを一体に成形するステップと、ベース部とベースとの間の水平方向の相対運動を可能にするように、可動側壁のベース部をベースに結合するステップとを少なくとも含む。
【0017】
本発明の第3の態様は、メイントートの内部にサブトートとしてネスティングすることができる上記の複数の拡張可能なコンテナと、ネスティング可能メイントートとを備えるシステムを対象とする。本発明によれば、メイントートの傾斜壁に隣接するネスティングされたサブトートの可動側壁は、ネスティング位置に配置され、別のサブトートに隣接する可動側壁は、実質的に直立した(拡張された)位置に拡張して、利用可能な保管空間を最大化することができる。メイントートは、その側壁に多数の凹部を備えてもよく、サブトートの各々は、サブトートをメイントート内に固定するために、凹部と係合し得る少なくとも1つのフック又はタブを備えてもよい。
【0018】
次に、例示として、添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナの斜視図を示す。
図2】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナの側面図を示す。
図3】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナの断面図を示す。
図4】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナの側面図を示す。
図5】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナのより詳細な斜視図を示す。
図6】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナの上面図を示す。
図7】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナの上面斜視図を示す。
図8】本発明の好ましい実施形態によるメイントート及び複数のサブトートを備えるシステムの断面図を示す。
図9】本発明の好ましい実施形態による拡張可能コンテナの側面図を示し、1つの可動側壁がネスティング位置に配置され、別の可動側壁が拡張位置に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1~7を参照すると、本発明の好ましい実施形態による図示のコンテナ1は、実質的に長方形のベース2及びそこから延びる4つの側壁3、4を有し、これらはベース2と反対の端部においてリム5によって接続されている。図示のコンテナ1は、構造的に同一のコンテナとネスティングできるように設計されている。このため、ベース2の断面は、リム5によって画定されたコンテナの開口部よりも小さくなっている。
【0021】
図8に示すように、好ましい実施形態によるコンテナ1は、複数のサブトート1を受け入れるように適合されるより大きなメイントート20と一緒にシステム内のサブトートとして使用することを意図している。コンテナ1の上述のネスティング可能な設計は、複数のコンテナ1がネスティング可能なメイントート20内にネスティングされる場合、側壁の傾斜を必要とし、これにより使用可能な保管空間が浪費される。この欠点を改善するために、本発明の好ましい実施形態によるコンテナ1は、同様のネスティング可能なコンテナと比較したときに、独自の機能が実装されており、コンテナ1がより大きなコンテナ又はメイントート20内にネスティングされたときに、利用される保管空間を最大化することができる。これは、4つの側壁3、4のうちの2つを可動側壁4として設計することにより達成され、それによりメイントート20の傾斜壁と接触している可動側壁4が内側にスイングし、ネスティングに必要な傾斜配向を取ることができ、別のサブトートコンテナ1に面する可動側壁4は、拡張された実質的に垂直な位置を取ることができる(図8を参照)。
【0022】
上記の特徴を実現するために、可動側壁4は、上端縁領域を備えた第1のヒンジ4.4を介してリム5に接続され、それに対するスイング又は枢動運動を可能にする。第1のヒンジ4.4は、好ましい実施形態では一体型フィルムヒンジとして実装される。図示の実施形態では、可動側壁4は、それらの枢動相対運動を可能にするために剛性側壁3から分離されている。しかしながら、当業者であれば理解するように、可動側壁4は、適切な相対運動を可能にするジョイント又は接続によって剛性側壁3に結合されてもよい。
【0023】
可動側壁4は、側面から見たとき、上方に延びる(垂直)側部4.1と、側部4.1に対して実質的に垂直でありかつ実質的にベース2に平行に向けられた(水平)ベース部4.2とを有する実質的なL字形と説明され得る。可動側壁4がL字形であることにより、可動側壁4が拡張位置に枢動しても、コンテナ1の内側ベース面が確実に閉じられる。可動側壁4のベース部4.2は、ベース2の上面(内面)と面一に整列して配置される。図5で最もよく分かるように、ベース部分4.2は、ベース2に移動可能に結合される。特に、ベース部分4.2は、ベース2に平行な平面において誘導された運動しか実行できないように、ベース2に結合されている。図示の好ましい実施形態では、これは、ベース部4.2に設けられた複数のスロット4.3(長穴)の組み合わせで達成され、各々がベース2に設けられたボルト又は舌部2.1に係合する。図示されたボルト2.1は、ベース2と一体的に形成されている。記載されたスロット及びボルト接続は、ネスティングしている間に可動側壁4が内側に枢動した場合に、ベース部4.2が上向きに移動できないという利点を有しており、さもなければネスティングされたコンテナ1の保管空間を損なってしまうであろう。さらに、スロット及びボルトの接続により、リミットストップが提供され、拡張及びネスティングの際の可動側壁4の内向き及び外向きの動きが制限される。当業者であれば理解するように、ベース部分4.2の誘導された平行(水平)運動を可能にする代替運動も可能であり、例えば、クーリス(coulisse)トラック又はさねはぎ接続又は4リンクシステムとして考えられる。好ましい実施形態では、ボルト2.1は、ベースの上面(内面)から上方に延びるように設計される。図示されたボルトは、スロット4.3とのスナップ係合のために、その遠位端に一対のフック又はウィングを有し、それによりツールなしでジョイントの組立てを可能にする。このように、ベース2とベース部4.2との間のジョイントの偶発的な分離を防止するアンダーカットが形成される。
【0024】
可動側壁4が枢動すると側部4.1の角度が変化する一方で、ベース部4.2はベース2と平行のままであるので、側部4.1とベース部4.2との間の相対角度におけるこの変化を補償するために、ベース部4.2に隣接する側部4.1に第2のヒンジ4.4が設けられる。
【0025】
可動側壁4が拡張位置に配置されるとき、可動側壁4と剛性側壁3の間の隙間を最小化するために、第1及び第2のフラップ4.6、4.7が、剛性側壁3に隣接する可動側壁の側縁に一体的に形成される。第1及び第2のフラップ4.6、4.7は、剛性側壁3の内面と面一に整列しており、その結果、アンダーカットが形成され、第1及び第2のフラップ4.6、4.7が、コンテナ1内に保管された物品によって外側に押されるのを防ぐ。第1のフラップ4.6は、第2のヒンジ4.5に隣接してその上に配置されるが、第2のフラップ4.7は、第2のヒンジ4.5に隣接してその下に配置される。また、第2のフラップ4.7は、ベース部4.2の側縁に取り付けられる。第2のフラップ4.7及びベース部4.2は、シャベル形の構成を形成するとも言える。
【0026】
剛性側壁3は、ベース2に剛性接続され、側面から見ると、ベースと共に実質的にU字形の構成で配置される。各剛性側壁3にはステップ3.1が設けられ、これは、剛性側壁3の上部がベース2に隣接する剛性側壁3の下部に対して外側にシフトするように構成される。ステップ3は、別の(構造的に同一の)コンテナ又はメイントート20の中にネスティングされたときに拡張可能コンテナを支持するために、定義された支持エリアを形成する。したがって、ステップ3.1は、ネスティング時の接触エリアを最小化し、ネスティングされたコンテナ間のくさび作用のリスクを低減する。
【0027】
図9は、好ましい実施形態によるコンテナ1を側面図で示し、その左可動側壁3は拡張位置に配置され、その右可動側壁3はネスティング位置に配置されている。この図で最もよく分かるように、可動側壁3は、拡張時に(左)、直立又は実質的に垂直な位置をとり、ネスティング時に(右)、内側に傾斜した位置に枢動する。再び図8を参照すると、メイントート20を備えるシステムにおけるコンテナ1の意図された使用が記載されている。上記の意図された使用によれば、複数の構造的に同一のコンテナ1は、より大きいメイントート20にネスティング(挿入)され、それ自体は複数の(空の)メイントート20のネスティングを可能にするための傾斜側壁が設けられている。メイントート20の壁の傾斜により、メイントート20の壁に隣接する空のコンテナ1の可動側壁4は自動的に内側に向かってネスティング位置に動かされるが、残りの可動側壁4は拡張できるため、保管のための空間の浪費を最小限に抑えることができる。この構成では、コンテナ1は物品で満たされていてもよい。例として、各コンテナ1は、別々の顧客に委託される物品で満たされていてもよい。満たした後で、個別のコンテナ1は、さらなる委託のために手動及び/又は自動操作によりメイントート20から取り出されてもよい。空のサブトートが、最初に可動側壁が傾斜しているメイントートに挿入されてもよい。物品がサブトートに挿入されると、サブトートの一方又は両方の可動側壁が垂直位置に押し出されてもよい。
【0028】
剛性側壁3と可動側壁4との間の構造的接続が欠落しているため、リム5は、周縁リップ5.1によって補強され、コンテナ1の安定性及び剛性を向上させる。リップ5.1は、2つのフック5.2を形成し、これはメイントート20の対応する凹部と係合して、コンテナ1をメイントート20内に固定することができる。複数の補強リブがリップ5.1を側壁3、4に接続しており、安定性をさらに向上させるために設けられる。
【0029】
重量を低減し、例えば、物品の冷却のために複数のコンテナ1間の空気の循環を改善するために、好ましい実施形態によるコンテナの側壁3、4には穿孔が設けられる。
【0030】
図1で最もよく分かるように、可動側壁4には、コンテナ1を取り扱うための開口部が設けられている。こうした開口部は、第1のヒンジ4.4を遮るように配置され、それによりジョイントの柔軟性を改善して、取っ手を握りながら同時に可動側壁4を操作することを可能にする。
【0031】
図示の好ましいコンテナ1は、熱可塑性材料から作られており、射出成形プロセスによって一体に製造される。フィルムヒンジとしての第1及び第2のヒンジ4.4、4.5の実装は、コンテナ1の一体的な製造を容易にする。コンテナ1を離型するときのアンダーカットを回避するために、可動側壁4がコンテナ1の残りの部分から離れて広がり、側部4.1がベース2に実質的に平行となる位置でコンテナが成形されてもよい。次に、ベース部4.2は、後続の製造ステップにおいて、一体型スロット4.3及びボルト2.1のコネクタを介してベース2と結合されてもよい。ネスティング可能なコンテナの製造方法に関する代替的な実施形態では、第1のステップにおいて、第1の実施形態と同様のコンテナが、射出成形プロセスによって一体に製造されてもよい。しかしながら、代替的な実施形態では、可動側壁をベースに可動的に結合する代わりに、側部及び/又はベース部は、傾斜した側壁と垂直な側壁の永続的な構成を持つサブトートを作成するために、例えば、(超音波)溶接又は接着剤の適用によって、ベース及び/又は隣接する剛性側壁に取り外せないよいうに取り付けられてもよい。言い換えれば、本発明による拡張可能なコンテナは、一種のプレフォームとして製造されてもよく、その後でメイントートに挿入される。このプリフォームコンテナの可動側壁の構成はメイントートに適応するので、(複数の)可動側壁をベース及び/又は隣接する側壁に取り外せないように結合して、所定の構成を備えた傾斜した及び垂直の側壁の剛性のネスティング可能なコンテナを作成することができる。この製造方法には、ネスティング可能なサブトートの製造に単一の射出成形ツールを使用できるという利点があり、こうしたサブトートは、個別に構成され、続く製造ステップで取り外せないように結合される。
【符号の説明】
【0032】
1 コンテナ
2 ベース
2.1 ボルト
3 剛性側壁
3.1 ステップ
4 可動側壁
4.1 側部
4.2 ベース部
4.3 スロット
4.4 第1のヒンジ
4.5 第2のヒンジ
4.6 第1のフラップ
4.7 第2のフラップ
5 リム
5.1 リップ
5.2 フック
20 メイントート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9