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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】一方向動力配分の自在伝動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/46 20060101AFI20220214BHJP
   F16H 37/08 20060101ALI20220214BHJP
   F16H 37/06 20060101ALI20220214BHJP
【FI】
F16H1/46
F16H37/08
F16H37/06 D
F16H37/06 E
F16H37/06 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020563693
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 CN2019088338
(87)【国際公開番号】W WO2019228263
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】201810520479.X
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520040876
【氏名又は名称】▲羅▼ ▲燦▼
【氏名又は名称原語表記】LUO CAN
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【弁理士】
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ ▲燦▼
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-157063(JP,A)
【文献】特開昭51-137264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/46
F16H 37/08
F16H 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向動力配分の自在伝動装置であって、
一つの一方向動力配分装置、一つの方向変換装置、及び一つの合成装置が接続して構成され、
一方向動力配分装置は、一つの一方向動力配分装置の入力端、一つの一方向動力配分装置の内出力端、一つの一方向動力配分装置の外出力端を備え、
一方向動力配分装置により、その入力端の1つの回転数はその内出力端、外出力端における回転方向が同じである2つの回転数に変換され、
一方向動力配分装置には、1つの遊星歯車機構が用いられ、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は一方向動力配分装置の入力端として、他の2つの部品はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端として設定され、
一方向動力配分装置の遊星歯車機構には、五種類の遊星歯車機構のいずれかが用いられ、
方向変換装置は二式の伝動構造を含み、
一方は第1入力端、第1出力端を備え、
他方は第2入力端、第2出力端を備え、
方向変換装置によりその第1入力端、第2入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1出力端、第2出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、
その第1出力端、第2出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1入力端、第2入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、
方向変換装置はたわみ軸方向変換装置、非たわみ軸方向変換装置を含み、
そのうちたわみ軸方向変換装置は、たわみ軸の内軸及び外軸を含み、
内軸は内入力端、内出力端を備え、
外軸は外入力端、外出力端を備え、
たわみ軸方向変換装置により、その内入力端、外入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその内出力端、外出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、
その内出力端、外出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその内入力端、外入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、
たわみ軸方向変換装置には4つのタイプがあり、
本発明において、かさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置と太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置の内軸の伝動比は1.0に設定され、外軸の伝動比は-1.0に設定され、保持式二式方向変換装置では内入力端から内出力端への伝動比は-1.0に設定され、外入力端から外出力端への伝動比は1.0に設定され、変換式二式方向変換装置では内入力端から外出力端への伝動比は-1.0に設定され、外入力端から内出力端への伝動比は1.0に設定され、
そのうち、非たわみ軸方向変換装置は左伝動及び右伝動を含み、
左伝動には左入力端、左出力端を備え、
右伝動には右入力端、右出力端を備え、
非たわみ軸方向変換装置によりその左入力端、右入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその左出力端、右出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、
その左出力端、右出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその左入力端、右入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、
非たわみ軸方向変換装置では左伝動の伝動比は右伝動の伝動比の負の値に等しいように設定され、
合成装置はその内入力端、外入力端における回転方向が逆になる2つの回転数を合成してその遊星歯車の回転数に変換する伝動装置であり、
その内入力端、外入力端における回転方向が同じである2つの回転数をその遊星キャリヤの回転数に変換し、
単層遊星の遊星歯車機構は1つ用いられ、遊星歯車機構の軸は合成装置軸であり、
左側の中心歯車は合成装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端とされ、
遊星キャリヤは回転制御端とされ、1ないし6個の遊星歯車は出力端とされ、
出力軸はこれらの遊星歯車の軸であり、
出力軸と合成装置軸によって方向変換角が形成され、合成装置の出力端は一方向動力配分の自在伝動装置の出力端でもあり、合成装置には2種類の単層遊星の遊星歯車機構のうちのいずれかが用いられ、
本発明の接続方法は、一方向動力配分装置の内出力端を方向変換装置の内入力端に直接的に接続させ、一方向動力配分装置の外出力端を方向変換装置の外入力端に直接的に接続させ、方向変換装置の内出力端を合成装置の内入力端に直接的に接続させ、方向変換装置の外出力端を合成装置の外入力端に直接的に接続させ、
一方向動力配分装置の入力端に動力源を接続させて動力回転数を入力し、合成装置の出力端に動力使用装置を接続させ、回転制御端に回転制御装置を接続させることであり、
方向変換装置に非たわみ軸方向変換装置を用いる場合には、方向変換装置の左入力端は方向変換装置の内入力端に相当し、方向変換装置の右入力端は方向変換装置の外入力端に相当し、方向変換装置の左出力端は方向変換装置の内出力端に相当し、方向変換装置の右出力端は方向変換装置の外出力端に相当し、
本発明の一方向動力配分装置、合成装置の各部品の設定方法は、
一方向動力配分装置に単層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを0.8ないし1.25とし、一方向動力配分装置に二層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを1.6ないし2.5とし、合成装置の単層遊星の遊星歯車機構の特性パラメータを0.8ないし1.25とすることであり、
最も好ましい設定は、一方向動力配分装置に単層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを1.0とし、一方向動力配分装置に二層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを2.0とし、合成装置の単層遊星の遊星歯車機構の特性パラメータを1.0とすることであり、
動力源から入力された動力回転数は合成装置の出力端の動力回転数に変換され、動力回転数の入力、出力は回転制御装置から入力された回転の回転数と互いに干渉せず、
回転の回転数を入力することにより出力軸が合成装置軸の周りを回転するように制御し、出力軸の回転に正転及び逆転のトルクはバランスがとれるように制御し、出力軸に一方向ベアリングトルクがないため、回転制御装置は一方向ベアリングトルクを克服する必要はなく、回転制御装置の構造はシンプルであるであることを特徴とする、前記一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項2】
一方向動力配分装置に単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構を用いる場合には、
遊星キャリヤは一方向動力配分装置の入力端とされ、左側の中心歯車、右側の中心歯車はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項3】
一方向動力配分装置に太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構を用いる場合には、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の入力端とされ、左側の中心歯車、右側の中心歯車はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項4】
一方向動力配分装置に二層遊星の円筒歯車遊星歯車機構を用いる場合には、ピッチ円直径が大きい方の中心歯車は一方向動力配分装置の入力端とされ、遊星キャリヤ、ピッチ円直径が小さい方の中心歯車はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項5】
一方向動力配分装置に太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構を用いる場合には、ピッチ円直径が大きい方の中心歯車は一方向動力配分装置の入力端とされ、遊星キャリヤ、他方の中心歯車はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項6】
一方向動力配分装置に内歯車を2つ備える遊星歯車機構を用いる場合には、ピッチ円直径が小さい方の中心歯車は一方向動力配分装置の入力端とされ、遊星キャリヤ、他方の中心歯車はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項7】
方向変換装置にはかさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置が用いられ、外軸には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、たわみ軸の内軸に内入力端、内出力端が設けられ、たわみ軸の外軸における単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の左側の中心歯車は方向変換装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は方向変換装置の外出力端とされ、かさ歯車遊星歯車が左側の中心歯車に噛合し且つ右側の中心歯車に噛合して、遊星キャリヤは固定され、方向変換装置の外入力端と方向変換装置の外出力端は回転方向が逆になることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項8】
方向変換装置には太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置が用いられ、外軸には太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、たわみ軸の内軸に内入力端、外出力端が設けられ、たわみ軸の外軸における太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の左側の中心歯車は方向変換装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は方向変換装置の外出力端とされて、遊星キャリヤは固定され、方向変換装置の外入力端と方向変換装置の外出力端は回転方向が逆になることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項9】
方向変換装置には保持式二式方向変換装置が用いられ、内軸、外軸にはそれぞれかさ歯車対を使用して伝動させ、保持式二式方向変換装置の内入力端、外入力端に入力たわみ軸が形成され、内出力端、外出力端に出力たわみ軸が形成され、入力たわみ軸の軸受及び出力たわみ軸の軸受はそれぞれ固定され、入力たわみ軸と出力たわみ軸によって90°の夾角が形成され、内入力端に内主動かさ歯車が設けられ、外入力端に外主動かさ歯車が設けられ、内出力端に内受動かさ歯車が設けられ、外出力端に外受動かさ歯車が設けられて、内主動かさ歯車は内受動かさ歯車に噛合し、外主動かさ歯車は外受動かさ歯車に噛合し、内入力端、外入力端に回転方向が同じである2つの回転数が入力されると、内出力端、外出力端には回転方向が逆になる2つの回転数が出力されることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項10】
方向変換装置には変換式二式方向変換装置が用いられ、内軸、外軸にはそれぞれかさ歯車対を使用して伝動させ、変換式二式方向変換装置の内入力端、外入力端に入力たわみ軸が形成され、内出力端、外出力端に出力たわみ軸が形成され、入力たわみ軸と出力たわみ軸によって90°の夾角が形成され、内入力端に内主動かさ歯車が設けられ、外入力端に外主動かさ歯車が設けられ、内出力端に内受動かさ歯車が設けられ、外出力端に外受動かさ歯車が設けられて、内主動かさ歯車は外受動かさ歯車に噛合し、外主動かさ歯車は内受動かさ歯車に噛合し、内入力端、外入力端に回転方向が同じである2つの回転数が入力されると、外出力端、内出力端には回転方向が逆になる2つの回転数が出力されることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項11】
方向変換装置には非たわみ軸方向変換装置が用いられ、左伝動は左入力かさ歯車、左方向変換かさ歯車、左伝動かさ歯車、左出力かさ歯車からなり、右伝動は右入力かさ歯車、右方向変換かさ歯車、右伝動かさ歯車、右出力かさ歯車からなり、左入力かさ歯車は左入力端とされ、右入力かさ歯車は右入力端とされ、左出力かさ歯車は左出力端とされ、右出力かさ歯車は右出力端とされ、
左入力かさ歯車は左方向変換かさ歯車に噛合し、左方向変換かさ歯車は左伝動かさ歯車に直接的に接続され、左伝動かさ歯車は左出力かさ歯車に噛合し、右入力かさ歯車は右方向変換かさ歯車に噛合し、右方向変換かさ歯車は右伝動かさ歯車に直接的に接続され、右伝動かさ歯車は右出力かさ歯車に噛合し、
左伝動の伝動比は右伝動の伝動比の負の値に等しいように設定されることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項12】
合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、左側の中心歯車は合成装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端とされ、遊星キャリヤは回転制御端とされ、1ないし6個のかさ歯車遊星歯車は出力端とされ、出力軸はこれらのかさ歯車遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって90°の方向変換角が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【請求項13】
合成装置には太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、左側の太陽歯車は合成装置の外入力端とされ、右側の太陽歯車は合成装置の内入力端とされ、遊星キャリヤは回転制御端とされ、遊星歯車は出力端とされ、出力軸はこれらの遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸は平行であり、方向変換角が0°であることを特徴とする、請求項1に記載の一方向動力配分の自在伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊星歯車機構構造の伝動機械に関し、具体的には、一方向動力配分装置(equidirectional transfer case)、方向変換装置(commutator)及び合成装置(actuator)各1つが接続して構成され、入力端から出力端への動力回転数の伝動において、出力軸の合成装置軸の周りの回転、正転及び逆転を制御する回転制御トルクにバランスがとれ、回転制御装置がシンプルな自在伝動装置である。
【背景技術】
【0002】
まずは遊星歯車機構について紹介する。遊星歯車機構は2つの中心歯車、遊星歯車を備える遊星キャリヤという3つの部品からなり、3つの部品の配置方式及び噛合構造により遊星歯車機構の運動特性方程式が決まり、遊星歯車機構のタイプが決定される。従来の遊星歯車機構は円筒歯車遊星歯車機構、かさ歯車(傘歯車、ベベル歯車)遊星歯車機構に大別される。円筒歯車遊星歯車機構は1つの太陽歯車と、1つの内歯車と、遊星歯車を備える遊星キャリヤとを含み、太陽歯車、内歯車、遊星歯車はいずれも円筒歯車である。遊星歯車の層数が1層であるか2層であるかによって円筒歯車遊星歯車機構は単層遊星の遊星歯車機構、二層遊星の遊星歯車機構に分けられる。単層遊星の遊星歯車機構では太陽歯車が遊星歯車に噛合し、遊星歯車は内歯車に噛合する。二層遊星の遊星歯車機構では太陽歯車が内層の遊星歯車に噛合し、内層の遊星歯車は外層の遊星歯車に噛合し、外層の遊星歯車は内歯車に噛合する。かさ歯車遊星歯車機構は2つの中心歯車と、遊星歯車を備える遊星キャリヤとを含み、一般に単層遊星の遊星歯車機構であり、遊星歯車は1層であり、その2つの中心歯車、遊星歯車はいずれもかさ歯車である。左側の中心歯車は遊星歯車に噛合し、遊星歯車は右側の中心歯車に噛合する。太陽歯車及び内歯車はいずれも中心歯車であり、太陽歯車は左側の中心歯車でピッチ円直径が小さい方の中心歯車であり、内歯車は右側の中心歯車でピッチ円直径が大きい方の中心歯車である。本発明では、2つの中心歯車及び遊星歯車を備える遊星キャリヤからなる伝動機械は全て遊星歯車機構であるとされ、一方の中心歯車は遊星歯車に噛合し、複数層の遊星歯車は互いに噛合し又は直接的に接続され、遊星歯車は他方の中心歯車に噛合し、遊星キャリヤは遊星歯車を連れて(連動させて)中心歯車の軸線の周りを回転させ、遊星歯車は公転しつつ自転する。遊星歯車の層数は1層、2層、又は3層とすることができる。その例として、一つの例は太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構で、二層遊星の遊星歯車機構であり、2つの中心歯車(太陽歯車)と、遊星歯車を備える遊星キャリヤとを含み、2つの中心歯車、遊星歯車はいずれも円筒歯車である。各遊星歯車は、左側遊星歯車、右側遊星歯車と呼ばれる同軸の2つの歯車である。左側遊星歯車は左側の中心歯車に噛合し、左側遊星歯車は右側遊星歯車に直接的に接続され、右側遊星歯車は右側の中心歯車に噛合する。左側の中心歯車のピッチ円直径は右側の中心歯車のピッチ円直径と異なり、左側の中心歯車のモジュールは必ずしも右側の中心歯車のモジュールに等しいとは限らない。もう一つの例は内歯車を2つ備える遊星歯車機構で、二層遊星の遊星歯車機構であり、2つの中心歯車(内歯車)と、遊星歯車を備える遊星キャリヤとを含み、2つの中心歯車、遊星歯車はいずれも円筒歯車である。各遊星歯車は左側遊星歯車、右側遊星歯車と呼ばれる同軸の2つの歯車である。左側遊星歯車は左側の中心歯車に噛合し、左側遊星歯車は右側遊星歯車に直接的に接続され、右側遊星歯車は右側の中心歯車に噛合する。左側の中心歯車のピッチ円直径は右側の中心歯車のピッチ円直径と異なり、左側の中心歯車のモジュールは必ずしも右側の中心歯車のモジュールに等しいとは限らない。さらにもう一つの例は、太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構で、単層遊星の遊星歯車機構であり、2つの中心歯車(太陽歯車)と、遊星歯車軸を2つ、2層の遊星歯車を備える遊星キャリヤとを含み、2つの中心歯車、遊星歯車はいずれも円筒歯車である。遊星キャリヤは内遊星歯車軸、外遊星歯車軸を備え、内遊星歯車軸に内遊星歯車が設けられ、外遊星歯車軸上の各遊星歯車は、左側外遊星歯車、右側外遊星歯車と呼ばれる同軸の2つの歯車である。左側の中心歯車は内遊星歯車に噛合し、内遊星歯車は左側外遊星歯車に噛合し、左側外遊星歯車は右側外遊星歯車と同軸にして直接的に接続され、右側外遊星歯車は右側の中心歯車に噛合する。左側の中心歯車のモジュールは必ずしも右側の中心歯車のモジュールに等しいとは限らない。遊星歯車機構の3つの部品で左側の中心歯車はz、遊星キャリヤはj、右側の中心歯車はyとし、左側遊星歯車又は左側外遊星歯車はxz、右側遊星歯車又は右側外遊星歯車はxyとし、左側の中心歯車の歯数はZz、右側の中心歯車の歯数はZy、左側遊星歯車又は左側外遊星歯車の歯数はZxz、右側遊星歯車又は右側外遊星歯車の歯数はZxy、左側の中心歯車の回転数はNz、右側の中心歯車の回転数はNy、遊星キャリヤの回転数はNjとする。円筒歯車遊星歯車機構及びかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータはa=Zy/Zzであり、太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構の特性パラメータ、内歯車を2つ備える遊星歯車機構の特性パラメータ、太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の特性パラメータはいずれもa=(Zy×Zxz)/(Zz×Zxy)である。単層遊星の遊星歯車機構の運動特性方程式は全てNz+a×Ny=(1+a)×Njであり、当該運動特性方程式に従う遊星歯車機構であれば、単層遊星の遊星歯車機構である。当該運動特性方程式では、係数の絶対値が最大の項はNjであり、当該項に対応する部品は遊星キャリヤである。二層遊星の遊星歯車機構の運動特性方程式は全てNz-a×Ny=(1-a)×Njであり、当該運動特性方程式に従う遊星歯車機構であれば、二層遊星の遊星歯車機構である。a<1.0である場合に、当該運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項はNzであり、当該項に対応する部品はzと示す側の中心歯車であり、a>1.0である場合に、当該運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項はNyであり、当該項に対応する部品はyと示す側の中心歯車である。
【0003】
入力軸と出力軸に夾角がある伝動を、方向変換伝動と称し、当該夾角を方向変換角と称し、方向変換角が変わらず出力軸が回転する伝動を回転式方向変換伝動と称する。従来の回転式方向変換伝動装置は主にかさ歯車方向変換伝動装置で、かさ歯車対を利用して方向変換伝動を実現するものであり、方向変換角が一定で、出力軸が入力軸の周りを回転するように制御することで回転式方向変換伝動装置が得られる。方向変換伝動において、出力軸に大きな一方向ベアリングトルクが生じ、一方向ベアリングトルクは伝動の動力トルクに関係し、動力トルクが大きいほど、一方向ベアリングトルクは大きい。一方向ベアリングトルクは方向変換角の大きさに関係し、方向変換角が大きいほど、一方向ベアリングトルクは大きい。一方向ベアリングトルクが存在するため、従来の回転式方向変換伝動装置では出力軸の回転制御において、正転及び逆転に必要な回転制御トルクにはバランスがとれず、そのために出力軸の回転制御には、非常に大きいトルクを提供する装置、例えば油圧装置で出力軸の回転を制御し、又はバランス装置、例えばバックスプリング装置を付け加え、負のトルクを提供して一方向ベアリングトルクを解消する必要があるため、回転制御装置の構造は非常に複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は自在伝動装置の一種の構造として、一方向動力配分の自在伝動装置(equidirectional transfer universal transmission)を提供し、新規な回転式方向変換伝動装置であり、入力端から出力端への動力回転数の伝動において、出力軸の合成装置軸の周りの回転、正転及び逆転を制御する回転制御トルクにバランスがとれ、回転制御装置の構造はシンプルである。このような回転式方向変換伝動装置を自在伝動装置と称し、このような伝動を自在伝動と称する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一方向動力配分の自在伝動装置は、一方向動力配分装置、方向変換装置、合成装置各1つが接続して構成される。
【0006】
一方向動力配分装置は一方向動力配分装置の入力端、一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端をそれぞれ一つ備え、一方向動力配分装置はその入力端の1つの回転数を、その内出力端、外出力端における回転方向が同じの2つの回転数に変換させる。一方向動力配分装置には1つの遊星歯車機構が用いられ、遊星歯車の組数は1組ないし6組であり、遊星歯車機構の3つの部品の1つは一方向動力配分装置の入力端として、他の2つの部品はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端として設定され、設定の条件は一方向動力配分装置の入力端に動力回転数が入力されると、一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端から出力される2つの回転数の回転方向は同じであることである。言い換えれば次の通りである。一方向動力配分装置の遊星歯車機構で、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品を一方向動力配分装置の入力端として、他の2つの部品はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端として設定されるということである。一方向動力配分装置の遊星歯車機構には5種類の遊星歯車機構のうちのいずれかが用いられ、そのうち、単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構を用いる場合には、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は遊星キャリヤであり、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の入力端とされ、左側の中心歯車、右側の中心歯車はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされる。図5を参照すると、図5において単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の遊星キャリヤは一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、左側の中心歯車は一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、右側の中心歯車は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされる。太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構を用いる場合には、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は遊星キャリヤであり、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の入力端とされ、左側の中心歯車、右側の中心歯車はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされる。図6を参照すると、図6では太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の遊星キャリヤは一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、左側の中心歯車(4)は一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、右側の中心歯車(5)は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされ、図6で(6)は内遊星歯車であり、(7)は左側外遊星歯車であり、(8)は右側外遊星歯車である。二層遊星の円筒歯車遊星歯車機構を用いる場合には、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品はピッチ円直径が大きい方の中心歯車(内歯車)であり、ピッチ円直径が大きい方の中心歯車(内歯車)は一方向動力配分装置の入力端とされ、遊星キャリヤ、ピッチ円直径が小さい方の中心歯車(太陽歯車)はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされる。図7を参照すると、図7では二層遊星の円筒歯車遊星歯車機構の内歯車は一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、太陽歯車は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされる。太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構を用いる場合には、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は2つの中心歯車のピッチ円直径が大きい方であり、ピッチ円直径が大きい方の中心歯車(太陽歯車)は一方向動力配分装置の入力端とされ、遊星キャリヤ、他方の中心歯車(太陽歯車)はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされる。図8を参照すると、図8では太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構のピッチ円直径が大きい方の太陽歯車は一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、他方の太陽歯車は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされる。内歯車を2つ備える遊星歯車機構を用いる場合、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は2つの中心歯車のピッチ円直径が小さい方であり、ピッチ円直径が小さい方の中心歯車(内歯車)は一方向動力配分装置の入力端とされ、遊星キャリヤ、他方の中心歯車(内歯車)はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端とされる。図9を参照すると、図9では内歯車を2つ備える遊星歯車機構のピッチ円直径が小さい方の内歯車は一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、他方の内歯車は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされる。
【0007】
方向変換装置はたわみ軸(quill shaft)方向変換装置、非たわみ軸方向変換装置を含む。方向変換装置は二式の伝動構造を含み、一方は第1入力端、第1出力端を備え、他方は第2入力端、第2出力端を備える。方向変換装置によりその第1入力端、第2入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1出力端、第2出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、またその第1出力端、第2出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1入力端、第2入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換される。ただし、たわみ軸方向変換装置はたわみ軸の内軸及び外軸を含み、内軸は内入力端、内出力端を備え、外軸は外入力端、外出力端を備える。たわみ軸方向変換装置によりその内入力端、外入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその内出力端、外出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、またその内出力端、外出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその内入力端、外入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換される。たわみ軸方向変換装置には4つのタイプがある。タイプ1はかさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置であり、外軸には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる(図10参照)。図10ではたわみ軸の内軸に内入力端(1)、内出力端(2)が設けられ、両者は直接的に接続され、たわみ軸の外軸には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の左側の中心歯車は方向変換装置の外入力端(2)とされ、右側の中心歯車は方向変換装置の外出力端(4)とされ、かさ歯車遊星歯車(5)が左側の中心歯車に噛合し且つ右側の中心歯車に噛合して、遊星キャリヤは固定され、当該遊星歯車機構のかさ歯車遊星歯車(5)の組数は1組ないし6組とすることができる。方向変換装置の外入力端(2)と、方向変換装置の外出力端(4)は、回転方向が逆になる。タイプ2は太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置であり、外軸には太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構が用いられる(図11参照)。図11ではたわみ軸の内軸に内入力端(1)、内出力端(3)が設けられ、両者は直接的に接続され、たわみ軸の外軸には太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の左側の中心歯車は方向変換装置の外入力端(2)とされ、右側の中心歯車は方向変換装置の外出力端(4)とされて、遊星キャリヤは固定され、当該遊星歯車機構で内遊星歯車(5)、左側外遊星歯車(6)、右側外遊星歯車(7)の組数は、1組ないし6組とすることができる。方向変換装置の外入力端(1)と、方向変換装置の外出力端(3)は回転方向が逆になる。タイプ3は保持式二二式方向変換装置であり、内軸、外軸にはそれぞれ1つのかさ歯車対を使用して伝動させる(図12参照)。図12では保持式二二式方向変換装置の内入力端、外入力端により入力たわみ軸が形成され、内出力端、外出力端により出力たわみ軸が形成され、入力たわみ軸の軸受及び出力たわみ軸の軸受はそれぞれ固定され、入力たわみ軸と出力たわみ軸によって90°の夾角が形成される。内入力端(1)に内主動かさ歯車が設けられ、外入力端(2)に外主動かさ歯車が設けられ、内出力端(3)に内受動かさ歯車(5)が設けられ、外出力端(4)に外受動かさ歯車(6)が設けられて、内主動かさ歯車は内受動かさ歯車(5)に噛合し、外主動かさ歯車は外受動かさ歯車(6)に噛合し、内主動かさ歯車のモジュールは必ずしも外主動かさ歯車のモジュールに等しいとは限らない。内入力端、外入力端に回転方向が同じである2つの回転数が入力されると、内出力端、外出力端には回転方向が逆になる2つの回転数が出力される。タイプ4は変換式二式方向変換装置であり、内軸、外軸にはそれぞれ1つのかさ歯車対を使用して伝動させ(図13参照)、図13では変換式二式方向変換装置の内入力端、外入力端に入力たわみ軸が形成され、内出力端、外出力端に出力たわみ軸が形成され、入力たわみ軸と出力たわみ軸によって90°の夾角が形成される。内入力端(1)に内主動かさ歯車が設けられ、外入力端(2)に外主動かさ歯車が設けられ、内出力端(3)に内受動かさ歯車(5)が設けられ、外出力端(4)に外受動かさ歯車(6)が設けられて、内主動かさ歯車は外受動かさ歯車(6)に噛合し、外主動かさ歯車は内受動かさ歯車(5)に噛合し、内主動かさ歯車のモジュールは必ずしも外主動かさ歯車のモジュールに等しいとは限らない。内入力端、外入力端に回転方向が同じである2つの回転数が入力されると、外出力端、内出力端には回転方向が逆になる2つの回転数が出力される。本発明では、かさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置と太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置の内軸の伝動比は1.0に設定され、外軸の伝動比は-1.0に設定され、設定方法は当該分野周知の内容である。例えば、かさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置で左側の中心歯車の歯数は右側の中心歯車の歯数に等しく、さらにかさ歯車遊星歯車の歯数に等しい(左側の中心歯車の歯数=右側の中心歯車の歯数=かさ歯車遊星歯車の歯数)。保持式二式方向変換装置では内入力端から内出力端への伝動比は-1.0に設定され、外入力端から外出力端への伝動比は1.0に設定され、設定方法は、例えば、内主動かさ歯車の歯数は内受動かさ歯車の歯数に等しく(内主動かさ歯車の歯数=内受動かさ歯車の歯数)、且つ、外主動かさ歯車の歯数は外受動かさ歯車の歯数に等しいことである(外主動かさ歯車の歯数=外受動かさ歯車の歯数)。変換式二式方向変換装置では内入力端から外出力端への伝動比は-1.0に設定され、外入力端から内出力端への伝動比は1.0に設定される。ただし、非たわみ軸方向変換装置は左伝動及び右伝動を含み、左伝動には左入力端、左出力端を備え、右伝動には右入力端、右出力端を備える。非たわみ軸方向変換装置によりその左入力端、右入力端における回転方向が同じである2つの回転数は、その左出力端、右出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、またその左出力端、右出力端における回転方向が同じである2つの回転数は、その左入力端、右入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換される。例えば、図16を参照すると、左入力かさ歯車(6)は方向変換装置の左入力端であり、右入力かさ歯車(7)は方向変換装置の右入力端であり、左伝動では左方向変換かさ歯車(8)、左伝動かさ歯車(10)により方向変換装置の左出力端、即ち左出力かさ歯車(12)に伝達され、右伝動では右方向変換かさ歯車(9)、右伝動かさ歯車(11)により方向変換装置の右出力端、即ち右出力かさ歯車(13)に伝達される。非たわみ軸方向変換装置では左伝動の伝動比は右伝動の伝動比の負の値に等しいように設定される。
【0008】
合成装置はその内入力端、外入力端における回転方向が逆になる2つの回転数を合成して、その遊星歯車の回転数に変換する伝動装置であり、その内入力端、外入力端における回転方向が同じである2つの回転数をその遊星キャリヤの回転数に変換する。合成装置では単層遊星の遊星歯車機構が1つ用いられ、遊星歯車の組数は1組ないし6組であり、その遊星歯車機構の軸は合成装置の軸(本明細書では合成装置軸という)であり、左側の中心歯車は合成装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端とされ、遊星キャリヤは回転制御端とされ、1ないし6個の遊星歯車は出力端とされ、出力軸はこれらの遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって方向変換角が形成される。合成装置の出力端は一方向動力配分の自在伝動装置の出力端でもある。合成装置には2種類の単層遊星の遊星歯車機構のいずれかが用いられ、第1種では単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ(図14参照)、図14では左側の中心歯車は合成装置の外入力端(2)とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端(1)とされ、遊星キャリヤは回転制御端(3)とされ、1ないし6個のかさ歯車遊星歯車は出力端(4)とされ、出力軸はこれらのかさ歯車遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって90°の方向変換角が形成される。第2種では太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構が用いられ(図15参照)、図15では左側の中心歯車は合成装置の外入力端(2)とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端(1)とされ、遊星キャリヤは回転制御端とされ、1ないし6個の遊星歯車は出力端(5)とされ、出力軸はこれらの遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸は平行であり、方向変換角は0°である。図15では出力端とするのは右側外遊星歯車である。回転制御端は、例えば、回転制御端の遊星キャリヤにウォームホイール(3)が設けられ、ウォームホイールに噛合するウォーム(4)が設けられるように外部に接続される。ウォームギヤ装置により、回転制御端に回転の回転数を入力して遊星キャリヤに合成装置軸の周りを回転させ、出力軸も合成装置軸の周りを回転させることができる。
【0009】
本発明の接続方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の内出力端を方向変換装置の内入力端に直接的に接続させ、一方向動力配分装置の外出力端を方向変換装置の外入力端に直接的に接続させ、方向変換装置の内出力端を合成装置の内入力端に直接的に接続させ、方向変換装置の外出力端を合成装置の外入力端に直接的に接続させる。一方向動力配分装置の入力端に動力源を接続させて動力回転数を入力し、合成装置の出力端に動力使用装置を接続させ、回転制御端に回転制御装置を接続させる。回転制御端に異なる回転の回転数を入力して当該部品の正転、逆転を制御することにより、出力軸は合成装置軸の周りを回転することができる。方向変換装置に非たわみ軸方向変換装置を用いる場合には、方向変換装置の左入力端は前記方向変換装置の内入力端に相当し、方向変換装置の右入力端は前記方向変換装置の外入力端に相当し、方向変換装置の左出力端は前記方向変換装置の内出力端に相当し、方向変換装置の右出力端は前記方向変換装置の外出力端に相当する。
【0010】
本発明の一方向動力配分装置、合成装置の各部品の設定方法は次のとおりである。一方向動力配分装置に単層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを0.8ないし1.25とし、一方向動力配分装置に二層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを1.6ないし2.5とする。合成装置の遊星歯車機構の特性パラメータを0.8ないし1.25とする。このようにして、合成装置軸の周りの出力軸の正転及び逆転の回転制御トルクにはほぼバランスがとれ、入力された動力回転数はほぼ全てが合成装置の出力端の動力回転数に変換され、出力軸が合成装置軸の周りを回転するように促す回転制御回転数に近く、互いに干渉しない。最も好ましい設定は、一方向動力配分装置に単層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを1.0とし、一方向動力配分装置に二層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを2.0とし、合成装置の遊星歯車機構の特性パラメータを1.0とすることである。このようにして、合成装置軸の周りの出力軸の正転及び逆転に回転制御トルクはバランスがとれ、入力された動力回転数は全てが出力端の動力回転数に変換され、回転制御端に入力された合成装置軸の周りの出力軸の回転を促す回転制御回転数と互いに干渉せず、出力軸に一方向ベアリングトルクがないため、一方向ベアリングトルクを克服するために構造が複雑な回転制御装置を用いる必要はなく、回転制御装置の構造はシンプルである。前記設定方法では数値で遊星歯車機構の特性パラメータを示しているが、遊星歯車機構の特性パラメータは実質的には一方向動力配分の自在伝動装置の各部品の歯数及び構造の設定に関する説明である。例えば、一方向動力配分装置に単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構を用いる場合には、「その特性パラメータを1.0とする」ことは、その左側の中心歯車の歯数は右側の中心歯車の歯数に等しいように設定することである。当業者は以下のように理解すべきである。各遊星歯車機構の特性パラメータの設定は、各遊星歯車機構の歯数及び構造の設定に対応し、結果的には一方向動力配分の自在伝動装置の構造設定に対応する。
【0011】
本発明において前記接続は直接的な接続及び間接的な接続に分けられ、直接的な接続の場合は接続に関わる各部品の回転数は同じであり、間接的な接続の場合は接続に関わる各部品の回転数には確定した比例関係がある。本発明で接続とは、直接的な接続又は間接的な接続を用いることである。内出力端、外出力端とは、当該2つの部品がたわみ軸を形成し、内出力端はたわみ軸の内軸とされ、外出力端はたわみ軸の外軸とされることである。内入力端、外入力端とは当該2つの部品がたわみ軸を形成し、内入力端はたわみ軸の内軸とされ、外入力端はたわみ軸の外軸とされることである。例外がある場合は、別途説明を行う。前記動力源とは、燃油モータ、電気モータ等モータ、又はモータに続く変速機又は減速機の伝動装置等である。動力源は一方向動力配分装置の入力端に接続されれば、一方向動力配分装置の入力端に動力回転数を入力することができる。回転制御装置とは、電動制御装置、油圧制御装置等である。回転制御装置は回転制御端に接続され、回転制御端に回転の回転数を入力することができる。動力使用装置は合成装置の出力端に接続された後方の装置であり、例えば、ローター、デュアルローター、プロペラ、デュアルプロペラ、風力タービン、駆動輪、駆動軸等である。
【0012】
本発明は飛行機用ティルトローター、ヘリコプター用可変方向ローターローター、船舶用可変方向プロペラ等の自在伝動に用いることができる。ロボットにおいて、可動ジョイントを跨ぐ自在伝動に用いる。風力タービンにおいて、タービン軸の向きを調整するために用いる。自動車において、ステアリング駆動輪における伝動に用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一方向動力配分の自在伝動装置は次の利点を有する。本発明は一方向動力配分装置、方向変換装置、合成装置が接続して構成されたもので、各部品の設定方法を提供した。動力回転数の伝動において、回転制御端に回転の回転数を入力することにより、出力軸の合成装置軸の周りの回転、正転及び逆転を制御する回転制御トルクにバランスをとり、回転制御装置の構造をシンプルにするという目的が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の一つの例の模式図であり、実施例1の模式図でもあり、全体の半分の模式図である。1は一方向動力配分装置の入力端であり、2は一方向動力配分装置の内出力端であり、3は一方向動力配分装置の外出力端であり、4は方向変換装置であり、5は合成装置の外入力端であり、6は合成装置の内入力端であり、7は回転制御端であり、8は合成装置の出力端である。図中、一方向動力配分装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、方向変換装置にはかさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる。
図2図2は本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の第1具体例の模式図であり、実施例1の具体例の模式図でもあり、全体の半分の模式図である。1は一方向動力配分装置の入力端であり、2は一方向動力配分装置の内出力端であり、3は一方向動力配分装置の外出力端であり、4は方向変換装置であり、5は合成装置の外入力端であり、6は合成装置の内入力端であり、7は回転制御端であり、8は合成装置の出力端である。図中、一方向動力配分装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、方向変換装置にはかさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる。図中、3つの単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータはいずれも1.0である。
図3図3は本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の二つ目の例の模式図であり、実施例2の模式図でもある。1は一方向動力配分装置の入力端であり、2は一方向動力配分装置の内出力端であり、3は一方向動力配分装置の外出力端であり、4は方向変換装置であり、5は合成装置の外入力端であり、6は合成装置の内入力端であり、7は回転制御端であり、8は合成装置の出力端である。図中、一方向動力配分装置には太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、方向変換装置には保持式二式方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる。図中、一方向動力配分装置は全体の半分の模式図であり、方向変換装置の内受動かさ歯車、外受動かさ歯車以後は全体の模式図である。
図4図4は本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の三つ目の模式図であり、実施例3の模式図でもある。1は一方向動力配分装置の入力端であり、2は一方向動力配分装置の内出力端であり、3は一方向動力配分装置の外出力端であり、4は方向変換装置であり、5は合成装置の外入力端であり、6は合成装置の内入力端であり、7は回転制御端であり、8は同軸逆転の2つの出力端である。図中、一方向動力配分装置には内歯車を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、方向変換装置には太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる。図中、一方向動力配分装置は全体の半分の模式図であり、方向変換装置、合成装置は全体の模式図である。
図5図5は単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構を用いる一方向動力配分装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は入力端であり、2は内出力端であり、3は外出力端である。
図6図6は太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構を用いる一方向動力配分装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は入力端であり、2は内出力端であり、3は外出力端であり、4は左側の中心歯車であり、5は右側の中心歯車であり、6は内遊星歯車であり、7は左側外遊星歯車であり、8は右側外遊星歯車である。
図7図7は二層遊星の円筒歯車遊星歯車機構を用いる一方向動力配分装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は入力端であり、2は内出力端であり、3は外出力端である。
図8図8は太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構を用いる一方向動力配分装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は入力端であり、2は内出力端であり、3は外出力端である。
図9図9は内歯車を2つ備える遊星歯車機構を用いる一方向動力配分装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は入力端であり、2は内出力端であり、3は外出力端である。
図10図10はかさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は内入力端であり、2は外入力端であり、3は内出力端であり、4は外出力端であり、5はかさ歯車遊星歯車である。
図11図11は太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は内入力端であり、2は外入力端であり、3は内出力端であり、4は外出力端であり、5は内遊星歯車であり、6は左側外遊星歯車であり、7は右側外遊星歯車である。
図12図12は保持式二式方向変換装置の模式図であり、全体の模式図である。1は内入力端であり、2は外入力端であり、3は内出力端であり、4は外出力端であり、5は内受動かさ歯車であり、6は外受動かさ歯車である。
図13図13は変換式二式方向変換装置の模式図であり、全体の模式図である。1は内入力端であり、2は外入力端であり、3は内出力端であり、4は外出力端であり、5は内受動かさ歯車であり、6は外受動かさ歯車である。
図14図14は単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構を用いる合成装置の模式図であり、全体の半分の模式図である。1は合成装置の内入力端であり、2は合成装置の外入力端であり、3は回転制御端であり、4は出力端である。
図15図15は太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構を用いる合成装置の模式図である。1は合成装置の内入力端であり、2は合成装置の外入力端であり、3は回転制御端に設けられたウォームホイールであり、4はウォームであり、5は出力端である。図中、ウォームは全体の模式図であるであり、他は全体の半分の模式図である。
図16図16は本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の第4例の模式図であり、実施例4の模式図でもあり、全体の模式図である。1は主動かさ歯車であり、2は従動かさ歯車であり、3はかさ歯車遊星歯車であり、4は一方向動力配分装置の内出力端であり、5は一方向動力配分装置の外出力端であり、6は左入力かさ歯車であり、7は右入力かさ歯車であり、8は左方向変換かさ歯車であり、9は右方向変換かさ歯車であり、10は左伝動かさ歯車であり、11は右伝動かさ歯車であり、12は左出力かさ歯車であり、13は右出力かさ歯車であり、14は合成装置の内入力端であり、15は合成装置の外入力端であり、16は合成装置のかさ歯車遊星歯車であり、17は回転制御端であり、18は合成装置の出力端である。図中、一方向動力配分装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、方向変換装置には非たわみ軸方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる。図中、2つの単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータはいずれも1.0である。
【0015】
各図中、各遊星歯車機構は本分野の共通認識に基づいて全体の半分の模式図として示され、各部品については構造上の関係を示しているが、実際の寸法を表すものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の一つの例であり、一方向動力配分装置、方向変換装置及び合成装置が接続して構成され、一方向動力配分装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、かさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる(図1参照)。
【0017】
一方向動力配分装置は一方向動力配分装置の入力端、一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端を各1つ備え、一方向動力配分装置によりその入力端の1つの回転数はその内出力端、外出力端における回転方向が同じの2つの回転数に変換される。一方向動力配分装置の遊星歯車機構で、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は一方向動力配分装置の入力端として、他の2つの部品はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端として設定される。本実施例では、一方向動力配分装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は遊星キャリヤであり、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、左側の中心歯車は一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、右側の中心歯車は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされる。遊星歯車機構でかさ歯車遊星歯車の組数は2組である。
【0018】
方向変換装置は二式の伝動構造を含み、一方は第1入力端、第1出力端を備え、他方は第2入力端、第2出力端を備える。方向変換装置によりその第1入力端、第2入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1出力端、第2出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、またその第1出力端、第2出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1入力端、第2入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換される。本実施例では、かさ歯車遊星歯車機構の方向変換装置(4)が用いられ、たわみ軸の内軸に内入力端、内出力端が設けられ、たわみ軸の外軸における単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の左側の中心歯車は方向変換装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は方向変換装置の外出力端とされ、かさ歯車遊星歯車が左側の中心歯車に噛合し且つ右側の中心歯車に噛合して、遊星キャリヤは固定され、当該遊星歯車機構のかさ歯車遊星歯車の組数は2組である。方向変換装置の外入力端と、方向変換装置の外出力端は回転方向が逆になる。左側の中心歯車の歯数は右側の中心歯車の歯数に等しく、さらにかさ歯車遊星歯車の歯数に等しく、18である。
【0019】
合成装置はその内入力端、外入力端における回転方向が逆になる2つの回転数を合成してその遊星歯車の回転数に変換する伝動装置であり、その内入力端、外入力端における回転方向が同じである2つの回転数をその遊星キャリヤの回転数に変換する。単層遊星の遊星歯車機構は1つ用いられ、遊星歯車機構の軸は合成装置軸であり、左側の中心歯車は合成装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端とされ、遊星キャリヤは回転制御端とされ、1ないし6個の遊星歯車は出力端とされ、出力軸はこれらの遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって方向変換角が形成される。出力端は一方向動力配分の自在伝動装置の出力端でもある。本実施例では、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、左側の中心歯車は合成装置の外入力端(5)とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端(6)とされ、遊星キャリヤは回転制御端(7)とされ、1つのかさ歯車遊星歯車は出力端(8)とされ、出力軸は該かさ歯車遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって一定の方向変換角が形成される。遊星歯車機構でかさ歯車遊星歯車の組数は2組である。
【0020】
本実施例の一方向動力配分装置、合成装置の各部品の設定方法は次のとおりである。一方向動力配分装置に単層遊星の遊星歯車機構を用いる場合には、その特性パラメータを0.8ないし1.25とし、合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータを0.8ないし1.25とする。このようにして、合成装置軸の周りの出力軸の正転及び逆転の回転制御トルクにはほぼバランスがとれ、入力された動力回転数はほぼ全てが合成装置の出力端の回転数に変換され、出力軸が合成装置軸の周りを回転するように促す回転制御回転数に近く、互いに干渉しない。最も好ましい設定の具体例は図2を参照し、各部品の設定方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の単層遊星の遊星歯車機構はその特性パラメータを1.0とし、合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータを1.0とする。このようにして、合成装置軸の周りの出力軸の正転及び逆転に回転制御トルクはバランスがとれ、入力された動力回転数は全てが合成装置の出力端の動力回転数に変換され、回転制御端に入力された合成装置軸の周りの出力軸の回転を促す回転制御回転数と互いに干渉せず、出力軸に一方向ベアリングトルクがないため、一方向ベアリングトルクを克服するために構造が複雑な回転制御装置を用いる必要はなく、回転制御装置の構造はシンプルである。具体例として各部品の歯数設定は具体的に次のとおりである。一方向動力配分装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側の中心歯車の歯数は左側の中心歯車数に等しく、さらにかさ歯車遊星歯車の歯数に等しく、18である。合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側の中心歯車の歯数は右側の中心歯車の歯数に等しく、かさ歯車遊星歯車の歯数に等しく、18であり、出力軸と合成装置軸によって90°の方向変換角が形成される。
【0021】
本実施例の接続方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の内出力端(2)を方向変換装置の内入力端に直接的に接続させ、一方向動力配分装置の外出力端(3)を方向変換装置の外入力端に直接的に接続させ、方向変換装置の内出力端を合成装置の内入力端(6)に直接的に接続させ、方向変換装置の外出力端を合成装置の外入力端(5)に直接的に接続させる。一方向動力配分装置の入力端(1)に動力源を接続させ、回転制御端(7)に回転制御装置を接続させ、合成装置の出力端(8)に動力使用装置を接続させる。
【0022】
(実施例2)
本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の二つ目の例であり、一方向動力配分装置、方向変換装置及び合成装置が接続して構成され、一方向動力配分装置には太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、保持式二式方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる(図3参照)。
【0023】
一方向動力配分装置は一方向動力配分装置の入力端、一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端を各1つ備え、一方向動力配分装置によりその入力端の1つの回転数はその内出力端、外出力端における回転方向が同じである2つの回転数に変換される。一方向動力配分装置の遊星歯車機構で、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は一方向動力配分装置の入力端として、他の2つの部品はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端として設定される。本実施例2では、一方向動力配分装置には太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は2つの中心歯車のピッチ円直径が大きい方であり、ピッチ円直径が大きい方の中心歯車は一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、他方の中心歯車は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされる。遊星歯車機構で遊星歯車の組数は2組であり、左側の中心歯車のモジュールは右側の中心歯車のモジュールと異なる。
【0024】
方向変換装置は二式の伝動構造を含み、一方は第1入力端、第1出力端を備え、他方は第2入力端、第2出力端を備える。方向変換装置によりその第1入力端、第2入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1出力端、第2出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、またその第1出力端、第2出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1入力端、第2入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換される。本実施例では、保持式二式方向変換装置(4)が用いられ、保持式二式方向変換装置の内入力端、外入力端に入力たわみ軸が形成され、内出力端、外出力端に出力たわみ軸が形成され、入力たわみ軸と出力たわみ軸によって90°の夾角が形成される。内入力端に内主動かさ歯車が設けられ、外入力端に外主動かさ歯車が設けられ、内出力端に内受動かさ歯車が設けられ、外出力端に外受動かさ歯車が設けられて、内主動かさ歯車は内受動かさ歯車に噛合し、外主動かさ歯車は外受動かさ歯車に噛合する。このようにして、内入力端、外入力端に回転方向が同じである2つの回転数が入力されると、内出力端、外出力端には回転方向が逆になる2つの回転数が出力される。保持式二式方向変換装置の主動の内かさ歯車の歯数、受動の内かさ歯車の歯数、主動の外かさ歯車の歯数、受動の外かさ歯車の歯数はいずれも18に設定され、内入力端から内出力端への伝動比は1.0であり、外入力端から外出力端への伝動比は-1.0である。内主動かさ歯車のモジュールは外主動かさ歯車のモジュールと異なる。
【0025】
合成装置はその内入力端、外入力端における回転方向が逆になる2つの回転数を合成してその遊星歯車の回転数に変換する伝動装置であり、その内入力端、外入力端における回転方向が同じである2つの回転数をその遊星キャリヤの回転数に変換する。単層遊星の遊星歯車機構は1つ用いられ、遊星歯車機構の軸は合成装置軸であり、左側の中心歯車は合成装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端とされ、遊星キャリヤは回転制御端とされ、1ないし6個の遊星歯車は出力端とされ、出力軸はこれらの遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって方向変換角が形成される。出力端は一方向動力配分の自在伝動装置の出力端でもある。本実施例では、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、左側の中心歯車は合成装置の外入力端(5)とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端(6)とされ、遊星キャリヤは回転制御端(7)とされ、1つのかさ歯車遊星歯車は出力端(8)とされ、出力軸は当該かさ歯車遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって90°の方向変換角が形成される。遊星歯車機構でかさ歯車遊星歯車の組数は2組である。
【0026】
本実施例2の一方向動力配分装置、合成装置の各部品の設定方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構はその特性パラメータを2.0とし、合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータを1.0とする。具体的に各部品の歯数設定は次のとおりである。一方向動力配分装置の太陽歯車を2つ備える遊星歯車機構における左側の太陽歯車の歯数を36とし、左側遊星歯車の歯数を18とし、右側遊星歯車の歯数を18とし、右側の太陽歯車の歯数を18とし、左側の太陽歯車モジュールは右側の太陽歯車モジュールと異なり、合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側の中心歯車の歯数は右側の中心歯車の歯数に等しく、かさ歯車遊星歯車の歯数に等しく、18である。
【0027】
本実施例の接続方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の内出力端(2)を方向変換装置の内入力端に直接的に接続させ、一方向動力配分装置の外出力端(3)を方向変換装置の外入力端に直接的に接続させ、方向変換装置の内出力端を合成装置の内入力端(6)に直接的に接続させ、方向変換装置の外出力端を合成装置の外入力端(5)に直接的に接続させる。一方向動力配分装置の入力端(1)に動力源を接続させ、回転制御端(7)に回転制御装置を接続させ、合成装置の出力端(8)に動力使用装置を接続させる。
【0028】
本実施例2では、動力源から入力された動力回転数は合成装置の出力端の動力回転数に変換され、動力回転数の入力、出力は回転制御装置から入力された回転の回転数と互いに干渉せず、本実施例では、回転の回転数を入力することにより出力軸が合成装置軸の周りを回転するように制御し、出力軸の回転に正転及び逆転のトルクはバランスがとれるように制御し、出力軸に一方向ベアリングトルクがないため、回転制御装置は一方向ベアリングトルクを克服する必要はなく、回転制御装置の構造はシンプルである。
【0029】
(実施例3)
本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の三つ目の例であり、一方向動力配分装置、方向変換装置及び合成装置が接続して構成され、一方向動力配分装置には内歯車を2つ備える遊星歯車機構が設けられ、太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置が設けられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる(図4参照)。
【0030】
一方向動力配分装置は一方向動力配分装置の入力端、一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端を各1つ備え、一方向動力配分装置によりその入力端の1つの回転数はその内出力端、外出力端における回転方向が同じの2つの回転数に変換される。一方向動力配分装置の遊星歯車機構で、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は一方向動力配分装置の入力端として、他の2つの部品はそれぞれ一方向動力配分装置の内出力端、一方向動力配分装置の外出力端として設定される。本実施例3では、一方向動力配分装置には内歯車を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は2つの中心歯車のピッチ円直径が小さい方であり、ピッチ円直径が小さい方の中心歯車(内歯車)は一方向動力配分装置の入力端(1)とされ、遊星キャリヤは一方向動力配分装置の内出力端(2)とされ、他方の中心歯車(内歯車)は一方向動力配分装置の外出力端(3)とされる。遊星歯車機構で遊星歯車の組数は2組である。左側の中心歯車のモジュールは右側の中心歯車のモジュールと異なる。
【0031】
方向変換装置は二式の伝動構造を含み、一方は第1入力端、第1出力端を備え、他方は第2入力端、第2出力端を備える。方向変換装置によりその第1入力端、第2入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1出力端、第2出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、またその第1出力端、第2出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその第1入力端、第2入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換される。本実施例3では、太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置(4)が用いられ、外軸には太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構が用いられ、たわみ軸の内軸に内入力端、内出力端が設けられ、両者は直接的に接続され、たわみ軸の外軸における太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の左側の中心歯車は方向変換装置の外入力端とされ、右側の中心歯車は方向変換装置の外出力端とされて、遊星キャリヤは固定され、当該遊星歯車機構では内遊星歯車、左側外遊星歯車、右側外遊星歯車の組数は1組である。方向変換装置の外入力端と、方向変換装置の外出力端は回転方向が逆になる。図3に示すように、方向変換装置の外入力端は合成装置の左側に位置し、方向変換装置の外出力端は合成装置の右側に位置する。当該方向変換装置の左側の中心歯車の歯数、内遊星歯車の歯数、左側外遊星歯車の歯数、右側の中心歯車の歯数、右側外遊星歯車の歯数はいずれも18に設定され、内入力端から内出力端への伝動比は1.0であり、外入力端から外出力端への伝動比は-1.0である。左側の中心歯車のモジュールは右側の中心歯車のモジュールと異なる。
【0032】
合成装置はその内入力端、外入力端における回転方向が逆になる2つの回転数を合成してその遊星歯車の回転数に変換する伝動装置であり、その内入力端、外入力端における回転方向が同じである2つの回転数をその遊星キャリヤの回転数に変換する。単層遊星の遊星歯車機構は1つ用いられ、遊星歯車機構の軸は合成装置軸であり、遊星キャリヤは回転制御端とされ、1ないし6個の遊星歯車は出力端とされ、出力軸はこれらの遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって方向変換角が形成され、出力端は一方向動力配分の自在伝動装置の出力端でもある。本実施例3では、通常の合成装置と異なり、右側の中心歯車は合成装置の外入力端とされ、左側の中心歯車は合成装置の内入力端とされる。本実施例では、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、左側の中心歯車は合成装置の内入力端(6)とされ、右側の中心歯車は合成装置の外入力端(5)とされ、遊星キャリヤは回転制御端(7)とされ、遊星キャリヤの回転制御端(7)にウォームホイール(9)が設けられ、ウォームホイール(9)に噛合するウォーム(10)が設けられ、ウォームギヤ装置により回転制御端(7)に回転の回転数が入力され、2つのかさ歯車遊星歯車は同軸逆転の2つの出力端(8)とされ、出力軸は当該2つのかさ歯車遊星歯車軸により形成された同軸逆転のたわみ軸の出力軸である。出力軸と合成装置軸によって90°の方向変換角が形成される。遊星歯車機構におけるかさ歯車遊星歯車の組数は2組である。
【0033】
本実施例3の一方向動力配分装置、合成装置の各部品の設定方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の内歯車を2つ備える遊星歯車機構はその特性パラメータを2.0とし、合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータを1.0とする。具体的に各部品の歯数設定は次のとおりである。一方向動力配分装置の内歯車を2つ備える遊星歯車機構の左側の内歯車の歯数を84とし、左側遊星歯車の歯数を18とし、右側遊星歯車の歯数を18とし、右側の内歯車の歯数を42とする。合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側のかさ歯車の中心歯車の歯数は右側のかさ歯車の中心歯車の歯数に等しく、さらにかさ歯車遊星歯車の歯数に等しく、18である。
【0034】
本実施例3の接続方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の内出力端(2)を方向変換装置の内入力端に直接的に接続させ、一方向動力配分装置の外出力端(3)を方向変換装置の外入力端に直接的に接続させ、合成装置の左側から方向変換装置の内出力端を合成装置の内入力端(6)に直接的に接続させ、合成装置の右側から方向変換装置の外出力端を合成装置の外入力端(5)に直接的に接続させる。一方向動力配分装置の入力端(1)に動力源を接続させ、ウォームギヤ装置を介して回転制御端(7)を回転制御装置に間接的に接続させ、同軸逆転の2つの出力端(8)に動力使用装置として同軸逆転のデュアルローターを接続させる。
【0035】
本実施例3では、動力源から入力された動力回転数は同軸逆転の2つの出力端(8)の動力回転数に変換され、動力回転数の入力、出力は回転の回転数と互いに干渉せず、本実施例3では、回転の回転数を入力することにより出力軸が合成装置軸の周りを回転するように制御し、出力軸の回転に正転及び逆転のトルクはバランスがとれるように制御し、出力軸に一方向ベアリングトルクがないため、回転制御装置は一方向ベアリングトルクを克服する必要はなく、回転制御装置の構造はシンプルである。本実施例では、太陽歯車を2つ、遊星歯車軸を2つ備える遊星歯車機構の方向変換装置に止められるため、同軸逆転のたわみ軸の出力軸が合成装置軸の周りを回転する角度は360°未満であるが、本実施例で同軸逆転の2つの出力端は構造がシンプルでコンパクトであるため、実用上高い価値がある。
【0036】
(実施例4)
本発明の一方向動力配分の自在伝動装置の四つ目の例であり、一方向動力配分装置、方向変換装置及び合成装置が接続して構成され、一方向動力配分装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、非たわみ軸方向変換装置が用いられ、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられる(図16参照)。
【0037】
本実施例4では、一方向動力配分装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、その運動特性方程式で係数の絶対値が最大の項に対応する部品は遊星キャリヤであり、遊星キャリヤを一方向動力配分装置の入力端とされ、遊星キャリヤに従動かさ歯車(2)が設けられ、従動かさ歯車(2)に噛合する主動かさ歯車(1)が設けられ、主動かさ歯車(1)、従動かさ歯車(2)により、遊星キャリヤに入力された動力回転数に間接的に接続される。右側の中心歯車は一方向動力配分装置の内出力端(4)とされ、左側の中心歯車は一方向動力配分装置の外出力端(5)とされる。遊星歯車機構でかさ歯車遊星歯車の組数は2組である。
【0038】
本実施例4では、非たわみ軸方向変換装置が用いられ、非たわみ軸方向変換装置は左伝動及び右伝動を含み、左伝動には左入力端、左出力端を備え、右伝動には右入力端、右出力端を備える。非たわみ軸方向変換装置によりその左入力端、右入力端における回転方向が同じである2つの回転数はその左出力端、右出力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換され、またその左出力端、右出力端における回転方向が同じである2つの回転数はその左入力端、右入力端における回転方向が逆になる2つの回転数に変換される。本実施例4で非たわみ軸方向変換装置は、左伝動、右伝動には各2つのかさ歯車対を用いて伝動させる。左伝動は左入力かさ歯車(6)、左方向変換かさ歯車(8)、左伝動かさ歯車(10)、左出力かさ歯車(12)からなり、右伝動は右入力かさ歯車(7)、右方向変換かさ歯車(9)、右伝動かさ歯車(11)、右出力かさ歯車(13)からなり、左入力かさ歯車(6)は左入力端とされ、右入力かさ歯車(7)は右入力端とされ、左出力かさ歯車(12)は左出力端とされ、右出力かさ歯車(13)は右出力端とされる。左入力かさ歯車(6)は左方向変換かさ歯車(8)に噛合し、左方向変換かさ歯車(8)は左伝動かさ歯車(10)に直接的に接続され、左伝動かさ歯車(10)は左出力かさ歯車(12)に噛合し、右入力かさ歯車(7)は右方向変換かさ歯車(9)に噛合し、右方向変換かさ歯車(9)は右伝動かさ歯車(11)に直接的に接続され、右伝動かさ歯車(11)は右出力かさ歯車(13)に噛合する。左伝動の伝動比を1.0、右伝動の伝動比を-1.0に設定し、即ち(6)、(8)、(10)、(12)、(7)、(9)、(11)、(13)の8つのかさ歯車の歯数はいずれも18に設定する。
【0039】
本実施例4では、合成装置には単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構が用いられ、左側の中心歯車は合成装置の外入力端(15)とされ、右側の中心歯車は合成装置の内入力端(14)とされ、遊星キャリヤは回転制御端(17)とされ、1つのかさ歯車遊星歯車(16)は出力端(18)とされ、出力軸は当該かさ歯車遊星歯車の軸であり、出力軸と合成装置軸によって90°の方向変換角が形成される。遊星歯車機構でかさ歯車遊星歯車の組数は2組である。
【0040】
本実施例4では、一方向動力配分装置、合成装置の各部品の設定方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の単層遊星の遊星歯車機構はその特性パラメータを1.0とし、合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構の特性パラメータを1.0とする。具体的に各部品の歯数設定は次のとおりである。一方向動力配分装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側の中心歯車の歯数は左側の中心歯車数に等しく、さらにかさ歯車遊星歯車の歯数に等しく、18である(一方向動力配分装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側の中心歯車の歯数=左側の中心歯車数=かさ歯車遊星歯車の歯数=18)。合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側の中心歯車の歯数は右側の中心歯車の歯数に等しく、さらにかさ歯車遊星歯車の歯数に等しく、18である(合成装置の単層遊星のかさ歯車遊星歯車機構における左側の中心歯車の歯数=右側の中心歯車の歯数=かさ歯車遊星歯車の歯数=18)。
【0041】
本実施例4の接続方法は次のとおりである。一方向動力配分装置の内出力端(4)を方向変換装置の左入力端に直接的に接続させ、一方向動力配分装置の外出力端(5)を方向変換装置の右入力端に直接的に接続させ、方向変換装置の左出力端を合成装置の内入力端(14)に直接的に接続させ、方向変換装置の右出力端を合成装置の外入力端(15)に直接的に接続させる。従動かさ歯車(2)、主動かさ歯車(1)を介して一方向動力配分装置の入力端を動力源に間接的に接続させ、回転制御端(17)に回転制御装置を接続させ、合成装置の出力端(18)に動力使用装置を接続させる。
【0042】
本実施例4では、動力源から入力された動力回転数は合成装置の出力端の動力回転数に変換され、動力回転数の入力、出力は回転制御装置から入力された回転の回転数と互いに干渉せず、本実施例では、回転の回転数を入力することにより出力軸が合成装置軸の周りを回転するように制御し、出力軸の回転に正転及び逆転のトルクはバランスがとれるように制御し、出力軸に一方向ベアリングトルクがないため、回転制御装置は一方向ベアリングトルクを克服する必要はなく、回転制御装置の構造はシンプルである。
【0043】
本明細書では本発明の原理の基本、主な特徴及び利点を記載し、それらを説明している。当業者は以下のように理解すべきである。本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨や範囲から逸脱していなければ様々な変化と改良が可能であり、これらの変化や改良も本発明の保護範囲に入る。本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲及び均等な内容によって定義される。
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