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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-10
(45)【発行日】2022-02-21
(54)【発明の名称】サーバ装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20220214BHJP
【FI】
G06Q50/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021060434
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】岸本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】相澤 冴子
(72)【発明者】
【氏名】川名 弘志
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154857(JP,A)
【文献】特開2010-277491(JP,A)
【文献】特開2016-176903(JP,A)
【文献】特開2019-046256(JP,A)
【文献】特開2013-083486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置からの情報に基づき前記ユーザ装置のユーザの移動状態を判定する判定手段と、
前記ユーザの移動状態が徒歩移動又は所定の第1輸送サービスとは異なる第2輸送サービスを利用した移動であると前記判定手段が判定すると、前記ユーザ装置に前記第1輸送サービスの利用を提案するための提案メッセージを送信する提案手段と、
を備えていることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記提案手段は、前記ユーザ装置から目的地を示す目的地情報を受信した際の前記ユーザの移動状態が前記徒歩移動又は前記第2輸送サービスを利用した移動であると前記判定手段が判定すると、前記ユーザ装置に前記提案メッセージを送信することを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記提案手段は、前記第1輸送サービスを利用して前記目的地に行く場合の料金を示す情報を前記提案メッセージに含めることを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
ユーザ装置からの情報に基づき前記ユーザ装置のユーザの移動状態を判定する判定手段と、
前記ユーザの移動状態が徒歩移動又は第1輸送サービスとは異なる第2輸送サービスを利用した移動であると前記判定手段が判定すると、前記ユーザに前記第1輸送サービスの利用を提案するために、前記ユーザ装置に問い合わせメッセージを送信して、前記ユーザに目的地を問い合わせる提案手段と、
を備えていることを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
前記提案手段は、前記ユーザ装置からの情報に基づき判定される前記ユーザ装置の現在位置に基づき前記目的地の候補を判定し、判定した前記目的地の候補を示す情報を前記問い合わせメッセージに含めることを特徴とする請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記提案手段は、前記ユーザが前記目的地を前記ユーザ装置に入力したことに応答して前記ユーザ装置から前記目的地を示す目的地情報を受信すると、前記ユーザ装置に前記第1輸送サービスを利用して前記目的地に行く場合の料金を示す情報を含む提案メッセージを送信することを特徴とする請求項4又は5に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記提案手段が前記提案メッセージに含める料金は、前記第1輸送サービスを利用して出発地から前記目的地に行く場合の料金であり、
前記出発地は、前記ユーザ装置からの情報に基づき判定される前記ユーザ装置の現在位置に基づく位置又は前記ユーザ装置のユーザが指定した位置であることを特徴とする請求項3又は6に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記提案手段は、前記第2輸送サービスを利用して前記目的地に行く場合の料金を前記提案メッセージに含めることを特徴とする請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記提案手段は、前記第1輸送サービスを利用して前記目的地に行く場合の前記目的地への予想到達時刻を前記提案メッセージに含めることを特徴とする請求項7又は8に記載のサーバ装置。
【請求項10】
前記提案手段は、前記徒歩移動により前記目的地に行く場合、又は、前記第2輸送サービスを利用して前記目的地に行く場合の前記目的地への予想到達時刻を前記提案メッセージに含めることを特徴とする請求項9に記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記提案手段は、前記第1輸送サービスを利用して前記目的地に行く場合の複数の料金と、前記複数の料金それぞれの適用条件を示す情報と、を前記提案メッセージに含めることを特徴とする請求項3又は6に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記複数の料金それぞれの適用条件は、前記第1輸送サービスの利用開始時刻に応じた条件と、前記第1輸送サービスを利用して前記目的地に行く場合の前記目的地への到達時刻に関する条件と、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項11に記載のサーバ装置。
【請求項13】
前記複数の料金それぞれの適用条件は、前記第1輸送サービスの利用を予約時刻までに開始することを予約した場合において、前記予約時刻までに前記第1輸送サービスの利用を開始したか否かに関する条件を含むことを特徴とする請求項11又は12に記載のサーバ装置。
【請求項14】
前記提案メッセージの応答として、前記ユーザ装置から前記第1輸送サービスの利用を要求する要求メッセージを受信すると、前記要求メッセージに従い、前記第1輸送サービスの輸送体が前記ユーザに前記第1輸送サービスの提供を行うための処理を行う処理手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3及び6から13のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項15】
1つ以上のプロセッサを有する装置の前記1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項1から14のいずれか1項に記載のサーバ装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の輸送サービスの利用を促進する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、携帯電話機から現在地情報及び目的地情報を受信すると、目的地までのタクシー、バス及び電車の運賃を携帯電話機に送信して表示させる構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-30788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、電車、バス、タクシーといった様々な人の輸送サービスが提供されている。特許文献1は、携帯電話機から現在地情報及び目的地情報を受信したことに応答して複数の輸送サービスの運賃を当該携帯電話機に送信して表示させることを開示しているが、所定の輸送サービスの利用を促進するための構成を開示してはいない。
【0005】
本発明は、所定の輸送サービスの利用を促進する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によると、サーバ装置は、ユーザ装置からの情報に基づき前記ユーザ装置のユーザの移動状態を判定する判定手段と、前記ユーザの移動状態が徒歩移動又は所定の第1輸送サービスとは異なる第2輸送サービスを利用した移動であると前記判定手段が判定すると、前記ユーザ装置に前記第1輸送サービスの利用を提案するための提案メッセージを送信する提案手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、所定の輸送サービスの利用を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態によるシステムの構成図。
図2】一実施形態によるシーケンス図。
図3】一実施形態によるシーケンス図。
図4】一実施形態によるサーバ装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下では、所定の輸送サービスの利用を促進するための実施形態について説明する。なお、以下の説明では、所定の輸送サービスをタクシーとするが、本発明は、タクシーサービスの利用を促進するものに限定されない。
【0011】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態によるシステムの構成図である。図1のネットワークは、移動通信ネットワーク及びインターネットの総称である。サービス提供システム3は、タクシー4の位置及び状態(空車状態、賃送状態等)を管理し、タクシー4による輸送サービスが要求された場合、タクシー4の配車を行う。ユーザ装置1は、スマートフォン等の携帯可能な通信装置であり、移動通信ネットワークを介してインターネット上のサーバ装置2と通信可能に構成されている。サーバ装置2は、タクシー4による輸送サービスを促進するためのメッセージをユーザ装置1に送信してユーザ装置1に表示させる。また、サーバ装置2は、ユーザ装置1からタクシー4による輸送サービスの利用を要求する要求メッセージを受信すると、当該要求メッセージに従い、タクシー4の配車に必要な情報をサービス提供システム3に通知する。なお、図1では、1つのサービス提供システム3のみを示しているが、本開示の各実施形態において、サービス提供システム3の数は1つに限定されない。つまり、サーバ装置2は、異なるタクシー4のグループを管理する複数のサービス提供システム3それぞれに対してタクシー4の配車に必要な情報を通知することができる。
【0012】
図2は本実施形態のシーケンス図を示している。S1においてユーザ装置1は、ユーザ装置1のユーザ(以下、単に"ユーザ"と表記する。)の移動状態をサーバ装置2が判定するための判定情報をサーバ装置2に送信する。判定情報は、例えば、ユーザが輸送サービスの料金をユーザ装置1のNFC機能を利用して支払うことによりユーザ装置1が取得する輸送サービスの利用情報を含み得る。例えば、ユーザが、電車による輸送サービスの料金をユーザ装置1のNFC機能を利用して支払う場合、駅に入るために改札を通過した時刻及び当該駅の駅名を示す情報や、駅から出るために改札を通過した時刻及び当該駅の駅名を示す情報が利用情報として得られる。さらに、判定情報は、ユーザ装置1にインストールされている輸送サービスに関するアプリケーションから得られるアプリ情報を含み得る。輸送サービスに関するアプリケーションとは、例えば、バスや電車のチケットを予約・購入するためのアプリケーションや、タクシーの配車アプリケーションであり得る。アプリ情報から、ユーザが利用する輸送サービス及びその時間と、利用する経路等を判定することができる。また、判定情報は、ユーザ装置1の加速度センサにより得られる加速度情報を含み得る。加速度情報を解析することにより、ユーザ装置1のユーザが徒歩移動しているか、静止しているか、何らかの乗り物により移動しているか等を判定することができる。さらに、判定情報は、ユーザ装置1の平均的な移動速度を示す情報を含み得る。平均的な移動速度は、例えば、ユーザ装置1がGPS等により取得する現在位置の時間変化から得られる。また、判定情報は、ユーザ装置1がGPS等により取得する現在位置を示す情報を含み得る。その他、ユーザの移動状態の判定に利用できる任意の情報を判定情報に含めることができる。また、判定情報は、ユーザ装置1の移動経路を示す情報を含み得る。
【0013】
判定情報のサーバ装置2への送信は、所定基準が満たされたことをトリガとしてユーザ装置1が自律的に行うものであり、ユーザが明示的に判定情報の送信をユーザ装置1に指示したことに応答して行われるものではない。したがって、判定情報は、S1のタイミングのみで送信されるのではなく、所定基準が満たされる度にユーザ装置1は判定情報をサーバ装置2に送信する。例えば、ユーザ装置1において所定のアプリケーションが起動されている場合、ユーザ装置1が定期的に判定情報を送信する構成とすることができる。
【0014】
S2において、ユーザは、ユーザ装置1を操作して移動の目的地を示す目的地情報をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2は、目的地情報の受信に応答して、S3で、それまでに受信した判定情報に基づき、ユーザが、徒歩移動しているか、タクシー4による輸送サービスを利用して移動しているか、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動しているか、ユーザ自らが車両(二輪、四輪、自転車を含む)を運転して移動しているかを判定する。例えば、判定情報に上記アプリ情報が含まれている場合、サーバ装置2は、上記アプリ情報をこの判定に使用することができる。
【0015】
ユーザが徒歩移動している、又は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動しているとサーバ装置2が判定すると、サーバ装置2は、S4で、タクシー4による輸送サービスの利用を促進するための提案メッセージをユーザ装置1に送信する。提案メッセージは、タクシー4の利用をユーザに勧める内容のメッセージ本文を含み、当該メッセージ本文は、ユーザ装置1のディスプレイに表示される。一方、ユーザがタクシー4で移動しているとサーバ装置2が判定すると、サーバ装置2は、他のメッセージをユーザ装置1に送信する。他のメッセージは、例えば、目的地への到達予想時刻、目的地に関する情報、或いは、目的地近辺の施設、例えば、駅、飲食店、観光地等に関する情報を含むものとすることができる。サーバ装置2は、これらの情報を、例えば、インターネットの他のサーバ装置から収集することができる。
【0016】
提案メッセージは、さらに、タクシー4による輸送サービスを利用して目的地情報が示す目的地に行く場合の料金を示す情報を含み得る。なお、当該料金の算定のための出発地、つまり、タクシー4による輸送サービスの開始位置は、例えば、ユーザ装置1がGPS機能により取得するユーザ装置1の現在位置とすることができる。例えば、ユーザ装置1は、S2において目的地情報をサーバ装置2に送信する際に、ユーザ装置1の現在位置を示す現在位置情報もサーバ装置2に送信する構成とすることができる。サーバ装置2は、例えば、S3でユーザが徒歩移動していると判定すると、S2で受信する現在位置情報が示す現在位置を、料金算定のための出発地とすることができる。
【0017】
また、サーバ装置2は、例えば、S3でユーザがタクシー4以外の輸送サービスを利用して移動していると判定すると、ユーザの移動状態と、現在位置情報が示す現在位置とに基づき、現在利用している輸送サービスの利用を停止できる位置を判定し、当該判定した位置を出発地として料金を算定することができる。例えば、ユーザが電車を利用している場合、輸送サービスの利用を停止できる位置は、ユーザが利用している電車が次に停車する駅、或いは、所定時間内に停車する駅の位置とすることができる。
【0018】
また、当該料金の算定のための出発地は、ユーザが指定した所定位置とすることができる。例えば、ユーザは、S2において、ユーザ装置1を操作して目的地情報に加えて出発地を示す出発地情報をサーバ装置2に送信することができる。ユーザが電車又はバスにより移動しており、降車する駅又はバス停が決まっている場合、ユーザは、降車する駅又はバス停を出発地として指定することができる。なお、徒歩移動であっても、ユーザがS2において任意の出発地を指定する構成とすることができる。
【0019】
また、提案メッセージは、タクシー4による第1輸送サービスを利用して目的地に行く場合の目的地への予想到達時刻を含み得る。この予想到達時刻は、タクシー4の配車待ちの予測期間、出発地までの移動の予測期間も考慮して判定される。例えば、ユーザが電車又はバスにより移動している場合、予想到達時刻は、ユーザが電車又はバスを降車して出発地に到達するまでの予測期間と、出発地でタクシー4を待つ予測期間と、出発地から目的地までの移動に要する予測期間との合計だけ現在時刻より後の時刻となる。
【0020】
また、比較のため、提案メッセージは、タクシー4とは異なる輸送サービスを利用して目的地に行く場合の料金を含み得る。例えば、現在、徒歩移動をしている場合、提案メッセージに含める料金は、現在位置から電車及び/又はバスによる輸送サービスを利用して目的地に行く場合の料金とすることができる。また、現在、電車又はバスを利用している場合、提案メッセージに含める料金は、現在乗車している電車又はバスの料金は除外し、目的地に移動するためにその後に利用する必要がある電車及び/又はバスの料金とすることができる。さらに、比較のため、提案メッセージは、徒歩移動により目的地に行く場合の目的地への予想到達時刻や、タクシー4とは異なる輸送サービスを利用して目的地に行く場合の目的地への予想到達時刻を含み得る。この予想到達時刻は、現在位置を基準としてそれぞれの方法により目的地に行く場合の予測値である。
【0021】
さらに、所定の適用条件を満たすことによりタクシー4による輸送サービスの料金が変動する場合、提案メッセージは、タクシー4による輸送サービスを利用して目的地に行く場合の複数の料金と、複数の料金それぞれの適用条件を示す情報と、を含み得る。
【0022】
例えば、適用条件は、タクシー4による輸送サービスの利用開始時刻に応じた条件とすることができる。例えば、タクシー4による輸送サービスの需要が少ない時間帯程、料金を安くする場合、提案メッセージは、複数の料金と、各料金が適用される時間帯を含み得る。
【0023】
また、例えば、適用条件は、ユーザの移動目的に応じた条件とすることができる。例えば、通院による病院への移動や病院から自宅への移動の場合には、それ以外の移動目的より料金を安くする構成とすることができる。また、適用条件は、ユーザがタクシーの車種(大型、小型)の指定を行うか否かによる条件とすることができる。例えば、ユーザがタクシーの車種の指定を行わない場合には、行う場合より料金を安くする構成とすることができる。また、適用条件は、目的地に応じた条件とすることができる。例えば、目的地がタクシーによる輸送サービスの需要が大きい場所、例えば、駅等であれば、タクシーによる輸送サービスの需要が小さい場所が目的地である場合より料金を安くする構成とすることができる。さらには、他のユーザとの相乗りを許可するか否か、ユーザとは無関係に、配送する荷物を積み込むことを許可する否か、感染症対策が行われたタクシーを指定するか否か等を適用条件とすることもできる。
【0024】
また、適用条件は、タクシー4による輸送サービスの利用を予約した場合において所定の予約時刻までにタクシー4による輸送サービスの利用を開始するとの条件とすることができる。具体的には、S4の提案メッセージに応答してユーザは、タクシー4による輸送サービスの利用の開始時刻を指定して、タクシー4による輸送サービスを予約することができる。これに応答して、サーバ装置2は、この開始時刻から所定の第1マージン期間だけ後の時刻を予約時刻(予約期限時刻)としてユーザに通知する。そして、ユーザがこの予約時刻までにタクシー4に乗車すると、この予約時刻より後にユーザがタクシー4に乗車した場合より料金を安くする構成とすることができる。なお、第1マージン期間を0とすることもできる。
【0025】
また、適用条件は、目的地への到達時刻に関する条件とすることができる。上述した様に、サーバ装置2は、タクシー4による輸送サービスを利用して出発地から目的地に行く場合の目的地への予想到達時刻を表示する。サーバ装置2は、この予想到達時刻から所定の第2マージン期間だけ後の時刻を到達期限時刻としてユーザに通知する。そして、この到達期限時刻までに目的地に到達しない場合の料金を、この到達期限時刻までに目的地に到達した場合の料金より安くする構成とすることができる。なお、第2マージン期間を0とすることもできる。
【0026】
図示していないが、S4の提案メッセージに基づきユーザがタクシー4による輸送サービスを利用する場合、ユーザは、ユーザ装置1を操作して、タクシー4による輸送サービスの利用を要求する要求メッセージをユーザ装置1からサーバ装置2に向けて送信する。なお、予約を要求する要求メッセージの場合、要求メッセージは、開始時刻を示す情報を含む。一方、直ぐにタクシー4による輸送サービスの利用を要求する要求メッセージの場合、要求メッセージは開始時刻を示す情報を含まない。いずれの場合でも、サーバ装置2は、要求メッセージに従い、サービス提供システム3に対して、出発地及び目的地を通知してタクシー4の配車を行うための処理を行う。また、このとき、ユーザに提示した各料金と、その適用条件をサービス提供システム3に通知する。
【0027】
以上の様な提案メッセージをユーザ装置1に送信することで、タクシー4による輸送サービスの利用を促進することができる。
【0028】
なお、図2において、ユーザ装置1は、所定基準が満たされると判定情報を送信し、S2で目的地情報を送信していた。しかしながら、判定情報については、ユーザ装置1において保存しておき、S2でのユーザ操作に応じて目的地情報を送信する際に、過去所定期間の判定情報を合わせて送信し、サーバ装置2は、S2で受信した判定情報に基づきS3でユーザの移動状態を判定する構成であっても良い。
【0029】
また、図2において、サーバ装置2は、目的地情報を受信した際に、ユーザが徒歩移動している、又は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動していると判定すると、S4で、提案メッセージをユーザ装置1に送信し、タクシー4による輸送サービスを利用していると判定すると、他のメッセージをユーザ装置1に送信していた。しかしながら、ユーザが徒歩移動している、又は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動していると判定しても、所定条件が満たされる場合には、提案メッセージではなく他のメッセージを送信する構成とすることができる。例えば、ユーザの現在位置から所定距離以内にある配車可能なタクシー4の数が所定数以下の場合、サーバ装置2は、提案メッセージではなく他のメッセージを送信する構成とすることができる。なお、サーバ装置2は、配車可能なタクシー4の数を、サービス提供システム3から取得する。また、所定数は0とすることができる。一方、この場合、ユーザの現在位置から所定距離以内にある配車可能なタクシー4の数が所定数より多い場合、サーバ装置2は、S4で、提案メッセージを送信する。
【0030】
また、過去所定時間内に提案メッセージを送信してユーザ装置1に当該提案メッセージを表示させたユーザからS2で目的地情報を受信し、かつ、そのときのユーザの移動状態が過去に提案メッセージを送信した際と同様である場合、サーバ装置2は、S4で、提案メッセージではなく他のメッセージを送信する構成とすることができる。また、アプリ情報に基づき、過去所定期間内において、タクシー4による輸送サービスを利用したことのあるユーザのユーザ装置1であることを、提案メッセージを送信するための条件の1つとすることができる。逆に、アプリ情報に基づき、過去所定期間内において、タクシー4による輸送サービスを利用したことのないユーザのユーザ装置1であることを、提案メッセージを送信するための条件の1つとすることができる。
【0031】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態において、サーバ装置2が受信する目的地情報は、ユーザが自律的にユーザ装置1を操作してサーバ装置2に送信したものであった。本実施形態では、サーバ装置2がユーザの移動状態を判定し、判定結果に応じてユーザにタクシー4による輸送サービスの利用を促進するための第1提案メッセージをユーザ装置1に送信し、これにより、サーバ装置2がユーザにその目的地を問い合わせる。
【0032】
図3は、本実施形態のシーケンス図を示している。S5においてユーザ装置1は、判定情報をサーバ装置2に送信する。S6において、サーバ装置2は、判定情報に基づきユーザの移動状態を判定する。ユーザが徒歩移動している、又は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動しているとサーバ装置2が判定すると、サーバ装置2は、S7で、第1提案メッセージをユーザ装置1に送信する。第1提案メッセージは、タクシー4の利用をユーザに勧め、かつ、ユーザに目的地の入力を促すメッセージ本文を含み、当該メッセージ本文は、ユーザ装置1のディスプレイに表示される。したがって、第1提案メッセージは、ユーザに目的地を問い合わせる問い合わせメッセージでもある。第1提案メッセージに応答してユーザが目的地を入力してユーザ装置1に送信を指示すると、ユーザ装置1は、目的地を示す目的地情報をサーバ装置2に送信する。サーバ装置2は、目的地を示す目的地情報を受信したことに応答してユーザ装置1に第2提案メッセージを送信する。なお、第2提案メッセージに含める情報は、第一実施形態の提案メッセージに含める情報と同様である。なお、ユーザ装置1の現在位置を示す現在位置情報は、例えば、S5の判定情報に含める構成とすることも、S8でユーザ装置1が目的地情報と共にサーバ装置2に送信する構成とすることもできる。また、出発地が現在位置である場合と、現在位置とは異なる場合の両方において、ユーザは、S7の問い合わせメッセージに応答して出発地を示す情報を入力し、ユーザ装置1が出発地を示す出発地情報もS8で送信する構成とすることもできる。
【0033】
なお、S6において、ユーザが徒歩移動している、又は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動しているとサーバ装置2が判定した場合において、ユーザの現在位置から所定距離以内にある配車可能なタクシー4の数が所定数以下の場合、サーバ装置2は、S7で第1提案メッセージを送信しない構成とすることもできる。なお、サーバ装置2は、配車可能なタクシー4の数を、サービス提供システム3から取得する。また、所定数は0とすることができる。この場合、サーバ装置2は、ユーザが徒歩移動している、又は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動していると判定した場合において、ユーザの現在位置から所定距離以内にある配車可能なタクシー4の数が所定数より多い場合にS7で第1提案メッセージを送信する。また、アプリ情報に基づき、過去所定期間内において、タクシー4による輸送サービスを利用したことのあるユーザのユーザ装置1であることを、第1提案メッセージを送信するための条件の1つとすることができる。逆に、アプリ情報に基づき、過去所定期間内において、タクシー4による輸送サービスを利用したことのないユーザのユーザ装置1であることを、第1提案メッセージを送信するための条件の1つとすることができる。
【0034】
また、第1提案メッセージに対してユーザが目的地情報を送信しない場合、サーバ装置2は、その後、ユーザが徒歩移動している、又は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して移動していると判定しても、所定基準が満たされるまで第1提案メッセージを送信しない構成とすることができる。所定基準は、例えば、時間に関する基準とすることができる。具体的には、第1提案メッセージに対してユーザが目的地情報を送信しない場合、所定期間が経過するまでは、第1提案メッセージを送信しない構成とすることができる。また、所定基準は、例えば、距離に関する基準とすることができる。具体的には、第1提案メッセージを送信したときのユーザ装置1の位置から所定距離以上離れた位置にユーザ装置1が移動するまでは、第1提案メッセージを送信しない構成とすることができる。さらに、サーバ装置2は、繰り返し第1提案メッセージを送信するが、所定基準が満たされるまでユーザ装置1がユーザに第1提案メッセージを表示しない構成とすることもできる。
【0035】
また、第1提案メッセージには、様々な付随情報を含めることができる。例えば、サーバ装置2は、S5の判定情報に含まれる現在位置情報に基づき、目的地として選択される頻度の高い施設を示す情報を判定し、判定した施設を示す情報を付随情報に含めることができる。これら施設は、例えば、現在位置に最も近い公共交通機関(電車、バス等)の乗車位置(駅、バス停等)や、現在位置から目的地として選択される頻度の高い公共交通機関の乗車位置であり得る。また、これら施設の他の例は、現在位置から所定の距離範囲内にある観光地であり得る。さらに、サーバ装置2は、ユーザの属性(年齢、性別等)や、ユーザの過去の移動履歴に基づき、目的地として選択される頻度の高い施設を判定する構成とすることもできる。この様な施設は、例えば、ユーザの属性から判定される商業施設、ユーザの移動履歴から判定される病院、オフィスビル、商業施設、公共施設等であり得る。なお、目的地として選択される頻度の高い施設が多数である場合、所定の評価値に基づき各施設に優先順位を設け、優先順位の高い所定数の施設を提示する構成とすることができる。
【0036】
ユーザ装置1は、第1提案メッセージに付随情報が含まれている場合、付随情報で示される各施設をディスプレイに表示する。なお、施設の表示は、リスト形式で表示する形態であっても、地図上に表示する形態であっても良い。ディスプレイに提示された施設に目的地が含まれている場合、ユーザは、S8において、提示された施設を選択することで目的地を入力することができる。なお、この際、ユーザ装置1は、現在位置(又は出発地)から目的地までの経路を地図上に表示することができる。
【0037】
<サーバ装置2>
図4は、上記各実施形態のサーバ装置2の構成図である。通信部21は、ネットワークを介する通信処理を行う。判定部22は、ユーザ装置1からの情報に基づきユーザの移動状態を判定する。第一実施形態のサーバ装置2において、提案部23は、ユーザ装置1から目的地を示す目的地情報を受信すると、判定部22に当該ユーザ装置1のユーザの移動状態を問い合わせる。そして、ユーザの移動状態が徒歩移動又はタクシー4以外の輸送サービスを利用した移動であるとの判定結果を判定部22から取得した場合、提案部23は、ユーザ装置1に提案メッセージを送信する。提案部23は、当該提案メッセージに、タクシー4による輸送サービスを利用して目的地に行く場合の料金を示す情報を含めることができる。なお、提案部23は、当該料金を示す情報を生成部24から取得する。
【0038】
第二実施形態のサーバ装置2において、提案部23は、ユーザの移動状態が徒歩移動又はタクシー4以外の輸送サービスを利用した移動であるとの判定結果が判定部22から通知されると、問い合わせメッセージ(第1提案メッセージ)をユーザ装置1に送信して、ユーザに目的地を問い合わせる。そして、提案部23は、問い合わせメッセージの応答として、ユーザ装置1から目的地情報を受信すると、ユーザ装置1にタクシー4による輸送サービスを利用して目的地に行く場合の料金を示す情報を含む提案メッセージ(第2提案メッセージ)を送信する。なお、提案部23は、当該料金を示す情報を生成部24から取得する。また、第二実施形態のサーバ装置2において、提案部23は、問い合わせメッセージに目的地の候補を示す情報を含めることができる。なお、この目的地の候補は、ユーザ装置1からの情報に基づき判定されるユーザ装置1の現在位置に基づき生成部24が判定する。
【0039】
各実施形態において提案部23は、様々な情報を提案メッセージに含めることができる。例えば、提案部23は、タクシー4以外の輸送サービスを利用して目的地に行く場合の料金、タクシー4による輸送サービスを利用して目的地に行く場合の目的地への予想到達時刻、又は、徒歩移動により目的地に行く場合若しくはタクシー4以外の輸送サービスを利用して目的地に行く場合の目的地への予想到達時刻を提案メッセージに含めることができる。これらの料金や、予想到達時刻について提案部23は生成部24から取得する。
【0040】
さらに、各実施形態において、提案部23は、タクシー4による輸送サービスを利用して目的地に行く場合の複数の料金と、複数の料金それぞれの適用条件を示す情報と、を提案メッセージに含めることができる。これら複数の料金と、複数の料金それぞれの適用条件についても、提案部23は生成部24から取得する。
【0041】
例えば、複数の料金それぞれの適用条件は、タクシー4による輸送サービスの利用開始時刻に応じた条件と、目的地への到達時刻に関する条件との少なくとも1つを含むものとすることができる。また、複数の料金それぞれの適用条件は、タクシー4による輸送サービスの利用を予約時刻までに開始することを予約した場合において、予約時刻までに第1輸送サービスの利用を開始したか否かに関する条件とすることができる。
【0042】
生成部24は、サービス提供システム3からタクシー4による輸送サービスの料金と、各料金の適用条件に関する情報を取得する。また、タクシー4以外の輸送サービスの経路や料金に関する情報や、交通情報等をインターネット上の図示しないサーバ装置から取得する。これにより、生成部24は、提案メッセージに含める各料金や、予想到達時刻を示す情報を生成する。さらに、生成部24は、ユーザ装置1のユーザの属性情報を保持しているサーバ装置や、移動履歴を保持しているサーバ装置にアクセスして、問い合わせメッセージに含める目的地の候補を判定する。
【0043】
処理部25は、提案メッセージの応答として、ユーザ装置1からタクシー4による輸送サービスの利用を要求する要求メッセージを受信すると、要求メッセージに従い、サービス提供システム3に対してサービス提供するために必要な情報を通知することにより、サービス提供を行うための処理を行う。
【0044】
また、本発明によるサーバ装置2は、1つ以上のプロセッサを有する装置・コンピュータの当該1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置・コンピュータを上記サーバ装置2として動作・機能させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0045】
上記構成により、所定の輸送サービスの利用を促進することができる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
22:判定部、23:提案部
【要約】      (修正有)
【課題】所定の輸送サービスの利用を促進するサーバ装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】所定の輸送サービスの利用を促進する技術を提供するサーバ装置2において、判定部22は、ユーザ装置からの情報に基づきユーザの移動状態を判定する。提案部23は、ユーザ装置から目的地を示す目的地情報を受信すると、判定部22に当該ユーザ装置のユーザの移動状態を問い合わせる。ユーザの移動状態が徒歩移動又はタクシー以外の輸送サービスを利用した移動であるとの判定した場合、提案部23は、ユーザ装置に、タクシーによる輸送サービスを利用して目的地に行く場合の料金を示す提案メッセージを送信する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4