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特許7023447単球転がり支承と引きバネの伸縮作用を組み合わせた免震装置
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  • 特許-単球転がり支承と引きバネの伸縮作用を組み合わせた免震装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】単球転がり支承と引きバネの伸縮作用を組み合わせた免震装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20220215BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
E04H9/02 331D
F16F15/04 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020132689
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022017135
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2020-09-29
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】520293081
【氏名又は名称】堀江 洋一
(72)【発明者】
【氏名】堀江 洋一
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-316178(JP,A)
【文献】特開2003-206648(JP,A)
【文献】特開2004-003189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00-9/16
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨架台(9)四隅下側4か所に単球転がり支承(2)を設け、基礎鉄筋コンクリート耐圧版(10)角四隅4か所に単球転がり支承(2)と中心合わせ位置に単球転がり支承受けとなるSUS平板(1)を水平固定し、SUS平板(1)内側に、水平方向引きバネ(3)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(5)と、垂直方向引きバネ(6)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(8)埋込の鉄筋コンクリート立上台(11)を設け、上面は鉄骨架台(9)下端より10cm程上げて設け、想定外の転動時の鉄骨架台(9)当り止めとし、単球転がり支承(2)は地震発生時に単球転がり支承受けとなるSUS平板(1)の間に摩擦力が生じるが、摩擦力が小さく地震エネルギーを減衰させると共に、直ちに元の位置に自動復元が必須事項の為に、鉄骨架台(9)のX方向、Y方向相互対面水平方向に引きバネ(3)を配置し、両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端ガセットプレート(4)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(5)にそれぞれ接続固定、また鉄骨架台(9)の垂直方向の浮き上がり防止及び、共振防止に垂直方向引きバネ(6)を配置し、両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端Uフック(7)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(8)にそれぞれ固定、水平方向引きバネ(3)、垂直方向引きバネ(6)取付固定時には所定の張力を入れ接続固定完了すると鉄骨架台(9)は所定の静止位置を保つ、単球転がり支承と引きバネの伸縮作用を組み合わせた免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平屋建てから3階建て程度の低層家屋を対象とした木造建築及び鉄骨構造建築物の建物下に免震装置を造り、大地震時に建物自体のゆれを軽減し建物構造体へのダメージの低減を図り、屋内家具、電化製品等の転倒落下被害を少なく抑え住環境の安全安心性が保てることを目的とする免震装置であり単球転がり支承と引きバネの伸縮作用を組み合わせた免震装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建て低層建築物の免震装置として
(イ)単球転がり支承とパンタグラフ式減衰装置と風揺れ固定装置を組み合わせた戸建て低層建築物の免震装置。
(ロ)球面転がり支承(受け皿とベアリングで構成してある上板と下板の間に硬球が転動するタイプ)とオイルダンパー及び制御装置を組み合わせた戸建低層建築物の免震装置。
上記(イ)、(ロ)の様な戸建て低層建築物の免震装置が開発されている。
【先行特許文献】
【0003】
【文献】(イ)大和ハウス工業(株)「ダイワハウス新免震住宅」システムを開発、平成15年6月1日 すべての鉄骨系2階建戸建て住宅商品に搭載可能、平成15年5月28日公告
【文献】(ロ)積水ハウス(株)「進・免震システム」を開発、平成13年10月1日より発売 すべての鉄骨系2階建戸建てユニット住宅商品対応、平成13年8月24日公告
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それには次のような欠点があった。
戸建て低層住宅の(イ)、(ロ)免震装置は360度あらゆる方向からの地震振動エネルギーの減衰に複数の減衰装置を配置しても、地震エネルギー減衰制御は大変難しく、停電時にはコントローラー制御装置等に非常電源が必要となり、高額な設備費用が生じることから、開発後、販売促進に遅滞傾向がみられる。
本発明は、これらの欠点を除くためになされたものであり、建物構造体へのダメージを低減することが可能であり、屋内家具、電化製品等の転倒落下被害を少なく抑え住環境の安全安心性が保て、且つ部品点数が少なく構築が簡略で低コストのしかもメンテナンスが容易であり、地震振動エネルギーの減衰に単球転がり支承と引きバネの伸縮作用を組み合わせた免震装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鉄骨架台(9)四隅下側4か所に単球転がり支承(2)を設ける。
基礎鉄筋コンクリート耐圧版(10)角四隅4か所に単球転がり支承(2)と中心合わせ位置に単球転がり支承受けとなるSUS平板(1)を水平固定する。
単球転がり支承受けとなるSUS平板(1)内側に、水平方向引きバネ(3)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(5)と、垂直方向引きバネ(6)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(8)埋込の鉄筋コンクリート立上台(11)を設け、上面は鉄骨架台(9)下端より10cm程上げて設け、想定外の転動時の鉄骨架台(9)当り止めとする。
単球転がり支承(2)は地震発生時に単球転がり支承受けとなるSUS平板(1)の上面で転動する為、直ちに元の位置に自動復元が必須事項であり地震動揺れを減衰する為に、鉄骨架台(9)のX方向、Y方向相互対面水平方向には引きバネ(3)を配置し、両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端ガセットプレート(4)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(5)にそれぞれ接続固定する。
また鉄骨架台(9)の垂直方向の浮き上がり防止及び、共振防止に垂直方向引きバネ(6)を配置し、両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端Uフック(7)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(8)にそれぞれ固定する。
水平方向引きバネ(3)、垂直方向引きバネ(6)は所定の張力を入れて両端が接続固定されると、鉄骨架台(9)は通常時静止位置を保つ様になる。
以上の様な構成よりなる単球転がり支承と引きバネの伸縮作用を組み合わせた免震装置である。
【発明の効果】
【0006】
(イ)建物構造体へのダメージを低減することができる。
(ロ)屋内家具類、電化製品等の転倒落下被害を少なく抑え、生命財産の保全、住環境の安全安心性を保つことができる。
(ハ)部品点数が少なく構築が簡略で、しかもメンナンスが容易にできる。
(ニ)地震振動エネルギーの減衰に単球転がり支承と引きバネの伸縮を組み合わせた作用で地震動は滑らかな減衰から地震収束時には、通常時の静止所定位置に自然に戻ることができる信頼性に優れる免震装置である。
(ホ)本免震装置は、制御装置及び停電対応の非常用発電機が不要であり低コストで構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】 本発明の基準図の平面図
図2】 本発明の基準図のX-X方向、X’-X’方向の断面図
図3】 本発明の基準図のY-Y方向、Y’-Y’方向の断面図
図4】 本発明の第2実施例の平面図
図5】 本発明の第2実施例、X-X方向の断面図
図6】 本発明の第2実施例、Y-Y方向の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について説明する。
(イ)鉄骨架台(9)四隅下側4か所に単球転がり支承(2)を設ける。
(ロ)基礎鉄筋コンクリート耐圧版(10)角四隅4か所に単球転がり支承(2)と中心合わせ位置に単球転がり支承受けとなるSUS平板(1)を水平固定する。
(ハ)単球転がり支承受けとなるSUS平板(1)内側に、水平方向引きバネ(3)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(5)と、垂直方向引きバネ(6)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(8)埋込の鉄筋コンクリート立上台(11)を設け、上面は鉄骨架台(9)下端より10cm程立上げて設け、想定外の転動時の鉄骨架台(9)当り止めとする。
(ニ)鉄骨架台(9)のX方向、Y方向相互対面水平方向には引きバネ(3)を配置し、水平方向引きバネ(3)の両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端ガセットプレート(4)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(5)に所定の張力を入れてシャックルにて接続固定する。
(ホ)鉄骨架台(9)の浮き揚がり防止及び共振防止に垂直方向引きバネ(6)を配置し、垂直方向引きバネ(6)の両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端Uフック(7)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(8)に所定の張力を入れてシャックルにて接続固定する。
本発明は以上のような構造である。
本発明の使い方を説明する。
鉄骨架台上の建物は地震時に単球転がり支承がSUS平板(1)板上を摩擦力が少なく転動する作用と、水平方向引きバネ(3)の伸縮を繰り返す作用から、地震エネルギーが吸収減衰されて、大地震時の加速度振幅を震度6強相当から震度3相当程度まで減衰させる免震効果が得られ、更に水平方向引きバネ(3)の伸縮を繰り返す作用で地震収束時には、通常時の静止所定位置に自然に戻る。
単球転がり支承(2)及び、水平方向引きバネ(3)、垂直方向引きバネ(6)の配置及び個所数は、建物規模及び建築面積、平屋建て、2~3階建て延べ床面積からの建物重量と鉄骨架台(9)の重量を合算した総重量を基に単球転がり支承の耐荷重を考慮し、更に引きバネ設計により仕様数量を算出してバランスが取れた配置をする。
なお図4、5、6に示す実施例の様に、単球転がり支承(2)及び、水平方向引きバネ(3)、垂直方向引きバネ(6)の配置個所数は建物規模、総重量により対面同数増設が容易である。
【0009】
建物は鉄骨架台(9)上に建物土台と緊結固定されている。
単球転がり支承(2)は建物重量と鉄骨架台(9)の重量を合算した総重量を支承し、地震時に転がりが生じることで地震動揺れを、建物と基礎の縁を切り全方向(360°方向)に転動する。
水平方向引きバネ(3)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(5)と、垂直方向引きバネ(6)の両端部のうち、一端部を固定する基礎台埋込アンカーフック(8)埋込の鉄筋コンクリート立上台(11)を設け、上面は鉄骨架台(9)下端より10cm程上げて設け、想定外の転動時の鉄骨架台(9)の当り止めとする。
鉄骨架台(9)はX方向、Y方向相互対面水平方向に同数の水平方向引きバネ(3)を配置し両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端ガセットプレート(4)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(5)にシャックルにて接続固定する。
水平方向引きバネ(3)は所定の張力を入れて全数両端接続固定されると鉄骨架台(9)は通常時静止し、所定位置を保っている。
水平方向引きバネ(3)取り付け時の所定の張力には、台風時の風圧に静止を保つ張力(設計算出された張力)をも全数に導入する。
垂直方向引きバネ(6)は地震時鉄骨架台(9)の浮き揚がり防止及び共振防止に配置し、垂直方向引きバネ(6)両端部のうち、一端部を鉄骨架台固定端Uフック(7)に、他端部を基礎台埋込アンカーフック(8)にシャックルにて接続固定する。
垂直方向引きバネ(6)は所定の張力を入れて接続固定する、垂直方向引きバネ(6)取り付け時の所定の張力には、地震時の浮き上がり及び台風時の風圧にも静止を保つ張力(設計算出された張力)をも全数に導入する。
単球転がり支承(2)は建物重量と鉄骨架台(9)の重量を合算した総重量を支承の為、単球転がり支承の耐荷重を考慮し、バランスが取れた配置をする。
水平方向引きバネ(3)、垂直方向引きバネ(6)の配置個所数は建物重量と鉄骨架台(9)の重量を合算した総重量を基に、引きバネ設計により仕様数量を算出してX方向、Y方向共バランスが取れた配置をする。
【符号の説明】
【0010】
1 単球転がり支承受けSUS平板
2 単球転がり支承
3 引きバネ(水平方向)
4 鉄骨架台固定端ガセットプレート
5 基礎台埋込アンカーフック
6 引きバネ(垂直方向)
7 鉄骨架台固定端Uフック
8 基礎台埋込アンカーフック
9 鉄骨架台
10 基礎鉄筋コンクリート耐圧版
11 引きバネ固定端部用アンカーフック埋込の鉄筋コンクリート立上台
図1
図2
図3
図4
図5
図6