(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20220215BHJP
B41J 3/44 20060101ALI20220215BHJP
B65H 31/22 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
B65H1/26 330
B41J3/44
B65H31/22
(21)【出願番号】P 2017217289
(22)【出願日】2017-11-10
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2017172363
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391063352
【氏名又は名称】グラドコジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】増成 一茂
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-155039(JP,A)
【文献】特開2014-114109(JP,A)
【文献】特開2009-259128(JP,A)
【文献】特開2010-202337(JP,A)
【文献】特開2008-44788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 31/00-31/40
G03G 15/00
B41J 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙を排出するプリンタと、
タンデム接続されて用紙を前記プリンタに送るフィーダと、
タンデム接続されて前記プリンタから排出される用紙を受け取るスタッカーと、
ロボットを搭載し用紙を運ぶ自走式のフィーダ用カートと、
ロボットを搭載し用紙を集積して運ぶ自走式のスタッカー用カートと、を備え、
前記フィーダの用紙情報に基づき、
タンデム接続されたフィーダを切り替え、切り替えられたフィーダから用紙を前記プリンタに送り出している間に、紙を送り出し不能なフィーダのフィーダ用カートを、用紙が積載されたフィーダ用カートに交換して用紙を前記プリンタに送り出し可能にし、
前記スタッカーの用紙情報に基づき、
タンデム接続されたスタッカーを切り替え、切り替えられたスタッカーに用紙を排出している間に、用紙を受け取り不能なスタッカーのスタッカー用カートを、排出される用紙を受け取り集積可能なスタッカー用カートに交換して用紙を排出可能にする構成であることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記フィーダ用カートは、
印刷する用紙サイズ、または用紙種類に応じて準備し、
印刷する用紙サイズ、または用紙種類毎に、
前記プリンタは、送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙を排出することを特徴とする請求項
1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記スタッカー用カートは、印刷工程から次の工程に移動
可能であることを特徴とする請求項
1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記フィーダ用カートと前記スタッカー用カートは、
無線誘導と手動誘導に切り替え可能であることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷作業を止めずに、フィーダから送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙をスタッカーに排出し、大量印刷が可能な印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタを用紙の搬送経路に複数配置し、各々のプリンタの協働により、印刷ジョブに基づく印刷処理を実行する印刷システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、用紙の搬送経路に2つのプリンタを配置して、一方のプリンタで表面に画像を印刷し、他方のプリンタで裏面に画像を印刷することで、両面に画像を印刷する技術が開示されている。
【0004】
また、複数のプリンタを、用紙の搬送経路に沿って直列的に配置したタンデム方式の構成により、印刷ジョブに基づく画像を印刷する技術も採用されている。
【0005】
このような技術を適用した印刷システムによれば、単一のプリンタを備えるシステムに比べて、各々のプリンタの協働により、両面印刷処理などの複雑な印刷処理も効率よく高速に実行できるため、生産性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術の印刷システムでは、複数のプリンタを備えるために、プリンタが増加する分コストが嵩むとともに、プリンタ毎のクリーニング処理、メンテナンスが必要であった。
【0008】
また、フィーダから用紙をプリンタに送り印刷し、この印刷した用紙をスタッカーに排出しているが、フィーダやスタッカーには一定の容量があり、印刷作業を停止することなく大容量の印刷を行うことが困難であった。
【0009】
この発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数のプリンタを備えることなく、印刷作業を連続して行い大量印刷が可能な印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0012】
請求項1に記載の発明は、
送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙を排出するプリンタと、
タンデム接続されて用紙を前記プリンタに送るフィーダと、
タンデム接続されて前記プリンタから排出される用紙を受け取るスタッカーと、
ロボットを搭載し用紙を運ぶ自走式のフィーダ用カートと、
ロボットを搭載し用紙を集積して運ぶ自走式のスタッカー用カートと、を備え、
前記フィーダの用紙情報に基づき、
タンデム接続されたフィーダを切り替え、切り替えられたフィーダから用紙を前記プリンタに送り出している間に、紙を送り出し不能なフィーダのフィーダ用カートを、用紙が積載されたフィーダ用カートに交換して用紙を前記プリンタに送り出し可能にし、
前記スタッカーの用紙情報に基づき、
タンデム接続されたスタッカーを切り替え、切り替えられたスタッカーに用紙を排出している間に、用紙を受け取り不能なスタッカーのスタッカー用カートを、排出される用紙を受け取り集積可能なスタッカー用カートに交換して用紙を排出可能にする構成であることを特徴とする印刷システムである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、
前記フィーダ用カートは、
印刷する用紙サイズ、または用紙種類に応じて準備し、
印刷する用紙サイズ、または用紙種類毎に、
前記プリンタは、送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙を排出することを特徴とする請求項1に記載の印刷システムである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、
前記スタッカー用カートは、印刷工程から次の工程に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の印刷システムである。
【0016】
請求項4に記載の発明は、
前記フィーダ用カートと前記スタッカー用カートは、
無線誘導と手動誘導に切り替え可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の印刷システムである。
【発明の効果】
【0019】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0020】
請求項1乃至請求項4に記載の発明では、タンデム接続されたフィーダを切り替え、この切り替えたフィーダは、フィーダ用カートに集積された用紙をプリンタに送り、一方、タンデム接続されたスタッカーを切り替え、この切り替えたスタッカーは、スタッカー用カートにプリンタから排出される用紙を集積することで、複数のプリンタを備えることなく、印刷作業を連続して行い大量印刷が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】フィーダ用カート及びスタッカー用カートの斜視図である。
【
図5】A3サイズの普通紙で無人大量印刷を実行する場合のフローである。
【
図7】A3サイズの普通紙で無人大量印刷を実行する場合のフローである。
【
図9】複数サイズの複数坪量用紙で無人大量印刷を実行する場合のフローである。
【
図11】フィーダにロボットカートにより用紙を供給する説明図である。
【
図13】フィーダにロボットにより用紙を供給する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の印刷システムの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0023】
(印刷システム)
この実施の形態の印刷システムを、
図1乃至
図4に基づいて説明する。
図1は印刷システムの構成図、
図2は印刷システムの用紙の搬送を示す図、
図3はフィーダ用カート及びスタッカー用カートの斜視図、
図4は印刷システムの印刷作業を示す図である。
【0024】
この実施の形態の印刷システム1は、送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙を排出するプリンタ10と、タンデム接続されて用紙をプリンタ10に送るフィーダ21,22と、タンデム接続されてプリンタ10から排出される用紙を受け取るスタッカー31,32と、用紙を積載するトレイ40aを搭載して用紙の供給を行うフィーダ用カート40と、用紙を積載するトレイ50aを搭載して用紙の受け取りを行うスタッカー用カート50と、制御装置60と、を備える。フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50は、自走式であり、制御装置60の制御により無線誘導により走行して目的地へ移動するが、手動誘導に切り替え可能であり、必要に応じて切り替えて使用することができる。
【0025】
フィーダ21,22は、内部にフィーダ用カート40を収納可能であり、また上部に用紙をプリンタ10に送る搬送路21a,22aが設けられている。フィーダ用カート40は、トレイ40aが上昇して搭載した用紙を搬送路21a,22aに送る構成である。
【0026】
スタッカー31,32は、内部にスタッカー用カート50を収納可能であり、また上部に用紙をプリンタ10から受け取る搬送路31a,32aが設けられている。スタッカー用カート50は、トレイ50aが下降して用紙を搬送路31a,32aから受け取り集積する構成である。
【0027】
この制御装置60は、フィーダ21,22、スタッカー31,32、プリンタ10を制御するとともに、フィーダ21,22からの用紙情報、スタッカー31,32からの用紙情報に基づき、フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50を制御し、用紙が積載されたフィーダ用カート40は、用紙がなくなったフィーダ21,22に移動し、フィーダ21,22から用紙を供給可能にし、スタッカー用カート50は、排出される用紙を受け取り集積し用紙が満載になったスタッカー31,32から移動し、スタッカー31,32に用紙を排出可能にする。
【0028】
この印刷システム1の印刷作業を、
図4に基づいて説明する。
図4(a)において、タンデム接続されて載置した用紙をプリンタ10に送るフィーダ21,22は、例えば、フィーダ21の用紙がなくなると、自動的にフィーダ22に切り替わり、フィーダ22のフィーダ用カート40から用紙をプリンタ10に送る。このフィーダ22から用紙をプリンタ10に送っている間に、フィーダ21の用紙がなくなったフィーダ用カート40は、用紙を集積したフィーダ用カート40と交換し、フィーダ21から用紙を供給可能にする。
【0029】
図4(b)において、例えば、フィーダ22の用紙がなくなると、自動的にフィーダ21に切り替わり、フィーダ21のフィーダ用カート40から用紙をプリンタ10に送る。このフィーダ21から用紙をプリンタ10に送っている間に、フィーダ22の用紙がなくなったフィーダ用カート40は、用紙を集積したフィーダ用カート40と交換し、フィーダ22から用紙を供給可能にする。
【0030】
図4(c)において、タンデム接続されてプリンタ10から排出される用紙を受け取るスタッカー31,32は、例えば、スタッカー31に排出される用紙がスタッカー用カート50に集積され満載になると、自動的にスタッカー32に切り替わり、プリンタ10からスタッカー32に排出され、スタッカー32のスタッカー用カート50に集積される。このスタッカー32に用紙が排出されている間に、スタッカー31の満載のスタッカー用カート50は移動して集積可能なスタッカー用カート50と交換され、スタッカー31へ用紙が排出可能になる。
【0031】
図4(d)において、例えば、スタッカー32に排出される用紙がスタッカー用カート50に集積され満載になると、自動的にスタッカー31に切り替わり、プリンタ10からスタッカー31に排出され、スタッカー31のスタッカー用カート50に集積される。このスタッカー31に用紙が排出されている間に、スタッカー32の満載のスタッカー用カート50は移動して集積可能なスタッカー用カート50と交換され、スタッカー32へ用紙が排出可能になる。
【0032】
(給紙印刷作業)
タンデム接続されたフィーダから用紙をプリンタに送り印刷する印刷作業を、
図5及び
図6に基づいて説明する。
図5はA3サイズの普通紙で無人大量印刷を実行する場合のフロー、
図6はフィーダに用紙を供給する説明図である。
【0033】
フィーダ用カート40として、この実施の形態では、カートA~Gが準備される。フィーダ21のカートAに用紙を積載して格納し、フィーダ22のカートBに用紙を積載して格納する(ステップa1,b1)。また、印刷前用紙スタンバイエリアにおいて、カートC~Gに用紙を積載して格納し(ステップc1,d1)、制御装置50を構成する印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて印刷作業を実行する(ステップe1,f1)。
【0034】
印刷は、フィーダ21から用紙をプリンタ10に送り実行され、フィーダ21のカートAに積載した用紙がなくなると(ステップg1,h1)、印刷システムコントローラは、ステイタス情報を受信してフィーダと印刷前用紙スタンバイエリアへ作業指示を行う(ステップi1,j1)。
【0035】
給紙作業をフィーダ21からフィーダ22に切り替え(ステップk1,l1)、フィーダ21のカートAを印刷前用紙スタンバイエリアへ移動し(ステップm1)、カートCを印刷前用紙スタンバイエリアからフィーダ21へ移動する(ステップn1)。
【0036】
フィーダ22から用紙をプリンタ10に送り印刷が実行され、フィーダ22のカートBに積載した用紙がなくなると(ステップo1,p1)、印刷システムコントローラは、ステイタス情報を受信してフィーダと印刷前用紙スタンバイエリアへ作業指示を行う(ステップq1,r1)。
【0037】
給紙作業をフィーダ22からフィーダ21に切り替え(ステップs1,t1)、フィーダ22のカートBを印刷前用紙スタンバイエリアへ移動し(ステップu1)、カートDを印刷前用紙スタンバイエリアからフィーダ22へ移動する(ステップv1)。
【0038】
フィーダ21から用紙をプリンタ10に送り印刷が実行され、以降、印刷前用紙スタンバイエリアのカートがなくなるまで、無人で印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて印刷作業を実行する(ステップw1)。
【0039】
このように、用紙が積載されたフィーダ用カート40を準備し、フィーダ21,22の用紙情報に基づき、用紙を送り出し不能なフィーダから用紙を送り出し可能なフィーダに切り替え、用紙を送り出し可能なフィーダのフィーダ用カート40から用紙の送り出しを可能にし、かつ、用紙を送り出し不能なフィーダのフィーダ用カート40を、用紙が積載されたフィーダ用カート40に交換して用紙を送り出し可能にし、無人で印刷作業を実行する。
【0040】
(印刷排紙作業)
タンデム接続されたスタッカーにプリンタから排出される用紙を受け取る印刷排紙作業を、
図7及び
図8に基づいて説明する。
図7はA3サイズの普通紙で無人大量印刷を実行する場合のフロー、
図8はスタッカーに用紙を受け取る説明図である。
【0041】
スタッカー用カート50として、この実施の形態では、カートH~Nが準備される。印刷エリアにおいて、スタッカー31のカートHに用紙を積載しないで格納し、スタッカー32のカートIに用紙を積載しないで格納する(ステップa2,b2)。また、印刷前用紙スタンバイエリアにおいて、カートJ~Nに用紙を積載しないで格納し(ステップc2,d2)、印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて印刷作業を実行する(ステップe2,f2)。
【0042】
印刷は、プリンタ10から印刷された用紙がスタッカー31に排出され、スタッカー31のカートHに積載されて満杯になると(ステップg2,h2)、印刷システムコントローラは、ステイタス情報を受信してスタッカーと印刷前用紙スタンバイエリアへ作業指示を行う(ステップi2,j2)。
【0043】
排紙作業をスタッカー31からスタッカー32に切り替え(ステップk2,l2)、スタッカー31のカートHを印刷前用紙スタンバイエリアへ移動し(ステップm2)、カートJを印刷済用紙スタンバイエリアからスタッカー31へ移動する(ステップn2)。また、作業指示次第では、カートHを次工程の現場に移動する(ステップo2)。
【0044】
プリンタ10から印刷された用紙がスタッカー32に排出され、スタッカー32のカートIに積載されて満杯になると(ステップp2,q2)、印刷システムコントローラは、ステイタス情報を受信してフィーダと印刷前用紙スタンバイエリアへ作業指示を行う(ステップr2,s2)。
【0045】
排紙作業をスタッカー32からスタッカー31に切り替え(ステップt2,u2)、スタッカー32のカートIを印刷前用紙スタンバイエリアへ移動し(ステップv2)、カートKを印刷済用紙スタンバイエリアからスタッカー32へ移動する(ステップw2)。また、作業指示次第では、カートIを次工程の現場に移動する(ステップx2)。
【0046】
プリンタ10から印刷された用紙がスタッカー31に排出され、以降、印刷前用紙スタンバイエリアのカートがなくなるまで、無人で印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて印刷作業を実行する。
【0047】
このように、排出される用紙を受け取り集積可能なスタッカー用カート50を準備し、スタッカー31,32の用紙情報に基づき、用紙を受け取り不能なスタッカーから用紙を受け取り可能なスタッカースに切り替え、用紙を受け取り可能なスタッカースのスタッカー用カート50に排出される用紙を受け取り集積可能にし、かつ、用紙を受け取り不能なスタッカーのスタッカー用カート50を、排出される用紙を受け取り集積可能なスタッカー用カート50に交換して用紙を排出可能にし、無人で印刷作業を実行する。
【0048】
(給紙印刷作業)
タンデム接続されたフィーダから用紙をプリンタに送り印刷する印刷作業を、
図9に基づいて説明する。
図9は複数サイズの複数坪量用紙で無人大量印刷を実行する場合のフローである。
【0049】
フィーダ用カート40として、この実施の形態では、カートA~Eが準備される。フィーダ21のカートAにA3普通紙を積載して格納し、フィーダ22のカートBにA3普通紙を積載して格納する(ステップa3,b3)。また、印刷前用紙スタンバイエリアにおいて、カートCにA3普通紙を積載して格納し、カートDにA4普通紙を積載して格納し、カートEに厚紙を積載して格納し(ステップc3,d3)、印刷システムコントローラの制御でA3普通紙の印刷データに基づいて印刷作業を実行する(ステップe3,f3)。
【0050】
印刷は、フィーダ21からA3普通紙をプリンタ10に送り実行され、フィーダ21のカートAに積載したA3普通紙がなくなると、印刷作業を完了する(ステップg3,h3)。印刷システムコントローラの制御で、A4普通紙の印刷データに基づいて、フィーダと印刷前用紙スタンバイエリアへ作業指示を行う(ステップi3,j3)。
【0051】
フィーダ21のカートAを印刷前用紙スタンバイエリアへ移動し(ステップk3)、カートDを印刷前用紙スタンバイエリアからフィーダ21へ移動する(ステップl3,m3)。印刷作業を実行し(ステップn3)、フィーダ21からA4普通紙をプリンタ10に送り印刷が実行され、印刷作業を完了する(ステップo3,p3)。
【0052】
印刷システムコントローラの制御で、厚紙の印刷データに基づいて、フィーダと印刷前用紙スタンバイエリアへ作業指示を行う(ステップq3,r3)。フィーダ21のカートDを印刷前用紙スタンバイエリアへ移動し(ステップs3)、カートEを印刷前用紙スタンバイエリアからフィーダ21へ移動する(ステップt3,u3)。印刷作業を実行し(ステップv3)、フィーダ21から厚紙をプリンタ10に送り印刷が実行され、印刷作業を完了する(ステップw3,x3)。
【0053】
以降、印刷前用紙スタンバイエリアの予備カートがなくなるまで、無人で多種多様な用紙の組み合わせの印刷を、印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて印刷作業を実行する。
【0054】
このように、用紙が積載されたフィーダ用カート40は、印刷する用紙サイズ、または用紙種類に応じて準備し、印刷する用紙サイズ、または用紙種類毎に、プリンタ10は、送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙を排出し、無人で多種多様な用紙の組み合わせの印刷作業を実行する。
【0055】
(人工知能(AI)機能を有するロボットカート)
図10は人工知能(AI)機能を有するロボットカートを示す斜視図である。フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50は、ロボットカートであるが、指定された条件に基づき、指定された経路を通り、指定された場所へ移動、経路に障害物がある時の迂回等は、予めプログラムされた指示に従う。この実施の形態のフィーダ用カート40及びスタッカー用カート50は、人工知能(AI)40b,50bを搭載することにより、人間に近い判断に基づく行動をとるような機能を有する。
【0056】
[安全走行]
フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50は、用紙を積載するトレイ40a,50aの複数個所に重力検知センサSW1を配置することで、トレイ40a,50a上における用紙の重心を認識する。また、同様にジャイロセンサ(角速度センサ)SW2と衝撃センサSW3を搭載することで、運搬経路の傾斜状況・段差等を認識する。印刷システムが設置される現場ごとに状況が異なるので、事前に学習を重ねることにより、各積載状況、経路状況に応じて、用紙を崩さぬ最適な速度・加速度を選定する。人工知能(AI)機能を有するロボットカートを用いることで、用紙崩れに注意を払うことなく安全走行が可能で用紙を運搬することができる。
【0057】
[災害時対応]
フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50は、カメラ100と温度センサSW4を搭載することで、火災発生を認識し、Wifi通信機能で防災システムにアラームを通知する。これは地震発生時も同様であり、この通知を受けた防災システムは、二次災害を未然に防ぐために全装置の稼働を停止させ、フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50からの情報に基づいて必要であればスプリンクラーによる消火を開始する。フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50には、携帯用電源101を搭載する。用紙に火が移ることがないように、そして出来ればスプリンクラーの水によって印刷物が無駄になら無いように最適に回避するが、何より人命を最優先とし、フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50、積載物が人間の避難を妨げると判断した場合には速やかに積載物を捨てて最適と判断される行動を行う。また、カメラ100で倒れている人を発見した際にはWifi通信機能で場所等を防災システムに知らせたり、棚等がその人の上に倒れこむ等の障害を防ぐ最大限の行動を行う。
【0058】
[防犯対応]
フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50に設置したカメラ100に映った人物をホストコンピュータの作業員登録情報と照らし合わせ、不審者と判断した場合には、防災システムへ通知を行い、ホストコンピュータから警備会社への通知等の処置を行う。また、用紙運搬等の移動中には、360度全景を常に監視し、例えば行きと帰りで(本来ならば同じである筈の風景が)異なったと認識した場合にも、同様にホストコンピュータへアラームを通知する。
【0059】
[用紙ジャム/障害時対応]
フィーダ用カート40及びスタッカー用カート50を用いて無人印刷作業中に、印刷システムで用紙ジャム又は故障が発生した場合、システムが停止した時刻を認識し、無人印刷が解除される(有人になって用紙ジャム又は故障が処理される)までの時間を考慮し、少し待てば印刷再開可能と判断した場合には、そのままの状態で待機し、そうでない場合には、待っても無駄なので、スタッカーは、その時点まで積載された用紙束を次工程(例:製本作業)へ運搬、フィーダは、用紙満タン状態のカートに入れ替えておき、印刷再開時のロスを最小限に留める配慮を行う。
【0060】
(人工知能(AI)機能を有するロボットカートによる給紙印刷作業)
図11はフィーダにロボットカートにより用紙を供給する説明図である。この実施の形態のフィーダ用カート40は、
図10(a)に示すロボットカートであり、カートA~Gが準備されており、
図6の実施の形態と同様に、フィーダ21のカートAに用紙を積載して格納し、フィーダ22のカートBに用紙を積載して格納する。また、印刷前用紙スタンバイエリアにおいて、カートC~Gに用紙を積載して格納し、印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて印刷作業を実行する。
【0061】
この実施の形態では、指定された条件に基づき、指定された経路を通り、指定された場所へ移動、経路に障害物がある時の迂回等は、予めプログラムされた指示に従い、フィーダ21,22の用紙情報に基づき、用紙を送り出し不能なフィーダから用紙を送り出し可能なフィーダに切り替え、用紙を送り出し可能なフィーダのフィーダ用カート40から用紙の送り出しを可能にし、かつ、用紙を送り出し不能なフィーダのフィーダ用カート40を、用紙が積載されたフィーダ用カート40に交換して用紙を送り出し可能にし、無人で印刷作業を実行する。
【0062】
人工知能(AI)機能を有するロボットカートによる印刷排紙作業も、印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて、
図8と同様に実施される。
【0063】
(人工知能(AI)機能を有するロボット)
この実施の形態では、人工知能(AI)機能を有するロボット41,51を備え、ロボット41,51を備える。ロボット41,51は、
図12に示すように構成され、荷台41a,51a及び人工知能(AI)41b,51bを搭載することにより、フィーダ用カートとスタッカー用カートを運ぶ構成であり、重力検知センサSW1、ジャイロセンサ(角速度センサ)SW2、衝撃センサSW3、温度センサSW4、カメラ100及び携帯用電源101を有する。
【0064】
(人工知能(AI)機能を有するロボットによる給紙印刷作業)
図13はフィーダにロボットにより用紙を供給する説明図である。ロボット41aは、フィーダ用カートを運ぶ構成であり、
図11の実施の形態と同様にして指定された条件に基づき、指定された経路を通り、指定された場所へ移動、経路に障害物がある時の迂回等は、予めプログラムされた指示に従い、フィーダ21,22の用紙情報に基づき、無人で印刷作業を実行する。人工知能(AI)機能を有するロボットによる印刷排紙作業も、印刷システムコントローラの制御で印刷データに基づいて、
図8と同様に実施される。
【0065】
この実施の形態は、人工知能(AI)機能を有するロボットがフィーダ用カートとスタッカー用カートを運ぶ構成であり、ロボットを2台、3台など複数台稼働させてフィーダ用カートとスタッカー用カートを運ぶことで、ロボットによる印刷給紙作業及び印刷排紙作業を効率的に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この発明は、印刷作業を止めずに、フィーダから送られる用紙に印刷し、この印刷した用紙をスタッカーに排出し、大量印刷が可能な印刷システムに適用でき、複数のプリンタを備えることなく、印刷作業を連続して行い大量印刷が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 印刷システム
10 プリンタ
21,22 フィーダ
31,32 スタッカー
40フィーダ用カート
40a トレイ
50 スタッカー用カート
50a トレイ
40b,50b 人工知能(AI)
60 制御装置
SW1 重力検知センサ
SW2 ジャイロセンサ(角速度センサ)
SW3 衝撃センサ
SW4 温度センサ
100 カメラ
101 携帯用電源