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特許7023449クロスバスイッチとその製造方法およびクロスバスイッチを有する半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】クロスバスイッチとその製造方法およびクロスバスイッチを有する半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20220215BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20220215BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20220215BHJP
   H01L 49/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
H01L27/105 448
H01L45/00 Z
H01L49/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017541424
(86)(22)【出願日】2016-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2016004240
(87)【国際公開番号】W WO2017051527
(87)【国際公開日】2017-03-30
【審査請求日】2019-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2015186356
(32)【優先日】2015-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「エネルギー・環境新技術先導プログラム/制御高度化により自動車等を省エネルギー化する低レイテンシコンピューティングの研究」の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】520041932
【氏名又は名称】ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪本 利司
(72)【発明者】
【氏名】多田 宗弘
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0111228(US,A1)
【文献】国際公開第2014/112365(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/181492(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/018842(WO,A1)
【文献】特開2009-021602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8239
H01L 45/00
H01L 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線と、第2の配線と、相補型抵抗変化素子とを有し、
前記相補型抵抗変化素子は、
トランジスタの形成された半導体基板上に設けられた第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜に埋め込まれ、金属イオンを供給する第1と第2の電極と、
前記第1の絶縁膜と前記第1と第2の電極とを覆う第2の絶縁膜と、
第1の電極の端部を含む上面の一部を前記第2の絶縁膜から露出させ、第2の電極の端部を含む上面の一部を前記第2の絶縁膜から露出させるように構成され、前記第1の電極の上面の露出部と前記第2の電極の上面の露出部とが並進対称性の関係を有している第1と第2の開口部と、
前記第1と第2の開口部を各々覆い、前記第1と第2の開口部で前記第1と第2の電極のそれぞれの端部を含むそれぞれの上面の露出部に接続する金属析出型の第1と第2の抵抗変化膜と、
前記第1と第2の抵抗変化膜の上面に各々接続する第3と第4の電極と、
前記第3と第4の電極とに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極
と、を有し、
前記第1と第2の電極のうちの第1の電極は前記第1の配線に接続し、前記第1と第
2の電極のうちの第2の電極は前記第2の配線に接続する
クロスバスイッチ。
【請求項2】
前記第1と第2の抵抗変化膜は、酸化タンタル、酸化チタン、硫化銅、硫化銀、酸化ケイ素の内の少なくとも一つを含む、請求項1記載のクロスバスイッチ。
【請求項3】
前記第1と第2の電極は、銅を含む、請求項1または2記載のクロスバスイッチ。
【請求項4】
前記第1と第2の電極は、半導体集積回路の多層銅配線内の銅配線を含む、請求項1
から3の内の1項記載のクロスバスイッチ。
【請求項5】
前記第3と第4の電極は、ルテニウム、プラチナの内の少なくとも一つを含む、請求項1から4の内の1項記載のクロスバスイッチ。
【請求項6】
トランジスタの形成された半導体基板上に第1の絶縁膜を形成し、
金属イオンを供給する第1と第2の電極を前記第1の絶縁膜に埋め込んで形成し、
前記第1の絶縁膜と前記第1と第2の電極とを覆う第2の絶縁膜を形成し、
第1の電極の端部を含む上面の一部を前記第2の絶縁膜から露出させ、第2の電極の端部を含む上面の一部を前記第2の絶縁膜から露出させるように構成され、前記第1の電極の上面の露出部と前記第2の電極の上面の露出部とが並進対称性の関係を有している第1と第2の開口部を形成し、
前記第1と第2の開口部を各々覆い、前記第1と第2の開口部で前記第1と第2の電極のそれぞれの端部を含むそれぞれの上面の露出部に接続する金属析出型の第1と第2の抵抗変化膜を形成し、
前記第1と第2の抵抗変化膜の上面に各々接続する第3と第4の電極を形成し、
前記第3と第4の電極とに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極を形成し、
前記第1と第2の電極のうちの第1の電極を、クロスバスイッチの第1の配線に接続し、
前記第1と第2の電極のうちの第2の電極を、前記クロスバスイッチの第2の配線に接続する、
クロスバスイッチの製造方法。
【請求項7】
同一のフォトマスク上のパターンで前記第1と第2の電極を露光し、
別の同一のフォトマスク上のパターンで前記第1と第2の開口部を露光する、
請求項6記載のクロスバスイッチの製造方法。
【請求項8】
前記第1と第2の抵抗変化膜は、酸化タンタル、酸化チタン、硫化銅、硫化銀、酸化ケイ素の内の少なくとも一つを含む、
請求項6または7記載のクロスバスイッチの製造方法。
【請求項9】
前記第1と第2の電極は、銅を含む、
請求項6から8の内の1項記載のクロスバスイッチの製造方法。
【請求項10】
請求項1から5の内の1項記載のクロスバスイッチを、多層銅配線を有する半導体集
積回路の前記多層銅配線内に組み込んだクロスバスイッチを有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属イオン移動と電気化学反応を利用した金属析出型の抵抗変化素子とこれを用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗変化膜中における金属イオン移動と電気化学反応を利用した抵抗変化素子は、銅電極、抵抗変化膜、不関電極の3層から構成されている。銅電極は電極としての役割の他に、抵抗変化膜に金属イオンを供給するための役割を果たす。不関電極の材料は、抵抗変化膜中に金属イオンを供給しない金属である。また、不関電極とは、反応に寄与しない電極との意味である。銅電極を接地して、不関電極に負電圧を印加すると、銅電極の金属が金属イオンになって抵抗変化膜に溶解する。そして、抵抗変化膜中の金属イオンが抵抗変化膜中に金属になって析出し、析出した金属により銅電極と不関電極を接続する金属架橋が形成される。金属架橋で銅電極と不関電極が電気的に接続することで、抵抗変化素子が高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する。
【0003】
一方、上記低抵抗状態にある抵抗変化素子の銅電極を接地して、不関電極に正電圧を印加すると、金属架橋が抵抗変化膜に溶解し、金属架橋の一部が切れる。これにより、銅電極と不関電極との金属架橋による電気的接続がなくなり、抵抗変化素子が高抵抗状態に戻る。なお、電気的接続が完全に切れる前の段階から銅電極および不関電極間の抵抗が大きくなったり、電極間容量が変化したりするなど電気特性が変化し、最終的に電気的接続が切れる。また、上記高抵抗状態から低抵抗状態にするには、再び不関電極に負電圧を印加すればよい。
【0004】
当該抵抗変化素子をプログラマブルデバイスの配線切り替えスイッチに用いることが、非特許文献1に提案されている。この抵抗変化素子を用いれば、他の型のスイッチに比べて、スイッチ面積が1/30に縮小し、スイッチ抵抗が1/40に低減するだけでなく、抵抗変化素子の配線層への作り込みが可能となる。そのため、チップ面積の縮小と配線遅延の改善が期待される。
【0005】
当該抵抗変化素子を集積回路中に製造する方法が、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0006】
特許文献1は、抵抗変化素子を銅多層配線中に集積化する方法を開示している。特許文献1によれば、銅多層配線の内の1つの銅配線を抵抗変化素子の銅電極とし、銅配線が抵抗変化素子の銅電極を兼ねるようにする。これにより、抵抗変化素子の小型化による高密度化を実現するとともに、工程数を簡略化することができる。通常の銅ダマシン配線プロセスに、2つのフォトマスクを用いたプロセスを追加するだけで抵抗変化素子を搭載することができ、低コスト化を同時に達成することができる。さらに、銅配線によって構成される最先端のデバイスの内部にも抵抗変化素子を搭載して、装置の性能を向上させることができる。
【0007】
特許文献1の図3によれば、絶縁性バリア膜をドライエッチングすることにより、第1配線の一部に通じる開口部を形成し、露出した第1配線を被覆するように抵抗変化素子膜が堆積される。次に、第1上部電極および第2上部電極が形成され、抵抗変化素子の構成が形成される。
【0008】
特許文献2は、同じく、抵抗変化素子を銅多層配線中に集積化する方法を開示している。特許文献2の図17において、絶縁性バリア膜に開口部を設け、銅配線(第1配線5a、5b)の上面の一部を露出させ、銅配線上に抵抗変化素子膜、第1上部電極および第2上部電極が形成される。ここでは、銅配線の1つの端部が露出するように開口部が設けられ、この端部と抵抗変化素子膜とが接している。
【0009】
図12は、特許文献2の図11に開示された抵抗変化素子の断面構造を示す。第1の抵抗変化素子は、第1銅配線5a’と抵抗変化膜9’と上部電極10’とから構成される。第2の抵抗変化素子は、第1銅配線5b’と抵抗変化膜9’と上部電極10’とから構成される。第1銅配線5a’、5b’は、各々、上面以外はバリアメタル6a’、6b’で覆われ、第1層間絶縁膜4’に埋め込まれている。第1銅配線5a’、5b’の上面は、第1バリア絶縁膜7’で覆われ、第1バリア絶縁膜7’に設けられた開口部26’(図13に記載)を通じて抵抗変化膜9’と接している。
【0010】
抵抗変化膜9’は、第1バリア絶縁膜7’の開口部26’を被覆し、一部は第1バリア絶縁膜7’の上面と接している。抵抗変化膜9’は上部電極10’と接している。上部電極10’は、表面がバリアメタル20’で覆われた銅のプラグ19’と接している。プラグ19’は第2銅配線18’と接している。プラグ19’および第2銅配線18’は第2層間絶縁膜15’に埋め込まれ、第2銅配線18’の上面は第2バリア絶縁膜21’で被覆されている。
【0011】
図13は、図12の構造を作製する過程において、第1バリア絶縁膜7’を開口した工程の断面図と平面図である。開口部26’を形成する工程において、抵抗変化膜9’と第1銅配線5a’の接触面積と、抵抗変化膜9’と第1銅配線5b’の接触面積とが等しいことが望ましい。
【0012】
図12の構造による電気的な特性および開口部の写真が非特許文献2に開示されている。非特許文献2の電気的特性によると、2組の抵抗変化素子は相補型抵抗変化素子(Complementary Atom Switch、CAS)と呼ばれ、プログラム電圧を低減しつつ、高いオフ時信頼性を得ることに成功している。プログラム電圧とは、抵抗変化素子の抵抗が高抵抗状態から低抵抗状態へ変化する際の電圧であり、2V以下が望ましい。また、抵抗変化素子を非特許文献1にあるプログラマブルロジックへ応用する場合には、集積回路の動作電圧(例えば1V)が印加されても、抵抗の変化が起きないことが必要である。つまり、高抵抗状態にある抵抗変化素子に、動作電圧に相当する1Vを集積回路の寿命である10年間印加しても、低抵抗状態に変化しないオフ時信頼性が必要である。相補型素子は、この課題に対して、以下の方法により解決が図られている。
【0013】
金属析出型の抵抗変化素子は、バイポーラ特性を備えている。高抵抗状態にある2つの抵抗変化素子を逆向きに直列接続し、両端に電圧を印加する場合を考える。ここで、2つの抵抗変化素子を逆向きに直列接続するとは、各抵抗変化素子の2つの不関電極同士、あるいは2つの銅電極同士を接続することを指す。図12では、不関電極である上部電極10’を共通化、すなわち接続している。この両端、すなわち、第1銅配線5a’と第2銅配線5b’との間に電圧を印加すると、電圧の極性に関わらず、2つの抵抗変化素子の内の一方には、抵抗変化を起こさない極性の電圧が印加されている。この構成において、集積回路の動作電圧1Vの印加においても高抵抗状態が10年以上維持できることが報告されている(非特許文献2の図16)。
【0014】
また、この直列接続した素子をプログラムする際には、各々の抵抗変化素子に独立に電圧を印加することで、2V程度の低電圧で抵抗が変化することが報告されている(非特許文献2の図9(a))。プログラム電圧の低減には、第1銅配線5a’および第1銅配線5b’の端部が抵抗変化膜9’に接していることも寄与している。抵抗変化膜が銅配線の平坦部に接する特許文献1の構造(特許文献1の図1)に比べて、端部に接している図12の構造の方が、プログラム電圧が低い。銅配線の端部では、銅の形状が先鋭化している。このように電極が先鋭化すると、電界集中が発生する。すなわち、先鋭化した構造によって電界が強められ、銅イオンの生成や移動が活性化し、低いプログラム電圧が実現されている。
【0015】
抵抗変化素子とこれを用いた半導体装置に関連する技術は、特許文献3、特許文献4、特許文献5にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】国際公開第2010/079827号
【文献】国際公開第2011/158821号
【文献】特開2012-204399号公報
【文献】国際公開第2011-158887号
【文献】国際公開第2012-043502号
【非特許文献】
【0017】
【文献】S.Kaeriyama,et al.,“A Nonvolatile Programmable Solid-Electrolyte Nanometer Switch”,IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS,VOL.40,NO.1,pp.168-176、2005.
【文献】M.Tada,T.Sakamoto,et al.,“Highly Reliable, Complementary Atom Switch (CAS) with Low Programming Voltage Embedded in Cu BEOL for Nonvolatile Programmable Logic”,IEDM,Technical Digest,pp.689-692,2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
プログラム電圧は、また、銅配線と抵抗変化膜の接触面積にも依存する。接触する面積が大きいほど、銅架橋が接続される確率が高まるため、プログラム電圧は低くなる。また、高抵抗状態におけるリーク電流も接触面積に依存する。これらのことから、銅配線と抵抗変化膜の接触面積は、抵抗変化素子間で等しいことが求められる。
【0019】
非特許文献2の図7の開口部の写真では、開口部に露出する2つの銅配線の上面の面積がほぼ等しくなっている。このように、露出した銅配線の面積を一定に保つには、開口部の位置を決めるリソグラフィの精度を高める必要がある。現状の精度は液浸露光機で10nmから30nm程度である。よって、開口部26’の銅配線の幅が100nm以下になると、図14に示すように、開口部26’の位置ずれにより開口部26’に露出する銅配線の面積のバラツキが顕著になる。図14は、開口部26’が紙面に向かって左側にずれている場合の例である。抵抗変化素子の微細化に伴い、このずれの影響が大きくなるため、プログラム電圧や高抵抗状態におけるリーク電流のバラツキが問題となる。
【0020】
特許文献1から5、および、非特許文献1から2に開示された技術には、このバラツキを解決するための構造や方法についての開示や示唆はない。そのため、プログラム電圧や高抵抗状態におけるリーク電流のバラツキを低減することはできない。
【0021】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プログラム電圧を低減しつつプログラム電圧および高抵抗状態のリーク電流のバラツキを低減した金属析出型の抵抗変化素子およびこれを用いた半導体装置を製造できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の抵抗変化素子は、トランジスタの形成された半導体基板上に設けられた第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜に埋め込まれ、金属イオンを供給する第1と第2の電極と、前記第1の絶縁膜と前記第1と第2の電極とを覆う第2の絶縁膜と、前記第1と第2の電極の端部を含む上面の一部を、並進対称性を有して前記第2の絶縁膜から露出させる第1と第2の開口部と、前記第1と第2の開口部を各々覆い、前記第1と第2の開口部で前記第1と第2の電極の前記端部を含む前記上面の一部に接続する金属析出型の第1と第2の抵抗変化膜と、前記第1と第2の抵抗変化膜の上面に各々接続する第3と第4の電極と、前記第3と第4の電極とに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極と、を有する。
【0023】
本発明の抵抗変化素子の製造方法は、トランジスタの形成された半導体基板上に第1の絶縁膜を形成し、金属イオンを供給する第1と第2の電極を前記第1の絶縁膜に埋め込んで形成し、前記第1の絶縁膜と前記第1と第2の電極とを覆う第2の絶縁膜を形成し、前記第1と第2の電極の端部を含む上面の一部を、並進対称性を有して前記第2の絶縁膜から各々露出させる第1と第2の開口部を形成し、前記第1と第2の開口部を各々覆い、前記第1と第2の開口部で前記第1と第2の電極の前記端部を含む前記上面の一部に接続する金属析出型の第1と第2の抵抗変化膜を形成し、前記第1と第2の抵抗変化膜の上面に各々接続する第3と第4の電極を形成し、前記第3と第4の電極とに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極を形成する。
【0024】
本発明の半導体装置は、本発明の抵抗変化素子を、多層銅配線を有する半導体集積回路の前記多層銅配線内に組み込んだ半導体装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、プログラム電圧を低減しつつプログラム電圧および高抵抗状態のリーク電流のバラツキを低減した金属析出型の抵抗変化素子およびこれを用いた半導体装置を製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態の抵抗変化素子の構造を示す断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の抵抗変化素子を用いた半導体装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の構造を示す断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の構造を説明するための断面図と平面図である。
図5A】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのレイアウト(銅配線パターン)を示す図である。
図5B】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのレイアウト(開口部パターン)を示す図である。
図5C】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのパターンの重ね合わせを示す図である。
図6A】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのレイアウト(銅配線パターン)を示す図である。
図6B】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのレイアウト(開口部パターン)を示す図である。
図6C】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのパターンの重ね合わせを示す図である。
図7A】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのレイアウト(銅配線パターン)を示す図である。
図7B】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのレイアウト(開口部パターン)を示す図である。
図7C】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子のリソグラフィ工程で用いるレチクルのパターンの重ね合わせを示す図である。
図8A】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の製造方法を示す断面図である。
図8B】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の製造方法を示す断面図である。
図8C】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の製造方法を示す断面図である。
図8D】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の製造方法を示す断面図である。
図8E】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の製造方法を示す断面図である。
図8F】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の製造方法を示す断面図である。
図9】本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子を用いた半導体装置の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第2の実施形態の相補型抵抗変化素子の構成を示す模式図である。
図11】本発明の第2の実施形態の相補型抵抗変化素子を用いたクロスバスイッチの構成を示す図である。
図12】特許文献2に開示された抵抗変化素子の構造を示す断面図である。
図13】特許文献2に開示された抵抗変化素子の構造を説明するための断面図と平面図である。
図14】特許文献2に開示された抵抗変化素子の構造を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の抵抗変化素子の構造を示す断面図である。本実施形態の抵抗変化素子1は、トランジスタの形成された半導体基板上に設けられた第1の絶縁膜11と、第1の絶縁膜11に埋め込まれ、金属イオンを供給する第1の電極12aと第2の電極12bとを有する。さらに、第1の絶縁膜11と第1の電極12aと第2の電極12bとを覆う第2の絶縁膜13と、第1の電極12aと第2の電極12bの端部を含む上面の一部を、並進対称性を有して第2の絶縁膜13から露出させる第1の開口部14aと第2の開口部14bと、を有する。さらに、第1の開口部14aと第2の開口部14bを各々覆い、第1の開口部14aと第2の開口部14bで第1の電極12aと第2の電極12bの前記端部を含む前記上面の一部に接続する金属析出型の第1の抵抗変化膜15aと第2の抵抗変化膜15bとを有する。さらに、第1の抵抗変化膜15aと第2の抵抗変化膜15bの上面に各々接続する第3の電極16aと第4の電極16bと、第3の電極16aと第4の電極16bとに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極17と、を有する。
【0028】
本実施形態の抵抗変化素子1の製造方法は、トランジスタの形成された半導体基板上に第1の絶縁膜11を形成し、金属イオンを供給する第1の電極12aと第2の電極12bを第1の絶縁膜11に埋め込んで形成する。さらに、第1の絶縁膜11と第1の電極12aと第2の電極12bとを覆う第2の絶縁膜13を形成する。さらに、第1の電極12aと第2の電極12bの端部を含む上面の一部を、並進対称性を有して第2の絶縁膜13から各々露出させる第1の開口部14aと第2の開口部14bを形成する。さらに、第1の開口部14aと第2の開口部14bを各々覆い、第1の開口部14aと第2の開口部14bで第1の電極12aと第2の電極12bの前記端部を含む前記上面の一部に接続する金属析出型の第1の抵抗変化膜15aと第2の抵抗変化膜15bを形成する。さらに、第1の抵抗変化膜15aと第2の抵抗変化膜15bの上面に各々接続する第3の電極16aと第4の電極16bを形成する。さらに、第3の電極16aと第4の電極16bとに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極17を形成する。
【0029】
図2は、本実施形態の抵抗変化素子1を組み込んだ半導体装置の構造を示すブロック図である。本実施形態の半導体装置3は、抵抗変化素子1を、多層銅配線を有する半導体集積回路2の前記多層銅配線中に組み込んだ半導体装置である。
【0030】
本実施形態によれば、プログラム電圧を低減しつつプログラム電圧および高抵抗状態のリーク電流のバラツキを低減した金属析出型の抵抗変化素子およびこれを用いた半導体装置を製造できるようになる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態の抵抗変化素子の構造を示す断面図である。本実施形態の抵抗変化素子2は、抵抗変化膜26a、26bに金属イオンを供給する電極である第1の銅配線23a、23bと、第1のバリア絶縁膜24と、抵抗変化膜26a、26bと、金属イオンを供給しない不関電極である上部電極27a、27bとを含む。抵抗変化素子2は、相補型抵抗変化素子の構造を有する。
【0031】
第1の銅配線23a、23bは、トランジスタの形成された半導体基板(図示省略)上に形成された第1の層間絶縁膜21に埋め込まれ、側面と底面とを第1のバリアメタル22a、22bで覆われている。第1の銅配線23a、23bは、半導体集積回路の多層銅配線の一部とすることができる。第1の銅配線23aと第1の銅配線23bの端部を含む上面の一部の各々は、第1のバリア絶縁膜24の開口部25aと開口部25bとによって並進対称性を有して第1のバリア絶縁膜24から露出し、抵抗変化膜26a、26bと接続している。
【0032】
抵抗変化膜26a、26bは上部電極27a、27bと接続している。上部電極27a、27bは、第2のバリアメタル29に底面と側面とを覆われたプラグ30a、30bと接続している。プラグ30a、30bは、第2の銅配線31と接続している。第2の銅配線31の側面およびプラグ30a、30bと接続しない底面は、第2のバリアメタル29で覆われている。
【0033】
第2の銅配線31は、前記トランジスタの拡散層に接続している(図示省略)。拡散層は、例えばトランジスタのドレイン電極である。別の形態として、半導体基板に形成されたダイオードの電極に接続しても良い。
【0034】
第2の銅配線31とプラグ30a、30bと上部電極27a、27bおよび抵抗変化膜26a、26bは、第2の層間絶縁膜28に埋め込まれている。第2の層間絶縁膜28および第2の銅配線31は第2のバリア絶縁膜32で覆われている。第2の銅配線31とプラグ30a、30bとは、半導体集積回路の多層銅配線の一部とすることができる。
【0035】
図4は、抵抗変化素子2の第1のバリア絶縁膜24の開口部25a、25bの位置を説明するための断面図(A-A’断面)と平面図である。第1の銅配線23a、23bと第1のバリアメタル22a、22bおよび第1の層間絶縁膜21を被覆している第1のバリア絶縁膜24の一部をエッチングによって取り除き、開口部25a、25bを設ける。開口部25a、25bは、第1の銅配線23a、23bの端部を含む上面の一部を露出させるように設けられる。
【0036】
このとき、開口部25a、25bから露出する、第1の銅配線23aと第1の銅配線23bの端部を含む上面の一部の各々は、並進対称性を有している。これにより、抵抗変化膜26aと抵抗変化膜26bと接続する第1の銅配線23aと第1の銅配線23bのそれぞれの端部を含む上面の一部の面積は等しくなる。その結果、プログラム電圧および高抵抗状態のリーク電流のバラツキを低減することができる。また、第1の銅配線23a、23bの端部で抵抗変化膜26a、26bに接続するため、プログラム電圧を低減することができる。
【0037】
なお、図4では、第1の銅配線23a、23bの配線終端部が露出する場合を示しているが、第1の銅配線23a、23bの配線中間部の端部(ラインエッジ)が露出する場合としても良い。
【0038】
図5Aは、本実施形態の抵抗変化素子2のリソグラフィ工程で用いるレチクルの、第1の銅配線23a、23bのパターンのレイアウトを示す図である。図5Bは、抵抗変化素子2のリソグラフィ工程で用いるレチクルの、開口部25a、25bのパターンのレイアウトを示す図である。図5Cは、第1の銅配線23a、23bのパターンと開口部25a、25bのパターンとの重ね合わせを示す図である。
【0039】
図5Cに示す重ね合わせによる露出部a、b(第1の銅配線23a、23bの端部を含む上面の一部)は、抵抗変化膜26a、26bに接続し、抵抗変化素子2の電気的特性を決める抵抗変化膜26a、26bとの接続面積を規定する。第1の銅配線23aと第1の銅配線23bとの位置関係、および、開口部25aと開口部25bとの位置関係は、各々、図5Aおよび図5Bのレチクルのレイアウトにより精度よく規定される。
【0040】
一方、第1の銅配線23aと開口部25aとの位置関係、および、第1の銅配線23bと開口部25bとの位置関係は、リソグラフィの重ね合わせ精度に依存し、液浸露光装置を用いた場合は10nmから30nm程度の誤差が生じる。例えば、前述の図14に示すような配置の場合、この重ね合わせの誤差により2つの銅配線の開口部に露出する面積には差が生じる。一方、本実施形態では、図5Aのレチクルで、第1の銅配線23aと第1の銅配線23bのパターンを同時に露光し、図5Bのレチクルで、開口部25aと開口部25bのパターンを同時に露光する。このため、これらを重ね合わせて得られる露出部aと露出部bとは、面内方向で並進対称性を有し、両者の面積は等しくなる。
【0041】
なお、図5Cに示すように、露光装置の重ね合わせ精度を考慮したマージンを設定する必要がある。例えば、第1の銅配線23a、23bのパターンを線幅100nm、開口部25a、25bのパターンを一辺の長さが200nmの正方形、重なりを50nm、マージンを50nmとする、などが可能である。
【0042】
なお、第1の銅配線23a、23bのパターンおよび開口部25a、25bのパターンの製造後の形状は、リソグラフィ時の光の近接効果により角部が丸くなるため、この補正(近接効果補正)を行う場合がある。ただし、この補正を行っても角部の丸みは残る。図4の平面図で第1の銅配線23a、23bや開口部25a、25bを丸く描いているのはこのためである。
【0043】
第1の銅配線23a、23bのパターンおよび開口部25a、25bのパターンのレイアウトは、図5A、Bの他にも、図6A、Bや図7A、Bのようにすることもできる。図6A、Bや図7A、Bの場合も、図6C図7Cに示すように、レチクルを重ね合わせて得られる露出部aと露出部bとは面内方向で並進対称性を有することから、露出部aと露出部bの面積は等しくなる。
【0044】
抵抗変化素子2の構造は、以下の材料を用いることにより作製することができる。
【0045】
シリコン基板上に半導体製造工程を用いて形成されたトランジスタなどの半導体素子等を含む基板(図示省略)上に、第1の層間絶縁膜21が形成される。第1の層間絶縁膜21と第2の層間絶縁膜28とはシリコンと酸素の化合物でよく、より好適には、シリコンと酸素の化合物に任意の量の水素、フッ素、または炭素を添加した低誘電率絶縁膜が好ましい。
【0046】
第1のバリア絶縁膜24と第2のバリア絶縁膜32とは、各々、第1の銅配線23a、23bを含む第1の層間絶縁膜21と、第2の銅配線31を含む第2の層間絶縁膜28上に形成される。第1のバリア絶縁膜24と第2のバリア絶縁膜28は、製造中および製造後に、銅配線に含まれる銅の酸化を防ぐだけでなく、銅が層間絶縁膜に拡散するのを防ぐ効果を有する。第1のバリア絶縁膜24と第2のバリア絶縁膜32としては、例えば、炭化シリコン、炭窒化シリコン、窒化シリコン、およびそれらの積層構造を用いることができる。
【0047】
第1のバリアメタル22a、22bと第2のバリアメタル29とは、例えば、窒化タンタルやタンタル、およびこれらの積層膜でよい。第1のバリアメタル22a、22bと第2のバリアメタル29とは、配線やプラグの銅が層間絶縁膜中へ拡散するのを防ぐ効果を有する。なお、窒化タンタルやタンタルの厚さは5nmから30nm程度でよい。
【0048】
第1の銅配線23a、23bの材料は、抵抗変化膜26a、26bに金属イオンを供給できる金属であり、半導体集積回路の配線材料である銅とすることが好ましい。プラグ30a、30bおよび第2の銅配線31の材料は銅が好ましい。
【0049】
抵抗変化膜26a、26bは、酸化タンタル、酸化チタンなどの酸化物や、硫化銅、硫化銀などのカルコゲナイド材料とすることができる。例えば、プログラマブルロジック用のスイッチング素子としては酸化物が好ましく、特に酸化タンタルが好適である。酸化物が適しているのは、スイッチング時の電圧がロジック電圧よりも高いためである。さらに、酸化タンタルが好ましいのはスイッチングの繰り返し回数が1000回以上の耐久性を有し信頼性が高いためである。イオン伝導層である抵抗変化膜26a、26bの厚さは5nmから20nm程度が好ましい。厚さが5nm以下であると、トンネル電流やショットキー電流のためにオフ時にリーク電流が発生する。一方、厚さが20nm以上であると、スイッチングの電圧が10V以上となって必要な電圧が大きくなる。
【0050】
上部電極27a、27bには、抵抗変化素子膜26a、26bにおいて拡散やイオン伝導しにくい金属を用いる。上部電極27a、27bは、抵抗変化素子膜26a、26bの金属成分(例えばタンタル)よりも酸化の自由エネルギーの絶対値が小さい金属材料とすることが好ましい。上部電極27a、27bには、例えば、ルテニウム、プラチナおよびルテニウム合金を用いることができる。
【0051】
抵抗変化素子2の構造は、以下の製造工程(図8A図8F)により作製することができる。
【0052】
[工程1](層間絶縁膜の形成:図8A) シリコン基板上に半導体製造工程を用いて形成されたトランジスタなどの半導体素子等を含む基板(図示省略)を用意する。前記基板上に、第1の層間絶縁膜21としてシリコン窒化膜を化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition、以下CVDと略す)法により形成する。
【0053】
[工程2](配線の形成:図8B) フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、第1の銅配線23a、23bが埋設される開口部を第1の層間絶縁膜21に形成する。形成した開口部に第1のバリアメタル22a、22b、および銅シード層をCVD法により形成する。第1のバリアメタル22a、22bは、厚さ10nmの窒化タンタルとすることができる。銅シード層の厚さは10nmから100nm程度で、少量の不純物、例えばアルミニウムを含有させる。次に、銅シード層上に銅の電解メッキを行う。銅の厚さは800nmから1200nm程度でよい。さらに、開口部外の不要なバリアメタルおよび銅はケミカル・メカニカル・ポリッシング(Chemical Mechanical Polishing、以下、CMPと略す)法により削り取る。
【0054】
さらに、第1の層間絶縁膜21と第1のバリアメタル11a、22bと第1の銅配線23a、23bとを覆う第1のバリア絶縁膜24として、50nmの厚さを有する炭窒化シリコンをスパッタ法またはCVD法により形成する。
【0055】
さらに、熱処理を行い、銅シード層中の不純物を第1の銅配線23a、23b全体に拡散させる。この熱処理により第1の銅配線23a、23bのエレクトロマイグレーション耐性が向上する。また、第1の銅配線23a、23bと第1のバリアメタル22a、22bとは第1のバリア絶縁膜24に覆われているため、熱処理中の銅配線に含まれる銅の酸化を防ぐことができ、製造歩留まりを高くすることができる。
【0056】
[工程3](バリア絶縁膜の開口:図8C) 第1のバリア絶縁膜24の開口部25a、25bを、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて形成する。開口部25a、25bは、第1の銅配線23a、23bの端部を含む上面の一部を、並進対称性を有して開口部25a、25bから露出させる。この並進対称の構成により、抵抗変化膜26a、26bと接続する第1の銅配線23a、23bのそれぞれの端部を含む上面の一部の面積が等しくなることから、プログラム電圧および高抵抗状態のリーク電流のバラツキを低減し、製造歩留まりを高めることができる。また、第1の銅配線23a、23bの端部で抵抗変化膜26a、26bに接続するため、プログラム電圧を低減することができる。
【0057】
[工程4](抵抗変化層および上部電極の形成:図8D) 抵抗変化膜26a、26bとして酸化タンタルを厚さ15nmで、上部電極27a、27bとしてルテニウムを厚さ50nmで、スパッタ法またはCVD法により形成する。フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、開口部25a、25bを覆い、かつ、第1のバリア絶縁膜24の一部を覆う形状に抵抗変化膜26a、26bおよび上部電極27a、27bを加工する。
【0058】
[工程5](層間絶縁膜の形成:図8E) 第2の層間絶縁膜28として、CVD法によりシリコン酸化膜を形成する。ここで、抵抗変化膜26a、26bや上部電極27a、27bによる段差のために、シリコン酸化膜の表面には段差が存在するため、CMP法によりこの段差を平坦化する。第2の層間絶縁膜28の厚さは600nm程度でよい。
【0059】
[工程6](接続プラグと配線の形成:図8F) フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、プラグ30a、30bおよび第2の銅配線31が埋設される開口部を第2の層間絶縁膜28に形成する。形成した開口部に第2のバリアメタル29、および銅の一部となる銅シード層をスパッタ法またはCVD法により形成する。第2のバリアメタル29は、厚さ10nmの窒化タンタルとすることができる。銅シード層の厚さは10nmから100nm程度でよい。次に、銅シード層上に銅のメッキを行う。銅の厚さは800nmから1200nm程度でよい。さらに、開口部外に形成された不要なバリアメタルおよび銅はCMP法により削り取り、プラグ30a、30bおよび第2の銅配線31を形成する。次に、スパッタ法またはCVD法により、第2のバリア絶縁膜32となる厚さ50nmの炭窒化シリコンを形成する。
【0060】
なお、上記の製造方法では、各層の材質や厚さは、抵抗変化素子としての機能を有する範囲において、様々に変形を行うことが可能である。
【0061】
図9は、本実施形態の抵抗変化素子を用いた半導体装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の半導体装置100は、抵抗変化素子10を、多層銅配線を有する半導体集積回路の前記多層銅配線中に組み込んだクロスバスイッチ20を有する半導体装置である。半導体集積回路はクロスバスイッチ20を備えたプログラマブルロジック回路などとすることができる。半導体装置100は、半導体集積回路を保護するパッケージを有していてもよい。
【0062】
図10は、クロスバスイッチ20に用いる本実施形態の相補型の抵抗変化素子10の構成を示す模式図である。図10の模式図を図3の断面図に対応させると、第1の電極101は第1の銅配線23aに、第2の電極102は第1の銅配線23bに対応する。制御電極103は、順に、上部電極27a、第2のバリアメタル32、プラグ30a、第2の銅配線31、プラグ30b、第2のバリアメタル32、上部電極27bを含む。第2の銅配線31がトランジスタの拡散層に接続することで、制御電極103は抵抗変化素子10のスイッチングを制御する。第1の抵抗変化膜104は抵抗変化膜26aに、第2の抵抗変化膜105は抵抗変化膜26bに対応する。
【0063】
図11は、本実施形態の相補型の抵抗変化素子10を用いたクロスバスイッチ20の構成を示す図である。単位セル201は、1つの抵抗変化素子202と1つのトンランジスタ203とを有する。第1の電極101は第1の配線204に、第2の電極102は第2の配線205に、制御電極103はトランジスタ203のドレインに、それぞれ接続する。トランジスタ203のゲートは第3の配線206に、ソースは第4の配線207に、それぞれ接続する。クロスバスイッチ20により、プログラマブルロジック回路における信号のルーティングが可能である。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、プログラム電圧を低減しつつプログラム電圧および高抵抗状態のリーク電流のバラツキを低減した金属析出型の抵抗変化素子およびこれを用いた半導体装置を製造できるようになる。
【0065】
本発明は、上記実施形態や実施例に限定されることなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。
【0066】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
トランジスタの形成された半導体基板上に設けられた第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜に埋め込まれ、金属イオンを供給する第1と第2の電極と、
前記第1の絶縁膜と前記第1と第2の電極とを覆う第2の絶縁膜と、
前記第1と第2の電極の端部を含む上面の一部を、並進対称性を有して前記第2の絶縁膜から露出させる第1と第2の開口部と、
前記第1と第2の開口部を各々覆い、前記第1と第2の開口部で前記第1と第2の電極の前記端部を含む前記上面の一部に接続する金属析出型の第1と第2の抵抗変化膜と、
前記第1と第2の抵抗変化膜の上面に各々接続する第3と第4の電極と、
前記第3と第4の電極とに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極と、を有する抵抗変化素子。
(付記2)
前記抵抗変化膜は、酸化タンタル、酸化チタン、硫化銅、硫化銀、酸化ケイ素の内の少なくとも一つを含む、付記1記載の抵抗変化素子。
(付記3)
前記第1と第2の電極は、銅を含む、付記1または2記載の抵抗変化素子。
(付記4)
前記第1と第2の電極は、半導体集積回路の多層銅配線内の銅配線を含む、付記1から3の内の1項記載の抵抗変化素子。
(付記5)
前記第3と第4の電極は、ルテニウム、プラチナの内の少なくとも一つを含む、付記1から4の内の1項記載の抵抗変化素子。
(付記6)
トランジスタの形成された半導体基板上に第1の絶縁膜を形成し、
金属イオンを供給する第1と第2の電極を前記第1の絶縁膜に埋め込んで形成し、
前記第1の絶縁膜と前記第1と第2の電極とを覆う第2の絶縁膜を形成し、
前記第1と第2の電極の端部を含む上面の一部を、並進対称性を有して前記第2の絶縁膜から各々露出させる第1と第2の開口部を形成し、
前記第1と第2の開口部を各々覆い、前記第1と第2の開口部で前記第1と第2の電極の前記端部を含む前記上面の一部に接続する金属析出型の第1と第2の抵抗変化膜を形成し、
前記第1と第2の抵抗変化膜の上面に各々接続する第3と第4の電極を形成し、
前記第3と第4の電極とに接続し、前記トランジスタの拡散層に接続する第5の電極を形成する、抵抗変化素子の製造方法。
(付記7)
同一のフォトマスク上のパターンで前記第1と第2の電極を露光し、別の同一のフォトマスク上のパターンで前記第1と第2の開口部を露光する、付記6記載の抵抗変化素子の製造方法。
(付記8)
前記抵抗変化膜は、酸化タンタル、酸化チタン、硫化銅、硫化銀、酸化ケイ素の内の少なくとも一つを含む、付記6または7記載の抵抗変化素子の製造方法。
(付記9)
前記第1と第2の電極は、銅を含む、付記6から8の内の1項記載の抵抗変化素子の製造方法。
(付記10)
前記第1と第2の電極は、半導体集積回路の多層銅配線内の銅配線を含む、付記6から9の内の1項記載の抵抗変化素子の製造方法。
(付記11)
前記第3と第4の電極は、ルテニウム、プラチナの内の少なくとも一つを含む、付記6から10の内の1項記載の抵抗変化素子の製造方法。
(付記12)
付記1から5の内の1項記載の抵抗変化素子を、多層銅配線を有する半導体集積回路の前記多層銅配線内に組み込んだ半導体装置。
【0067】
この出願は、2015年9月24日に出願された日本出願特願2015-186356を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0068】
1、2、10 抵抗変化素子
2 半導体集積回路
3、100 半導体装置
11 第1の絶縁膜
12a 第1の電極
12b 第2の電極
13 第2の絶縁膜
14a 第1の開口部
14b 第2の開口部
15a 第1の抵抗変化膜
15b 第2の抵抗変化膜
16a 第3の電極
16b 第4の電極
17 第5の電極
21 第1の層間絶縁膜
22a、22b 第1のバリアメタル
23a、23b 第1の銅配線
24 第1のバリア絶縁膜
25a、25b 開口部
26a、26b 抵抗変化膜
27a、27b 上部電極
28 第2の層間絶縁膜
29 第2のバリアメタル
30a、30b プラグ
31 第2の銅配線
101 第1の電極
102 第2の電極
103 制御電極
104 第1の抵抗変化膜
105 第2の抵抗変化膜
20 クロスバスイッチ
201 単位セル
202 抵抗変化素子
203 トランジスタ
204 第1の配線
205 第2の配線
206 第3の配線
207 第4の配線
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
図14