(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】需要予測装置、需要予測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20120101AFI20220215BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20220215BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220215BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q10/00 300
G06Q50/10
G03G21/00 396
(21)【出願番号】P 2018004703
(22)【出願日】2018-01-16
【審査請求日】2020-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】伊加田 恵志
(72)【発明者】
【氏名】阿部 興
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 稔成
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-263300(JP,A)
【文献】特開2010-146413(JP,A)
【文献】特開2004-359415(JP,A)
【文献】特開2011-232950(JP,A)
【文献】山本 伸幸ほか,消耗品生産における需要の変化点分析に関する研究,経営情報学会誌,経営情報学会,2008年03月04日,第14巻,第2号,第43-58頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品に使用される交換可能な消耗品の需要予測を行う需要予測装置であって、
所定の時刻tにおける前記製品の累計出荷数の期待値A(t)、前記所定の時刻tにおける前記製品の稼働台数の期待値B(t)、前記所定の時刻tにおける前記消耗品の出荷数の期待値C(t)、前記製品の利用停止の割合を表すパラメータp、前記消耗品の利用割合を表すパラメータq、前記製品の購入時の前記消耗品の同時購入割合を表すパラメータrを用いて、前記消耗品の需要曲線を
数式(F-1)として表された第1モデル、及び前記製品の稼働台数の時間変化率を
数式(F-2)として表された第2モデルに基づいた、需要予測モデルを記憶する需要予測モデル記憶部と、
前記製品の販売実績数及び前記消耗品の販売実績数に基づいて、前記需要予測モデル記憶部に記憶された
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定を行い、
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定値であるパラメータ推定値を算出するパラメータ算出部と、
前記パラメータ算出部により算出された前記パラメータ推定値を記憶するパラメータ記憶部と、
前記需要予測モデル記憶部に記憶された前記需要予測モデル、前記パラメータ記憶部に記憶された前記パラメータ推定値、及び将来の製品販売計画数に基づいて、前記消耗品の需要台数の予測値を算出する予測値算出部と、
を備える需要予測装置。
【数1】
【請求項2】
前記予測値算出部は、前記需要予測モデルに、前記パラメータ推定値、前記製品の販売実績数、前記消耗品の販売実績数、及び前記将来の製品販売計画数を投入して、前記予測値を算出する、請求項1に記載の需要予測装置。
【請求項3】
前記需要予測モデルは、ユーザの操作に基づいて選択される、
請求項1または2に記載の需要予測装置。
【請求項4】
製品に使用される交換可能な消耗品の需要予測を行う需要予測方法であって、
所定の時刻tにおける前記製品の累計出荷数の期待値A(t)、前記所定の時刻tにおける前記製品の稼働台数の期待値B(t)、前記所定の時刻tにおける前記消耗品の出荷数の期待値C(t)、前記製品の利用停止の割合を表すパラメータp、前記消耗品の利用割合を表すパラメータq、前記製品の購入時の前記消耗品の同時購入割合を表すパラメータrを用いて、前記消耗品の需要曲線を
数式(F-1)として表された第1モデル、及び前記製品の稼働台数の時間変化率を
数式(F-2)として表された第2モデルに基づいた、需要予測モデルを記憶することと、
前記製品の販売実績数及び前記消耗品の販売実績数に基づいて、記憶された
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定を行い、
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定値であるパラメータ推定値を算出することと、
算出された前記パラメータ推定値を記憶することと、
記憶された前記需要予測モデル、記憶された前記パラメータ推定値、及び将来の製品販売計画数に基づいて、前記消耗品の需要台数の予測値を算出することと、
を含む、需要予測方法。
【数2】
【請求項5】
コンピュータに製品に使用される交換可能な消耗品の需要予測機能を実現させるためのプログラムであって、
所定の時刻tにおける前記製品の累計出荷数の期待値A(t)、前記所定の時刻tにおける前記製品の稼働台数の期待値B(t)、前記所定の時刻tにおける前記消耗品の出荷数の期待値C(t)、前記製品の利用停止の割合を表すパラメータp、前記消耗品の利用割合を表すパラメータq、前記製品の購入時の前記消耗品の同時購入割合を表すパラメータrを用いて、前記消耗品の需要曲線を
数式(F-1)として表された第1モデル、及び前記製品の稼働台数の時間変化率を
数式(F-2)として表された第2モデルに基づいた、需要予測モデルを記憶する機能と、
前記製品の販売実績数及び前記消耗品の販売実績数に基づいて、記憶された
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定を行い、
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定値であるパラメータ推定値を算出する機能と、
算出された前記パラメータ推定値を記憶する機能と、
記憶された前記需要予測モデル、記憶された前記パラメータ推定値、及び将来の製品販売計画数に基づいて、前記消耗品の需要台数の予測値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【数3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要予測装置、需要予測方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交換可能な消耗品を使用する製品(以下、本体とも呼ぶ)に関して、当該消耗品に関する需要量を予測する技術が存在する。例えば、下記特許文献1には、本体稼働実績台数を予測に組み込んで、消耗品の需要予測を行う技術が記載されている。なお、下記特許文献1には、上記の本体稼働実績台数は、サービスエンジニアがメンテナンスで顧客を訪問した際に確認されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本体稼働実績台数をサービスエンジニアが確認することは人的負担が大きかった。特に、需要予測を行う消耗品に係る本体が、掃除機やエアコンなどの家電をはじめ多数の家庭等に存在する製品である場合、各家庭をサービスエンジニアが訪問して本体の稼働状況を頻繁に確認することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、人的負担を軽減させつつ、消耗品に関する需要量を予測することが可能な、新規かつ改良された需要予測装置、需要予測方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、製品に使用される交換可能な消耗品の需要予測を行う需要予測装置であって、
所定の時刻tにおける前記製品の累計出荷数の期待値A(t)、前記所定の時刻tにおける前記製品の稼働台数の期待値B(t)、前記所定の時刻tにおける前記消耗品の出荷数の期待値C(t)、前記製品の利用停止の割合を表すパラメータp、前記消耗品の利用割合を表すパラメータq、前記製品の購入時の前記消耗品の同時購入割合を表すパラメータrを用いて、前記消耗品の需要曲線を
数式(F-1)として表された第1モデル、及び前記製品の稼働台数の時間変化率を
数式(F-2)として表された第2モデルに基づいた、需要予測モデルを記憶する需要予測モデル記憶部と、前記製品の販売実績数及び前記消耗品の販売実績数に基づいて、前記需要予測モデル記憶部に記憶された
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定を行い、
前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定値であるパラメータ推定値を算出するパラメータ算出部と、前記パラメータ算出部により算出された前記パラメータ推定値を記憶するパラメータ記憶部と、前記需要予測モデル記憶部に記憶された前記需要予測モデル、前記パラメータ記憶部に記憶された前記パラメータ推定値、及び将来の製品販売計画数に基づいて、前記消耗品の需要台数の予測値を算出する予測値算出部と、を備える需要予測装置が提供される。
【数1】
【0007】
前記予測値算出部は、前記需要予測モデルに、前記パラメータ推定値、前記製品の販売実績数、前記消耗品の販売実績数、及び前記将来の製品販売計画数を投入して、前記予測値を算出してもよい。
【0012】
前記需要予測モデルは、ユーザの操作に基づいて選択されてもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、製品に使用される交換可能な消耗品の需要予測を行う需要予測方法であって、所定の時刻tにおける前記製品の累計出荷数の期待値A(t)、前記所定の時刻tにおける前記製品の稼働台数の期待値B(t)、前記所定の時刻tにおける前記消耗品の出荷数の期待値C(t)、前記製品の利用停止の割合を表すパラメータp、前記消耗品の利用割合を表すパラメータq、前記製品の購入時の前記消耗品の同時購入割合を表すパラメータrを用いて、前記消耗品の需要曲線を数式(F-1)として表された第1モデル、及び前記製品の稼働台数の時間変化率を数式(F-2)として表された第2モデルに基づいた、需要予測モデルを記憶することと、前記製品の販売実績数及び前記消耗品の販売実績数に基づいて、前記需要予測モデル記憶部に記憶された前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定を行い、前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定値であるパラメータ推定値を算出することと、前記パラメータ算出部により算出された前記パラメータ推定値を記憶することと、前記需要予測モデル記憶部に記憶された前記需要予測モデル、前記パラメータ記憶部に記憶された前記パラメータ推定値、及び将来の製品販売計画数に基づいて、前記消耗品の需要台数の予測値を算出することと、を含む、需要予測方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに製品に使用される交換可能な消耗品の需要予測機能を実現させるためのプログラムであって、所定の時刻tにおける前記製品の累計出荷数の期待値A(t)、前記所定の時刻tにおける前記製品の稼働台数の期待値B(t)、前記所定の時刻tにおける前記消耗品の出荷数の期待値C(t)、前記製品の利用停止の割合を表すパラメータp、前記消耗品の利用割合を表すパラメータq、前記製品の購入時の前記消耗品の同時購入割合を表すパラメータrを用いて、前記消耗品の需要曲線を数式(F-1)として表された第1モデル、及び前記製品の稼働台数の時間変化率を数式(F-2)として表された第2モデルに基づいた、需要予測モデルを記憶する機能と、前記製品の販売実績数及び前記消耗品の販売実績数に基づいて、前記需要予測モデル記憶部に記憶された前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定を行い、前記パラメータp、前記パラメータq、及び前記パラメータrの推定値であるパラメータ推定値を算出する機能と、前記パラメータ算出部により算出された前記パラメータ推定値を記憶する機能と、前記需要予測モデル記憶部に記憶された前記需要予測モデル、前記パラメータ記憶部に記憶された前記パラメータ推定値、及び将来の製品販売計画数に基づいて、前記消耗品の需要台数の予測値を算出する機能と、を実現させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、人的負担を軽減させつつ、消耗品に関する需要量を予測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る需要予測装置1の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】本体販売実績台数蓄積部102に蓄積される本体販売実績台数のデータの一例を示す表である。
【
図3】消耗品販売実績台数蓄積部104に蓄積される消耗品販売実績台数のデータの一例を示す表である。
【
図4】本体販売計画台数蓄積部106に蓄積される本体販売計画台数のデータの一例を示す表である。
【
図5】本実施形態に係る需要予測装置1の動作概要を示すフローチャート図である。
【
図6】モデル構築ステップS10のより詳細な流れを示すフローチャート図である。
【
図7】集計処理が施された本体販売実績台数の一例を示す表である。
【
図8】集計処理が施された消耗品販売実績台数の一例を示す表である。
【
図9】消耗品需要予測ステップS20のより詳細な流れを示すフローチャート図である。
【
図10】結合された本体台数のデータの一例を示す表である。
【
図11】出力部122により出力される消耗品の需要台数の予測値の例を示す表である。
【
図12】本発明の実施形態に係る需要予測装置1のハードウェア構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0019】
<<1.背景>>
まず、本発明の一実施形態による需要予測装置の創作に至った背景を説明する。
【0020】
従来、交換可能な消耗品を使用する製品(本体)に関して、当該消耗品に関する需要量は、例えば過去の販売実績や、市場の動向、本体の販売計画数等から、人手により経験的に予測されていた。このような人手による予測は、人的負担が大きいことに加え、予測値が個人の技量や経験に大きく影響されてしまうため、精度が低い場合があった。
【0021】
また、上記特許文献1のように、消耗品の需要予測を行う技術も存在するが、当該技術において需要予測に用いられる本体稼働実績台数は、サービスエンジニアがメンテナンス時に確認する必要があり、やはり人的負担が大きかった。
【0022】
このような人的負担を軽減させるため、サービスエンジニアが直接的に本体稼働実績台数を確認する代わりに、数理モデルを用いて、本体稼働台数を推定することも考えられる。例えば、平均故障間隔やワイブル分布に基づいた固定的なモデルを用いて本体稼働台数を推定し、推定された本体の稼働台数を用いて消耗品の需要予測を行うことが可能であると考えられる。
【0023】
しかし、このようなモデルを用いて本体稼働台数を推定する場合、本体の利用が故障以外の理由で停止する割合について考慮されない。したがって、このようなモデルを用いて本体稼働台数を推定した場合、時間経過と共に、推定される稼働台数と実際の稼働台数とが乖離していくことが考えられ、その結果、消耗品の需要予測精度が低下してしまう恐れがある。
【0024】
そこで、本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の一実施形態を創作するに至った。本発明の一実施形態による需要予測装置は、消耗品の需要曲線を表す第1のモデルと本体の稼働台数の時間変化率を表す第2モデルとに基づいた需要予測モデルを用いることで、直接的に観測できない本体の稼働台数と消耗品の需要数との関係を明らかにする。以下に説明する本実施形態によれば、予測を行う時点での本体の稼働台数が、過去の消耗品の消費実績に基づいて推定されるため、時間が経過したとしても、推定される稼働台数と実際の稼働台数との乖離を抑制することが可能である。このように、本実施形態によれば、本体の稼働台数をより高精度に予測することが可能であり、結果として人的負担を軽減させつつ、高精度に消耗品の需要予測を行うことができる。
【0025】
以下、本実施形態において、上記の効果を実現するための需要予測装置について、より詳細に説明する。
【0026】
<<2.構成>>
図1は、本発明の一実施形態に係る需要予測装置1の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態に係る需要予測装置1は、交換可能な消耗品を使用する製品に関する需要予測を行う装置であり、より具体的には、当該消耗品の需要予測を行う情報処理装置である。需要予測装置1は、消耗品の需要台数の予測値を算出し、当該予測値は、例えば当該消耗品の販売計画台数(将来の販売台数)として用いられてもよい。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る需要予測装置1は、本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、本体販売計画台数蓄積部106、取得部108、データ処理部110、入力部112、需要予測モデル記憶部114、パラメータ算出部116、パラメータ記憶部118、予測値算出部120、及び出力部122を備える情報処理装置である。
【0028】
本体販売実績台数蓄積部102には、需要予測の対象となる消耗品を使用する製品である本体がこれまでに(過去に)販売された台数(以下、本体販売実績台数とも呼ぶ)のデータが蓄積される。
図2は、本体販売実績台数蓄積部102に蓄積される本体販売実績台数のデータの一例を示す表である。
【0029】
なお、本体販売実績台数蓄積部102に蓄積されるデータの形式は
図2に示した例に限定されない。例えば、本体1台ごとに販売された日時が記録されていてもよいし、予測を行いたい時間単位(例えば月や日等)ごとに販売された本体の台数を合計した値が記録されていてもよい。
【0030】
消耗品販売実績台数蓄積部104には、需要予測の対象となる消耗品がこれまでに(過去に)販売された台数(以下、消耗品販売実績台数とも呼ぶ)のデータが蓄積される。
図3は、消耗品販売実績台数蓄積部104に蓄積される消耗品販売実績台数のデータの一例を示す表である。
【0031】
なお、消耗品販売実績台数蓄積部104に蓄積されるデータの形式は
図3に示した例に限定されない。例えば、上述した本体の例と同様に、消耗品1台ごとに販売された日時が記録されていてもよいし、予測を行いたい時間単位(例えば月や日等)ごとに販売された消耗品の台数を合計した値が記録されていてもよい。
【0032】
本体販売計画台数蓄積部106には、需要予測装置1による需要予測の対象となる将来の期間における本体の販売予定台数(以下、本体販売計画台数とも呼ぶ)のデータが蓄積される。
図4は、本体販売計画台数蓄積部106に蓄積される本体販売計画台数のデータの一例を示す表である。ただし、本体販売計画台数蓄積部106に蓄積されるデータの形式は
図4に示した例に限定されない。
【0033】
取得部108は、上述した本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106の各々から、本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数に関するデータを取得し、データ処理部110へ提供する。
【0034】
データ処理部110は、取得部108により取得されたデータに対して所定の処理を施し、パラメータ算出部116、及び予測値算出部120へ提供する。例えば、データ処理部110は、取得部108により取得された本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数の各々のデータに対して、予測を行いたい時間単位(例えば月や日)ごとに台数を合計する集計処理を施す。また、データ処理部110は、上記集計処理が施された本体販売実績台数のデータ、及び上記集計処理が施された本体販売計画台数のデータを結合する結合処理を施す。データ処理部110は、上記集計処理が施された本体販売実績台数のデータ、及び上記集計処理が施された消耗品販売実績台数のデータをパラメータ算出部116へ提供する。また、データ処理部110は、上記結合処理により得られる、結合された本体台数のデータ、及び上記集計処理が施された消耗品販売実績台数のデータを予測値算出部120へ提供する。
【0035】
入力部112は、需要予測装置1が消耗品の需要予測を行うための需要予測モデル(例えば数式)の入力を行う。入力部112により入力された需要予測モデルは、需要予測モデル記憶部114へ入力され、需要予測モデル記憶部114に記憶される。なお、需要予測モデルの詳細については後述するが、本実施形態に係る需要予測モデルは、消耗品の需要曲線を表す第1モデルと、本体の稼働台数の時間変化率を表す第2モデルと、に基づく数理モデルであってもよい。
【0036】
例えば、入力部112の機能は、マウスやキーボード、タッチパネル、ボタン等のユーザによる操作を受け付けるインタフェースにより実現されてもよく、ユーザの操作に基づいて需要予測モデルの入力が行われてもよい。係る場合、例えばユーザの操作により予め用意された複数の需要予測モデルの中から1の需要予測モデルが選択されて入力されてもよいし、ユーザの操作により需要予測モデルが作成されて入力されてもよい。
【0037】
また、入力部112は、予め用意された需要予測モデルに関するデータを、外部装置から受信し、あるいは需要予測装置1の不図示の構成から読み出して、需要予測モデル記憶部114へ入力してもよい。
【0038】
需要予測モデル記憶部114は、入力部112により入力された需要予測モデルを記憶する。なお、需要予測モデル記憶部114の機能は、例えば一時的にデータを記憶する揮発性メモリにより実現されてもよいし、不揮発性メモリにより実現されてもよい。
【0039】
パラメータ算出部116は、需要予測モデル記憶部114に記憶されている需要予測モデルに含まれる未知のパラメータの推定を行い、パラメータ推定値を算出する。需要予測モデルの詳細については後述するが、需要予測モデル記憶部114に記憶されている需要予測モデルには、少なくとも1つ以上の未知のパラメータが係数、あるいは項として含まれており、パラメータ算出部116は係る未知のパラメータの推定を行う。
【0040】
パラメータ算出部116は、本体販売実績台数及び消耗品販売実績台数に基づいて、需要予測モデルに含まれるパラメータの推定値を算出してもよい。なお、上述したように、本体販売実績台数及び消耗品販売実績台数のデータは、データ処理部110によって予測を行う時間単位ごとに台数を合計する集計処理がそれぞれ施された上でパラメータ算出部116に提供されてもよい。
【0041】
また、パラメータ算出部116は例えば、本体販売実績台数に基づいて需要予測モデルにより算出される消耗品の販売台数と、実際の消耗品販売実績台数との差をより小さくするようなパラメータを、パラメータ推定値として算出してもよい。係る構成により、パラメータ推定値を適用した需要予測モデルが、本体販売実績台数及び消耗品販売実績台数により整合したものとなる。
【0042】
パラメータ記憶部118は、パラメータ算出部116により算出されたパラメータ推定値を記憶する。なお、パラメータ記憶部118の機能は、例えば一時的にデータを記憶する揮発性メモリにより実現されてもよいし、不揮発性メモリにより実現されてもよい。
【0043】
予測値算出部120は、需要予測モデル記憶部114に記憶された需要予測モデル、パラメータ記憶部118に記憶されたパラメータ推定値、本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数に基づいて、消耗品の需要台数の予測値を算出する。なお、上述したように、消耗品販売実績台数のデータは、データ処理部110によって予測を行う時間単位ごとに台数を合計する集計処理がそれぞれ施された上で予測値算出部120に提供されてもよい。また、上述したように、本体販売実績台数と本体販売計画台数のデータは、データ処理部110によって予測を行う時間単位ごとに台数を合計する集計処理がそれぞれ施され、さらに結合されたデータとして予測値算出部120に提供されてもよい。
【0044】
例えば、予測値算出部120は、需要予測モデル記憶部114に記憶された需要予測モデルに、上述したパラメータ推定値、本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数を投入して、消耗品の需要台数の予測値を算出する。予測値算出部120は、消耗品の需要台数の予測値を、予め設定された予測を行いたい時間単位(例えば月や日等)ごとに算出してもよい。また、予測値算出部120による予測の対象となる期間(予測対象期間)は、本体販売計画台数蓄積部106に本体販売計画台数のデータが蓄積された期間と同一であってもよい。
【0045】
出力部122は、予測値算出部120により算出された消耗品の需要台数の予測値を出力する。例えば出力部122は、モニタを含んで構成されてもよく、係る場合、出力部122は、消耗品の需要台数の予測値を表示出力する。あるいは、出力部122は、消耗品の需要台数の予測値を、需要予測装置1内のストレージあるいは外部装置へ、予め指定されたファイル形式のファイルとして出力してもよい。
【0046】
<<3.動作>>
<3-1.動作概要>>
以上、本実施形態に係る需要予測装置1の機能構成例について説明した。続いて、本実施形態に係る需要予測装置1の動作例について説明する。
図5は、本実施形態に係る需要予測装置1の動作概要を示すフローチャート図である。
【0047】
図5に示すように、まず本実施形態に係る需要予測装置1は、需要予測モデルに含まれる未知パラメータの推定を行い、需要予測モデルを構築する(S10)。なお、以下では、ステップS10をモデル構築ステップとも呼び、モデル構築ステップの詳細については
図6~
図8を参照して後述する。
【0048】
続いて、本実施形態に係る需要予測装置1は、ステップS10で構築された需要予測モデルを用いて、消耗品の需要予測を行う(S20)。なお、以下では、ステップS20を消耗品需要予測ステップとも呼び、消耗品需要予測ステップの詳細については
図9~
図11を参照して後述する。
【0049】
なお、
図5に示す処理は、適宜繰り返されてもよく、例えば
図5に示す処理により消耗品の需要予測を行った後、当該需要予測における予測対象期間が終了する前に、当該予測対象期間後の消耗品の需要予測を行うために再度
図5に示す処理が行われてもよい。また、
図5では、モデル構築ステップS10に続いて消耗品需要予測ステップS20が1回行われる例を示しているが、消耗品需要予測ステップS20は、一旦モデル構築ステップS10が完了していれば、何度でも行うことが可能である。つまり、モデル構築ステップS10が繰り返される期間は、消耗品需要予測ステップS20が繰り返される期間よりも長くてもよい。
【0050】
以上、本実施形態に係る需要予測装置1の動作概要について説明した。続いて、
図5に示したモデル構築ステップS10、及び消耗品需要予測ステップS20について、順次より詳細に説明を行う。
【0051】
<3-2.モデル構築ステップ>>
図6は、モデル構築ステップS10のより詳細な流れを示すフローチャート図である。まず、入力部112により需要予測モデルの入力が行われる(S102)。例えば、ユーザがキーボードのインタフェースを操作して、予め用意された複数の需要予測モデルの中から1の需要予測モデルが選択することにより、当該需要予測モデルが入力されてもよい。あるいは、所定の書式に基づいて予め用意された需要予測モデルに関するデータが、外部装置から受信され、あるいは需要予測装置1の不図示の構成から読み出されて、入力されてもよい。
【0052】
ステップS102において入力された需要予測モデルは、需要予測モデル記憶部114に記憶される(S104)。
【0053】
続いて、取得部108が、本体販売実績台数蓄積部102、及び消耗品販売実績台数蓄積部104の各々から、本体販売実績台数、及び消耗品販売実績台数に関するデータ(実績データ)を取得する(S106)。
【0054】
続いて、データ処理部110が、ステップS106で取得された実績データの各々に対し、予測を行いたい時間単位(例えば月や日)ごとに台数を合計する集計処理を施す(S108)。
図7は、集計処理が施された本体販売実績台数の一例を示す表である。また、
図8は、集計処理が施された消耗品販売実績台数の一例を示す表である。
図7、及び
図8に示す例は、それぞれ
図2、及び
図3に示された本体販売実績台数、及び消耗品販売実績台数に対して1日単位の時間単位で集計処理を施して得られたものである。なお、本体販売実績台数蓄積部102、及び消耗品販売実績台数蓄積部104に記憶された本体販売実績台数、及び消耗品販売実績台数のデータが予め予測を行いたい時間単位ごとに台数が合計されている場合、ステップS108の処理はスキップされてもよい。
【0055】
図6に示すように、続くステップS110において、パラメータ算出部116は、ステップS108で集計処理が施された本体販売実績台数、及び消耗品販売実績台数に基づいて、需要予測モデルに含まれる未知パラメータの推定値を算出する。
【0056】
ここで、本実施形態に係る需要予測モデルの詳細について説明する。上述したように、本実施形態に係る需要予測モデルは、消耗品の需要曲線を表す第1モデルと、本体の稼働台数の時間変化率を表す第2モデルと、に基づく数理モデルである。例えば、第1モデル、及び第2モデルがそれぞれ方程式として表される場合、需要予測モデルは、第1モデルと第2モデルの連立方程式、あるいは当該連立方程式を式変形して得られるモデルであってもよい。
【0057】
例えば、第1モデル、及び第2モデルは、それぞれ微分方程式として表すことが可能であり、係る場合、需要予測モデルは第1モデル、及び第2モデルを連立した連立微分方程式、あるいは当該連立微分方程式を式変形して得られるモデルであってよい。以下に示す数式(1-1)及び数式(1-2)は、それぞれ微分方程式として表された第1モデル、及び第2モデルの一例であり、需要予測モデルは、以下のように数式(1-1)及び数式(1-2)を連立した連立微分方程式である数式(1)として表され得る。
【0058】
【0059】
上記の数式(1)において、A(t)は、所定の時刻tにおける本体の累計出荷数の期待値であり、B(t)は、時刻tにおける本体の稼働台数の期待値であり、C(t)は、時刻tにおける消耗品の出荷数の期待値である。上記の数式(1)は、消耗品の出荷数の期待値C(t)の時間変化率は本体の稼働台数に応じて線形に増加するという考えに加え、本体の稼働台数の変化量が本体の出荷による増加分と定常的減衰の和で表されるという考えに基づいた需要予測モデルである。
【0060】
また、上記の数式(1)において、p、q、及びrは未知のパラメータである。pは本体の利用停止の割合を表し、0<p<1である。また、qは消耗品の利用割合を表し、q>0である。また、rは本体購入時の消耗品の同時購入割合を表し、r>0である。
【0061】
数式(1-1)のように、消耗品の需要曲線を表す第1モデルは、消耗品の需要台数が現時点での本体の稼働台数に基づいているという考えに従ったモデルである。さらに、数式(1-1)のように、消耗品の需要曲線を表す第1モデルにおいて、新たに出荷された本体と同時に購入される消耗品が考慮されてもよい。数式(1-1)において、消耗品の出荷数の期待値C(t)の時間変化率dC(t)/dtは、消耗品の利用割合qと本体の稼働台数の期待値B(t)の積である第1の項と、本体購入時の消耗品の同時購入割合rと、新たに出荷された本体台数dA(t)/dtの積である第2の項と、の和によって表現されている。
【0062】
また、第2モデルである数式(1-2)は、未観測である本体の稼働台数の期待値B(t)を推定するための数式である。数式(1-2)において、本体の稼働台数の期待値B(t)の時間変化率dB(t)/dtは、新たに出荷された本体台数dA(t)/dtから、本体の稼働台数のうち所定の割合を減算することで推定されている。なお、数式(1-2)において、本体の稼働台数のうち所定の割合は、本体の利用停止の割合pと本体の稼働台数の期待値B(t)の積で表現されている。
【0063】
また、需要予測モデルは、上記の数式(1)に代えて、以下の数式(2)のように、第1モデル、及び第2モデルの他の例である数式(2-1)、及び数式(2-2)を連立した連立微分方程式として表されてもよい。
【0064】
【0065】
上記の数式(2)において、D(t)は、時刻tにおいて離脱した本体の台数である。また、したがって、上記の数式(2)における、A(t)-D(t)は、本体の稼働台数の期待値を意味し、上述した数式(1)におけるB(t)に相当する。したがって、上記の数式(2)は、上記の数式(1)と同様に、消耗品の出荷数の期待値C(t)の時間変化率は本体の稼働台数に応じて線形に増加することを表す式であり、数式(1)と同じメカニズムの別の表現となっている。
【0066】
図6に示すステップS110において、パラメータ算出部116は、例えば数式(1)、あるいは数式(2)における未知のパラメータp、q、及びrを算出する。パラメータ算出部116による未知のパラメータp、q、及びrの算出方法の一例を以下に説明する。なお、以下では需要予測モデルが数式(1)のように表現された場合を例に説明するが、需要予測モデルが数式(2)のように表現された場合であっても同様に算出可能である。
【0067】
まず、数式(1)を本体の稼働台数の期待値B(t)について解くと、以下の数式(3)が得られる。
【0068】
【0069】
また、数式(1)を消耗品の出荷数の期待値C(t)について解くと、以下の数式(4)が得られる。
【0070】
【0071】
ここで、消耗品の出荷、及び本体の出荷といったイベントに非定常ポアソン過程を仮定し、また本体の累計出荷数の期待値A(t)をBassのモデルに従う分布であると仮定する。強度関数に数式(1)を仮定するため、尤度関数は以下の数式(5)のようになる。
【0072】
【0073】
ここで、ΔA(t)=A(t+1)-A(t)であり、θはA(t)のパラメータ、ηはB(t)、C(t)のパラメータである。ここで、A(t)は、B(t)、C(t)のパラメータには依存しない。したがって、まず第1段階において本体の出荷数xtよりA(t)のパラメータを求め、次に第2段階においてA(t)のパラメータを所与として、消耗品の出荷数ytより、B(t)、C(t)のパラメータを求めるという、2段階の方法を採用することができる。
【0074】
第1段階において最大化されるべき推定方程式は、以下の数式(6)のように表される。
【0075】
【0076】
また、第2段階において最大化されるべき推定方程式は、以下の数式(7)のように表される。
【0077】
【0078】
パラメータ算出部116は、例えばニュートン法等の最適化手法を用いて、上記の数式(6)、及び数式(7)の右辺を最大化するようなパラメータ推定値を段階的に算出する。なお、ここで、最大化するとは、可能な限り大きな値とすることを意味し、例えば最適化手法を用いて局所最大化することを含み得る。
【0079】
また、パラメータ算出部116は、上記の数式(6)及び数式(7)を順次1回ずつ最大化することでパラメータ推定値を算出してもよいし、繰り返し最大化することでパラメータ推定値を算出してもよい。繰り返し最大化される場合、例えば所定の回数繰り返されてもよいし、繰り返しによる差異が所定の閾値以下となるまで繰り返されてもよい。
【0080】
図6に戻って説明を続ける。上記のようにして、ステップS110においてパラメータ算出部116により算出されたパラメータは、パラメータ記憶部118に記憶される(S112)。
【0081】
<3-3.消耗品需要予測ステップ>
図9は、消耗品需要予測ステップS20のより詳細な流れを示すフローチャート図である。まず、取得部108が、本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106の各々から、本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数に関するデータを取得する(S202)。
【0082】
続いて、データ処理部110が、ステップS202で取得されたデータの各々に対し、予測を行いたい時間単位(例えば月や日)ごとに台数を合計する集計処理を施す(S204)。
【0083】
続いて、データ処理部110は、ステップS204において集計処理が施された本体販売実績台数のデータと、集計処理が施された本体販売計画台数のデータとを結合する(S206)。
図10は、結合された本体台数のデータの一例を示す表である。
【0084】
続いて、予測値算出部120は、需要予測モデル、パラメータ推定値、本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数に基づいて、消耗品の需要台数の予測値を算出する(S208)。
【0085】
なお、ステップS208において、予測値算出部120は、上述したモデル構築ステップS10のステップS104において需要予測モデル記憶部114に記憶された需要予測モデルを、需要予測モデル記憶部114から読み出す。また、ステップS208において、予測値算出部120は、上述したモデル構築ステップS10のステップS110で算出され、ステップS112においてパラメータ記憶部118に記憶されたパラメータ推定値をパラメータ記憶部118から読み出す。また、ステップS208において、予測値算出部120は、ステップS204、及びステップS206において本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数に対する処理が施されたデータを、データ処理部110から提供されてもよい。
【0086】
ステップS208において、予測値算出部120は、上記のように得られた需要予測モデルに、上記のように得られたパラメータ推定値、本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数を投入して、消耗品の需要台数の予測値を算出してもよい。
【0087】
続いて、算出された消耗品の需要台数の予測値は、出力部122により出力される(S210)。
図11は、出力部122により出力される消耗品の需要台数の予測値の例を示す表である。
【0088】
<<4.変形例>>
以上、本発明の一実施形態について説明した。以下では、上記実施形態の幾つかの変形例を説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で上記実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで上記実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、上記実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、上記実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0089】
<4-1.変形例1>
上記実施形態では、需要予測モデルの例として、数式(1)、及び数式(2)を説明したが、本技術は係る例に限定されない。以下に他の需要予測モデルの例を説明する。
【0090】
例えば、数式(1)において、第1モデルを表す数式(1-1)の右辺の第2の項を取り除くことで、需要予測モデルは以下の数式(8)のように表現されてもよい。
【0091】
【0092】
また、同様に数式(2)において、第1モデルを表す数式(2-1)の右辺の第2の項を取り除くことで、需要予測モデルは以下の数式(9)のように表現されてもよい。
【0093】
【0094】
また、上記では、連立微分方程式により需要予測モデルを表現したが本技術は係る例に限定されない。例えば、需要予測モデルは、以下の数式(10)のように、第1モデル、及び第2モデルの他の例である数式(10-1)、及び数式(10-2)を連立した連立差分方程式により表現されてもよい。
【0095】
【0096】
なお、上記の数式(10)は、数式(1)、及び数式(2)と同じメカニズムの別の表現となっている。
【0097】
また、需要予測モデルは上述した例に限定されない。例えば、需要予測モデルとして上述した第1のモデルと第2のモデルを連立した連立方程式を変形して得られる数式も、第1のモデルと第2のモデルに基づく需要予測モデルであるとみなされ得る。パラメータ推定値や消耗品の需要台数の予測値の算出に適した形式に予め変形された数式が需要予測モデルとして入力され、需要予測モデル記憶部114に記憶されてもよい。また、上記では需要予測モデルが数式として表現される例を示したが、本技術は係る例に限定されず、需要予測装置1が処理可能な他の形式で表現されてもよい。
【0098】
<4-2.変形例2>
上記実施形態では、
図1を参照して需要予測装置1の構成を説明したが、本技術に係る実施形態の構成は係る例に限定されない。
【0099】
例えば、上述した本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106に蓄積されるデータは、随時更新されることが望ましく、需要予測装置1は、係るデータの更新を可能とするように構成されてもよい。
【0100】
例えば、需要予測装置1は、
図1に図示されない通信部を備え、当該通信部が本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数に関する新たなデータを不図示の外部サーバ等から受信してもよい。そして、通信部により受信された新たなデータが、本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106に蓄積されてもよい。
【0101】
あるいは、
図1に示した入力部112を用いて、ユーザが本体販売実績台数、消耗品販売実績台数、及び本体販売計画台数に関する新たなデータを入力することが可能であってもよい。そして、入力部112を用いてユーザにより入力された新たなデータが、本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106に蓄積されてもよい。
【0102】
また、
図1では、需要予測装置1が本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106を備える例を示したが、係る例に限定されない。例えば、本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106は、外部サーバに備えられていてもよい。また、係る場合、取得部108は、当該外部サーバに備えられた本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、及び本体販売計画台数蓄積部106からデータを取得(受信)してもよい。
【0103】
また、
図1に示した構成が、複数の装置に分散して備えられていてもよい。例えば、
図6を参照して説明したモデル構築ステップS10を実行するための構成を備えたモデル構築装置と、
図9を参照して説明した消耗品需要予測ステップS20を実行するための構成を備えた消耗品需要予測装置とを含む情報処理システムも実現可能である。
【0104】
係る場合、モデル構築装置は、例えば
図1に示した本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、取得部108、データ処理部110、入力部112、需要予測モデル記憶部114、パラメータ算出部116、及びパラメータ記憶部118に相当する機能を備えてもよい。また、係る場合、消耗品需要予測装置は、例えば
図1に示した本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、本体販売計画台数蓄積部106、取得部108、データ処理部110、需要予測モデル記憶部114、パラメータ記憶部118、予測値算出部120、及び出力部122に相当する機能を備えてもよい。そして、モデル構築装置から、消耗品需要予測装置へ、需要予測モデルと、パラメータ推定値が提供(送信)されてもよい。
【0105】
<<5.ハードウェア構成>>
以上、本発明の各実施形態を説明した。上述した集計処理、結合処理、パラメータ算出処理、予測値算出処理等の情報処理は、ソフトウェアと、需要予測装置1のハードウェアとの協働により実現される。以下では、本発明の実施形態に係る情報処理装置である需要予測装置1のハードウェア構成例について説明する。
【0106】
図12は、本発明の実施形態に係る需要予測装置1のハードウェア構成を示す説明図である。
図12に示したように、需要予測装置1は、CPU(Central Processing Unit)1001と、ROM(Read Only Memory)1002と、RAM(Random Access Memory)1003と、入力装置1004と、出力装置1005と、ストレージ装置1006と、通信装置1007とを備える。
【0107】
CPU1001は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って需要予測装置1内の動作全般を制御する。また、CPU1001は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM1002は、CPU1001が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM1003は、CPU1001の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。主に、CPU1001、ROM1002及びRAM1003とソフトウェアとの協働により、例えば、データ処理部110、需要予測モデル記憶部114、パラメータ算出部116、パラメータ記憶部118、予測値算出部120等の機能が実現される。
【0108】
入力装置1004は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ及びレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU1001に出力する入力制御回路などから構成されている。需要予測装置1のユーザは、該入力装置1004を操作することにより、需要予測装置1に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。なお、入力装置1004は、入力部112に対応する。
【0109】
出力装置1005は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED装置及びランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置1005は、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置を含む。例えば、表示装置は、撮像された画像や生成された画像などを表示する。一方、音声出力装置は、音声データなどを音声に変換して出力する。なお、出力装置1005は、出力部122に対応する。
【0110】
ストレージ装置1006は、データ格納用の装置である。ストレージ装置1006は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置1006は、CPU1001が実行するプログラムや各種データを格納する。なお、ストレージ装置1006は、本体販売実績台数蓄積部102、消耗品販売実績台数蓄積部104、本体販売計画台数蓄積部106に対応する。
【0111】
通信装置1007は、例えば、通信網に接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。また、通信装置1007は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置、LTE(Long Term Evolution)対応通信装置、有線による通信を行うワイヤー通信装置、またはブルートゥース(登録商標)通信装置を含んでもよい。
【0112】
<<5.むすび>>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、人的負担を軽減させつつ、消耗品に関する需要量を高精度に予測することが可能である。
【0113】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0114】
例えば、上記実施形態における各ステップは、必ずしもフローチャート図として記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。例えば、上記実施形態の処理における各ステップは、フローチャート図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0115】
また、上記実施形態によれば、CPU1001、ROM1002、及びRAM1003などのハードウェアを、上述した需要予測装置1の各構成と同様の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも提供可能である。また、該コンピュータプログラムが記録された記録媒体も提供される。
【符号の説明】
【0116】
1 需要予測装置
102 本体販売実績台数蓄積部
104 消耗品販売実績台数蓄積部
106 本体販売計画台数蓄積部
108 取得部
110 データ処理部
112 入力部
114 需要予測モデル記憶部
116 パラメータ算出部
118 パラメータ記憶部
120 予測値算出部
122 出力部