(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】コンクリート振動機及びそれを用いた施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/06 20060101AFI20220215BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20220215BHJP
E04G 21/10 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
E04G21/06
E04G21/02 104
E04G21/10 Z
(21)【出願番号】P 2021180754
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2021-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517310094
【氏名又は名称】株式会社力組
(74)【代理人】
【識別番号】100105692
【氏名又は名称】明田 莞
(74)【代理人】
【識別番号】100161252
【氏名又は名称】明田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】石垣 力
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6941749(JP,B1)
【文献】特開2021-017721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00-21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート表面から振動を加えて締固める締固め板と、該締固め板を振動させる動力機構と、コンクリート乾燥遅延剤を散布するための散布装置と、
前記締固め板に設けた連結具と、該連結具によって前記締固め板の後方の位置に支持されたスクリードと、前記連結具に設けた制振ゴムと、を少なくとも備え
、前記散布装置が、散布手段を備えて、かつ、前記締固め板と前記スクリードとの間の位置に前記コンクリート乾燥遅延剤を散布することを特徴とするコンクリート振動機。
【請求項2】
前記
スクリードが、回動支持手段によって、上方に回動することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート振動機。
【請求項3】
前記
スクリードが、角度調整機構を備えた前記回動支持手段によって支持されたことを特徴とする請求
項2に記載のコンクリート振動機。
【請求項4】
前記
スクリードがアルミ製であることを特徴とする請求項
1又は2又は3に記載のコンクリート振動機。
【請求項5】
生コン打設後に、バイブレータによってコンクリート内部を締固めながら、コンクリート表面高さを調整し、次いで、コンクリート乾燥遅延剤を散布するための散布装置を備えたコンクリート振動機を用いてコンクリート遅延剤を散布しながら締固め作業を行い、再度仕上げ高さチェックし、その後、請求項1から4のいずれかに記載のコンクリート振動機を用いて、再度締固め作業を行うと同時に、コンクリート遅延剤を散布しながら、均し仕上げ作業を行うことを特徴とするコンクリート振動機
を用いた施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの表面と内部との硬化のタイミングを考慮して、コンクリート表面から締固めをし、さらに、コンクリート乾燥遅延剤を散布しながら表面を仕上げをすることができるコンクリート振動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、底版コンクリートや床版コンクリートの生コンの打設手順としては、ポンプ車で生コンを圧送して型枠内に投入し、高周波バイブレータを用いてコンクリートの内部から、および、エンジン式タンパを用いてコンコンクリート表面から締固める。そして、仕上げ高さのレベルを確認しながら均し、コンクリート表面を木ゴテ等で粗仕上げをし、所定の強度が出た後に金ゴテ等で、コンクリート表面を仕上げていた。
【0003】
この場合、すべての作業を人力作業としたのでは、作業員の確保が難しく、また、各作業員の疲労が著しくなってしまうので、上記施工方法を基本としながら、省力化を図るために様々な機械が発明されてきており、例えば、人で、底版コンクリートや床版コンクリートを締固めながら、コンクリート表面の均し仕上げもできるエンジン式タンパの先行技術が開示されている(参考文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の先行技術は、作業員の人数を掛けず、また、重量が重たくないので配筋に負荷を掛けず、機械で締固めと均し作業ができるので省力化できるという点で優れている。しかし、夏場の作業において、コンクリートが硬化する前に表面が乾燥すると、コンクリート表面のみが乾燥収縮して、コンクリート表面にクラックが発生したりする。それを防ぐためには、コンクリート表面にコンクリート乾燥遅延剤を散布してコンクリート表面と内部との硬化時間の差を少なくする必要があるが、先行技術の場合、その散布は人力で行うことになり省力化できていないという問題があり、また、タンパを掛ける前に、前もって散布すれば、足跡にコンクリート乾燥遅延剤が溜まってしまって、満遍なく散布することができず、コンクリート表面の硬化時間が一様でなくなり、品質にばらつきが出てコンクリート表面にクラックが発生するおそれがあった。
【0006】
本発明は、これらの問題を解決したものであって、夏場において、1人で、底版コンクリートや床版コンクリートを締固めながら、コンクリート乾燥遅延剤を満遍なく散布して、コンクリート表面と内部との硬化時間を同じタイミングにして、コンクリート表面のクラックの発生を抑え、均し仕上げもできるコンクリート振動機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本願発明の請求項1に係るコンクリート振動機は、コンクリート表面から振動を加えて締固める締固め板と、該締固め板を振動させる動力機構と、コンクリート乾燥遅延剤を散布するための散布装置と、前記締固め板に設けた連結具と、該連結具によって前記締固め板の後方の位置に支持されたスクリードと、前記連結具に設けた制振ゴムと、を少なくとも備え、前記散布装置が、散布手段を備えて、かつ、前記締固め板と前記スクリードとの間の位置に前記コンクリート乾燥遅延剤を散布することを特徴とする。
【0008】
この構成を採用することにより、本発明の請求項1に係るコンクリート振動機は、エンジンやモータなどの動力機構によって締固め板を振動させて、コンクリートの表面からその振動を加えてコンクリートを締固めることができる。また、該コンクリート振動機には、コンクリート遅延剤を散布するための散布装置を備えているので、特に夏場において、コンクリート内部と表面とを同じタイミングで硬化させることができるので、コンクリート表面にクラックが発生するのを抑制することができる。よって、クラックからコンクリート内部への水の侵入を防ぐことができるので、品質の良いコンクリートを打設することができる。
【0009】
また、本発明のコンクリート振動機は、前記散布装置が、散布手段を備えて、前記コンクリート乾燥遅延剤を散布する。
【0010】
均一散布手段を備えた散布装置によって、コンクリート乾燥遅延剤を均一に散布することができるので、コンクリート表面の硬化時間を均一にすることができる。よって、コンクリート表面の硬化時間の違いによって発生する乾燥収縮によるクラック発生を抑えることができる。
【0011】
また、本発明のコンクリート振動機は、前記締固め板に設けた連結具と、該連結具によって前記締固め板の後方の位置に支持されたスクリードと、前記連結具に設けた制振ゴムと、を備えた。また、本発明のコンクリート振動機は、前記散布装置が、散布手段備えて、かつ、前記締固め板と前記スクリードとの間の位置にコンクリート乾燥遅延剤を散布する。
【0012】
これらの構成をとることによって、本発明のコンクリート振動機は、締固め板に設けられた連結具によって支持されたスクリードを備えており、締固め板によって締固められたコンクリートの表面を、該スクリードによって均し仕上げをすることができる。ここで連結具には制振ゴムが備えられているので、締固め板やエンジンの振動がスクリードに伝わらない。よって、スクリードによってコンクリート表面をきれいに均し仕上げをすることができる。また、本発明のコンクリート振動機は、締固め板とスクリードの間の位置で、コンクリート乾燥遅延剤を均一に散布することができる。よって、作業員の人力によってコンクリート振動機を移動させる場合において、作業員の足跡は締固め板によって締固められて均されて足跡がなくなるので、作業員の足跡にコンクリート乾燥遅延剤が溜まることがない。よって、コンクリート乾燥遅延剤が一様に散布されることになるので、コンクリート表面における硬化時間のバラツキを抑えることができ、硬化時間の違いによって発生するコンクリートの乾燥収縮を押えることができて、コンクリートの硬化後のクラック発生を抑えることができる。
【0013】
したがって、本発明に係るコンクリート振動機を用いれば、作業員1人で同時に、コンクリートの締固め作業とコンクリート乾燥遅延剤の散布及び、表面の均し仕上げ作業ができるので、作業員を減らすことができるので、作業の省力化も果たすと共に、品質の良いコンクリートを打設することができて、コンクリート表面のクラック発生を防ぐことができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に係るコンクリート振動機は、請求項1に記載のコンクリート振動機において、前記スクリードが、回動支持手段によって、上方に回動することを特徴とする。また、本発明の請求項3に係るコンクリート振動機は、請求項2に記載のコンクリート振動機において、前記スクリードが、角度調整機構を備えた前記回動支持手段によって支持されたことを特徴とする。また、本発明の請求項4に係るコンクリート振動機は、請求項1から3のいずれかに記載のコンクリート振動機において、前記スクリードがアルミ製であることを特徴とする。
【0015】
これらの構成を採用することにより、回動支持手段によって、スクリードを自在にコンクリート表面から上方に持ち上げて回動させることができるので、スクリードを上方まで移動させることができる。よって、スクリードが邪魔をしないので、底版コンクリートや床版コンクリートの端部まで、締固め板を当てることができ、柱周りや壁周り等の隅々までコンクリートを締固めることができる。
【0016】
また、スクリードの底面をコンクリート表面に対して、常に一定の角度を保たせることができる。人力でコンクリート振動機を引張る場合において、作業員には、締固め板を水平にコンクリート表面に当てて引っ張る作業員や、ある程度の斜めになる角度で引っ張る作業員がいるが、これにより、各作業員が自分の癖やコンクリート強度及びスランプに合わせて角度調整機構で角度を調整して、スクリードを一定の角度で引くことができるので、コンクリート表面の仕上げをきれいにすることができる。
【0017】
また、本発明に係るコンクリート振動機のスクリードは、アルミ製であるので、丈夫で軽く、また、底面も滑らかであるので、作業員の疲労が少なく、また、壊れ難く、また、コンクリート表面の均し仕上げの状態も非常によい。また、進行方向に向かってスクリード底面の前方の位置に、傾斜面部を張り出しているので、コンクリート表面に凹凸があっても、コンクリート表面をアルミスクリードの下面に押さえ込むことができるので、引っ掛からず、スムーズに表面の均し仕上げ作業ができる。
【0018】
また、本発明の請求項5に係るコンクリート振動機を用いた施工方法は、生コン打設後に、バイブレータによってコンクリート内部を締固めながら、コンクリート表面高さを調整し、次いで、コンクリート乾燥遅延剤を散布するための散布装置を備えたコンクリート振動機を用いてコンクリート遅延剤を散布しながら締固め作業を行い、再度仕上げ高さチェックし、その後、請求項1から4のいずれかに記載のコンクリート振動機を用いて、再度締固め作業を行うと同時に、コンクリート遅延剤を散布しながら、均し仕上げ作業を行うことを特徴とする。
【0019】
この施工方法を採用することにより、生コン打設後に、バイブレータによってコンクリート内部を締固めながら、所定の高さにコンクリート表面を均す作業の際に、作業員が歩いた足跡によって、沈めたコンクリートの骨材が浮いてきたり、エアが再度コンクリート内に混入したりしたものを、コンクリート乾燥遅延剤を散布するための散布装置を備えたコンクリート振動機を用いて、コンクリート乾燥遅延剤を散布しながら締固め作業を行うので、夏季において、再び骨材を沈めて、エアを抜きながら、コンクリート表面と内部の硬化のタイミングを同じに同調させることができる。さらに、再度仕上げ高さをチェックした際に、浮いてきた骨材や、エアを抜くために、再度、請求項1から4のいずれかに記載のコンクリート振動機を用いて、コンクリート締固めを行うと共に、コンクリート乾燥遅延剤を散布しながら同時に表面の均し仕上げも行うので、コンクリート表面と内部の硬化のタイミングを同じに同調させることができて、コンクリートの表面の乾燥収縮によるクラック発生を抑制できる。よって、高品質な底版コンクリートおよび床版コンクリートを作ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る請求項1から4に記載のコンクリート振動機よれば、底版コンクリートや床版コンクリートの隅々まで締固めることができると共に、コンクリート乾燥遅延剤を散布しながら、同時に表面を仕上げることができる。よって、コンクリートのクラック発生を防止できる。また、本発明に係るコンクリート振動機を用いれば、作業員を人数を大幅に減らすことや、作業員の省力化を果たすことができるので、人件費を抑えることができると共に、建設業の人手不足対策に役立たせることができる。また、本発明に係る請求項5の施工方法を用いれば、高品質なコンクリートを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施するための形態に係るコンクリート振動機の模式的斜視図である。
【
図2】本発明の実施するための形態に係る別の形態のコンクリート振動機の模式的斜視図である。
【
図3】本発明の実施するための形態に係るコンクリート振動機の施工状況を示す模式的斜視図である。
【
図4】本発明の実施するための形態に係る別の形態のコンクリート振動機の施工状況を示す模式的斜視図である。
【
図5】本発明の実施するための形態に係るコンクリート振動機の施工状況を示す模式的側面図である。
【
図6】本発明の実施するための形態に係る別の形態のコンクリート振動機の施工状況を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るコンクリート振動機1は、
図2に示すように、底版コンクリート20や床版コンクリートに対し、表面から振動を加えて締固める締固め板2と、締固め板2を振動させるために往復運動をさせる動力4と、コンクリート乾燥遅延剤3-1を散布するための散布装置3と、を少なくとも備えたコンクリート振動機である。さらに、
図1に示すように、締固め板2から上方に延びて動力4の操作スイッチを備えたハンドル6と、締固め板2に設け制振装置を有する連結具7と、連結具7によって締固め板2の後方の位置に、回動自在に支持されたスクリード5と、を備えても良い。
【0023】
締固め板2は、
図1、
図2に示すように、合成樹脂製であって、エンジンやモータ等の動力4と駆動機構によって上下動して、底版コンクリート20表面から振動を与えて、打設直後のコンクリート20の骨材を沈めると共に、気泡を浮き上がらせて、底版コンクリート20を締固めるためのものである。
【0024】
散布装置3は、作業員10の背中に背負ったコンクリート乾燥遅延剤タンク3-2から、貯えられていたコンクリート乾燥遅延剤3-1が、ポンプや小型エンジンによって、ホース3-3を経て噴霧器まで送られてきて、コンクリート乾燥遅延剤3-1を均一に噴霧して散布することができる。よって、特にコンクリート表面の硬化が早くなる夏期において、コンクリート乾燥遅延剤3-1が、ムラなく散布できるので、散布した範囲において、コンクリート表面と内部とを同じタイミングで硬化させることができる。したがって、硬化後のコンクリートの乾燥収縮によるクラック発生を抑えることができて、品質の良いコンクリートを打設することができる。なお、散布装置3は、締固め板2とスクリード5との間の位置に設けるのが、コンクリート乾燥遅延剤3-1が作業員10の足跡に溜まらずに満遍なく散布でき、また、コンクリート乾燥遅延剤3-1によって、スクリード5が滑らかに滑らせることができるので好適である。
【0025】
動力4は、タンパ用の小型エンジンや小型モータであって、締固め板2を上下往復動させることができる出力があればよく、なるべ小型のものが軽量で取り回しがし易く、また、軽量なので配筋にダメージを与えないので、仕上がったコンクリートが所定の引張り力を確実に発揮できるし、コンクリートが薄い床版コンクリートにも、被りの浅い鉄筋コンクリートにも使用することができる。
【0026】
スクリード5は、
図2に示すように、アルミ製であって、締固め板2によって締固められた底版コンクリート20表面を緻密にして、コンクリートの劣化因子がコンクリート内に侵入するのを防止すると共に、底版コンクリート20の表面もきれいに均し仕上げをするためのものである。底版コンクリート20は、締固め板2によって締固められてはいるが、底版コンクリート20の表面が多少凸凹している。その表面から飛び出しているコンクリートを、スクリード3によってコンクリート表面を押えて、底版コンクリート20の表面を凸凹の無い綺麗な表面に均し仕上げをすることができる。
【0027】
ハンドル6は、金属製でも合成樹脂製でもよく、表面がアルカリ耐性を施したアルミ製が軽量で耐久性もよく好適である。なお、ハンドル6には回動装置8を操作する操作レバー8-3が備えられているので、回動装置8を手元で操作できて便利である。
【0028】
連結具7は、回動装置8によって回動自在に、締固め板2と、スクリード5とを、連結して支持している。また、連結具7には、締固め板2からくる締固めの上下動やエンジン4の振動を制振装置7-1によって制振し、その振動をスクリード5に伝わるのを防止する。よって、スクリード5には、振動が伝わらないので、底版コンクリート20の表面仕上げをきれいな平面にすることができる。また、連結具7のスクリード5側には、角度調整装置7-2が備えているので、締固め板2の引き角度は、作業員10個人個人によって各々違うが、スクリード5の底面によって、底版コンクリート20のきれいな均し仕上がり面になるように、それぞれの作業員10がスクリード底面の角度を調整することができる。これによって、作業員10は、自分の楽な体制で作業しても、きちんとコンクリート20の表面の均し仕上げができるので作業効率を上げることができる。なお、制振装置7-1には、制振ゴムを用いたものが軽くて好適である。
【0029】
回動装置8は、スクリード5を回動させることができる装置である。ハンドル6に設けられた操作スイッチを動かすことによって、ワイヤー8-1が引っ張られ、回動支持具8-2によって、ワイヤー8-1を支持することにより、ワイヤー8-1が連結している連結具7を繋いだ棒体がワイヤー8-1に引っ張られて、スクリード5が回動して持ち上げられる。スクリード5は、締固め板2の上方まで回動可能である。よって、底版コンクリート20の柱や壁の際まで、締固め板2を移動できるので、確実に底版コンクリート20を締固めることができる。スクリード5を降ろす際は、操作レバー8-3を元に戻せば、ワイヤー8-1が緩むことによってスクリード5の自重で逆方向に回動して、スクリード5が底版コンクリート20に接する。
【0030】
また、
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、本発明に係るコンクリート振動機1の施工方法の一例を説明する。ポンプ車等で生コンをハンドバイブレーター等で締固めながら高さを確認し調整して、打設していく。次いで、締固め板2と、動力4と、散布装置3と、を少なくとも備えた本発明に係るコンクリート振動機1で、コンクリート乾燥遅延剤3-1を散布しながら底版コンクリート20の表面から締固めていく。そして、仕上げ高さを再度レベルで確認しながら、均していく。その際に、高さを確認する作業員やコンクリート表面を均す作業員の足の動きによって、沈んでいた骨材が浮いてきたり、また、再度エアがコンクリートに混入したりすることがある。次に、10分後~20分後に、締固め板2と、動力4と、散布装置3と、連結具7と、回動自在に支持されたスクリード5と、を少なくとも備えた本発明に係る別形態のコンクリート振動機1を用いて、再度、表面から締固めと共に、コンクリート乾燥遅延剤3-1を散布しながら、底版コンクリート20の表面の均し仕上げを行う。これによって、締固め板2によって、骨材を確実に底版コンクリート20内に、再度沈めることができ、また、底版コンクリート20内の気泡を、再度浮き上がらすことができるので、十分に締固めたコンクリートを作ることができると共に、特にコンクリート表面の乾燥し易い夏期において、コンクリート乾燥遅延剤3-1を、散布装置3によって均一に散布しながら、スクリード5によって表面を緻密に均し仕上げをすることができる。この際に、作業員10は、エンジン式タンパに一人と、コンクリート遅延剤散布に一人と、スクリードを引くのに一人の計3人工必要であったものが、一人で作業ができて省力化できる。また、締固めと仕上げを同時にできるので、作業員10の足の動きによって底版コンクリート20を再度乱すことはない。また、コンクリート乾燥遅延剤3-1によって、コンクリート20表面と内部とを、同じタイミングで硬化させることができるので、コンクリート20の乾燥収縮によるクラックの発生を抑えることができる。よって、十分に締固められ表面がきれいで、クラックの発生を抑えた品質の良い底版コンクリート20を打設することができる。なお、顧客の要求によって、所定の時間経過後に、左官による金ゴテ仕上げをしてもよい。
【0031】
本発明に係るコンクリート振動機1を用いれば、コンクリート乾燥遅延剤3-1によって、コンクリート20表面と内部とを、同じタイミングで硬化させることができるので、コンクリート20の乾燥収縮によるクラックの発生を抑えることができる。よって、十分に締固められ表面がきれいで、クラックの少ない品質の良い底版コンクリート20を打設することができる。また、作業員一人で締固め作業と、コンクリート乾燥遅延剤の散布作業と、コンクリートの表面均し作業とを同時にすることができるので、作業員10に人数を減らすことができて省力化、効率化を図ることができる。コンクリート振動機1は、軽量なので、配筋にダメージを与えないので、できあがった底版コンクリート20は、所定の引張り応力を確実に発揮することができる。また、鉄筋の被りが薄く、また、コンクリートの厚さが薄い床版コンクリートにも使用することができる。また、コンクリート振動機1は、軽量なので、作業員10にとって、取り回しがし易く、また、疲れにくい。また、底版コンクリートの柱周りや壁回りでも、使用することができるので、機械の種類を多く用意する必要がなく、機械の購入費、レンタル代を抑えることができる。なお、本発明に係るコンクリート振動機1は、軽量なので底版コンクリート20だけでなく、コンクリートが薄く、鉄筋の被りも薄い床版コンクリートにも使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
底版コンクリートや床版コンクリート等の生コンを打設する分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:コンクリート振動機
2:締固め板
3:散布装置 3-1:コンクリート乾燥遅延剤
3-2:コンクリート乾燥遅延剤タンク 3-3:ホース
4:エンジン(動力)
5:スクリード
6:ハンドル
7:連結具 7-1:制振装置 7-2:角度調装置
8:回動装置 8-1:ワイヤー 8-2:回動支持具
8-3:操作レバー
10:作業員
20:底版コンクリート
【要約】
【課題】夏場において、1人で、底版コンクリートや床版コンクリートを締固めながら、コンクリート乾燥遅延剤を満遍なく散布して、コンクリート表面と内部との硬化時間を同じタイミングにして、コンクリート表面のクラックの発生を抑え、均し仕上げもできるコンクリート振動機を提供する。
【解決手段】コンクリート表面から振動を加えて締固める締固め板と、該締固め板を振動させる動力機構と、コンクリート乾燥遅延剤を散布するための散布装置と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1