(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】レインカバー着脱可能な座席
(51)【国際特許分類】
B62J 1/00 20060101AFI20220215BHJP
B62B 9/14 20060101ALI20220215BHJP
B62J 17/08 20200101ALI20220215BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62B9/14
B62J17/08
(21)【出願番号】P 2018209208
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2020-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】岸本 絵理香
(72)【発明者】
【氏名】黒巣 広子
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-011816(JP,A)
【文献】特開2012-011830(JP,A)
【文献】特開2014-065435(JP,A)
【文献】特開2007-062437(JP,A)
【文献】特開2014-177211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0181474(US,A1)
【文献】特開2014-213788(JP,A)
【文献】特開2006-131210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00
B62B 9/14
B62J 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部と前記座面部を周状に取り囲む周壁部とを有する座席と、
前記座席に取り付けられた幌と、
前記座席および前記幌を
上方から覆うように
且つ前記周壁部を外側から周状に覆うように取り付け可能なレインカバーと、を備え、
前記レインカバーは、前記幌に固定手段を介して取り付け可能であり、
前記レインカバーは、前記幌と重なる位置に通気穴を有する、レインカバー着脱可能な座席。
【請求項2】
前記レインカバーは、前記幌の前縁部に沿って延びる領域に固定される、請求項1に記載のレインカバー着脱可能な座席。
【請求項3】
前記幌は、複数の幌骨と幌骨に支持された幌材とを有し、前記複数の幌骨を相対揺動させることで開閉可能である、請求項1又は2に記載のレインカバー着脱可能な座席。
【請求項4】
前記幌材は、前記幌骨に対面する領域において互いに接続された複数の幌材要素を含んでいる、請求項3に記載のレインカバー着脱可能な座席。
【請求項5】
前記幌材は、メッシュ材である、請求項4に記載のレインカバー着脱可能な座席。
【請求項6】
前記レインカバーは、前記固定手段とは異なる種類の追加の固定手段を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のレインカバー着脱可能な座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レインカバー着脱可能な座席に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車に取り付けて子供を乗せるための自転車用幼児座席が広く普及している。また、自転車用幼児座席に装着して幼児座席に着座した幼児に対して雨よけの環境を提供するためのレインカバーが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したレインカバーは、風雨の際に広げた状態に維持されない。すなわち、レインカバーは、風雨の影響を受けて、座席に向けて潰れてしまう。このため、レインカバー内に十分な居住空間を作ることができない。
【0005】
本件発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、レインカバーを風雨の際も広げた状態に維持することができ、レインカバー内に十分な居住空間を形成することができる、レインカバー着脱可能な座席を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるレインカバー着脱可能な座席は、
座席と、
前記座席に取り付けられた幌と、
前記座席および前記幌を覆うように取り付け可能なレインカバーと、を備え、
前記レインカバーは、前記幌に固定手段を介して取り付け可能である。
【0007】
本発明によるレインカバー着脱可能な座席において、前記レインカバーは、前記幌の前縁部に沿って延びる領域に固定されてもよい。
【0008】
本発明によるレインカバー着脱可能な座席において、
前記幌は、複数の幌骨と幌骨に支持された幌材とを有し、前記複数の幌骨を相対揺動させることで開閉可能であってもよい。
【0009】
本発明によるレインカバー着脱可能な座席において、
前記幌材は、前記幌骨に対面する領域において互いに接続された複数の幌材要素を含んでいてもよい。
【0010】
本発明によるレインカバー着脱可能な座席において、
前記幌材は、メッシュ材であってもよい。
【0011】
本発明によるレインカバー着脱可能な座席において、
前記レインカバーは、前記幌を覆う領域に通気穴を有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レインカバーを風雨の際も広げた状態に維持することができ、レインカバー内に十分な居住空間を形成することができる、レインカバー着脱可能な座席を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態を説明するための図であって、幌付き自転車を示す側面図。
【
図2】
図1の幌付き自転車のハンドルおよび幼児座席を後方から示す図。
【
図4】
図3に対応する図であって、握り部材を移動させた状態を示す図。
【
図5】幌装置が取り付けられた幼児座席を示す斜視図。
【
図9】レインカバーが装着された幼児座席を、自転車のハンドルと共に示す斜視図。
【
図11】レインカバーの幌への取り付け方法を示す図。
【
図12】
図9に対応する図であって、幼児を幼児座席に乗せ降ろしする際のレインカバーおよび幼児座席を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図12は、本発明によるレインカバー着脱可能な座席の一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1には、幌付き自転車の全体構成が示されている。
図1に示すように、本実施の形態による幌付き自転車1は、幼児座席10と、幼児座席10を取り付けられた自転車2と、幌装置60と、を含む。また、
図2は、自転車2に取り付けられた幼児座席10を後方から見た図である。幼児座席10および幌装置60の幌61には、レインカバー80を装着することができる。図示された例では、レインカバー着脱可能な座席100は、幼児座席10と幌61とレインカバー80とを含む。
【0015】
なお、本明細書中において、自転車2に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、自転車2を運転する運転者を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図1における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、自転車2を運転する運転者が向く側であり、
図1における紙面の右側が自転車2の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0016】
また、本明細書中において、幼児座席10および幌装置60に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、自転車2に取り付けられた幼児座席10に着座する幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図1における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、幼児座席10に着座する幼児が向く側であり、
図1における紙面の右側が幼児座席10および幌装置60の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに、自転車2の接地面に直交する方向である。したがって、上記接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。具体的には、「幅方向」は、
図2における紙面の左右の方向に相当する。
【0017】
また、本明細書中において、レインカバー80に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、
図9に示すようにレインカバー80が自転車2に取り付けられた幼児座席10および幌61を覆うように取り付けられた状態において、幼児座席10に着座する幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図9および
図10における紙面の右下と左上とを結ぶ方向であって、
図1における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、幼児座席10に着座する幼児が向く側であり、
図9および
図10における紙面の右下および
図1における紙面の右側がレインカバー80の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに、自転車2の接地面に直交する方向である。したがって、上記接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0019】
上述したように、幌付き自転車1は、幼児座席10と、幼児座席10を取り付けられた自転車2と、幌装置60と、を含む。
【0020】
まず、自転車2について説明する。自転車2は、概ね前後方向に延びる主フレーム部3と、主フレーム部3の前端に接続されたフロントフォーク4と、フロントフォーク4の下端部に回転可能に支持された前輪5aと、主フレーム部3の後端部に回転可能に支持された後輪5bと、を含む。フロントフォーク4は、概ね上下方向に沿って延びる軸線を中心として回動可能となっている。また、前輪5a及び後輪5bは、幅方向に沿った軸線を中心として回転可能となっている。さらに、自転車2は、フロントフォーク4の上端部に接続されたハンドル6と、主フレーム部3の長手方向の中央から上方に延び出すシートパイプ3aに支持されたサドル7と、サドル7の後方かつ後輪5bの上方に設けられた荷台8と、を含む。荷台8は、主フレーム部3の後端部から上方に延び出す荷台支持部材3bによって支持されている。
【0021】
次に、
図1および
図2を参照してハンドル6について説明する。
図2は、ハンドル6を後方から、すなわちサドル7の側から見た図である。ハンドル6は、運転者が前輪5aの向きを操作するために使用されるものである。ハンドル6は、フロントフォーク4の上端に固定され、フロントフォーク4と共に主フレーム部3に対して回転可能となっている。したがって、ハンドル6を回転させるとフロントフォーク4が保持する前輪5aの向きが変わる。
【0022】
図2に示すように、ハンドル6は、U字状に形成されたハンドル本体6aを含む。ハンドル本体6aは、全体として水平方向に直線状に延びる中央直線部6bと、中央直線部6bの両側で上下方向に延びる一対の上下方向直線部6c,6dと、上下方向直線部6c,6dの下端と中央直線部6bの対応する側の端部とを接続する一対の湾曲部6e,6fと、を含む。また、ハンドル本体6aは、各上下方向直線部6c,6dの上端部から後方に延び出す一対の後方延出部6g,6hを含む。各後方延出部6g,6hの後端部には、グリップ6iが装着されている。
【0023】
次に、
図1~
図4を参照して、幼児座席10について説明する。
図3は幼児座席10の全体構成を示す斜視図であり、
図4は、
図3に対応する図であって、幼児を幼児座席10に乗せ降ろしする際の幼児座席10を示す図である。なお、幼児座席10に含まれるいくつかの構成要素は、一部の図面では示されているものの、他の図面では図示を省略されている。
【0024】
図3に示すように、幼児座席10は、幼児を収容する座席本体20と握り部材50とを有する。握り部材50は、概ね座席本体20の幅方向D1に延び、両端部が座席本体20に接続している。
【0025】
図示された例では、座席本体20は、座面部21と、座面部21に後方から接続した後壁部22と、を含む。座面部21は、幼児座席10に着座する幼児の臀部に対面するようになる部位である。後壁部22は、幼児の背中に対面するようになる部位である。また、座席本体20は、座面部21の前方に位置する前壁部23と、座面部21に側方から接続し且つ後壁部22と前壁部23とを接続する一対の側壁部25,26と、前壁部23と座面部21とを連結する接続部27とを含む。一対の側壁部25,26、後壁部22および前壁部23によって、座面部21および接続部27を周状に取り囲む周壁部28が形成されている。一対の側壁部25,26には、握り部材50を接続するための一対の端部支持部材41,42が設けられている。一対の側壁部25,26には、それぞれ、幌装置60を取り付けるための側壁ボルト孔25b,26bが形成されている。
【0026】
図2に示すように、幼児座席10は、ハンドル本体6aの一対の上下方向直線部6c,6dの間に配置され、ハンドル6に対して固定されている。より具体的には、座席本体20が、座面部21において、ハンドル本体6aの中央直線部6bに固定されている。また、座席本体20は、各側壁部25,26において、ハンドル本体6aの対応する側の上下方向直線部6c,6dに固定されている。なお、座席本体20が自転車2の荷台8に取り付け可能な形状を有する場合、幼児座席10は荷台8に取り付けられてもよい。
【0027】
図3に示すように、座面部21、後壁部22および一対の側壁部25,26には、衝撃吸収部材29aが設けられている。また、後壁部22の上部には、ヘッドレスト29bが設けられている。
【0028】
また、座席本体20には、子供用ベルト30が設けられている。
図3および
図4に示す例では、子供用ベルト30は、股ベルト、腰ベルトおよび肩ベルトを有する五点式ベルトとして形成されているが、これに限られない。例えば、子供用ベルト30は、股ベルトおよび肩ベルトを有する三点式ベルトとして形成されてもよい。
【0029】
図3および
図4によく示されているように、子供用ベルト30は、第1ベルト部材31と、第2ベルト部材32と、を有している。第1ベルト部材31は、股ベルトとして機能する。第2ベルト部材32は、肩ベルト32a及び腰ベルト32bとして機能する。第1ベルト部材31は、座面部21の略中央に一端を固定されている。第1ベルト部材31の他端には、バックル33が取り付けられている。また、第1ベルト部材31には、ベルトカバー34が設けられている。一方、第2ベルト部材32は、幅方向D1に離間して一対設けられている。各第2ベルト部材32はタング35を通過して延びており、タング35で折り返されることによって、肩ベルト32a及び腰ベルト32bが画成される。第2ベルト部材32の腰ベルト32b側の端部は、座面部21に固定されている。一対の第2ベルト部材32は、座面部21内を通過して、座席本体20のうちの座面部21と後壁部22との接続位置を含む腰区域24内の幅方向両端部に位置する一対の端領域24aから、それぞれ延び出ている。第2ベルト部材32の肩ベルト32a側の端部は、後壁部22に設けられた子供用ベルト穴を通過して、後壁部22内に配置されている。そして、後壁部22内で、ベルト長調節部材36の一端に接続されている。ベルト長調節部材36は、座面部21に設けられた子供用ベルト穴を通過して、その他端がベルトカバー34に接続されている。
【0030】
このような子供用ベルト30を用いる場合、まず、幼児座席10に子供を着座させ、タング35をバックル33で係止する。次に、ベルト長調節部材36を引っ張って、腰ベルト32b及び肩ベルト32aの長さを調節する。このようにして、子供用ベルト30によって、幼児座席10に着座した子供を幼児座席10に固定することができる。なお、ベルト長調節部材36は、座面部21内で、図示しない固定装置によって固定されている。この固定装置によって、意図せずベルト長調節部材36が座面部21および後壁部22内に引き込まれて腰ベルト32b及び肩ベルト32aが緩むことが防止されている。
【0031】
次に、握り部材50について説明する。握り部材50は、握り部材50の一側端部をなす一側接続部51と、他側端部をなす他側接続部52と、一側接続部51および他側接続部52を接続する中間部53と、を有する。中間部53は湾曲しており、握り部材50は、全体としてU字状をなす。したがって、握り部材50の軸線50xは、U字状に延びている。握り部材50の一側接続部51および他側接続部52は、握り部材50のU字の両端に相当する部分である。一側接続部51は、一側側壁部25に設けられた一側端部支持部材41に接続する。また、他側接続部52は、他側側壁部26に設けられた他側端部支持部材42に接続する。
図3に示すように、一側側壁部25が一側端部支持部材41に接続した状態において、中間部53は、座面部21の上方を幼児座席10の幅方向D1に沿って延びている。
【0032】
図3から理解されるように、一側接続部51は、一側端部支持部材41に接続した状態において、一側側壁部25から上方に延び出している。また、他側接続部52は、他側端部支持部材42に接続した状態において、他側側壁部26から上方に延び出している。これにより、握り部材50の中間部53と座席本体20の座面部21との間に、広い空間が確保される。
【0033】
なお、
図4に示すように、本実施の形態の握り部材50は、幼児を幼児座席10に乗せ降ろしし易いよう、必要に応じて座面部21の上方から移動させることができるようになっている。具体的には、
図3および
図4から理解されるように、握り部材50の一側接続部51は、一側端部支持部材41に着脱可能に接続している。また、握り部材50の他側接続部52は、他側端部支持部材42に対して回転可能に接続している。したがって、握り部材50の一側接続部51を一側端部支持部材41から取り外し、他側接続部52を他側端部支持部材42に対して回転させることにより、握り部材50を、座面部21の上方から座面部21の側方へ移動させることができる。
【0034】
次に、幌装置60について説明する。
図5には、幌装置60が取り付けられた幼児座席10が示されている。
図5に示すように、幌装置60は、座席本体20の側壁部25,26に固定される一対の幌ホルダー70と、一対の幌ホルダー70に保持される幌61と、を備える。
【0035】
幌61は、幌材62と、幌材62を支持する支持装置63と、を有する。支持装置63は、幌ホルダー70と接続する一対の基部材64と、両端部が対応する側の基部材64に接続された略U字状の第1~3幌骨65a,65b,65cと、を含んでいる。
【0036】
第1~3幌骨65a,65b,65cは、略細板形状や線形状の金属や樹脂等から形成される。第1~3幌骨65a,65b,65cには、幌材62が装着されている。図示された例において、第1幌骨65aは、第2幌骨65bの後方或いは下方に配置される。第2幌骨65bは、第3幌骨65cの後方或いは下方に配置される。
【0037】
図6を参照して、基部材64について説明する。
図6は、第1~3幌骨65a,65b,65cの他側端部が接続される基部材64の斜視図である。第1~3幌骨65a,65b,65cの一側端部が接続される基部材64も、
図6に示す基部材64と同様に構成されている。
【0038】
各基部材64は、幌ホルダー70に接続される第1基部66と、第1基部66の一側(幅方向内側)および他側(幅方向外側)に枢着された第2基部67および第3基部68と、を有する。
【0039】
第1基部66は、幌ホルダー70との接続箇所をなす接続部66aと、第2基部67および第3基部68が枢着される枢着部66bとを有する。接続部66aには、幅方向内側に押し込み可能な爪部66cが形成されている。爪部66cの幅方向外側の面には、後述する幌ホルダー70の突起受け71dと係合する突起66dが形成されている。突起66dは、爪部66cを幅方向内側に押し込むことにより、幅方向内側に移動する。これにより、突起66dと幌ホルダー70の突起受け71dとの係合を解除して、幌61を幌ホルダー70から取り外すことができる。また、第1基部66の上下方向の中央には、後方に延び出す第1幌骨保持部66eが形成されている。第1幌骨保持部66eに第1幌骨65aの対応する端部が挿入されることにより、第1基部66は、第1幌骨65aを保持する。
【0040】
第2基部67は、第1基部66の枢着部66bの幅方向内側の面に枢着されている。第2基部67は、第1基部66に対し、幅方向D1に延びる回転軸線Axを中心として回転可能である。第2基部67の外周面には、第2幌骨65bを保持する第2幌骨保持部67eが形成されている。第2幌骨保持部67eは、回転軸線Axを中心とする円の半径方向外側に延び出している。第2幌骨保持部67eに第2幌骨65bの対応する端部が挿入されることにより、第2基部67は、第2幌骨65bを保持する。
【0041】
第3基部68は、第1基部66の枢着部66bの幅方向外側の面に枢着されている。第3基部68は、第1基部66に対し、幅方向D1に延びる回転軸線Axを中心として回転可能である。第3基部68の外周面には、第3幌骨65cを保持する第3幌骨保持部68eが形成されている。第3幌骨保持部68eは、回転軸線Axを中心とする円の半径方向外側に延び出している。第3幌骨保持部68eに第3幌骨65cの対応する端部が挿入されることにより、第3基部68は、第3幌骨65cを保持する。
【0042】
第2基部67を第1基部66に対して回転させることにより、第2幌骨65bを第1幌骨65aに対して揺動させることができる。また、第3基部68を第1基部66に対して回転させることにより、第3幌骨65cを第1幌骨65aに対して揺動させることができる。これにより、
図7および
図8に示すように、幌骨65a,65b,65cを相対揺動させて、幌61を展開状態(
図7参照)にしたり折り畳み状態(
図8参照)にしたりすることができる。
【0043】
次に、幌材62について説明する。図示された例では、幌材62は、日差しを遮ることができる柔軟な材料を用いて形成され得る。図示された例では、サドル7に着座した自転車1の運転者が幌61越しに前方および幼児座席10に着座した幼児を視認することができるよう、メッシュ材で形成されている。すなわち、自転車1の運転者は、幌材62を通じて自転車1の前方および幼児座席10を透視可能である。もちろん、幌材62を形成する材料としてはメッシュ材に限られない。幌材62には、種々の公知の材料を用いることができる。例えば、幌材62は、風雨や埃を効果的に遮ることができるよう、透明な樹脂製シート材で形成されていてもよい。また、幼児座席10が自転車2の荷台8に取り付けられる場合には、幌材62は、透視不能な布材等で形成されていてもよい。さらに、幌材62は、撥水性、防水性、耐水度等の機能を有するのもであってもよい。
【0044】
図示された例において、幌材62は、複数の幌材要素62a,62bを含んでいる。具体的には、幌材62は、第1幌骨65a及び第2幌骨65bの間に設けられた後方幌材要素62aと、後方幌材要素62aに前方から接続する前方幌材要素62bと、を含んでいる。幌材62は、後方幌材要素62aの後端縁において、第1幌骨65aに取り付けられている。また、幌材62は、後方幌材要素62aと前方幌材要素62bとの境界領域において、第2幌骨65bに取り付けられている。また、幌材62は、前方幌材要素62bの前端縁において、第3幌骨65bに取り付けられている。このような幌材62の構成により、幌材62の後方幌材要素62aおよび前方幌材要素62bは、第1~第3幌骨65a,65b,65cの互いに対する揺動に伴って広げられ(
図7参照)且つ畳まれる(
図8参照)。
【0045】
なお、幌材62の大きさは、第1幌骨65aを基準とした第2幌骨65bおよび第3幌骨65cの揺動可能範囲に応じて適宜設定される。好ましくは、
図7に示す幌61の全展開状態において、幌材62が張った状態となる大きさに設定される。
【0046】
また、幌61の展開状態において幌材62が潰れてしまうことを防止するため、柔軟性に富んだ補助芯材が幌材62に縫い付けられる或いは幌材62に内蔵されるようにしてもよい。補助芯材は、基部材64と接続されていない点において、第1~3幌骨65a,65b,65cと区別される。
【0047】
図5に示すように、一対の幌ホルダー70,70は、それぞれ、座席本体20の側壁部25,26に、ボルト73bを含む締結具73によって固定されている。ボルト73bは、側壁部25,26の外側内側から、側壁部25,26に設けられた側壁ボルト孔25b,26bを通過して、側壁部25,26の幅方向外側に配置されたナット(図示せず)に螺合することにより、幌ホルダー70,70を側壁部25,26に締結する。
【0048】
図5に示すように、各幌ホルダー70は、幌61を保持する幌保持本体部71を有する。幌保持本体部71は、全体として上部が開放された箱の形状をなし、幌61の接続部66aが挿入されるようになっている。幌保持本体部71には、幌61の接続部66aに形成された突起66dを収容する突起受け71dが形成されている。
【0049】
次に、
図9~
図12を参照して、レインカバー80について説明する。
図9には、レインカバー80が装着された
図5に示す幼児座席10が示されている。
図10は、レインカバー80の全体構成を示す斜視図である。
【0050】
図9に示すように、レインカバー80は、幼児座席10および幌61を覆うようにして取り付け可能である。幌61でレインカバー80を支持することにより、風雨の際もレインカバー80を広げた状態に維持することができ、レインカバー80内に十分な居住空間を安定して確保することができる。すなわち、幌61で支持されていることにより、レインカバー80が風雨によって幼児座席10に向けて潰れることが防止される。とりわけ図示された例では、日よけに用いられる幌61でレインカバー80を支持することにより、レインカバー80を支持するための追加の支持部材を用いることなく、レインカバー80を広げた状態に維持することができる。なお、図示された例では、幼児座席10と、幼児座席10に取り付けられた幌61と、レインカバー80と、によって、レインカバー着脱可能な座席100が構成される。
【0051】
図9および
図10に示されているように、レインカバー80は、幼児座席10および幌61を上方から覆う上方カバー部材81と、座席本体20の周壁部28を外側から覆う周状の周状カバー部82と、を有する。
【0052】
上方カバー部材81は、幌61の第1幌材要素62aを覆う第1上方カバー部材83と、幌61の第2幌材要素62bを覆う第2上方カバー部材84と、座面部21および接続部27を覆う第3上方カバー部材85と、を有する。第1上方カバー部材83は、第2上方カバー部材84に後方から接続している。第2上方カバー部材84は、第3上方カバー部材85に後方から接続している。
【0053】
周状カバー部材82は、一対の側壁部25,26と前壁部23とを覆う前側カバー部材86と、後壁部22を覆う後側カバー部材87と、を含む。前側カバー部材86は、後側カバー部材87に前方から接続し、第3上方カバー部材85に下方から接続する。また、後側カバー部材87は、第1上方カバー部材83および第2上方カバー部材84に下方から接続する。
【0054】
上方カバー部材81は、透明な樹脂製シート材を含んでおり、自転車2のサドル7に着座した運転者が、上方カバー部材81および幌61を通じて前方および幼児座席10に着座した幼児を視認することができるようになっている。また、幼児座席10に着座した幼児が、上方カバー部材81を通じて、外部を視認することができるようになっている。一方、図示された例では、周状カバー部材82は、不透明な布材で形成されている。
【0055】
第2上方カバー部材84の後側カバー部材87側の端部には、通気穴88が設けられている。具体的には、第2上方カバー部材84は、後側カバー部材87に上方から接続し、第2幌材要素62bの基部材64側の端部を覆う一対の端部カバー部材84a,84aと、後側カバー部材87から離間し、第2幌材要素62bの一対の端部カバー部材84a,84aによって覆われる領域の間を覆う中央カバー部材84bと、を含む。中央カバー部材84bの端部カバー部材84a,84a側の端部84bbは、一対の端部カバー部材84a,84aの上端縁84aaを上方且つ外側から覆う。各端部カバー部材84a,84aの上端縁84aaは、中央カバー部材84bに接着や縫着等されておらず、当該上端縁84aaと中央カバー部材84bとの間の隙間を通じてレインカバー80内に空気が流入するようになっている。すなわち、各端部カバー部材84a,84aの上端縁84aaと中央カバー部材84bとの間の隙間が、通気穴88として機能する。
図9に示すように、レインカバー80が幌61および幼児座席10を覆うように取り付けられた状態において、通気穴88は、幅方向D1に見て幌61と重なる。このため、幼児座席10に着座した幼児が通気穴88を通じてレインカバー80の外に手を出すことを防止することができる。また、通気穴88が中央カバー部材84bの内側に形成されることにより、通気穴88を通じて雨水がレインカバー80内に侵入することが防止される。
【0056】
レインカバー80は、幌61の前縁部に沿って延びる領域に、固定手段90を介して取り付け可能である。図示された例では、
図9に示されているように、第3上方カバー部材85の後端縁(第2上方カバー部材84および第3上方カバー部材85の境界領域)と、第2幌材要素62bの前端縁とが、固定手段90としてのスライドファスナーを介して接続されている。より具体的には、
図9および
図10に示すように、上方カバー部材81の幼児座席10に対向する側において、第3上方カバー部材85の後端縁には、スライドファスナー90の一対のファスナーストリンガー91,92のうち一方のファスナーストリンガー91が設けられている。また、
図5および
図10に示すように、第2幌材要素62bの前端縁には、他方のファスナーストリンガー92が設けられている。また、
図10に示すように、スライドファスナー90は、一対のファスナーストリンガー91,92の各エレメント列を係合させるスライダー93を有している。図示された例では、スライダー93は、レインカバー80に設けられたファスナーストリンガー91に取り付けられている。固定手段90を介してレインカバー80を幌61に取り付ける場合には、
図11に示すように、幌61に取り付けられたファスナーストリンガー92の一端とスライダー93とを噛み合わせ、スライダー93を移動させてファスナーストリンガー91,92の各エレメント列を係合させる。ファスナーストリンガー91,92を接続することにより、第3上方カバー部材85の後端縁を、第2幌材要素62bの前端縁に固定することができる。レインカバー80を幌61に固定することにより、幼児座席10および幌61を安定して覆うことができる。
【0057】
さらに、レインカバー80は、追加の固定手段95によって、自転車2のハンドル6に固定可能である。追加の固定手段95は、周状カバー部材82の下端縁に設けられた紐状の部材である。
図9に示すように、追加の固定手段95をハンドル6に巻き付けて固定することにより、幼児座席10および幌61を、レインカバー80によってさらに安定して覆うことができる。
【0058】
なお、レインカバー80を幌61および幼児座席10に装着した状態で幼児を幼児座席10に乗せ降ろしする際は、
図12に示すように、追加の固定手段95をハンドル6から外し、前側カバー部材86および第3上方カバー部材85をめくり上げて幌61の上に載せる。これにより、レインカバー80を安定して大きく開放することができる。
【0059】
また、前側カバー部材86および第3上方カバー部材85を幌61の上にめくり上げたまま自転車1の運転を行うことも可能である。この場合、固定手段90によってレインカバー80が幌61の前縁部に固定されているので、自転車1の運転中にレインカバー80が幌61から外れて自転車1の運転を阻害する、ということが防止される。
【0060】
また、レインカバー80を収納する際は、レインカバー80を幌61から取り外すことで、小さく畳むことができる。あるいは、レインカバー80を幌61と共に幼児座席10から取り外して収納してもよい。この場合、幌61を
図8に示すように畳むことで、幌61およびレインカバー80をコンパクトに収納することができる。
【0061】
なお、上述した自転車2、幼児座席10および幌ホルダー70は、一例に過ぎず、種々の変更が可能である。例えば、固定手段90は、一対のファスナーストリンガー91,92およびスライダー93を含むものに限られず、スナップボタンや面ファスナーなど、種々の固定手段を採用可能である。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、レインカバー着脱可能な座席100は、座席10と、座席10に取り付けられた幌61と、座席10および幌61を覆うように取り付け可能なレインカバー80と、を備えている。そして、レインカバー80は、幌61に固定手段90を介して取り付け可能である。このようなレインカバー着脱可能な座席100によれば、幌61でレインカバー80が支持されるため、風雨の際もレインカバー80を広げた状態に維持することができ、レインカバー80内に十分な居住空間を安定して確保することができる。すなわち、レインカバー80が幼児座席10に向けて潰れることが、幌61によって防止される。また、レインカバー80を幌61に固定することにより、幼児座席10および幌61をレインカバー80で安定して覆うことができる。また、レインカバー80を収納する際は、レインカバー80を幌61から取り外し、小さく折り畳んで収納することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、レインカバー80は、幌61の前縁部に沿って延びる領域に固定される。これにより、レインカバー80を幌61の上にめくり上げたまま座席10を前方に移動させても、レインカバー80が幌61から外れてしまうことが防止される。
【0064】
また、本実施の形態によれば、幌61は、複数の幌骨65a,65b,65cと幌骨65a,65b,65cに支持された幌材62とを有し、上記複数の幌骨65a,65b,65cを相対揺動させることで開閉可能である。これにより、レインカバー80を幌61から取り外さなくても、幌61を畳むことで、レインカバー80および幌61をコンパクトに収納することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、幌材62は、幌骨65a,65b,65cに対面する領域において互いに接続された複数の幌材要素62a,62bを含んでいる。このような幌材62は、幌骨65a,65b,65cを相対揺動させるのにともなって、畳むことができる。つまり、幌61をコンパクトに畳むことができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、幌材62は、メッシュ材である。これにより、幌材62を介して幌61の前方および座席10を透視可能である。
【0067】
また、本実施の形態によれば、レインカバー80は、幌61を覆う領域に通気穴88を有する。これにより、幌61の内側から通気穴88に手が差し込まれることが防止される。
【0068】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 幌付き自転車
2 自転車
10 幼児座席
20 座席本体
21 座面部
25 一側側壁部
26 他側側壁部
30 子供用ベルト
50 握り部材
60 幌装置
61 幌
70 幌ホルダー
80 レインカバー
88 通気穴
90 固定手段
100 レインカバー着脱可能な座席