(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】炭化珪素インゴットの製造方法及び炭化珪素インゴット製造用システム
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20220215BHJP
C30B 23/02 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B23/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020141217
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043399
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521492724
【氏名又は名称】セニック・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンフィ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ウンス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】コ、サンキ
(72)【発明者】
【氏名】ク、カプレル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュンギュ
【審査官】山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-201508(JP,A)
【文献】特開2018-140884(JP,A)
【文献】特開2018-145081(JP,A)
【文献】特開2013-075771(JP,A)
【文献】特開平03-137085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する反応容器に、原料と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;
前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節して前記原料を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設ける成長ステップと;
前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;を含み、
前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、
前記成長ステップは、前記内部空間を事前成長開始温度から進行温度まで昇温させる第1成長過程と;前記進行温度を維持する第2成長過程と;を含んで炭化珪素インゴットを設け、
前記事前成長開始温度は、前記内部空間の減圧が始まる温度であり、
前記進行温度は、前記内部空間の減圧が完了し、前記減圧された圧力下で炭化珪素インゴットの成長を誘導する温度であり、
温度差は、前記内部空間の上部温度と前記内部空間の下部温度との差であり、
前記事前成長開始温度において前記温度差は40℃~60℃であり、
前記内部空間の上部は、前記炭化珪素種結晶が位置した領域であり、
前記内部空間の下部は、前記原料が位置した領域である、炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項2】
前記成長ステップの前に、
大気状態の前記内部空間を減圧する減圧ステップと;
減圧された前記内部空間に不活性ガスを注入し、前記事前成長開始温度まで昇温させる昇温ステップと;を含む、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項3】
前記第1成長過程の昇温速度は、前記昇温ステップと前記第1成長過程全体の平均昇温速度よりも小さい、請求項2に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記反応容器の上下方向に移動可能に設置され、
前記加熱手段は、前記成長ステップで前記内部空間の上部と前記内部空間の下部との温度差を誘導する、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項5】
前記事前成長開始温度は、前記内部空間の下部を基準として1500℃~1700℃である、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項6】
前記成長ステップの進行温度は、前記内部空間の下部を基準として2100℃~2500℃である、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項7】
前記進行温度において温度差は、前記事前成長開始温度において
の温度差よりも70℃~120℃大きい、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項8】
前記第1成長過程の進行温度において前記温度差は110℃~160℃である、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項9】
前記第1成長過程の減圧は1torr~50torrまで進行する、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項10】
前記炭化珪素種結晶は、4インチ以上の4H炭化珪素を含む、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項11】
前記第1成長過程の昇温速度は1℃/min~5℃/minである、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項12】
前記冷却ステップの回収は、前記炭化珪素種結晶と接する前記炭化珪素インゴットの後面を切断して進行し、
前記回収された炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、前記後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下である、請求項1に記載の炭化珪素インゴットの製造方法。
【請求項13】
内部空間を有する反応容器と;
前記反応容器の外面を取り囲む断熱材と;
前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段と;を含んで炭化珪素インゴットを製造し、
前記内部空間の上部に炭化珪素種結晶が位置し、
前記内部空間の下部に原料が位置し、
前記加熱手段は、前記反応容器の上下方向に移動可能に設置されて内部空間の上部と内部空間の下部との温度差を調節し、
前記炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下であ
り、
事前成長開始温度は、前記内部空間の減圧が始まる温度であり、
進行温度は、前記内部空間の減圧が完了し、前記減圧された圧力下で炭化珪素インゴットの成長を誘導する温度であり、
前記加熱手段は、前記事前成長開始温度において前記内部空間の上部と内部空間の下部との温度差が40℃~60℃になるように誘導する、炭化珪素インゴット製造用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、炭化珪素インゴットの製造方法及び炭化珪素インゴット製造用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素は、耐熱性及び機械的強度に優れ、物理的、化学的に安定しているので、半導体材料として注目を集めている。近年、高電力素子などの基板として炭化珪素単結晶基板の需要が高まっている。
【0003】
このような炭化珪素単結晶を製造する方法として、液相蒸着法(Liquid Phase Epitaxy;LPE)、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition;CVD)、物理的気相輸送法(Physical Vapor Transport;PVT)などがある。その中で物理的気相輸送法は、坩堝内に炭化珪素原料を装入し、坩堝の上端には炭化珪素単結晶からなる種結晶を配置した後、坩堝を誘導加熱方式で加熱して原料を昇華させることで、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる方法である。
【0004】
物理的気相輸送法は、高い成長率を有することによってインゴットの形態の炭化珪素を作製することができるので、最も広く用いられている。ただし、坩堝の誘導加熱時に、初期成長条件、坩堝の上下部の温度差などに応じて坩堝内部の温度分布が変化して、製造される炭化珪素インゴットの後面品質不良が発生することがある。
【0005】
したがって、インゴットの後面品質を向上させ、インゴットの製造再現性を確保するために、成長、事前成長時に坩堝内部の温度について考慮する必要がある。
【0006】
前述した背景技術は、発明者が具現例の導出のために保有していたか、または導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【0007】
関連先行技術として、韓国公開特許公報第10-2017-0072441号に開示された「半絶縁炭化珪素単結晶の製造方法及びそれから製造された半絶縁炭化珪素単結晶」がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
具現例の目的は、炭化珪素インゴットの製造過程において、反応容器の内部空間を減圧し、昇温させるステップにて、特定の内部空間の上、下部の温度差を形成させる炭化珪素インゴットの製造方法を提供することにある。
【0009】
具現例の目的は、前記炭化珪素インゴットの製造方法を通じて、炭化珪素インゴットの後面である種結晶面の損失を最小化し、良好な品質のインゴットを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、具現例に係る炭化珪素インゴットの製造方法は、内部空間を有する反応容器に、原料と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節して前記原料を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設ける成長ステップと;前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;を含み、前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、前記成長ステップは、前記内部空間を事前成長開始温度から進行温度まで昇温させる第1成長過程と;前記進行温度を維持する第2成長過程と;を含んで炭化珪素インゴットを設け、前記事前成長開始温度は、前記内部空間の減圧が始まる温度であり、前記進行温度は、前記内部空間の減圧が完了し、前記減圧された圧力下で炭化珪素インゴットの成長を誘導する温度であり、温度差は、前記内部空間の上部温度と前記内部空間の下部温度との差であり、前記事前成長開始温度において前記温度差は40℃~60℃であり、前記内部空間の上部は、前記炭化珪素種結晶が位置した領域であり、前記内部空間の下部は、前記原料が位置した領域であってもよい。
【0011】
一具現例において、前記加熱手段は、前記反応容器の上下方向に移動可能に設置され、前記加熱手段は、前記成長ステップで前記内部空間の上部と前記内部空間の下部との温度差を誘導することができる。
【0012】
一具現例において、前記炭化珪素種結晶は、4インチ以上の4H炭化珪素を含むことができる。
【0013】
一具現例において、前記成長ステップの前に、大気状態の前記内部空間を減圧する減圧ステップと;減圧された前記内部空間に不活性ガスを注入し、前記事前成長開始温度まで昇温させる昇温ステップと;を含むことができる。
【0014】
一具現例において、前記事前成長開始温度は、前記内部空間の下部を基準として1500℃~1700℃であってもよい。
【0015】
一具現例において、前記成長ステップの進行温度は、前記内部空間の下部を基準として2100℃~2500℃であってもよい。
【0016】
一具現例において、前記進行温度において温度差は、前記事前成長開始温度において温度差よりも70℃~120℃大きくてもよい。
【0017】
一具現例において、前記第1成長過程の進行温度において前記温度差は110℃~160℃であってもよい。
【0018】
一具現例において、前記第1成長過程の減圧は1torr~50torrまで進行することができる。
【0019】
一具現例において、前記第1成長過程の昇温速度は、前記昇温ステップと前記第1成長過程全体の平均昇温速度よりも小さくてもよい。
【0020】
一具現例において、前記第1成長過程の昇温速度は1℃/min~5℃/minであってもよい。
【0021】
一具現例において、前記冷却ステップの回収は、前記炭化珪素種結晶と接する前記炭化珪素インゴットの後面を切断して進行し、前記回収された炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下であってもよい。
【0022】
上記目的を達成するために、具現例に係る炭化珪素インゴット製造用システムは、内部空間を有する反応容器と;前記反応容器の外面を取り囲む断熱材と;前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段と;を含んで炭化珪素インゴットを製造し、前記内部空間の上部に炭化珪素種結晶が位置し、前記内部空間の下部に原料が位置し、前記加熱手段は、前記反応容器の上下方向に移動可能に設置されて内部空間の上部と内部空間の下部との温度差を調節し、前記炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下であってもよい。
【0023】
一具現例において、事前成長開始温度は、前記内部空間の減圧が始まる温度であり、進行温度は、前記内部空間の減圧が完了し、前記減圧された圧力下で炭化珪素インゴットの成長を誘導する温度であり、前記加熱手段は、前記事前成長開始温度において前記内部空間の上部と内部空間の下部との温度差が40℃~60℃になるように誘導することができる。
【0024】
上記目的を達成するために、具現例に係る炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
一実施例に係る炭化珪素インゴットの製造方法を通じて、炭化珪素インゴットの後面である種結晶面の損失を最小化することができる。
【0026】
また、一実施例に係る炭化珪素インゴットの製造方法を通じて、欠陥の発生が少なく、良好な結晶品質を有する炭化珪素インゴットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】具現例に係る炭化珪素インゴットの製造方法において、時間に対する温度、圧力、アルゴンガスの圧力の推移を示すグラフである。
【
図2】(a)、(b)は、損失が発生した炭化珪素インゴットの後面を示す写真であり、(c)は、損失がほとんど発生していない炭化珪素インゴットの後面を示す写真である。
【
図3】具現例に係る炭化珪素インゴットの製造装置の一例を示す概念図である。
【
図4】具現例に係る炭化珪素インゴットの製造装置の一部を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、一つ以上の具現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0029】
本明細書において、ある構成が他の構成を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、それ以外の他の構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0030】
本明細書において、ある構成が他の構成と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「それらの間に他の構成を介在して連結」されている場合も含む。
【0031】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、またはそれらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0032】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0033】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、又は、A及びB」を意味する。
【0034】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0035】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0036】
発明者らは、炭化珪素インゴットの後面の損失を最小化し、品質を向上させることができる方案について考慮する中で、炭化珪素インゴットの事前成長ステップで反応容器の上、下部に特定の温度差を加え、温度差を漸進的に増加させる炭化珪素インゴットの製造方法を発明し、具現例を提示する。
【0037】
炭化珪素インゴットの製造方法
上記の目的を達成するために、一実施例に係る炭化珪素インゴットの製造方法は、内部空間を有する反応容器200に、原料300と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節して前記原料を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴット100を設ける成長ステップと;前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;を含み、前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、前記成長ステップは、前記内部空間を事前成長開始温度から進行温度まで昇温させる第1成長過程と;前記進行温度を維持する第2成長過程と;を含んで炭化珪素インゴットを設け、前記事前成長開始温度は、前記内部空間の減圧が始まる温度であり、前記進行温度は、前記内部空間の減圧が完了し、前記減圧された圧力下で炭化珪素インゴットの成長を誘導する温度であり、温度差は、前記内部空間の上部温度と前記内部空間の下部温度との差であり、前記事前成長開始温度において前記温度差は40℃~60℃であり、前記内部空間の上部230は、前記炭化珪素種結晶が位置した領域であり、前記内部空間の下部240は、前記原料が位置した領域である。
【0038】
図3及び
図4に炭化珪素インゴットの製造装置の一例を示した。これを参照して、具現例に係る炭化珪素インゴットの製造方法を説明する。
【0039】
前記準備ステップは、内部空間を有する反応容器200に、原料300と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置するステップである。
【0040】
前記準備ステップの炭化珪素種結晶は、目的とするウエハに応じて適切なサイズのものが適用され得、前記炭化珪素種結晶のC面((000-1)面)が前記原料300の方向に向かうようにすることができる。
【0041】
前記準備ステップの炭化珪素種結晶は、4インチ以上の4H炭化珪素を含むことができる。
【0042】
前記準備ステップの原料300は、炭素源と珪素源を有する粉末形態が適用され得、前記粉末が互いにネッキング処理された原料、または表面を炭化処理した炭化珪素粉末などが適用されてもよい。
【0043】
前記準備ステップの反応容器200は、炭化珪素インゴットの成長反応に適切な容器であれば適用可能であり、具体的に黒鉛坩堝を適用できる。例えば、前記反応容器は、内部空間及び開口部を含む本体210と、前記開口部と対応して前記内部空間を形成する蓋220とを含むことができる。前記坩堝蓋は、前記坩堝蓋と一体又は別途に種結晶ホルダをさらに含むことができ、前記種結晶ホルダを通じて、炭化珪素種結晶と原料とが対向するように、炭化珪素種結晶を固定することができる。
【0044】
前記準備ステップの反応容器200は、断熱材400によって取り囲まれて固定され得、石英管のような反応チャンバ500内に前記反応容器を取り囲んだ断熱材が位置するようにすることができ、前記断熱材及び反応チャンバの外部に備えられた加熱手段600により、前記反応容器200の内部空間の温度を制御することができる。
【0045】
前記準備ステップの断熱材400は、気孔度が72%~95%であってもよく、75%~93%であってもよく、または80%~91%であってもよい。前記気孔度を満たす断熱材を適用する場合、成長する炭化珪素インゴットのクラックの発生をさらに減少させることができる。
【0046】
前記準備ステップの断熱材400は、圧縮強度が0.2MPa以上であってもよく、0.48MPa以上であってもよく、または0.8MPa以上であってもよい。また、前記断熱材は、圧縮強度が3MPa以下であってもよく、または2.5MPa以下であってもよい。前記断熱材がこのような圧縮強度を有する場合、熱的/機械的安定性に優れ、アッシュ(ash)が発生する確率が低下するので、より優れた品質の炭化珪素インゴットを製造することができる。
【0047】
前記準備ステップの断熱材400は炭素系フェルトを含むことができ、具体的に黒鉛フェルトを含むことができ、レーヨン系黒鉛フェルトまたはピッチ系黒鉛フェルトを含むことができる。
【0048】
前記準備ステップの反応チャンバ500は、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部の真空度を調節する真空排気装置700と、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部に気体を流入させる配管810と、気体の流入を制御するマスフローコントローラ800とを含むことができる。これらを通じて、後続の成長ステップ及び冷却ステップにおいて不活性気体の流量を調節できるようにする。
【0049】
前記成長ステップは、前記加熱手段600によって前記反応容器200及び反応容器の内部空間を加熱して進行することができ、前記加熱と同時又は別途に内部空間を減圧して真空度を調節し、不活性気体を注入しながら炭化珪素インゴットの成長を誘導することができる。
【0050】
前記加熱手段600は、前記反応容器200の上下方向に移動可能に設置することができ、これによって、反応容器と加熱手段との相対的な位置が変更され得、前記内部空間の上部と前記内部空間の下部に温度差を加えることができる。具体的に、前記内部空間の上部230の種結晶及び下部240の原料300に温度差を加えることができる。
【0051】
前記加熱手段600は、前記反応容器200または反応容器を取り囲んだ断熱材400の外周面に沿って螺旋状のコイルとして形成されてもよい。
【0052】
前記成長ステップは、
図1を参照すると、事前成長ステップとして、前記内部空間を事前成長開始温度から進行温度まで昇温させる第1成長過程(S1);を含むことができ、本格的な成長ステップとして、前記進行温度を維持する第2成長過程(S2);を含むことができる。
【0053】
前記成長ステップの前に、大気状態の前記内部空間を減圧する減圧ステップ(Sa);及び
【0054】
減圧された前記内部空間に不活性ガスを注入し、前記事前成長開始温度まで昇温させる昇温ステップ(Sb);を含むことができる。
【0055】
前記事前成長開始温度までの昇温は、3℃/min~13℃/minの速度で進行してもよく、または5℃/min~11℃/minの速度で進行してもよい。前記事前成長開始温度までの昇温は、7℃/min~10℃/minの速度で進行してもよい。
【0056】
前記減圧ステップ(Sa)は、前記内部空間の圧力が10torr以下、または5torr以下になるように行われてもよい。
【0057】
前記昇温ステップ(Sb)は、前記内部空間の圧力が500torr~800torrになるようにアルゴン、窒素などの不活性ガスを注入して行われ得、1℃/min~10℃/minの速度で前記内部空間の下部が1500℃~1700℃の温度になるように昇温が行われ得る。
【0058】
図4を参照すると、内部空間の上部230は、炭化珪素種結晶110又はインゴットの表面と近い内部空間の一領域であり、内部空間の下部240は、原料300の表面と近い内部空間の領域である。具体的には、前記内部空間の上部230は、炭化珪素種結晶又はインゴットの表面の下方に約5mm以上離れた位置、より具体的には約5mmで測定した温度であり、前記内部空間の下部240は、原料300の表面から上方に約10mm以上離れた位置、より具体的には約10mmで測定した温度である。前記内部空間の上部又は前記内部空間の下部が、坩堝の長手方向に見たときに同じ位置であるとき、それぞれ測定する位置ごとに測定された温度が異なれば、中央部の温度を基準とする。
【0059】
前記第1成長過程(S1)の事前成長開始温度は、前記原料300の昇華が一部始まる温度であって、
図1の点線領域に表示したように、成長ステップの前に前記昇温ステップを経た温度であってもよく、または前記昇温ステップの不活性ガスの注入後、内部空間の減圧が始まる温度であってもよい。具体的には、前記内部空間の下部240を基準として1500℃~1700℃であってもよく、または1600℃~1640℃であってもよい。
【0060】
前記第1成長過程(S1)の事前成長開始温度は、前記内部空間の上部230を基準として1450℃~1650℃であってもよく、または1550℃~1587℃であってもよい。
【0061】
前記第1成長過程は、前記事前成長開始温度において前記内部空間の上部と内部空間の下部との温度差が40℃~60℃であってもよく、または50℃~55℃であってもよい。
【0062】
前記第1成長過程(S1)の進行温度は、本格的に前記原料300の昇華が進行する温度であって、
図1の点線領域に表示したように、前記第1成長過程の昇温が行われた温度であってもよく、または前記内部空間の減圧が完了し、前記減圧された圧力下で炭化珪素インゴットの成長を誘導する温度であってもよい。また、前記進行温度で前記減圧された圧力の10%以内に圧力を変更しながら炭化珪素インゴットの成長を誘導することができる。
【0063】
前記第1成長過程(S1)の進行温度は、内部空間の下部240を基準として2100℃~2500℃であってもよく、または2200℃~2400℃であってもよい。
【0064】
前記第1成長過程(S1)の進行温度は、前記内部空間の上部230を基準として1900℃~2300℃であってもよく、または2100℃~2250℃であってもよい。
【0065】
前記第1成長過程(S1)は、前記進行温度において内部空間の上部と内部空間の下部との温度差が110℃~160℃であってもよく、または135℃~150℃であってもよい。
【0066】
前記第1成長過程(S1)は、前記内部空間の温度上昇に伴い、前記内部空間の上部と内部空間の下部との温度差が共に増加することができる。
【0067】
前記進行温度において温度差は、前記事前成長開始温度において温度差よりも70℃~120℃大きくてもよく、または70℃~95℃大きくてもよい。
【0068】
前記第1成長過程(S1)は、前記内部空間の上部と内部空間の下部の温度範囲、温度差及び温度差の差(変化量)を有するので、初期の炭化珪素インゴットの形成時に、目的とする結晶以外の多形の発生を最小化し、安定したインゴットの成長が可能なようにすることができる。前記第1成長過程の事前成長開始温度、進行温度において前記範囲の温度差未満であると、目的とする結晶以外の結晶が混入して多結晶を形成する可能性が高くなり、成長速度が低下する恐れがあり、前記範囲の温度差を超えると、結晶質が低下することがある。
【0069】
前記第1成長過程(S1)は、前記事前成長開始温度から進行温度に昇温すると共に減圧が行われ得、1torr~50torrまで進行してもよい。
【0070】
前記第1成長過程(S1)の昇温速度は、前記昇温ステップの昇温速度よりも小さくてもよく、または前記昇温ステップと前記第1成長過程全体の平均昇温速度よりも小さくてもよい。
【0071】
前記第1成長過程(S1)の昇温速度は、1℃/min~5℃/minであってもよく、または3℃/min~5℃/minであってもよい。前記昇温速度の範囲で、目的とする結晶以外の多形の発生を防止し、安定的に成長するように誘導することができる。
【0072】
前記第1成長過程(S1)は、前記加熱手段の最大加熱領域が前記反応容器の下部、原料の表面240となるように進行することができ、前記加熱手段が螺旋状のコイル形状である場合、巻数及び厚さなどを変更して、目的とする前記内部空間の上部と内部空間の下部との温度差を加えるようにすることができる。
【0073】
前記第2成長過程(S2)は、前記第1成長過程で進行温度に昇温後、進行温度を維持して本格的に原料を昇華させてインゴットを形成するようにする。
【0074】
前記第2成長過程は、5時間~180時間進行してもよく、30時間~160時間進行してもよく、または50時間~150時間進行してもよい。
【0075】
前記成長ステップは、前記反応容器200の上下方向を軸として回転しながら進行することができ、温度勾配をさらに同一に維持するようにすることができる。
【0076】
前記成長ステップは、前記反応容器200の外部に所定流量の不活性気体を加えることができる。前記不活性気体は、前記反応容器200の内部空間でその流れが形成され得、前記原料300から前記炭化珪素種結晶の方向にその流れが形成され得る。これによって、前記反応容器及び内部空間の安定した温度勾配を形成できるようにする。
【0077】
前記成長ステップの前記不活性気体は、具体的にアルゴン、ヘリウム、またはこれらの混合気体であってもよい。
【0078】
前記冷却ステップ(S3)は、前記成長ステップを通じて成長した炭化珪素インゴットを、所定の冷却速度及び不活性気体の流量の条件で冷却するステップである。
【0079】
前記冷却ステップ(S3)は、1℃/min~10℃/minの速度で冷却が進行してもよく、または3℃/min~9℃/minの速度で冷却が進行してもよい。前記冷却ステップは、5℃/min~8℃/minの速度で冷却が進行してもよい。
【0080】
前記冷却ステップ(S3)は、前記反応容器200の内部空間の圧力の調節が同時に行われてもよく、または前記冷却ステップと別途に圧力の調節が行われてもよい。前記圧力の調節は、前記内部空間の圧力が最大800torrになるように行われ得る。
【0081】
前記冷却ステップ(S3)は、前記成長ステップと同様に、前記反応容器200の内部に所定流量の不活性気体を加えることができる。前記不活性気体は、例示的にアルゴン、または窒素であってもよい。前記不活性気体は、前記反応容器の内部空間でその流れが形成され得、前記原料300から前記炭化珪素種結晶の方向にその流れが形成され得る。
【0082】
前記冷却ステップ(S3)は、前記反応容器200の内部空間の圧力が大気圧以上になるように加圧し、前記内部空間の温度が上部230を基準として1500℃~1700℃になるように冷却させる1次冷却ステップと;前記1次冷却ステップの後、前記内部空間の温度を常温に冷却させる2次冷却ステップと;を含むことができる。
【0083】
前記冷却ステップ(S3)の回収は、前記炭化珪素種結晶110と接する炭化珪素インゴットの後面を切断して進行することができる。このように切断された炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体に対して5%以下であり得る。前記熱処理は、酸素や窒素などの特定のガスを適用していない大気雰囲気の加熱炉で進行することができる。
【0084】
すなわち、前記製造方法で製造された炭化珪素インゴットは、種結晶と接する後面の損失を最小化し、改善された結晶品質を示すことができる。
【0085】
炭化珪素インゴット製造用システム
上記の目的を達成するために、具現例に係る炭化珪素インゴットの製造装置は、内部空間を有する反応容器200と;前記反応容器の外面を取り囲む断熱材400と;前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段600と;を含んで炭化珪素インゴットを製造し、前記内部空間の上部230に炭化珪素種結晶110が位置し、前記内部空間の下部240に原料300が位置し、前記加熱手段は、前記反応容器の上下方向に移動可能に設置されて内部空間の上部と内部空間の下部との温度差を調節し、前記炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下である。前記熱処理は、酸素や窒素などの特定のガスを適用していない大気雰囲気の加熱炉で進行することができる。
【0086】
図3及び
図4を参照すると、前記反応容器200は、内部空間及び開口部を含む本体210と、前記開口部と対応して前記内部空間を形成する蓋220とを含むことができ、その他の事項は、上述した通りである。
【0087】
前記断熱材400の材料、物性などは、上述した通りである。
【0088】
前記炭化珪素インゴットの製造装置は、前記断熱材400によって取り囲まれた反応容器200を内部に位置させた反応チャンバ500を含むことができる。このとき、前記加熱手段600は、前記反応チャンバの外部に備えられて前記反応容器の内部空間の温度を制御することができる。
【0089】
前記反応チャンバ500は、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部の真空度を調節する真空排気装置700と、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部に気体を流入させる配管810と、気体の流入を制御するマスフローコントローラ800とを含むことができる。これらを通じて、成長ステップ及び冷却ステップにおいて不活性気体の流量を調節できるようにする。
【0090】
前記加熱手段600は、前記事前成長開始温度において前記内部空間の上部と内部空間の下部との温度差が40℃~60℃になるように誘導することができ、または50℃~55℃になるように誘導することができる。このとき、前記事前成長開始温度は、前記内部空間に不活性ガスが注入された状態で減圧が始まる温度であり、前記進行温度は、前記内部空間の減圧が完了し、前記減圧された圧力下で炭化珪素の成長を誘導する温度である。
【0091】
前記加熱手段600は、前記進行温度において前記温度差が110℃~160℃になるように加えることができ、または135℃~150℃になるように加えることができる。
【0092】
前記加熱手段600は、前記反応容器200または反応容器を取り囲んだ断熱材400の外周面に沿って螺旋状のコイルとして形成されてもよい。
【0093】
前記炭化珪素インゴット製造用システムは、前記第1成長過程の前又は後に、上述した減圧ステップ、昇温ステップ、第2成長過程、冷却ステップなどが行われ得る。前記冷却ステップの回収は、前記炭化珪素種結晶110と接する炭化珪素インゴットの後面を切断して進行することができる。
【0094】
このように切断された炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下であり得る。前記熱処理は、酸素や窒素などの特定のガスを適用していない大気雰囲気の加熱炉で進行することができる。
【0095】
炭化珪素インゴット
上記の目的を達成するために、一実施例に係る炭化珪素インゴットは、常温から900℃まで5℃/minで昇温し、900℃で10時間酸化熱処理したとき、炭化珪素種結晶と接する炭化珪素インゴットの後面の損失面積が、後面全体の面積に対して5%以下であってもよく、または3.2%以下であってもよい。前記損失面積は、前記後面全体の面積に対して0%超であってもよく、または0.001%以上であってもよい。前記熱処理は、酸素や窒素などの特定のガスを適用していない大気雰囲気の加熱炉で進行することができる。
【0096】
前記炭化珪素インゴットは4H炭化珪素構造を含むことができる。
【0097】
前記炭化珪素インゴットは、4インチ以上の直径を有することができ、12インチ以下の直径を有することができる。
【0098】
前記炭化珪素インゴットは、前記炭化珪素インゴットの製造方法の成長ステップで加えた温度差により、向上した後面品質を示すことができ、より低減された欠陥密度を示すことができる。
【0099】
ウエハの製造方法
上記の目的を達成するために、一実施例に係るウエハの製造方法は、前記炭化珪素インゴットの製造方法を通じて製造された炭化珪素インゴットを切断してウエハを設ける切断ステップと;前記設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップと;を含むことができる。
【0100】
前記切断ステップは、前記炭化珪素インゴットの(0001)面または成長が開始された面と所定のオフ角をなすように切断されてもよい。前記切断ステップのオフ角は、0°~10°であってもよい。
【0101】
前記切断ステップは、前記ウエハの厚さが150μm~900μmになるようにすることができ、または200μm~600μmになるようにすることができるが、これに制限するものではない。
【0102】
前記加工ステップにおいて厚さを平坦化する過程は、ホイール研削がウエハの両側面に順次適用されて行われ得、前記切断ステップで加えられた損傷を除去することができる。
【0103】
前記加工ステップにおいて研削ホイールは、表面に粒子が埋め込まれた形態であってもよく、前記研削ホイールの表面に埋め込まれた粒子はダイヤモンドであってもよい。
【0104】
前記加工ステップは、前記研削ホイールとウエハが互いに反対方向に回転しながら行われ得る。
【0105】
前記加工ステップは、前記研削ホイールの直径が前記ウエハの直径よりも大きくてもよく、250mm以下であってもよい。
【0106】
前記加工ステップの後、前記ウエハを湿式エッチングするステップをさらに含むことができる。
【0107】
前記加工ステップは、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing)ステップをさらに含むことができる。
【0108】
前記化学的機械的研磨は、回転する定盤上に研磨粒子スラリーを加えながら、回転する研磨ヘッドに固定されたウエハを所定の圧力で接触させて行われ得る。
【0109】
前記加工ステップの後、通常のRCA化学洗浄溶液を介した洗浄ステップがさらに行われてもよい。
【0110】
前記製造方法を通じて製造されたウエハは、欠陥密度、不純物粒子の数が少なく、表面特性が良好であるという利点を有し、これを素子に適用する際、電気的特性又は光学的特性に優れた素子を製造することができる。
【0111】
以下、具体的な実施例を通じてより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0112】
<実施例-炭化珪素インゴットの製造>
図3に炭化珪素インゴットの製造装置の一例を示したように、反応容器200の内部空間の下部に原料である炭化珪素粉末を装入し、その上部に炭化珪素種結晶を配置した。このとき、炭化珪素種結晶は、直径6インチの4H炭化珪素結晶からなるものを適用し、C面((000-1)面)が内部空間の下部の炭化珪素原料に向かうように通常の方法により固定した。
【0113】
反応容器200を組み立て、その外部を断熱材400で取り囲んだ後、外部に加熱手段600である加熱コイルが備えられた石英管500内に反応容器を配置した。
【0114】
図1に示したように、前記反応容器200の内部空間を減圧して真空雰囲気に調節し、アルゴンガスを注入して前記内部空間が760torrに到達するようにし、前記内部空間の温度を、下部を基準として表1の実施例の事前成長開始温度まで7℃/min~10℃/minの速度で昇温させた。事前成長過程として、減圧と同時に3℃/min~5℃/minの速度で昇温させ、内部空間の上部と内部空間の下部の温度及び圧力が表1の実施例の条件となるように設定した。表1の実施例の進行温度、温度差及び圧力に到達した後、同一の条件を維持して炭化珪素インゴットを80~140時間成長させた。
【0115】
成長後、前記内部空間の温度を5℃/min~8℃/minの速度で25℃まで冷却させ、同時に、内部空間の圧力が760torrになるようにアルゴン又は窒素ガスを注入した。
【0116】
<比較例-炭化珪素インゴットの製造>
前記実施例において、第1成長過程の開始温度、進行温度及び温度差を、表1の比較例の条件に変更して進行した。
【0117】
<実験例-炭化珪素インゴットの後面の評価>
前記製造された炭化珪素インゴットを種結晶から切断して分離した。種結晶と接していた面である後面の損失を評価するために、前記製造されたインゴットを大気雰囲気の加熱炉にて5℃/minの速度で常温から900℃まで昇温させ、900℃で10時間酸化熱処理を進行した後、後面の損失面積を目視で把握した。損失面積が全面積の5%を超えると、後面が損失したものと判断した。
【0118】
【0119】
表1を参照すると、開始温度において温度差が40℃~60℃であり、進行温度において温度差が110℃~160℃である実施例のインゴットは、そうでない比較例と比較して、後面である種結晶面の損失面積が全面積の5%以下であることを確認した。
【0120】
また、
図2(c)から、実施例1は後面である種結晶面の損失がほとんどないことを確認することができ、
図2(a)、(b)から、比較例2及び3は種結晶面の相当の損失が発生したことを確認することができる。
【0121】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0122】
100 炭化珪素インゴット
110 種結晶
200 反応容器
210 本体
220 蓋
230 内部空間の上部
240 内部空間の下部
300 原料
400 断熱材
500 反応チャンバ、石英管
600 加熱手段
700 真空排気装置
800 マスフローコントローラ
810 配管