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特許7023543ウエハの製造方法、エピタキシャルウエハの製造方法、これによって製造されたウエハ及びエピタキシャルウエハ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】ウエハの製造方法、エピタキシャルウエハの製造方法、これによって製造されたウエハ及びエピタキシャルウエハ
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20220215BHJP
   C30B 25/06 20060101ALI20220215BHJP
   C30B 33/00 20060101ALI20220215BHJP
   C30B 33/10 20060101ALI20220215BHJP
   H01L 21/203 20060101ALI20220215BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220215BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B25/06
C30B33/00
C30B33/10
H01L21/203 Z
H01L21/304 621C
H01L21/304 621D
H01L21/304 622W
H01L21/205
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020141224
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2021187727
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0064716
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521492724
【氏名又は名称】セニック・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンフィ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ウンス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨンシク
(72)【発明者】
【氏名】コ、サンキ
(72)【発明者】
【氏名】ク、カプレル
【審査官】山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-140884(JP,A)
【文献】特開2016-037441(JP,A)
【文献】国際公開第2014/123036(WO,A1)
【文献】特開2014-058411(JP,A)
【文献】特開2013-177256(JP,A)
【文献】特開2014-201508(JP,A)
【文献】特開2021-138597(JP,A)
【文献】特開2021-070622(JP,A)
【文献】特開2021-066650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
H01L 21/203
H01L 21/304
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する反応容器に、原料物質と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;
前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節して前記原料物質を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設ける成長ステップと;
前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;
前記回収された炭化珪素インゴットを切断してウエハを設ける切断ステップと;
前記設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップと;を含み、
前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、
前記断熱材の密度は0.14g/cc~0.28g/ccであり、
前記加工ステップは、1000mesh~3000meshの表面粒度を有する第1研削ホイールで加工する第1加工ステップ;及び6000mesh~10000meshの表面粒度を有する第2研削ホイールで加工する第2加工ステップ;を含み、
前記第1加工ステップは、前記第1研削ホイールが前記ウエハに向かう送り速度が0.2μm/s以上1.5μm/s未満であり
前記第2加工ステップは、前記第2研削ホイールが前記ウエハに向かう送り速度が0.2μm/s以上1.5μm/s未満であり、
下記式1で表されるPi値が30以下であり、
[式1]
前記式1において、Diは、前記断熱材の密度(g/cc)の数値であり、Viは、前記第1研削ホイールの送り速度(μm/s)の数値であり、Viiは、前記第2研削ホイールの送り速度(μm/s)の数値である、ウエハの製造方法。
【請求項2】
前記第1研削ホイールの回転速度は1000rpm~2000rpmである、請求項1に記載のウエハの製造方法。
【請求項3】
前記第2研削ホイールの回転速度は600rpm~1800rpmである、請求項1に記載のウエハの製造方法。
【請求項4】
前記加工ステップは、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing)ステップをさらに含む、請求項1に記載のウエハの製造方法。
【請求項5】
前記化学的機械的研磨ステップが行われたウエハは、
一面及び他面を含み、
前記一面において総スクラッチの長さの和が、前記ウエハの直径の長さ以下であり、
前記一面において0.3μm以上の粒度を有するパーティクルの平均密度が3/cm以下であり、
前記一面においてマイクロパイプの平均密度が3/cm以下である、請求項4に記載のウエハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ウエハの製造方法、エピタキシャルウエハの製造方法、これによって製造されたウエハ及びエピタキシャルウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素は、耐熱性及び機械的強度に優れ、物理的、化学的に安定しているので、半導体材料として注目を集めている。近年、高電力素子などの基板として炭化珪素単結晶基板の需要が高まっている。
【0003】
このような炭化珪素単結晶を製造する方法として、液相蒸着法(Liquid Phase Epitaxy;LPE)、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition;CVD)、物理的気相輸送法(Physical Vapor Transport;PVT)などがある。その中で物理的気相輸送法は、坩堝内に炭化珪素原料を装入し、坩堝の上端には炭化珪素単結晶からなる種結晶を配置した後、坩堝を誘導加熱方式で加熱して原料を昇華させることで、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる方法である。
【0004】
物理的気相輸送法は、高い成長率を有することによってインゴットの形態の炭化珪素を作製することができるので、最も広く用いられている。ただし、坩堝の誘導加熱時に、坩堝及び断熱材の特性、工程条件などに応じて坩堝に流れる電流密度が変化し、坩堝の内部の温度分布も変化して、製造される炭化珪素インゴットの反り及び歪みが発生することがある。このような反り及び歪みが発生すると、後続工程を通じて設けられたウエハの欠陥密度が増加することがある。
【0005】
一方、炭化珪素インゴットから設けられたウエハにエピタキシャル層を形成する際、ウエハの表面は、スクラッチなどの機械的な損傷が最小化されなければならない。ウエハの表面上に不要なパーティクルがあるか、またはスクラッチなどの機械的な損傷がある場合、エピタキシャル層の品質が低下し、半導体素子の製造時に素子の特性や歩留まりが低下する恐れがある。
【0006】
したがって、ウエハから製造される半導体素子の性能及び歩留まりの向上のために、炭化珪素単結晶の製造及びウエハの製造時に、種々の要素の構成方案について考慮する必要がある。
【0007】
前述した背景技術は、発明者が具現例の導出のために保有していたか、または導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【0008】
関連先行技術として、韓国公開特許公報第10-2010-0089103号に開示された"炭化珪素単結晶インゴット、これから得られる基板及びエピタキシャルウエハ"がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
具現例の目的は、欠陥密度、表面のスクラッチ及びパーティクルが低減されたウエハ及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
具現例の他の目的は、ダウンフォール、三角及びキャロット欠陥などが低減されたエピタキシャルウエハ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、一実施例に係るウエハの製造方法は、内部空間を有する反応容器に、原料物質と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節して前記原料物質を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設ける成長ステップと;前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;前記回収された炭化珪素インゴットを切断してウエハを設ける切断ステップと;前記設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップと;を含み、前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、前記断熱材の密度は0.14g/cc~0.28g/ccであり、前記加工ステップは、1000mesh~3000meshの表面粒度を有する第1研削ホイールで加工する第1加工ステップ;及び6000mesh~10000meshの表面粒度を有する第2研削ホイールで加工する第2加工ステップ;を含む。
【0012】
前記第1加工ステップは、前記第1研削ホイールが前記ウエハに向かう送り速度が0.2μm/s以上1.5μm/s未満であってもよい。
【0013】
前記第2加工ステップは、前記第2研削ホイールが前記ウエハに向かう送り速度が0.2μm/s以上1.5μm/s未満であってもよい。
【0014】
下記式1で表されるPi値が30以下であってもよい。
【0015】
[式1]
【0016】
前記式1において、Diは、前記断熱材の密度(g/cc)の数値であり、Viは、前記第1研削ホイールの送り速度(μm/s)の数値であり、Viiは、前記第2研削ホイールの送り速度(μm/s)の数値である。
【0017】
前記第1研削ホイールの回転速度は1000rpm~2000rpmであってもよい。
【0018】
前記第2研削ホイールの回転速度は600rpm~1800rpmであってもよい。
【0019】
前記加工ステップは、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing)ステップをさらに含むことができる。
【0020】
前記化学的機械的研磨ステップが行われたウエハは、一面及び他面を含み、前記一面において総スクラッチの長さの和が、前記ウエハの直径の長さ以下であり、前記一面において0.3μm以上の粒度を有するパーティクルの平均密度が3/cm以下であり、前記一面においてマイクロパイプの平均密度が3/cm以下であってもよい。
【0021】
前記一面において総スクラッチの長さが2cm以下であってもよい。
【0022】
下記式2で表されるWd値が15以下であってもよい。
【0023】
[式2]
【0024】
前記式2において、MPは、前記マイクロパイプの平均密度(/cm)の数値であり、Pdは、前記パーティクルの平均密度(/cm)の数値であり、Srは、前記ウエハの直径に対する総スクラッチの長さの百分率(%)の数値である。
【0025】
前記一面は、表面に珪素原子層が現れるSi面であり、前記ウエハは、4インチ以上の4H炭化珪素ウエハであってもよい。
【0026】
上記目的を達成するために、一実施例に係るウエハは、一面及び他面を含み、前記一面において総スクラッチの長さが、ウエハの直径の長さ以下であり、前記一面において0.3μm以上の粒度を有するパーティクルの平均密度が3/cm以下であり、前記一面においてマイクロパイプの平均密度が3/cm以下であってもよい。
【0027】
前記一面において総スクラッチの長さが2cm以下であってもよい。
【0028】
下記式2で表されるWd値が15以下であってもよい。
【0029】
[式2]
【0030】
前記式2において、MPは、前記マイクロパイプの平均密度(/cm)の数値であり、Pdは、前記パーティクルの平均密度(/cm)の数値であり、Srは、前記ウエハの直径に対する総スクラッチの長さの百分率(%)の数値である。
【0031】
前記一面は、表面に珪素原子層が現れるSi面であり、前記ウエハは、4インチ以上の4H炭化珪素ウエハであってもよい。
【0032】
上記目的を達成するために、一実施例に係るエピタキシャルウエハの製造方法は、前記ウエハが配置された成長容器内にエピタキシャル成長のための原料ガスを注入し、化学気相蒸着法によって前記ウエハの一面上にエピタキシャル層を成長させる成長ステップを含むことができる。
【0033】
前記ウエハについての具体的な説明は、上述したものと同一であるので、その記載を省略する。また、前記エピタキシャルウエハについての具体的な説明は、後述するものと同一であるので、その記載を省略する。
【0034】
上記目的を達成するために、一実施例に係るエピタキシャルウエハは、前記ウエハと;前記ウエハの一面上に形成されたエピタキシャル層と;を含むことができる。
【0035】
前記エピタキシャル層は、ダウンフォール(downfall)欠陥の平均密度が0.3/cm以下であり、三角(triangular)欠陥の平均密度が1/cm以下であり、キャロット(carrot)欠陥の平均密度が2/cm以下であり、刃状転位の平均密度が4/cm以下であってもよい。
【0036】
前記ウエハは、一面及び他面を含み、前記一面において総スクラッチの長さが、ウエハの直径の長さ以下であり、前記一面において0.3μm以上の粒度を有するパーティクルの平均密度が3/cm以下であり、前記一面においてマイクロパイプの平均密度が3/cm以下であってもよい。
【0037】
前記一面において総スクラッチの長さが2cm以下であってもよい。
【0038】
下記式2で表されるWd値が15以下であってもよい。
【0039】
[式2]
【0040】
前記式2において、MPは、前記マイクロパイプの平均密度(/cm)の数値であり、Pdは、前記パーティクルの平均密度(/cm)の数値であり、Srは、前記ウエハの直径に対する総スクラッチの長さの百分率(%)の数値である。
【0041】
前記一面は、表面に珪素原子層が現れるSi面であり、前記ウエハは、4インチ以上の4H炭化珪素ウエハであってもよい。
【発明の効果】
【0042】
一実施例に係るウエハの製造方法を通じて製造されたウエハは、マイクロパイプ欠陥密度が少なく、パーティクル及びスクラッチの発生を最小化することができる。
【0043】
一実施例に係るエピタキシャルウエハの製造方法を通じて製造されたエピタキシャルウエハは、ダウンフォール、三角及びキャロット欠陥などの密度が少なく、優れた素子特性を示すことができ、素子の歩留まりの向上を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】一実施例に係るウエハの斜視図である。
図2】一実施例に係るエピタキシャルウエハを断面で説明する概念図である。
図3】比較例1(a)及び実施例4(b)において、エピタキシャル層の形成前(左側)と形成後(右側)の欠陥を測定した結果を示した写真である。
図4】一実施例に係る炭化珪素インゴットの製造装置の概念図である。
図5】エピタキシャルウエハのキャロット欠陥(a)、三角欠陥(b)、ダウンフォール欠陥(c)を示した写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、一つ以上の具現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0046】
本明細書において、ある構成が他の構成を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、それ以外の他の構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0047】
本明細書において、ある構成が他の構成と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「それらの間に他の構成を介在して連結」されている場合も含む。
【0048】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、またはそれらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0049】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0050】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、又は、A及びB」を意味する。
【0051】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0052】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0053】
本明細書において、欠陥を説明しながら適用する単位「/cm」は、単位面積当たりの欠陥の数を、「/wafer」は、ウエハの一面で確認された欠陥の数を意味する単位である。
【0054】
本明細書において、欠陥は、特に説明がなければ、ウエハの光学式測定装備(Candela CS20、KLA-Tencor社)を通じて測定した結果を意味する。
【0055】
反り又は歪み特性が良好でないインゴットから製造されたウエハ上にエピタキシャル層を形成する際、エピタキシャル層においてダウンフォール(downfall)、三角(triangular)、キャロット(carrot)などのような欠陥が発生しやすく、これは、ダイオードの動作において降伏電圧を減少させ、漏洩電流を増加させる要因となる。
【0056】
発明者らは、前記欠陥の発生を低減させる方案について考慮する中で、インゴットの製造時に成長容器の断熱材の密度の調節を通じてインゴットの形状及び品質を向上させ、ウエハの加工における研磨過程でウエハのスクラッチ及びパーティクルの発生を最小化する方法を発明し、具現例を提示する。
【0057】
ウエハの製造方法
上記の目的を達成するために、一実施例に係るウエハの製造方法は、内部空間を有する反応容器200に、原料物質300と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節して前記原料物質を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴット100を設ける成長ステップと;前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;前記回収された炭化珪素インゴットを切断してウエハを設ける切断ステップと;前記設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップと;を含み、前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、前記断熱材の密度は0.14g/cc~0.28g/ccであり、前記加工ステップは、1000mesh~3000meshの表面粒度を有する第1研削ホイールで加工する第1加工ステップと;6000mesh~10000meshの表面粒度を有する第2研削ホイールで加工する第2加工ステップと;を含む。
【0058】
図4に炭化珪素インゴットの製造装置の一例を示した。これを参照して、具現例に係るウエハの製造方法を説明する。
【0059】
前記準備ステップは、内部空間を有する反応容器200に、原料物質300と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置するステップである。
【0060】
前記準備ステップの炭化珪素種結晶は、目的とするウエハに応じて適切なサイズのものを適用することができ、前記炭化珪素種結晶のC面((000-1)面)が前記原料物質300の方向に向かうようにすることができる。
【0061】
前記準備ステップの原料物質300は、炭素源と珪素源を有する粉末形態が適用され得、前記粉末が互いにネッキング処理された原料、または表面を炭化処理した炭化珪素粉末などが適用されてもよい。
【0062】
前記準備ステップの反応容器200は、炭化珪素インゴットの成長反応に適切な容器であれば、制限されずに適用可能であり、具体的に黒鉛坩堝を適用できる。例えば、前記反応容器は、内部空間及び開口部を含む本体210と、前記開口部と対応して前記内部空間を密閉する蓋220とを含むことができる。前記坩堝蓋は、前記坩堝蓋と一体又は別途に種結晶ホルダをさらに含むことができ、前記種結晶ホルダを通じて、炭化珪素種結晶と原料とが対向するように、炭化珪素種結晶を固定することができる。
【0063】
前記準備ステップの反応容器200は、断熱材400によって取り囲まれて固定され得、石英管のような反応チャンバ500内に前記反応容器を取り囲んだ断熱材が位置するようにすることができ、前記断熱材及び反応チャンバの外部に備えられた加熱手段600により、前記反応容器200の内部空間の温度を制御することができる。
【0064】
前記準備ステップの断熱材400は、気孔度が72%~95%であってもよく、75%~93%であってもよく、または80%~91%であってもよい。前記気孔度を満たす断熱材を適用する場合、成長する炭化珪素インゴットのクラックの発生をさらに減少させることができる。
【0065】
前記準備ステップの断熱材400は、圧縮強度が0.2MPa以上であってもよく、0.48MPa以上であってもよく、または0.8MPa以上であってもよい。また、前記断熱材は、圧縮強度が3MPa以下であってもよく、または2.5MPa以下であってもよい。前記断熱材がこのような圧縮強度を有する場合、熱的/機械的安定性に優れ、アッシュ(ash)が発生する確率が低下するので、より優れた品質の炭化珪素インゴットを製造することができる。
【0066】
前記準備ステップの断熱材400は炭素系フェルトを含むことができ、具体的に黒鉛フェルトを含むことができ、レーヨン系黒鉛フェルトまたはピッチ系黒鉛フェルトを含むことができる。
【0067】
前記準備ステップの断熱材400は、その密度が0.14g/cc以上であってもよく、0.15g/cc以上であってもよく、0.168g/cc以上であってもよく、または0.17以上であってもよい。前記断熱材は、その密度が0.28g/cc以下であってもよく、0.24g/cc以下であってもよく、0.20g/cc以下であってもよく、または0.18g/cc以下であってもよい。前記密度範囲を有する断熱材を通じて、製造されるインゴットの反り及び歪みの発生を抑制することができ、インゴットから製造されるウエハが良好な欠陥特性を示すことができるようにする。
【0068】
前記準備ステップの反応チャンバ500は、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部の真空度を調節する真空排気装置700と、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部に気体を流入させる配管810と、気体の流入を制御するマスフローコントローラ800とを含むことができる。これらを通じて、後続の成長ステップ及び冷却ステップにおいて不活性気体の流量を調節できるようにする。
【0069】
前記成長ステップは、前記加熱手段600によって前記反応容器200及び反応容器の内部空間を加熱して行われ得、前記加熱と同時又は別途に内部空間を減圧して真空度を調節し、不活性気体を注入しながら炭化珪素結晶の成長を誘導することができる。
【0070】
前記成長ステップは、2000℃~2600℃の温度及び1torr~200torrの圧力条件で行われ得、前記温度及び圧力の範囲で、より効率的に炭化珪素インゴットを製造することができる。
【0071】
前記成長ステップは、具体的に、前記反応容器200の上、下部の表面の温度が2100℃~2500℃、前記反応容器の内部空間の圧力が1torr~50torrである条件で行われてもよく、より詳細には、上、下部の表面の温度が2150℃~2450℃、前記反応容器の内部空間の圧力が1torr~40torrである条件で行われてもよく、より具体的には、上、下部の表面の温度が2150℃~2350℃、前記反応容器の内部空間の圧力が1torr~30torrである条件で行われてもよい。
【0072】
前記温度及び圧力条件を前記成長ステップに適用する場合、より一層高品質の炭化珪素インゴットを製造することができる。
【0073】
前記成長ステップは、1℃/min~10℃/minの昇温速度、または5℃/min~10℃/minの昇温速度で前記温度範囲まで昇温が行われてもよい。
【0074】
前記成長ステップは、前記反応容器200の外部に所定流量の不活性気体を加えることができる。前記不活性気体は、前記反応容器200の内部空間でその流れが形成され得、前記原料物質300から前記炭化珪素種結晶の方向にその流れが形成され得る。これによって、前記反応容器及び内部空間の安定した温度勾配を形成できるようにする。
【0075】
前記成長ステップの前記不活性気体は、具体的にアルゴン、ヘリウム、またはこれらの混合気体であってもよい。
【0076】
前記冷却ステップは、前記成長した炭化珪素インゴットを、所定の冷却速度及び不活性気体の流量の条件で冷却するステップである。
【0077】
前記冷却ステップは、1℃/min~10℃/minの速度で冷却が行われてもよく、または1℃/min~5℃/minの速度で冷却が行われてもよい。
【0078】
前記冷却ステップは、前記反応容器200の内部空間の圧力の調節が同時に行われてもよく、または前記冷却ステップと別途に圧力の調節が行われてもよい。前記圧力の調節は、前記内部空間の圧力が最大760torrになるように行われ得る。
【0079】
前記冷却ステップは、前記成長ステップと同様に、前記反応容器200の外部に所定流量の不活性気体を加えることができる。前記不活性気体は、前記反応容器の内部空間でその流れが形成され得、前記原料物質300から前記炭化珪素種結晶の方向にその流れが形成され得る。
【0080】
前記切断ステップは、前記冷却ステップの後に回収された炭化珪素インゴットを切断してウエハを設けるステップである。
【0081】
前記切断ステップは、前記炭化珪素インゴットの(0001)面または成長が開始された面と所定のオフ角をなすように切断されてもよい。前記切断ステップのオフ角は、0°~10°であってもよい。
【0082】
前記切断ステップは、前記ウエハの厚さが150μm~900μmになるようにすることができ、または200μm~600μmになるようにすることができるが、これに制限するものではない。
【0083】
前記加工ステップは、前記切断ステップを経て設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨するステップである。前記厚さを平坦化する、いわゆるラッピング工程は、ホイール研削(wheel grinding)がウエハの両側面に順次適用されて行われ得、前記切断ステップで加えられた損傷を除去することができる。
【0084】
従来のシリコンウエハの加工は、粗大な粒度の金属接合による研削ホイールの使用により、シリコンウエハの研削過程で亀裂が発生する恐れ、ウエハの粗さ特性が良くない恐れがある。
【0085】
具現例に係るウエハの製造方法において、加工ステップは、より微細な範囲の表面粒度を有する第1研削ホイール、及び特定の範囲の表面粒度を有する第2研削ホイールを通じて加工して、切断ステップの損傷を最小化すると同時に、良好な粗さ特性を得ることができ、パーティクルやスクラッチなどの発生を最小化することができる。
【0086】
前記加工ステップは、まず、1000mesh~3000meshの表面粒度を有する第1研削ホイールで加工する第1加工ステップと;6000mesh~10000meshの表面粒度を有する第2研削ホイールで加工する第2加工ステップと;を含むことができる。
【0087】
前記加工ステップは、回転する研削ホイールの表面がウエハの一面に加えられながら行われ得る。
【0088】
前記加工ステップにおいて研削ホイールは、表面に粒子が埋め込まれた形態であり得、粒子の大きさはメッシュ(mesh)で表す。メッシュは、1インチ当たりいくつの開口部(opening)があるかを示す尺度である。前記研削ホイールの表面に埋め込まれた粒子はダイヤモンドであってもよい。
【0089】
前記加工ステップは、前記研削ホイールとウエハが互いに反対方向に回転しながら行われ得る。
【0090】
前記加工ステップは、前記研削ホイールの直径が前記ウエハの直径よりも大きくてもよく、250mm以下であってもよい。
【0091】
前記第1加工ステップは、前記第1研削ホイールが前記ウエハに向かう送り速度(feed rate)が0.2μm/s以上1.5μm/s未満であってもよく、0.3μm/s~1.2μm/sであってもよく、または0.5μm/s~1μm/sであってもよい。前記送り速度を満たすようにして、切断加工時に加えられた損傷を除去し、スクラッチの発生を最小化するようにすることができる。
【0092】
前記第1加工ステップは、前記第1研削ホイールの回転速度が1000rpm~2000rpmであってもよく、または1200rpm~1600rpmであってもよい。前記回転速度の範囲を満たすようにして、ウエハが過度に研削されないようにし、切断加工時に加えられた損傷が容易に除去されるようにすることができる。
【0093】
前記第1加工ステップの後、前記第1研削ホイールよりも大きいmesh値、より微細な粒子を有する研削ホイールを介して第2加工ステップを行うことができる。
【0094】
前記第2加工ステップは、前記第2研削ホイールが前記ウエハに向かう送り速度が0.2μm/s以上1.5μm/s未満であってもよく、0.2μm/s~1.2μm/sであってもよく、または0.3μm/s~1.0μm/sであってもよい。前記送り速度を満たすようにして、前記第1加工ステップで発生し得る粗い表面を研磨し、スクラッチの発生を最小化するようにすることができる。
【0095】
前記第2加工ステップは、前記第2研削ホイールの回転速度が600rpm~1800rpmであってもよく、または800rpm~1500rpmであってもよい。前記第2加工ステップの第2研削ホイールの回転速度は、前記第1研削ホイールの回転速度よりも小さくてもよい。前記回転速度の範囲を満たすようにして、第1加工ステップで残留した粗い部分を除去し、スクラッチの発生を最小化し、後続に行われ得る化学的機械的研磨が効果的に行われるようにする。
【0096】
前記第1加工ステップ及び第2加工ステップは、別途のスラリーなしに行うことができる。
【0097】
前記加工ステップは、前記第2加工ステップの後、前記ウエハを湿式エッチングするステップをさらに含むことができる。
【0098】
前記加工ステップは、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing)ステップをさらに含むことができる。前記化学的機械的研磨は、前記第2加工ステップの後に行うことができる。
【0099】
前記化学的機械的研磨は、回転する定盤上に研磨粒子スラリーを加えながら、回転する研磨ヘッドに固定されたウエハを所定の圧力で接触させて行われ得る。
【0100】
前記加工ステップの後、通常のRCA化学洗浄溶液を通じた洗浄ステップがさらに行われてもよい。
【0101】
前記ウエハの製造方法は、下記式1で表されるPi値が30以下であってもよく、20以下であってもよく、または15以下であってもよい。前記Pi値は、10以下であってもよく、4.25以下であってもよく、または2.7以下であってもよい。前記Pi値は、0.01以上であってもよく、または0.02以上であってもよい。
【0102】
[式1]
【0103】
前記式1において、Diは、前記断熱材の密度(g/cc)の数値であり、Viは、前記第1研削ホイールの送り速度(μm/s)の数値であり、Viiは、前記第2研削ホイールの送り速度(μm/s)の数値である。
【0104】
前記Piは、欠陥の発生と関連があるウエハ製造指数であって、特定以下の数値を満たすようにして、製造されるウエハのマイクロパイプ密度、パーティクルの数を最小化し、表面スクラッチの長さを制御することができる。
【0105】
ウエハ10
上記の目的を達成するために、一実施例に係るウエハ10は、一面11及び他面12を含み、前記一面において総スクラッチの長さの和がウエハの直径の長さ以下であり、前記一面において0.3μm以上の粒度を有するパーティクルの平均密度が3/cm以下であり、前記一面においてマイクロパイプ(micropipe)の平均密度が3/cm以下であってもよい。
【0106】
前記ウエハ10のパーティクルは、0.3μm~10μmの粒度を有するものであって、ウエハ上にエピタキシャル層を形成する際に各種欠陥の発生の起点となり得る。前記パーティクルは、坩堝の内部空間内に存在していたか、またはインゴットの成長過程で意図せずに発生した金属パーティクルなどを含むことができる。
【0107】
前記ウエハ10のマイクロパイプは、直径1μm~3μm程度の中空貫通部位のことをいい、素子の製造時に通電不良の原因となり得る。
【0108】
前記ウエハ10のマイクロパイプ、スクラッチ及びパーティクルは、ウエハの光学式測定装備(Candela CS20、KLA-Tencor社)を通じて分類して検出することができる。
【0109】
前記ウエハ10の一面においてマイクロパイプ密度は、3/cm以下であってもよく、2.46/cm以下であってもよく、2.25/cm以下であってもよく、または1.16/cm以下であってもよい。
【0110】
前記ウエハ10の一面において総スクラッチの長さの和は、複数のスクラッチのそれぞれの長さの和を示すことができる。
【0111】
前記ウエハ10の一面において、ウエハの直径に対する総スクラッチの長さの百分率は、0.1%以下であってもよく、0.078%以下であってもよく、または0.031%以下であってもよい。
【0112】
前記ウエハ10の一面において総スクラッチの長さは、2cm以下であってもよく、1.5cm以下であってもよく、1.17cm以下であってもよく、または0.47cm以下であってもよい。
【0113】
前記ウエハ10の一面においてパーティクルの平均密度は、3/cm以下であってもよく、1.5/cm以下であってもよく、0.8/cm以下であってもよく、0.74/cm以下であってもよく、または0.6/cm以下であってもよい。
【0114】
前記ウエハ10は、下記式2で表されるWd値が20以下であってもよく、または15以下であってもよい。前記Wd値は、12以下であってもよく、または10以下であってもよい。前記Wd値は、5.2以下であってもよく、または4.9以下であってもよい。前記Wd値は0.1以上であってもよい。
【0115】
[式2]
【0116】
前記式2において、MPは、前記マイクロパイプの平均密度(/cm)の数値であり、Pdは、前記パーティクルの平均密度(/cm)の数値であり、Srは、前記ウエハ10の直径に対する総スクラッチの長さの百分率(%)の数値である。
【0117】
前記Wd値は、前記ウエハ10の一面のマイクロパイプ、パーティクル、スクラッチなどの要素を総合的に反映したウエハの欠陥指数を示したものである。
【0118】
前記ウエハ10は、前記スクラッチの長さ、パーティクルの平均密度、マイクロパイプの平均密度及びWd値を有することによって、一面にエピタキシャル層の形成時にエピタキシャル層の欠陥の発生を最小化することができ、素子の特性及び歩留まりを向上させることができる。
【0119】
図1を参照すると、前記ウエハ10の一面11は、主に珪素原子が表面に現れる、いわゆるSi面であり、前記一面の反対面である他面12は、主に炭素原子が表面に現れる、いわゆるC面である。ウエハの切断加工時に、炭化珪素単結晶において炭素原子の層と珪素原子の層との境界面、またはこれと平行な方向に切断されやすく、これによって、炭素原子が主に露出する面と珪素原子が主に露出する面が切断面上に現れるようになる。
【0120】
前記一面11の中心は、前記ウエハ10の断面の形状が円形又は楕円形である場合、円又は楕円の中心に該当し得る。また、前記ウエハの断面の形状が円形又は楕円形である場合、前記半径は、最も小さい半径を基準とすることができる。
【0121】
前記ウエハ10は、インゴットから切断される際、インゴット又は種結晶のC面((000-1)面)からオフ角が0°~10°で適用されたものであってもよい。
【0122】
前記ウエハ10は、そのロッキング角度が基準角度に対し-1.5°~1.5°であってもよく、-1.0°~1.0°であってもよく、-0.5°~0.5°であってもよく、または-0.3°~0.3°であってもよい。このような特徴を有するウエハは、優れた結晶質特性を有することができる。前記ロッキング角度は、高分解能X線回折分析システム(HR-XRD system)を適用して、前記ウエハの[11-20]方向をX線経路に合わせ、X-ray source opticとX-ray detector optic角度を2θ(35°~36°)に設定した後、ウエハのオフ角に合わせてオメガ(ω)(又はシータ(θ)、X-ray detector optic)角度を調節してロッキングカーブ(Rocking curve)を測定し、基準角度であるピーク角度と2つの半値全幅(FWHM;full width at half maximum)値の差値をそれぞれロッキング角度として設定して結晶性を評価する。
【0123】
本明細書において、オフ角がX°ということは、通常許容する誤差範囲内でX°と評価されるオフ角を有するということを意味し、例示的に、(X°-0.05°)~(X°+0.05°)の範囲のオフ角を含む。また、ロッキング角度が「基準角度に対し-1°~1°」ということは、半値全幅値が、基準角度であるピーク角度を基準として(ピーク角度-1°)~(ピーク角度+1°)の範囲内にあるということを意味する。さらに、前記ロッキング角度は、ウエハの中央部分と縁部から中央方向に5mm以内の部分を除いた表面を実質的に均等に3等分し、各部分で3回以上測定した結果を平均して、前記のロッキング角度として取り扱う。具体的には、炭化珪素インゴットの(0001)面に対して0°~10°の範囲から選択された角度であるオフ角を適用したウエハのうち、オフ角が0°である場合、オメガ角度は17.8111°であり、オフ角が4°である場合、オメガ角度は13.811°、そして、オフ角が8°である場合、オメガ角度は9.8111°である。
【0124】
前記ウエハ10の厚さは、150μm~900μmであってもよく、または200μm~600μmであってもよく、半導体素子に適用できる適切な厚さであれば、これに制限するものではない。
【0125】
前記ウエハ10は、欠陥や多形の混入が最小化された、実質的に単結晶である4H構造の炭化珪素からなることができる。
【0126】
前記ウエハ10の直径は、4インチ以上であってもよく、5インチ以上であってもよく、または6インチ以上であってもよい。前記ウエハの直径は、12インチ以下であってもよく、10インチ以下であってもよく、または8インチ以下であってもよい。
【0127】
前記ウエハ10は、後述する方法を通じて、その一面にエピタキシャル層を形成させることができる。
【0128】
エピタキシャルウエハの製造方法
上記の目的を達成するために、一実施例に係るエピタキシャルウエハの製造方法は、前記方法によって製造されたウエハ10が配置された成長容器内に、エピタキシャル成長のための原料ガスを注入し、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)によって前記ウエハの一面11上にエピタキシャル層を成長させる成長ステップを含む。
【0129】
前記成長ステップは、前記原料ガスの注入前に、前記ウエハ10の表面をガスエッチング処理するエッチングステップをさらに含むことができる。前記ガスエッチングは、前記ウエハを1400℃~1600℃の温度に維持し、所定流量の水素ガスを加えて行われ得る。
【0130】
前記成長ステップは、まず、成長容器にウエハを配置し、成長容器内を真空排気し、原料ガスである炭素系ガス及び珪素系ガスを注入することができる。また、窒素などのドーピングガスをさらに注入することができる。前記ガスの注入時に、炭素系及び珪素系ガスの炭素/珪素原子の濃度比は0.5~2であってもよい。
【0131】
前記成長ステップの炭素系ガスは、CH、C、C、C、及びCから選択された1つ以上であってもよく、珪素系ガスは、SiH、SiCl、SiHCl、SiHCl、SiHCl、及びSiから選択された1つ以上であってもよい。
【0132】
前記成長ステップは、前記ガスを注入し、1400℃~1700℃の温度を維持して、前記ウエハ10の一面11上にエピタキシャル層の成長が行われ得る。
【0133】
前記成長ステップを通じて成長したエピタキシャルウエハ20のエピタキシャル層15の厚さは、5μm~20μmであってもよい。
【0134】
前記成長ステップの後、原料ガスの注入を止め、常温冷却させた後、排気し、不活性気体を大気圧まで加圧した後、エピタキシャルウエハ20を回収することができる。
【0135】
前記成長ステップは、必要に応じて、1回又は2回以上行われてもよい。前記成長ステップが2回以上行われる場合、エピタキシャル層15上に第2エピタキシャル層(図示せず)がさらに形成され得る。前記第2エピタキシャル層を形成するために繰り返して行われる成長ステップは、前記エピタキシャル層15の形成のための成長ステップにおいて適用したものと同じ過程で行われ得、温度や原料ガスの組成、ドーピングガスの種類などが、前記エピタキシャル層15の形成のための成長ステップとは異なって適用されてもよい。
【0136】
前記製造方法により製造されたエピタキシャルウエハは、ダウンフォール、キャロット及び三角欠陥などの欠陥密度が低く、優れた素子特性を示すことができる。
【0137】
エピタキシャルウエハ20
上記の目的を達成するために、一実施例に係るエピタキシャルウエハ20は、ウエハ10;及び前記ウエハの一面上に形成されたエピタキシャル層15;を含む。
【0138】
前記エピタキシャル層15は、ダウンフォール(downfall)欠陥の平均密度が0.3/cm以下であってもよく、または0.17/cm以下であってもよい。
【0139】
ダウンフォール(downfall)欠陥は、ウエハのパーティクルなどを起点として、エピタキシャル層の形成時に厚さ方向を軸とした筒形状を有することができ、追跡物の落下などにより発生し得る。図5(c)に示したように溝として現れ得る。
【0140】
前記エピタキシャル層15は、三角(triangular)欠陥の平均密度が1/cm以下であってもよく、または0.76/cm以下であってもよい。
【0141】
三角(triangular)欠陥は、所定のオフ角を有するウエハ上にエピタキシャル成長時に、ウエハ上のスクラッチ、パーティクルなどを起点として発生し得、図5(b)に示したように三角形状を有することができる。
【0142】
前記エピタキシャル層15は、キャロット(carrot)欠陥の平均密度が2/cm以下であってもよく、または1.71/cm以下であってもよい。
【0143】
キャロット(carrot)欠陥は、ウエハの貫通らせん転位(threading screw dislocation)を起点として、エピタキシャル層の形成時にステップ方向に成長し得、図5(a)に示したようにキャロット形状を有することができる。
【0144】
前記エピタキシャル層15は、刃状転位(edge dislocation)欠陥の平均密度が4/cm以下であってもよく、または2.85/cm以下であってもよい。
【0145】
前記エピタキシャルウエハ20は、前記欠陥密度の範囲を有することによって、より向上した素子性能を提供できるようにし、製造歩留まりを高めることができる。
【0146】
具現例に係るエピタキシャルウエハ20において現れる前記ダウンフォール、キャロット、三角欠陥は、ウエハの光学式測定装備(Candela CS20、KLA-Tencor社)を通じて分類することができ、前記測定装備を通じて単位面積当たりのそれぞれの欠陥密度を測定することができる。
【0147】
図2を参照すると、前記エピタキシャル層15は、前記ウエハ10の一面11上に形成され得る。このとき、前記エピタキシャル層は、その厚さが8μm~20μmであってもよいが、必ずしもこれに制限するものではない。
【0148】
前記エピタキシャル層15は、1×1014/cm~1×1019/cmの範囲内の濃度でn型又はp型ドーパント原子を含むことができる。
【0149】
前記エピタキシャル層15は、炭化珪素を含むことができる。
【0150】
前記エピタキシャル層15は、実質的に炭化珪素からなることができる。
【0151】
前記エピタキシャルウエハ20は、前記エピタキシャル層15上に追加の第2エピタキシャル層(図示せず)を形成することができる。
【0152】
前記第2エピタキシャル層は、厚さ、ドーパント原子の含量、組成(構成物質)などの面で、上述したエピタキシャル層15の特徴を有することができる。
【0153】
前記第2エピタキシャル層は、前記エピタキシャル層15と同じ層であってもよい。
【0154】
前記エピタキシャルウエハ20は、ショットキーバリアダイオード、PINダイオード、金属半導体電界効果トランジスタなどに適用されてもよく、この他にも、様々な半導体素子に適用可能である。
【0155】
前記エピタキシャルウエハ20は、上述したエピタキシャルウエハの製造方法を通じて製造され得る。
【0156】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0157】
炭化珪素インゴット及びウエハの製造
図4に炭化珪素インゴットの製造装置の一例を示したように、反応容器200の内部空間の下部に原料である炭化珪素粉末を装入し、その上部に炭化珪素種結晶を配置した。このとき、炭化珪素種結晶は、直径6インチの4H-SiC結晶からなるものを適用し、C面((000-1)面)が内部空間の下部の炭化珪素原料に向かうように通常の方法により固定した。
【0158】
反応容器200を密閉し、その外部を、下記表1の密度を有する断熱材400で取り囲んだ後、外部に加熱手段600である加熱コイルが備えられた石英管500内に反応容器を配置した。前記反応容器の内部空間を減圧して真空雰囲気に調節し、アルゴンガスを注入して前記内部空間が760torrに到達するようにした後、再び内部空間を減圧させた。同時に、内部空間の温度を5℃/minの昇温速度で2300℃まで昇温させ、前記石英管と連通する配管810、真空排気装置700を介して、石英管の内部のアルゴンガスの流量を調節した。2300℃の温度及び20torrの圧力条件下で100時間、炭化珪素原料と対向する炭化珪素種結晶面に炭化珪素インゴットを成長させた。
【0159】
成長後、前記内部空間の温度を5℃/minの速度で25℃まで冷却させ、同時に、内部空間の圧力が760torrになるようにした。前記石英管と連通する配管810、真空排気装置700を介して、石英管の内部のアルゴンガスの流量を調節した。
【0160】
前記冷却された炭化珪素インゴットの(0001)面と4°のオフ角を有するように切断し、360μmの厚さ、150mmの直径を有するウエハを設けた。
【0161】
前記設けられたウエハを、平坦化工程を通じて厚さを平坦化し、表面を、研削装備(HRG 200x、Accretech社)を介して2000meshのダイヤモンド粒子が形成された第1研削ホイールにより1400rpmの回転速度で第1加工を行い、その後、8000meshのダイヤモンド粒子が形成された第2研削ホイールにより1250rpmの回転速度で第2加工を行った。前記研削ホイールがウエハの表面に加えられる送り速度は、表1に示した。
【0162】
以降、化学的機械的研磨(CMP)を行った。前記ウエハサンプルをCMP装備の研磨ヘッドに固定し、ポリウレタン系研磨パッドを付着した定盤上に、前記ウエハの一面が研磨パッドに向かうようにした。それから、シリカスラリーを投入しつつ定盤を200rpm及び研磨ヘッドを120rpmで回転させながら、5.4psiの圧力でウエハの一面を研磨し、研磨されたウエハを洗浄した後、乾燥させた。
【0163】
【表1】
*Pi=Di×Vi×Vii×100
【0164】
ウエハの欠陥、パーティクル及びスクラッチの測定
ウエハの光学式測定装備(Candela CS20、KLA-Tencor社)を通じて、製造されたウエハのマイクロパイプ欠陥密度、パーティクルの密度、スクラッチの長さを測定し、その結果を表2に示した。
【0165】
エピタキシャルウエハの製造
前記ウエハの製造で製造されたウエハを成長容器内に配置した。前記成長容器にエピタキシャル成長のための原料ガスであるSiH、Cガスを注入し、ドーピングガスとして窒素を注入し、化学気相蒸着法によって前記ウエハの一面上にエピタキシャル層を成長させた。成長後、エピタキシャル層の厚さは12μmであり、ドーパント濃度は8×1015/cmであった。
【0166】
前記成長後、原料ガスの注入を止め、常温冷却させた後、排気し、不活性気体を大気圧まで加圧した後、エピタキシャルウエハを回収した。
【0167】
エピタキシャルウエハのダウンフォール、三角、キャロット欠陥の密度及び刃状転位密度の測定
前記エピタキシャルウエハの製造で製造されたエピタキシャルウエハの各種欠陥密度を、ウエハの光学式測定装備(Candela CS20、KLA-Tencor社)を通じて測定し、その結果を表2に示した。
【0168】
【表2】
MP:Micropipe、Wd=(MP+1)×(Pd+1)×(10Sr+1)、Sr=(スクラッチ(cm/wafer)/ウエハの直径(cm))×100
【0169】
表2を参照すると、インゴットの成長時に断熱材の密度が0.14~0.28g/ccであり、ウエハの加工時に第1研削ホイールの送り速度が0.2μm/s以上1.5μm/s未満であり、第2研削ホイールの送り速度が0.2μm/s以上1.5μm/s未満である実施例は、スクラッチ、パーティクル及びマイクロパイプ欠陥の発生量が低く、これによって、エピタキシャルウエハの欠陥数値も良好であることを確認できる。
【0170】
反面、第1研削ホイール及び第2研削ホイールの送り速度が1.5μm/sである比較例2、断熱材の密度が0.30g/ccである比較例1の場合、ウエハのマイクロパイプ、スクラッチの発生量が相対的に高く、エピタキシャルウエハの欠陥数値も増加したことがわかる。
【0171】
さらに、Pi値が30未満である実施例は、ウエハの欠陥指数であるWd値が15未満であり、Pi値が30以上である比較例は、前記Wd値が23以上として良好でないウエハ欠陥数値を示した。
【0172】
図3を通じて、比較例1のウエハ及びエピタキシャルウエハの欠陥数値(それぞれ、図3(a)の左側及び右側)と、実施例4のウエハ及びエピタキシャルウエハの欠陥数値(それぞれ、図3(b)の左側及び右側)を可視的に確認することができる。
【0173】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0174】
10 ウエハ
11 一面
12 他面
15 エピタキシャル層
20 エピタキシャルウエハ
100 炭化珪素インゴット
200 反応容器
210 本体
220 蓋
300 原料物質
400 断熱材
500 反応チャンバ、石英管
600 加熱手段
700 真空排気装置
800 マスフローコントローラ
810 配管
図1
図2
図3
図4
図5