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特許7023549プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置及びその洗浄除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置及びその洗浄除去方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20220215BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021033086
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2021-08-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394008271
【氏名又は名称】日本シーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】特許業務法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木口 達也
(72)【発明者】
【氏名】福田 理也
(72)【発明者】
【氏名】本田 高規
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-164775(JP,A)
【文献】特開2003-122256(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0121260(KR,A)
【文献】特開昭57-029424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/02
B09B 1/00- 5/00
B03B 1/00-13/06
B08B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片について、アルカリ洗浄水を用いて印刷面を除去するプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置(1)であって、
アルカリ洗浄水で印刷面を除去したプラスチックフィルム片を排出させる排出口(6)を筒体(5)の下部に、溢流するプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を排出させる開口縁を該筒体(5)の上部に具備した除去装置本体(2)と、
前記除去装置本体(2)の筒体(5)の内部に、隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入する上部開口(3b)と、これを撹拌すると共に下方へ移動させる第1スクリュウフィン(10)が設けられた円筒状の投入筒(3)と、
前記投入筒(3)に隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された、該投入筒(3)の下部開口(3a)から移動したプラスチックフィルム片と共にアルカリ洗浄水を上方へ溢流させる有底筒(4)と、を備え、
前記投入筒(3)の上部開口(3b)から、細断したプラスチックフィルム片と、アルカリ洗浄水を投入し、ここで第1スクリュウフィン(10)で撹拌してプラスチックフィルム片の印刷面とアルカリ洗浄水と反応させ、
前記投入筒(3)の下部開口(3a)から有底筒(4)へ搬送し、前記有底筒(4)の内面と該投入筒(3)の外面との間を第2スクリュウフィン(16)の回転でアルカリ洗浄水と反応させながら上昇させ、
前記有底筒(4)の上部開口(4a)から溢流したプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水は、前記除去装置本体(2)へ搬送され、前記排出口(6)から回収するように構成された、ことを特徴とするプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置。
【請求項2】
前記除去装置本体(2)内を加温する加熱装置(7)を備えた、ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置。
【請求項3】
前記投入筒(3)の外周壁に、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を撹拌と共に上方へ移動させる第2スクリュウフィン(16)が設けられた、ことを特徴とする請求項1又はに記載のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置。
【請求項4】
前記投入筒(3)は、前記除去装置本体(2)において、外周に形成された前記第スクリュウフィン(16)と共に回転自在に取り付けられた、ことを特徴とする1、又は3の何れか1項に記載のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置。
【請求項5】
前記除去装置本体(2)は、筒体(5)下部の排出口(6)の上方にリング形状の回収口用邪魔板(9)が取り付けられ、沈降しやすい重プラチックのフィルム片が、該排出口(6)に到達する前に、第2撹拌羽根(18)で再度撹拌されるように構成された、ことを特徴とする請求項1、2又はの何れか1項に記載のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置。
【請求項6】
前記除去装置本体(2)の排出口(6)から処理した重プラチックのフィルム片を投入するコンベア搬入口(23)を下部に、上部のコンベア排出口(25)が該除去装置本体(2)の水面近傍に配置された、印刷面が除去された重プラチックのフィルム片を処理するスクリュウコンベア型洗浄除去装置(21)を更に設けた、ことを特徴とする請求項1、、3、4又は5の何れか1項に記載のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置。
【請求項7】
印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片について、アルカリ洗浄水を用いて印刷面を除去する、プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去方法であって、
円筒状の投入筒(3)内で上向きに形成された水流に、細断したプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入し、プラスチックフィルム片の印刷面とアルカリ洗浄水とを反応させる第A1次洗浄除去工程と、
前記投入筒(3)に隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された有底筒(4)の下部に、該投入筒(3)の下部開口(3a)から撹拌しながら洗浄除去したプラスチックフィルム片をアルカリ洗浄水と共に上方へ移動させ、該有底筒(4)の上部に到達したら上部開口(4a)から溢流させる第A2次洗浄除去工程と、
前記有底筒(4)から溢流したプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を、上部に開口縁(2a)を具備した除去装置本体(2)において水流を撹拌しながら反応させて印刷面を除去する第A3次洗浄除去工程と、を備えた、ことを特徴とするプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックを高品質に再資源化する技術に係り、特にPETボトルのラベルのような印刷付きプラスチックフィルムから塗料などの化学物質を洗浄除去するプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置及びその洗浄除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄されたペットボトル、プラスチック容器等の廃プラスチック類には、印刷面に塗料などの化学物質が付着している。例えばペットボトルのラベルには塗料などの印刷面がある。またクリアファイル、CD、DVDの包装材(ラップフィルム、PPバンド)のような廃プラスチック類には印刷面に塗料などの化学物質が付着していることが多い。
【0003】
このように、印刷面に化学物質が付着しているプラスチックフィルムのような廃プラスチック類については、リサイクルの再生精度を高めるために廃プラスチックフィルムから印刷面の塗料などの化学物質を洗浄除去してから再資源化している。
【0004】
そこで、廃プラスチック類を再資源化する際に洗浄する技術が提案されている。例えば、特許文献1の特開2008-80679公報「廃棄プラスチック洗浄装置」には、筒状のスクリーン内に、撹拌ブレードをスクリーンの筒軸周りに回転自在に設け、その撹拌ブレードを回転させることにより、スクリーン内に投入された廃棄プラスチックに付着した異物を分離し、スクリーン外に排出する廃棄プラスチック洗浄装置において、スクリーンは、その内周面と撹拌ブレードの先端とのすき間が、その撹拌ブレードの回転方向に向かって大小に変化する廃棄プラスチック洗浄装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-80679公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の「廃棄プラスチック洗浄装置」は、バッチ式の処理装置であるため、大量のプラスチックフィルムを処理することができなかった。なお、短時間で処理すると、印刷面の化学物質の相違により完全に除去できないものが生じやすいという問題を有していた。また、大量のプラスチックフィルムを処理する際には、大きな処理設備を要するものであった。
【0007】
また、従来のアルカリ洗浄による印刷面洗浄除去処理では、プラスチックフィルムの比重が1.0より大きい重プラの場合は、水中で沈降し、アルカリ洗浄水との処理時間が短くなるため、印刷面の洗浄除去処理が不完全になりやすいという問題を有していた。逆に、プラスチックフィルムの比重が1.0より小さい軽プラの場合は、水面に浮遊しやすいため、同じく印刷面の洗浄除去処理が不完全になりやすいという問題を有していた。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、二重筒形状の処理装置を用いて廃プラスチックフィルム片の水中における滞留時間を長くすることで、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水との処理時間が充分になり、廃プラスチックフィルムの印刷面の化学物質を効率良く洗浄除去することができるプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置及びその洗浄除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の洗浄除去装置は、印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片について、アルカリ洗浄水を用いて印刷面を除去するプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置(1)であって、
アルカリ洗浄水で印刷面を除去したプラスチックフィルム片を排出させる排出口(6)を筒体(5)の下部に、溢流するプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を排出させる開口縁を該筒体(5)の上部に具備した除去装置本体(2)と、
前記除去装置本体(2)の筒体(5)の内部に、隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入する上部開口(3b)と、これを撹拌すると共に下方へ移動させる第1スクリュウフィン(10)が設けられた円筒状の投入筒(3)と、
前記投入筒(3)の外周壁に設けられた、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を撹拌と共に上方へ移動させる第2スクリュウフィン(16)と、
前記投入筒(3)に隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された、該投入筒(3)の下部開口(3a)から移動したプラスチックフィルム片と共にアルカリ洗浄水を上方へ溢流させる有底筒(4)と、を備え、
前記投入筒(3)の上部開口(3b)から、細断したプラスチックフィルム片と、アルカリ洗浄水を投入し、ここで第1スクリュウフィン(10)で撹拌してプラスチックフィルム片の印刷面とアルカリ洗浄水と反応させ、
前記投入筒(3)の下部開口(3a)から有底筒(4)へ搬送し、前記有底筒(4)の内面と該投入筒(3)の外面との間を第2スクリュウフィン(16)の回転でアルカリ洗浄水と反応させながら上昇させ、
前記有底筒(4)の上部開口(4a)から溢流したプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水は、前記除去装置本体(2)へ搬送され、前記排出口(6)から回収するように構成された、ことを特徴とする。
【0011】
前記除去装置本体(2)内を加温する加熱装置(7)を備えたものが好ましい。
前記投入筒(3)の外周壁に、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を撹拌と共に上方へ移動させる第2スクリュウフィン(16)が設けられたものが好ましい。
前記投入筒(3)は、前記除去装置本体(2)において、外周に形成された前記第スクリュウフィン(16)と共に回転自在に取り付けることができる。
前記除去装置本体(2)は、筒体(5)下部の排出口(6)の上方にリング形状の回収口用邪魔板(9)が取り付けられ、沈降しやすい重プラチックのフィルム片が、該排出口(6)に到達する前に、第2撹拌羽根(18)で再度撹拌されるように構成することができる。
前記除去装置本体(2)の排出口(6)から処理した重プラチックのフィルム片を投入するコンベア搬入口(23)を下部に、上部のコンベア排出口(25)が該除去装置本体(2)の水面近傍に配置された、印刷面が除去された重プラチックのフィルム片を処理するスクリュウコンベア型洗浄除去装置(21)を更に設けることが好ましい。
【0013】
本発明の洗浄除去方法は、 印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片について、アルカリ洗浄水を用いて印刷面を除去する、プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去方法であって、
円筒状の投入筒(3)内で上向きに形成された水流に、細断したプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入し、プラスチックフィルム片の印刷面とアルカリ洗浄水とを反応させる第A1次洗浄除去工程と、
前記投入筒(3)に隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された有底筒(4)の下部に、該投入筒(3)の下部開口(3a)から撹拌しながら洗浄除去したプラスチックフィルム片をアルカリ洗浄水と共に上方へ移動させ、該有底筒(4)の上部に到達したら上部開口(4a)から溢流させる第A2次洗浄除去工程と、
前記有底筒(4)から溢流したプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を、上部に開口縁(2a)を具備した除去装置本体(2)において水流を撹拌しながら反応させて印刷面を除去する第A3次洗浄除去工程と、を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洗浄除去装置(1)では、印刷面に化学物質が付着しているプラスチックフィルム片を細断し、これを投入筒(3)にアルカリ洗浄水と共に投入する。第1段階として、投入筒(3)内において回転する第1スクリュウフィン(10)で撹拌してプラスチックフィルム片の印刷面とアルカリ洗浄水と反応させ、印刷面を洗浄除去する。
【0016】
プラスチックフィルム片が重プラスチックの場合は、第2段階として、投入筒(3)の下部開口(3a)から搬送したプラスチックフィルム片と共にアルカリ洗浄水を、有底筒(4)内で投入筒(3)と共に回転する第2スクリュウフィン(16)により、有底筒(4)の下部から上部まで移動させながら除去反応させる。第3段階として、有底筒(4)の上部開口(4a)からプラスチックフィルム片を除去装置本体(2)へ搬送し、ここでも印刷面が洗浄除去される。洗浄除去されたプラスチックフィルム片は、除去装置本体(2)の排出口(6)から回収することができる。
【0017】
プラスチックフィルム片が重プラチックの場合は、更に、第4段階として、スクリュウコンベア型洗浄除去装置(21)を用いて洗浄除去処理をすることができる。この排出用スクリュウコンベア型洗浄除去装置(21)は、除去装置本体(2)の排出口(6)から処理した重プラチックのフィルム片を投入するコンベア搬入口(23)を下部に、上部のコンベア排出口(25)が除去装置本体(2)の水面近傍に配置されているので、沈降しやすい重プラチックのフィルム片のアルカリ洗浄水との滞留時間を長くして更に印刷面を効率よく洗浄除去することができる。
【0018】
プラスチックフィルム片が軽プラスチックの場合は、第2段階として、投入筒(3)の下部開口(3a)から搬送したプラスチックフィルム片と共にアルカリ洗浄水を除去装置本体(2)へ搬送し、ここでも印刷面が洗浄除去される。洗浄除去されたプラスチックフィルム片は、除去装置本体(2)の筒体(5)の上部に形成された開口縁(2a)から回収することができる。
【0019】
プラスチックフィルム片が軽プラチックの場合は、第4段階として、濯ぎスクリュウコンベア(31)を用いて洗浄除去処理をすることができる。除去装置本体(2)の上部の開口縁(2a)又は排出樋(19)から処理した軽プラチックのフィルム片を濯ぎスクリュウコンベア(31)の投入口(32)に投入し、濯ぎスクリュウにより印刷面を効率よく洗浄除去することができる。
このように本発明のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置(1、41)は、重プラチックと軽プラチックの何れのプラスチックフィルムについても印刷面の化学物質を効率よく洗浄除去することができる。
【0020】
本発明の洗浄除去方法では、プラスチックフィルム片が重プラチックの場合は、プラスチックフィルム片が沈降して除去反応率が低下することを防止するために、アルカリ洗浄水の水流を常に上方へ向くように動作させている。プラスチックフィルム片の滞留時間が長くなり反応効率を高めることができる。
【0021】
また、プラスチックフィルム片が軽プラチックの場合は、プラスチックフィルム片が浮上しやすいために、アルカリ洗浄水の水流を常に下方へ向くように動作させている。プラスチックフィルム片の滞留時間を長くして反応効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1の主に重プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を示す正断面図である。
図2】本発明の印刷面洗浄除去装置の投入筒と有底筒を示す拡大分解図である。
図3】実施例1の主に重プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置とスクリュウコンベア型洗浄除去装置と組み合わせた概略を示す全体構成図である。
図4】実施例1の主に重プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を用いた洗浄除去方法を示す作業フロー図である。
図5】投入筒の変形例を示す拡大分解図である。
図6】本発明の実施例2の主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を示す正断面図である。
図7】実施例2の主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を示す駆動機、投入部分の構成を外した状態の平面図である。
図8】主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置と濯ぎスクリュウコンベアと組み合わせた概略を示す全体構成図である。
図9】実施例2の主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を用いた洗浄除去方法を示す作業フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置は、印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片について、アルカリ洗浄水を用いてその印刷面を除去する装置である。
【実施例1】
【0024】
<印刷面洗浄除去装置の全体構成>
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施例1の主に重プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を示す正断面図である。
実施例1の印刷面洗浄除去装置1は、主に重プラスチックフィルムを処理する際に用いる処理装置である。印刷面洗浄除去装置1は、ペットボトルに貼られたラベル等の印刷面を有するプラスチックフィルムについて、アルカリ洗浄水を用いてその印刷面を浄除除去する装置である。印刷面洗浄除去装置1は、主に略円筒形状の除去装置本体2と、この除去装置本体2内に細断したプラスチックフィルム片をアルカリ洗浄水と共に投入する投入筒3と、除去(分解)反応を促進させる有底筒4を備えた装置である。
【0025】
実施例1の印刷面洗浄除去装置1は、重プラスチックフィルムを対象とする装置である。ここで重プラスチックフィルムと、これに対する軽プラスチックフィルムとは、比重1.0を基準に水に沈むものが重プラスチックフィルム、水に浮くものが軽プラスチックフィルムと区分けしている。例えば、比重の小さいポリプロピレン、ポリエチレンから、比重の大きいポリカーボネート、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニルと比重値がそれぞれ異なる。また、同じ種類のプラスチックであっても、その製造方法の相違、利用目的の相違により微妙に比重値が異なる。なお、プラスチックフィルムとしているが、印刷面を有し、かつ細断することで、水中で浮遊する形態になったプラスチック片であれば、本発明の印刷面の洗浄除去技術の処理対象になる。
【0026】
<除去装置本体の構成>
除去装置本体2は、上半分が略円筒形状の筒体5であり、その下半分が逆円錐形状に成る。更にその下部に排出口6を有する装置である。この除去装置本体2は、印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片をアルカリ洗浄水と共に投入し、その内部で撹拌して洗浄し、水に沈む重プラスチックフィルム片は装置の下部に設けられた排出口6から排出させる。更に、処理終了後、装置を清掃するときに、内部の洗浄水を排出する際にこの排出口6を用いる。
【0027】
<アルカリ洗浄水>
アルカリ洗浄水とはアルカリ性洗剤を水に溶解した洗浄水であり、pHが8を超えた洗浄水のことをいう。主成分は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)あるいは炭酸ナトリウム(NaCO)などのアルカリ塩類である。更に、効果を増強するために界面活性剤と組み合わせたもの、有機溶剤と組み合わせたものである。本発明でアルカリ洗浄水を利用した理由は、アルカリの主な特徴として、油やタンパク質に作用し、これらを溶かす効果があるからである。アルカリは、油脂の成分である脂肪酸と反応して一種の石鹸を生成し、石鹸になった脂肪酸は、他の汚れを洗い流す機能があるからである。
【0028】
除去装置本体2はその内部を加温する加熱装置7を備えている。アルカリ洗浄水と印刷面の塗料などの分解除去を促進させるために、除去装置本体2内を70~90℃に加温する。図示例の加熱装置7は、除去装置本体2の筒体5壁面が二重壁構造になり、この内部に温水循環機8を用いて温水を循環させるようになっている。なお、除去装置本体2を加温する手段は、この温水を循環させる構成に限定されない。例えば、図示していないがアルカリ洗浄水の中に棒状のヒーター(サブマリンヒーター)を差し込む手段を用いることが可能である。または除去装置本体2の周囲にベルトヒータを巻き付けて保温することも可能である。
【0029】
除去装置本体2にある排出口6の上方近くに回収口用邪魔板9が取り付けられている。この回収口用邪魔板9は、排出口6の上方にリング形状に取り付けたものである。降下しやすい重プラチックフィルム片が排出口6に到達する前に、後述する第2撹拌羽根18で再度撹拌されるようにするものである。
【0030】
<投入筒と有底筒の構成>
図2は本発明の印刷面洗浄除去装置の投入筒と有底筒を示す拡大分解図である。
除去装置本体2の内部に、隙間を設けて同じ軸方向になるように投入筒3が配置されている。この投入筒3は、上下が開放された円筒形状の部材である。この投入筒3は、処理するプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水とを投入すると共に洗浄除去(化学反応)させる部分になる。このプラスチックフィルム片をアルカリ洗浄水と反応しやすくするために、投入筒3の軸方向に合わせて第1スクリュウフィン10が設けられている。この第1スクリュウフィン10は、これを形成する第1スクリュウ軸11がモータ等の駆動機12の駆動で回転するようになっている。
【0031】
この第1スクリュウ軸11の先端(図示では下端)に第1撹拌羽根13が取り付けられている。この第1撹拌羽根13は、図1の矢印で示すように、投入筒3の下部に送られたプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を、後述する有底筒4の底部からその周囲から上方へ送り出す機能を有する。
【0032】
投入筒3の上部開口3bには、洗浄水又はアルカリ洗浄水を給水する洗浄水給水口14と、プラスチックフィルム片を投入する投入用スクリュウコンベア15を配置している。この洗浄水給水口14は、予め加温装置(図示せず)で70~90℃に加温してから投入することが好ましい。
【0033】
プラスチックフィルム片の1辺が20mm~30mm程度の小片に細断した状態にしてから投入用スクリュウコンベア15に投入する。投入用スクリュウコンベア15を用いることで、塊になりやすいプラスチックフィルム片を容易に投入することができる。プラスチックフィルム片、例えばラベルのようにペットボトルから剥がした状態のものでは、印刷面がアルカリ洗浄水に接しない形態の場合があるからである。プラスチックフィルム片の投入手段は、この投入用スクリュクコンベア15に限定されないことは勿論である。
【0034】
重プラスチックフィルム片は比重が1より大きいので、アルカリ洗浄水処理中にプラスチックフィルム片が沈降しやすい。この投入筒3の下部開口3aに、有底筒形状の有底筒4が取り付けられている。下部開口3aと有底筒4との間には隙間が形成されている。この隙間からプラスチックフィルム片がアルカリ洗浄水と共に、この有底筒4を上昇する。
【0035】
投入筒3の外周壁に第2スクリュウフィン16が形成されている。これは有底筒4の底部に移動したプラスチックフィルム片をアルカリ洗浄水と共に、この有底筒4の上部開口4aまで搬送する機能を有する。そのため投入筒3は有底筒4内においてモータ等の駆動機で回転するようになっている。この第2スクリュウフィン16の先端と有底筒4の内壁面との間隔は狭い方が好ましい。なお、ここで第1、第2と表現した理由は、等級、順番ではなく同じ名称であるが、取り付けられている位置が異なるためそれを区別するためである。以下同様である。
【0036】
また、この投入筒3自体は回転するようになっている。例えば、投入筒3の上部に取り付けられたリング17を回転部材17aで回転させる構造がある。投入筒3の回転速度は遅くしてアルカリ洗浄水によるプラスチックフィルム片の印刷面の除去時間を長くすることが好ましい。
【0037】
投入筒3の第2スクリュウフィン16は、回転方向を可変することで、水流を上向き、下向きの何れにも設定することができる。沈みやすい重プラスチックの場合は主に上向きにする。逆に、後述する浮上しやすい軽プラスチックの場合は主に下向きにする。同じく第1スクリュウフィン10についても回転方向を可変することで、水流を上向き、下向きの何れにも設定して、処理するプラスチックの種類に合わせることができる。
【0038】
有底筒4は、その上部開口4aの最上位水位が、除去装置本体2の開口縁2aの最上位水位と同じ水位になるように配置した。これは投入した重プラチックのフィルム片が、この投入筒3の下部開口3aから除去装置本体2内に直接降下せず、この除去装置本体2の水面近くまでに搬送させるようするためである。印刷面洗浄除去装置1内において、プラスチックフィルム片がアルカリ洗浄水中により長い時間で滞留するようにして、洗浄除去効果を高めるようになっている。
【0039】
<第2撹拌羽根の構成>
除去装置本体2の筒体5の内部かつ投入筒3の下方位置に、第2撹拌羽根18が取り付けられている。この第2撹拌羽根18は、除去装置本体2内に滞留するプラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水との反応を促進させるものである。この第2撹拌羽根18の回転軸として第1スクリュウ軸11を共用する。この第1スクリュウ軸11は、投入筒3の第1撹拌羽根13の回転軸と同じものであり、モータ等の駆動機12で回転するようになっている。回転方向は、投入筒3内の第1撹拌羽根13と同じ方向で回転させる。
【0040】
図示は第2撹拌羽根18の構成の一例であり、除去装置本体2の筒体5の大きさ、形状に応じて、羽根の組数が増減する。容量が小さい除去装置本体2では、羽根を1組にしたり、逆に容量が大きい除去装置本体2では、羽根を2組以上にしたりすることができる。
【0041】
<重プラスチックフィルム用のスクリュウコンベア型洗浄除去装置の構成>
図3は主に重プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置とスクリュウコンベア型洗浄除去装置と組み合わせた概略を示す全体構成図である。
実施例1の重プラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置1には、スクリュウコンベア型洗浄除去装置21を用いることが好ましい。このスクリュウコンベア型洗浄除去装置21は、スクリュウコンベア22の下部にコンベア搬入口23を、上部に洗浄水を排出する洗浄水排出口24と、更にその上方に印刷面を除去した重プラスチックフィルム片を排出するコンベア排出口25をそれぞれ備えた装置である。
【0042】
コンベア搬入口23に除去装置本体2の排出口6から、処理した重プラチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入する。スクリュウコンベア22内で重プラチックフィルム片をアルカリ洗浄水で洗浄しながら上方位置にある洗浄水排出口24からアルカリ洗浄水を排出する。次にその上方位置にあるコンベア排出口25から印刷面を洗浄除去したプラスチックフィルム片を排出する。このコンベア排出口25の位置は、除去装置本体2の水面と同じにする。アルカリ洗浄水を有効に活用するためである。
【0043】
<印刷面洗浄除去装置を用いた洗浄除去方法>
図4は実施例1の主に重プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を用いた洗浄除去方法を示す作業フロー図である。
「前処理工程」
前処理段階として、印刷面の化学物質が付着している重プラスチックフィルムを細断してプラスチックフィルム片とする。例えば、1辺が20~30mmの大きさに細断する。アルカリ洗浄水中において流動し、かつ搬送されやすい大きさであれば良い。
【0044】
「第A1次洗浄除去工程」
第1段階として、このように細断したプラスチックフィルム片を投入筒3にアルカリ洗浄水と共に投入する。投入筒3内において第1スクリュウフィン10で撹拌してプラスチックフィルム片の印刷面と、上向き水流のアルカリ洗浄水と反応させ、印刷面を洗浄除去する。
その後、有底筒4の上部開口4aが、除去装置本体2の開口縁2aの近くの位置まで来るように配置されているので、プラスチックフィルム片が投入筒3の下部開口3aから直接降下せず、除去装置本体2の水面近くまでに搬送される。
【0045】
「第A2次洗浄除去工程」
第2段階として、有底筒4から搬除去装置本体2の水面近くまで第2スクリュウフィン16で形成された上向き水流により搬送されたプラスチックフィルム片は印刷面洗浄除去装置1内での滞留時間が長くなる。印刷面とアルカリ洗浄水とを十分に反応させることができ、効率よく洗浄除去することができる。
【0046】
「第A3次洗浄除去工程」
第3段階として、有底筒4から溢流して搬除去装置本体2に搬送されたプラスチックフィルム片は、第2撹拌羽根18により撹拌されて印刷面とアルカリ洗浄水とを十分に反応させる。
【0047】
「第A4次洗浄除去工程」
プラスチックフィルム片が重プラチックの場合は、更に第4段階として、スクリュウコンベア22を用いて洗浄除去処理をすることができる。このスクリュウコンベア22は、除去装置本体2の排出口6から処理した重プラチックのフィルム片を投入するコンベア搬入口23を下部に、上部のコンベア排出口25が該除去装置本体2の水面近傍に配置されたものである。更に印刷面を洗浄除去することができる。
【0048】
「後処理工程」
最後の処理段階として、印刷面の洗浄除去が終了したプラスチック片は、水洗後その水分を脱水機で除去して、袋に詰めるなどの後処理を実施する。これでプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去が完了する。
【0049】
<投入筒の変形例>
図5は投入筒の変形例を示す拡大分解図である。
投入筒3の外周壁には、必ずしも第2スクリュウフィン16を形成する必要はない。図示するように単純な円筒形状に形成したものでもよい。比重が1.0に近い重プラスチックのプラスチック片は、上向きの水流で投入筒3の下部開口3aから有底筒4の上部開口4aまで容易に搬送させることができる。
【実施例2】
【0050】
<印刷面洗浄除去装置の全体構成>
図6は本発明の実施例2の主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を示す正断面図である。図7は実施例2の主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を示す駆動機、投入部分の構成を外した状態の平面図である。
実施例2の印刷面洗浄除去装置41は、軽プラスチックフィルムの印刷面を除去する装置である。実施例1の処理対象である重プラスチックフィルムは洗浄の際にプラスチックフィルム片が降下しやすいが、この実施例2の処理対象である軽プラスチックフィルム片は逆に浮上しやすい。それ以外は、印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片について、アルカリ洗浄水を用いて印刷面を除去する方法は同じである。実施例1の除去装置本体2と略同じ構成の装置を用いることができる。ここでは主に実施例1との構成の相違する部分のみ説明する。
【0051】
なお、実施例1の印刷面洗浄除去装置1を軽プラスチックフィルムの処理に利用することは可能である。実施例2の印刷面洗浄除去装置41には、浮上しやすい軽プラスチックフィルムを対象にするため、実施例1の印刷面洗浄除去装置1に備えられていた投入筒3の外周壁に設けられた第2スクリュウフィン16と、投入筒3に隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された有底筒4と、有底筒4の下部に設けられた第2撹拌羽根18を必ずしも備える必要はない。
【0052】
<除去装置本体の構成>
実施例2の除去装置本体2は、上半分が略円筒形状の筒体であり、その下半分が逆円錐形状に成る。更にその下部に排出口6を有する装置である。この除去装置本体2は、印刷面を有するプラスチックフィルムを細断したプラスチックフィルム片をアルカリ洗浄水と共に投入し、その内部で撹拌、移動しながら洗浄する。水に浮く軽プラスチックフィルム片は、除去装置本体2の開口縁2a周囲に形成された排出樋19から回収する。実施例2の除去装置本体2は、この排出樋19が特徴的な構成部材である。この排出樋19は除去装置本体2から溢流するアルカリ洗浄水を排出する部分として機能する。
【0053】
実施例2の印刷面洗浄除去装置41では、洗浄水に浮遊しやすい軽プラスチックフィルム片を処理対象とするものであるため、この実施例2の装置には、実施例1の除去装置本体2に設けられていた回収口用邪魔板9は必要ない。
【0054】
<投入筒の構成>
実施例2の軽プラスチックフィルム用の印刷面洗浄除去装置41の場合も、第1スクリュウフィン10は投入筒3内において、浮遊しやすい軽プラのプラスチックフィルム片の浮上を押さえ、ゆっくりとアルカリ洗浄水との除去反応をしながら移動させることができる。そのため、この第1スクリュウフィン10は、浮上しやすい軽プラスチックの場合は、主に下向きに回転方向を設定する。
【0055】
実施例2の除去装置本体2は、内部に取り付ける投入筒3について、重プラスチックフィルムが処理対象になる実施例1の投入筒3より上下方向で長く形成されたものである。第1スクリュウフィン10も投入筒3の長さに合わせて長く形成されている。これは浮上しやすい軽プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水との処理時間を長くさせるためである。
【0056】
<印刷面洗浄除去装置を用いた洗浄除去方法>
図8は主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置と濯ぎスクリュウコンベアと組み合わせた概略を示す全体構成図である。
実施例2の軽プラスチックフィルム用の印刷面洗浄除去装置41には、濯ぎスクリュウコンベア31を用いることが好ましい。この濯ぎスクリュウコンベア31は、除去装置本体2の筒体5の上部の開口縁2a周囲の排出樋19から処理した軽プラチックのフィルム片を投入する投入口32と、プラスチックフィルム片に付着しているアルカリ洗浄水を除去する濯ぎスクリュウを備えた装置である。
【0057】
濯ぎスクリュウコンベア31の投入口32に除去装置本体2の排出樋19から、スクリュウコンベア33を用いて処理した軽プラチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入する。濯ぎスクリュウコンベア31内において回転する水車34により軽プラチックフィルム片からアルカリ洗浄水で印刷面を洗浄する。次に浮上するプラスチックフィルム片を排出口から排出する。
【0058】
図9は実施例2の主に軽プラスチックフィルムに用いる印刷面洗浄除去装置を用いた洗浄除去方法を示す作業フロー図である。
「前処理工程」
前処理段階として、印刷面の化学物質が付着している軽プラスチックフィルムを細断してプラスチックフィルム片とする。例えば、1辺が20~30mmの大きさに細断する。アルカリ洗浄水中において浮遊する大きさであれば良い。
【0059】
「第B1次洗浄除去工程」
第1段階として、このように細断したプラスチックフィルム片を投入筒3にアルカリ洗浄水と共に投入する。投入筒3内において第1スクリュウフィン10で撹拌してプラスチックフィルム片の印刷面と、上向き水流のアルカリ洗浄水と反応させ、印刷面を洗浄除去する。
【0060】
「第B2次洗浄除去工程」
第2段階として、投入筒3の下部開口3bから搬除去装置本体2の水面近くまでに上向き水流により搬送されたプラスチックフィルム片は印刷面洗浄除去装置41内での滞留時間が長くなる。印刷面とアルカリ洗浄水とを十分に反応させることができ、効率よく洗浄除去することができる。
【0061】
「第B3次洗浄除去工程」
第3段階として、投入筒3の上部開口3bから溢流して搬除去装置本体2に搬送されたプラスチックフィルム片は、印刷面とアルカリ洗浄水とを十分に反応させる。除去装置本体2の筒体5の上部の開口縁2a周囲の排出樋19に浮上させる。
【0062】
「第B4次洗浄除去工程」
プラスチックフィルム片が軽プラチックの場合は、更に第4段階として、濯ぎスクリュウコンベア31を用いて洗浄除去処理をすることができる。この濯ぎスクリュウコンベア31は、除去装置本体2の排出樋19から処理した軽プラチックのフィルム片を投入口32し、除去処理がされる。処理後の軽プラチックのフィルム片は排出口35から排出する。
【0063】
「後処理工程」
最後の処理段階として、印刷面の洗浄除去が終了したプラスチック片は、水洗後その水分を脱水機で除去して、袋に詰めるなどの後処理を実施する。これでプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去が完了する
【0064】
なお、本発明は、二重筒形状の処理装置を用いて廃プラスチックフィルム片の水中における滞留時間を長くすることで、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水との処理時間が充分になり、廃プラスチックフィルムの印刷面の化学物質を効率良く洗浄除去することができる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のプラスチックフィルムの印刷面洗浄除去装置及びその洗浄除去方法は、PETボトルのラベルのような印刷付きプラスチックフィルムに限定されず、印刷面に塗料などの化学物質が付着しているクリアファイル、CD、DVDの包装材のような廃プラスチック類に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 印刷面洗浄除去装置
2 除去装置本体
2a 除去装置本体の開口縁
3 投入筒
3a 投入筒の下部開口
3b 投入筒の上部開口
4 有底筒
5 筒体
6 排出口
7 加熱装置
9 回収口用邪魔板
10 第1スクリュウフィン
16 第2スクリュウフィン
18 第2撹拌羽根
19 排出樋
21 スクリュウコンベア型洗浄除去装置
23 コンベア搬入口
25 コンベア排出口
31 濯ぎスクリュウコンベア
32 投入口
41 印刷面洗浄除去装置

【要約】
【課題】二重筒形状の処理装置を用いて廃プラスチックフィルム片の水中における滞留時間を長くすることで、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水との処理時間が充分になり、廃プラスチックフィルムの印刷面の化学物質を効率良く洗浄除去する。
【解決手段】開口縁を筒体5の上部に具備した除去装置本体2と、プラスチックフィルム片とアルカリ洗浄水を投入する上部開口3bと、これを撹拌すると共に移動させる第1スクリュウフィン10が設けられた円筒状の投入筒3と、投入筒3に隙間を設けて同じ軸方向になるように配置された、投入筒3の下部開口3aから移動したプラスチックフィルム片と共にアルカリ洗浄水を上方へ溢流させる有底筒4と、を備えた装置である。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9