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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】構造体及びキット
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20180101AFI20220215BHJP
   A01G 20/00 20180101ALI20220215BHJP
【FI】
A01G9/02 C
A01G20/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021180412
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2021-11-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521483629
【氏名又は名称】株式会社縁舞
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 伸一
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02113523(US,A)
【文献】特開昭63-261069(JP,A)
【文献】実開平01-105435(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01358791(EP,A2)
【文献】特公昭49-012963(JP,B2)
【文献】実開昭51-115142(JP,U)
【文献】特開2001-073376(JP,A)
【文献】特開2001-231396(JP,A)
【文献】特開2006-322209(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137461(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0126288(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1449338(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1875157(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 2/00 - 2/38
A01G 5/00 - 7/06
A01G 9/28
A01G 20/00 - 22/67
A01G 24/00 - 24/60
B44C 5/06
E02D 17/00 - 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体的な緑地を造形するための構造体であって、
植栽部を備え、
前記植栽部は、植栽面と、土壌保持部とを含み、
前記植栽面は、植物を植栽可能に構成され、且つその裏面に連通する連通孔を備え、
前記土壌保持部は、前記植栽面によって形状が規定される空間であり、且つ土壌を任意の三次元形状に造形した状態で保持し、
前記連通孔と、前記土壌保持部とは、空間的に連続し、
前記構造体の材質が、生分解性材料を含む、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の構造体において、
補強部をさらに有し、
前記補強部は、前記植栽面の裏側に位置し、前記形状を補強するように構成される、もの。
【請求項3】
請求項2に記載の構造体において、
前記補強部は、前記植栽面の裏側に位置するリブ構造を有する、もの。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載の構造体において、
連結部をさらに有し、
前記連結部は、他の構造体における連結部と、互いに連結可能に構成され、これにより前記構造体どうしの連結を可能とする、もの。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の構造体において、
前記生分解性材料は、生分解性プラスチックである、もの。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載の構造体において、
前記植物は、芝苗であり、
前記植栽面は、凹凸構造をさらに有し、
ここで前記凹凸構造は、前記植栽面上において前記芝苗を固定可能に構成される、もの。
【請求項7】
緑地を造形するためのキットであって、
請求項1~請求項6の何れか1つに記載の構造体と、芝苗と、土壌とを備え、
前記芝苗は、前記植栽面の表面に位置するように植栽され、
前記土壌は、前記土壌保持部の内部に位置するように構成される、もの。
【請求項8】
請求項7に記載のキットにおいて、
目串をさらに備え、
前記構造体は、成形体であり、
前記目串は、前記構造体の成形の際に生じる端材であり、且つ前記連通孔を介して、前記芝苗と前記土壌とを固定可能に構成される、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
地面を緑化するための構造体が知られている。特許文献1には、格子状の形状を有する芝生保護材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-135642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、三次元状に隆起した土壌を緑化することはできず、設計可能な緑地の形状に制限があった。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、立体的な緑地を造形するための構造体を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、立体的な緑地を造形するための構造体が提供される。この構造体は、植栽部を備える。植栽部は、植栽面と、土壌保持部とを含む。植栽面は、植物を植栽可能に構成され、且つその裏面に連通する連通孔を備える。土壌保持部は、植栽面によって形状が規定される空間であり、且つ土壌を任意の三次元形状に造形した状態で保持する。連通孔と、土壌保持部とは、空間的に連続している。
【0007】
このような態様によれば、立体的な緑地を造形するための構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態である構造体1の全体像を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態である構造体1の全体像を示す斜視図である。
図3図1におけるA-A断面図を用いて、第2の実施形態であるキット2を説明するための図である。
図4】変形例の全体像を示す斜視図である。
図5図4中のB視点から変形例を見た様子を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本開示の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。以下、構造体1及びキット2を使用する者のことを使用者という。使用者は、趣味で自宅の庭を造園する者であってもよく、公園、歩道、屋上庭園、テーマパーク、ゴルフ場、個人宅の庭等の造園を請け負う設計者又は土木作業者であってもよい。
【0010】
1.第1の実施形態
以下、第1の実施形態である構造体1について詳述する。
【0011】
<構造体1の構成>
第1の実施形態は、立体的な緑地を造形するための構造体1である。図1及び図2は、第1の実施形態である構造体1の全体像を示す斜視図である。図1及び図2に示すとおり、構造体1は、植栽部10と、補強部14とを備える。植栽部10は、具体的には、凸部10a及び凹部10bを有する立体的な構造であってよい。補強部14は、具体的には、植栽部10の凹部10bに位置する、板状又は支柱状の構造であってよい。なお、補強部14は必須の構成ではない。
【0012】
植栽部10は、植栽面11と、土壌保持部13とを含む。植栽面11は、その裏面に連通する連通孔12を備える。植栽面11は、具体的には、植栽部10の凸部10aに延在する面であってよい。植栽面11は、植物の生育方向又は植物の根の成長方向(以下、生育方向等という)と略直交する面であってよい。具体的には例えば、生育方向等と植栽面11とのなす角が、60,65,70,75,80,85,90,95,100,105,110,115,120°であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0013】
構造体1は、図1に示す側、すなわち植栽面11の側を上向きとして、地面の上に設置されてよい。好ましくは、構造体1が地面の上に設置される際、植栽面11の端部は地表面に接するように構成される。より好ましくは、植栽面11の端部及び補強部14の端部が地表面に接するように構成される。このような態様により、構造体1が地面に設置された際の安定性が向上する。
【0014】
土壌保持部13は、植栽面11によって形状が規定される空間Sである。具体的には、土壌保持部13は、植栽面11の裏面側、すなわち植栽部10の凹部10bに存在する空間Sであってよい。植栽面11における連通孔12と、土壌保持部13とは、空間的に連続している。この態様によれば、連通孔12を通じて土壌21(後述の図3参照)中に外界から酸素を供給することができる。また、植栽面11に設置された植物が、連通孔12を通じて土壌21に根を張ることができる。すなわち、植物の生育が可能な構造体1を提供することができる。
【0015】
<構造体1の形状>
構造体1は、任意の形状に土壌を保持し、立体的な緑地を造形するために用いることができる。一例として図1及び図2に示す構造体1では、立体的な星型形状に隆起した緑地の造形が可能である。
【0016】
植栽部10における植栽面11は、植物を植栽可能に構成される。具体的には、植栽面11は、任意の三次元形状の広がりを有し、植物を植栽可能に構成される面である。例えば、植栽面11は、平面、曲面、又はそれらの組み合わせを含む形状であってよい。図1では、一例として、平面を組み合わせて星型形状に形成された植栽面11を示しているが、製造上実現可能な形状であれば、植栽面11の形状に制限はない。植栽面11は、例えば、ハート、星、スペード、植物、動物、人物若しくはキャラクター等をモチーフにした形状、円形、楕円形若しくは多角形等の幾何学的形状、文字若しくは数字を表した形状、又はこれらを組み合わせた形状であってよい。
【0017】
植栽面11への植物の植栽は、植生基材で植栽面11を覆うことによって行われてもよい。植生基材は、一般的な土木工事に用いられるものであってよく、例えば、土、基盤材、接合材、肥料、水、植物の種子等から選択される材料の混合物であってよい。植物の植栽は、これらの材料を植栽面11に吹き付けることによって行われてもよく、これらの材料が装着されたシート又はマットを植栽面11上に貼り付けることによって行われてもよい。
【0018】
植栽面11に植栽される植物は、園芸用の草花であれば特に制限はないが、緑地の手入れの容易さという観点から、多年草であることが好ましい。より好ましくは、耐久性がある植物であるという観点から、植栽面11に植栽される植物は、芝苗22である。さらに好ましくは、植栽作業を容易に行うことができるという観点から、芝苗22は、シート状又はロール状の基材に植栽された状態で市場において取引される芝苗22である。芝の品種は、日本芝であっても西洋芝であってもよく、特に制限はない。シート上又はロール状の芝苗22は、植栽面11の表面に沿うように貼り付けられ、目串で固定されることによって植栽されてよい。
【0019】
植栽面11の厚みは、構造体1の運搬時及び設置時に必要な強度を担保し、且つ植物の生育を抑制しない観点から、1mm以上50mm以下であることが好ましい。具体的には例えば、植栽面11の厚みは、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
構造体1が地面に設置された際に、植栽面11の端部は、地表面と接することが好ましい。より好ましくは、構造体1は、植栽面11の端部に位置する不図示の差し込み部を有する。具体的には、差し込み部は、植栽面11の端部から延在する櫛歯であってよく、地中に挿入される。このような態様によれば、構造体1が地面に固定されるため、外力や風雨等による構造体1の移動を防ぐことができる。
【0021】
好ましくは、植栽面11は、不図示の凹凸構造をさらに有する。凹凸構造とは、例えば、リブ状、ワッフル状、シボ状、櫛歯状等の構造であってよい。また、凹凸構造は、植栽面11上において芝苗22を固定可能に構成されてよい。より好ましくは、凹凸構造は、植栽面11の表面から延在する櫛歯構造である。ここで櫛歯構造は、複数の櫛歯を有し、シート上又はロール状の芝苗22に櫛歯を挿通することで、芝苗22を固定可能に構成される。このような態様によれば、傾斜のある植栽面11において芝苗22のずれ落ちを抑制することができ、使用者は、意図した位置に芝苗22を設置することが可能となる。すなわち、使用者の意図した通りに芝苗22が植栽された、外観の美しい緑地を造形可能な構造体1を提供することができる。
【0022】
凹凸構造の高さ、すなわち凹凸構造の高低差は、植物が根付きやすい構造を実現し、製造コストを抑制する観点から、具体的には例えば、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
土壌保持部13、すなわち植栽面11によって形状が規定される空間Sは、土壌21(後述の図3参照)を任意の三次元形状に造形した状態で保持する。具体的には、空間Sは、植物が根を張るための土壌21を収容可能に構成される空間Sである。土壌保持部13が保持する土壌21は、園芸用の土壌であれば種類に制限はないが、植栽面11に植栽される植物の品種、及び緑化を実施する場所によって適切な土壌が使用されるのが好ましい。例えば、天然土壌、人工土壌等であってもよく、ビルの屋上緑化に使用される場合には、軽量人工土壌が使用されてよい。
【0024】
連通孔12の形状は、特に制限はないが、例えば、円形状、多角形状、スリット状等であってよい。連通孔12の個数は、特に制限はないが、植物の生育環境を向上させる観点から、連通孔12は複数存在することが好ましい。より好ましくは、連通孔12の合計面積/植栽面11の面積の割合は、10%以上80%以下である。このような態様により、構造体1が土壌21を保持するための強度を担保し、且つ植物が土壌21に根を張ることが容易となる。具体的には、例えば、連通孔12の合計面積/植栽面11の面積の割合は、10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0025】
補強部14は、植栽面11の裏側に位置し、形状を補強するように構成される。すなわち、好ましくは、構造体1は、補強部14をさらに有する。このような態様によれば、複雑な形状の植栽面11であっても、構造体1の強度を保つことができる。すなわち、より複雑な形状の緑地を造形することが可能な構造体1を提供することができる。補強部14は、植栽部10と一体であってもよく、別体であってもよい。補強部14は、例えば、複数の板状部材を含むリブ構造、複数の支柱及び梁を含む骨組み構造、又はこれらの組み合わせであってよい。補強部14が植栽部10と別体である場合には、補強部14及び植栽部10が係止部を有し、お互いを結合可能に構成されていてもよい。
【0026】
構造体1が地面に設置された際に、補強部14の端部は、地表面と接することが好ましい。より好ましくは、補強部14の端部は、地中に挿入される。このような態様によれば、補強部14の一部が地中に埋まった状態となり、構造体1が地面に固定されるため、外力や風雨等による構造体1の移動を防ぐことができる。
【0027】
好ましくは、補強部14は、植栽面11の裏側に位置するリブ構造を有する。具体的には、リブ構造は、植栽面11の裏面から延在する、複数の板状部材であってよい。複数の板状部材は、所定の間隔を空けて並列に配置されていてもよく、格子状に組み合わせられて配置されていてもよい。このような態様によれば、補強部14を有する構造体1を容易に製造することが可能となる。すなわち、製造コストが低く、より強度の高い構造体1を提供することができる。
【0028】
リブ構造の厚みは、植栽部10を補強し、且つ製造コストを抑制する観点から、0.3mm以上20mm以下であってよい。リブ構造の厚みは、具体的には例えば、0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0029】
好ましくは、補強部14は、植栽部10と別体であり、使用者によって組立てが可能に構成される。このような態様により、植栽部10及び補強部14を一体で製造可能な形状とするための設計上の制約がなくなり、使用者は、より自由な形状の緑地を造形することができる。より好ましくは、植栽部10は、補強部14の位置を決定するための溝、ガイド、側壁等を有する。このような態様により、使用者が容易に構造体1を組み立てることが可能となる。
【0030】
<構造体1の材質>
構造体1は、任意の方法で成形された成形体であってよい。成形の方法は、射出成形、プレス成形、ブロー成形、3Dプリンタによる成形等の方法が用いられてもよい。構造体1の材質としては、特に制限はないが、好ましくは、構造体1の材質は、生分解性材料を含む。このような態様によれば、構造体1の一部が土壌21中で分解されため、環境に与える負荷を低減することができる。より好ましくは、構造体1の材質は、生分解性材料である。このような態様によれば、構造体1は、設置された後に土壌21中で分解されるため、環境に与える負荷をより低減することができる。
【0031】
生分解性材料は、天然由来の原料、生分解性プラスチック等であってよい。天然由来の原料は、例えば、リグニン、セルロース、キトサン、リン酸カルシウム、澱粉、ゼラチン等の原料を使用して成形されてよい。具体的には、古紙、枯れ葉、枯れ枝、木材の廃材、農作物の食用でない部分、生物の骨、甲殻類の甲羅等を粉砕した原料に、澱粉のり等の天然由来の粘着剤を添加し、押し固めることによって任意の形状の構造体1が成形されてもよい。
【0032】
構造体1は、生分解性材料以外の素材を含んでもよい。例えば、プラスチック材料、材料の強度を向上させるための充填剤、材料の成形性を向上させるための添加剤、植物の生育を促進するための肥料、農薬等を含んでよい。
【0033】
より好ましくは、生分解性材料は、生分解性プラスチックである。生分解性プラスチックは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリコール酸、澱粉ポリエステル等の変性澱粉、酢酸セルロース等の変性セルロース、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)等から選択可能である。生分解性プラスチックは、1種又は複数種の組み合わせであってよい。このような態様によれば、設計の自由度が高く、製造が容易であり、使用後に土壌21中で分解可能な構造体1を提供することができる。すなわち、成形性と、環境に与える負荷の低減とを両立することができる。
【0034】
脂肪族ポリエステルは、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート/アジペート(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート/カーボネイト(PEC)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリエチレンサクシネート/アジペート、ポリ乳酸/ポリカプロラクトン共重合体、ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体等であってよい。
【0035】
芳香族ポリエステルは、例えば、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート(CPE)等であってよい。
【0036】
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、例えば、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート/3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート/3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート/4-ヒドロキシブチレート)等であってよい。
【0037】
補強部14が植栽部10と別体である場合には、補強部14は、金属、木材等の材料で形成された部材を含んでいてもよい。好ましくは、補強部14の強度を向上させる観点から、金属製の部材を含むことが好ましい。金属製の部材は、例えば、金属パイプであってよい。
【0038】
2.第2の実施形態(キット)
以下、第2の実施形態であるキット2について詳述する。前節で既に説明した構造体1の態様は、本節でも同様のため省略する。
【0039】
<キット2の構成>
第2の実施形態は、緑地を造形するためのキット2である。図3は、図1におけるA-A断面図を用いて、第2の実施形態であるキット2を説明するための図である。図3に示すように、キット2は、構造体1と、芝苗22と、土壌21とを備える。芝苗22及び土壌21の好ましい態様は、前節に記載の内容と同様のため省略する。ここで芝苗22は、植栽面11の表面に位置するように植栽され、土壌21は、土壌保持部13の内部に位置するように構成される。このような態様によれば、使用者は、芝苗22と土壌21を自分で準備する必要がなくなり、容易に所望の形状の緑地を造形することができる。すなわち、使用者の利便性が向上する。
【0040】
好ましくは、キット2は、土壌21を収容する不図示の土壌袋をさらに有していてもよい。具体的には、土壌袋は、土壌21を包んだ状態で土壌保持部13に収容されてよい。このような態様によれば、キット2の流通時に土壌21が土壌保持部13から漏れ出てしまうことを防ぐことができる。土壌袋は、不織布等の布帛であってもよく、ネットであってもよい。土壌袋の素材は、土壌21が漏れ出ない程度に目が細かいものであればよく、環境への負荷を低減する観点から、生分解性の素材であることが好ましい。
【0041】
好ましくは、キット2は、不図示の目串をさらに備える。ここで、目串は、連通孔12を介して、芝苗22と土壌21とを固定可能に構成される。具体的には、目串は、芝苗22が植栽されたシート状又はロール状の基材を貫通し、連通孔12を介して、土壌21に挿入される。このような態様によれば、運搬中に芝苗22が植栽面11上からずれ落ちてしまうことや、設置後に風雨によって芝苗22が剥がれてしまうことを抑制することができる。
【0042】
より好ましくは、目串は、構造体1の成形の際に生じる端材である。例えば、構造体1が射出成形によって成形された場合、端材は、成形に係るランナー、ゲート、スプルー等であってよい。このような態様によれば、構造体1の成形の際に生じる端材を有効活用することができ、製造によるごみの量を減らすことができる。すなわち、環境への負荷をより低減したキット2を提供することができる。端材は、そのまま目串として用いられてもよく、所望の大きさに切り出す等の加工がなされてもよい。
【0043】
好ましくは、生分解性材料で成形された構造体1の端材は、粉砕され、土壌21に混合されてもよい。このような態様によれば、成形時に生じる端材を焼却処分することなく、全て有効活用することができるため、キット2の製造によって生じるごみの量を削減し、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0044】
3.変形例
前述の実施形態に係る構造体に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0045】
図4は、変形例の全体像を示す斜視図である。図4に示すように、複数の構造体1を組み合わせることによって、立体的な緑地が造形されてもよい。図4では、例として、アルファベットのE字状の立体形状の緑地が造形された様子を示している。
【0046】
図5は、図4中のB視点から変形例を見た様子を示した拡大図である。図5に示すように、構造体1は、連結部15をさらに有してもよい。連結部15は、他の構造体1における連結部15と、互いに連結可能に構成され、これにより構造体1どうしの連結を可能とする。このような態様によれば、使用者が、構造体1を組み合わせて、より大きな構造を造形することが可能となる。すなわち、使用者が所望する形状を容易に造形可能な構造体1を提供することができる。
【0047】
図5に示すように、植栽面11は、外周を連結部15で囲まれた面であってよい。構造体1同士の連結を容易にする観点から、植栽面11は平面であってもよい。変形例において土壌保持部13は、複数の植栽面11によって形状が規定される空間Sである。
【0048】
連結部15は、例えば、凹構造及び凸構造を有し、凹構造及び凸構造がお互いに係合するように構成されていてもよい。凹構造及び凸構造は、例えば、スナップフィット構造であってよい。連結部15は、例えば、ビスやリベット等の固定部材を介して複数の構造体1が連結されるように構成されていてもよい。
【0049】
4.その他
実施形態では、土を盛って凸状の緑地を造形する場合について説明したが、穴を掘って凹状の緑地を造形してもよい。その場合、植栽面11は、植栽部10の凹部10bに延在する面であってよい。
【0050】
一態様において、植栽部10は、少なくとも一部が多孔質状であってよい。多孔質素材としては、例えば、活性炭、珪藻土、ゼオライト等の既知の素材が用いられてもよく、生分解性プラスチックの多孔質膜等が用いられてもよい。また、多孔質素材の空孔内に、植物の生育を促進させるための肥料、土壌改質剤、農薬等を含んでもよい。
【0051】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記構造体において、補強部をさらに有し、前記補強部は、前記植栽面の裏側に位置し、前記形状を補強するように構成される、もの。
前記構造体において、前記補強部は、前記植栽面の裏側に位置するリブ構造を有する、もの。
前記構造体において、連結部をさらに有し、前記連結部は、他の構造体における連結部と、互いに連結可能に構成され、これにより前記構造体どうしの連結を可能とする、もの。
前記構造体において、前記構造体の材質が、生分解性材料を含む、もの。
前記構造体において、前記生分解性材料は、生分解性プラスチックである、もの。
前記構造体において、前記植物は、芝苗であり、前記植栽面は、凹凸構造をさらに有し、ここで前記凹凸構造は、前記植栽面上において前記芝苗を固定可能に構成される、もの。
緑地を造形するためのキットであって、前記構造体と、芝苗と、土壌とを備え、前記芝苗は、前記植栽面の表面に位置するように植栽され、前記土壌は、前記土壌保持部の内部に位置するように構成される、もの。
前記キットにおいて、目串をさらに備え、前記構造体は、成形体であり、前記目串は、前記構造体の成形の際に生じる端材であり、且つ前記連通孔を介して、前記芝苗と前記土壌とを固定可能に構成される、もの。
もちろん、この限りではない。
【0052】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1 :構造体
10 :植栽部
10a :凸部
10b :凹部
11 :植栽面
12 :連通孔
13 :土壌保持部
14 :補強部
15 :連結部
2 :キット
21 :土壌
22 :芝苗
S :空間
【要約】
【課題】立体的な緑地を造形するための構造体を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、立体的な緑地を造形するための構造体が提供される。この構造体は、植栽部を備える。植栽部は、植栽面と、土壌保持部とを含む。植栽面は、植物を植栽可能に構成され、且つその裏面に連通する連通孔を備える。土壌保持部は、植栽面によって形状が規定される空間であり、且つ土壌を任意の三次元形状に造形した状態で保持する。連通孔と、土壌保持部とは、空間的に連続している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5