(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】プログラム可能なレンズデバイスを制御する方法
(51)【国際特許分類】
G02C 7/02 20060101AFI20220215BHJP
G02C 7/06 20060101ALI20220215BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
G02C7/02
G02C7/06
G02C11/00
(21)【出願番号】P 2016530525
(86)(22)【出願日】2014-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2014066426
(87)【国際公開番号】W WO2015014911
(87)【国際公開日】2015-02-05
【審査請求日】2017-07-28
【審判番号】
【審判請求日】2019-07-12
(32)【優先日】2013-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518040079
【氏名又は名称】エシロール エンテルナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル アーシャンボー
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム バレ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エスケーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロメイン ファヨル
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ ペロー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ポール カノ
(72)【発明者】
【氏名】シリル ギルー
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ カリエ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン イケル
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】関根 洋之
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-523483(JP,A)
【文献】国際公開第2013/088630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/02
G02C 7/06
G02C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム可能レンズ及び光学機能コントローラを含むプログラム可能レンズデバイスを制御する方法であって、前記プログラム可能レンズは光学機能を有し、前記デバイスが装着者により使用されるとき、前記プログラム可能レンズは、少なくとも一方の眼と現実世界の光景との間に広がり、且つ、前記光学機能コントローラは前記プログラム可能レンズの前記光学機能を制御するように構成され、
前記方法は、
- 前記装着者の活動に関する活動データが前記光学機能コントローラにより受信される活動データ受信ステップ(S3)と、
- 前記プログラム可能レンズの前記光学機能に関する光学機能データが前記光学機能コントローラにより受信される光学機能データ受信ステップ(S4)と、
- 前記装着者に適合した光学設計が前記活動データに基づいて決定されるステップである光学設計決定ステップと、
- 前記プログラム可能レンズデバイスの前記光学機能が前記光学機能コントローラにより前記光学機能データに基づいて変更される光学機能変更ステップ(S5)とを含み、
前記活動データは、読書、計算、走行、歩行、運転、TV/画面注視のような複数種類の前記活動を示すデータを含み、
前記光学機能データは、前記装着者に適合された眼科矯正に基づく
少なくとも光屈折機能に関する少なくとも光屈折機能データを含み、
前記光屈折機能データは、累進多焦点光学設計に関する、方法。
【請求項2】
前記光学機能データが前記光学機能コントローラにより実行されるように適合されたコンピュータプログラムを含み、且つ、前記光学機能変更ステップ中に前記プログラム可能レンズの前記光学機能を変更するために受信された前記コンピュータプログラムが前記光学機能コントローラにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装着者の観察条件に関する観察条件データが前記光学機能コントローラにより受信される観察条件データ受信ステップ(S2)をさらに含み、前記光学機能変更ステップ中に前記光学機能が前記観察条件データに基づいて変更される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記観察条件が装着者の観察距離及び/又は前記装着者の環境中の物体の近接及び/又は装着者の環境中の明度及び/又は装着者の姿勢に関する要素を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プログラム可能レンズデバイスの前記光学機能が少なくとも前記装着者の眼科処方を含むユーザデータに基づいて初期化される初期化ステップ(S1)をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザデータが前記装着者の頭の形態に関する形態学データ及び/又は前記装着者の観察戦略に関する観察戦略データ及び/又は装着者の好みをさらに含み、
前記観察戦略は、装着者の頭/眼の運動係数
に関係する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記光学機能データが遠隔実体から受信される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
観察条件データ及び/又は活動データ及び/又はユーザデータが前記遠隔実体に送られ、且つ、前記光学機能データが前記データに基づいて適合される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイスが、前記プログラム可能レンズデバイスが前記装着者により使用されたときに前記装着者により前記プログラム可能レンズ経由で視覚される現実世界の光景の視覚情報を表示するように構成された視覚情報表示デバイス、及び
前記視覚情報の前記表示を電子的に制御するように構成された視覚情報表示コントローラをさらに含み、
前記方法が、表示情報が観察条件データ及び/又はユーザデータ及び/又は前記活動データ及び/又は前記光学機能データに基づいて適合される表示変更ステップをさらに含み、
前記視覚情報は、前記装着者により視覚される前記現実世界の光景に関するものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法によって制御される少なくとも1つのプログラム可能レンズデバイス及び遠隔実体を含むネットワークシステムであって、
前記プログラム可能レンズデバイス及び前記遠隔実体はお互いに通信するように構成され、且つ、
前記遠隔実体は、前記プログラム可能レンズデバイスの前記光学機能コントローラにより実行されたときに
、少なくとも前記装着者の眼科処方に従って
前記光学機能コントローラを前記光学機能に適合させる命令の1つ又は複数の格納シーケンスを含む少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を格納するように適合された格納手段を含み、且つ/又は、
前記遠隔実体は、前記プログラム可能レンズデバイスの前記光学機能コントローラにより使用されたときに
、少なくとも前記装着者の眼科処方に従って
前記光学機能コントローラを前記光学機能に適合させる光屈折機能データを格納するように適合された格納手段を含む、システム。
【請求項11】
プログラム可能レンズデバイスの光学機能コントローラにアクセス可能であり、且つ前記光学機能コントローラにより実行されたときに前記光学機能コントローラにより所定のステップを実行させる命令の1つ又は複数の格納シーケンスを含
むコンピュータプログラム製品であって、
前記所定のステップは、
-プログラム可能レンズの光学機能に関する光学機能データを受け取るステップ(S4)と、
-活動データに基づいて、装着者に適合された光学設計を決定するステップと、
-前記光学設計に対応する光学機能データに基づいて、前記光学機能コントローラがプログラム可能レンズデバイスの光学機能を変更するステップ(S5)とを含み、
前記活動データは、読書、計算、走行、歩行、運転、TV/画面注視のような複数種類の前記活動を示すデータを含み、
前記光学機能データは、装着者に適合した眼科矯正
に基づいた少なくとも光屈折機能に関する少なくとも光屈折機能データを含み、
光屈折機能データは、累進多焦点光学設計に関するコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラム製品の命令の1つ又は複数のシーケンスを格納しているコンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム可能なレンズ及び光学機能コントローラを含むプログラム可能レンズデバイスを制御する方法に関する。このプログラム可能レンズは光学機能を有し、且つ、このデバイスが装着者により使用されたとき装着者の少なくとも一方の眼と現実世界の光景との間に広がる。また、この光学機能コントローラは、プログラム可能レンズの光学機能を制御するように構成される。本発明は、さらに、少なくともプログラム可能レンズ及び遠隔実体を含むネットワークシステム並びにプログラム可能レンズデバイスの光学機能コントローラからアクセス可能な命令の1つ又は複数の格納シーケンスを含むコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願中における本発明の背景の検討は、本発明の背景を説明するために含まれている。これは、参照されている資料が本件請求項のいずれかの優先日において公開されているか、既知であるか、又は共通の一般的知識の一部となっていたことの承認として受け取るべきでない。
【0003】
通常、眼鏡類装置を購入したい眼鏡類装置装着者は、アイケアの技師を訪れる。
【0004】
アイケアの技師は、レンズ製造所(以下、製造所と称する)に注文書を送付することにより製造所に眼鏡類装置を注文する。
【0005】
製造所は、注文書を受け取り、次に、注文書に基づいて光学レンズ設計を計算する計算実体にそれを送る。決定された光学設計は製造所に送られ、その計算された設計に基づいて光学レンズが製造される。
【0006】
光学レンズは、次にアイケアの技師に送られる。
【0007】
現在の光学レンズ納入プロセスには若干の欠点がある。
【0008】
近年、新しい光学設計が発明された。これらの新しい光学設計は、装着者、観察条件及び装着者の活動の種類に応じて、ますます個別化している。
【0009】
実際、光学的要求は、観察条件及び装着者の活動に応じて変化する。たとえば、光学的要求は、装着者が読書しているときと装着者が風景を見ているときとでは異なる。多焦点眼科用レンズは、近見距離と遠見距離の眼科矯正を与える1対の眼科レンズを提供するために開発された。
【0010】
しかし、眼科レンズ設計者が活動の種類及び観察条件にとってますます特有の光学設計を行い得ることが分かっている。
【0011】
したがって、装着者が1日に行う異なる活動に応じて、装着者は、異なる眼科用レンズ設計を利用することにより恩恵を受けることができる。
【0012】
しかし、現在、自分の種々の活動に適合されたより適切な光学設計を利用したいか、又は眼科用レンズ設計を変更したい装着者は、自分が利用したい光学設計の件数だけの眼鏡レンズ対を持ち歩く必要がある。
【0013】
したがって、装着者に非常に多くの眼鏡レンズ対の携帯を要求しない新しい最も適合された眼科用レンズ設計を装着者に提供するようにプロセスを改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、プログラム可能レンズデバイスを選択された眼科用レンズ設計に適合するためにプログラム可能レンズデバイスを制御する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明は、プログラム可能なレンズ及び光学機能コントローラを含むプログラム可能レンズデバイスを制御する方法に関する。このプログラム可能レンズは光学機能を有し、このデバイスが装着者により使用されたとき装着者の少なくとも一方の眼と現実世界の光景との間に広がる。また、この光学機能コントローラは、プログラム可能レンズの光学機能を制御するように構成される。この方法は、以下のステップを含む:
- プログラム可能レンズの光学機能に関する光学機能データが光学機能コントローラにより受信される光学機能データ受信ステップ
- 装着者の活動に関する活動データが光学機能コントローラにより受信される活動データ受信ステップ
- プログラム可能レンズデバイスの光学機能が光学機能コントローラにより光学機能データ及び活動データに基づいて変更される光学機能変更ステップ
【0016】
本発明による方法は、有利に、装着者の装着する装置を変更する必要なしに種々の光学レンズ設計を装着者に提供することを可能にする。したがって、装着者は、プログラム可能レンズを含む単一の装置を有することができ、このプログラム可能レンズの光学機能は光学機能データに基づいて適合される。
【0017】
単独又は組み合わせとして考慮できるさらなる実施形態によると:
- 光学機能データは、光学機能コントローラにより実行されるように適合されたコンピュータプログラムを含み、且つ、光学機能変更ステップ中に、プログラム可能レンズの光学機能を変更するために、受け取られたコンピュータプログラムが光学機能コントローラにより実行される;及び/又は、
- 光学機能は、少なくとも装着者に適合された眼科矯正を与える;及び/又は、
- 光学機能データは、装着者に適合された少なくとも眼科矯正に基づく光屈折機能に関する少なくとも光屈折機能データを含む;及び/又は
- 光屈折機能データは、累進多焦点光学設計に関する;及び/又は
- この方法は、さらに装着者の観察条件に関する観察条件データが光学機能コントローラにより受け取られる観察条件データ受信ステップを含み、また、光学機能変更ステップ中に、観察条件データに基づいて光学機能が変更される;及び/又は
- 観察条件は、装着者の観測距離及び/又は装着者の環境中の対象物の近接、及び/又は装着者の環境の明度、及び/又は装着者の姿勢に関する要素を含む;及び/又は
- 装着者の活動は、読書、計算、走行、歩行、運転、TV/画面注視を含むリストから選択される;及び/又は
- この方法は、さらに、プログラム可能レンズデバイスの光学機能が少なくとも装着者の眼科処方を含むユーザデータに基づいて初期化される初期化ステップを含む;及び/又は
- ユーザデータは、さらに、装着者の頭の形態に関する形態学的データ及び/又は装着者の観察戦略に関する観察戦略データ及び/又はレンズ使用及び/又は装着者の好み及び/又は前の装置の場合に使用されたユーザのプロフィールを含む;及び/又は
- 光学機能データは、遠隔実体から受け取られる;及び/又は
- 観察条件データ及び/又は活動データ及び/又はユーザデータは、遠隔実体に送られ、また、光学機能データは前記データに基づいて適合される;及び/又は
- このデバイスは、さらに、プログラム可能レンズデバイスが装着者により使用されたときにプログラム可能レンズ経由で装着者により視覚される現実世界の光景に関する視覚情報を表示するように構成された可視情報表示デバイス及び可視情報の表示を電子的に制御するように構成された可視情報表示コントローラを含み、また、この方法は、さらに、表示される情報が観察条件データ及び/又はユーザデータ及び/又は活動データ及び/又は光学機能データに基づいて適合される表示変更ステップを含む;及び/又は
- これらのデータは暗号化される。
【0018】
本発明は、少なくともプログラム可能レンズデバイス及び遠隔実体を含むネットワークシステムにも関する。このプログラム可能レンズデバイスとこの遠隔実体は、お互いに交信するように構成され、また、この遠隔実体は、プログラム可能レンズデバイスの光学機能コントローラにより実行されたときに光学機能コントローラにより光学機能を少なくともユーザの眼科処方に基づいて適合させる命令の1つ又は複数の格納シーケンスを含む少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を格納するように適合された格納手段を含む。
【0019】
本発明は、さらに、少なくとも1つのプログラム可能レンズデバイス及び遠隔実体を含むネットワークシステムに関する。このプログラム可能レンズデバイスとこの遠隔実体はお互いに交信するように構成され、また、この遠隔実体は、光屈折機能たとえば光学設計をたとえばデータベースに格納するように適合された格納手段を含む。
【0020】
さらなる側面によると、本発明は、処理装置からアクセス可能であり且つこの処理装置により実行されたときに処理装置により本発明による方法のステップを実行させる命令の1つ又は複数の格納シーケンスを含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0021】
本発明は、さらに、本発明によるコンピュータプログラム製品の命令の1つ又は複数のシーケンスを格納するコンピュータ読み取り可能媒体に関する。
【0022】
さらに、本発明は、コンピュータに本発明の方法を実行させるプログラムに関する。
【0023】
本発明は、プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能記憶媒体にも関する;この場合、このプログラムは、コンピュータに本発明の方法を実行させる。
【0024】
本発明は、さらに、命令の1つ又は複数のシーケンスを格納し且つ本発明による方法の少なくとも1つのステップを実行するように適合された処理装置を含むデバイスに関する。
【0025】
特に別段の言及がない限り、以下の検討から明らかであるように、この明細書全体を通じて、「算出する」、「計算する」、「生成する」などの表現を利用する考察は、コンピュータシステムのレジスタ及び/又はメモリ中の電子的数量などの物理量を表すデータをそのコンピュータシステムのメモリ、レジスタ又はその他の情報メモリ、転送又は表示デバイス中の同様に物理量を表す他のデータに操作し且つ/又は変換するコンピュータ又は計算システム、又は同様な電子計算デバイスの動作及び/又はプロセスを指すものとして理解される。
【0026】
本発明の実施形態は、本出願記載の動作を行う装置を含み得る。この装置は、所望の目的のために特に構築されるか、又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムにより選択的に起動されるか又は再構成される汎用コンピュータ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(“FPGA”)又はデジタルシグナルプロセッサ(“DSP”)から構成され得る。かかるコンピュータプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD-ROM、磁気光ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、磁気又は光カード、又は電子命令の記憶に適し、コンピュータシステムバスに結合できるその他の種類の媒体を含む任意の種類のディスクなどを含むがそれらに限られないコンピュータ読み取り可能記憶媒体に格納することができる。
【0027】
本出願において提示したプロセス及び表示は、特定のコンピュータ又はその他の装置に本質的に関連するものではない。本出願記載の教示に従うプログラムにより種々の汎用システムを使用することができるが、所望の方法を遂行するためにより特殊化された装置を構築することも又至便であろう。種々のこれらのシステムのための所望構造が下記の記述から現れるであろう。また、本発明の実施形態は、特定のプログラム言語を参照して説明されない。当然のことながら、種々のプログラム言語を使用して本出願において記述される本発明の教示を実現することができる。
【0028】
本発明の他の特徴及び長所は、添付図面を参照して行う非制限的実施形態に関する以下の記述から明らかとなろう。添付図面の内容は、次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明による方法において使用されるプログラム可能レンズデバイスを示す。
【
図2】
図2は、
図1によるプログラム可能デバイスのブロックダイアグラムである。
【
図3】
図3は、本発明による方法の種々のステップのフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明によるネットワーク化データ処理デバイスを表す。
【
図5】
図5は、本発明による方法により制御されるプログラム可能レンズの大まかな表現である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、プログラム可能レンズデバイスを制御する方法に関する。プログラム可能レンズデバイスの例は
図1に示されている。
【0031】
図1に示されているプログラム可能レンズデバイスは、フレーム3及び右及び左のレンズについて、それぞれ、1及び2と記されている2つのプログラム可能レンズを含んでいる。フレーム3は、比較的固定されている位置にレンズ1及び2を保持し、それらを装着者の両眼の前に連続使用中にほぼ一定の位置を保つように配置することを可能にする。レンズ1及び2は、眼鏡技師に既知の組立方法の1つを使用してフレーム3に恒久的に組み込むことができる。
【0032】
プログラム可能レンズ1及び3は、光学機能コントローラにより制御することができる光学機能を有するレンズである。
【0033】
本発明の意味において、光学機能は、各注視方向について当該光学レンズを通過する光線に光学レンズの効果を与える機能に対応する。
【0034】
光学機能は、光屈折機能、光吸収、偏光機能、コントラスト強化機能等を含み得る。
【0035】
光屈折機能は、注視方向の機能として光学レンズ度数(平均度数、非点収差等)に対応する。
【0036】
用語「光学設計」は、眼科レンズの光屈折機能を定義することを可能にするパラメータの集まりを指す眼科領域当業者既知の広く使用されている用語である;それぞれの眼科レンズ設計者は、特に累進眼科レンズについて自分自身の設計を有している。たとえば、累進眼科レンズ「設計」は、すべての距離において明視できるように老眼者の能力を復活させるとともに中心視覚、エキストラ中心視覚、両眼視などのすべての生理的視覚機能も光学的に配慮し、且つ、好ましくない非点収差を最小化する累進表面の最適化の結果である。たとえば、累進レンズ設計は、以下を含む:
- 昼間活動中にレンズ装着者により使用される主注視方向(メジアンライン)沿いの度数プロフィール
- レンズの両側、すなわち、主注視方向から離れている部分の度数の分布(平均度数、非点収差、…)
【0037】
これらの光学的特性は、眼科レンズ設計者により定義及び計算され、累進レンズに与えられる「設計」の一環である。
【0038】
累進レンズの「光学設計」は、商用化される前に厳しい試用により試験される。
【0039】
図1の例において、レンズ1及び2は、各光学レンズの表面に平行に並置され、いわゆるピクセル化された光学要素を形成する一組のセルを含んでいる。
【0040】
かかるピクセル化された光学要素も、光屈折機能、光吸収、偏光機能、コントラスト強化機能等のような種々の光学機能を有することができる。
【0041】
光学要素の光屈折機能は、当該光学要素を通過する所定の単色光波に関する光学位相シフト分布により特徴付けることができる。
【0042】
一般的に、透明な光学要素は、光の軸に対して横断方向に広がる表面を有している。したがって、この軸に重なる光波の伝播の平均方向を選択し、続いて表面要素内に光学位相シフト分布を得ることができる。
【0043】
ピクセル化光学要素の場合、光学位相シフトは、透明な光学要素の有効表面のサンプリングを構成する点において行われる離散値を有している。
【0044】
単色光波の光学位相シフトΔφが、数、パイの2倍と各セルの交叉の長さLとの積、及びセルを満たす透明な物質の屈折率の値nと空気の屈折率の値の差との積、及び逆波長λとの積に等しいことはよく知られている。換言すると:
【0045】
透明な光学要素を実行する方法は、したがって、光学要素の種々のセル間でセルの充填物質の屈折率値を変えることとなし得る。この場合、すべてのセルは、同一の深さを有し得る。この深さは、要素の光軸に従って測定される。
【0046】
図2を参照する。このプログラム可能レンズデバイスは、処理装置40を含む処理回路を含むことができる。処理装置40は、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、及び本出願において記述される機能を遂行するように構成されるその他のアナログ及び/又はデジタル回路構成要素を含むことができる。処理装置40は、ユーザ又はプログラム可能レンズデバイス及び/又はデータたとえば光学機能データの流通業者により製造中又は製造後に提供されるソフトウェアアプリケーションを記憶するように構成された1つ又は複数のメモリ(たとえば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュ、等)を含むことができる。
【0047】
1つの実施形態では、処理装置40は、種々のアプリケーションを実行するように構成された光学機能コントローラ及び別のチップ上又は光学機能コントローラとのデュアルコアチップの一部としての第2の無線処理装置を含むことができる。
【0048】
無線処理装置は、通信機能を果たすように構成することができる。プログラム可能レンズデバイスは、Code Division Multiple Access (CDMA)、Global System for Mobile Communications (GSM(登録商標))、Wide-Band CDMA (WCDMA(登録商標))などのThird Generation (3G)システム又はその他のセルラー無線電話技術のようなセルラー無線電話通信を行うように構成することができる。デバイス10は、さらに、データ通信機能、たとえば、GSM with General Packet Radio Service (GPRS)システム(GSM/GPRS)、CDMA/1XRTTシステム、Enhanced Data Rates for Global Evolution (EDGE)システム、Evolution Data Only又はEvolution Data Optimized (EV-DO)、及び/又はその他のデータ通信技術による通信を行うように構成することができる。
【0049】
プログラム可能レンズデバイス10は、Verizon Wireless、Sprint等のネットワーク通信業者と連携してセルラー電話電波塔などの固定無線アクセスポイントとのデータ通信を与える無線信号をアンテナ22経由で送受するように構成されるアナログ及び/又はデジタル電気構成要素を含む受信器38を含む。プログラム可能レンズデバイス10は、さらに、Ethernet(登録商標)又はIEEE 802.1lx標準準拠などのローカルエリアネットワーク又はBluetooth(登録商標)などのパーソナルエリアネットワーク又は赤外線通信技術経由で通信を行う回路を含むことができる。
【0050】
プログラム可能レンズデバイス10は、さらに、少なくとも1つの入力デバイス20を含み得る。入力デバイス20は、装着者により制御されるか、又は、少なくとも1つのセンサーにより行われる測定に対応することができる。
【0051】
たとえば、入力デバイスは、マイクロフォン(示されていない)を含むことができ、また、プログラム可能レンズデバイス10の近傍のユーザ又はその他の人から音声信号のようなオーディオ信号(一般的に話し言葉による)を受け取るように構成することができる。このマイクロフォンは、会話認識エンジンと結合することができる。このような実施形態に従って、ユーザは、観察条件に関する情報を与えるか、又は会話認識エンジンを使用して所望光学設計を注文することができる。
【0052】
入力デバイス20は、装着者の注視方向及び/又は注視距離を与える眼追跡デバイスのようなセンサー、及び/又は装着者の姿勢情報を決定するように適合された姿勢センサー、及び/又は装着者の運動情報(特に装着者の頭に関する)を決定するように適合された運動センサーを含むことができる。入力デバイス20は、装着者の視覚環境の映像を得るように構成された光景カメラを含むことができる。
【0053】
プログラム可能レンズデバイス10は、さらに、処理装置40に結合できるか又はその一環を構成するメモリ42を含むことができる。メモリ42は、プログラム可能レンズデバイス10を使用するときに使用又はアクセスすることができる情報、データ、アプリケーション、コンピュータプログラム、ファイル、較正データ、光学設計データ等のような種々のデータを格納することができる。
【0054】
たとえば、少なくとも装着者の眼科処方を含むユーザデータをメモリ42に格納することができる。
【0055】
ユーザデータは、装着者の頭の形態に関する形態学的データ及び/又は装着者の観察戦略に関する観察戦略データ及び/又はレンズ使用方法及び/又は装着者の好み及び眼科レンズの光学機能を決定するときに有用なその他の種類のデータを含むことができる。
【0056】
図3に示した本発明の実施形態によると、本発明の方法は以下を含む:
・ 初期化ステップS1
・ 観察条件データ受信ステップS2
・ 活動データ受信ステップS3
・ 光学機能データ受信ステップS4、及び
・ 光学機能変更ステップS5
【0057】
初期化ステップS1中、プログラム可能レンズデバイスは、ユーザデータに基づいて初期化される。前述したように、ユーザデータは、少なくとも装着者の処方を含んでいる。
【0058】
ユーザデータは、さらに、ユーザに関するデータ及び眼科レンズに適用される光学機能に影響を及ぼすデータを含むことができる。たとえば、ユーザデータは、ユーザの頭の形態に関する形態学的データ(たとえば、装着者により装着されたときに眼科レンズの位置に影響を及ぼす瞳孔間距離を含む)を含むことができる。
【0059】
ユーザデータは、装着者の観察戦略を含むことができる。たとえば、ユーザデータは、ユーザが頭を動かす人であるか又は眼を動かす人であるかを示す頭/眼の運動係数を含むことができる。
【0060】
ユーザデータは、レンズの使用に関する情報及びより一般的に装着者の好みを含むことができる。
【0061】
本発明の1つの実施形態によると、ユーザデータは、たとえば暗号化した後にプログラム可能レンズデバイスのメモリ42に格納することができる。一般的にアイケアの技師は、ユーザデータをプログラム可能レンズデバイスのメモリ42に格納することができる。
【0062】
本発明のさらなる実施形態によると、ユーザデータは遠隔実体に送付し、且つ、遠隔実体に格納することができる。ユーザデータは、プログラム可能レンズデバイスのメモリ42に格納されたユーザ識別子を使用して識別することができる。
【0063】
遠隔実体は、最適コンピュータプログラムの選択をカスタマイズするために、或いは最適光学機能データ、たとえばユーザに最も適する光屈折機能データを決定するためにユーザデータを処理することができる。
【0064】
観察条件データ受信ステップS2中に、観察条件データは、光学機能コントローラにより受け取られる。観察条件データは、装着者の観察条件に関係する。たとえば、観察条件データは、眼追跡デバイスを使用して得られた装着者の注視方向に関係するであろう。それは、観察距離と結合することができる。観察距離は、装着者と装着者により観察される対象物間の距離である。観察条件は、さらに、姿勢測定デバイスを使用する装着者の姿勢に関係する。装着者の姿勢は、装着者の運動を含むであろう。
【0065】
観察条件は、プログラム可能レンズデバイスに適合されたセンサーを使用して決定することができるか、及び/又は装着者により提供され得る。
【0066】
本発明の1つの実施形態によると、観察条件データは、光学設計の決定において使用されるためにプログラム可能レンズデバイス10のメモリ42に格納される。
【0067】
本発明のさらなる実施形態によると、観察条件データは遠隔実体に送られ、そこに格納されるか、又は最適光学設計を遠隔的に決定するために使用することができる。光学設計の決定は、遠隔実体に格納された光学設計のデータベース中の光学設計からの選択とすることができる。光学設計の決定は、たとえば光学設計の最適化の計算又は既存光学設計のカスタマイズ又は適合とすることができる。
【0068】
活動データ受信ステップS3中、装着者の活動に関する活動データは、光学機能コントローラにより受け取られる。
【0069】
活動データは、プログラム可能レンズデバイスに設けられているセンサーを使用するか又は装着者自身により提供される情報により決定することができる。
【0070】
たとえば、装着者は、読書を始めるとき又は車の運転を始めるときの自分の姿勢に関する情報を与えることができる。
【0071】
このような活動情報はメモリに格納するか、又は遠隔実体に送られ、ユーザ識別子を使用してユーザデータに関係付けることができる。
【0072】
光学機能データ受信ステップS4中、プログラム可能レンズデバイスの光学機能に関する光学機能データが光学機能コントローラにより受け取られる。
【0073】
本発明の1つの実施形態によると、光学機能データは、プログラム可能レンズの光学機能を変更するために光学機能コントローラにより実行されるように適合されたコンピュータプログラムを含むことができる。このコンピュータプログラムは、ユーザデータ及び/又は観察データ及び/又は活動データに基づいてコンピュータプログラムのリスト又はデータベースから選ぶことができる。
【0074】
本発明のさらなる実施形態によると、光学機能データは遠隔実体において決定される。プログラム可能レンズに適用される光屈折機能を含む光学機能データは、遠隔実体からプログラム可能レンズデバイスにより受け取られる。
【0075】
1つの実施形態によると、光学機能データの決定は、遠隔実体に格納されている光学機能(たとえば光屈折機能)のデータベース中の光学機能データ(たとえば光屈折機能データ)の選択を含み得る。この選択は、ユーザデータ及び/又は観察条件データ及び/又は活動データに基づき得る。
【0076】
1つの実施形態によると、光学機能データの決定は、遠隔実体における光学機能データ、たとえば光屈折機能データの計算又は最適化を含むことができる。この計算又は最適化は、ユーザデータ及び/又は観察条件データ及び/又は活動データに基づき得る。
【0077】
光屈折機能は、累進多焦点光屈折機能に対応することができる。かかる実施形態によると、光学機能データは光学設計データを含む。
【0078】
光学機能データは、ユーザデータ、観察条件データ及びその短期~中期履歴並びに活動データに基づいて決定することができる。たとえば、すべての利用可能データに基づいて、プログラム可能レンズデバイスのユーザに与えられるべき最適光学機能が決定されて光学機能コントローラに送られる。
【0079】
本発明の1つの実施形態によると、光学機能データに対応する最適光学設計は、プログラム可能レンズデバイスのメモリ42に格納されているコンピュータプログラムの使用を決定することであろう。
【0080】
本発明の1つの実施形態によると、
図4に示されているように、プログラム可能レンズデバイスは、たとえば、レンズ設計提供側の遠隔実体と通信する。
【0081】
一般的に、ユーザデータは、プログラム可能レンズデバイスの種類を識別する情報ともに、識別子に関係付けられ、且つ、遠隔実体のメモリ、たとえばデータベース中に格納される。
【0082】
プログラム可能レンズデバイスは、観察条件データ及び/又は活動データを遠隔実体に送る。観察条件データ及び/又は活動データは、ユーザ及び/又はプログラム可能レンズデバイスの識別子に関係付けることができる。観察条件データ及び/又は活動データは、受け取られた種々のデータに基づいて最適光屈折機能、たとえば最適光学設計を決定するために又は光屈折率機能たとえば光設計の変更をユーザに提案するためにレンズ設計者により使用される。
【0083】
本発明の1つの実施形態によると、ユーザデータ及び/又は観察条件データ及び/又は活動データは、時間とともに蓄積され、且つ、かかるデータの経時的変化に基づいて、より好適な光学機能を装着者に提案することができる。
【0084】
光学機能変更ステップS5中、プログラム可能レンズの光学機能が光学機能データに基づいて変更される。
【0085】
光学機能データがコンピュータプログラムなどの実行可能ファイルを含む場合、そのコンピュータプログラムが光学機能コントローラにより実行されてプログラム可能レンズの光学機能、たとえば光屈折機能を適合する。
【0086】
光学機能データが光屈折機能データを含む場合、光学機能コントローラは、少なくともプログラム可能レンズの光屈折機能を遠隔実体から受け取った光屈折機能データに基づいて適合する。
【0087】
変更可能な光学機能を有するプログラム可能レンズデバイスの例を
図5に示す。
【0088】
図5では、所与の注視方向は、対(α,β)に対応する。この基準座標系(α,β)において装着者の視覚障害を矯正するように、すなわち装着者の各注視方向に従って適合される光学関数OF(α,β)を定義することは、当業者によりよく知られている。
【0089】
装着者の目100のための能動的視覚システム20は、プログラム可能眼科レンズ22を含んでいる。この能動的視覚システムは、装着者の眼の前に配置されるように適合される。
【0090】
このプログラム可能眼科レンズは、レンズの表面に平行に並置された電気活性セルの透明な集合体24を含んでいる。このセル集合体は、各セル内においてほぼ一定の値を有する光学位相シフト分布機能を与えるのに適している。
【0091】
各セル26は、個々の電極28により誘起される電界の作用の下で屈折率が各ピクセルにおいてお互いに独立に変化できるように、活性電気材料で満たされることが好ましい。
【0092】
このデバイスは、眼に対向する電気活性セルの透明集合体の表面に配置することができる。
【0093】
もちろん、プログラム可能レンズデバイスは、適合される電界を与えるように適合されたデバイス30を含む。
【0094】
図5は、平坦な表面を有するピクセル化レンズを示している。しかしながら、この表面は不特定とすることができる。実際、特定されていない表面を有するピクセル化眼科レンズを製造する方法は当業者によく知られている。
【0095】
セルのこのsotは、各セル内において一定の値を有する光学位相シフト分布機能を与えるのに適している。
【0096】
さらに、装着者の眼のための能動的視覚システムは、たとえばアンテナ経由で遠隔実体から光学機能データを受け取るように適合された受信器38を含んでいる。
【0097】
さらに、プログラム可能レンズデバイスは、さらに、電気活性セルの透明集合体及び当該デバイスに動作可能なように接続されている光学機能コントローラ36を含む処理装置40を含んでいる。したがって、光学機能コントローラ36は、受信器38から受け取った眼の光学機能データに依存する電気信号を受け取るように構成される。
【0098】
本発明の1つの実施形態によると、この方法を使用して観察条件データ及び/又は活動データに基づく適合光学設計を装着者に提案することができる。
【0099】
たとえば、プログラム可能レンズ設計の装着者は、アイケアの技師を訪問する。本発明の方法は、アイケアの技師に1対の眼科レンズを注文させるのではなく、アイケアの技師が1対のプログラム可能レンズを装着者に与えることを可能にする。
【0100】
装着者の処方及び装着者に関する最終的なその他のパラメータ、たとえば装着者の形態をプログラム可能レンズデバイスのメモリに局所的に格納するか又は装着者の識別子に関係付けられているデータベースに格納する。
【0101】
装着者に対し、遠隔実体において装着者が自己を識別することを可能にする識別子たとえばPINを与えることができる。
【0102】
装着者がアイケアの技師の店から歩いて立ち去る場合、プログラム可能レンズの光学設計は、歩行に最もよく適合された光学機能を与えるように調整され得る。
【0103】
帰宅した装着者は読書したくなるかもしれない。外での歩行中と読書間の活動の変化が装着者により又は別のセンサーにより与えられる。
【0104】
より適合された光学機能を与える光学設計も装着者に提案することができる。より適合された光学設計は、プログラム可能レンズデバイス中に実現されるコンピュータプログラムにより又は遠隔実体により決定され得る。
【0105】
本発明のさらなる実施形態によると、本発明の方法を使用して装着者に一定の期間、たとえば、2週間だけ新しい光学設計を試すよう提案することができる。試用期間後、装着者は、その光学設計を購入するか否か決めることができる。
【0106】
本発明の1つの実施形態によると、プログラム可能レンズデバイスは、さらに、プログラム可能レンズデバイスが装着者により使用されたときにプログラム可能レンズを通して装着者により視覚される現実世界の光景に関する視覚情報を表示するように構成された視覚情報表示デバイスを含む。このプログラム可能レンズデバイスは、さらに、視覚情報の表示を電子的に制御するように構成された視覚情報表示コントローラを含む。表示デバイスの例は、国際公開第2013/012554号パンフレットにおいて開示されている。国際公開第2013/012554号パンフレットにおいて開示されている表示デバイスは、
図1に示されているプログラム可能レンズデバイスに適合させることができる。
【0107】
かかる実施形態によると、この方法は、さらに、表示される情報が観察条件データ及び/又はユーザデータ及び/又は活動データ及び/又は光学機能データに基づいて適合される表示変更ステップを含んでいる。
【0108】
たとえば、活動データに基づいて、表示デバイスは切断されるか又は装着者に有益な情報を与えるために使用され得る。
【0109】
装着者は、地点Aから地点Bへ車を運転するところであるという情報を入力することができる。
【0110】
プログラム可能レンズデバイスの光学機能は運転条件に特によく適合するように適合させることができ、また、表示デバイスを使用して装着者に案内道順を与えることができる。
【0111】
プログラム可能レンズデバイスは、さらに、GPSアプリケーションなどの位置決定アプリケーションを含むことができる。GPSアプリケーションは、随時、プログラム可能レンズデバイス10と通信してその位置を与えることができる。プログラム可能レンズデバイス10は、たとえば、Global Positioning System (GPS)技術、Cell Global Identity (CGI)技術、時間前進(TA)技術を含むCGI技術、Enhanced Forward Link Trilateration (EFLT)技術、Time Difference of Arrival (TDOA)技術、Angle of Arrival (AOA)技術、Advanced Forward Link Trilateration (AFTL)技術、Observed Time Difference of Arrival (OTDOA)技術、Enhanced Observed Time Difference (EOTD)技術、Assisted GPS (AGPS)技術、複合技術(たとえば、CDMAネットワークのためのGPS/CGI、AGPS/CGI、GPS/AFTL又はAGPS/AFTL、GSM/GPRSネットワークのためのGPS/EOTD又はAGPS/EOTD、UMTSネットワークのためのGPS/OTDOA又はAGPS/OTDOA)、Wi-Fi三角測量技術などの三角測量技術等々を含む1つ又は複数の位置決定技術を使用することができる。
【0112】
プログラム可能レンズデバイス10は、たとえば、独立モード、移動局(MS)補助モード、及び/又はMS応用モードを含む1つ又は複数の位置決定モードで動作するように構成することができる。独立GPSモードなどの独立モードでは、プログラム可能レンズデバイス10は、リアルタイムネットワーク相互作用又はサポートなしに、その位置を自律的に決定するように構成することができる。しかし、MS補助モード又はMS応用モードで動作する場合には、プログラム可能レンズデバイス10は、位置代理サーバ(LPS)及び/又は移動局位置決定センター(MPC)のような位置決定実体と無線アクセスネットワーク(たとえば、UMTS無線アクセスネットワーク)経由で通信するように構成することができる。
【0113】
図4で示したように、本発明は、さらに、少なくともプログラム可能レンズデバイス及び遠隔実体を含むネットワークシステムに関する。
【0114】
プログラム可能レンズデバイス10及び遠隔実体SERは、お互いに通信するように構成される。プログラム可能レンズデバイスの光学機能コントローラにより実行されたときに光学機能コントローラにより少なくとも装着者の眼科処方に従って光学機能を適合させる命令の1つ又は複数の格納シーケンスを含む少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を格納するように適合されている格納手段MEMを含む遠隔実体。
【0115】
本発明は、請求項において定義される一般的発明概念を制限しない実施形態を用いて上述のように記述された。
【0116】
例示のためにのみ与えられ、添付請求項のみにより決定される本発明の範囲の制限を意図していない前記説明的実施形態を参照したとき、多数の修正及び変更が当業者の念頭に浮かぶであろう。
【0117】
請求項においては、「含む」は、他の要素又はステップを排除せず、且つ、不定冠詞「1つの」は、複数を否定しない。種々の特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが有利に使用されないということを示さない。請求項における参照記号は、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。