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  • 特許-基板処理装置、基板の処理方法 図1
  • 特許-基板処理装置、基板の処理方法 図2
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  • 特許-基板処理装置、基板の処理方法 図4
  • 特許-基板処理装置、基板の処理方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20220215BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220215BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20220215BHJP
   H01L 21/205 20060101ALN20220215BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/68 N
C23C16/509
H01L21/205
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017199731
(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2018090901
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-06-03
(31)【優先権主張番号】15/368,104
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100175178
【弁理士】
【氏名又は名称】桑野 敦司
(72)【発明者】
【氏名】荒井 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】森 幸博
(72)【発明者】
【氏名】野中 裕彌
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-002349(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0328780(US,A1)
【文献】米国特許第8178447(US,B1)
【文献】特表2009-537790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
H01L 21/683
C23C 16/509
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバの中に設けられたステージと、
複数のスリットが形成され、前記ステージに対向するシャワーヘッドと、
前記複数のスリットを経由して前記ステージと前記シャワーヘッドの間に、第1ガスを供給する第1ガス供給部と、
前記ステージの下方に希ガスではない第2ガスを供給する第2ガス供給部と、を備え、
前記第1ガスは成膜に用いられるガスを含み、
前記第2ガスは、前記第1ガスが複数種類のガスの混合ガスである場合には前記混合ガスを構成するガスの1つと同じガスであり、前記第1ガスが単一のガスである場合には前記第1ガスと同じガスであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第2ガスはO2、N2、TEOS又はシランであることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1ガスはO2とTEOSの混合ガスであり、前記第2ガスはO2であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
平面視で前記ステージを囲む形状を有し、前記第1ガスと前記第2ガスを前記チャンバの外へ排気する排気ダクトを備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
シャワーヘッドの複数のスリットを介して前記シャワーヘッドとチャンバの中のステージとの間に第1ガスを供給しつつ、前記ステージの下方に希ガスではない第2ガスを供給した状態で、前記シャワーヘッドに高周波を印加することで、前記ステージの上の基板にプラズマ処理を施す処理工程を備え、
前記第1ガスは成膜に用いられるガスを含み、
前記第2ガスは、前記第1ガスが複数種類のガスの混合ガスである場合には前記混合ガスを構成するガスの1つと同じガスであり、前記第1ガスが単一のガスである場合には前記第1ガスと同じガスであることを特徴とする基板の処理方法。
【請求項6】
前記第2ガスはO2、N2、TEOS又はシランであることを特徴とする請求項5に記載の基板の処理方法。
【請求項7】
前記第1ガスはO2とTEOSの混合ガスであり、前記第2ガスはO2であることを特徴とする請求項5に記載の基板の処理方法。
【請求項8】
前記第1ガスと前記第2ガスは、平面視で前記ステージを囲む形状を有する排気ダクトをとおって前記チャンバの外へ排気され、
前記第1ガスと前記第2ガスの割合は10:1~50:1であることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の基板の処理方法。
【請求項9】
前記処理工程では前記第2ガスの流量を経時変化させることを特徴とする請求項5~8のいずれか1項に記載の基板の処理方法。
【請求項10】
前記処理工程では前記第1ガスの流量を経時変化させることを特徴とする請求項5~8のいずれか1項に記載の基板の処理方法。
【請求項11】
前記処理工程では、前記基板の中央部で前記中央部を囲む環状部よりも膜厚が大きくなる成膜又は、前記中央部で前記環状部よりも膜厚が小さくなる成膜を施すことを特徴とする請求項5~10のいずれか1項に記載の基板の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハなどの基板の処理に用いられる基板処理装置と、その基板処理装置を用いた基板の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガス拡散板の開口を経由してプロセスガスを処理空間に供給する基板処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9,123,510号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステージに支持された基板に対し、ステージの上方からクリーニングガス又は成膜ガス等を供給して当該基板に処理を施すことがある。この場合、ステージの上方から供給したガスがステージの下に回りこまないように、ステージの下部エリアにHe又はAr等の不活性ガスを流すことがある。このステージの下部エリアに流すガスはシールガスと呼ばれることがある。ステージの上方から供給するガスの流量が増えると、シールガスの流量も増やさなければならない。
【0005】
シールガスの流量を増やすと、ステージの下部エリアで放電が発生する。また、シールガス流量を調整して生成膜のプロファイルをコントロールする場合にも、同様に、ステージの下部エリアで放電が発生する問題が生じていた。プラズマCVDを行う場合、基板処理装置による成膜を高速化するためにRF電力を高めることがある。RF電力を高めるとステージの下部エリアでの放電マージンが狭くなる。つまり、放電しやすくなる。よって、ステージの下部エリアでの放電を抑制することができる基板処理装置と基板の処理方法が求められていた。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ステージの下部エリアでの放電を抑制できる基板処理装置と、基板の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明に係る基板処理装置は、チャンバと、該チャンバの中に設けられたステージと、複数のスリットが形成され、該ステージに対向するシャワーヘッドと、該複数のスリットを経由して該ステージと該シャワーヘッドの間に、第1ガスを供給する第1ガス供給部と、該ステージの下方に希ガスではない第2ガスを供給する第2ガス供給部と、を備え、該第1ガスは成膜に用いられるガスを含み、該第2ガスは、該第1ガスが複数種類のガスの混合ガスである場合には該混合ガスを構成するガスの1つと同じガスであり、該第1ガスが単一のガスである場合には該第1ガスと同じガスであることを特徴とする。
【0008】
本願の発明に係る基板の処理方法は、シャワーヘッドの複数のスリットを介して該シャワーヘッドとチャンバの中のステージとの間に第1ガスを供給しつつ、該ステージの下方に希ガスではない第2ガスを供給した状態で、該シャワーヘッドに高周波を印加することで、該ステージの上の基板にプラズマ処理を施す処理工程を備え、該第1ガスは成膜に用いられるガスを含み、該第2ガスは、該第1ガスが複数種類のガスの混合ガスである場合には該混合ガスを構成するガスの1つと同じガスであり、該第1ガスが単一のガスである場合には該第1ガスと同じガスであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ステージの下部エリアに希ガスよりも放電が起こりにくいガスを供給するので、ステージの下部エリアでの放電を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る基板処理装置の断面図である。
図2】基板を処理しているときのガスの流れを示す図である。
図3】第2ガスと放電の有無の関係をまとめた表である。
図4】膜プロファイルを示す図である。
図5】第1ガスの流量と成膜均一性の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る基板処理装置と基板の処理方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る基板処理装置の断面図である。この基板処理装置はチャンバ(Reactor Chamber)12を備えている。チャンバ12の中にはステージ16が設けられている。ステージ16は例えばヒータが内蔵されたサセプタである。ステージ16は滑動シャフト18に支持されている。ステージ16は接地されている。このステージ16の上方にステージ16と対向するシャワーヘッド14が設けられている。シャワーヘッド14には複数のスリット14aが形成されている。シャワーヘッド14は複数のスリット14aにつながる拡散空間14bを提供している。ステージ16とシャワーヘッド14で平行平板構造が形成されている。
【0013】
チャンバ12の側面にはガス排気部24が設けられている。ガス排気部24は、成膜に使用された材料ガス等を排気するために設けられている。そのため、ガス排気部24には真空ポンプが接続される。
【0014】
ステージ16は、平面視でステージ16を囲む形状を有する排気ダクト30に囲まれている。排気ダクト30は例えばセラミックで形成されている。排気ダクト30とシャワーヘッド14の間には適度に圧縮されたOリング32が設けられている。排気ダクト30とチャンバ12の間には適度に圧縮されたOリング34が設けられている。排気ダクト30には2つの役割がある。第1の役割は、電力が印加されるシャワーヘッド14とGND電位のチャンバ12とを電気的に分離することである。第2の役割は、チャンバ12に供給されたガスをガス排気部24に導くことである。
【0015】
シャワーヘッド14には絶縁部品20を介してトランスポートチューブ40が接続されている。トランスポートチューブ40はz方向すなわち略鉛直方向に伸びる管である。トランスポートチューブ40はスリット14aの上の拡散空間14bにつながる略鉛直方向の流路を提供するものである。
【0016】
トランスポートチューブ40の上端にはリモートプラズマユニット42が設けられている。リモートプラズマユニット42には、チャンバ12等のクリーニングに用いるクリーニングガスを供給するガス源44、46が接続されている。ガス源44、46からリモートプラズマユニット42に供給されたガスは、リモートプラズマユニット42によってプラズマ状態とされることで反応種(reactive species)となる。この反応種がチャンバ12等のクリーニングに利用される。
【0017】
トランスポートチューブ40の側面に、トランスポートチューブ40に対して略垂直にガス供給ライン50が接続されている。ガス供給ライン50は、トランスポートチューブ40の中の空間48につながる流路51を提供するものである。ガス供給ライン50にはマスフローコントローラ(以後MFCという)52が接続されている。そして、MFC52にはガス源54、56が接続されている。ガス源54、56は成膜に用いる材料ガスを供給するものである。ガス源54、56は例えばOガスとTEOSガスを提供する。ガス源54、56のガスがMFC52によって圧力制御されてガス供給ライン50の流路51に提供され、流路51内をほぼ水平方向に進み、トランスポートチューブ40の空間48に至る。
【0018】
トランスポートチューブ40の側面にはRPU(Remote Plasma Unit)ゲートバルブ62が接続されている。RPUゲートバルブ62は、リモートプラズマユニット42とチャンバ12を遮断しクリーニングガスが材料ガスに混合することを防止するために設けられている。
【0019】
チャンバ12の底部12Aにはガス供給管70が接続されている。ガス供給管70にはMFC72が接続されている。MFC72にはガス源74が接続されている。ガス源74は例えばOガスを提供する。ガス源74のガスは、MFC72によって圧力制御されてガス供給管70を経由し、ステージ16の下部エリアに供給される。なお、ガス供給管70は、チャンバ12の底部12Aに複数設けてもよいし、滑動シャフト18のすぐ横に設けてもよい。
【0020】
複数のスリット14aを経由してステージ16とシャワーヘッド14の間に供給されるガスを第1ガスという。第1ガスを供給する第1ガス供給部は、本実施の形態においてはMFC52である。他方、ガス供給管70を経由してステージ16の下方に供給されるガスを第2ガスという。第2ガスを供給する第2ガス供給部は、本実施の形態においてはMFC72である。
【0021】
次に、本発明の実施の形態に係る基板処理装置を用いた基板の処理方法を説明する。図2は、基板を処理しているときのガスの流れを示す図である。本発明の実施の形態に係る基板の処理方法では、まず、ステージ16に基板80をのせる。基板80は例えばSiウエハであるが、他の被処理物でもよい。次いで、基板80にプラズマ処理を施す処理工程を実施する。処理工程では、MFC52からスリット14aを介してシャワーヘッド14とステージ16との間に第1ガスを供給しつつ、MFC72からガス供給管70を経由してステージ16の下方に第2ガスを供給した状態で、シャワーヘッド14に高周波を印加する。これにより、基板80にプラズマ処理を施す。
【0022】
図2には矢印で第1ガスの流れが示されている。基板80の処理に利用された第1ガスは基板80の上を放射状に水平方向に進み排気ダクト30の中に入る。図2の破線矢印は第2ガスの流れを示す。第2ガスはステージ16下方からステージ16と排気ダクト30の間をとおって排気ダクト30の中に入る。こうして、第1ガスと第2ガスは排気ダクト30をとおってガス排気部24からチャンバ12の外へ排気される。
【0023】
本発明の実施の形態では、MFC52でOとTEOSの混合ガスが生成され、その混合ガスが第1ガスとして、基板80の上に供給される。また、MFC72で圧力制御されたOガスが第2ガスとしてステージ16の下方に供給される。よって、第1ガスは2種類のガスの混合ガスであり、その混合ガスを構成するガスの1つであるOガスを、第2ガスとして採用した。第1ガスがステージ16の下方に回りこまないようにするためには、第1ガスと第2ガスの割合は10:1~50:1とすることが好ましい。
【0024】
第2ガスには、第1ガスがステージ16の下に回りこむことを抑制するシールガスとして機能することと、ステージ16の下部エリアでの放電を抑制することが求められる。
【0025】
図3は、第2ガスと放電の有無の関係をまとめた表である。上記の基板処理装置において、第2ガスとしてAr、He、Oを採用した場合の放電のしやすさを比較した。ここでは、第1ガスとして、OガスとTEOSをそれぞれ27.0[slpm]と33[g/min]の流量で提供した。シャワーヘッド14とステージ16のギャップは8.4mmとした。第2ガスの流量を0.20~7.00[slpm]まで変化させた。この条件下で、ステージ16の下の領域における放電有無の検査を、シャワーヘッド14にHRF1600WとLRF840Wを印可することでステージ16とシャワーヘッド14の間にプラズマを生成した状態で行った。
【0026】
第2ガスとして、3.00[slpm]以上の流量のArを流すとステージ16の下部エリアにおいて放電が発生してしまう。また、第2ガスとして5.00[slpm]以上の流量のHeを流すとステージ16の下部エリアにおいて放電が発生してしまう。これに対し、本発明の実施の形態では第2ガスとしてOガスを使用したので、7.00[slpm]まで流量を高めても放電は生じない。よって、本発明の実施の形態に係る基板の処理方法では、第2ガスの流量を高めて第1ガスがステージ16の下に回りこまないようにしつつ、ステージ16の下部エリアでの放電を抑制できる。ステージ16の下部エリアでの放電を抑制することで、プラズマのロスを回避し、ステージ16とシャワーヘッド14の間でのみプラズマを生成できる。
【0027】
図4は、本発明の実施の形態に係る基板の処理方法で形成した膜の膜プロファイルを示す図である。この膜プロファイルは、第1ガスに含まれるOガスとTEOSの流量をそれぞれ27.0[slpm]と33[g/min]で固定としつつ、第2ガスとして供給するOガスの流量を0.2~6[slm]まで変化させて得たものである。HRF1600WとLRF840Wを印加することでステージ16とシャワーヘッド14の間にプラズマを生成した。第2ガスの流量が0.2~1.5[slm]程度と少ない場合には、膜プロファイルは凹傾向となった。つまり基板の中央部よりも、当該中央部を囲む環状部で膜厚が大きくなる。他方、第2ガスの流量が3~6[slm]程度と多い場合には膜プロファイルは凸傾向となった。つまり基板の中央部よりも、当該中央部を囲む環状部で膜厚が小さくなる。第2ガスの流量を増やすと、基板の中央部直上における流速が落ちて、当該中央部における成膜が進むものと考えられる。
【0028】
したがって、本発明の実施の形態にかかる基板の処理方法によれば、ステージ16の下部エリアでの放電を抑制しつつ、第2ガス流量を増やしたり減らしたりすることで膜プロファイルをコントロールできる。
【0029】
図5は、第1ガスの流量と成膜均一性の関係を示す図である。図5のデータは、第2ガスとして使用したOガスの流量を固定して、第1ガスとして使用したOガスの流量を変化させて得た。図5の縦軸のUniformityは基板面内の成膜均一性を表す。Uniformityは、複数の測定ポイントのうち最大の膜厚をmaxとし、複数の測定ポイントのうち最小の膜厚をminとし、複数の測定ポイントの膜厚の平均値をaveとしたときに、
((max-min)/ave)×50
で定義される。したがってuniformityは小さい値となることが好ましい。図5から、第1ガスの流量を変化させることで、uniformityが変化することが分かる。したがって、第1ガスの流量として最適な流量を選択することでuniformityをコントロールできる。図5からは、第1ガスの流量として20[slpm]を選択することで最小のuniformityを得られることが分かる。
【0030】
図4、5から、第1ガスと第2ガスの流量を調整することにより基板に成膜される膜のプロファイルコントロールが可能であることが分かった。したがって、処理工程では、基板80の中央部で中央部を囲む環状部よりも膜厚が大きくなる成膜又は、中央部で環状部よりも膜厚が小さくなる成膜を施すことが可能である。なお、当然ながら、第1ガスと第2ガスの流量を両方変化させることで、所望の膜プロファイルを得ることもできる。
【0031】
本発明の実施の形態に係る基板処理装置と基板の処理方法は、様々な変形をなしうるものである。例えば、第2ガスとしてOガス以外のガスを使用してもよい。第2ガスは、第1ガスが複数種類のガスの混合ガスである場合には混合ガスを構成するガスの1つと同じガスとし、第1ガスが単一のガスである場合には第1ガスと同じガスとする。そうすることで、第2ガスがプロセスに影響を与えることを回避できる。
【0032】
第2ガスが分解されやすいガスである場合、ステージ16の下部エリアでの放電が起こると考えられる。そのため、第2ガスは希ガス以外のガスとする必要がある。例えば、電気陰性度の高いガスを第2ガスとして選択したり、Nガスなどの3重結合を有するガスを選択したりすることで、ステージ16の下部エリアでの放電を抑制できると考えられる。例えば、第1ガスにNガスが含まれる場合は第2ガスとしてNガスを利用し、第1ガスにTEOSが含まれる場合は第2ガスとしてTEOSを利用し、第1ガスにシランが含まれる場合は第2ガスとしてシランを利用することでステージ16の下部エリアでの放電を抑制できる。その他の、希ガスと比べて分解されにくいガスを第2ガスとして用いてもよい。
【0033】
本発明の実施の形態に係る基板の処理方法で膜厚が1μmの膜を形成する場合と、膜厚が5μmの膜を形成する場合とでは、膜プロファイルが異なる。膜厚にかかわらず所望の膜プロファイルを得るために、処理工程で、第2ガスの流量を経時変化させたり、第1ガスの流量を経時変化させたりしてもよい。このような流量の経時変化による膜質の変化はない。上述のとおり第1ガスと第2ガスの流量を変えることで膜プロファイルをコントロールできるので、処理工程で第2ガスの流量を経時変化させたり、第1ガスの流量を経時変化させたりすることで、第1膜厚の膜プロファイルと、第1膜厚より厚い第2膜厚の膜プロファイルを略一致させることができる。
【0034】
処理工程における処理は成膜に限定されない。処理工程ではプラズマを用いたあらゆる処理を施すことができる。例えば、処理工程において基板表面を改質してもよい。
【符号の説明】
【0035】
12 チャンバ、 14 シャワーヘッド、 16 ステージ、 52,72 MFC
図1
図2
図3
図4
図5