(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】スラット固定装置及びブラインド
(51)【国際特許分類】
E06B 9/384 20060101AFI20220215BHJP
E06B 9/386 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
E06B9/384
E06B9/386
(21)【出願番号】P 2018071098
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】片口 一志
(72)【発明者】
【氏名】菊池 満里恵
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-014276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0234506(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24-9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインドのラダーコードの中段コードに載置されるスラットをラダーコードに固定するためのブラインド用スラット固定装置であって、
前記スラットの主面に沿って配される基部と、
前記基部の両端において前記スラットを係止可能な係止部と
を具備し、
前記基部は、その少なくとも一部に、前記スラットの折れ曲がり角度に合わせて変形可能な易折曲部を有する
を具備するスラット固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスラット固定装置であって、
前記基部は、
前記各係止部を支持する一対の広幅片と、
前記広幅片同士を接続するとともに広幅片よりも細幅の接続片とを有し、
前記易折曲部は、前記接続片に形成される
スラット固定装置。
【請求項3】
請求項
2に記載のスラット固定装置であって、
前記スラットは、その短手方向において互いに所定角度をなし、頂辺を共有する第1平板部と第2平板部とからなる断面略山型形状を有し、
前記一方の広幅片と前記接続片との境界部の位置は、前記頂辺の位置と略一致する
スラット固定装置。
【請求項4】
請求項
2に記載のスラット固定装置であって、
前記スラットは、その短手方向において互いに所定角度をなし、頂辺を共有する第1平板部と第2平板部とからなる断面略山型形状を有し、
前記第1平板部は前記短手方向に第1の幅を有する長片であり、前記第2平板部は前記短手方向に前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有する短片であり、
前記一方の広幅片と前記接続片との境界部の位置は、前記頂辺よりも前記第2平板部寄りに位置する
スラット固定装置。
【請求項5】
請求項2に記載のスラット固定装置であって、
前記接続片は、前記易折曲部での折り曲げを補助する折曲補助部を有する
スラット固定装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスラット固定装置であって、
前記折曲補助部は、前記広幅片と前記接続片との各境界部に形成される
スラット固定装置。
【請求項7】
請求項5に記載のスラット固定装置であって、
前記折曲補助部は、前記広幅片と前記接続片との一方の境界部から他方の境界部に亘って複数形成される
スラット固定装置。
【請求項8】
請求項
2乃至7のいずれかに記載のスラット固定装置であって、
少なくとも一方の前記広幅片側に位置する前記係止部は、前記スラットの長手方向に複数形成され、
当該スラット固定装置は、
前記複数の係止部間に形成され、前記広幅片まで延設され、前記スラットの縁部に形成された切欠部を露出可能な第1凹部と、
一対の前記広幅片と前記接続片とによって形成され、前記スラットの短手方向の中央部に形成された昇降コード挿通孔を露出可能な第2凹部と
をさらに具備するスラット固定装置。
【請求項9】
ヘッドボックスと、
前記ヘッドボックスから垂下され、第1の方向及び当該第1の方向とは逆の第2の方向へ傾動可能な複数のラダーコードと、
前記ラダーコードの中段コードに整列状態で載置された複数のスラットと、
前記ヘッドボックスから垂下され、前記スラットを昇降可能な複数の昇降コードと、
前記スラットを前記ラダーコードに固定するためのスラット固定装置と
を具備し、
前記スラットは、その短手方向において互いに所定角度をなし、頂辺を共有する第1平板部と第2平板部とからなる断面略山型形状を有し、
前記スラット固定装置は、
前記スラットの主面に沿って配される基部と、
前記基部の両端において前記スラットを係止可能な係止部とを有し、
前記基部は、その少なくとも一部に、前記スラットの所定角度に合わせて変形された易折曲部を有する
ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドのスラットをラダーコードに固定するためのスラット固定装置及び当該スラット固定装置を有するブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ブラインドのスラットをラダーコードに固定するためのスラット固定装置(スラットクリップ)が知られている。
【0003】
下記特許文献1には、中段コードをスラットの下面に密着させる平坦な密着面と、密着面の両側部にそれぞれ設けられ、スラットの各長辺を係止する第1爪及び第2の爪と、を備えたスラット固定装置であって、密着面には、スラット下面に垂直な方向及びスラットの幅方向に密着面がそれぞれ可撓性を有せしめるために第1の爪と第2の爪の近傍に一対のスリットが形成され、スリットと第1の爪及び第2の爪との間にある密着面は、中段コードを第1の爪と第2の爪との間で挟み付けて固定する固定部であり、一対のスリット間にある密着面は、中段コードをスラットの下面に押し付ける弾性部となるようにしたことが開示されている。
【0004】
上記特許文献1の技術によれば、スラット固定装置の密着面がスリットによって可撓性を有するため、木製スラットであるために生じるスラットの形状の経時変化やスラット毎に異なる寸法のばらつきを、密着面が変形することによって吸収できる特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、スリットによってスラットの経時変化や寸法のばらつきを吸収することはできるものの、断面形状がフラットなスラット(平板状のスラット)以外には対応できないという課題があった。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、スラットの形状が平板状の場合のみならず平板状以外の形状である場合でも、スラットをラダーコードに安定して固定することが可能なスラット固定装置及びブラインドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るスラット固定装置は、ブラインドのラダーコードの中段コードに載置されるスラットをラダーコードに固定するためのブラインド用スラット固定装置であって、上記スラットの主面に沿って配される基部と、上記基部の両端において上記スラットを係止可能な係止部とを有する。上記基部は、その少なくとも一部に、上記スラットの折れ曲がり角度に合わせて変形可能な易折曲部を有する。
【0009】
この構成によりスラット固定装置は、スラット固定装置の基部の少なくとも一部を易折曲部とし、スラットの形状に合わせて易折曲部を折り曲げることで、基部をスラット面に沿って配することができ、スラットの形状が平板状の場合のみならず平板状以外の形状である場合でも、スラットをラダーコードに安定して固定することができる。なお上記スラットの折れ曲がり角度が0度の場合、すなわち、スラット固定装置が平板状のスラットに取付けられる場合も本発明の概念に含まれており、その場合には易折曲部はフラットな状態のまま変形しない。
【0010】
上記基部は、上記各係止部を支持する一対の広幅片と、上記広幅片同士を接続するとともに広幅片よりも細幅の接続片とを有してもよい。この場合上記易折曲部は、上記接続片に形成されてもよい。
【0011】
これにより、易折曲部を基部の中でも幅が細い接続片に形成したことで、スラット形状に合わせた折曲げの作業性が向上する。
【0012】
上記スラットは、その短手方向において互いに所定角度をなし、頂辺を共有する第1平板部と第2平板部とからなる断面略山型形状を有してもよい。この場合上記一方の広幅片と上記接続片との境界部の位置は、上記頂辺の位置と略一致してもよい。
【0013】
これにより、スラット固定装置の広幅片と接続片との境界部と、スラットの山型断面を形成する頂辺とをほぼ一致させることで、易折曲部に応力が集中しやすくなってスラット形状に合わせて折り曲げやすくなる。
【0014】
上記スラットは、その短手方向において互いに所定角度をなし、頂辺を共有する第1平板部と第2平板部とからなる断面略山型形状を有してもよい。この場合上記第1平板部は上記短手方向に第1の幅を有する長片であり、上記第2平板部は上記短手方向に上記第1の幅よりも小さい第2の幅を有する短片であってもよい。またこの場合上記一方の広幅片と上記接続片との境界部の位置は、上記頂辺よりも上記第2平板部寄りに位置してもよい。
【0015】
これにより、スラットの短片の幅よりもスラット固定装置の広幅片の幅を狭くすることで、山型を形成する頂辺に接続片が位置するようになり、山型の頂辺に沿って易折曲部を折り曲げることができる。
【0016】
上記接続片は、上記易折曲部での折り曲げを補助する折曲補助部を有する
【0017】
これにより、折曲補助部を形成することでスラットへの組み付け時における折曲げ作業が容易となる。
【0018】
上記折曲補助部は、上記広幅片と上記接続片との各境界部に形成される
【0019】
これにより、山型のスラットの頂辺の位置がいずれの境界部近傍に位置する場合でも、いずれかの折曲補助部が折り曲げを補助することができる。この場合、折曲補助部は、広幅片と接続片との境界線上に形成された凹部であってもよい。
【0020】
上記折曲補助部は、上記広幅片と上記接続片との一方の境界部から他方の境界部に亘って複数形成される
【0021】
これにより、山型のスラットの頂辺の位置が、接続片上のどこに位置していても、いずれかの折曲補助部が折り曲げを補助することができる。この場合、折曲補助部は、接続片の幅方向の両端に形成された一対の凹部であってもよい。
【0022】
少なくとも一方の上記広幅片側に位置する上記係止部は、上記スラットの長手方向に複数形成されてもよい。この場合スラット固定装置は、上記複数の係止部間に形成され、上記広幅片まで延設され、上記スラットの縁部に形成された切欠部を露出可能な第1凹部と、一対の上記広幅片と上記接続片とによって形成され、上記スラットの短手方向の中央部に形成された昇降コード挿通孔を露出可能な第2凹部とをさらに有してもよい。
【0023】
これにより、第1凹部によってスラット縁部に形成された昇降コード又はラダーコードが挿通するための切欠部を露出させることができ、第2凹部によってスラット中央に形成される昇降コード挿通孔を露出させることができることから、昇降コードの配回しが異なるブラインドに対して共通のスラット固定装置にて対応できる。
【0024】
本発明の他の形態に係るブラインドは、ヘッドボックスと、ラダーコードと、複数のスラットと、複数の昇降コードと、スラット固定装置とを有する。上記ラダーコードは、上記ヘッドボックスから垂下され、第1の方向及び当該第1の方向とは逆の第2の方向へ傾動可能である。上記スラットは、上記ラダーコードの中段コードに整列状態で載置される。上記昇降コードは、上記ヘッドボックスから垂下され、上記スラットを昇降可能である。上記スラット固定装置は、上記スラットを上記ラダーコードに固定する。上記スラットは、その短手方向において互いに所定角度をなし、頂辺を共有する第1平板部と第2平板部とからなる断面略山型形状を有する。上記スラット固定装置は、上記スラットの主面に沿って配される基部と、上記基部の両端において上記スラットを係止可能な係止部とを有する。上記基部は、その少なくとも一部に、上記スラットの所定角度に合わせて変形された易折曲部を有する。
ブラインド。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、スラットの形状が平板状の場合のみならず平板状以外の形状である場合でも、スラットをラダーコードに安定して固定することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態におけるブラインドの正面図である。
【
図2】スラットの水平(全開)時における上記ブラインドの右側面図である。
【
図3】上記ブラインドの山型形状スラットに取り付けられたスラットクリップを示す斜視図である。
【
図4】上記ブラインドの山型形状スラットに取り付けられたスラットクリップを示す平面図である。
【
図7】平板形状スラットに取り付けられたスラットクリップを示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における、スラットへの取付け前のスラットクリップの外観を示した斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るスラットクリップのスラットへの取付手順を示した図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係るスラットクリップが山型形状スラットに取付けられた状態を示す平面図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係るスラットクリップが山型形状スラットに取付けられた状態を示す平面図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る取付け前のスラットクリップの外観を示した斜視図である。
【
図13】本発明の他の実施形態に係るスラットクリップのスラットへの取付手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0028】
[ブラインドの構成]
図1は、本発明の一実施形態におけるブラインドの、スラットの水平時(全開時)における一部省略正面図である。また
図2は、上記ブラインドの、スラットの水平時における右側図である。
図1ではヘッドボックスの内部機構も一部示されている。
図2では、本実施形態に係るブラインド(同図(a))に加えて、平板形状のスラットを有するブラインドに(同図(b))ついても併せて示している。
【0029】
両図に示すように、ブラインド100は、ヘッドボックス1と、複数のスラット2と、複数のラダーコード3と、複数の昇降コード4と、スラットクリップ5を有する。
【0030】
ラダーコード3は、ヘッドボックス1から垂下されており、ラダーコード3によって複数のスラット2が整列状態で支持されている。ラダーコード3の下端は、スラット2の下方に設けられたボトムレール6にラダーホルダ17を介して連結される。
【0031】
図2及び
図3に示すように、ラダーコード3は、ヘッドボックス1から垂下される前後の垂直コード3aと、上下方向(Y方向)において所定間隔を空けた位置で当該前後の垂直コード3a間に架設される中段コード3bとからなる。当該中段コード3bは、一対の僅かに上下に離れた上下コードからなり、当該上下コード間に上記スラット2が挿入され載置されることでスラット2が支持される。最上段に配置されるスラット2にはスラットクリップ5が取り付けられている。
【0032】
昇降コード4は、ヘッドボックス1から垂下され、スラット2の短手方向(
図1~3のZ方向)の中心部からオフセットされた前後位置に配設され、その下端はボトムレール6に連結されている。
【0033】
図1において、昇降コード4は、例えばブラインド100の正面(前)側中央に1本、背面(後)側左右に1本ずつ設けられるが、その数及び位置はこれに限られない。
【0034】
また
図2(b)に示すように、上記スラットクリップ5は、平板状のスラット2´にも取り付けが可能である。当該平板状のスラット2´を有するブラインド100´においては、昇降コード4は、スラットの短手方向(各
図Z方向)の中央部に設けられた昇降コード挿通孔に挿通されている。
【0035】
ヘッドボックス1は、例えばその上面から背面にかけて設けられたブラケット11によって窓枠や壁等の所定面にネジ等により固定される。ヘッドボックス1の左側面には、ヘッドボックスキャップ12が着脱可能に設けられる。ヘッドボックス1の右側面には操作ユニット18が設けられている。
【0036】
ヘッドボックス1の内部には、上記ラダーコード3及び昇降コード4の各上端が導入される昇降回転装置10が設けられる。当該昇降回転装置10には、ヘッドボックス1内で回転可能な回転軸14が設けられている。
【0037】
回転軸14は、操作ユニット18を介してヘッドボックス1から垂下される操作コード7に連結されており、当該操作コード7に対するユーザの操作に連動していずれかの方向に回転可能とされている。
【0038】
当該昇降回転装置10は、上記回転軸14の他、ドラム受け13と、当該ドラム受け13に上記回転軸14を介して回転可能に支持された回転ドラム15及び昇降ドラム16を有する。
【0039】
回転ドラム15にはラダーコード3の上端が掛け渡される。ラダーコード3は、操作コード7がユーザに操作されると、回転ドラム15の所定角度範囲の回転に連動して傾動することでスラット2を回転させる。これによりスラット2の傾斜角(スラット2間の開放状態と閉塞状態)が調整される。
【0040】
昇降ドラム16は、その外周面の一端で昇降コード4の上端と連結されている。操作コード7がユーザに操作されると、昇降ドラム16の外周面上に昇降コード4が巻き取られ、または昇降ドラム16の外周面から昇降コード4が巻き解かれることで、スラット2がボトムレール6上に積層されながら昇降される。
【0041】
[スラット及びスラットクリップの構成]
次に、上記ブラインド100のうちスラット2及びそれに取り付けられるスラットクリップ5について説明する。
【0042】
複数のスラット2は、それらの間の開放及び閉塞により、ブラインド100が設置された窓や壁面等において、日射等の外光を室内に導いたり遮蔽したりするための遮蔽材として機能する。スラット2は例えばアルミニウム製であるが、木等の他の素材で製造されても構わない。
【0043】
図3は、スラット2に取り付けられたスラットクリップ5を示す斜視図であり、
図4は、スラット2に取り付けられたスラットクリップ5を示す平面図である。また
図5は
図4のA-A断面図であり、
図6は
図4のB-B断面図である。また
図7は、平板形状のスラット2´に取り付けられたスラットクリップ5を示す図である。
【0044】
図3の(a)は、スラット2を斜め上方から見た図、同図(b)は(a)においてスラット2を省略した図、同図(c)はスラット2を斜め下方から見た図をそれぞれ示す。
【0045】
図7の(a)は、スラット2´を斜め上方から見た図、同図(b)はスラット2´を斜め下方から見た図、同図(c)は同図(b)のC-C断面図である。
【0046】
図3乃至
図6に示すように、スラット2は、第1平板部(長片)2a及び第2平板部(短片)2bを有する。第1平板部2aは、スラット2の幅方向(Z方向)において第1の幅を有し、第2平板部2bは、上記幅方向(Z方向)において上記第1の幅よりも小さい第2の幅を有する。
【0047】
第1平板部2aと第2平板部2bとは、上記第1の幅方向及び上記第2の幅方向の各一端を共有する頂辺2cとして、それらの主面が所定角度(鈍角)をなすように接続されており、これによりスラット2は短手方向の断面において略山型形状を有している。以下、このようなスラット2を山型形状のスラットと称することもある。
【0048】
第2平板部2bは、上記第2の幅方向の他端(短手方向の縁部)に、上記昇降コード4を挿通(収容)させる切欠部21を有する。当該切欠部21は、例えば、矩形状の凹部と、当該凹部の両解放端から斜め外側へ向かう2つの面取部を有する。
【0049】
当該切欠部21は、各スラット2において、ブラインド100の背面(後)側左右両端に1本ずつ、計2つ設けられる。すなわち、切欠部21は、上記3本の昇降コード4のうち、左右両端の背面側の昇降コード4に対応して設けられている。ただし、当該切欠部21の位置及び数はこれに限られない。
【0050】
スラットクリップ5は、
図1及び
図2に示すように、上記複数のスラット2のうち、最上段のスラット2の、上記切欠部21が設けられた位置に取り付けられる。スラットクリップ5は、ラダーコード3の中段コード3bに載置されるスラット2の前後縁部をラダーコード3に固定するためのスラット固定装置として機能する。すなわち、スラットクリップ2は、中段コード3bをスラット2との間で挟み付けることで両者を固定する。
【0051】
スラットクリップ5は、アルミニウム製であるが、折り曲げ可能な材質であれば、例えば鉄、銅等の他の材質であっても構わない。
【0052】
図3乃至
図6に示すように、当該スラットクリップ5は、上記スラット2の主面に沿って配される基部51と、当該基部51の(長手方向/各
図Z方向の)両端において上記スラット2の幅方向(Z方向)の両縁部を係止可能な係止部52とを有する。
【0053】
係止部52は、例えば爪状に形成されており、上記各両端において、スラット2の長手方向(X方向)に2つ形成されているが、3つ以上形成されていてもよいし、1つのみ形成されていてもよい。
【0054】
基部51は、上記各係止部52を支持する一対の広幅片53と、当該広幅片53同士を接続するとともに広幅片53よりも細幅の接続片54とを有する。本実施形態では、一対の広幅片53と接続片54とが、コの字型となるように形成されているが、例えば広幅片53の中央部が接続片54で接続されたH型に形成されてもよい。
【0055】
上記基部51は、上記スラット2の折れ曲がり角度に合わせて変形可能な易折曲部55を有する。本実施形態において、易折曲部55は、例えば切欠き部21側の広幅片53と接続片54との境界線に形成されており、当該境界部の位置は、上記頂辺2cの位置と略一致している。
【0056】
図3及び
図4に示すように、基部51の各端部の上記複数の係止部52の間には、広幅片53まで延設されるように、それぞれ第1凹部56が形成されている。当該第1凹部56の一方は、スラット2の縁部に形成された切欠部21を露出させる。
【0057】
また、基部51の中央部には、一対の広幅片53と接続片54とによって第2凹部57が形成されている。
図7に示すように、当該第2凹部57は、平板状のスラット2´の短手方向(Z方向)の中央部に形成された昇降コード挿通孔22を露出させる。
【0058】
これら第1凹部56及び第2凹部57により、昇降コード4の配回しが異なる(
図2参照)ブラインドに対して共通のスラットクリップ5を取り付け可能となる。なお、スラットの構成としては、山型形状のスラット2のスラット短手方向の中央部に、昇降コード挿通孔22を形成してもよく、平板形状スラット2´のスラット短手方向の縁部に、昇降コード4を挿通させる切欠部21を形成してもよい。
【0059】
[スラットクリップの取付方法]
次に、上記スラットクリップ5の、山型形状のスラット2及び平板形状のスラット2´への取付方法について説明する。
【0060】
図8は、スラット2及びスラット2´への取付け前のスラットクリップ5の外観を示した斜視図である。
図9は、スラットクリップ5のスラット2及びスラット2´への取付手順を示した図である。
【0061】
図8に示すように、スラット2及びスラット2´への取付け前のスラットクリップ5は、易折曲部55を含む基部51がフラットな状態である。また両端の係止部52のうち、一方(切欠部21とは反対側)は略垂直に折り曲げられた状態であり、他方(切欠部21側)はフラットな状態である。
【0062】
この状態のスラットクリップ5を山型形状のスラット2に取付ける場合、まず、
図9(a)の(1)に示すように、スラット2の第2平板部2bの縁部を、垂直に折れ曲がった係止部52の角に合わせる。
【0063】
続いて同図(2)及び(3)に示すように、当該係止部52を第2平板部2b側へ折り曲げるとともに、易折曲部55を頂辺2c側(同図矢印方向)へ押圧し、スラット2の折り曲げ形状に沿うように折り曲げる。
【0064】
この際、広幅片53と接続片54との境界部と、スラット2頂辺2cとをほぼ一致させることで、易折曲部55に応力が集中しやすくなり、スラット2の形状に合わせて容易に折り曲げることができる。
【0065】
最後に同図(4)に示すように、他方の係止部52を第1平板部2a側へ折り曲げて、一方の第1凹部56の略中央から切欠部21が露出するようにスラットクリップ2の位置を調整することで取付けが完了する。
【0066】
一方、スラットクリップ5を平板形状のスラット2´に取付ける場合、同図(b)の(1)に示すように、スラット2´の一方の縁部を、垂直に折れ曲がった係止部52の角に合わせてスラット2´をスラットクリップ5上に載置する。
【0067】
続いて同図(2)に示すように、当該係止部52をスラット2´側へ折り曲げる。
【0068】
最後に同図(3)に示すように、他方の係止部52をスラット2´側へ折り曲げて、第2凹部57から昇降コード挿通孔22が露出するようにスラットクリップ2の位置を調整することで取付けが完了する。
【0069】
このように、スラットクリップ5が平板形状のスラット2´に取付けられる場合、スラット2の主面は平面状であるため、取り付けに当たって基部51を折り曲げる必要はない。したがってこの場合、易折曲部55は折曲部としては機能しないことになる(
図7も参照)。
【0070】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、スラット2の形状が平板状の場合のみならず平板状以外の形状(山型形状)である場合でも、スラット2をラダーコード3に安定して固定することができる。
【0071】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0072】
図10は、本発明の他の実施形態に係るスラットクリップ5が山型形状のスラット2に取付けられた状態を示す平面図である。上述の実施形態においては、易折曲部55が広幅片53と接続片54との境界部に形成されることで折り曲げを容易にしていたが、さらに接続片54に、易折曲部55での折り曲げを補助する折曲補助部58が形成されてもよい。
【0073】
同図(a)に示すように、折曲補助部58は、広幅部53と接続片54とが共有する辺上であって、広幅片53と接続片54との各境界部において凹状に形成される。
【0074】
これにより、同図(a)における易折曲部55における折り曲げがさらに容易になるとともに、同図(b)に示すように、頂辺2cの位置が前後方向(短手方向)において(a)のスラット2とは逆の位置に形成されたスラット2にスラットクリップ5が取り付けられた場合でも、(a)の場合とは反対側の折曲補助部58で折り曲げに対応することが可能となる。すなわち、頂辺2cがいずれの境界部近傍に位置する場合でも、いずれかの折曲補助部58が折り曲げを補助することができる。
【0075】
図11は、本発明のまた別の実施形態に係るスラットクリップ5が山型形状のスラット2に取付けられた状態を示す平面図である。同図(a)に示すように、この実施形態に係るスラットクリップ5では、上記折曲補助部58が、広幅片53と接続片54との一方の境界部から他方の境界部に亘って複数形成されている。
【0076】
すなわち、折曲補助部58は、広幅部53と接続片54との境界部においては、上記
図10の場合と同様、広幅部53と接続片54とが共有する辺上に1つずつ形成されているが、当該両境界部の間においては、接続片54の幅方向(同図左右方向)の両端に形成された複数対の凹部として形成されている。同図の例では折曲補助部58は両境界部の間には7対形成されているが、もちろんこの数はこれに限られない。
【0077】
これにより、同図(b)に示すように、頂辺2cの位置が前後方向(短手方向)の中央に形成されたスラット2にスラットクリップ5が取り付けられた場合でも、(a)の場合とは異なる、中央の折曲補助部58を用いることで折り曲げを補助することができる。
【0078】
すなわち、山型のスラット2の頂辺2cの位置が、接続片54上のどこに位置していても、いずれかの折曲補助部58が折り曲げを補助することができる。
【0079】
上述の実施形態では、
図8及び
図9に示したように、スラット2への取付け前のスラットクリップ5は、両端の係止部52のうち、一方(切欠部21とは反対側)が略垂直に折り曲げられた状態であり、他方(切欠部21側)はフラットな状態とされていた。しかし、取付け前の状態がその他の状態であっても構わず、それによって取付手順が
図9で示したものと異なっていても構わない。
【0080】
図12は、本発明の他の実施形態に係る取付け前のスラットクリップ5の外観を示した斜視図であり、
図13は、当該スラットクリップ5のスラット2への取付手順を示した図である。
【0081】
図12に示すように、本実施形態において、スラット2への取付け前のスラットクリップ5は、両端の係止部52のうち、一方(切欠部21とは反対側)が略垂直に折り曲げられた状態であり、他方(切欠部21側)はスラット2の縁部の形状に沿って、取付時の形状(U字状)に予め折り曲げられている。なお当該実施形態のスラットクリップ5も上記
図10と同様の折曲補助部58を有している。
【0082】
この状態のスラットクリップ5をスラット2に取付ける場合、まず、
図13の(1)及び(2)に示すように、スラット2の第1平板部2a側の縁部を、U字状に折れ曲がった係止部52に引っ掛ける。
【0083】
続いて同図(2)及び(3)に示すように、スラット2の第2平板部2b側の縁部を、垂直に折れ曲がった係止部52の角に合わせる。
【0084】
続いて同図(4)に示すように、既に第1平板部2a側の縁部に引っ掛けた係止部52を押さえながら、易折曲部55を頂辺2c側(同図矢印方向)へ押圧し、スラット2の折り曲げ形状に沿うように折り曲げる。この際、折曲補助部58を用いることで、容易に折り曲げることができる。
【0085】
最後に同図(5)に示すように、上記垂直な係止部52を第2平板部2b側へ折り曲げ、一方の第1凹部56の略中央から切欠部21が露出するようにスラットクリップ2の位置を調整することで取付けが完了する。
【0086】
このような取付手順によっても、スラットクリップ5を容易に折り曲げながらスラット2に容易に取り付けることができる。
【0087】
上述の実施形態では、一方の広幅片53と接続片54との境界部の位置が、スラット2の頂辺2cの位置と略一致していた。しかし、一方の広幅片53と接続片との境界部の位置が、頂辺2cよりも第2平板部寄りに位置してもよい。
【0088】
これにより、スラット2の第2平板部(短片)2aの幅よりもスラットクリップの広幅片53の幅を狭くすることで、山型を形成する頂辺に接続片54が位置するようになり、山型の頂辺に沿って易折曲部55を折り曲げることができる。
【0089】
上述の実施形態では、スラットクリップ5は、スラット2の前後両縁部を、U字状の係止部52を係合させることで固定していた。しかし、スラットクリップ5の固定構造はこれに限られず、例えばスラット2に形成された孔部に係止爪を係合させることで固定する構造であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…ヘッドボックス
2…スラット
2a…第1平板部(長片)
2b…第2平板部(短片)
2c…頂辺
3…ラダーコード
4…昇降コード
5…スラットクリップ
21…切欠部
22…昇降コード挿通部
51…基部
52…係止部
53…広幅片
54…接続片
55…易折曲部
56…第1凹部
57…第2凹部
58…折曲補助部