(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】入隅部用保護カバー、入隅部用保護カバーの組付け構造、及び設置構造
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20220215BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20220215BHJP
E04F 17/08 20060101ALI20220215BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20220215BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F16L57/00 A
E04F17/08 Z
H02G3/30
H02G3/04 025
(21)【出願番号】P 2018081279
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】川端 誠規
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-133391(JP,A)
【文献】特開2015-014339(JP,A)
【文献】特開2007-263291(JP,A)
【文献】特開2005-323432(JP,A)
【文献】特開2013-221591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F16L 57/00
E04F 17/08
H02G 3/30
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の入隅部を構成する第1及び第2の各壁面に沿って屈曲配設されて、第1壁面に貫通形成された貫通孔を通して壁裏に引き出される配線・配管材の屈曲部を内部に収容する入隅部用保護カバーであって、
前記第1壁面に固定される基台基部に、配線・配管材の配設方向に沿って基台延設部が延設された基台と、
前記基台基部に設けられた被嵌合部に嵌合される嵌合部を内側に有する一対の側壁部が天壁部で繋がれて、前記第2壁面に沿って配設される他の保護カバーを接続可能な接続口が形成され、嵌合構造で前記基台に一体に組み付けられて、前記配線・配管材の屈曲配設部及び前記貫通孔を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体の嵌合部は、前記配設方向に連続又は複数が断続して形成されることで、前記蓋体に対する前記基台の基台基部の前記配設方向に沿った組付け位置は、変更可能であり、
前記基台の基台延設部には、当該基台延設部が延びる方向と直交する方向に延在する複数の屈曲変形部が前記配設方向に沿って所定間隔をおいて設けられ、
前記基台延設部の屈曲変形部を選択して屈曲させることで、前記第1壁面に対する配線・配管材の配設方向に沿って異なる少なくとも二つの固定位置に対して、前記第1及び第2の各壁面に傾斜して架け渡る傾斜基台延設部が形成可能であり、
前記蓋体には、前記傾斜基台延設部に係止される係止部が設けられていることを特徴とする入隅部用保護カバー。
【請求項2】
前記基台延設部における第2壁面に配設される部分は、当該第2壁面に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の入隅部用保護カバー。
【請求項3】
前記基台延設部の先端側には、当該基台延設部の長さを調整するための折取り溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の入隅部用保護カバー。
【請求項4】
前記基台延設部の先端部には、前記他の保護カバーとの幅方向に沿った配置位置を定めるための指標部が設けられ、前記折取り溝により前記基台延設部の先端側が折り取られた後に発生する新たな先端部にも、当該指標部が現れるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の入隅部用保護カバー。
【請求項5】
前記蓋体の接続口には、前記他の保護カバーの端部が外嵌されて、前記第2壁面から蓋体が離間するのを防止するための内壁部が、当該蓋体の少なくとも天壁部の内側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の入隅部用保護カバー。
【請求項6】
建物の入隅部を構成する第1及び第2の各壁面に沿って屈曲配設されて、第1壁面に貫通形成された貫通孔を通して壁裏に引き出される配線・配管材の屈曲部を内部に収容する入隅部用保護カバーであって、
前記第1壁面に固定される基台基部を有する基台と、
前記基台基部に設けられた被嵌合部に嵌合される嵌合部を内側に有する一対の側壁部が天壁部で繋がれて、前記第2壁面に沿って配設される他の保護カバーを接続可能な接続口が形成され、嵌合構造で前記基台に一体に組み付けられて、前記配線・配管材の屈曲配設部及び前記貫通孔を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体の嵌合部は、前記第1壁面に沿った配線・配管材の配設方向に連続又は複数が断続して形成されることで、前記蓋体に対する前記基台の基台基部の前記配設方向に沿った組付け位置は、変更可能であり、
前記接続口には、
前記第2壁面に対して固定配置されて、当該接続口の内側に挿入され
る前記他の保護カバーの端部が外嵌されることで、前記蓋体が前記第2壁面から離間するのを防止する離間防止内壁部が、当該蓋体の内側に設けられていることを特徴とする入隅部用保護カバー。
【請求項7】
交差して入隅部を構成する各壁面に沿って配置される基台と、当該基台に一体に組み付けられる蓋体とから成って、配線・配管材における前記入隅部に配設される部分を収容する入隅部用保護カバーの組付け構造であって、
前記基台は、前記入隅部の各壁面に沿って配設されて、少なくとも一方が当該壁面に固定される各基台基部が、当該各壁面に対し傾斜配置される傾斜連設部を介して連設され、
前記基台と蓋体とは、当該基台の一方の壁面に沿った部分に設けられた被嵌合部に、当該蓋体の嵌合部が嵌合され、しかも前記蓋体に設けられた係止部が、前記基台の傾斜連設部に係止されることで、一体に組み付けられることを特徴とする入隅部用保護カバーの組付け構造。
【請求項8】
互いに組み付けられる基台と蓋体とから成って、建物の入隅部を構成する第1及び第2の各壁面に沿って屈曲配設されて、第1壁面に貫通形成された貫通孔を通して壁裏に引き出される配線・配管材の屈曲部を内部に収容する入隅部用保護カバーの設置構造であって、
前記基台が有する基台基部が、前記第1壁面に沿って固定され、当該基台基部から前記配線・配管材の配設方向に延設された基台延設部の一部は、当該基台延設部に設けられた屈曲変形部で屈曲されて、前記入隅部に前記各壁面に傾斜姿勢で架け渡るように配置されることで傾斜基台延設部となっており、
前記蓋体は、前記基台基部に設けられた被嵌合部に嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側壁部が天壁部で繋がれて、前記配線・配管材の屈曲部及び前記貫通孔を覆う覆い部を構成しており、当該蓋体の第2壁面の側に設けられた接続口には、当該第2壁面に配設される他の保護カバーの端部が接続可能であり、
前記蓋体に設けられた係止部は、前記基台の前記傾斜基台延設部に係止されていることを特徴とする入隅部用保護カバーの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の入隅部を構成する各壁面に沿って屈曲配設されて、一方の壁面に貫通形成された貫通孔を通して壁裏に引き出される配線・配管材の屈曲部を内部に収容する入隅部用保護カバー、入隅部用保護カバーの組付け構造、及び設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の入隅部を構成する一方の壁面に配線・配管材の貫通孔が形成され、当該入隅部で屈曲されて、前記貫通孔を貫通して壁裏に配設される配線・配管材の屈曲部(入隅部に配設される部分)を収容する保護カバーは、入隅部を構成する各壁面の少なくとも一方に固定される基台と、当該基台に一体に組み付けられる蓋体とから成り、その一つとして、特許文献1に開示のものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示の保護カバーは、入隅部を構成する二つの壁面のうち貫通口3が形成されない側の壁面に固定されるベース部14と、当該ベース部14に一体に組み付けられて、前記貫通口3及び冷媒管(配線・配管材)4における入隅部で屈曲される部分を覆うカバー部13とから成る。
【0004】
この結果、カバー部13における貫通口3を覆う部分は、当該貫通口3が形成された壁面に対して非固定であるため、カバー部13における非固定側の先端部が壁面に対して浮き上がって、壁面との間に隙間が形成されてしまう。この隙間は、カバー部13の長さが長い程、大きくなる。これを防止するために、特許文献1では、カバー部13における非固定側の先端部に凹部を形成して、当該凹部の部分で、カバー部13における非固定側の先端部を締付部材(ビス)により壁面に固定し、当該凹部に配置された締付部材の頭部をキャップ16bで覆うことで、外観上の見栄えを良好にしてある。
【0005】
このため、上記したカバー部13の先端部の浮上り防止構造では、締付部材とキャップ16bが必要であるのみならず、締付部材の締付け及びキャップ16bの覆蓋の施工も面倒となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、入隅部を構成する各側面の一方に配線・配管材の貫通孔が形成され、各壁面の少なくとも一方に固定される基台に覆蓋される蓋体により、入隅部に配設される配線・配管材の屈曲部と前記貫通孔とを覆う構造において、蓋体における前記貫通孔が形成された側の先端部の浮き上がりを、ビスを使用せずに防止することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、建物の入隅部を構成する第1及び第2の各壁面に沿って屈曲配設されて、第1壁面に貫通形成された貫通孔を通して壁裏に引き出される配線・配管材の屈曲部を内部に収容する入隅部用保護カバーであって、
前記第1壁面に固定される基台基部に、配線・配管材の配設方向に沿って基台延設部が延設された基台と、
前記基台基部に設けられた被嵌合部に嵌合される嵌合部を内側に有する一対の側壁部が天壁部で繋がれて、前記第2壁面に沿って配設される他の保護カバーを接続可能な接続口が形成され、嵌合構造で前記基台に一体に組み付けられて、前記配線・配管材の屈曲配設部及び前記貫通孔を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体の嵌合部は、前記配設方向に連続又は複数が断続して形成されることで、前記蓋体に対する前記基台の基台基部の前記配設方向に沿った組付け位置は、変更可能であり、
前記基台の基台延設部には、当該基台延設部が延びる方向と直交する方向に延在する複数の屈曲変形部が前記配設方向に沿って所定間隔をおいて設けられ、
前記基台延設部の屈曲変形部を選択して屈曲させることで、前記第1壁面に対する配線・配管材の配設方向に沿って異なる少なくとも二つの固定位置に対して、前記第1及び第2の各壁面に傾斜して架け渡る傾斜基台延設部が形成可能であり、
前記蓋体には、前記傾斜基台延設部に係止される係止部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、基台を構成する基台基部は、配線・配管材の貫通孔が形成された第1壁面に固定されると共に、当該基台基部に延設された基台延設部の屈曲変形部を選択して屈曲させて形成される屈曲変形部は、第1及び第2の各壁面に対してそれぞれ傾斜して架け渡された状態で、入隅部に屈曲配設された配線・配管材は、前記貫通孔を通して壁裏に引き出されて配設され、その後に、前記基台基部に被嵌合部と、蓋体の一対の側壁部に設けられた嵌合部とを嵌合させることで、当該蓋体の内部に、配線・配管材の屈曲部及び貫通孔を収容させて、基台と蓋体とが一体に組み付けられる。基台と蓋体とが一体に組み付けられた状態では、前記蓋体に設けられた係止部は、前記基台延設部の傾斜基台延設部に係止されることで、第1壁面に固定された基台に対して蓋体は、前記第2壁面から離間しないように、当該第2壁面に対して垂直な方向に沿った組付け位置が確定される。
【0010】
このように、基台は、配線・配管材の貫通孔が形成された第1壁面に固定されるため、当該基台に一体に組み付けられる蓋体の当該第1壁面に沿った側の先端部は、当該第1壁面に密着又は近接して、当該第1壁面に対して浮き上がらなくなる。また、基台を構成する基台延設部の一部は、入隅部に傾斜配置される傾斜基台延設部となって、蓋体に設けられた係止部が当該傾斜基台延設部に係止され、当該係止構造は、第1及び第2の各壁面に対して蓋体が離間しないように作用するため、当該係止構造によっても、当該蓋体における第1壁面の側の先端部の浮き上がりが防止される。よって、蓋体の第1壁面に沿った側の先端部をビス固定する必要がなくなって、当該ビスの固定の手間がなくなると共に、当該先端部の見栄えも良好となる。
【0011】
また、蓋体の嵌合部は、第1壁面に沿った配線・配管材の配設方向に連続又は複数が断続して形成されることで、当該蓋体に対する当該基台の基台基部の前記配設方向に沿った組付け位置は、変更可能になっているので、第1壁面に形成される貫通孔の入隅部からの距離が異なる場合には、第1壁面における当該貫通孔に近い部分に、基台の基台基部を固定することで、基台と蓋体との嵌合組付け部と、当該蓋体の第1壁面の側の先端部との距離を最少にすることが可能となって、当該蓋体の第1壁面の側の先端部が、当該第1壁面から浮き上がるのを確実に防止できる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記基台延設部における第2壁面に配設される部分は、当該第2壁面に固定可能であることを特徴としている。
【0013】
請求項2の発明によれば、基台は、基台基部の部分で第1壁面に、基台延設部の部分で第2壁面に、それぞれ固定可能であるため、第1及び第2の各壁面に基台の全体をしっかり固定できる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記基台延設部の先端側には、当該基台延設部の長さを調整するための折取り溝が形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明によれば、基台を構成する基台基部の第1壁面に対する固定位置によって、第2壁面に固定される基台延設部には、第2壁面に配設される他の保護カバーを接続する場合に、余長が生ずることがある。この場合には、基台延設部に設けられた折取り溝を用いて、第2壁面に配設された基台の基台延設部を、前記他の保護カバーとの関係で、最適な長さに調整できるので、本発明に係る入隅部用の保護カバーと、前記他の保護カバーとの接続を適正に行える。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記基台延設部の先端部には、前記他の保護カバーとの幅方向に沿った配置位置を定めるための指標部が設けられ、前記折取り溝により前記基台延設部の先端側が折り取られた後に発生する新たな先端部にも、当該指標部が現れるように構成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項4の発明によれば、基台の基台延設部の先端側を折取り溝の部分で折り取っても、新たに基台延設部の先端部となる部分には、別の指標部が現れるように構成されているため、第1壁面に対する基台の基台基部の固定位置が変更されて、第2壁面の側に固定配置される基台延設部が折り取られても、本発明に係る保護カバーと、当該第2壁面に配設される他の保護カバーとを、新たに現れた前記指標部により幅方向の配置位置を正しく定めて、両保護カバーを連結できる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記蓋体の接続口には、前記他の保護カバーの端部が外嵌されて、前記第2壁面から蓋体が離間するのを防止する内壁部が、当該蓋体の少なくとも天壁部の内側に設けられていることを特徴としている。
【0019】
請求項5の発明によれば、第2壁面に配設される他の保護カバーの端部を、蓋体の接続口に設けられた内壁部に外嵌すると、第2壁面に固定された前記他の保護カバーによって、当該蓋体が第2壁面から離間できなくなる。よって、第2壁面に対する入隅部用保護カバーの配置位置は、蓋体に設けられた前記係止部による係止構造と、当該蓋体に設けられた離間防止用の内壁部に対する他の保護カバーの蓋体の外嵌構造との双方によって確定されるので、第2壁面に対して蓋体が離間して浮き上がるのを一層確実に防止できる。
【0020】
請求項6の発明は、建物の入隅部を構成する第1及び第2の各壁面に沿って屈曲配設されて、第1壁面に貫通形成された貫通孔を通して壁裏に引き出される配線・配管材の屈曲部を内部に収容する入隅部用保護カバーであって、
前記第1壁面に固定される基台基部を有する基台と、
前記基台基部に設けられた被嵌合部に嵌合される嵌合部を内側に有する一対の側壁部が天壁部で繋がれて、前記第2壁面に沿って配設される他の保護カバーを接続可能な接続口が形成され、嵌合構造で前記基台に一体に組み付けられて、前記配線・配管材の屈曲配設部及び前記貫通孔を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体の嵌合部は、前記第1壁面に沿った配線・配管材の配設方向に連続又は複数が断続して形成されることで、前記蓋体に対する前記基台の基台基部の前記配設方向に沿った組付け位置は、変更可能であり、
前記接続口には、前記第2壁面に対して固定配置されて、当該接続口の内側に挿入される前記他の保護カバーの端部が外嵌されることで、前記蓋体が前記第2壁面から離間するのを防止する離間防止内壁部が、当該蓋体の内側に設けられていることを特徴としている。
【0021】
請求項6の発明によれば、蓋体の嵌合部は、前記第1壁面に沿った配線・配管材の配設方向に連続又は複数が断続して形成されることで、前記蓋体に対する前記基台の基台基部の前記配設方向に沿った組付け位置は、変更可能であり、第1壁面に形成された貫通孔の入隅部からの距離が異なっている場合でも、第1壁面における当該貫通孔に最も近い位置に基台を固定して、当該基台に蓋体を一体に組み付けられるので、当該蓋体における第1壁面の側の先端部が、ビス固定を必要とせずに、当該第1壁面から浮き上がるのを防止できる。また、蓋体の接続口には、前記第2壁面に対して固定配置されて、当該接続口の内側に挿入される前記他の保護カバーの端部が外嵌されることで、前記蓋体が前記第2壁面から離間するのを防止する離間防止内壁部が、当該蓋体の内側に設けられているため、第2壁面において他の保護カバーと接続することで、第2壁面に対する蓋体の配置位置が確定されて、当該第2壁面から蓋体が離間しなくなる。
【0022】
請求項7の発明は、交差して入隅部を構成する各壁面に沿って配置される基台と、当該基台に一体に組み付けられる蓋体とから成って、配線・配管材における前記入隅部に配設される部分を収容する入隅部用保護カバーの組付け構造であって、
前記基台は、前記入隅部の各壁面に沿って配設されて、少なくとも一方が当該壁面に固定される各基台基部が、当該各壁面に対し傾斜配置される傾斜連設部を介して連設され、
前記基台と蓋体とは、当該基台の一方の壁面に沿った部分に設けられた被嵌合部に、当該蓋体の嵌合部が嵌合され、しかも前記蓋体に設けられた係止部が、前記基台の傾斜連設部に係止されることで、一体に組み付けられることを特徴としている。
【0023】
請求項7の発明によれば、入隅部を構成する各壁面に対して基台の配置位置が、配線・配管材の配設方向に沿ってずれた場合でも、前記嵌合部と被嵌合部との嵌合により、当該基台に対して蓋体が一体に組付けられると共に、当該入隅部には、常に基台の傾斜連設部が配置されて、蓋体に設けられた係止部が、前記傾斜連設部に係止されることで、当該蓋体は、他方の壁面から離間することなく、各壁面に対して定められた特定位置において、基台に対して一体に組み付けられる。請求項7の入隅部用保護カバーは、蓋体における配線・配管材の配設方向の両端部には、他の保護カバーと接続される接続口がそれぞれ設けられている。
【0024】
請求項8の発明は、互いに組み付けられる基台と蓋体とから成って、建物の入隅部を構成する第1及び第2の各壁面に沿って屈曲配設されて、第1壁面に貫通形成された貫通孔を通して壁裏に引き出される配線・配管材の屈曲部を内部に収容する入隅部用保護カバーの設置構造であって、
前記基台が有する基台基部が、前記第1壁面に沿って固定され、当該基台基部から前記配線・配管材の配設方向に延設された基台延設部の一部は、当該基台延設部に設けられた屈曲変形部で屈曲されて、前記入隅部に前記各壁面に傾斜姿勢で架け渡るように配置されることで傾斜基台延設部となっており、
前記蓋体は、前記基台基部に設けられた被嵌合部に嵌合する嵌合部を内側に有する一対の側壁部が天壁部で繋がれて、前記配線・配管材の屈曲部及び前記貫通孔を覆う覆い部を構成しており、当該蓋体の第2壁面の側に設けられた接続口には、当該第2壁面に配設される他の保護カバーの端部が接続可能であり、
前記蓋体に設けられた係止部は、前記基台の前記傾斜基台延設部に係止されていることを特徴としている。
【0025】
請求項8の発明は、請求項1の発明を「入隅部用保護カバーの設置構造」の面から把握したものであって、その実質的な内容は、請求項1の発明と同等である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る入隅部用保護カバーは、配線・配管材の貫通孔が形成された第1壁面に基台が固定される構成と、基台を構成する基台延設部の一部は、入隅部に傾斜配置される傾斜基台延設部となって、蓋体に設けられた係止部が当該傾斜基台延設部に係止される係止構造とによって、当該蓋体における第1壁面の側の先端部の浮き上がりが防止される。よって、蓋体の第1壁面に沿った側の先端部をビス固定する必要がなくなって、当該ビスの固定の手間がなくなると共に、当該先端部の見栄えも良好となる。
【0027】
また、蓋体の嵌合部は、第1壁面に沿った配線・配管材の配設方向に連続又は複数が断続して形成されることで、当該蓋体に対する当該基台の基台基部の前記配設方向に沿った組付け位置は、変更可能になっているので、第1壁面に形成される貫通孔の入隅部からの距離が異なる場合には、第1壁面における当該貫通孔に近い部分に、基台の基台基部を固定することで、基台と蓋体との嵌合組付け部と、当該蓋体の第1壁面の側の先端部との距離を最少にすることが可能となって、当該蓋体の第1壁面の側の先端部が、当該第1壁面から浮き上がるのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1-A】(a)は、本発明に係る入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 の平面図であり、(b)は、(a)のX
1 -X
1 線断面図である。
【
図1-B】(c)は、入隅部用保護カバーC
1 の側面図であり、(d),(e)は、
図1-A(a)のそれぞれX
2 -X
2 線及びX
3 -X
3 線の各断面図である。
【
図2】(a)は、入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 の非使用状態の斜視図であり、(b),(c)は、それぞれ異なる使用状態の斜視図である。
【
図3】基台V
1 を基台延設部2を構成する特定の小片板部11で折り曲げて、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に配置された状態の縦断面図である。
【
図4】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 を異なる方向から見た斜視図である。
【
図5】(a)~(c)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 の平面図、中央縦断面図及び左側面図である。
【
図6】入隅部Aを構成する第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に対して入隅部用保護カバーC
1 を構成する基台V
1 及び蓋体L
1 と、直状保護カバーC
11を構成する基台V
11及び蓋体L
11との配置関係を示す斜視図である。
【
図7】貫通孔Hが形成された第1壁面W
1 と第2壁面W
2 に亘って入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 が固定配置され、第2壁面W
2 に直状保護カバーC
11の基台V
11が固定配置された状態を示す斜視図である。
【
図8】入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 の基台基部1に蓋体L
1 が組み付けられた斜視図である。
【
図9】第2壁面W
2 に固定配置された直状保護カバーC
11の基台V
11に、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 に接続された状態で蓋体L
11が組み付けられた斜視図である。
【
図10】エアコンの室内機82に接続されて、第1壁面W
1 の壁裏に引き出される冷媒管類の入隅部Aの屈曲配管部が、本発明に係る入隅部用保護カバーC
1 に収容された状態の斜視図である。
【
図11】本発明に係る入隅部用保護カバーC
1 の使用状態の縦断面図である。
【
図14】嵌合構造を示すための基台V
1 と蓋体L
1 とが分離された状態を背面側から見た斜視図である。
【
図15】基台V
1 の傾斜基台延設部2a(11)を介して蓋体L
1 の係止突起31が係止された状態を背面側から見た斜視図である。
【
図16】
図7で示される状態を矢印Jの方向から見た図である。
【
図17】(a),(b)は、それぞれ基台V
1 の基台延設部2を構成する小片板部11,12を折取り溝13で折り取って、長さを短くした状態の平面図である。
【
図18】基台V
1 の基台延設部2を構成する小片板部12を折り取って使用している状態の斜視図である。
【
図19】基台V
1 の基台延設部2を構成する小片板部11,12全てを折り取って、基台基部1のみを使用している状態の斜視図である。
【
図20】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
1 を構成する別の基台V
1'の平面図及び中央縦断面図である。
【
図21】(a)~(c)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
1 を構成する別の基台V
1'の異なる使用状態を示す斜視図及び側面図の組み合せである。
【
図22】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
1 を構成する更に別の基台V
1"の使用状態を示す斜視図である。
【
図23】入隅部Aを構成する第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に対して入隅部用保護カバーC
2 を構成する基台V
2 及び蓋体L
2 と、直状保護カバーC
11を構成する基台V
11及び蓋体L
11との配置関係を示す斜視図である。
【
図24】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
2 を構成する基台V
2 を異なる方向から見た斜視図である。
【
図25】(a),(b)は、それぞれ入隅部用保護カバーC
2 を構成する蓋体L
2 を異なる方向から見た斜視図である。
【
図26】入隅部用保護カバーC
2 の使用状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、複数の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。建物の入隅部Aは、互いに直交する第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 により形成され、本発明に係る入隅部用保護カバーC
1 ,C
2 は、入隅部Aを構成する一方の第1壁面W
1 に配管材Pを壁裏に引き出すための貫通孔Hが形成され、配管材Pにおける入隅部Aの屈曲配管部Pa(
図6参照)及び前記貫通孔Hを覆うための保護カバーである。各実施例1,2では、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 は、それぞれ建物の屋内の垂直壁及び異なる垂直壁を接続する短い天井壁で構成される(
図10参照)。
【実施例1】
【0030】
最初に、
図1~
図5を参照して、建物の入隅部Aを構成する第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 の壁面交差部A
1 から異なる距離の位置に前記貫通孔Hが形成されている場合において、各貫通孔Hに最も近い部分に基台V
1 を固定配置できる入隅部用保護カバーC
1 について説明する。入隅部用保護カバーC
1 は、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に亘って配置されて、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 にそれぞれ固定される基台V
1 と、嵌合構造により当該基台V
1 に一体に組み付けられる蓋体L
1 とから成る。基台V
1 及び蓋体L
1 は、いずれも樹脂の射出成形により形成される。
【0031】
基台V
1 は、
図1及び
図2に示されるように、第1壁面W
1 に形成された貫通孔Hに近接して固定配置される平板状の基台基部1と、当接基台基部1の幅方向Rの中央部における配管材Pの配設方向Qに延設された基台延設部2とから成る。基台基部1は、その幅方向の両端部において蓋体L
1 と嵌合されるために、当該蓋体L
1 と同等の幅を有しているが、基台延設部2は、蓋体L
1 と嵌合されず、後述の傾斜基台延設部2aを形成することが目的であるので、基台基部1よりも遥かに狭い幅を有している。基台基部1は、長方形の一方の長片が、貫通孔Hに対応した円弧凹状に形成されて、長方形の各短辺の部分に直線状の厚肉の立壁3がそれぞれ形成され、各立壁3の外側面は、蓋体L
1 の後述の嵌合部29と嵌合可能とすべく、アンダーカット状に形成された直線状の被嵌合部4となっている。基台基部1における前記配設方向Qと直交する幅方向Rに沿った中央部及び両端部には、円形のビス下孔5及び長孔状のビス孔6がそれぞれ形成されている。基台基部1における円弧凹状に形成された部分、及び当該円弧凹状の部分と対向する直線部には、肉薄の立壁7,8によりそれぞれ補強されている。
【0032】
前記基台延設部2は、基台基部1における円弧凹状の部分と対向する直線部に配管材Pの配設方向Qに沿って延設され、複数の横長の長方形状の小片板部11,12が折取り溝13を介して折曲げと折取りの双方が可能に連結されることで、全体形状としては、キャタピラー状に形成されている。基台延設部2を構成する複数の小片板部11,12のうち基台基部1に対して基端側の複数の小片板部11は、計4つの各コーナー部に、内側に折り曲げた場合の隣接する2つの各小片板部11の交差角度(θ)〔
図3参照〕が135°となるような(2つの各小片板部11の相対的な折曲げ角度が45°となるような)折曲げ規制突起14が幅方向Rに沿ってそれぞれ形成されている。なお、基台基部1に一体に連結されている小片板部11’は、他の小片板部11に対して前記配設方向Qに沿った長さが短くなっている。
【0033】
各折曲げ規制突起14の長手方向の両端部は、折曲げ力に抗し得るように補強片15で補強されている。基台延設部2における基台基部1から最も離間した先端側には、2つの別の小片板部12が連続して形成され、各小片板部12には、第2壁面W2 に固定配置された基台V1 の基台延設部2に対して第2壁面W2 に固定配置される直状保護カバーC11の基台V11の幅方向Rの位置決めを行うための一対の位置決め片16が幅方向Rに所定間隔をおいて配設方向Qに沿って設けられている。なお、先端側の2つの小片板部12どうしは、相対的に折り曲げられることはないが、折曲げ規制突起14を有する小片板部11に連結された内側の小片板部12は、当該小片板部11に対して相対的に折り曲げられることがあるので、当該小片板部12におけ小片板部11と対向する側の2つのコーナー部には、それぞれ折曲げ規制突起14が設けられている。また、複数の小片板部11,12のうち、最先端の小片板部12を除く残りは、第1壁面W1 又は第2壁面W2 にビス固定されることがあるので、幅方向の中央部にビス孔6が形成されている。
【0034】
このため、
図2(a)に示されるように、非使用状態では、平板状をなしている基台V
1 は、
図2(b),(c)及び
図3に示されるように、入隅部Aにおける各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 を跨ぐ部分では、隣接する各小片板部11の交差角が135°となるように折り曲げられて、当該交差部A
0 を跨ぐ特定の小片板部11は、各壁面W
1 ,W
2 に架け渡される傾斜基台延設部2aとして機能する。
【0035】
蓋体L
1 は、
図4及び
図5に示されるように、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定配置される前記基台V
1 の上に配設される配管材Pの屈曲配管部Pa及び貫通孔Hを覆う部材であって、起立部が短い変則L字状の配管空間路21(
図11及び
図12参照)が内部に形成され、対向配置された一対の側壁部22が天壁部23で繋がれた形状になっている。蓋体L
1 は、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 と対向する部分に、それぞれ開口24,25が形成され、前記配設方向Qに沿った第2壁面W
2 の側の端部には、当該第2壁面W
2 に配設される直状保護カバーC
11の蓋体L
11が接続される接続口26が形成されているが、前記配設方向Qに沿った第1壁面W
1 の側の端部は、前記天壁部23に接続された閉塞壁部27で閉塞されている。
【0036】
前記一対の側壁部22及び閉塞壁部27の開口24の側の端部には、横断面形状が変則L字状のフランジ板部28が形成され、当該フランジ板部28を構成する起立板部28aは、第1壁面W1 に当接又は近接する部分であって、当該起立板部28aの下端部の内側には、直線突条から成る嵌合部29が形成されている。当該嵌合部29は、フランジ板部28における左右の直線状の部分にのみ形成されて、その一端は、第2壁面W2 と対向する開口25に達している。
【0037】
また、
図3に示されるように、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に亘って基台V
1 を配置すると、当該基台V
1 の基台基部1は、第1壁面W
1 に固定配置され、基台延設部2を構成する複数の小片板部11,12は、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に分散して固定配置されると共に、複数の小片板部11のうち特定の一つの小片板部11のみが各壁面W
1 ,W
2 に架け渡ることで傾斜姿勢で配置されて、傾斜基台延設部2aとなる。また、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された基台V
1 に対して蓋体L
1 を一体に組み付けるには、
図14に示されるように、第1壁面W
1 上において、蓋体L
1 を配設方向Qに沿って第2壁面W
2 に当接するまでスライドさせることで、基台V
1 の被嵌合部4と、蓋体L
1 の嵌合部29とを嵌合させている。基台V
1 と蓋体L
1 との上記嵌合構造によって、第1壁面W
1 に形成された貫通孔Hの各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
1 からの距離の違いによっても、常に嵌合可能な構造になっているが、蓋体L
1 が第2壁面W
2 に対して離間する方向にスライドするのを阻止して、基台V
1 と蓋体L
1 とが一体に組み付けられる手段が必要となる。
【0038】
基台V
1 の上記した配置構造に対応して、蓋体L
1 の一対の側壁部22の内側面の下端部であって、しかも開口25に臨む部分には、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された基台V
1 に対して蓋体L
1 が第1壁面W
1 上で配設方向Qに沿って移動するのを阻止するために、前記傾斜基台延設部2aの平面状の裏面の幅方向の両端部に対して係止される一対の係止突起31が対向して一体に設けられている。前記傾斜基台延設部2aは、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に対して角度45°だけ傾斜して配置されるので、
図3に示されるように、前記係止突起31における前記傾斜基台延設部2aの裏面に密着して係止される係止面31aは、蓋体L
1 の開口25の面に対して45°だけ傾斜して形成されている。
【0039】
また、
図4、
図5及び
図11に示されるように、蓋体L
1 における直状保護カバーC
11の蓋体L
11と接続される接続口26には、当該蓋体L
11が外嵌される内壁部32が当該接続口26のほぼ全周に亘って形成されている。即ち、蓋体L
1 の一対の側壁部22及び天壁部23における接続口26を形成する端部の内側に所定間隔をおいて前記内壁部32が形成され、当該内壁部32は、内側の端部において連結板部33を介して一対の側壁部22及び天壁部23の内側面に一体に接続されている。接続口26を形成している一対の側壁部22及び天壁部23は、前記内壁部32に対して外壁部34として機能し、当該内壁部32と外壁部34とで形成される挿入隙間35に、直状保護カバーC
11の蓋体L
11の端部に挿入されて、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 と、直状保護カバーC
11の蓋体L
11とが接続された状態では、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 の内壁部32が、直状保護カバーC
11の蓋体L
11に当接することで、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 は、第2壁面W
2 に対して離間不能となり、蓋体L
1 の接続口26に設けられた内壁部32を用いた各蓋体L
1 ,L
11の当該接続構造と、上記した蓋体L
1 の係止突起31と傾斜基台延設部2aとの係止構造との双方によって、基台V
1 に対する蓋体L
1 の当該第2壁面W
2 に対して垂直な方向に沿った組付け位置が確定される。ここで、前記内壁部32は、蓋体L
1 の一対の側壁部22及び天壁部23の間に連続して設けられているが、入隅部用保護カバーC
1 が第2壁面W
2 から離間するのを防止する離間防止片としての機能を果す面からは、蓋体L
1 の天壁部23のみに形成されていてもよい。また、入隅部用保護カバーC
1 の接続口に接続される他の保護カバーの形状によっては、蓋体L
1 の側壁部22のみに内壁部32を設けてもよい。
【0040】
なお、第2壁面W
2 に配設されて、本発明の入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 の接続口26に接続される直状保護カバーC
11は、
図6及び
図13に示されるように、横断面視で凹凸を有する板状の基台V
11と、当該基台V
11に覆蓋される横断面U字状の蓋体L
11とから成り、当該基台V
11には、入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 の基台延設部2の最先端に設けられた一対の位置決め片16を挿入して、当該基台V
1 に対する基台V
11の幅方向の位置決めを行う一対の位置決め溝71が長手方向に連続して形成されている。直状保護カバーC
11の蓋体L
11は、一対の側壁部72が、基台V
11の幅に対応する幅を有して対向配置されて、天壁部73が繋がれた構成であり、基台V
11と蓋体L
11とは、当該基台V
11の幅方向の両端部に設けられた各嵌合凹部74に、前記蓋体L
11の嵌合凸部75が嵌合されることで、一体に組み付けられる(
図13参照)。
【0041】
次に、
図6~
図13を参照して、建物の入隅部Aに配管された配管材Pが、当該入隅部Aで屈曲されて、当該入隅部Aを構成する垂直な第1壁面W
1 に明けられた貫通孔Hを通して、当該配管材Pを壁裏に引き出された状態において、配管材Pの入隅部Aの屈曲配管部Pa及び前記貫通孔Hを、上記した入隅部用保護カバーC
1 で覆う施工法について説明する。第1壁面W
1 の貫通孔Hが明けられた部分は、当該貫通孔Hの第1壁面W
1 の側の周縁部を覆って、配管材Pを保護する保護リング81で覆われている。また、貫通孔Hは、新設の場合もあるが、既設の貫通孔を利用して、エアコンの室内機82を設置する場合もあるので、入隅部Aの各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 から前記貫通孔Hの外周縁までの長さは、種々存在する。本発明に係る入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 は、このような事態に対応可能とすべく、貫通孔Hの最も近い位置に基台基部1を固定可能な構造にしてある。
【0042】
図6に示される例では、貫通孔Hは、交差部A
0 から離れた位置に明けられているため、最先端の小片板部12を折り取ることなくそのまま使用する。第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に対する基台V
1 の固定位置は、基台基部1が、第1壁面W
1 における貫通孔Hの周縁部の最も近い位置に配置され、しかも基台延設部2の特定の小片板部11を、両側に隣接する各小片板部11又は同12に対して135°の角度で折り曲げて、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に配置可能な二つの各条件を満足する位置である。基台V
1 を構成する基台基部1及び各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に傾斜配置された傾斜基台延設部2aの前後の各小片板部11,12は、それぞれビスBを用いて第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定される。これにより、
図7に示されるように、基台V
1 の基台延設部2を構成する特定の小片板部11である傾斜基台延設部2aは、各壁面W
1 ,W
2 に対してしっかり固定されるので、当該基台延設部2と、後述の蓋体L
1 の各係止突起31との係止が可能となる。
【0043】
次に、第2壁面W2 において、入隅部用保護カバーC1 の基台延設部2の最先端の小片板部12に設けられた一対の位置決め片16を、直状保護カバーC11の基台V11の一対の位置決め溝71に挿入して、基台V1 に対する別の基台V11の幅方向の位置決めを行って、直状保護カバーC11の基台V11をビスBを介して第2壁面W2 に固定する。
【0044】
そして、
図6、
図7、
図14~
図16に示されるように、第1壁面W
1 上において、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 を第1壁面W
1 に密着させた状態で、各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に向けてスライドさせると、直線状の蓋体L
1 の嵌合部29に対して同じく直線状の基台V
1 の被嵌合部4が互いに嵌合された状態で、当該蓋体L
1 の開口25の側の端面が第2壁面W
2 に当接するまでスライドされる。蓋体L
1 の開口25の側の端面が第2壁面W
2 に当接する直前において、蓋体L
1 の一対の側壁部22の開口25の側の各端部に設けられた一対の係止突起31は、前記傾斜基台延設部2aの幅方向の両端部に当接することで、蓋体L
1 の一対の側壁部22が僅かに外方に拡開するように弾性変形され、当該各係止突起31が傾斜基台延設部2aを通過した後に、蓋体L
1 の一対の側壁部22は、原形状に復元して、
図15及び
図16に示されるように、左右一対の係止突起31は、前記傾斜基台延設部2aの裏面側に配置されて、接続口26に対して交差角度45°で対向する各係止面31aが、当該傾斜基台延設部2aの裏面に密着する。これにより、
図8、
図11及び
図12に示されるように、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定された基台V
1 に対して蓋体L
1 は、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 の両方向に沿ってスライド不能となって、基台V
1 に対して蓋体L
1 が一体に組み付けられて固定される。
【0045】
ここで、各壁面W1 ,W2 に固定配置された基台V1 に対する蓋体L1 の組付けは、上記した方向のスライドによる他に、固定配置された基台V1 に対して蓋体L1 を各壁面W1 ,W2 の交差部A0 に向けて押し付けることも可能であり、この場合には、対向配置された各側壁部22が外方に僅かに弾性変形されて、対向配置された各嵌合部29が外方に押し拡げられた後に、原位置に復元することで、基台V1 の被嵌合部4と、蓋体L1 の嵌合部29とが嵌合される。更に、各壁面W1 ,W2 に入隅部用保護カバーC1 及び直状保護カバーC11の各基台V1 ,V11を接続状態で固定配置して、各基台C1 ,C11に配管材Pを配設した後に、直状保護カバーC11の基台V11に蓋体L11を、第2壁面W2 に対して垂直な方向に押し付けて組み付けた後に、入隅部用保護カバーC1 の蓋体L1 を第1壁面W1 に沿ってスライドさせて第2壁面W2 に対して押し付け、固定配置されている基台V1 に対して蓋体L1 を組み付けることで、組付け済の直状保護カバーC11の蓋体L11の端部は、入隅部用保護カバーC1 の蓋体L1 で覆われた状態で、第2壁面W2 に向けて押し付けられる。このため、入隅部用保護カバーC1 及び直状保護カバーC11の各蓋体L1 ,L11の押付け方向が同一となって、入隅部用保護カバーC1 及び直状保護カバーC11の双方がしっかりと組み付けられる。なお、直状保護カバーC11の蓋体L11と、入隅部用保護カバーC1 の蓋体L1 とを互いに接続状態としてから、各基台V1 ,V11に同時に組み付けてもよい。
【0046】
次に、
図11、
図13及び
図16に示されるように、直状保護カバーC
11の蓋体L
11の先端部を、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 の接続口26の内壁部32及び外壁部34との間に形成された挿入空間35に挿入して、第2壁面W
2 に固定された基台V
11に対して当該蓋体L
11を一体に組み付けると、
図9に示されるように、入隅部用保護カバーC
1 に対して直状保護カバーC
11が接続されて、
図10に示されるように、エアコンの室内機82に接続されている配管材(冷媒管)Pの室内側の部分は、入隅部用保護カバーC
1 、直状保護カバーC
11を含む複数のカバーに収容・保護される。
【0047】
このように、直状保護カバーC
11の蓋体L
11の先端部が、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 の接続口26の内壁部32及び外壁部34との間に形成された挿入空間35に挿入されると、
図11及び
図13に示されるように、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 の接続口26に形成された内壁部32における当該蓋体L
1 の天壁部23に対応する部分は、直状保護カバーC
11の蓋体L
11の天壁部73の内側に配置され、この配置構造によって、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 は、第2壁面W
2 から離間する方向にスライドできなくなる。蓋体L
1 の内壁部32における天壁部23に対応する部分の幅方向の中央部の外面は、他の部分よりも僅かに厚肉に形成された当接部32aとなっていて、当該当接部32aは、直状保護カバーC
11の蓋体L
11の天壁部73の内面に当接している(
図13参照)。この配置構造と、上記した蓋体L
1 の係止突起31と基台V
1 の傾斜基台延設部2a(11)との係止構造との双方によって、入隅部用保護カバーC
1 の蓋体L
1 は、第1壁面W
1 に沿った配設方向Qにスライド不能となって、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された基台V
1 に対して当該蓋体L
1 が一体に組み付けられる。
【0048】
このように、嵌合構造により蓋体L
1 が一体に組み付けられる基台V
1 の基台基部1は、第1壁面W
1 であって、しかも当該第1壁面W
1 に形成された貫通孔Hに最も近い部分に固定配置されているため、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定配置された基台V
1 に一体に組み付けられた蓋体L
1 の第1壁面W
1 の側の先端部37(
図9及び
図11参照)は、ビス固定を用いることなく、浮き上がりが防止されて、当該第1壁面W
1 に密着又は近接した状態が維持される。このため、ビス止めの手間がなくなって、蓋体L
1 の先端部の見栄えが良好となる。
【0049】
また、
図17~
図19に示されるように、第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 からの貫通孔Hの配置位置に応じて、最先端の1枚の小片板部12を折り取ったり、或いは全ての小片板部11,12を折り取ることで、基台V
1 の基台基部1を当該貫通孔Hに最も近い位置に固定配置することができて、ビス固定を用いることなく、蓋体L
1 の先端部37の浮き上がりを好適に防止できる。ここで、
図18は、貫通孔Hの貫通形成位置が、上記例に比較して各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に近い場合であって、直状保護カバーC
11との接続において、最先端の小片板部12が接続の障害となるので、当該最先端の小片板部12を折り取って、次の小片板部12に設けられた一対の位置決め片16を用いて、入隅部用保護カバーC
1 の基台V
1 に対する直状保護カバーC
11の基台V
11の位置決めを行う例である。
図19は、各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に近接して第1壁面W
1 に貫通孔Hが貫通形成されているため、基台V
1 の全ての小片板部11,12を折り取って、第1壁面W
1 に明けられた貫通孔Hにおける交差部A
0 と反対側に基台基部1を固定配置した例である。
【0050】
実施例1の入隅部用保護カバーC
1 では、
図20及び
図21に示される基台V
1'並びに
図22に示される基台V
1"を使用することもできる。なお、上記した基台V
1 に対応する部分は、同一符号を用いて、図示のみ行う。基台V
1'は、基台延設部40を構成していて、折曲げ可能に連結された複数の小片板部41,42の両端部に、それぞれ第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定される横長の長方形状の各基台基部43が連結された構成であり、複数の折曲げ溝44のうち特定の1又は2の折曲げ溝44を選択して折り曲げることで、
図21(a)~(c)に示されるように、異なる態様(形状)で使用可能である。このため、基台V
1'に対応する蓋体における第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に配置される側壁部には、当該基台V
1'の各基台基部43の幅方向Rの両端部に配設方向Qに沿って形成された各被嵌合部45に対応する嵌合部がそれぞれ形成される。
【0051】
基台V
1"は、折曲げ溝46を介して折曲げ可能な2枚の小片板部47に、それぞれ第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に固定される基台基部48が折曲げ溝46を介して折曲げ可能に連結され、各基台基部48に、当該各基台基部48に連結される直状保護カバーC
11の基台V
11の幅方向の位置決めを行う一対の位置決め片16が形成された構成である。
図22(a)の使用例では、2枚の小片板部47は、各壁面W
1 ,W
2 に密着されることなく、各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 に傾斜配置され、
図22(b)の使用例では、2枚の小片板部47は、それぞれ第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に密着状態で固定配置される。なお、基台V
1"に対応する蓋体は、上記実施例1の蓋体L
1 のように、配管材Pの配設方向Qに沿った一端部が閉塞板部27で閉塞されておらず、配管材Pの配設方向Qに沿った両端部に、いずれも接続口が設けられた構成であって、入隅部Aを構成する第1及び第2の各壁面W
1 ,W
2 に配設される各直状保護カバーの端部を、当該入隅部Aで接続するものである。
【0052】
また、
図21(b),(c)に示されるように、上記した基台V
1'を構成する複数の小片板部41,42のうち、各壁面W
1 ,W
2 に対して傾斜配置される小片板部41,42の選択により、傾斜基台延設部40aの各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 からの距離が異なる。これに対応して、蓋体に形成されて、基台V
1'の傾斜基台延設部40aに係止される係止突起の形成位置は、前記交差部A
0 からの距離が異なる位置に複数が設けられる。
【0053】
また、上記した基台V1 において、各小片板部11,12の幅を、基台基部1の幅と同一にして、当該各小片板部11,12の幅方向の両端部に、蓋体L1 の嵌合部29と嵌合される被嵌合部を形成してもよい。更に、各壁面W1 ,W2 に傾斜姿勢で配置されて、蓋体の係止突起に係止される傾斜基台延設部2a,40aに対応する部材は、別体で形成してもよい。
【実施例2】
【0054】
次に、
図23~
図26を参照して、本発明の実施例2の入隅部用保護カバーC
2 について説明する。入隅部用保護カバーC
2 は、第1壁面W
1 における各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 と貫通孔Hとの間に固定配置される基台V
2 と、配管材Pの屈曲配管部Paと前記貫通孔Hとを覆った状態で、前記基台V
2 に一体に組み付けられる蓋体L
2 とから成る。
【0055】
基台V
2 は、
図24に示されるように、長方形板の一方の長辺が貫通孔Hに対応する円弧凹状に形成された基台基部51の配設方向Qと直交する幅方向Rの両端部に厚肉状の立壁52がそれぞれ形成され、当該各立壁52の外側部が直線状の被嵌合部53となっている。基台基部51における各立壁52の内側には、補強突部54が配設方向Qに形成され、基台基部51の一方の長辺の部分には、薄肉状の直線状の立壁55が設けられていると共に、基台基部51の円弧凹状に形成された部分における幅方向の両端部は、別の薄肉状の立壁56が形成され、基台基部51における幅方向Rの両端部には、ビスBを挿通する長孔状のビス孔57が形成されている。
【0056】
蓋体L
2 は、
図25に示されるように、実施例1の蓋体L
1 に対して、一対の側壁部22及び天壁部23のみの長さを短くし、かつ係止突起31を欠落させて、残りの部分は、同一形状にしたものであるので、対応部分に同一符号又は同一符号に「’」を付して、図示のみ行う。
【0057】
よって、
図23及び
図26に示されるように、第1壁面W
1 における各壁面W
1 ,W
2 の交差部A
0 と貫通孔Hとの間に、入隅部用保護カバーC
2 の基台V
2 を固定配置すると共に、第2壁面W
2 の設定位置に直状保護カバーC
11の基台V
11を固定配置した状態で、第1壁面W
1 上において入隅部用保護カバーC
2 の蓋体L
2 を配設方向Qにスライドさせて、開口25の端面を当該第2壁面W
2 に当接させて、基台V
2 の被嵌合部53と蓋体L
2 の嵌合部29’とを嵌合させる。その後に、第2壁面W
2 上において、直状保護カバーC
11の蓋体L
11を配設方向Qにスライドさせて、その先端部を、前記蓋体L
2 の内壁部32と外壁部34との間の挿入空間35に挿入させた状態で、嵌合凹部74と嵌合凸部75との嵌合により、第2壁面W
2 に固定配置された基台V
11に対して蓋体L
11を一体に組み付けると、前記蓋体L
2 は、その内壁部32が、第2壁面W
2 に対して固定配置された直状保護カバーC
11の蓋体L
11の天壁部73の内側面に当接することで、入隅部用保護カバーC
2 の蓋体L
2 は、第2壁面W
2 に対して離間することなく、基台V
2 に対して一体に組み付けられる。
【0058】
なお、基台V1"の部分で説明したように、本発明は、配管材を壁裏に引き出すための貫通孔が、入隅部を構成する一方の壁面に形成されて、入隅部を構成する各壁面の少なくとも一方に固定された基台に対して一体に組み付けられる蓋体は、配管材の屈曲配管部及び前記貫通孔を覆うために、蓋体における貫通孔が形成された側に配置される部分の配設方向に沿った先端部は、閉塞板部27で閉塞されている。しかし、本発明は、蓋体における配管材Pの配設方向Qに沿った一端部が閉塞板部27で閉塞されておらず、配管材Pの配設方向Qに沿った両端部に、いずれも接続口が設けられた構成であって、入隅部Aを構成する第1及び第2の各壁面W1 ,W2 に配設される各直状保護カバーの端部を、当該入隅部Aで接続する構成のものに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
A:入隅部
A0 :各壁面の交差部
C1 ,C2 :入隅部用保護カバー
C11:直状保護カバー
H:貫通孔
L1,L2 :入隅部用保護カバーの蓋体
L11:直状保護カバーの蓋体
P:配管材(配線・配管材)
Pa:屈曲配管部
Q:配管材の配設方向
R:配設方向と直交する幅方向
V1,V2 :入隅部用保護カバーの基台
V11:直状保護カバーの基台
W1 :第1壁面
W2 :第2 壁面
θ:傾斜基台延設部の交差角度
1:基台基部
2:基台延設部
2a:傾斜基台延設部
4:被嵌合部
11,12:小片板部
13:折取り溝
16:位置決め片(指標部)
21:配管空間路
22:側壁部
23:天壁部
26:接続口
29:嵌合部
31:係止突起
31a :係止面
32:内壁部(離間防止内壁部)
34:外壁部
35:挿入空間
37:蓋体の先端部
51:基台基部
53:被嵌合部