(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/18 20060101AFI20220215BHJP
F01N 3/023 20060101ALI20220215BHJP
B01D 46/42 20060101ALN20220215BHJP
F02D 29/00 20060101ALN20220215BHJP
F02D 11/06 20060101ALN20220215BHJP
【FI】
F01N3/18 B ZAB
F01N3/023 Z
B01D46/42
F02D29/00 C
F02D11/06 B
(21)【出願番号】P 2018103368
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑山 充治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 哲司
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-155532(JP,A)
【文献】特開2005-146904(JP,A)
【文献】特開2005-282549(JP,A)
【文献】特開2005-155530(JP,A)
【文献】特開2003-065032(JP,A)
【文献】特開2011-252435(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0072418(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00-3/38
F02D 11/00,29/00
B01D 46/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガス通路に設けられて、粒子状物質を捕集する粒子状物質除去フィルタを備えた排気ガス浄化装置であって、
前記粒子状物質除去フィルタに所定量以上の前記粒子状物質が堆積したか否かを判定する堆積判定手段と、
前記堆積判定手段により前記粒子状物質除去フィルタに所定量以上の前記粒子状物質が堆積したと判定された場合に、前記粒子状物質除去フィルタに堆積した前記粒子状物質を燃焼焼却させて前記粒子状物質除去フィルタを再生させる自動再生手段と、
前記粒子状物質除去フィルタの再生中に、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置した状態で、前記リバースレンジが所定第1時間継続し、又は、所定第1速度以下で
車両後方へ走行し、若しくは、所定第1距離だけ
車両後方へ走行した場合には、前記自動再生手段による前記粒子状物質除去フィルタの再生を中断するように制御する制御装置と、
を備えた、
排気ガス浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気ガス浄化装置において、
前記制御装置は、
前記粒子状物質除去フィルタの再生の中断中において、前記シフトレバーのシフト位置がリバースレンジ以外のレンジに位置した状態で、所定第2速度以上で走行し、又は、所定第2時間以上走行し、若しくは、所定第2距離以上走行した場合に、前記自動再生手段による前記粒子状物質除去フィルタの再生を再開するように制御する、
排気ガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気ガス浄化装置において、
前記制御装置は、
前記粒子状物質除去フィルタの再生の中断中において、前記シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置した状態で、前記所定第1距離よりも長い所定第3距離を走行した場合に、前記自動再生手段による前記粒子状物質除去フィルタの再生を再開するように制御する、
排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンから排出される排気ガスを浄化処理する排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ(通常、Diesel Particulate Filterと呼ばれ、以下、「DPF」という。)等の浄化処理部材を備えている。ここで、排気ガスを浄化処理するDPFは、排気ガス中の粒子状物質を捕集するものであることから、粒子状物質が堆積して目詰まりにより排気抵抗が増加しないうちにDPF内の粒子状物質を燃焼焼却させて、DPFの捕集機能を再生させることができる排気ガス浄化装置に関する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に記載された排気浄化装置では、DPFの再生開始要求が出力されて再生モードになった際、停車、エンジン回転数が再生時ドライブレンジアイドル回転数よりも低い、自動変速機のシフトレバーがリバースレンジにある、という3つの条件のうち、いずれかが成立するとDPFの再生禁止状態となる。そして、再生禁止状態にある時、走行、アクセルON、エンジン回転数が再生時ドライブレンジアイドル回転数以上、自動変速機のシフトレバーがリバースレンジにない、という4つの条件が共に成立した場合にのみ、DPFの再生を許可してDPFの再生が行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載された排気浄化装置では、DPFの再生が許可されて再生禁止状態にない時に、自動変速機のシフトレバーがリバースレンジに移行した場合には、DPFの再生禁止状態となり、DPFの再生が中断される。その結果、停車時に、シフトレバーをドライブレンジ→ニュートラルレンジ→リバースレンジ→パーキングレンジへとシフトすると、DPFの再生禁止状態となり、DPFの再生が中断される。また、赤信号停車時等、前進での駐停車時に、DPFの再生禁止状態となり、DPFの再生が中断される。その結果、DPFの再生中断の頻度が高くなり、DPFの再生中断時に排気ガス中に噴霧される燃料の消費量が多くなり燃費が悪化する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、DPFの再生中断の頻度を減少させることができる排気ガス浄化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、内燃機関の排気ガス通路に設けられて、粒子状物質を捕集する粒子状物質除去フィルタを備えた排気ガス浄化装置であって、前記粒子状物質除去フィルタに所定量以上の前記粒子状物質が堆積したか否かを判定する堆積判定手段と、前記堆積判定手段により前記粒子状物質除去フィルタに所定量以上の前記粒子状物質が堆積したと判定された場合に、前記粒子状物質除去フィルタに堆積した前記粒子状物質を燃焼焼却させて前記粒子状物質除去フィルタを再生させる自動再生手段と、前記粒子状物質除去フィルタの再生中に、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置した状態で、前記リバースレンジが所定第1時間継続し、又は、所定第1速度以下で車両後方へ走行し、若しくは、所定第1距離だけ車両後方へ走行した場合には、前記自動再生手段による前記粒子状物質除去フィルタの再生を中断するように制御する制御装置と、を備えた、排気ガス浄化装置である。
【0008】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記制御装置は、前記粒子状物質除去フィルタの再生の中断中において、前記シフトレバーのシフト位置がリバースレンジ以外のレンジに位置した状態で、所定第2速度以上で走行し、又は、所定第2時間以上走行し、若しくは、所定第2距離以上走行した場合に、前記自動再生手段による前記粒子状物質除去フィルタの再生を再開するように制御する、排気ガス浄化装置である。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明又は第2の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記制御装置は、前記粒子状物質除去フィルタの再生の中断中において、前記シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置した状態で、前記所定第1距離よりも長い所定第3距離を走行した場合に、前記自動再生手段による前記粒子状物質除去フィルタの再生を再開するように制御する、排気ガス浄化装置である。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、粒子状物質除去フィルタ(以下、「DPF」という。)の再生中に、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置した状態で、リバースレンジが所定第1時間継続し、又は、所定第1速度以下で車両後方へ走行し、若しくは、所定第1距離だけ車両後方へ走行した場合に、自動再生手段によるDPFの再生が中断される。これにより、停車時に、シフトレバーがドライブレンジ→ニュートラルレンジ→リバースレンジ→パーキングレンジへとシフトされても、リバースレンジに所定第1時間よりも短い時間だけ位置して、パーキングレンジに移動するため、シフトレバーの一時的なリバースレンジの通過等によって、DPFの再生が中断されるのを回避できる。また、赤信号停車時等、前進での駐停車時に、シフトレバーは、リバースレンジに位置しないため、DPFの再生中断を回避できる。
【0011】
また、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置した状態で、所定第1時間が経過し、又は、所定第1速度以下、例えば、時速5キロメートル以下で後進し、若しくは、所定第1距離以上、例えば、2m~3m以上の距離だけ後進して駐車するような場合に、DPFの再生が中断される。従って、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置して、車両が確実に後進した場合に、例えば、後退駐車するような場合に、DPFの再生を中断することができる。その結果、DPFの再生中断の頻度を減少させることができ、DPFの再生中断時に排気ガス中に噴霧される燃料の消費量を少なくすることが可能となり、燃費の改善を図ることができる。
【0012】
第2の発明によれば、DPFの再生の中断中において、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジ以外のレンジに位置した状態で、所定第2速度以上で走行し、又は、所定第2時間以上走行し、若しくは、所定第2距離以上走行した場合に、DPFの再生が再開される。従って、DPFの再生の中断中において、車両が前方に所定第2速度以上で走行し、又は、所定第2時間以上走行し、若しくは、所定第2距離以上走行した際に、DPFの再生を再開させることができる。これにより、十分な排気温度での運転状態において、DPFの再生を再開させることができ、DPFの再生に要する時間を短くすることが可能となる。
【0013】
第3の発明によれば、DPFの再生の中断中において、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置した状態で、所定第1距離よりも長い所定第3距離を走行した場合に、DPFの再生が再開される。これにより、シフトレバーのシフト位置がリバースレンジに位置していても、所定第3距離、例えば、約20m以上後進した場合には、DPFの再生が再開されるため、DPFの再生に要する時間を短くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る排気ガス浄化装置を備えた内燃機関を示す図である。
【
図2】DPFの再生を開始する再生開始制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】DPFを再生する再生制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】後退駐車時における、DPFの再生中断を説明する図である。
【
図5】シフトレバーのレバー操作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る排気ガス浄化装置を具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明に係る排気ガス浄化装置を適用した内燃機関10の構成の一例を示している。内燃機関10は、ディーゼルエンジンである。尚、以下の説明において、DPF43は、粒子状物質除去フィルタ(Diesel Particulate Filter)に相当している。また、DPF43よりも下流側の排気通路に配置されて窒素酸化物(NOx)を無害化する選択還元触媒等については、記載を省略している。
【0016】
図1に示すように、内燃機関10の排気通路12には、フィルターケース41が設けられている。また、フィルターケース41の内部には、上流側から、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)42、DPF43が設けられている。フィルターケース41は、排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが通過する間に、排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。ここで、内燃機関10は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等の有害物質を、排気ガスと一緒に排出してしまうものである。
【0017】
酸化触媒42は、セラミック製の円柱状等に形成されたセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に白金(Pt)等の貴金属がコーティングされている。そして、酸化触媒42は、所定の温度下で多数の貫通孔に排気ガスを通すことにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。
【0018】
DPF43は、セラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円柱状等に形成され、軸方向に多数の小孔が設けられたハニカム構造のセル状筒体をなし、各小孔は、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材によって閉塞されている。そして、DPF43は、上流側から各小孔に流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質(PM)を捕集し、排気ガスのみを隣の小孔を通じて下流側へと流出させる。
【0019】
酸化触媒42の上流側(フィルターケース41の上流側)には、燃料添加弁28と、排気温度検出装置36A(例えば、排気温度センサ)と、が設けられている。燃料添加弁28は、微粒子が堆積したDPF43を再生する際(粒子状物質を燃焼焼却する際)に、酸化触媒42内で排気ガスと反応させて排気ガスの温度を上昇させるための燃料を噴射する。また、酸化触媒42の下流側、かつ、DPF43の上流側には、排気温度検出装置36B(例えば、排気温度センサ)が設けられている。
【0020】
DPF43の下流側(フィルターケース41の下流側)には、排気温度検出装置36C(例えば、排気温度センサ)が設けられている。また、フィルターケース41内における、酸化触媒42の下流側、且つ、DPF43の上流側の排気圧力(排気管内圧力に相当)と、DPF43の下流側の排気管内圧力と、の差圧(圧力差)を検出する差圧検出装置35(例えば、差圧センサ)が設けられている。
【0021】
燃料添加弁28は、制御装置(ECU:Electronic Control Unit)50からの制御信号にて駆動される。制御装置50は、不図示のCPU、RAM、ROM、バックアップRAM、タイマ等を備えた公知のものである。CPUは、ROMに記憶された各種プログラムやマップに基づいて、種々の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各検出装置から入力されたデータ等を一時的に記憶し、バックアップRAMは、例えば、内燃機関10の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
【0022】
また、排気温度検出装置36Aは、酸化触媒42の上流側の排気管内の排気ガスの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また、排気温度検出装置36Bは、酸化触媒42の下流側、且つ、DPF43の上流側を流れる排気ガスの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また、排気温度検出装置36Cは、DPF43の下流側の排気管内の排気ガスの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。差圧検出装置35は、酸化触媒42の下流側、且つ、DPF43の上流側の排気圧力(排気管内圧力に相当)と、DPF43の下流側の排気管内圧力と、の差圧に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0023】
制御装置50には、吸気通路11に設けられた吸入空気流量検出装置31(例えば、エアフローメーター)の検出信号、アクセル開度検出装置33の検出信号、回転検出装置34の検出信号、のそれぞれが入力されている。また、制御装置50には、自動変速機のシフトレバー21(
図5参照)が、ドライブレンジD、ニュートラルレンジN、リバースレンジR、パーキングレンジP(
図5参照)のいずれのシフト位置にあるかを検出可能な自動変速機制御コンピュータ(Automatic Transmission Electronic Control Unit、以下、「ATECU」という。)17の検出信号、車速を検出する車速センサ18の検出信号、のそれぞれが入力されている。また、制御装置50には、手動再生スイッチ16からの信号が入力される。例えば、手動再生スイッチ16が押下された場合には、手動再生スイッチ16からON信号が制御装置50に入力される。
【0024】
また、制御装置50には、上述した各排気温度検出装置36A、36B、36Cの検出信号、差圧検出装置35の検出信号が入力されている。そして制御装置50は、これらの検出装置からの検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出することができる。また制御装置50は、検出した内燃機関10の運転状態や、アクセル開度検出装置33からの検出信号に基づいた運転者からの要求に応じて、各インジェクタ14A~14Dから内燃機関10のシリンダ内に噴射する燃料量や、燃料添加弁28から噴射する燃料量を制御する制御信号を出力する。また、制御装置50は、手動再生督促ランプ15の駆動信号を出力する。
【0025】
燃料添加弁28から排気ガス中に噴射された燃料は、酸化触媒42によって排気ガス中に残った酸素との酸化反応が生じて燃焼し、その発熱により排気ガス温度が上昇する。この高温になった排気ガスによりDPF43の床温が上昇して、所定温度以上(例えば、590℃以上)になると、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)が燃焼焼却される。このような状態を所定の時間、維持することによってDPF43内に堆積した粒子状物質を燃焼させて除去し、排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集するというDPF43の捕集機能を回復させることができる。
【0026】
吸入空気流量検出装置31(例えば、吸気流量センサ)は、内燃機関10の吸気通路11に設けられて内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。アクセル開度検出装置33(例えば、アクセル開度センサ)は、運転者が操作するアクセルの開度(すなわち、運転者の要求負荷)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。回転検出装置34(例えば、回転センサ)は、例えば内燃機関10のクランクシャフトの回転数(すなわち、エンジン回転数)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0027】
手動再生督促ランプ15は、例えば、車両のインスツルメントパネル内に設けられ、後述のようにDPF43の再生の開始を要求する再生開始要求が出力された際に(
図2参照)、制御装置50によって点灯される。また、DPF43の再生が終了した場合には、手動再生督促ランプ15は、制御装置50によって消灯される。また、手動再生スイッチ16は、例えば、手動再生督促ランプ15の近傍に配置される。そして、制御装置50は、後述のように手動再生スイッチ16が押下されて、この手動再生スイッチ16からON信号が入力された場合には、DPF43の再生の開始を要求する再生開始要求を出力し、DPF43の手動再生が行われる(
図2参照)。
【0028】
次に、上記のように構成された内燃機関10において、制御装置50によるDPF43に堆積した粒子状物質(PM)を燃焼焼却させて、DPF43の捕集機能を再生させる制御処理手順の一例について
図2乃至
図4に基づいて説明する。先ず、制御装置50がDPF43の再生を開始する再生開始制御の処理手順について
図2に基づいて説明する。尚、制御装置50は、内燃機関10の運転中に、所定時間間隔(例えば、数10msec~数100msec間隔)にて、
図2のフローチャートに示される処理手順を繰り返し実行する。
【0029】
図2に示すように、先ず、ステップS11において、制御装置50は、手動再生スイッチ16が押下された否か、つまり、手動再生スイッチ16からON信号が入力されたか否かを判定する。そして、手動再生スイッチ16からON信号が入力されていないと判定した場合には(S11:NO)、制御装置50は、ステップS12に進む。ステップS12において、制御装置50は、中断フラグを不図示のRAMから読み出し、DPF43の再生が中断されている旨を表す「ON」に設定されているか否かを判定する。尚、制御装置50が起動された際に、中断フラグは、「OFF」に設定されてRAMに記憶される。
【0030】
そして、中断フラグが「OFF」に設定されている、つまり、DPF43の再生の中断中でないと判定した場合には(S12:NO)、制御装置50は、ステップS13に進む。ステップS13において、制御装置50は、差圧検出装置35から入力された検出信号に基づいて、フィルターケース41内における、酸化触媒42の下流側、且つ、DPF43の上流側の排気圧力(排気管内圧力に相当)と、DPF43の下流側の排気管内圧力との差圧を検出する。
【0031】
そして、制御装置50は、この差圧に基づいて堆積量マップを参照し、DPF43における粒子状物質(PM)の堆積量を推定する。尚、粒子状物質の堆積量の推定に用いる堆積量マップは、差圧と粒子状物質の堆積量との相関関係を考慮して、実験・計算等によって適合した堆積量の値をマップ化したものであって、例えば、制御装置50のROMに記憶されている。また、これに限らず、前回のDPF43の再生制御が終了した後の内燃機関10の運転履歴から粒子状物質の生成量を算出し、これに基づいてDPF43における粒子状物質の堆積量を推定してもよい。
【0032】
続いて、制御装置50は、DPF43における粒子状物質(PM)の堆積量の推定値が所定の閾値(所定量)に達したか否かを判定する。そして、DPF43における粒子状物質の堆積量の推定値が所定の閾値(所定量)に達していないと判定した場合には(S13:NO)、制御装置50は、当該処理を終了する。一方、DPF43における粒子状物質の堆積量の推定値が所定の閾値(所定量)に達したと判定した場合には(S13:YES)、制御装置50は、ステップS14に進む。
【0033】
ステップS14において、制御装置50は、各排気温度検出装置36A、36B、36Cの検出信号に基づいて床温マップを参照して、DPF43の床温を推測する。尚、床温マップは、各排気温度検出装置36A、36B、36Cの検出信号とDPF43の床温との相関関係を考慮して、実験・計算等によって適合したDPF43の床温をマップ化したものであって、例えば、制御装置50のROMに記憶されている。
【0034】
続いて、制御装置50は、この推測したDPF43の床温が所定温度(例えば、200℃~300℃)以上か否かを判定する。そして、推測したDPF43の床温が所定温度未満であると判定した場合には(S14:NO)、制御装置50は、当該処理を終了する。一方、推測したDPF43の床温が所定温度以上であると判定した場合には(S14:YES)、制御装置50は、ステップS15に進む。
【0035】
ステップS15において、制御装置50は、内燃機関10の運転状態が長時間(例えば、5分以上)のアイドル状態であるか否かを判定する。そして、内燃機関10の運転状態が長時間(例えば、5分以上)のアイドル状態であると判定した場合には(S15:YES)、制御装置50は、当該処理を終了する。一方、内燃機関10の運転状態が長時間(例えば、5分以上)のアイドル状態でないと判定した場合には(S15:NO)、制御装置50は、ステップS16に進む。
【0036】
ステップS16において、制御装置50は、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求を出力する。また、制御装置50は、手動再生督促ランプ15を点灯した後、当該処理を終了する。つまり、制御装置50は、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射して、DPF43内に堆積した粒子状物質を燃焼するように要求する再生開始要求を出力した後、当該処理を終了する。
【0037】
一方、前記ステップS11で手動再生スイッチ16からON信号が入力されたと判定した場合には(S11:YES)、制御装置50は、手動再生スイッチ16が押下されたと判定して、ステップS17に進む。ステップS17において、制御装置50は、RAMから再生スイッチフラグを読み出し、「ON」に設定して再度RAMに記憶した後、前記ステップS16に進み、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求を出力した後、当該処理を終了する。尚、制御装置50が起動された際に、再生スイッチフラグは、「OFF」に設定されてRAMに記憶される。
【0038】
他方、前記ステップS12で、中断フラグが「ON」に設定されている、つまり、DPF43の再生の中断中であると判定した場合には(S12:YES)、制御装置50は、ステップS18に進む。ステップS18において、制御装置50は、ATECU17から入力されたシフトレバー21のシフト位置の検出信号がリバースレンジR以外であるか否かを判定する。そして、ATECU17から入力されたシフトレバー21のシフト位置の検出信号がリバースレンジR以外であると判定した場合、つまり、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされていると判定した場合には(S18:YES)、制御装置50は、ステップS19に進む。
【0039】
ステップS19において、制御装置50は、車速センサ18から入力された検出信号に基づいて、車速が所定値以上(第2速度以上)か否か、例えば、車速が時速15キロメートル以上であるか否かを判定する。そして、車速が所定値以上(第2速度以上)である、例えば、時速15キロメートル以上であると判定した場合には(S19:YES)、制御装置50は、後述のステップS21に進む。
【0040】
一方、車速が所定値未満(第2速度未満)である、例えば、時速15キロメートル未満であると判定した場合には(S19:NO)、制御装置50は、ステップS20に進む。ステップS20において、制御装置50は、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされてから所定時間以上(第2時間以上)(例えば、5秒~9秒以上)走行したか否かを判定する。そして、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされてから所定時間以上(第2時間以上)(例えば、5秒~9秒以上)走行していないと判定した場合には(S20:NO)、制御装置50は、中断フラグが「ON」に設定された状態を維持して、つまり、後述のように、DPF43の再生の中断状態を維持して、当該処理を終了する。
【0041】
例えば、
図4に示すように、後退駐車時に、後述のように、中断フラグが「ON」に設定されている車両位置61Dにおいて、車両の向き方向を修正するために、シフトレバー21のシフト位置がリバースレンジRからドライブレンジDにシフトされて、車両位置61Dから車両位置61Eまで前進して停止する。この場合には、制御装置50は、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされてから所定時間以上(第2時間以上)(例えば、5秒~9秒以上)走行していないと判定して(S20:NO)、制御装置50は、中断フラグが「ON」に設定された状態を維持して、つまり、後述のように、DPF43の再生の中断状態を維持して、当該処理を終了する。
【0042】
一方、
図2に示すように、前記ステップS20で、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされてから所定時間以上(第2時間以上)(例えば、5秒~9秒以上)走行したと判定した場合には(S20:YES)、制御装置50は、ステップS21に進む。ステップS21において、制御装置50は、中断フラグをRAMから読み出して「OFF」に設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS16に進み、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求を出力した後、当該処理を終了する。つまり、制御装置50は、DPF43の再生の中断を終了して、再度、DPF43の捕集機能の再生を再開するように要求する再生開始要求を出力する。
【0043】
尚、前記ステップS20において、制御装置50は、車速センサ18から入力された検出信号に基づいて、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされてから所定距離以上(第2距離以上)(例えば、10m以上)車両前方へ走行したか否かを判定するようにしてもよい。そして、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされてから所定距離以上(第2距離以上)(例えば、10m以上)車両前方へ走行していないと判定した場合には(S20:NO)、制御装置50は、中断フラグが「ON」に設定された状態を維持して、つまり、後述のように、DPF43の再生の中断状態を維持して、当該処理を終了するようにしてもよい。
【0044】
一方、シフトレバー21がリバースレンジR以外にシフトされてから所定距離以上(第2距離以上)(例えば、10m以上)車両前方へ走行したと判定した場合には(S20:YES)、制御装置50は、ステップS21に進むようにしてもよい。そして、ステップS21において、制御装置50は、中断フラグをRAMから読み出して「OFF」に設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS16に進み、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求を出力した後、当該処理を終了するようにしてもよい。つまり、制御装置50は、DPF43の再生の中断を終了して、再度、DPF43の捕集機能の再生を再開するように要求する再生開始要求を出力するようにしてもよい。
【0045】
他方、前記ステップS18で、ATECU17から入力されたシフトレバー21のシフト位置の検出信号がリバースレンジRであると判定した場合、つまり、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされていると判定した場合には(S18:NO)、制御装置50は、ステップS22に進む。ステップS22において、制御装置50は、車両後方へ所定距離(第3距離)(例えば、距離約20mである。)継続して走行したか否かを判定する。そして、車両後方へ所定距離(第3距離)(例えば、距離約20mである。)継続して走行していないと判定した場合には(S22:NO)、制御装置50は、中断フラグが「ON」に設定された状態を維持して、つまり、後述のように、DPF43の再生の中断状態を維持して、当該処理を終了する。
【0046】
一方、車両後方へ所定距離(第3距離)(例えば、距離約20mである。)継続して走行したと判定した場合には(S22:YES)、制御装置50は、後退駐車しないで、車両後方へ走行していると判定して、前記ステップS21に進む。ステップS21において、制御装置50は、中断フラグをRAMから読み出して「OFF」に設定して、再度RAMに記憶した後、ステップS16に進み、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求を出力した後、当該処理を終了する。つまり、制御装置50は、DPF43の再生の中断を終了して、再度、DPF43の捕集機能の再生の再開を要求する再生開始要求を出力する。
【0047】
次に、制御装置50がDPF43の捕集機能を再生する再生制御の処理手順について
図3に基づいて説明する。尚、制御装置50は、内燃機関10の運転中に、所定時間間隔(例えば、数10msec~数100msec間隔)にて、
図3のフローチャートに示される処理手順を繰り返し実行する。
【0048】
図3に示すように、先ず、ステップS31において、制御装置50は、前記ステップS16で再生開始要求が出力されたことに伴って、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射しているか否か、つまり、DPF43の捕集機能の再生中であるか否かを判定する。そして、DPF43の捕集機能の再生中でないと判定した場合には(S31:NO)、制御装置50は、ステップS32に進む。
【0049】
ステップS32において、制御装置50は、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求が出力されたか否かを判定する。そして、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求が出力されていないと判定した場合には(S32:NO)、制御装置50は、ステップS33に進む。ステップS33において、制御装置50は、再生禁止とし、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射しないように設定して、当該処理を終了する。
【0050】
一方、DPF43の捕集機能の再生を要求する再生開始要求が出力されていると判定した場合には(S32:YES)、制御装置50は、ステップS34に進む。ステップS34において、制御装置50は、再生許可とし、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射し、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)の燃焼焼却を行って、当該処理を終了する。
【0051】
他方、前記ステップS31で、DPF43の捕集機能の再生中である、つまり、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射していると判定した場合には(S31:YES)、制御装置50は、ステップS35に進む。ステップS35において、制御装置50は、差圧検出装置35から入力された検出信号に基づいて、フィルターケース41内における、酸化触媒42の下流側、且つ、DPF43の上流側の排気圧力(排気管内圧力に相当)と、DPF43の下流側の排気管内圧力との差圧を検出する。
【0052】
そして、制御装置50は、この差圧に基づいて堆積量マップを参照し、DPF43に残存する粒子状物質(PM)の堆積量を推定する。続いて、制御装置50は、DPF43に残存する粒子状物質(PM)の堆積量が実質的にゼロといえる所定値に達したか否かを判定する。そして、DPF43に残存する粒子状物質(PM)の堆積量が実質的にゼロといえる所定値に達していないと判定した場合には(S35:NO)、制御装置50は、ステップS36に進む。
【0053】
ステップS36において、制御装置50は、RAMから再生スイッチフラグを読み出し、「ON」に設定されているか否か、つまり、手動再生スイッチ16が押下されたか否かを判定する。そして、再生スイッチフラグが「ON」に設定されていると判定した場合には(S36:YES)、制御装置50は、前記ステップS34に進む。ステップS34において、制御装置50は、再生許可とし、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射し、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)の燃焼焼却を継続して行い、当該処理を終了する。従って、手動再生スイッチ16が押下された場合には、制御装置50は、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされても、DPF43の捕集機能の再生を中断しない。
【0054】
一方、再生スイッチフラグが「OFF」に設定されていると判定した場合、つまり、手動再生スイッチ16が押下されていないと判定した場合には(S36:NO)、制御装置50は、ステップS37に進む。ステップS37において、制御装置50は、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされたか否かを判定する。そして、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされていないと判定した場合には(S37:NO)、制御装置50は、前記ステップS34に進む。ステップS34において、制御装置50は、再生許可とし、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射し、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)の燃焼焼却を継続して行い、当該処理を終了する。
【0055】
また、一方、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされたと判定した場合には(S37:YES)、制御装置50は、ステップS38に進む。ステップS38において、制御装置50は、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされてから所定時間(第1時間)(例えば、2秒~3秒)継続してリバースレンジRに位置しているか否かを判定する。そして、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされてから所定時間(第1時間)(例えば、2秒~3秒)継続してリバースレンジRに位置していないと判定した場合には(S38:NO)、制御装置50は、前記ステップS34に進む。
【0056】
ステップS34において、制御装置50は、再生許可とし、中断フラグが「OFF」に設定された状態を維持して、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射し、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)の燃焼焼却を継続して行い、当該処理を終了する。従って、
図5に示すように、赤信号で停車して、シフトレバー21が、ドライブレンジD→ニュートラルレンジN→リバースレンジR→パーキングレンジPに連続してシフトされて、シフトレバー21がリバースレンジRを一時的に通過した際等において、DPF43の捕集機能の再生が中断されることを回避することができる。
【0057】
一方、
図3に示すように、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされてから所定時間(第1時間)(例えば、2秒~3秒)継続してリバースレンジRに位置していると判定した場合には(S38:YES)、制御装置50は、ステップS39に進む。ステップS39において、制御装置50は、燃料添加弁28による排気ガス中への燃料の噴射を停止して、DPF43の捕集機能の再生を中断する。続いて、制御装置50は、中断フラグを不図示のRAMから読み出し、DPF43の再生が中断されている旨を表す「ON」に設定して、再度RAMに記憶した後、当該処理を終了する。
【0058】
例えば、
図4に示すように、DPF43の捕集機能を再生中の車両61が、車両位置61Aで減速し、車両位置61Bで停車して、シフトレバー21がドライブレンジDからリバースレンジRにシフトされて後退駐車が開始された際に、DPF43の捕集機能の再生は未だ中断されない。つまり、中断フラグは、「OFF」に設定されている。そして、車両61が車両位置61Bから車両位置61Cまで後進して、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされてから所定時間(第1時間)(例えば、2秒~3秒)継続してリバースレンジRに位置したときに、DPF43の捕集機能の再生が中断されて、中断フラグが「ON」に設定される。
【0059】
そして、車両61が車両位置61Cから車両位置61Dまで後進して停車し、車両の向き方向を修正するために、シフトレバー21がリバースレンジRからドライブレンジDにシフトされて、車両位置61Dから車両位置61Eまで前進する。この場合にも、上述のように、中断フラグが「ON」に設定された状態が維持される、つまり、DPF43の再生の中断状態が維持される。
【0060】
その後、車両61が車両位置61Eで停車し、後退駐車するために、シフトレバー21がドライブレンジDからリバースレンジRにシフトされて車両位置61Fまで後進して停車し、シフトレバー21がリバースレンジRからパーキングレンジPにシフトされる。この場合にも、上述のように、車両後方へ所定距離(第3距離)(例えば、距離約20mである。)継続走行していないと判定されて(S22:NO)、中断フラグが「ON」に設定された状態が維持される、つまり、DPF43の再生の中断状態が維持される。
【0061】
ここで、例えば、前記ステップS38において、制御装置50は、車速センサ18から入力された検出信号と経過時間とに基づいて、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされてから所定距離以上(第1距離以上)(例えば、2m~3m以上)車両後方へ走行したか否かを判定するようにしてもよい。そして、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされてから所定距離以上(第1距離以上)(例えば、2m~3m以上)車両後方へ走行していないと判定した場合には(S38:NO)、制御装置50は、前記ステップS34に進むようにしてもよい。そして、制御装置50は、ステップS34の処理を実行し、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)の燃焼焼却を継続して行い、当該処理を終了するようにしてもよい。
【0062】
一方、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされてから所定距離以上(第1距離以上)(例えば、2m~3m以上)車両後方へ走行したと判定した場合には(S38:YES)、制御装置50は、前記ステップS39に進むようにしてもよい。そして、制御装置50は、ステップS39以降の処理を実行し、DPF43の捕集機能の再生を中断すると共に、中断フラグを「ON」に設定した後、当該処理を終了するようにしてもよい。
【0063】
また、例えば、前記ステップS38において、制御装置50は、車速センサ18から入力された検出信号に基づいて、所定速度以下(第1速度以下)(例えば、時速5キロメートル以下)で車両後方へ走行しているか否かを判定するようにしてもよい。そして、所定速度以下(第1速度以下)(例えば、時速5キロメートル以下)で車両後方へ走行していないと判定した場合には(S38:NO)、制御装置50は、前記ステップS34に進むようにしてもよい。そして、制御装置50は、ステップS34の処理を実行し、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)の燃焼焼却を継続して行い、当該処理を終了するようにしてもよい。
【0064】
一方、所定速度以下(第1速度以下)(例えば、時速5キロメートル以下)で車両後方へ走行していると判定した場合には(S38:YES)、制御装置50は、前記ステップS39に進むようにしてもよい。そして、制御装置50は、ステップS39以降の処理を実行し、DPF43の捕集機能の再生を中断すると共に、中断フラグを「ON」に設定した後、当該処理を終了するようにしてもよい。
【0065】
他方、
図3に示すように、前記ステップS35で、DPF43に残存する粒子状物質(PM)の堆積量が実質的にゼロといえる所定値に達したと判定した場合には(S35:YES)、制御装置50は、ステップS41に進む。ステップS41において、制御装置50は、再生禁止とし、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射しないように設定して、DPF43の捕集機能の再生を終了する。続いて、ステップS42において、制御装置50は、不図示のRAMから再生スイッチフラグを読み出し、「OFF」に設定して再度RAMに記憶する。また、制御装置50は、手動再生督促ランプ15を消灯した後、当該処理を終了する。
【0066】
これにより、DPF43内に堆積した粒子状物質(PM)の燃焼焼却が終了し、DPF43の捕集機能が再生される。尚、内燃機関10の運転が停止した際には、制御装置50は、再生禁止とし、燃料添加弁28から排気ガス中に燃料を噴射しないように設定して、DPF43の捕集機能の再生を中止すると共に、中断フラグを不図示のRAMから読み出し、「OFF」に設定し、中断フラグを初期化して再度RAMに記憶する。
【0067】
ここで、制御装置50と燃料添加弁28は、自動再生手段の一例として機能する。ATECU17は、レバー位置検出装置の一例として機能する。制御装置50、差圧検出装置35、各排気温度検出装置36A~36Cは、堆積判定手段の一例を構成する。ATECU17、車速センサ18、フィルターケース41、酸化触媒42、DPF43、差圧検出装置35、各排気温度検出装置36A~36C、燃料添加弁28、及び、制御装置50は、排気ガス浄化装置の一例を構成する。
【0068】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る内燃機関10では、DPF43の捕集機能の再生中に、シフトレバーがリバースレンジRに位置し、且つ、リバースレンジRに所定時間(第1時間)(例えば、2秒~3秒)継続して位置した場合に、制御装置50は、燃料添加弁28による排気ガスへの燃料の噴射を停止し、DPF43の捕集機能の再生を中断する。
【0069】
これにより、停車時に、シフトレバー21がドライブレンジD→ニュートラルレンジN→リバースレンジR→パーキングレンジPへとシフトされても、リバースレンジRに所定時間(第1時間)(例えば、2秒~3秒)よりも短い時間だけ位置して、パーキングレンジPに移動するため、シフトレバー21の一時的なリバースレンジRの通過等によって、DPF43の再生が中断されるのを回避できる。また、赤信号停車時等、前進での駐停車時に、シフトレバー21は、リバースレンジRに位置しないため、DPF43の再生中断を回避できる。
【0070】
また、シフトレバー21がリバースレンジRに位置し、所定時間(第1時間)(例えば、2秒~3秒)が経過して後退駐車するような場合に、DPF43の再生が中断される。従って、シフトレバー21がリバースレンジRに位置して、車両が確実に後進した場合に、例えば、後退駐車するような場合に、DPF43の捕集機能の再生を中断することができる。その結果、DPF43の捕集機能の再生中断の頻度を減少させることができ、DPF43の再生中断時に、燃料添加弁28から排気ガス中に噴霧される燃料の消費量を少なくすることが可能となり、燃費の改善を図ることができる。
【0071】
また、DPF43の再生の中断中において、シフトレバー21がリバースレンジR以外のレンジに位置し、且つ、所定速度(第2速度)(例えば、時速15キロメートル)以上で走行し、又は、所定時間以上(第2時間以上)(例えば、5秒~9秒以上)走行した場合に、DPF43の再生を再開させることができる。これにより、十分な排気温度での運転状態において、DPF43の再生を再開させることができ、DPF43の再生に要する時間を短くすることが可能となる。
【0072】
また、DPF43の再生の中断中において、シフトレバー21がリバースレンジRに位置し、且つ、所定距離(第3距離)(例えば、20m以上)を走行した場合に、DPF43の再生が再開される。これにより、シフトレバー21がリバースレンジRに位置していても、所定距離(第3距離)(例えば、20m以上)以上後進した場合には、DPF43の再生が再開されるため、DPF43の再生に要する時間を短くすることが可能となる。
【0073】
本発明の排気ガス浄化装置は、前記実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記
図1~
図5の前記実施形態に係る内燃機関10等と同一符号は、前記実施形態に係る内燃機関10等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0074】
(A)例えば、前記ステップS18で、ATECU17から入力されたシフトレバー21のシフト位置の検出信号がリバースレンジRであると判定した場合、つまり、シフトレバー21がリバースレンジRにシフトされていると判定した場合には(S18:NO)、制御装置50は、ステップS22の処理を実行することなく、再生開始制御の処理を終了するようにしてもよい。これにより、制御装置50は、中断フラグが「ON」に設定された状態を維持して、つまり、DPF43の再生の中断状態を維持することができる。
【0075】
(B)また、例えば、前記ステップS19において、車速が所定値未満(第2速度未満)である、例えば、時速15キロメートル未満であると判定した場合には(S19:NO)、制御装置50は、前記ステップS20の処理を実行することなく、再生開始制御の処理を終了するようにしてもよい。これにより、制御装置50は、中断フラグが「ON」に設定された状態を維持して、つまり、DPF43の再生の中断状態を維持することができる。
【0076】
(C)また、例えば、前記ステップS22において、車両後方へ所定距離(第3距離)(例えば、距離約20mである。)継続走行したと判定した場合には(S22:YES)、制御装置50は、DPF43の再生の中断を終了して、再度、DPF43の捕集機能の再生を再開する(ステップS21→ステップS16)。その後、制御装置50は、車速センサ18からの検出信号に基づいて、車両が停止したか否かを判定するようにしてもよい。そして、制御装置50は、車両が停止したと判定した場合には、前記ステップS39以降の処理を実行するようにしてもよい。これにより、制御装置50は、車両後方へ所定距離(第3距離)(例えば、距離約20mである。)以上走行して、停車した際に、DPF43の再生の中断を行うことが可能となる。
【0077】
(D)また、前記実施形態では、自動変速機(AT:Automatic Transmission)を備えた車両について本発明に係る排気ガス浄化装置を具体化したが、手動変速機(MT:Manual Transmission)を備えた車両の場合においても、本発明に係る排気ガス浄化装置を具体化することができる。具体的には、ATECU17に替えて、手動変速機におけるシフトレバー21のシフト位置を検出して、その検出信号を制御装置50に出力するシフト位置検出ECU(Electronic Control Unit)を備える。これにより、制御装置50は、上記ステップS11~ステップS21、及び、ステップS31~ステップS42の処理を実行することが可能となり、同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 内燃機関
12 排気通路
17 自動変速機制御コンピュータ(ATECU)
18 車速センサ
21 シフトレバー
28 燃料添加弁
35 差圧検出装置
36A~36C 排気温度検出装置
43 粒子状物質除去フィルタ(DPF)
50 制御装置